JP2005100893A - エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Kazuhiro Yoshikawa
吉川  和宏
Shuichi Sasahara
秀一 笹原
Takahiko Fujita
貴彦 藤田
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Abstract

【課題】 ユーザー側において、発光パタンや発光位置を繰り返し、しかも容易に変更可能なEL素子を提供する。
【解決手段】 少なくとも基材3上に、対極となる2以上の電極1(41)、電極2(42)が、電気的に絶縁されたパタンをもって形成された背面導電層4と背面導電層4の前面に重ねて配置された誘電層5と誘電層5の前面に重ねて配置された発光層6とからなる発光ベース素子と、前記背面導電層4の絶縁されたパタン上をまたぐように前記発光層6の前面に重ねて配置される透明導電フィルム71とからなるエレクトロルミネッセンス素子である。前記透明導電フィルム71には、粘着性を有する導電性高分子ゲルを用いることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、EL発光層を有するエレクトロルミネッセンス素子(以下「EL素子」という。)に関し、中でも、ユーザーにおいて所望の発光形状を簡単に得られ、また貼り剥がしが容易な透明導電フィルムを有するEL素子に関する。
プラスチックフィルム等からなる透明支持体の片面に形成された透明電極層と、当該透明電極層の背面に高誘電率ポリマー等の樹脂に蛍光体を分散させて形成した発光層を、さらに背面に誘電層を、さらに背面導電層の順に積層し、透明電極層と背面導電層の厚み方向に交流電圧を印加することにより、該背面導電層と透明電極層の重なり合う形状に対応した発光形状を発光させるEL素子が知られている。
従来のEL素子は、図3に示すようにポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という。)等の可撓性を有する透明絶縁フィルム82の背面に、酸化インジウム錫(以下「ITO」という。)等をスパッタまたは蒸着した透明電極層721と、さらにこの背面に、フッ素ゴムやシアノ系樹脂等の高誘電性樹脂中に硫化亜鉛等の蛍光体粉末を分散してなる発光層61と、さらにこの背面に積層した、おなじく高誘電性樹脂中にチタン酸バリウム等の誘電体粉末を分散した誘電層51と、さらにこの背面に銀やカーボンレジン等を印刷した背面電極層41、さらにホットメルト等の接着剤層9を介して、PET等の背面絶縁フィルム31を順に積層し、EL素子が構成されている。
上記のようなEL素子においては、全面発光でない発光形状を任意にデザインしようとすると、背面導電層側の形状をデザインするしかなかった。その理由としては、透明電極層には、フィルムやガラス基材にITO等の導電性薄膜を均一にコーティングし形成したITO透明電極が一般的に用いられており、このITO透明電極を任意のパタンで形成するのが技術上、またコスト上困難であることによる。このような背面導電層側の形状をデザインする方法では、発光形状はエレクトロルミネッセンス素子の製造時に背面導電層の印刷パタン等で作成することは出来るが、ユーザーにおいて所望の発光形状を簡単に得られるものではなかった。
ユーザー側において、好みに応じた発光形状を作製可能なEL発光素子としては、背面導電層と発光層側の誘電層との間に局部可変シート部材もしくは可溶層を設け、物理的または化学的操作によって厚み方向に導通させることによって、所望の発光形状を得ようとするものが特許文献1及び2に開示されている。
特開2002−329584号公報 特開2003−197379号公報
しかしながら、このような局部可変シート部材を設け、物理的または化学的操作によって厚み方向に導通させることによって、所望の発光形状を得ようとする方法では、ユーザー側において発光形状や発光位置を繰り返して変更することは容易ではなかった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決する為に、ユーザー側において発光パタンや発光位置を繰り返し、しかも容易に変更可能なEL素子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の手段を用いて上記課題を解決した。
すなわち本発明は、少なくとも、a)基材上に、対極となる2以上の電極が、電気的に絶縁されたパタンをもって形成された背面導電層と、b)背面導電層の前面に重ねて配置された誘電層と、c)誘電層の前面に重ねて配置された発光層とからなる発光ベース素子と、前記背面導電層の絶縁されたパタン上をまたぐように前記発光層の前面に重ねて配置される透明導電フィルムとからなるEL素子である。このような構造である本発明のEL素子は、発光ベース素子の発光層前面から両対極上にまたがって重ねて配置された任意形状の透明導電フィルムを通じて発光ベース素子の両極を電気的に導通させることにより、透明導電フィルムが配置された部分の発光層の蛍光体に厚み方向の電界変化が起こり、当該透明導電フィルムの形状に応じた任意形状の発光が得られる。
好ましくは、前記透明導電フィルムが、粘着性を有する導電性高分子ゲルからなることである。ここで粘着性とは、被粘着表面の界面で濡れが良好で均一に密着し、剥離時に粘着層が崩壊しないことをさし、このような粘着性を有する導電性高分子ゲルを用いることで、透明導電フィルムと発光層表面の界面が均一に密着し、発光ベース素子の両極を電気的に導通させた際に、発光層に均一な電界がかかり、むらのない均一な発光が得られる。また、剥離時に粘着層が崩壊せず、剥離・貼付の繰り返しが可能となる。
更に好ましくは、前記透明導電フィルムの抵抗値が、1×10(Ω)以下であることである。EL素子を大きな面積で均一に発光させるためには、当該透明電極層の抵抗値をできるだけ小さくして、発光層に十分な電流を流す必要があるからである。
更に好ましくは、前記透明導電フィルムが、重合性単量体に、架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に可塑成分または湿潤剤と溶媒成分と電解質塩を含む導電性高分子ゲルからなることである。このような構成の導電性高分子ゲルとすることにより、ポリマーマトリックス内に分子レベルで溶解した状態の、実質的に均質なポリマーマトリックスを構成することが可能で、光透過率に優れた透明導電フィルムを得ることが可能である。
更に好ましくは、前記ゲル体透明導電フィルムが、重合性単量体と架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に可塑成分または湿潤剤と水と電解質塩を含む高分子ハイドロゲルにおいて、少なくともポリビニールアルコール系重合体を溶解した水と多価アルコールの混合液が保持されており、引張破断強度が10kPa以上、破断伸びが350〜1000%とすることである。
本発明の別の好適な形態によるEL素子では、前記ゲル体透明導電フィルムが、上面に光透過性の樹脂フィルムを積層しているものである。これによりEL素子としての輝度を確保しつつ、繰り返し貼り剥がしを行う透明電極フィルムを保護することができる。
また本発明は、粘着性を有する導電性高分子ゲルにより構成された本発明のEL素子用における透明電極フィルムの発明である。かかる透明導電フィルムは、これをカッター等により任意に形状にして発光させるEL素子にとって、良好な消耗補充用品となる。
本発明のEL素子では、背面導電層に電気的に絶縁された2以上対極を設けたことにより、発光層を挟むための透明電極を用いる必要がない。よって、発光層の前面に重ねて配置される透明導電フィルムに導線を設ける必要がなく、当該透明導電フィルムの自由度を確保できる。すなわち、透明導電フィルムを発光ベース素子の対極をまたいで設置して、両対極に交流電圧を印加することにより、透明導電フィルムの形状に対応した任意の発光形状で発光させることができる。
また当該透明導電フィルムを、粘着性を有する導電性高分子ゲルとすることで、当該透明電極フィルムを繰り返して貼り剥がすことが可能となる。またカッターナイフ等での任意形状のカッティングが容易となるため、ステッカーやシールの様な形態で取り扱うことができる。また当該導電性高分子ゲルは、例えば発光ベース素子の発光層との接触面側を指で触れても、発光特性はほとんど劣化しない。このような取扱い容易である導電性高分子ゲルを透明導電フィルムに用いたEL素子は、ユーザー側にて貼り剥がしや加工を行うことにより、繰り返して発光位置を変更させたり、発光形状を変更させたりすることが容易に行える。このことにより、光透過性の樹脂フィルムの表面に文字、図案等のイメージを設け多様で効果的なディスプレーデザインが可能となる。
また、粘着性を有する導電性高分子ゲルにより構成された、EL素子用の透明導電フィルムは、発光ベース素子を取り替えることなく別の形状の発光が容易に可能となるので、EL素子を全部取り替える場合に比べ、格段に経済的であり、資源の有効利用が図れる。
図1は本発明の一実施形態に係るEL素子における垂直断面を示した概念図である。図2は本発明の別形態のEL素子における垂直断面を示した概念図である。
図1に示す様に、本発明の一形態に係るEL素子1は、発光ベース素子2と透明導電フィルム71とからなる。以下各構成要素について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(発光ベース素子)
本実施形態の発光ベース素子2は、図1に示すように、少なくともa)基材3上に、対極となる2以上の電極1(41)、電極2(42)が、電気的に絶縁されたパタンをもって形成された背面導電層4と、b)背面導電層4の前面に重ねて配置された誘電層5と、c)誘電層5の前面に重ねて配置された発光層6とにより構成される。発光ベース素子2のままでは対極の電極1(41)と電極2(42)の間に交流電流を与えてもEL発光は起こらない。しかし、図1に示すように、透明導電フィルム71を、発光ベース素子2の前記背面導電層4の絶縁されたパタン上をまたぐように前記発光層6の前面に重ねて配置させて、対極の電極1(41)と電極2(42)の間に交流電流を与えると、透明導電フィルム71を重ねた下部に存在する発光層6部位のみからEL発光が生じる。
(基材)
EL素子を形成する基材3には、ある程度の強度を有する絶縁性物質が用いられる。なかでも可撓性を有する絶縁性フィルムとすることが好ましい。このような基材材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリウレタン等のウレタン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、変性ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、アクリル変性ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂などの絶縁性フィルムを挙げることができる。絶縁性フィルムとしては、上記材料の単層フィルムとすることも、多層フィルムとすることも可能である。
(背面導電層)
背面導電層4としては、分散型EL素子に用いられているアルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の金属膜、導電カーボン膜、ITO膜等の透明導電膜などが使用できる。このような導電膜は、導電性材料を含んだ塗料の塗布、印刷、蒸着、スパッタ等の手段によって設けることができる。これを発光ベース素子の構成要素とするため、当該背面電極層4は、前記絶縁性フィルム等の基材3の表面もしくは誘電層5表面に上記手段を用いて設けることができる。
背面導電層4には、本EL素子1の対極となる2以上の電極、図1でいえば電極1(41)と電極2(42)を有しているものである。このため、この各対極の電極1(41)と電極2(42)が、背面導電層4中にて電気的に絶縁されたパタンをもって形成されていることが必要である。この2以上の対極に交流電流を与える導線をそれぞれ接続し、透明導電フィルム71を発光層6上に両対極をまたぐように設置することで、EL素子としての発光が可能となる。この点、従来のEL素子では、発光層を背面電極と透明電極とで挟んで発光させるものである。これに対し、本発明のEL素子1では、背面導電層4に対極を設けたので、発光層を挟む透明電極は不要となり、代わりに発光層6の上に透明導電フィルム71を設けることができるようになった。このため、透明導電フィルム71を任意形状に変形することが可能となり、よってEL素子1として任意形状の発光をさせることが可能となった。
2以上の対極を電気的に絶縁されたパタンをもって形成するには、背面導電層4中で、ある程度の距離をもって、上記各対極、図1でいえば電極1(41)と電極2(42)を構成するを塗布等の上記方法にて水平方向に配置することによって達成しうる。離して配置した対極の間には、絶縁性の物質を設置して両対極の絶縁を図ることもできるが、図1に示すように、誘電層5に用いる物質と同じ物質を対極の電極1(41)と電極2(42)との間に設置して両対極の絶縁を図ることもできる。すなわち、水平方向(対極間)の電気的な絶縁性を達成するためには、垂直方向の厚みに比べて水平方向の対極間の距離を十分に離して、水平方向の電気抵抗を十分大きくすればよい。従って、対極の間に誘電層5に用いると同じ物質を使用して電気的な絶縁性を達成しようとする場合、対極間の距離は、誘電層5と発光層6とを合計した厚みの3倍以上とすることが好ましく、5倍以上であれば更に好ましい。
(誘電層)
誘電層5は分散型EL素子に用いられる絶縁体無機粒子を誘電層5の樹脂中に分散させて形成した塗布層である。誘電層5の樹脂には、上記高誘電率ポリマー等のバインダー樹脂が適している。絶縁体粒子は例えば、チタン酸バリウム等の無機粒子がある。
(発光層)
発光層6は、高誘電率ポリマー等のバインダー樹脂に蛍光体を分散、埋没させて形成したものである。高誘電率ポリマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン樹脂、シアノ系樹脂、ポリビニリデンクロライド等が使用できる。蛍光体としては、交流電界中に置かれた時発光する蛍光体であり、例えば分散型EL素子の発光層に用いられている公知に属する任意の蛍光体の微粉末を用いることができる。例えば、ZnS、CdZnS、ZnSSe、CdZnSe等の蛍光化合物またはCu、Cl、Al、Mn、Ag等を添加物したものが用いられる。これらは、単体もしくは2種以上を混合して用いても良い。
上記発光ベース素子2は、少なくとも上記構成要素が上記順番で構成されているものであるが、必要に応じて他の構成要素を加えることもできる。すなわち前記各層は、それぞれの順番で構成されている必要があるが、いずれかの層間に、他の任意の層を加えることを排除するものではない。このような任意的構成要素のうち、有用な働きをするものを以下に示す。但し、本発光ベース素子の任意的構成要素は以下に示すものに限られない。
(発光層保護層)
また本発明のEL素子は、発光ベース素子2から透明導電フィルム71を剥がすことが可能なものである。従って、透明導電フィルム71を発光ベース素子2から剥がした際に剥き出しとなる発光層6を保護する透明で導電性を有する層を、剥き出しとなる発光層6の保護層として発光層保護層を設けることもできる。かかる発光層保護層は、EL素子としての耐久性向上に効果的に作用しうる。
(透明導電フィルム)
本発明に係るEL素子1では、発光ベース素子2に重ねて配置することができる透明導電フィルム71が必要である。導電性、透明性がなくてはEL素子として機能しえないからであり、フィルム状でないと、ユーザー側において任意形状での発光を容易に行うという本発明の効果を達成できないからである。ここで、透明とは可視光を透過させる性質を有していることをいい、無色透明のみならず、有色透明も含まれる。着色には、公知の着色剤(顔料)を用いることができる。有色透明の場合、EL素子の発光体の材料によって決定される色彩を当該透明導電フィルムで、その色彩を変化させることができる。
(導電性高分子ゲル)
本発明の透明導電フィルム71には、粘着性を有する導電性高分子ゲルを用いることが好ましい。ゲル体といえるためには、高分子鎖同士が物理的若しくは化学的に結合することで高分子三次元網目構造を形成し、その高分子三次元網目構造に液体である溶媒等を含んでいる膨潤体物質であって、流動性がなく、形成後の形状を維持できることが必要である。
かかる高分子ゲルは、高分子鎖の架橋をコントロールし、高分子三次元網目構造を設計することで、溶媒、溶媒保持成分及び可塑性成分等を保持した状態で、固体に比べて弾性率が低く、やわらかい高分子三次元網目構造の骨格を形成することができる。このような骨格を持つ高分子ゲルは、適度な凝集力を有しており、これによりゲル体に粘着性を持たせることができる。すなわち、かかる適度な凝集力を有する高分子ゲルでは、被着体表面への濡れが良好であるので、被着体物との接触部分の多くを分子レベルで接近させることができる。また同時に、高分子ゲルの適度な凝集力により、ゲル体に圧縮強度、引っ張り強度が付与されるので、相互の分子間力により、高い粘着性が得られる。その一方、適度な凝集力を持つ高分子ゲルは、ゲル体に機械的強度を付与することもできるので、ゲル体を被着体表面から剥がした際にも、ゲル体を被着体物上に残すことなく剥離することができる。ゲルの凝集力を調整して、上記性質をバランスよく兼ね備えた高分子ゲルとすることで、当該ゲル体に良好な粘着性を付与することができる。
(電解質塩)
高分子ゲルに導電性を付与するには、ゲル中に電解質成分を添加する方法が簡便である。電解質の量は0.01重量%〜13重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。13重量%を超える場合は塩の溶解が困難になるため、ゲル内部で結晶の析出が生じたり、他の成分の溶解を阻害したりする場合がある。また、実質13重量%を超える塩を添加しても電離限界、言い換えれば導電性能は頭打ちとなるため、コストの観点から好ましくない。また、0.01重量%以下の添加ではゲル体の導電性が十分でなく、均一な発光が得られない。例えば本発明の透明導電フィルムに使用する場合、大きな面積を均一に発光させる場合は、電解質塩を添加することにより抵抗値を1×10(Ω)以下に調製することが好ましい。
本発明に用いることが可能な電解質塩としては、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ金属やハロゲン化アルカリ土類金属、その他の金属ハロゲン化物や、各種金属の次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、アンモニウム塩や、各種錯塩等の無機塩類、酢酸、安息香酸、乳酸、酒石酸等の一価有機カルボン酸塩、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩、スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩、及び有機アンモニウム塩の他、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の高分子電解質の塩も使用可能である。
(高分子マトリックス)
本発明の導電性高分子における高分子マトリックスは、重合性単量体に架橋性単量体を共重合させたものであることが好ましい。また当該高分子マトリックス内には、a)可塑成分または湿潤剤b)溶媒成分c)電解質塩が含まれていることが好ましい。以下これら望ましい形態について説明する。
(重合性単量体)
本発明に使用できる重合性単量体とは、分子内に重合性を有する炭素-炭素二重結合を1つする単量体であれば特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド、および、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその塩、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸とその塩等の(メタ)アクリルアミド誘導体、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド誘導体、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びその塩等のスルホン酸系単量体が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、上記例示において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
(架橋性単量体)
架橋性単量体には、分子内に重合性を有する二重結合を2以上有している単量体を使用することが好ましい。具体的には、メチレンビス〈メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ〈メタ)アクリレート、(ポリ)プロビレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
(高分子マトリックスの濃度)
本発明における高分子ハイドロゲルに含まれる前記重合性単量体と前記架橋性単量体とが共重合架橋した高分子マトリックスの濃度は、5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%に設定するのがよい。これは、5重量%未満では得られるゲルのマトリックス濃度が低すぎるため、溶媒をかかえきれずブリードしやすく、腰強度の弱いゲルとなる恐れがあるからである。一方、50重量%を超えて製造した高分子ハイドロゲルは、重合時の発熱が大きくなりすぎるため、溶媒の沸点を超え沸騰する恐れがある。また、沸騰した場合は気泡が混入するため透明性を損なうとともに、良好なゲルを得ることが困難となる。
(架橋性単量体の添加量)
架橋性単量体の添加量は、前記重合性単量体と前記架橋性単量体とが共重合架橋した高分子マトリックス総量に対して、0.05重量%〜10重量%であるのが好ましい。0.05重量%未満の場合、架橋密度が低く、形状安定性が乏しくなる。また、10重量%を超えて架橋性単量体を使用した場合は、硬く脆いゲルになる可能性がある。また、このようなゲルの場合、重合架橋時に白濁化して透明性をそこない良好なゲルが得られない。なお、ここにいう高分子マトリックスとは、重合性単量体と架橋性単量体を重合架橋したマトリックスを指す。
(可塑成分または湿潤剤)
本発明に使用可能な可塑成分または湿潤剤としては、溶媒成分の保持力があり、可塑性を向上させる多価アルコールを含有させることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどのジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変性体等が使用可能であるが、常温で液状であることがゲルの粘弾性特性の点、重合反応後のゲル体の透明性の点、製造時のハンドリング性の点で望ましい。ゲル体は、高分子マトリックス内に、可塑成分または湿潤剤を含むことにより良好な粘弾性特性を有する。
(可塑成分または湿潤剤の濃度)
ゲル中の可塑成分または湿潤剤の濃度は、10〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜70重量%に設定するのがよい。10重量%未満では、ゲルの湿潤力(溶媒保持力)が乏しく、ゲルの経時安定性に欠けると共に、柔軟性に欠け、粘着性が必要な場合でも粘着性の付与が困難な場合が多いので好ましくない。また、80重量%を超える場合は、相対的に高分子マトリックスや溶媒成分の濃度が小さくなる恐れがあるため好ましくない。
(溶媒成分)
本発明に使用可能な溶媒成分としては、沸点が高く、常温で低い蒸気圧の極性溶媒が好ましく、重合性単量体および架橋性単量体と相溶性のあるものが好ましい。本発明に用いることが可能な溶媒成分としては、水が好ましく、それ以外にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、スルホラン、ジメチルスルホキシド等をそれぞれ混合して用いても良い。
ゲルに含まれる溶媒成分は5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。5重量%未満ではゲルの可撓性が低く剛性の高いものになり、電解質塩をほとんど添加できず、良好な導電性を得ることが困難である。一方、50重量%を超えると高分子ゲルの平衡溶媒保持量を大きく超えるため、溶媒のブリード等が生じゲル体として好ましくない。また、保持しきれない溶媒成分が流れ出て、経時的物性の変化が大きくなるため好ましくない。
(高分子ハイドロゲル)
更に、透明導電フィルム71は、重合性単量体と架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に可塑成分または湿潤剤と水と電解質塩を含む高分子ハイドロゲルとすることで、特に導電性に優れ、光透過率の良い透明導電フィルムとすることが可能である。
通常、ゲル体のマトリックス構造のままで、ゲルの強度を上昇させるためには、架橋密度を高くするか、樹脂濃度を増やすしか方法がない。しかし、単純に架橋密度や樹脂濃度を増大させただけでは、見かけ上の腰強度は改善されるものの、硬く、脆いゲルとなってしまい、柔軟性や伸縮性が損なわれてしまう。
高強度のゲルを作成するためには、比較的架橋密度が低いマトリックスに、これとは異なるマトリックスを相互貫通させたIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造を形成することが効果的であると考えたが、IPNを形成するためには、一旦重合架橋したマトリックスに新たに重合性単量体と架橋性単量体を含浸させ、再度重合架橋を行うという複雑な操作を行うか、特殊なプレポリマーを用いるなど特殊で複雑な工程を必要とする。また、相互に貫通した各々のポリマーが各々の架橋構造を有し、ゲル内での架橋密度が総体的に上昇する事により、腰強度の増大とともに脆さが発現し、伸縮性に劣るゲル体になる可能性がある。
検討の結果、発明者らは、S−IPN(Semi- Interpenetrating Polymer Network)構造を導入した含水ゲルの高強度化技術を開発した。S−IPNとは、架橋されたポリマーマトリックスを貫通する架橋されていないポリマーを有する構造である。ハイドロゲルにおいては、重合性単量体と架橋性単量体を共重合架橋させることで基本となるポリマーマトリックスを構成するとともに、水溶性のポリマーが先に述べたポリマーマトリックスを無架橋の状態で貫通する必要がある。
水溶性合成ポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、PVA等、また、天然高分子としては、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸などの多糖類が存在する。また、これら天然高分子を変性し、水溶性を改良したものとして、CMC(カルボキシメチルセルロース)又はその塩、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)等が挙げられる。これらの直鎖状ポリマーのうち、特にPVAを添加した高分子ハイドロゲルでは、高強度のゲル体とすることができるので好ましい。
透明導電フィルム71が上記構成の高分子ハイドロゲルである場合、電解質などの添加が容易で高い導電性を得ることが可能であり、ゲル中の成分濃度と架橋密度が制御可能であって、引張破断強度、破断伸びが、圧縮強度などの機械特性に優れるとともに、従来にない伸縮性を発揮する。
(ポリビニールアルコール重合体)
本発明で使用されるポリビニールアルコール重合体の重合度は、粘度平均重合度において500〜3000であることが好ましい。重合度が500未満の場合は、機械的強度向上の効果が得られず、逆に、重合度が3000を超える場合は、ゲル作製時に調整するモノマー配合液を溶解する際、粘度上昇が著しく、均一な配合液が調製できないため好ましくない。
また、本発明で使用されるポリビニールアルコール重合体のケン化度は、80〜98%であることが好ましい。ケン化度が80%未満であると、配合液調製時の溶解性は向上するが、得られたゲル体の安定性が低下するため好ましくない。逆に、ケン化度が98%を超えると、溶解性が極端に低下し、配合液調製が困難であるため好ましくない。
ゲル中に含まれる上記ポリビニールアルコール重合体は、高分子マトリックス総量に対して、0.15〜30重量%であることが好ましい。0.15重量%未満の添加では、機械的強度の向上が見込まれない。また、30重量%を超える添加では、ポリビニールアルコール重合体がゲル中の溶媒成分に溶解しきれず、析出や溶け残りが発生し、均一なゲル体が得られない。
(その他添加剤)
本発明における高分子ゲルは、必要に応じて防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、香料、界面活性剤、色素、染料、顔料等の成分を適宜添加しても良い。添加する方法としては、あらかじめ配合液に溶解または分散させ、高分子マトリックスを形成する方法と、一旦生成した高分子ゲルに後から添加する方法が可能である。
(透明導電フィルムの製造方法)
本発明における透明導電フィルムもしくは導電性高分子ゲルを得る方法としては、重合性単量体、架橋性単量体、湿潤剤または可塑成分、溶媒成分、電解質塩、重合開始剤を溶解、又は均一分散したモノマー配合液を、公知の方法で加熱又は紫外線照射を行うことにより重合架橋して得ることができる。モノマー配合液は液状の為、例えば成形された樹脂型などに流し込んで重合架橋させることにより任意形状のゲル体を作ることができる。また、一定の間隔に保持した2枚のフィルムの間にモノマー配合液を流し込んで重合架橋させれば、シート状のゲル体が得られる。また、フィルム上にモノマー配合液を、シルクスクリーン等を用いて任意形状に印刷し、直後に公知の方法で加熱又は紫外線照射を行うことにより重合架橋して任意形状のゲル体を作ることができる。また、あらかじめ重合反応によって形成された高分子マトリックスに、湿潤剤や溶媒等を含浸させることも可能である。また、重合性単量体のみを重合させた直鎖状高分子と、湿潤剤、溶媒等を溶解または均一分散して得られるポリマー配合液に、架橋剤、または、触媒を添加して直鎖状高分子と架橋剤を架橋反応させることによりマトリックスを生成する方法も可能である。
(光透過性の樹脂フィルム)
透明導電フィルム71保護のため、図2に示す様に、当該透明導電フィルム71の少なくとも片面に光透過性の樹脂フィルム81を積層することもできる。ただし、発光ベース素子2の発光層6との接触面側に積層する場合には、当該フィルムは導電性を有することが必要である。
光透過性の樹脂フィルム81としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリウレタン等のウレタン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、変性ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン、アクリル変性ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂などのフィルムである。光透過性の樹脂フィルムとしては、上記単層フィルムもしくは多層フィルムを用いることができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。但し本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(透明導電フィルムの作製)
実施例1の透明導電フィルムとして、まず、重合性単量体としてのアクリルアミド20重量%と架橋性単量体としてのN,N−メチレンビスアクリルアミド0.05重量%、電解質塩としての塩化ナトリウム5重量%、ポリビニールアルコール系重合体としての粘度平均重合度1800でケン化度88%のポリビニールアルコールを3重量%、可塑成分または湿潤剤としてのグリセリン47重量%、溶媒成分としてのイオン交換水を加えて100重量%とした混合物を溶解攪拌して、モノマー配合液を得た。次に、モノマー配合液100重量%に対して、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンを0.3重量%加え、更に攪拌して溶解した。得られたモノマー配合液は、脱気することにより完全に気泡を除去し、上下2枚の間隙を希望する厚みに規制した内面に硬化型シリコン処理を施した100μmPETフィルム間に薄く展開した。次いで、このモノマー配合液に50mW/cmの強度の紫外線を60秒間照射し、重合架橋反応を行い、厚さ1.0mmのシート状で粘着性の導電性高分子ゲルを得た。この導電性高分子ゲルを図4および図5に示す形状にカットし、それぞれのカット形状の透明導電フィルム711、712を得た。後述の実施例においては、透明導電フィルム作製時に設けた上下の100μmPETフィルムは、取り除いて使用する。
実施例2の透明導電フィルムとして、上記実施例1の透明導電フィルムにある電解質塩としての塩化ナトリウムを0.1重量%に変更し、上記同様に厚さ1.0mmのシート状で粘着性の導電性高分子ゲルを得た。また、上記同様にカット形状の透明導電フィルムを得た。
実施例3の透明導電フィルムとして、上記実施例1の透明導電フィルムにある厚さ0.5mmのシート状で粘着性の導電性高分子ゲルの片面に厚み0.05mmのPETフィルムを積層した。また、上記同様にカット形状の透明導電フィルムを得た。
実施例4の透明導電フィルムとして、上記実施例1の透明導電フィルムにあるポリビニールアルコール系重合体に替えて、平均分子量80万のポリビニルピロリドンを3重量%に変更し、上記同様に厚さ1.0mmのシート状で粘着性の導電性高分子ゲルを得た。また、上記同様にカット形状の透明導電フィルムを得た。
(発光ベース素子の作製)
支持体である厚さ75μm PETフィルムの基材3の片面上に、背面導電層4として銀を含む導電性インクをスクリーン印刷によって図6(A)及び(B)、及び図6(C)の二種類の2分割されたパタンにおいて対極となる電極1(41)と電極2(42)を塗布し、120℃、10分間乾燥させ、乾燥後の背面導電層4の厚みを7μmとした。対極となる電極1(41)と電極2(42)の水平方向の距離は、最も短い部分でも0.25mm以上離れるようにし、絶縁部43、44を形成した。銀印刷面の2分割されたパタンにおいて対極となる電極1(41)と電極2(42)の両端に5mm幅でマスキングテープをはり、以後の工程に供した。
次に誘電層5を形成した。まず、16重量%の高誘電率ポリマーとしてのテトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン‐フッ化ビニリデン共重合体「THV220」(3M社製)16重量%と溶剤(メチルエチルケトン:メチルイソブチルケトン=1:1)84重量%とを混合し、高誘電ポリマー液とした。そこに30重量%の絶縁体粒子(チタン酸バリウム)を加え、誘電層用の塗料を作製した。この塗料をナイフコーターで全面に塗布し、乾燥を行った。乾燥後の背面導電層4と誘電層5の積層厚みは15μmであった。
次に発光層6を形成した。先ほどと同じ高誘電率ポリマー液40重量%、発光体粒子(ZnS系)60重量%を混合し、発光層用の塗料を作成した。この塗料をナイフコーターで全面に塗布し、乾燥を行った。その上に先ほどと同じ高誘電率ポリマー、溶剤を混合した塗料をナイフコーターで全面に塗布し、乾燥を行い発光層とした。乾燥後の背面導電層4と誘電層5と発光層6の積層厚みは55μmであった。最後に上記マスキングテープを取り除き、本発明の発光ベース素子2とした。
(EL素子の発光)
このようにして得られた図4および図5に示す形状にカットされた形状の透明導電フィルム711を、図6に示す上記発光ベース素子2の対極の電極1と電極2の上をまたぐように発光層の前面の中央部に配置し、発光層上に気泡等が混入しないように密着させて積層し、本発明のEL素子の発光ベース素子とした。対極の電極1(41)と電極2(42)との間に100V、400Hzの交流電圧を印加してEL素子を発光させたところ、実施例1〜4の透明導電フィルムを用いたEL素子では、図4および図5の形状にカットされ配置された透明導電フィルムの各形状の部分のみの発光が得られた。また、実施例1〜4のEL素子では、各々のカット形状の発光は均一に得られた。このとき上記の発光面の平面寸法は約50mm×50mm程度の図案であった。
(カット形状の透明導電フィルムの繰り返し貼り付け)
上記図4および図5のカット形状の透明導電フィルム711、712を剥がし、貼り付ける動作を30回繰り返し行った。その後の透明導電フィルム711、712の形状維持性を判断した。また、繰り返し貼り付け後の発光を観察したところ、実施例1〜3の透明導電フィルムを用いたEL素子では輝度、発光の均一性ともに初回時点と変化ないこと確認をした。
(透明導電フィルム及びEL素子の評価)
透明導電フィルムの全光線透過率:
試料を50mm角に切り出し、ヘーズ・透過率計(Heze-meter HM-150/村上色彩技術研究所製)を用いてダブルビーム法で測定を行った。
透明導電フィルムの抵抗値:
4探針4端子法により、1kHzの抵抗値を測定した。
導電性高分子ゲルの破断強度・破断伸び:
試料を幅20mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、引張試験機(テンシロン)にチャック間30mmになるように取り付けた。測定は引張速度300mm/minで行い、3点の試験片について応力―歪み曲線を記録し、破断までの最大引張強さの平均値を破断強度とした。同時に、この時の歪みから破断伸び(破断までの歪み長さを初期チャック間距離で割ったものを%で表したもの)を算出した。
導電性高分子ゲルの粘着力:試料を20mm角以上に切り出し固定し、ステンレス製Φ12mmの円柱形治具底面をゲル上面に荷重100gで静かに圧着させ、300mm/minの速度で垂直方向に引き剥がし、その時の最大荷重を粘着力とする。
上記各試験の測定結果を表1に示す。

表1より、透明導電フィルムとして高分子ゲル体を用いた実施例1〜4、なかでも実施例1〜3のEL素子は、良好な発光特性を示した。
本発明のEL素子は、発光看板、発光掲示板、装飾ディスプレー等の発光ディスプレーとして利用できる。例えば、透明導電フィルムを文字、図案等にカットしたものを発光させることができる。また、光透過性の樹脂フィルムの表面に文字、図案等のイメージを設け、光透過性の樹脂フィルムの背面とEL素子の透明導電フィルムの前面を密着させることにより、発光するデザイン性の高いステッカーまたはシールとして利用できる。また、一度貼り付けたステッカーまたはシール形態の透明導電フィルムを剥がして別の場所に貼り付けその部分を発光させることができる。また、本発明のEL素子用の透明導電フィルムは、EL素子の補充品として利用できる。
本発明の一実施形態に係るEL素子における垂直断面を示した概念図である。 本発明の別形態のEL素子における垂直断面を示した概念図である。 従来のEL素子における垂直断面を示した概念図である。 本発明のEL素子の発光時における一形態を示した図である。 本発明のEL素子の発光時における別の一形態を示した図である。 本発明のEL素子の全体を示した概念図である。 (A)垂直断面図 (B)上面図 (B)対極のパタンを変更した上面図
符号の説明
1 EL素子
2 発光ベース素子
3 基材
4 背面導電層
41 電極1
42 電極2
5 誘電層
6 発光層
71 透明導電フィルム
72 透明電極層
81 光透過性の樹脂フィルム
82 透明絶縁フィルム
9 接着剤層

Claims (7)

  1. 少なくとも
    a)基材上に、対極となる2以上の電極が、電気的に絶縁されたパタンをもって形成された背面導電層と
    b)前記背面導電層の前面に重ねて配置された誘電層と
    c)前記誘電層の前面に重ねて配置された発光層とからなる発光ベース素子と、
    前記発光ベース素子の前記背面導電層にある絶縁されたパタン上をまたぐように前記発光層の前面に重ねて配置される透明導電フィルムとからなるエレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記透明導電フィルムが、粘着性を有する導電性高分子ゲルからなることを特徴とする請求項1記載のエレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記透明導電フィルムの抵抗値が、1×10(Ω)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載されたエレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記透明導電フィルムが、重合性単量体に、架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に可塑成分または湿潤剤と溶媒成分と電解質塩を含む導電性高分子ゲルからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載されたエレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記ゲル体透明導電層が、重合性単量体と架橋性単量体を共重合させた高分子マトリックス内に、可塑成分または湿潤剤と溶媒成分である水と電解質塩とを含む高分子ハイドロゲルにおいて、少なくともポリビニールアルコール系重合体を溶解した、溶媒成分である水と可塑成分または湿潤剤成分である多価アルコールとの混合液が保持されており、引張破断強度が10kPa以上、破断伸びが350〜1000%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載されたエレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記透明導電フィルムの少なくとも片面に、光透過性の樹脂フィルムを積層している請求項1乃至5のいずれかの項に記載されたエレクトロルミネッセンス素子。
  7. 粘着性を有する導電性高分子ゲルにより構成された、請求項1乃至6のいずれかの項に記載されたエレクトロルミネッセンス素子用の透明導電フィルム。


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