JP2005101555A - 有機電界効果トランジスタ - Google Patents

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晋司 荒牧
Ryuichi Yoshiyama
龍一 芳山
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Abstract

【課題】 高特性を容易な作製プロセスで得ることができる有機デバイスを提供する。
【解決手段】 基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層を有する有機電界効果トランジスタにおいて、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを含み、活性な基の含有量が絶縁層中に4×10-4モル/cm3
以下である絶縁層を有し、かつ有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に積層された全ての層の電気抵抗が有機半導体層よりも小さいことを特徴とする電界効果トランジスタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界効果トランジスタに関する。
有機電界効果トランジスタの動作特性は、用いられる半導体のキャリア移動度μ、電導度σ、絶縁層の静電容量Ci、素子の構成(ソース・ドレイン電極間距離L及び幅W、絶縁層の膜厚d等)により決まるが、この中で、半導体材料の特性としては、高い移動度(μ)を有するものが良好な特性を示すことになる。
又、有機電界効果トランジスタの有機半導体は、そのほとんどが無機半導体より低温プロセスで製造できるため、プラスチック基板やフィルムを用いることができ、軽量で壊れにくい素子を作製することができる。また、溶液の塗布や印刷法を用いた素子作製が可能なものもあり、大面積の素子を低コストで製造することが可能である。さらに、材料のバリエーションが豊富であり、分子構造を変化させることにより容易に材料特性を根本的に変化させることが可能であるため、異なる機能を組み合わせることで、無機半導体では不可能な機能、素子を実現することも可能である。
しかしながら、有機半導体は、Si等の無機半導体に比較して、移動度の低いこと、オンオフ比が大きくなりにくいこと、ヒステリシス特性が大きいこと、安定性がよくないこと等の欠点がある。特に溶液プロセスで作製される半導体は移動度が高くなりにくい傾向がある。移動度が大きいことは、トランジスタの駆動できる電流を小さな素子で大きくでき、高い応答性を実現できるメリットがある。また、ヒステリシス特性は、トランジスタやそれを組み合わせた回路特性が不安定になる等、小さくする必要があり種々の改良が検討されている。
例えば、特許文献1及び2には有機半導体上にSiOx,SiNx等の材料により形成された保護膜を有する有機電界効果トランジスタが記載されており、保護膜にSiOx,S
iNxを用いることで半導体特性である移動度が向上することが開示されている。しかし ながら、SiOx,SiNxといった材料を積層する場合には、スパッタ法やCVD等の真空プロセスが必要で溶液プロセスに比べてコストが高くなる、
又、特許文献3には有機半導体上に、溶液プロセスによって形成されたポリイミド膜を有する有機電界効果トランジスタが記載されているが、本発明者によればポリイミド膜中の活性基の影響で、半導体特性である移動度、オンオフ比の低下が見られた。
特開2001−94107号公報 米国公開特許2002/0155729公報 特開平9−83040号公報
上述したように有機トランジスタは溶液プロセスで製造可能という、無機半導体に無い有効な特徴を有している。この特徴を生かすためには、有機半導体だけでなく、他の層も溶液プロセスに対応する材料が求められるが、保護層については溶液プロセスに対応でき、かつ半導体特性を満足させることのできる材料が見出されていない。
以上の事に鑑み、種々検討を行った結果、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に特定材料を用いた有機絶縁層(以下、絶縁層Aと称する。)を設けることにより、電界効果トランジスタの特性、特に移動度を改良できることを見出し、本発明に到った。
即ち、本発明の要旨は、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層を有する有機電界効果トランジスタにおいて、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを含み、活性な基の含有量が絶縁層中に4×10-4モル/cm3以下である絶縁層を有し、かつ有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に積層
された全ての層の電気抵抗が有機半導体層よりも小さいことを特徴とする電界効果トランジスタに存する。
本発明によれば、高特性の有機デバイスを容易なプロセスで作製することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する
本発明の電界効果トランジスタ(FET)は、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体層及び絶縁層Aを有するもので、絶縁層Aは有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側にある。具体的な素子の層構成を、図1に示すが、好ましくは有機半導体層の基板とは異なる側に絶縁層Aを有する素子である。 該絶縁層Aは、有機半導体層を薄膜で覆う等の
表面処理した後に積層する等、有機半導体層との間に別の層が存在しても良く、有機半導体層に接していなくても特に問題はないが、好ましくは接しているものである。
(絶縁層A)
本発明における絶縁層Aは、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを含むものである。
絶縁層Aに用いられる芳香環含有ポリマーとは、芳香環基をそのポリマーの主鎖及び/又は側鎖等の構造中に含むものであれは特に限定はない。該芳香環基を形成する芳香環骨格としては芳香族性を示すものであれば特に限定はないが、具体的には、ベンゼン環;ペンタレン、インデン、ナフタレン、アズレン、ヘプタレン、ビフェニレン、インダセン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセフェナンスリレン、アセアンスリレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセン、ベンゾ[a]アントラセン、プレイアデン、ペリレン、ピセン、ベンゾ[a]ピレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピランスレン、オバレン等の縮合多環式炭化水素系の芳香環;チオフェン、ベンゾチオフェン、ナフトチオフェン、チイン、チアントレン等の硫黄原子含有複素芳香環;フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ピラン、ベンゾピラン、キサンテン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、イソクロマン、クロマン等の酸素原子含有複素芳香環;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トシアジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、ピュリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フェナジン、フェナルサジン、テリジン等の窒素原子含有複素芳香環;イソチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジン、フェノチアジン等の硫黄窒素原子含有複素芳香環;イソオキサゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、フラザン、オキサジン、フェノキサジン等の酸素窒素原子含有複素芳香環;シラベンゼン、シラシクロペンタジエン等のケイ素原子含有複素芳香環等の複素芳香環等が挙げられる。
上記芳香環は置換基を有していても良いが、アミノ基に代表されるような電子供与性基や、化学的に活性な酸や塩基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、酸クロライドのようなハロゲン化アシル基、イソシアノ基等結合していないものが好ましい。該芳香環の置換基として好ましくは、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシ
ル基、アシルオキシ基、フッ素や塩素等のハロゲン原子が挙げられる。
又、上記芳香環基としては、ビフェニル、ターフェニル、ビナフタレン、ビスアントラセン等のように同じ又は異なる芳香環が複数連結した骨格であっても良い。
このうち、芳香環基として好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、アセナフチレン、ピレン、テトラセン、ビフェニル、ターフェニル等のベンゼン環が4個以下の炭化水素系の芳香環;又は、ピリジン、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール等のsp3型の窒素原子を含まない複素芳香環を骨格として有する基である。
本発明における芳香環含有ポリマーにおいて、主鎖に芳香環を含有するポリマーとしては、前記芳香環基と連結基とが結合して形成される下記一般式(1)で表される基が、主鎖の一部に含まれているものであれば、特に限定されないが、芳香環基と連結基とが結合して形成される基を単位として、ポリマー中に通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含まれるものである。
Figure 2005101555
(式中、Aは前記芳香環基を示し、X及びX'は、それぞれ独立して、2価以上の有機基
を示し、n=0又は1である。)
上記、X及びX'はそれぞれ独立して2価以上の有機基であれば特に限定されないが、
好ましくは2〜4価、より好ましくは2価の基である。具体的には酸素原子;硫黄原子;カルボニル基;カルボニルオキシ基;オキシカルボニル基;カルボニルジオキシ基;カルバモイル基;スルフィニル基;スルホニル基;−SO3基;スルファモイル基;イミノ基
;アゾ基;置換されていても良いアルキレン基;置換されていても良いアルケニレン基;置換されていても良いアルキニレン基;が挙げられる。このうち、置換されていても良いアルキレン基;置換されていても良いアルケニレン基;置換されていても良いアルキニレン基としては、炭化水素、ハロゲン等で置換されているものが挙げられる。又、炭素数は18以下、好ましくは12以下のものが挙げられる。
上記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ジメチルメチレン基、n−ブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−へプチレン等の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられる。
上記アルケニレン基としては、ビニリデン基、プロペニレン基、ヘキセニレン基等の直鎖又は分岐のアルケニレン基が挙げられる。
上記アルキニレン基としては、エチニリレン基、プロピニレン基、ブチニレン基等の直鎖又は分岐のアルケニレン基が挙げられる。
X及びX'として好ましいのは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキ
シ基、オキシカルボニル基、カルボニルジオキシ基、スルフィニル基、スルホニル基、置換されていても良いアルキレン基、置換されていても良いアルケニレン基である。さらに好ましくは、酸素原子、硫黄原子、カルボン酸メチレン基、オキシカルボニル基、カルボニルジオキシ基、スルホニル基、メチレン基、又はジメチルメチレン基である。
上記Rとしては、置換されていても良いアルキレン基、置換されていても良いアルケニ
レン基、置換されていても良いアルキニレン基である。Rの置換基としては、ハロゲン原子又は炭化水素基、等が挙げられる。
芳香環基と連結基とが結合して形成される基は、一種でも二種以上異なるものを含んでいても良い。
上記主鎖に芳香環を含有するポリマーのうち好ましいのは、ポリカーボネート類、エポキシ系樹脂、ポリアリレート類、ポルスルホン類、芳香族ポリエステル類、フェノール系樹脂等が挙げられ、さらに好ましくはポリカーボネート類、ポリスルホン類、又はポリアリレート類である。ポリカーボネート類しては、例えば、APEC(Bayer社製)又は、原料モノマーとしてのフェノール化合物としてビスフェノールAやビスフェノールZを用いているもの等が挙げられる。ポルスルホン類としては、ユーテル(テイジン製)、ウルトラゾーン−S(BASF製)等、ポリアリレート類としては、例えばUポリマー(ユニチカ製)やアリロン(デュポン製)等が挙げられる。
側鎖に芳香環を含有するポリマーとしては、そのポリマーの主鎖を構成する構成単位の一部の側鎖に、前記芳香環基を含有していれば良いが、芳香環を含有する構成単位が、ポリマー中に通常10モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含まれるものである。
主鎖を構成するポリマーの種類としては、具体的にはビニル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン等が挙げられ、好ましくはビニル系ポリマーである。
側鎖に芳香環を含有するポリマーにおいて、主鎖と芳香環は直接結合していても良いし、連結基を介して結合していても良い。又、主鎖と芳香環基との間で、複数箇所で結合していても良い。
連結基としては、前記主鎖に芳香環を含有するポリマーの説明でX及びX'としてで挙
げられた基と同様の基が用いられ、好ましくは酸素原子;硫黄原子;カルボニル基;カルボニルオキシ基;オキシカルボニル基;カルボニルジオキシ基;置換されていても良いアルキレン基;置換されていても良いアルケニレン基;である。さらに好ましくは、酸素原子;硫黄原子;カルボニルオキシ基;カルボン酸メチレン基;オキシカルボニル基;カルボニルジオキシ基;メチレン基;ジメチルメチレン基である。
側鎖に芳香環を含有するポリマーとして好ましいものは、ポリマーの構成単位としてスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルビフェニル、ビニルターフェニル、ビニルピレン、ビニルテトラセン、アセナフチレン、フェニル(メタ)アクリレート又はベンジル(メタ)アクリレートを含むものである。さらに好ましくはこれらのホモポリマーである。
又、主鎖及び側鎖に芳香環を含有する場合には、主鎖としては、前記主鎖に芳香環を有するポリマーの主鎖で挙げたものであれば良く、側鎖は前記側鎖に芳香族環を含有するポリマーの側鎖で挙げられたものであればよい。又、好ましくは芳香環を含有する構成単位が、ポリマー中に通常10モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含まれるものである。
上述の芳香環含有ポリマーは、上記主鎖及び/又は側鎖に芳香環を含有するポリマーを架橋することにより、網目状高分子としたものを用いても良い。
本発明において、芳香族環含有ポリマーは、オリゴマー状態のものであっても良く、そ
の数平均分子量は200以上であることが好ましい。より好ましくは300以上である。又300万以下であることが好ましい。
芳香環含有ポリマーは、異なる2種以上芳香環含有ポリマーをブレンドしたり、別種のポリマーとブレンドして絶縁層Aに用いても良い。芳香環含有ポリマーを別種のポリマーとブレンドする場合には、該芳香環含有ポリマーの量は、全体のポリマーに対して10%以上、90%以下が好ましい。
本発明における絶縁層Aに用いられる芳香族化合物とは、芳香環を含有する低分子化合物であれば特に限定はないが、具体的には前記芳香環含有ポリマーの説明の項で挙げた芳香環基を含有する低分子化合物である。
芳香族化合物は、同じ又は異なる2種以上の芳香環基を単結合又は連結基を介して結合していても良い。連結基としては、前記芳香族含有ポリマーの説明の項で挙げたX、X'
で挙げられたものであればよい。
芳香族化合物として好ましいのは、前記主鎖に芳香族環を含有するポリマーの説明の項で挙げた芳香環基と連結基が結合して形成される化合物、前記芳香環含有ポリマーの好ましい例示で挙げられたモノマー単位化合物である。
又、芳香族化合物は、導電性又は半導体性を有するものであっても構わない。この場合は、バインダーポリマーと混合して絶縁層Aを形成することができる。導電性、半導体性の芳香族化合物としては、芳香環が1個〜20個結合したもの;テトラフェニルベンジジン誘導体等のアリールアミン系化合物に代表される正孔輸送材料;オキサゾール、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、シロール誘導体、トリフェニルルボラン誘導体に代表される電子輸送材料;ルブレン、クマリン、テトラフィニルブタジエンに代表される蛍光性色素材料;アルミニウムトリスキノリノールに代表される発光材料等が挙げられ、具体的には、NPD(N,N'−Diphenyl−N,N'−bis(1−naphthalyl)benzidine)、POPOP(1,4−Bis(5−phenyl−2−oxazolyl)benzene)、Alq3(8−hydroxyquinoline aluminium)、PBD(biphenyl−p−(t−butyl)phenyl−1,3,4−oxadiazole)、BCP(bathocuproin)等が挙げられる。好ましくは、電子輸送材料のPOPOP、PBD、BCP等が挙げられる。
芳香族化合物含む絶縁層Aの製造法としては、芳香族化合物の溶液又は分散液を、そのまま塗布する又は絶縁層Aを形成するバインダーポリマーと混合して塗布する方法が挙げられる。バインダーポリマーを用いる場合、該芳香環化合物の絶縁層Aに対する含有率は、特に限定はないが好ましくは70%以下、さらに好ましくは50%以下、特に好ましくは20%以下である。又、0.1%以上が好ましく、さらに好ましくは1%以上である。バインダーポリマーは、特に制限はないが、具体的にはビニル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリシラン等が挙げられる。
絶縁層Aに含まれる芳香環部分の割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上が好ましい。製膜性や塗布性の面から、芳香環部分は通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下が望ましい。
本発明の絶縁層Aは、活性な基の含有量が絶縁層中に4×10-4モル/cm3以下であ
ることを特徴とする。活性な基とは化学的に活性な基のことで、カルボキシル基、スルホン酸基等の水溶液中での解離定数pKaが5以下のもの、水やアルコールと容易に反応して変化する置換基とは、酸クロライドの様なハロゲン化アシル基、イソシアノ基等の室温で水あるいはアルコールと接触させて、10分で10%以上が変化するものである。
活性な基の含有量は、絶縁層中に4×10-4モル/cm3以下である。好ましくは、3
×10-4モル/cm3以下であり、1×10-4モル/cm3以下がより好ましい。 このような活性な置換基は、半導体と接触して化学反応を引き起こしたり、半導体へのドーパントとして作用してキャリア密度を変化させたり、、酸や塩基から発生する水素イオン等のイオン成分が電気伝導性を示したりして、半導体の特性を劣化させる原因となるからである。
絶縁層中の活性な基は、滴定、IR,NMR等の公知の方法により測定することができる。
絶縁層Aはどの様な方法で形成しても良いが、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを含む溶液あるいは融解液を塗布する方法が簡便な方法として挙げられる。溶媒としては、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを溶解すれば特に限定はないが、絶縁層Aの下層を侵さない溶媒を適宜選択することが出来る。有機半導体の溶解性に関わらず用いられる方法としては、蒸着やスパッタやCVD等のドライプロセスによる製膜法が用いられる。また、シクロファン化合物から誘導されるパリレンに代表されるように、ドライプロセスで前駆体膜を形成して基板上で所望の膜に変換することも可能である。又、溶媒に不溶あるいは難溶の高分子膜を形成するのに、溶媒に可溶な前駆体を塗布した後で加
熱処理や光照射等により所望の構造に変換する方法も可能であるが、その変換の際に寸
法変化が大きいのは、それを半導体膜の上に形成する際には半導体膜に影響を及ぼす為好ましくない。寸法変化は10%以下、好ましくは5%以下が望ましい。絶縁層Aの好ましい形成方法は、塗布法である。
塗布法はコストメリットだけではなく、効果の点でも優れている。つまり、電界効果トランジスタの特性を決めるのは、半導体層の中でも、電荷輸送を担う蓄積層の形成される絶縁膜との界面近傍である。従って、絶縁膜との界面近傍まで絶縁層Aの構成材料が到達することが望ましく、その為には蒸着等の真空プロセスではなく、溶液プロセスで製膜するのが好ましい。真空プロセスでは、陰になった部分に回りこんで作用させるのが難しいからである。
絶縁層Aの膜厚は、1nm以上が好ましく、さらに好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上である。又、1mm以下が好ましく、さらに好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下である。特に、絶縁層Aが有機半導体層に接して積層される場合には、絶縁層Aが有機半導体層と接触することにより有機半導体の移動度を改良するので、膜厚依存性は小さいと考えられる。しかしながら、十分に有機半導体層と接触しないほどの薄膜では効果が少なく、あまりに厚い膜では製膜に手間がかかり、機械的に破壊しやすくなる。
絶縁層Aの形成により、絶縁層Aの無いものと比較して、移動度の向上、オンオフ比の改良、ヒステリシス特性の改良、閾値電圧(Vt)のシフトの緩和、耐久性の向上、外気での特性の振れの改良、の少なくとも1つが改良する。その中でも、半導体の特性で最も重要な移動度の向上は、非常に有用である。
絶縁層Aが、どのように有機半導体層に作用して特性を改良するかのメカニズムは不明であるが、有機半導体の電荷輸送メカニズムから考えて、以下のような事が考えられる。多結晶材料の有機半導体の移動度は、結晶粒子間の接触が移動度を決めるといわれている。本発明においては、絶縁層Aに含まれる芳香族化合物及び/又は芳香族環含有ポリマーが、結晶粒子間の欠陥、トラップ、障壁等の電荷輸送を妨げる部位をつぶしているものと推測される。
又、絶縁層Aは、それ自体の電気伝導度が半導体層よりも十分に低い必要があり、通常10-8S/cm以下、好ましくは10-10S/cm以下である。又、移動度は10-6cm2
/Vs以下 であることが望ましい。電気伝導度や移動度が高すぎると、電流は半導体層
中でなく絶縁層Aを流れる為に、半導体の特性が発現しない。
又、絶縁層Aは、それ自体の電気抵抗が半導体層よりも高い必要があり、体積抵抗率では通常108Ωcm以上、好ましくは1010Ωcm以上である。。電気抵抗が低すぎると
、電流は半導体層中でなく絶縁層Aを流れる為に、半導体の特性が発現しない。
本発明においては、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に積層された絶縁層Aを含む全ての層の電気抵抗が有機半導体層よりも小さいことを特徴とする。 絶縁層Aの上にさらに別の層が積層され、かつ絶縁層Aの膜厚が薄く電気を通す際にはその上の層の電気伝
導度が特性に影響するからである。具体的な測定方法は、まず、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に積層された、絶縁層Aを含む全ての層(全オーバーコート層と呼ぶ)を
、電界効果トランジスタを構成するソースとドレイン電極間に形成し、ソースとドレイン電極間の抵抗値を測定する。このとき有機半導体層は積層しない。次に有機半導体層をソースとドレイン電極間に形成し、ソースとドレイン電極間の抵抗値を測定する。この際の全オーバーコート層の電気抵抗値が、有機半導体層の電気抵抗値より大きい事が必要である。好ましくは10倍、さらに好ましくは100倍以上大きいのが望ましい。大きくないと全オーバーコート層を流れる電流がそのトランジスタ特性を阻害し、有機半導体層中に流れる電流が制御されトランジスタ特性を発現することができない。
電気抵抗値は、ソースとドレイン電極間の形状で変化するため、正方形の形状での抵抗値即ち表面抵抗(単位はΩ/□)で表わす。例えば、ソースドレイン電極間隔が10μm、幅が500μmの間で測定した抵抗が1kΩであったとすると、表面抵抗は500/10倍して50kΩ/□となる。
通常の有機半導体層の電気抵抗値は、ドーピングの有無や膜厚等により変わるが、ゲート電圧が0Vの時に電流が流れにくい(オフ状態)ノーマリーオフの素子の場合には、抵
抗値は108Ω/□以上、好ましくは109Ω/□以上、さらに好ましくは1010Ω/□以上である。ゲート電圧が0Vの時に電流が流れやすいノーマリーオンの素子の場合には、
抵抗値は1010Ω/□以下、好ましくは109Ω/□以下、さらに好ましくは108Ω/□以下である。
全オーバーコート層の抵抗値は半導体層の抵抗値よりも大きい必要があるが、通常1010Ω/□以上、好ましくは1011Ω/□以上、さらに好ましくは1013Ω/□以上である。
(保護膜)
本発明における電界効果トランジスタには、必要であれば絶縁層Aに加えて、別のさらに別の保護膜を用いることもできる。
保護層の材料は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜や、酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等、無機酸化膜や窒化膜等の誘電体からなる膜が好ましく挙げられる。特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が望ましい。例えばポリマーフィルムにアルミ等の金属や酸化ケイ素、窒化珪素、SiON等の気体透過性の小さな金属や無機酸化膜を有するポリマーの膜等を好適に用いることができる。
(有機半導体層)
本発明の電界効果トランジスタには、有機半導体層が用いられる。有機半導体としては、有機物を主成分とする半導体であれば何でも良い。具体的には、ナフタセン、ペンタセン、ピレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素、α−セキシチオフェン等のオリゴマー類、フタロシアニンやポルフィリン等の大環状化合物、α−セキシチオフェン、ジアルキルセキシチオフェン、に代表される、チオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類、あるいは、チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、
チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環を合計4個以上連結したもの、アントラジチオフェン、ジベンゾチエノビスチオフェン、α、α'−ビス(ジチエノ[3,
2−b':2'、3'−d]チオフェン)等の縮合チオフェン及びその誘導体、ナフタレン
テトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボンサンジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボンサンジイミド等の、芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物、銅フタロシアニン、パーフルオロ銅フタロシアニン、テトラベンゾポルフィリン及びその金属塩等の大環状化合物、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、特に、レジオレギュラーポリチオフェンのような自己組織化を示すものや、ポリフルオレンやその共重合体に代表される液晶性を示す高分子等が挙げられる。また、有機半導体材料が単独で用いることはもちろんであるが、他の材料との混合で用いることもできるし、さらには他の層との積層構造で用いることも出来る。有機半導体として好ましいのは、ポルフィリンやフタロシアニンのようなアザアヌレン化合物である。さらに好ましくは、ポルフィリン系化合物又はフタロシアニン系化合物である。ポルフィリン系化合物としては、特にベンゾポルフィリンが好ましい。フタロシアニン系化合物としては銅フタロシアニン、F16CuPC等のハロゲン化フタロシアニンが挙げられる。
有機半導体は、種々の方法で製膜することができる。例えば、ある程度の溶解性を有する材料に関しては、塗布による製膜が可能である。塗布の方法としては、溶液をたらすだけのキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を用いることができる。さらに、塗布に類似の技術として、水面上に形成した単分子膜を基板に移し積層するラングミュア・ブロジェット法、液晶や融液状態を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入する方法等も挙げられる。
又、溶解性の高い前駆体を上記塗布法により製膜し、それを加熱処理等により半導体膜に変換することもできる。このような例としては、テトラベンゾポルフィリン及びペンタセンがこれまでに報告されている。
又、真空プロセスでも有機半導体層を形成することが出来る。この場合には、有機半導体化合物をルツボや金属のボートに入れて真空中で加熱し、基板に付着させる真空蒸着法を用いることが出来る。この際、真空度としては、1×10-3Torr以下、好ましくは1×10-5Torr以下である。また、基板温度でトランジスタの特性が変化するので、最適な基板温度を選択する必要があるが、0℃から200℃の範囲が好ましい。また、蒸着速度は通常0.01Å/秒以上100Å/秒以下、好ましくは0.1Å/秒以上10Å/秒以下が用いられる。材料を蒸発させる方法としては、加熱の他、加速したアルゴン等のイオンを衝突させるスパッタ法も用いることが出来る。
有機半導体層の膜厚は、薄すぎると電流の流れる部分が制限され、特性が不充分になってしまい、厚過ぎると製膜に必要な材料が多くなったり製膜時間が長くなったりしてコストアップにつながり、かつオフ電流が流れやすくなりオンオフ比を大きく取れなくなる。従って、好ましい半導体膜の膜厚は、5nmから10μm、さらに好ましくは、10nmから1μm、さらに好ましくは30nmから500nmである。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜材料は絶縁性を有する材料ならば特に限定されないが、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマ
ー及びこれらを組み合わせた共重合体、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、SrTiO3、BaTiO3等の強誘電性酸化物、窒化珪素等の窒化物、硫化物、フッ化物などの誘電体、あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー、等が挙げられる。
ゲート絶縁膜の膜厚は、必要な機能を果たせる範囲で、薄いほど好ましい。通常、膜厚は1nm以上であり、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。但し、通常、膜厚は10μm以下であり、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは500nm以下である。
(ゲート電極)
ゲート電極としては、導電性材料なら特に限定はないが、具体的には、金、アルミニウ
ム、銅、クロム、ニッケル、コバルト、チタン、白金、等の金属、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、等の導電性高分子及びそのドーピングされた材料、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、等の半導体及びそのドーピングされた材料、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料、を用いることができる。これらを形成する方法も、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等を用いることができる。また、そのパターニング方法も、フォトレジストのパターニングとエッチング液や反応性のプラズマでのエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法及びこれらの手法の複数の組み合わせた手法を利用することができる。また、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して材料を除去したり材料の導電性を変化させる事により、直接パターンを作製することも利用できる。
又、電界効果トランジスタは、ソース電極とドレイン電極で挟まれるチャネル部分の電流をゲート電極により制御して、スイッチングあるいは増幅の動作をする。このチャネル部分の長さ(ソース電極とドレイン電極のギャップ間隔)は、一般に狭いほどトランジスタとしての特性が上がるが、狭すぎると、オフ電流が増加したりオンオフ比が小さくなる、いわゆるショートチャンネル効果が見られるようになり好ましくない。また、チャネルの幅(ソース電極とドレイン電極の幅)が大きくなると大きな電流を流せるようになり、好ましいが、大きすぎると素子の面積が大きくなり集積化の面で問題になる。ソースとドレイン電極を櫛型電極にすることにより、長いチャネル長を得る事ができる。従って、チャネル長は、通常100nmから300μm、好ましくは500nmから100μm、さらに好ましくは1μmから50μmが望ましい。また、チャネルの幅は、500nmから20mm、好ましくは5μmから5mm、さらに好ましくは、10μmから1mmである。
(電界効果トランジスタ)
本発明の電界効果トランジスタの移動度は、10-3cm2/Vs以上、好ましくは10-2cm2/Vs以上が実用上望ましく用いることができる。
オンオフ比は、アプリケーションに依存するが、一般的には102以上、好ましくは1
3以上、さらに好ましくは104以上が望ましい。
本発明の電解効果トランジスタは、ディスプレーのアクティブマトリクスのスイッチング素子として利用することが出来る。これは、ゲートに印加される電圧でソースとドレイン間の電流をスイッチング出来ることを利用して、ある表示素子に電圧を印加あるいは電流を供給する時のみスイッチを入れ、その他の時間は回路を切断する事により、高速、高コントラストな表示を行うものである。適用される表示素子としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
特に、本発明の有機デバイスは、低温プロセスでの素子作製が可能であり、プラスチック基板、プラスチックフィルムや紙等の、高温処理に耐えない基板を用いることができる。また、塗布あるいは印刷プロセスでの素子作製が可能であることから、大面積のディスプレーへの応用に適している。また、従来のアクティブマトリクスの代替としても、省エネルギープロセス、低コストプロセスの可能な素子として有利である。
また、トランジスタを集積することにより、デジタル素子やアナログ素子が実現できる。これらの例としては、AND、OR、NAND、NOT等の論理回路、メモリー素子、発振素子、増幅素子、等が挙げられる。さらにこれらを組み合わせることにより、ICカードやICタグを作製することが出来る。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
300nmの酸化膜を形成したN型のシリコン基板(Sbドープ、抵抗率0.02Ωcm以下、住友金属工業社製)上に、フォトリソグラフィーで長さ(L)10μm、幅(W)500μmのギャップを有する金電極(ソース、ドレイン電極)を形成した。また、この電極と異なる位置の酸化膜をフッ酸/フッ化アンムニウム液でエッチングし、むき出しになったSi部分に金を蒸着し、これをシリコン基板(ゲート電極)に電圧を印加するための電極とした。
下記ビシクロポルフィリン化合物(1)0.7mgをクロロホルム1mLに溶解し、これをソースおよびドレイン電極間にスピンコートすることにより、100nm前後の膜厚の良好な膜を得た。
Figure 2005101555
この基板を、210℃で5分間加熱して、ビシクロポルフィリン化合物(1)をテトラベンゾポルフィリンに変換した。こうして得られた電界効果トランジスタの特性を、アジレントテクノロジー社製半導体パラメータアナライザー4155Cを用いて測定した。測定の際に、電圧印加から電流測定までの待ち時間(Waiting Time)を0.2秒に
設定して電圧の掃印を行った。これに、ポリスチレンの10wt%のクロロホルム溶液を2000rpmでスピンコートして、125℃15分加熱乾燥し、絶縁層Aとした。13C−NMR法(Varian製Irova500、積算回数4800回)により絶縁層A中の活性な置換基の含有量は、10-5mol/cm3以下であった。この素子を同様に41
55Cを用いてFET特性を評価した。ポリスチレン膜の有無による電圧−電流曲線の比
較を図2に、移動度、Vt、オンオフ比(ドレイン電圧を−30Vに固定した際のゲート電圧30Vと−50Vの電流の比)及びヒステリシスを表2に示した。
又、絶縁層Aだけの電気抵抗を調べる為に、上記電極を設けた基板に、有機半導体膜の
代わりに絶縁層Aのみを設けて、ソースドレイン電極間の抵抗を測定した。ここで用いた有機半導体層の抵抗値は、3×108Ω/□であった。ポリスチレンの抵抗値は5×1013Ω/□以上であり、ポリスチレンの抵抗値は半導体の抵抗値よりも大きいことが確認で
きた。
ヒステリシスの大きさは次の様に定義した。ドレイン電圧Vdを−40Vに固定し、ゲート電圧Vgを60Vから始め−60Vまで一定速度で減少させ、ついで60Vまで一定速度で増加させた。そのときの最大ドレイン電流(Vg=−60V)を1に規格化し、Vg=−30Vの行き(Vg減少時)と帰り(Vg増加時)の差をヒステリシスの大きさとした。ヒステリシスの大きさのイメージを図3に示した。
これらの結果から、ポリスチレンを重ねることにより、移動度、オンオフ比、ヒステリシスの大幅な向上が達成された。
同様の実験を、14個の別々に作製したFETで繰り返した結果を図4に示す。ここで、エラーバーは測定値の標準偏差を示す。このように多くのサンプルで再現良く絶縁層Aの効果が観測された。
(実施例2〜10、比較例1、2)
実施例1の絶縁層Aをポリスチレンから、表1の各材料に変更した以外は実施例と同様にして、活性な基の含有量、抵抗値、移動度、Vt、オンオフ比を求めた。結果を表2に示した。
実施例5、6,8で用いた絶縁層A材料の構造式を下記に示す。
Figure 2005101555
Figure 2005101555
(実施例11)
実施例1において、ビシクロポルフィリン化合物(1)を銅ヘキサデカフロロフタロシアニン(F16CuPc、アルドリッチ社製)を2回昇華精製したものに変更し、1×10-6Torr以下の真空度で上記基板上に50nmの厚さに真空蒸着して有機半導体層を作製した以外は実施例1と同様にして、トランジスタ素子を作成した。FET特性を測定後、ポリスチレンのクロロホルム溶液をスピンコートして、100℃10分間乾燥した。このFET特性を測定した。又、活性な基の含有量、抵抗値を測定した。結果を表2に示した。
(実施例12)
実施例11において、F16CuPcを銅フタロシアニン(CuPc、アルドリッチ社製)に変更した以外は、実施例11と同様にして、トランジスタ素子を作成し、FET特性を測定した。又、活性な基の含有量、抵抗値を測定した。結果を表2に示した。
(実施例13)
実施例11において、F16CuPcをペンタセン(Pen、東京化成社製)に変更した以外は、実施例11と同様にして、トランジスタ素子を作成し、FET特性を測定した。又、活性な基の含有量、抵抗値を測定した。結果を表2に示した。
(比較例3)
実施例1と同様にテトラベンゾポルフィリンを用いた電界効果トランジスタを作製した。その電界効果トランジスタ特性を測定すると、飽和移動度が6×10-3cm2/Vs、Vt=12.4V、オンオフ比103の良好なIV特性を示した。
その上に、ポリビニルフェノール(アルドリッチ製)のn−プロパノール5wt%溶液をスピンコートで1000Åの膜を作製した。これに、ポリ−(3,4エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)水溶液(アルドリッチ製)を面棒に浸し、チャネル部分に塗布した。すると、ソース、ドレイン間の抵抗が小さく
なり、トランジスタとしては動作しなくなった。各絶縁層中の活性な置換基の含有量とその測定法を記述して下さい。半導体膜を形成していない電極基板上にポリビニルフェノールとPEDOT/PSSを上記と同じ条件で塗布し、電極間のIV特性を調べた。得られた表面抵抗は6.2×107Ω/□であった。従って、ポリビニルフェノールを通して電
荷のやり取りが行われている事が分かる。一方、半導体のみでは、同様の測定では抵抗値は3.1×108Ω/□であった。従って、半導体上にキャリアのやり取りのできる絶縁
膜を介してキャリア密度の大きな層を重ねてしまうと、半導体ではなくキャリア密度の大きな層の中を電流が流れてしまい、良好な電気特性は得られなくなることが分かる。
結果を表2に示した。
(比較例4)
4,4‘−ジアミノ−4’‘−ヒドロキシトリフェニルメタンをMacromolecules 1996, 29, 6427-6431の方法合成した。室温、窒素雰囲気下において、4,4‘−ジアミノ−4’‘−ヒドロキシトリフェニルメタン(2.9g,10mmol)を42mlのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた。この溶液に4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフタル酸無水物(6FDA、東京化成工業製)(4.4g,10mmol)を加えて開環重付加反応を行い、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の重合を行った。重合開始12時間後に、重合溶液をメタノール500ml中に投入して再沈殿処理を行い、ポリアミド酸を回収した。減圧乾燥後、NMPに溶解させ、再びメタノールで再沈殿を行った。この再沈殿処理を2回繰り返して精製された可溶性ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た。次いで、このポリアミド酸をキシレン200mLに分散させ、加熱還流を行って共沸脱水を3時間行い、さらに分散物を濾別して200℃で減圧加熱を行い、
可溶性ポリイミドを得た。
実施例1と同様にテトラベンゾポルフィリンを用いた電界効果トランジスタを作製した。その電界効果トランジスタ特性を測定すると、飽和移動度が7×10-3cm2/Vs、V
t=16V、オンオフ比1.7×103の良好なIV特性を示した。
これに、先に合成した可溶性ポリイミドの5%DMF溶液をスピンコートし、160℃で20分加熱して溶媒を除去した。その後、電気特性を測定すると、飽和移動度が3×10-3cm2/Vs、Vt=68V、オンオフ比3となり、大きな特性の劣化が見られた。
このポリイミドの重水素化N−メチルピロリドンd8溶液における、13C−NMR測定(
カルボン酸の緩和時間により定量)を行い、残存カルボキシル基の量を測定した。その結果、緩和時間の違いにより、残存カルボキシル基が判定でき、イミド化率が71%と見積もることができた。このポリイミドの比重1.4、単位ユニットの分子量が698.6であるので、1cm3あたりのカルボキシル基のモル数は、1.2×10-3であった。結果
を表2に示した。
(比較例5)
室温、窒素雰囲気下において、4,4‘−オキシジアニリン(ODA、東京化成工業製)(2.0g,10mmol)を42mlのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させた。この溶液にピロメリット酸二無水物(PMDA、アルドリッチ製)(2.2g,10mmol)を加えて開環重付加反応を行い、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の重合を行った。重合開始12時間後に、重合溶液をメタノール500ml中に投入して再沈殿処理を行い、ポリアミド酸を回収した。減圧乾燥後、NMPに溶解させ、再びメタノールで再沈殿を行った。この再沈殿処理を2回繰り返してポリアミド酸1を得た。ポリアミド酸1を20wt%濃度でN−メチルピロリドンに溶解させ、0.2μmのフィルターでろ過を行ったポリアミド酸溶液を調整した。
実施例1と同様にテトラベンゾポルフィリンを用いた電界効果トランジスタを作製した。その電界効果トランジスタ特性を測定すると、飽和移動度が2.7×10-2cm2/Vs、Vt=9.7V、オンオフ比6.8×103の良好なIV特性を示した。
この上に、先に調整したポリアミド酸溶液をさらにDMFで1/5に希釈したものをスピンコートし、250℃15分加熱してポリイミド膜を作製した。電気特性を測定すると、飽和移動度が1.5×10-3cm2/Vs、Vt=43V、オンオフ比74となり、大き
な特性の劣化が見られた。
ポリアミド酸の熱分析を窒素中で行い、残存カルボキシル基の量を見積もった。試料約10mgを100℃で60分保持して吸着している水分を除いた後、10℃/分で300℃まで加熱後60分保持してイミド化による重量変化を調べた。その結果、174℃前後で8.01%の重量減が見られた。本ポリアミド酸からポリイミドに100%変化の際の理論的な重量減は8.61%であり、イミド化率が93%、すなわちカルボン酸が7モル%残存していると見積もることができる。このポリイミドの比重は1.42、単位ユニットの分子量が382.3であるので、1cm3あたりのカルボキシル基のモル数は、5.
2×10-4であった。
結果を表2に示した。
Figure 2005101555
本発明の電界効果トランジスタの素子構成を示す図である。 実施例1で得られた半導体特性を示す図である。 実施例のヒステリシスの大きさを示す説明図である。 実施例1で得られた半導体特性のばらつきを示す図である。
符号の説明
1 有機半導体層、
2 ゲート絶縁膜
3、4 ソース及びドレイン電極
5 ゲート電極
6 基板
7 絶縁層A

Claims (3)

  1. 基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜及び有機半導体層を有する有機電界効果トランジスタにおいて、有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に、芳香族化合物及び/又は芳香環含有ポリマーを含み、活性な基の含有量が絶縁層中に4×10-4モル/cm3以下である絶
    縁層を有し、かつ有機半導体層のゲート絶縁膜と異なる側に積層された全ての層の電気抵抗が有機半導体層よりも小さいことを特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 絶縁層が塗布プロセスにより形成されたものである請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  3. 有機半導体層が、アザアヌレン化合物を含むものである請求項1又は2に記載の電界効果トランジスタ。
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