JP2005105151A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維強化複合成形材料のマトリックス樹脂として用いた際に剛性及び靭性が共に優れた繊維強化複合成形体を得ることができるエポキシ樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及び繊維強化複合成形体を提供する。
【解決手段】一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を80質量%以上含むエポキシ樹脂(A)と、PES(B)と、芳香族アミン系硬化剤(C)とを特定割合で含むエポキシ樹脂組成物において、PES(B)は分子鎖の両端或いは一端にエポキシ樹脂と反応し得る官能基を少なくとも1つ有し、且つエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態及び平均粒径1〜50μmで微分散された状態の2形態で配合されてなるエポキシ樹脂組成物。エポキシ樹脂組成物中に微分散された状態で配合されるPESは、PES総配合量の10〜60質量%であることが好ましい。
【選択図】なし


Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物、それを用いるプリプレグ及び繊維強化複合成形体に関し、更に詳しくは、繊維強化複合成形材料のマトリックス樹脂として用いた際に剛性及び靭性が共に優れた繊維強化複合成形体を得ることができるエポキシ樹脂組成物、それを用いるプリプレグ及び繊維強化複合成形体に関する。
エポキシ樹脂組成物は、従来繊維強化複合成形材料用のマトリックス樹脂として多用されている。特に、炭素繊維を強化材繊維とする複合成形材料のマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂組成物は広く使用されている。このような複合成形材料から得られる繊維強化複合成形体は、例えばゴルフシャフトや釣竿のようなスポーツ・レジャー用途から、航空機の二次構造材、更には一次構造材に至るまで使用範囲が拡大している。
航空機のような分野に使用されるエポキシ樹脂組成物およびプリプレグとして、樹脂組成物の揮発成分を少なくし、しかも耐熱性を高く、良好なる接着性を有する自己接着ハニカムサンドイッチパネルの表面材用のエポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグが提案されている(特許文献1)。
特許文献1で提案されている技術は、揮発分の含有率及び硬化時最低粘度が特定範囲のエポキシ樹脂組成物であり、その骨子は(a)グリシジルアミノ基を有する多官能エポキシ樹脂、(b)(a)以外のエポキシ樹脂、(c)ポリイソシアネート、(d)熱可塑性樹脂及び(e)芳香族アミン硬化剤を必須成分として含むものである。
しかしながら、従来の繊維強化複合材料成形体は剛性又は靱性のいずれか一方に優れていても、両者を兼ね備えたものはなかった。近年、剛性に加えて更に優れた靭性を兼ね備えた繊維強化複合成形体の要求が高まり、上記など従来技術の改良が望まれている。
更に、熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂の改質剤として添加することも行なわれている。この場合、一般に熱可塑性樹脂自体の耐溶剤性が低いため、熱可塑性樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物からなる繊維強化複合成形体も耐溶剤性が低くなる。このため、このような繊維強化複合成形体を溶剤に浸漬した場合、亀裂等の発生により機械的特性が低下する問題が生じている。
特開2001−031838号公報(特許請求の範囲)
本発明は、繊維強化複合成形材料のマトリックス樹脂として用いた際に剛性(例えば、圧縮強度)及び靭性(例えば、衝撃後圧縮強度)に優れた繊維強化複合成形体を得ることができるエポキシ樹脂組成物、それを用いたプリプレグ及び繊維強化複合成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
[1] 一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を80質量%以上含むエポキシ樹脂(A)100質量部と、ポリエーテルスルホン(B)30〜50質量部と、芳香族アミン系硬化剤(C)20〜50質量部とを少なくとも含むエポキシ樹脂組成物において、ポリエーテルスルホン(B)が分子鎖の両端或いは一端にエポキシ樹脂と反応し得る官能基を少なくとも1つ有し、且つエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態及び溶解せずに微分散された状態の2形態で配合されてなり、微分散された状態のポリエーテルスルホン(B)の分散粒子の平均粒径が1〜50μmであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[2] ポリエーテルスルホン(B)の全量を100質量%とした場合、このうち10〜60質量%がエポキシ樹脂組成物中に微分散された状態で配合され、残りの40〜90質量%がエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態で配合されている[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] エポキシ樹脂(A)がテトラグリシジルジアミノジフエニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール及びN,N,O−トリグリシジル−m−アミノアミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 芳香族アミン系硬化剤(C)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及び/又は4,4’−ジアミノジフェニルスルホンである[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] [1]記載のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させてなるプリプレグ。
[6] [5]記載のプリプレグを加熱硬化してなる繊維強化複合成形体。
本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、繊維強化複合成形材料のマトリックス樹脂として用いる際に剛性及び靭性が共に優れた繊維強化複合成形体を得ることができる。
更に、本発明における繊維強化複合成形体は耐溶剤性が高い。例えば2−ブタノン(慣用名:メチルエチルケトン)に24時間浸漬しても亀裂の発生は認められず、耐溶剤性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるエポキシ樹脂(A)は、一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を80質量%以上含むものである。
この一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(4官能エポキシ樹脂:Epikote 604:ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(3官能以上のエポキシ樹脂を主成分とする:EPPN−201:日本化薬株式会社製(登録商標))、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂(3官能エポキシ樹脂:ELM−120:住友化学工業株式会社製(登録商標))等を挙げることができる。
これらの一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(以下、『多官能エポキシ樹脂』ということがある)は、エポキシ樹脂(A)中に80質量%以上存在することが必要である。この多官能エポキシ樹脂の割合がエポキシ樹脂(A)中80質量%未満であると、優れた圧縮強度の繊維強化複合成形体を得ることができない。
尚、本発明におけるエポキシ樹脂(A)中には、官能基が1〜2のエポキシ樹脂が20質量%未満の割合で含まれていてもよい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂:Epikote 807:ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂:Epikote 828:ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))等の2官能エポキシ樹脂を好ましい例として挙げることができる。
更に、本発明におけるエポキシ樹脂(A)は、後述するポリエーテルスルホン(以下『PES』と表現することがある。)(B)と親和性の高いものが好ましく、PES(B)を一部溶解せしめるものである。このようなエポキシ樹脂として、例えば、テトラグリシジルジアミノジフエニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール及びN,N,O−トリグリシジル−m−アミノアミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。尚、エポキシ樹脂(A)とPES(B)との親和性が弱い場合、応力の発生により、両成分間で剥離、亀裂等が発生し易くなり、このため機械的特性が低下することがある。
本発明におけるPES(B)は、エンジニアリングプラスチックとして用いられるものが好ましく、エポキシ樹脂(A)と相溶するものである。また、本発明におけるPES(B)は、エポキシ樹脂との親和性を高めるために、分子鎖の両端或いは一端にエポキシ樹脂と反応し得る官能基を少なくとも1つ有することを必要とする。このエポキシ樹脂と反応し得る官能基としては、例えば、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2)等の官能基を挙げることができる。具体的には、スミカエクセル5003P(住友化学工業株式会社製(登録商標))等を例示できる。
本発明において、エポキシ樹脂組成物中に占めるPES(B)の割合は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対し30〜50質量部であることが必要である。PES(B)の上記割合が50質量部を超えると、エポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物の剛性が低下するだけでなく、樹脂組成物の粘度が高くなるため、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて作製したプリプレグの取り扱い性が低下する。また、PES(B)の上記割合が30質量部未満であると、エポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物の靭性が低下する。上記の理由から、エポキシ樹脂(A)100質量部に対するPES(B)の割合は、35〜45質量部であることが好ましい。
また、PES(B)はエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態及び溶解せずに微分散された状態の2形態で配合されていることが必要である。更に、エポキシ樹脂組成物中に微分散されるPES(B)の分散粒子の平均粒径は1〜50μmの範囲であることが必要である。
PES(B)がエポキシ樹脂組成物中に上記の微分散状態で配合されていると、当該エポキシ樹脂組成物から作り出される繊維強化複合成形体の耐衝撃性の発現が顕著になる。また、PES(B)がエポキシ樹脂組成物中に溶解した状態で配合されていると、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整することができ、当該エポキシ樹脂組成物を使用したプリプレグのタック性、ドレープ性を調整することができる。これらの理由から、PES(B)はエポキシ樹脂組成物中に完全に溶解せずに微分散した状態及び溶解した状態の2形態で配合されていることが必要である。
尚、PES(B)総配合量の10〜60質量%(好ましくは20〜50質量%)がエポキシ樹脂組成物中に微分散された状態で配合され、PES(B)総配合量の40〜90質量%(好ましくは50〜80質量%)がエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態で配合されていることが、エポキシ樹脂組成物から作り出される繊維強化複合成形体の圧縮強度に代表される剛性の発現と、衝撃後圧縮強度に代表される耐衝撃性の発現が特に顕著となるため好ましい。
本発明において、PES(B)をエポキシ樹脂成分(A)に溶解させ、且つ分散せしめる方法としては、先ず加熱、攪拌又は混練が可能な装置(例えばニーダー)にてエポキシ樹脂成分(A)とPES(B)を120〜150℃の条件下で加熱、攪拌してエポキシ樹脂(A)とPES(B)の溶解物を作製する。これによりPES(B)とエポキシ樹脂成分(A)とは完全に相溶する。次いで100℃以下(好ましくは70〜90℃)の条件下で攪拌又は混練が可能な装置(例えばロールミル)を用いて当該溶解物中にPES(B)均一分散させる。これにより、新たに加えたPES(B)は溶解物中に一部溶解し、大部分が分散される。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる芳香族アミン硬化剤(C)は、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)等、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる芳香族アミン化合物である。これらは単独で、或は2種以上の混合物として使用できる。エポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物の耐熱性をより良好なものとするには、DDS或はその誘導体を単独で用いることが好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂組成物中に占める芳香族アミン硬化剤(C)の割合は、エポキシ樹脂(A)100質量部に対し20〜50質量部であることが必要である。芳香族アミン硬化剤(C)の上記割合が50質量部を超えると、架橋点数は増加するが架橋密度が低下し、また芳香族アミン硬化剤(C)の余剰量が多くなるため、このようなエポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物は剛性及び耐湿熱性が低下する。また、芳香族アミン硬化剤(C)の上記割合が20質量部未満であると、架橋点数及び架橋密度ともに低下するため、このようなエポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物は耐熱性及び耐衝撃性がともに低下する。上記の理由から、エポキシ樹脂(A)100質量部に対する芳香族アミン硬化剤(C)の割合は、25〜45質量部であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した(A)、(B)及び(C)成分を必須とするものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上述の(A)、(B)及び(C)以外の公知の硬化剤、熱硬化性樹脂、充填剤、安定剤、難燃剤、顔料等の各種添加剤を含有させてもよい。
本発明のプリプレグは、繊維集合体に本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸させることによって得られる。プリプレグ中のエポキシ樹脂組成物の割合は、30〜50質量%であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物の割合がこの範囲であれば、プリプレグを熱硬化させて得られる繊維強化複合成形体の剛性及び靭性が優れたものになる。
本発明のプリプレグを製造する方法としては、本発明のエポキシ樹脂組成物を離型紙の上に薄いフィルム状に塗布したいわゆる樹脂フィルムを、繊維集合体の上下に配置し、加熱及び加圧することでエポキシ樹脂組成物を繊維集合体に含浸させるホットメルト法や、エポキシ樹脂組成物を適当な溶媒を用いてワニス状にし、このワニスを強化繊維に含浸させる溶剤法を挙げることができる。
本発明のプリプレグに使用できる強化繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。これらの強化繊維のうち、炭素繊維が特に好ましい。炭素繊維を用いる場合、ストランドの引張強度は4000MPa以上のものが好ましく、4500MPa以上のものが特に好ましい。これらの強化繊維は、一方向に引き揃えられた繊維束状、或は織物状の形態で使用することができる。
また、本発明の繊維強化複合成形体は、上記本発明のプリプレグを通常の熱硬化成形、例えば、オートクレーブ成形、または、ホットプレス成形等、により得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。本実施例及び比較例において各種試験方法は下記に従って行った。
(1)圧縮強度
プリプレグを一方向に6枚積層してバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で180℃にて2時間加熱し、硬化させて成形板を作製した。この間オートクレーブ内を圧空で0.5MPaに加圧し、バッグ内を真空(13kPa以下)に保った。得られた成形板について、超音波探傷装置にて該成形板の内部にボイド等の欠陥が発生していないことを確認後、SACMA SRM1R−94に準拠して圧縮試験を行い、成形板の圧縮強度[MPa]を測定した。
尚、本試験では試験片のVf(繊維体積含有率)の影響を大きく受けるため、測定値はVf=60%に統一して換算した。
(2)衝撃後圧縮強度
プリプレグを[+45°/0°/−45°/90°]の方向に4枚積層したものを3セット重ね合わせた12枚の積層物と、[90°/−45°/0°/+45°]の方向に4枚積層したもの3セット重ね合わせた12枚の積層物を、それぞれ90°方向が合わさるように合計24枚の積層物としてバッグ内に入れ、これをオートクレーブ内で180℃にて2時間加熱し、硬化させて成形板を作製した。この間オートクレーブ内を圧空で0.5MPaに加圧し、バッグ内を真空(13kPa以下)に保った。得られた成形板について、超音波探傷装置にて該成形板の内部にボイド等の欠陥が発生していないことを確認後、SACMA SRM2R−94に準拠して圧縮試験を行い、成形板の衝撃後圧縮強度[MPa]を測定した。
尚、本試験では試験片のVf(繊維体積含有率)の影響が小さいため、測定値はVf換算しない実測値として計算した。
(3)樹脂組成物中PES(B)分散粒子の平均粒径並びに樹脂組成物中PES(B)の分散割合及び溶解割合
質量約50mgの樹脂組成物を精秤し、これをガラス板に挟んで押し広げ、厚さ約50μmの薄膜サンプルを作製した(薄膜サンプルの面積:A0cm2)。この薄膜サンプルの任意の観察面積(A1cm2)を光学顕微鏡にて観察し、観察面積内の樹脂組成物中に微分散された状態のPES分散粒子の総数と平均粒径を求めた。次いで、PES分散粒子が球体であり、比重が1.37であると仮定して、観察面積内の樹脂組成物中のPES分散粒子の総質量を算出した。この算出結果に、A0/A1を乗じて薄膜サンプル中のPES分散粒子の総質量を算出した。得られたPES分散粒子の総質量と薄膜サンプルの質量及び樹脂組成物中のPES配合割合から、樹脂組成物中に配合されたPESに占める分散状態のPESの割合を算出した。更に、分散状態のPES以外が溶解状態のPESであるとして、樹脂組成物中に配合されたPESに占める溶解状態のPES割合を算出した。
[実施例1〜4]
下記表1に示す組成(各成分の数値は質量部を表す)の(A)成分と(B)成分の一部((B)成分のうちエポキシ樹脂に溶解して配合させる部分)をニーダー中にて加熱・混合させた(混合温度:130℃)。次いで、得られた(A)成分の混合物をロールミルに移し、表1に示す(B)成分の残り((B)成分のうちエポキシ樹脂に微粉末として配合させる部分)及び(C)成分を添加し、良く混練して実施例1〜4のエポキシ樹脂組成物を得た(混練温度80℃)。エポキシ樹脂組成物中に微分散されているPESの平均粒径測定結果を表1に示す。
次いで、得られたエポキシ樹脂組成物を、炭素繊維束(東邦テナックス株式会社製・ベスファイトIM600−24K(登録商標)・フィラメント数:24000本、引張強度:5790MPa、引張弾性率:285MPa)に含浸させて、炭素繊維目付が190g/m2 、樹脂含有率が35質量%の一方向プリプレグを得た。これらのプリプレグから成形した成形板の圧縮強度及び衝撃後圧縮強度の測定結果を表1に示す。
Figure 2005105151
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜4の本発明のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグから得られた繊維強化複合成形体は剛性(圧縮強度)及び靭性(衝撃後圧縮強度)のいずれも優れたものであった。
[比較例1〜4]
[A]成分、[B]成分及び[C]成分の種類及び量を下記表2に示すものに変えた以外は実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物を得た(各成分の数値は質量部を表す)。エポキシ樹脂組成物中に微分散されているPESの平均粒径測定結果を表2に示す。
次いで、得られたエポキシ樹脂組成物を、実施例1と同様に炭素繊維束に含浸させてプリプレグを得た。これらのプリプレグから成形した成形板の圧縮強度及び衝撃後圧縮強度の測定結果を表2に示す。
Figure 2005105151
表2に示した結果から明らかなように、比較例1〜4のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグから得られた繊維強化複合成形体は剛性(圧縮強度)及び靭性(衝撃後圧縮強度)のいずれか、或は両方とも本発明のエポキシ樹脂組成物から得られたものに比べて劣るものであった。
尚、表1及び表2中の各成分は以下に示すものである。
・Epikote 604:テトラグリシジルアミノジフェニルメタン(4官能エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))
・ELM−120:m−アミノフェノール系エポキシ樹脂(3官能エポキシ樹脂:住友化学株式会社製(登録商標))
・Epikote 807:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂: ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))
・Epikote 828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂: ジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標))
・PES:ポリエーテルスルホン(住友化学工業株式会社製・熱可塑性樹脂)
・3,3’−DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(芳香族アミン系硬化剤)
・4,4’−DDS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(芳香族アミン系硬化剤)

Claims (6)

  1. 一分子中に少なくとも3個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を80質量%以上含むエポキシ樹脂(A)100質量部と、ポリエーテルスルホン(B)30〜50質量部と、芳香族アミン系硬化剤(C)20〜50質量部とを少なくとも含むエポキシ樹脂組成物において、ポリエーテルスルホン(B)が分子鎖の両端或いは一端にエポキシ樹脂と反応し得る官能基を少なくとも1つ有し、且つエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態及び溶解せずに微分散された状態の2形態で配合されてなり、微分散された状態のポリエーテルスルホン(B)の分散粒子の平均粒径が1〜50μmであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ポリエーテルスルホン(B)の全量を100質量%とした場合、このうち10〜60質量%がエポキシ樹脂組成物中に微分散された状態で配合され、残りの40〜90質量%がエポキシ樹脂組成物中に溶解された状態で配合されている請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂(A)がテトラグリシジルジアミノジフエニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール及びN,N,O−トリグリシジル−m−アミノアミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 芳香族アミン系硬化剤(C)が、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン及び/又は4,4’−ジアミノジフェニルスルホンである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させてなるプリプレグ。
  6. 請求項5記載のプリプレグを加熱硬化してなる繊維強化複合成形体。
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