JP2005108291A - 磁気記録媒体用ポリエステル樹脂およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 塩化ビニル系共重合体を使用せず、磁性粒子の分散性、充填性、耐摩耗性、耐熱性等が良好な結合剤を使用することにより走行耐久性、電磁変換特性などが優れた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 酸成分のうち脂環族酸成分が40モル%以上、グリコール成分のうち脂環族グリコールが30モル%以上共重合されている磁気記録媒体用ポリエステル樹脂、好ましくは脂環族グリコールが、トリシクロデカンジメタノール及び/または水素添加ビスフェノールA骨格含有グリコールである磁気記録媒体用ポリエステル樹脂に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸成分のうち脂環族酸成分が40モル%以上、グリコール成分のうち脂環族グリコールが30モル%以上共重合されている磁気記録媒体用ポリエステル樹脂、好ましくは脂環族グリコールが、トリシクロデカンジメタノール及び/または水素添加ビスフェノールA骨格含有グリコールである磁気記録媒体用ポリエステル樹脂に関する。
【選択図】 なし
Description
本発明は優れた特性を有する結合剤を用いることにより得られる磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に関するものである。
汎用的磁気記録材料である磁気テープ、フレキシブルディスクは、長軸1μm以下の針状磁性粒子を分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等の添加剤とともに結合剤溶液に分散させて磁性塗料をつくり、これをポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布して作られている。
磁性層の結合剤に要求される特性としては、磁性粒子の分散性、充填性、配向性、磁性層の耐久性、耐摩耗性、耐熱性、非磁性支持体との接着性等があげられ、結合剤は非常に重要な役割を果たしている。
磁性層の結合剤としては従来アジペートタイプあるいはポリカプロラクトンタイプのポリウレタン樹脂とニトロセルロースあるいは塩ビ系共重合体との混合系が主に用いられている。
磁性層の結合剤に要求される特性としては、磁性粒子の分散性、充填性、配向性、磁性層の耐久性、耐摩耗性、耐熱性、非磁性支持体との接着性等があげられ、結合剤は非常に重要な役割を果たしている。
磁性層の結合剤としては従来アジペートタイプあるいはポリカプロラクトンタイプのポリウレタン樹脂とニトロセルロースあるいは塩ビ系共重合体との混合系が主に用いられている。
塗布型磁気記録媒体における非磁性支持体上に設けた磁性層では耐摩耗性の向上、耐熱性の改良、接着性の改良、耐溶剤性の付与等の目的のために、硬化剤を併用する二液タイプが用いられている。硬化剤としてはポリイソシアネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が知られている。特に反応性、作業性、性能面からポリイソシアネートが汎用的に使用されている。
磁気記録媒体では、S/N比(シグナル/ノイズ比)の向上、高記録密度化のために、磁性層の表面を平滑にすることや、より微粒子化した磁性粒子を磁性層中に高充填し、高配向することが必要とされ、これらのために磁性粒子の分散が良好な結合剤が求められている。磁性層の表面が平滑になればなる程、摩擦係数が高くなり、磁気テープの走行性、走行耐久性は悪くなる。そのため耐久性、耐摩耗性、耐熱性、非磁性支持体との接着性の良好な結合剤が求められている。
また最近、磁気記録媒体ではS/N比(シグナル/ノイズ比)の向上、高記録密度化のために、より微粒子化した磁性粉、メタル磁性粉のような高抗磁力(Hc)の磁性粉を磁性層中に高充填し高配向することがなされているが、従来の結合剤ではこれらの磁性粉を分散することは困難になっている。分散不良は電磁変換特性の低下だけではなく、磁性層の空隙率の増加を伴い、空隙率の増加は磁性層の走行耐久性を悪化させる。ポリエステル樹脂、あるいはポリウレタン樹脂にスルホン酸金属塩基を導入することは磁性粉の分散性改良に極めて有効であるが(例えば特許文献1、2参照)、スルホン酸金属塩基の導入だけでは高度化する要求を満足できず、従来の結合剤ではこれらの要求に対して不十分である。また磁気テープの汎用化に伴い、低温から高温まで、また低湿から高湿まであらゆる条件下での耐久性の向上が求められている。さらには磁性層の薄膜化に伴い磁性層の強度、伸度、弾性率といった物理的特性の大幅な向上が求められている。
磁性粒子の結合剤として汎用的に用いられている塩化ビニル系共重合体では水酸基含有単量体を共重合するか、酢酸ビニルを共重合した後に加水分解する等の方法により水酸基を樹脂中に導入している。多量に導入された水酸基は磁性粉の分散性を高め、塗布層の強靱化や接着性の向上のために併用される硬化剤との反応性も高め、その結果、磁気記録媒体の走行耐久性を高める。しかし、塩化ビニル系共重合体は脱塩酸を生じ、磁気ヘッドを汚染するといった問題が近年クローズアップされてきている。さらに焼却時に環境汚染物質を排出することがある。また塩ビ系共重合体以外に結合剤として用いられているウレタン樹脂も焼却時に窒素系ガスを排出するといった観点より環境上、必ずしも好ましいとは言えない。
本発明の目的は塩化ビニル系共重合体を使用せず、磁性粒子の分散性、充填性、耐摩耗性、耐熱性等が良好な結合剤を使用することにより走行耐久性、電磁変換特性などが優れた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者等はポリエステル樹脂を鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は以下のポリエステル樹脂とそれを用いた磁気記録媒体である。
(1)酸成分のうち脂環族酸成分が40モル%以上、グリコール成分のうち脂環族グリコールが30モル%以上共重合されている磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
(2)脂環族グリコールが、トリシクロデカンジメタノール及び/または水素添加ビスフェノールA骨格含有グリコールである(1)に記載の磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
(3)さらに、酸成分あるいはグリコール成分中に多官能成分が0.1〜2モル%共重合されている(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
(4)結合剤として(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル樹脂と、磁性粒子を含む磁気記録媒体。
(5)磁性粒子がメタル粉である(4)に記載の磁気記録媒体。
(6)メタル粉の長軸長が200nm以下である(5)に記載の磁気記録媒体。
本発明の磁気記録媒体には,非磁性支持体上に設けられた磁性層の結合剤成分として脂環族酸成分、脂環族グリコール成分を有するポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂は脂環族酸成分、脂環族グリコール成分、極性基成分を併用することで優れた磁性粉分散性を有し、かつ多官能成分を併用すれば、架橋密度の高い硬化塗膜が得られる。その結果、磁性層の結合剤としたとき磁性層の充填度が高く、耐摩耗性が良好な磁性塗膜が得られる。
本発明で使用するポリエステル樹脂の脂環族二塩基酸成分としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらの脂環族酸成分をポリエステル樹脂の酸成分、グリコール成分それぞれを100モル%としたときに、40モル%以上共重合することが好ましい。好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上である。40モル%未満の共重合量であると磁性粒子の分散性が低下する場合がある。後述する極性基導入成分あるいは多官能成分の共重合量によるが、上限は特に限定する必要はなく、100モル%でも特に問題はない。
脂環族二塩基酸成分以外の酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。なかでも特にイソフタル酸、オルソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。
本発明で使用するポリエステル樹脂の脂環族グリコールとしては1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。なかでもトリシクロデカンジメタノール、水素添加ビスフェノールAが磁気記録媒体の耐久性向上の点で好ましい。これらの脂環族グリコール成分をポリエステル樹脂の酸成分、グリコール成分それぞれを100モル%としたときに、30モル%以上共重合することが好ましい。好ましくは50モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。30モル%未満の共重合量であると磁性粒子の分散性が低下する場合がある。後述する極性基導入成分あるいは多官能成分の共重合量によるが、上限は特に限定する必要はなく、100モル%でも特に問題はない。尚、本明細書等で言う「水素添加」とは芳香環に水素添加した脂環族のものを指す。
脂環族グリコール以外のグリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、2−メチルオクタンジオール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステルが挙げられる。これらのうちエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。また、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルも挙げられる。
本発明の目的からポリエステル樹脂に極性基を導入させることが好ましい。導入する極性基としてはスルホン酸金属塩基あるいはアミノ基やカルボン酸基などが挙げられる。本発明のポリエステル樹脂中にスルホン酸金属塩基を導入するための原料としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸、2−ナトリウムスルホ−1,4−ブタンジオール、2,5−ジメチル−3−ナトリウムスルホ−2,5−ヘキサンジオール等のジカルボン酸あるいはグリコールなどが挙げられる。アミノ基を導入するための原料としてはジエタノールアミン、N−ブチル−N,N−ジヒドロキシルエチルアミンなどが挙げられ、またカルボン酸基を導入するための原料としては2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸等が挙げられる。なかでも5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸が好ましい。結合剤分子へのこれら極性基の導入は結合剤分子を強磁性粒子表面に吸着させるための極めて有効な手段である。これらの極性基含有原料はポリエステル酸成分あるいはグリコール成分の0.1〜10モル%の範囲で共重合することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂中の上記極性基濃度は10〜400当量/106gの範囲で含有させることが適当である。10当量/106gより少ないと磁性粉の分散性が不十分であり、400当量/106gを超えるとポリエステル樹脂溶液や磁気塗料の粘度が高くなり取扱上また磁気記録媒体の生産上の障害が多くなる。特に好ましい範囲は50〜300当量/106gである。
酸成分あるいはグリコール成分中に導入する多官能成分として、酸成分としては 無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価カルボン酸、グリコール成分としてはトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価ポリオールが挙げられる。なかでも無水トリメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリンが好ましい。共重合する際の量は酸成分あるいはグリコール成分中の0.1〜2モル%であることが好ましい。0.1モル%未満であると磁性層の耐久性が低下するおそれがあり、2モル%を超えると磁性粒子の分散性が悪化する場合がある。好ましい上限は0.3モル%以上、好ましい下限は1.5モル%以下である。
本発明においては、ポリエステル樹脂に可撓性の調節、耐寒性・耐熱性の向上等の目的のために他の樹脂を添加するか、および/または架橋剤を混合することが望ましい。他の樹脂としては、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げられる。一方、架橋剤としてはポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、酸無水物等があり、特にこれらの中でポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物としてはイソシアネートに多価アルコールやイソシアヌレート環を付加したものが挙げられる。ここでのイソシアネート化合物はTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、XDI(キシレンジイソシアネート)、水添XDIなどが挙げられる。
本発明の磁気記録媒体の形状はテープ、ディスク、シート、カードなどが挙げられる。
本発明の磁気記録媒体の層構成は、磁性層または磁性層と下層塗布層を支持体上に、支持体下にバックコート層を設けた物であることが好ましい。支持体上部の層構造としては磁性層単層、磁性層重層、磁性層と非磁性層との重層が挙げられる。本発明の磁気記録媒体は磁性粒子の分散性、表面平滑性、耐摩耗性などが優れるため、高記録密度化に適した磁性層と非磁性層との重層構造を有する磁気記録媒体に適する。本発明のポリエステル樹脂は磁性層の結合剤以外にも非磁性層、バックコート層の結合剤にも適している。
本発明の磁気記録媒体の磁性層に使用される磁性粒子としては、γ−Fe2O3、γ−Fe2O3とFe3O4の混晶、コバルトを被着したγ−Fe2O3 またはFe2O4、バリウムフェライト等の強磁性酸化物、Fe−Co,Fe−Co−Ni等の強磁性合金粉末等を挙げることができる。なお、非磁性層に使用される粒子としては酸化鉄および酸化鉄とカーボンブラック、バックコート層に使用される粒子としてはカーボンブラックを挙げることができる。
磁性粒子としては高記録密度化の点でメタル粉であることが好ましい。メタル粉の長軸長は200nm以下であることが好ましい。下限は1nm以上であることが好ましい。1nm未満であるとメタル粉が極めて微細となるため、本発明のポリエステル樹脂では分散性が不足するおそれがあり、200nmを超えると磁気記録媒体の記録密度の点で性能不十分となる場合があるからである。なお、ここで言う長軸長は楕円上の磁性粒子の長い部分をさすものであり、これを顕微鏡観察し、その任意の測定結果100サンプルを平均化して求めたものである。
本発明の磁気記録媒体にはその他必要に応じてジブチルフタレート、トリフェニルホスフェートのような可塑剤、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、t−ブチルフェノールポリエチレンエーテル、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート、ステアリン酸亜鉛、大豆油レシチン、シリコーンオイルのような潤滑剤や種々の帯電防止剤を添加することもできる。
以下実施例により本発明を具体的に例示する。実施例中に単に部とあるのは重量部を示す。樹脂の分析、評価は次の方法により実施した。
(分子量および分子量分布)
ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶媒として測定した。
ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶媒として測定した。
(組成分析)
重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
(ガラス転移温度)
サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
(極性基濃度)
ここでいう極性基濃度はスルホン酸金属塩基濃度であり、金属成分であるNa濃度より求めることができる。Na濃度の測定方法は試料0.1gを炭化し、酸に溶解した後、原子吸光分析により求め、下記式より求めた。
Na濃度(ppm)/23(Na原子量)=極性基濃度(eq/t)
ここでいう極性基濃度はスルホン酸金属塩基濃度であり、金属成分であるNa濃度より求めることができる。Na濃度の測定方法は試料0.1gを炭化し、酸に溶解した後、原子吸光分析により求め、下記式より求めた。
Na濃度(ppm)/23(Na原子量)=極性基濃度(eq/t)
ポリエステル樹脂(A)の重合例1
温度計、撹拌機、リービッヒ冷却管を具備した反応容器にイソフタル酸66部、1,4シクロヘキサンジカルボン酸96部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸9部、トリメリット酸2部、エチレングリコール37部、ネオペンチルグリコール52部、トリシクロデカンジメタノール160部、及びテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、180〜220℃で180分間加熱し、エステル化反応を行った後、反応系を20分で5mmHgまで減圧し、この間240℃まで昇温した。更に系内を徐々に減圧し、10分後に0.3mmHg以下とし、240℃で重縮合反応を90分行った。分析結果を表1に示す。
温度計、撹拌機、リービッヒ冷却管を具備した反応容器にイソフタル酸66部、1,4シクロヘキサンジカルボン酸96部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸9部、トリメリット酸2部、エチレングリコール37部、ネオペンチルグリコール52部、トリシクロデカンジメタノール160部、及びテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、180〜220℃で180分間加熱し、エステル化反応を行った後、反応系を20分で5mmHgまで減圧し、この間240℃まで昇温した。更に系内を徐々に減圧し、10分後に0.3mmHg以下とし、240℃で重縮合反応を90分行った。分析結果を表1に示す。
ポリエステル樹脂の重合例2〜6
重合例1と同様の方法により得られたポリエステル樹脂(B)〜(F)を表1に示した。
重合例1と同様の方法により得られたポリエステル樹脂(B)〜(F)を表1に示した。
ポリエステル樹脂の比較重合例1〜3
重合例1と同様の方法により得られたポリエステル樹脂(G)〜(I)を表1に示した。なお、比較合成例1は脂環族酸成分の量が本請求項範囲外であり、比較重合例2、3は脂環族グリコールの量が本請求項の範囲外である。
重合例1と同様の方法により得られたポリエステル樹脂(G)〜(I)を表1に示した。なお、比較合成例1は脂環族酸成分の量が本請求項範囲外であり、比較重合例2、3は脂環族グリコールの量が本請求項の範囲外である。
表中の略号は以下のとおり
T:テレフタル酸
I:イソフタル酸
1,4−CHDA:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
1,3−CHDA:1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
HHPA:無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
DSN:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
TMA:無水トリメリット酸
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
2MG:2−メチル−1,3−プロパンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
PD:1,5−ペンタンジオール
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
TCD:トリシクロデカンジメタノール
H−BIS−A:水素添加ビスフェノールA
T:テレフタル酸
I:イソフタル酸
1,4−CHDA:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
1,3−CHDA:1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
HHPA:無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
DSN:5−ナトリウムスルホイソフタル酸
TMA:無水トリメリット酸
EG:エチレングリコール
PG:プロピレングリコール
2MG:2−メチル−1,3−プロパンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
PD:1,5−ペンタンジオール
CHDM:シクロヘキサンジメタノール
TCD:トリシクロデカンジメタノール
H−BIS−A:水素添加ビスフェノールA
上記に記載したポリエステル樹脂を用いて下記の手順で磁気テープを作成し、特性の評価を行った。走行耐久性については実際にテープをVTRデッキ上で走行させ、磁気ヘッドの汚れ具合から判断した。電磁変換特性については角形比を調べることによって判断した。
実施例 1
下記の配合割合の組成物をボールミルにいれて24時間分散してから、ポリイソシアネート化合物:コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を硬化剤として1部、更に1時間混合して磁性塗料を得た。また、磁気塗料を厚み15μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布し5000ガウスの磁場をかけながら乾燥し、80℃、線圧200kg/cmでカレンダーロールに通し磁性層表面の平滑化処理を行い磁気テープを作成した。得られた磁気テープを60℃で1日放置後1/2インチにスリットした。カレンダー加工前の磁性層の表面光沢、及び得られたテープの角形比を測定した。角形比は振動試料型磁力計を使用し、垂直方向の角形比を測定した。カレンダー処理前後の磁性層の表面粗さも測定した。表面粗さは光干渉三次元表面粗度計(WYKO製)を用い、200×200μm2の範囲で測定した。また、市販のVTRデッキで40℃にて100回走行後の磁気ヘッドの状態を観察し、段階で評価した。結果を表2に示す。
下記の配合割合の組成物をボールミルにいれて24時間分散してから、ポリイソシアネート化合物:コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)を硬化剤として1部、更に1時間混合して磁性塗料を得た。また、磁気塗料を厚み15μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の厚みが4μmになるように塗布し5000ガウスの磁場をかけながら乾燥し、80℃、線圧200kg/cmでカレンダーロールに通し磁性層表面の平滑化処理を行い磁気テープを作成した。得られた磁気テープを60℃で1日放置後1/2インチにスリットした。カレンダー加工前の磁性層の表面光沢、及び得られたテープの角形比を測定した。角形比は振動試料型磁力計を使用し、垂直方向の角形比を測定した。カレンダー処理前後の磁性層の表面粗さも測定した。表面粗さは光干渉三次元表面粗度計(WYKO製)を用い、200×200μm2の範囲で測定した。また、市販のVTRデッキで40℃にて100回走行後の磁気ヘッドの状態を観察し、段階で評価した。結果を表2に示す。
配合
重合例1で得られたポリエステル樹脂の溶液 10部
(メチルエチルケトン/トルエン=1/1の30%溶液)
メタル粉
(長軸長0.07μm、BET51m2/g、抗磁力(Hc)2400Oe)
15部
シクロヘキサノン 4部
トルエン 6部
メチルエチルケトン 12部
アルミナ(平均粒径0.05μ) 0.5部
ミリスチン酸 0.4部
ステアリン酸n−ブチル 0.4部
重合例1で得られたポリエステル樹脂の溶液 10部
(メチルエチルケトン/トルエン=1/1の30%溶液)
メタル粉
(長軸長0.07μm、BET51m2/g、抗磁力(Hc)2400Oe)
15部
シクロヘキサノン 4部
トルエン 6部
メチルエチルケトン 12部
アルミナ(平均粒径0.05μ) 0.5部
ミリスチン酸 0.4部
ステアリン酸n−ブチル 0.4部
走行耐久性の評価基準
磁気ヘッドの状態が
5:磁気ヘッドに汚れが全く見られない
4:磁気ヘッドにわずかに汚れが見られる。
3:磁気ヘッドの汚れが目立つ
2:磁気ヘッドの汚れが顕著に目立つ
1:磁気ヘッド部が完全に汚れている
磁気ヘッドの状態が
5:磁気ヘッドに汚れが全く見られない
4:磁気ヘッドにわずかに汚れが見られる。
3:磁気ヘッドの汚れが目立つ
2:磁気ヘッドの汚れが顕著に目立つ
1:磁気ヘッド部が完全に汚れている
実施例 2〜6 比較例1〜3
実施例1と同様にして、ただし磁性層の結合剤に使用したポリエステル樹脂の替わりに表1に記載したポリエステル樹脂を用いて磁気テープを作成した。特性を表2〜4に示す。
実施例1と同様にして、ただし磁性層の結合剤に使用したポリエステル樹脂の替わりに表1に記載したポリエステル樹脂を用いて磁気テープを作成した。特性を表2〜4に示す。
表中の略号は以下のとおり
UR8300:東洋紡績社製スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂
UR8300:東洋紡績社製スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂
本発明のポリエステル樹脂を磁性粒子の結合剤として用いることにより、本発明の磁気記録媒体は顔料の分散性、耐摩耗性に起因する走行耐久性、粉落ち耐久性が優れたものが得られる。
Claims (6)
- 酸成分のうち脂環族酸成分が40モル%以上、グリコール成分のうち脂環族グリコールが30モル%以上共重合されている磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
- 脂環族グリコールが、トリシクロデカンジメタノール及び/または水素添加ビスフェノールA骨格含有グリコールである請求項1に記載の磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
- さらに、酸成分あるいはグリコール成分中に多官能成分が0.1〜2モル%共重合されている請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ポリエステル樹脂。
- 結合剤として請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂と、磁性粒子を含む磁気記録媒体。
- 磁性粒子がメタル粉である請求項4に記載の磁気記録媒体。
- メタル粉の長軸長が200nm以下である請求項5に記載の磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003337107A JP2005108291A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | 磁気記録媒体用ポリエステル樹脂およびそれを用いた磁気記録媒体 |
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---|---|---|---|---|
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JP2012172102A (ja) * | 2011-02-23 | 2012-09-10 | Toyobo Co Ltd | バイオマスプラスチック塗料 |
JP2017182863A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 富士フイルム株式会社 | 磁気記録媒体および磁気記録媒体用組成物 |
-
2003
- 2003-09-29 JP JP2003337107A patent/JP2005108291A/ja active Pending
Cited By (4)
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US10586565B2 (en) | 2016-03-31 | 2020-03-10 | Fujifilm Corporation | Magnetic recording medium having specified polyester resin additive and magnetic recording medium composition |
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