JP2016210114A - 繊維強化プラスチック成形体及びその製造方法、並びに積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイサイクルプレス成形を採用した場合でも、繊維強化プラスチック成形体の表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良の発生、及び繊維が透けて見えることが生じることを抑制する。【解決手段】強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材10を複数積層したプリプレグ積層体12の少なくとも一方の表面に、下記熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルム14を積層して積層体1を得る積層工程と、金型により積層体1を加熱加圧して繊維強化プラスチック成形体を得る成形工程を有する繊維強化プラスチック成形体の製造方法。熱可塑性樹脂粒子(c1):ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する粒子。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形体及びその製造方法、並びに積層体に関する。
強化繊維とマトリクス樹脂組成物とを含有する炭素繊維強化プラスチック成形体は、力学物性に優れる等の理由から、航空機、自動車等の産業用途等に幅広く用いられおり、近年ではますます適用範囲が拡がってきている。例えば、強化繊維にマトリクス樹脂組成物が含浸されたシート状のプリプレグ基材が複数積層されたプリプレグ積層体が加熱加圧されて成形された繊維強化プラスチック成形体が知られている。
マトリクス樹脂組成物としては、含浸性や耐熱性に優れる点から、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を含有する熱硬化性樹脂組成物が用いられることが多い。なかでも、耐熱性、成形性に優れ、より機械強度が高い繊維強化プラスチック成形体が得られるため、エポキシ樹脂組成物が幅広く使用されている。
また、繊維強化プラスチック成形体としては、表面付近に存在する繊維が透けて見えることを抑制する(つまり十分に樹脂層内に埋まらず、露出した状態になることを防ぐ)目的で、プリプレグ積層体の表面に、強化繊維及び熱硬化性樹脂組成物を含有する樹脂フィルムがさらに積層された状態で加熱加圧されて成形された繊維強化プラスチック成形体が知られている。該樹脂フィルムは、プリプレグ基材に比べて熱硬化性樹脂組成物の割合が高く、強化繊維の割合が低くなっている。
繊維強化プラスチック成形体の製造方法としては、例えば、オートクレーブを用いる方法(特許文献1)、真空バッグによる方法(特許文献2)、圧縮成形法(特許文献3)等が知られている。しかし、これらの方法では、プリプレグ積層体を加熱加圧して硬化させる際、硬化までに160℃以上で2〜6時間程度の加熱が必要であり、エネルギー消費が大きいうえ生産性が低い。
自動車用途に多用される成形方法としては、ハイサイクルプレス成形が知られている(特許文献4)。ハイサイクルプレス成形においては、製品の大量生産を可能にするために、高圧下において100〜150℃程度で数分から数十分程度の短時間で硬化させる。
しかし、プリプレグ積層体の表面に樹脂フィルムを積層して成形を行う場合、高圧下において、温度上昇により樹脂フィルムに含まれる熱硬化性樹脂組成物の粘度が低下することで、表面近傍の熱硬化性樹脂組成物が金型のエッジ部から過度に流出することがある。このように、表面の熱硬化性樹脂組成物が金型外へ過度に流出すると、得られる成形体の表面において、樹脂枯れにより繊維が露出したり、樹脂の過剰な流動に伴う繊維蛇行が生じたりする等の外観不良が発生する。この場合、成形体表面を塗装しても外観不良となる。
特開平10−128778号公報 特開2002−159613号公報 特開平10−95048号公報 国際公開第2004/48435号
本発明は、ハイサイクルプレス成形を採用した場合でも表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることが抑制され、かつ表面における繊維が透けて見えることが抑制された繊維強化プラスチック成形体を製造できる繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、表面における樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良の発生、及び繊維が透けて見えることが抑制された繊維強化プラスチック成形体、及び該繊維強化プラスチック成形体の製造に用いる積層体を提供することを目的とする。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法は、下記の積層工程及び成形工程を有する方法である。
積層工程:強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材を複数積層したプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に、下記熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムを積層して積層体を得る工程。
成形工程:金型により前記積層体を加熱加圧して繊維強化プラスチック成形体を得る工程。
熱可塑性樹脂粒子(c1):ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する粒子。
前記樹脂フィルムは、繊維目付が50g/m以下の強化繊維基材(D)を含有することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径は、0.1〜100μmであることが好ましい。
前記強化繊維基材(D)は、強化繊維からなる不織布であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂粒子(c1)のガラス転移温度は、前記成形工程の金型温度以上であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂粒子(c1)は、ポリエーテルスルホン粒子であることが好ましい。
前記熱硬化性樹脂組成物(C)は、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
前記熱硬化性樹脂組成物(B)は、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法は、前記成形工程に先立ち、前記積層工程で得た前記積層体を賦形してプリフォームを得る賦形工程をさらに有し、前記成形工程の前記積層体として該プリフォームを用いてもよい。
本発明の積層体は、強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材を複数積層したプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に、前記熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムがさらに積層された積層体である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、本発明の積層体が加熱加圧されて成形された繊維強化プラスチック成形体である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法によれば、ハイサイクルプレス成形を採用した場合でも表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることが抑制され、かつ表面における繊維が透けて見えることが抑制された繊維強化プラスチック成形体を製造できる。
本発明の積層体を用いれば、表面における樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良の発生、及び繊維が透けて見えることが抑制された繊維強化プラスチック成形体が得られる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、表面における樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良の発生、及び繊維が透けて見えることが抑制されている。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法に用いる積層体の一例を示した断面図である。 本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法における成形工程の一例を示した断面図である。 本発明の繊維強化プラスチック成形体の一例を示した断面図である。
[繊維強化プラスチック成形体の製造方法]
本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法は、下記の積層工程及び成形工程を有する。
積層工程:強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材を複数積層したプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に、熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムを積層して積層体を得る工程。
成形工程:金型により前記積層体を加熱加圧して繊維強化プラスチック成形体を得る工程。
(積層工程)
本発明では、強化繊維プラスチック成形体の材料として、強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材と、熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムとを用いる。
積層工程においては、プリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムを積層する。すなわち本発明では、プリプレグ積層体の片面(すなわち一方の最外層の表面)のみに樹脂フィルムを積層してもよく、プリプレグ積層体の両面(すなわち両方の最外層の表面)に樹脂フィルムを積層してもよい。
例えば、プリプレグ積層体の上面のみに樹脂フィルムを積層する場合、シート状のプリプレグ基材を複数枚積層してプリプレグ積層体とし、プリプレグ積層体の最外層の表面に樹脂フィルムをさらに積層して積層体とする。
複数のプリプレグ基材の積層操作、及びプリプレグ積層体と樹脂フィルムの積層操作は、成形工程で用いる金型の外で行ってもよく、金型内で行ってもよい。
<積層体>
本発明に用いる積層体は、プリプレグ基材が複数積層されたプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に樹脂フィルムが積層されている。例えば、図1に示すように、シート状のプリプレグ基材10が複数枚積層されたプリプレグ積層体12の上に、樹脂フィルム14がさらに積層されて積層体1とされる。
≪プリプレグ基材≫
本発明に用いるプリプレグ基材は、強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材である。
強化繊維基材(A)を構成する強化繊維としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維等を使用できる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、強化繊維プラスチック成形体の強度等の機械物性を考慮すると、炭素繊維が好ましい。
強化繊維基材(A)の強化繊維は、長繊維であってもよく、短繊維であってもよく、剛性に優れる点から、長繊維が好ましい。強化繊維基材の形態としては、多数の長繊維を一方向に揃えてUDシート(一方向シート)とする形態、長繊維を製織してクロス材(織物)とする形態、短繊維からなる不織布とする形態等が挙げられる。
クロス材の織り方としては、例えば、平織、綾織、朱子織、三軸織等が挙げられる。
強化繊維基材(A)の繊維目付は、50〜800g/mが好ましく、75〜300g/mがより好ましい。強化繊維基材(A)の繊維目付が下限値以上であれば、所望の厚みを有する成形体を得るために必要な積層枚数が多くならず好ましい。強化繊維基材(A)の繊維目付が上限値以下であれば、良好な含浸状態のプリプレグ基材を得やすいため好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(B)に用いる熱硬化性樹脂(b1)としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。補強繊維として炭素繊維を用いる場合は、炭素繊維との接着性の点から、エポキシ樹脂又はビニルエステル樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。
熱硬化性樹脂(b1)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物(B)には、熱硬化性樹脂(b1)に加えて、硬化剤が含有されていることが好ましい。例えば熱硬化性樹脂(b1)がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、ジシアンジアミド又はイミダゾール系硬化剤が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(B)には、さらに硬化助剤が含有されていることが好ましい。例えば熱硬化性樹脂(b1)がエポキシ樹脂の場合、硬化助剤としては、尿素化合物が好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物(B)には、無機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。
熱硬化性樹脂組成物(B)の30℃における粘度は、1.0×10〜1.0×10Pa・sが好ましく、5.0×10〜9.8×10Pa・sがより好ましく、1.0×10〜9.7×10Pa・sがさらに好ましい。熱硬化性樹脂組成物(B)の粘度が下限値以上であれば、プリプレグ基材の取り扱い性が優れたものとなり、プリプレグ基材の作製や積層、成形等の作業が容易になる。熱硬化性樹脂組成物(B)の粘度が上限値以下であれば、強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)を含浸させやすく、含浸時に過度に加熱する必要がなくなる。またプリプレグ基材のドレープ性が損なわれにくい。
熱硬化性樹脂組成物(B)を2℃/分で昇温させる昇温粘度測定における最低粘度は、1.0〜50Pa・sが好ましい。前記最低粘度が前記範囲内であれば、成形時における熱硬化性樹脂組成物(B)の流動量を適正な範囲に抑制しやすい。前記最低粘度が前記範囲の下限値以上であれば、成形時における熱硬化性樹脂組成物(B)の過度な流動が抑制されやすく、成形体表面に凹凸等の外観不良がより生じにくくなる。前記最低粘度が前記範囲の上限値以下であれば、熱硬化性樹脂組成物(B)の流動量が少なくなりすぎることが抑制されやすく、繊維強化プラスチック成形体の隅々まで熱硬化性樹脂組成物(B)が行き渡りやすい。
プリプレグ基材としては、例えば、強化繊維が二軸方向に織られた強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたクロスプリプレグ基材、強化繊維が一方向に引き揃えられた強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたプリプレグ基材(UDプリプレグ基材)等が挙げられる。また、強化繊維が一方向に引き揃えた強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたプリプレグ基材に切込みを入れ、プリプレグ基材中の強化繊維を短く分断したものを用いてもよい。
プリプレグ基材中の強化繊維の繊維長は、12.7mm以上が好ましく、25.4mm以上がより好ましい。強化繊維の繊維長が前記下限値以上であれば、繊維強化プラスチック成形体の機械特性が充分に高くなりやすい。
プリプレグ積層体の積層構成は、特に限定されない。例えば、UDプリプレグ基材を用いる場合、上下に隣り合うUDプリプレグ基材の強化繊維の繊維軸が直交するように各UDプリプレグ基材を積層した構成が挙げられる。プリプレグ積層体においては、同一種類のプリプレグ基材のみを積層してもよく、異なる種類のプリプレグ基材を積層してもよい。
プリプレグ基材の積層数は、特に限定されず、要求される特性等に応じて適宜決定できる。
≪樹脂フィルム≫
本発明に用いる樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムである。
熱可塑性樹脂粒子(c1)は、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する粒子である。
熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径が下限値以上であれば、成形時における熱硬化性樹脂組成物(C)の過度な流動が抑えられやすい。その結果、得られる繊維強化プラスチック成形体の表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることが抑制されやすくなる。熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径が上限値以下であれば、表面の平滑性に優れた強化繊維プラスチック成形体が得られやすい。
なお、熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径は、レーザー回折法で測定される体積基準での累積頻度50%の粒径(D50)を意味する。
熱可塑性樹脂粒子(c1)のガラス転移温度(Tg)は、成形工程の金型温度以上であることが好ましく、金型温度より20℃以上高いことがより好ましく、金型温度より40℃以上高いことがさらに好ましい。繊維強化プラスチック成形体を製造する際の一般の金型温度を考慮すると、熱可塑性樹脂粒子(c1)のTgは、140℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。熱可塑性樹脂粒子(c1)のTgが前記下限値以上であれば成形時における熱硬化性樹脂組成物(C)の過度な流動が抑えられる効果がより得られやすくなり、繊維強化プラスチック成形体の表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良がより生じにくくなる。
熱可塑性樹脂粒子(c1)としては、耐熱性の点から、ポリエーテルスルホン粒子が特に好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(C)に用いる熱硬化性樹脂(c2)としては、例えば、熱硬化性樹脂(b1)で挙げたものと同じものが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(C)に用いる熱硬化性樹脂(c2)としては、耐熱性と機械的強度の点から、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(C)には、熱硬化性樹脂(c2)に加えて、硬化剤が含有されていることが好ましい。例えば熱硬化性樹脂(c1)がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、イミダゾール系硬化剤が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(C)には、さらに硬化助剤が含有されていることが好ましい。例えば熱硬化性樹脂(c1)がエポキシ樹脂の場合、硬化助剤としては、尿素化合物が好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物(C)には、熱可塑性樹脂粒子(c1)を分散させるための分散剤、無機微粒子等の添加剤が含有されていてもよい。
熱硬化性樹脂組成物(C)中の熱可塑性樹脂粒子(c1)と熱硬化性樹脂(c2)の合計質量に対する熱可塑性樹脂粒子(c1)の質量の割合は、3〜50質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂粒子(c1)の割合が前記下限値以上であれば、成形時の熱硬化性樹脂組成物(C)の過度な流動を抑制して、成形体表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることを抑制する効果が得られやすい。熱可塑性樹脂粒子(c1)の割合が前記上限値以下であれば、タック性などの取り扱い性が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(C)の30℃における粘度は、1.0×10〜1.0×10Pa・sが好ましく、5.0×10〜9.8×10Pa・sがより好ましく、1.0×10〜9.7×10Pa・sがさらに好ましい。熱硬化性樹脂組成物(C)の粘度が下限値以上であれば、樹脂フィルムの取り扱い性が優れたものとなる。熱硬化性樹脂組成物(C)の粘度が上限値以下であれば、強化繊維基材(D)に熱硬化性樹脂組成物(C)を含浸させやすくなる。
熱硬化性樹脂組成物(C)を2℃/分で昇温させる昇温粘度測定における最低粘度は、1.0〜50Pa・sが好ましい。前記最低粘度が前記範囲内であれば、成形時における熱硬化性樹脂組成物(C)の流動量を適正な範囲に抑制しやすい。前記最低粘度が前記範囲の下限値以上であれば、成形時における熱硬化性樹脂組成物(C)の過度な流動が抑制されやすく、成形体表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良がより生じにくくなる。前記最低粘度が前記範囲の上限値以下であれば、熱硬化性樹脂組成物(C)の流動量が少なくなりすぎることが抑制されやすい。
樹脂フィルムには、繊維目付が50g/m以下の強化繊維基材(D)が含有されることが好ましい。これにより、繊維強化プラスチック成形体の表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることを抑制しつつ、機械的強度をより高めることができる。
強化繊維基材(D)を構成する強化繊維としては、特に限定されず、例えば、強化繊維基材(A)で挙げたものと同じものが挙げられる。
強化繊維基材は、長尺のものがロール状に巻き取られた状態とされ、その状態から引き出されつつ使用されることが多い。この場合、ロール状の状態から引き出される際にその張力によって強化繊維基材が幅方向に収縮しやすい。強化繊維基材(D)の強化繊維としては、ロール状の状態から引き出されて使用される場合でも基材が幅方向に収縮しにくく、また吸水性が低い強化繊維を用いることが好ましい。具体的には、強化繊維基材(D)の強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維が好ましい。
強化繊維基材(D)の強化繊維は、長繊維であってもよく、短繊維であってもよい。
強化繊維基材(D)の形態としては、多数の長繊維を一方向に揃えてUDシート(一方向シート)とする形態、長繊維を製織してクロス材(織物)とする形態、短繊維からなる不織布とする形態等が挙げられる。なかでも、表面の平滑性に優れた繊維強化プラスチックが得られやすい点から、強化繊維基材(D)としては強化繊維からなる不織布が好ましい。
強化繊維基材(D)の繊維目付は、強化繊維基材(D)が成形体表面で透けて見えることを抑制しやすい点から、プリプレグ基材に用いる強化繊維基材(A)の繊維目付よりも小さいことが好ましい。強化繊維基材(D)の繊維目付の上限値は、50g/mであり、30g/mが好ましい。
強化繊維基材(D)の繊維目付の下限値は、強化繊維基材(D)の製造が容易になる点から、1g/mが好ましい。
樹脂フィルムが強化繊維基材(D)を含有する場合、樹脂フィルム中の強化繊維の繊維長は、5〜50mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。強化繊維の繊維長が前記下限値以上であれば、繊維強化プラスチック成形体の機械特性が充分に高くなりやすい。強化繊維の繊維長が前記上限値以下であれば、積層体の成形性が向上する。
樹脂フィルムが強化繊維基材(D)を含有する場合、樹脂フィルムにおける繊維体積含有率(Vf)は、50体積%以上が好ましく、70体積%以上がより好ましい。Vfが下限値以上であれば、繊維強化プラスチック成形体の機械特性が充分に高くなりやすい。
なお、樹脂フィルムのVfは、プリプレグ基材のVfと同様の方法で測定される値を意味する。
樹脂フィルムが強化繊維基材(D)を含有する場合、樹脂フィルム中の樹脂含有量は、強化繊維基材(D)よりも多いことが好ましい。この場合、樹脂フィルム中の樹脂含有量は、50〜500g/mが好ましく、100〜300g/mがより好ましい。樹脂フィルム中の樹脂含有量が下限値以上であれば、強化繊維基材(D)が成形体表面に露出しにくく、表面の平滑性に優れた繊維強化プラスチック成形体が得られやすい。樹脂フィルム中の樹脂含有量が上限値以下であれば、樹脂フィルムの取り扱いが容易になる。
樹脂フィルムの厚さは、20〜400μmが好ましく、40〜300μmがより好ましい。樹脂フィルムの厚さが下限値以上であれば、成形体表面における繊維の遮蔽性に優れ好ましい。樹脂フィルムの厚さが上限値以下であれば、成形体の厚みが必要以上に厚くならないため好ましい。
プリプレグ積層体の1つの表面に積層する樹脂フィルムの数は、特に限定されず、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。
なお、本発明に用いる樹脂フィルムは、強化繊維基材(D)を含有しない樹脂フィルムであってもよい。
[成形工程]
積層工程で得た積層体を、金型により加熱加圧して繊維強化プラスチック成形体を得る。
金型を用いた積層体の成形方法としては、公知の成形方法を採用でき、例えば、オートクレーブ成形、オーブン成形、内圧成形、プレス成形等が挙げられる。
プレス成形は、他の成形方法に比べて、表層に樹脂フィルムから形成された樹脂層を有する繊維強化プラスチック成形体を得ることが容易であるものの、成形圧力が高く、金型外に樹脂が流出しやすい傾向がある。そのため、成形時の金型からの樹脂流出を抑制できる本発明は、成形工程でプレス成形を採用する場合により有効であり、ハイサイクルプレス成形を採用する場合に特に有効である。
例えば、図2に例示した金型100により積層体1をプレス成形する場合について説明する。金型100は、上面側に凸部112が設けられた下型110と、下面側に凹部122が設けられた上型120とを備える。上型120を下型110に近接させて金型100を閉じたときに、金型100内の凸部112と凹部122の間に目的の繊維強化プラスチック成形体の形状と相補的な形状のキャビティが形成されるようになっている。
図2(a)に示すように、加熱された金型100における下型110の凸部112上に、樹脂フィルム14が上になるように積層体1を配置する。
次いで、図2(b)に示すように、上型120を下型110に近接させて金型100を閉じ、積層体1を加熱加圧して成形する。金型100により加圧されながら加熱されることで、積層体1中の熱硬化性樹脂組成物(B)及び熱硬化性樹脂組成物(C)が流動しつつ硬化する。このとき、樹脂フィルム14に熱可塑性樹脂粒子(c1)が含有されていることで熱硬化性樹脂組成物(C)が過度に流動することが抑制されるため、金型100のエッジ部から熱硬化性樹脂組成物(C)が流出することが抑制される(つまり過度な流出を防ぐことができる)。
硬化後、図2(c)に示すように、金型100を開いて繊維強化プラスチック成形体2を取り出す。
成形条件は、前述の積層体を用いる以外は、公知の成形条件を採用することができる。
成形時の金型温度は、100〜180℃が好ましく、120〜160℃がより好ましい。
成形時の面圧は、1〜15MPaが好ましく、4〜10MPaがより好ましい。
成形時間は、1〜15分が好ましく、2〜5分がより好ましい。
[賦形工程]
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法においては、成形工程に先立ち、積層工程で得た積層体を賦形してプリフォームを得る賦形工程をさらに有していてもよい。すなわち、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法においては、積層工程、賦形工程及び成形工程をこの順に行う方法であってもよい。この場合は、積層工程で得た積層体を賦形工程において賦形してプリフォームを得た後、該プリフォームを成形工程で加熱加圧して成形することで繊維強化プラスチックを製造する。
積層体の賦形方法は、目的の繊維強化プラスチック成形体の形状を踏まえた中間的な形状に賦形できる方法であればよく、本発明の積層体を用いる以外は公知の方法を採用することができる。
以上説明した本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法においては、熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムをプリプレグ積層体の表面に積層した積層体を用いる。樹脂フィルム中に熱可塑性樹脂粒子(c1)が含有されていることで、成形時において金型内で熱硬化性樹脂組成物(C)が過度に流動することが抑制される。これにより、ハイサイクルプレス成形を採用した場合であっても、樹脂フィルムに含まれる熱硬化性樹脂組成物(C)が金型外に流出することが抑制される。そのため、得られる繊維強化プラスチック成形体の表面に樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良が生じることが抑制される。
また、本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法においては、プリプレグ積層体の表面に樹脂フィルムを積層して成形を行うため、得られる繊維強化プラスチック成形体の表面において繊維が透けて見えることも抑制される。
[繊維強化プラスチック成形体]
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、前述した積層体を加熱加圧して成形された繊維強化プラスチック成形体である。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、プリプレグ積層体から形成された複合材料部と、該複合材料部の表面において樹脂フィルムから形成された樹脂層と、を備える。前記複合材料部は、強化繊維基材(A)及び熱硬化性樹脂組成物(B)の硬化物を含有する。前記樹脂層は、熱硬化性樹脂組成物(C)の硬化物、及び必要に応じて用いられる強化繊維基材(D)を含有する。
本発明の繊維強化プラスチック成形体の形状及び大きさは、特に限定されず、用途に応じて適宜決定できる。
例えば、積層体1を金型100により成形して得た繊維強化プラスチック成形体2は、図3に示すように、プリプレグ積層体12から形成された複合材料部20と、複合材料部20の表面に形成され、樹脂フィルム14から形成された樹脂層22と、を備える。複合材料部20は、強化繊維基材(A)及び熱硬化性樹脂組成物(B)の硬化物を含有する。樹脂層22は、熱硬化性樹脂組成物(C)の硬化物、及び必要に応じて用いられる強化繊維基材(D)を含有する。
また、この例の繊維強化プラスチック成形体2は、平板部3の両方の端部から、樹脂層22と反対側に向かって側部4が垂直に延出した態様になっている。
本発明の繊維強化プラスチック成形体においては、成形時に樹脂フィルムに含まれる熱硬化性樹脂組成物(C)が過度に流動することが抑制されているため、表面における樹脂枯れや繊維蛇行等の外観不良の発生、及び繊維が透けて見えることが抑制されている。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[平均粒子径の測定]
熱可塑性樹脂粒子を空気中に分散させ、日機装株式会社製AEROTRAC SPR MDEL:7340を用いてレーザー回折法にて体積基準の粒度分布を測定し、該粒度分布における累積頻度50%の粒径(D50)を熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径とした。
[樹脂組成物の粘度測定]
樹脂組成物の粘度は、以下の測定条件で測定した。
装置:レオメーター(ティー・エイ・インスツルメント社製、「VAR−100」)、
使用プレート:25φパラレルプレート、
プレートギャップ:0.5mm、
測定周波数:10rad/秒、
昇温速度:2℃/分、
測定開始温度:30℃、
応力:300Pa。
[樹脂フロー率の測定及び評価]
各例における成形前の積層体の質量をM(g)とし、成形後にバリを除いた繊維強化プラスチック成形体の質量をM(g)として、下式を用いて樹脂フロー率(質量%)を算出した。
樹脂フロー率(%)=[(M−M)/M]×100
(評価基準)
樹脂フローの評価は以下の基準に従って行った。
○:樹脂フロー率が2%未満である。
×:樹脂フロー率が2%以上である。
[塗装外観(湿熱試験後)評価]
塗装外観評価は、以下のように行った。
成形体表面におよそ80μm厚みの塗装を行い、50℃、95%RHの条件下で240時間保持した後の塗膜表面を目視で評価した。
(評価基準)
塗装外観評価は以下の基準に従って行った。
○:繊維の透けが認められない。
×:繊維の透けが認められる。
[使用原料]
本実施例に使用した原料を以下に示す。
(熱硬化性樹脂(c2))
c2−1:エポキシ樹脂A(粘度(90℃):1.3Pa・s)。
c2−1:エポキシ樹脂B(粘度(30℃):5.0Pa・s)。
(熱可塑性樹脂粒子(c1))
c1−1:ポリエーテルスルホン粒子(製品名「Uldtrasone E2020SR micro」、BASF社製、平均粒子径(D50):22μm)。
(他の熱可塑性樹脂粒子(比較対象))
x−1:フェノキシ樹脂粒子(製品名「PKHP−80」、InChem社製、平均粒子径(D50):60μm)。
x−2:ポリアミド12粒子(製品名「Vestosint2158」、Evonik Industries AG社製、平均粒子径(D50):21μm)。
x−3:アクリル樹脂粒子(製品名「LP−3121」、三菱レイヨン社製、平均粒子径(D50):70μm)。
(熱可塑性樹脂(比較対象))
y−1:ポリエーテルスルホン(製品名「Uldtrasone E2020SR micro」、BASF社製、エポキシ樹脂に溶解させて使用)。
(硬化剤)
e−1:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)(製品名「DCMU−99」、保土ヶ谷化学社製)。
e−2:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(製品名「ノバキュアHX3722」、旭化成イーマテリアルズ社製)。
e−3:イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(製品名「キュアゾール2PHZ−PW」、四国化成社製)。
[実施例1]
熱硬化性樹脂(c2−1)95質量部と熱硬化性樹脂(c2−2)12.5質量部とを溶解釜に投入し、80℃に加熱して混合した後に60℃程度まで冷却した。さらに熱可塑性樹脂粒子(c1−1)5質量部と、硬化剤(e−1)5質量部と、硬化剤(e−2)10質量部と、硬化剤(e−3)5質量部とを加え、60℃で撹拌混合して熱硬化性樹脂組成物(C−1)を得た。
次いで、ヒラノテクシード製マルチコーター M−500型を用いて、離型紙上に熱硬化性樹脂組成物(C−1)を塗布し、樹脂含有量が150g/mのシートを得た。
次いで、離型紙から剥離した前記シートをガラス繊維不織布(10g/m、H&V社製)に含浸させて、樹脂フィルムを得た。
パイロフィルプリプレグ(製品名「TR366E250S」、三菱レイヨン社製)を、強化繊維の繊維軸方向が揃うように5枚積層したプリプレグ積層体の上面に、前記樹脂フィルムを配置して積層体とした。図1に例示した金型100により、面圧8MPa、金型温度140℃、成形時間5分の条件で前記積層体をプレス成形し、繊維強化プラスチック成形体(成形板)を得た。
[実施例2〜5]
各成分の組成及び樹脂含有量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物(C−2)〜(C−5)を調製し、樹脂フィルムを作製した。該樹脂フィルムを用いて、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
[比較例1]
熱可塑性樹脂粒子(c1−1)を用いなかった以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物(X−1)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを用いて実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
[比較例2]
熱硬化性樹脂(c2−1)95質量部と、熱硬化性樹脂(c2−2)12.5質量部と、熱可塑性樹脂(y−1)7.7質量部とを溶解釜に投入し、80℃に加熱して混合した後に60℃程度まで冷却した。さらに硬化剤(e−1)5質量部と、硬化剤(e−2)10質量部と、硬化剤(e−3)5質量部とを加え、60℃で撹拌混合して熱硬化性樹脂組成物(X−2)を得た。熱硬化性樹脂組成物(X−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを用いて実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
[比較例3〜5]
表1に示すように、熱可塑性樹脂粒子(c1−1)の代わりに他の熱可塑性樹脂粒子(x−1)〜(x−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物(X−3)〜(X−5)を調製した。熱硬化性樹脂組成物(X−3)〜(X−5)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを用いて実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体を得た。
各例における熱硬化性樹脂組成物(C−1)〜(C−5)、(X−1)〜(X−5)の30℃における粘度と、最低粘度を測定した結果を表1に示す。また、各例における樹脂フロー率の測定結果及び評価結果、並びに塗装外観の評価結果を表1に示す。
なお、表1における最低粘度の温度の欄は、最低粘度が測定されたときの樹脂組成物の温度を意味する。
Figure 2016210114
表1に示すように、熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C−1)〜(C−5)で形成された樹脂フィルムを用いた実施例1〜5では、成形時の熱硬化性樹脂組成物(C−1)〜(C−5)の過度な流動が抑制されており、塗装外観も優れていた。
樹脂フィルムに熱可塑性樹脂粒子(c1)を用いない比較例1、熱可塑性樹脂粒子(c1)の代わりに粒子状でない熱可塑性樹脂(y−1)を用いた比較例2、及び熱可塑性樹脂粒子(c1)の代わりに他の熱可塑性樹脂粒子(x−1)を用いた比較例3では、熱硬化性樹脂組成物の過度な流動が充分に抑制されず、塗装外観が劣っていた。
熱可塑性樹脂粒子(c1)の代わりに熱可塑性樹脂粒子(x−2)、(x−3)を用いた比較例4、5では、塗装外観が劣っていた。
1 積層体
2 繊維強化プラスチック成形体
3 平板部
4 側部
10 プリプレグ基材
12 プリプレグ積層体
14 樹脂フィルム
20 複合材料部
22 樹脂層
100 金型
110 下型
112 凸部
120 上型
122 凹部

Claims (11)

  1. 下記の積層工程及び成形工程を有する繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
    積層工程:強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材を複数積層したプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に、下記熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムを積層して積層体を得る工程。
    成形工程:金型により前記積層体を加熱加圧して繊維強化プラスチック成形体を得る工程。
    熱可塑性樹脂粒子(c1):ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する粒子。
  2. 前記樹脂フィルムが、繊維目付が50g/m以下の強化繊維基材(D)を含有する、請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂粒子(c1)の平均粒子径が0.1〜100μmである、請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  4. 前記強化繊維基材(D)が、強化繊維からなる不織布である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂粒子(c1)のガラス転移温度が前記成形工程の金型温度以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂粒子(c1)がポリエーテルスルホン粒子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  7. 前記熱硬化性樹脂組成物(C)がエポキシ樹脂を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  8. 前記熱硬化性樹脂組成物(B)がエポキシ樹脂を含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  9. 前記成形工程に先立ち、前記積層工程で得た前記積層体を賦形してプリフォームを得る賦形工程をさらに有し、
    前記成形工程の前記積層体として該プリフォームを用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  10. 強化繊維基材(A)に熱硬化性樹脂組成物(B)が含浸されたシート状のプリプレグ基材を複数積層したプリプレグ積層体の少なくとも一方の表面に、下記熱可塑性樹脂粒子(c1)を含有する熱硬化性樹脂組成物(C)で形成された樹脂フィルムがさらに積層された積層体。
    熱可塑性樹脂粒子(c1):ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド及びポリエーテルイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含有する粒子。
  11. 請求項10に記載の積層体が加熱加圧されて成形された繊維強化プラスチック成形体。
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