JP2005099497A - 熱現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置全体も低くすることができ、画像ボケの記録欠陥を生じない、クリーニングが簡単な熱現像装置を提供する。
【解決手段】画像露光部において熱現像感光材料又は感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料に対して光を与えて潜像を形成し、熱現像部において前記潜像に熱を加えて現像する熱現像装置において、前記画像露光部がガイド板副走査方式のガイド板を備え、該ガイド板に発光素子を主走査方向に複数個埋め込むようにした。そして発光素子として有機ELを用いた。
【選択図】 図1

Description

本発明は熱現像装置に関するものであり、特にその小型化および露光画像の鮮鋭化に寄与する熱現像装置に関する。
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこでレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度及び鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用及び写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料では、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要である上、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真など顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
これに対して近年、湿式処理を行う必要がないドライシステムによる記録装置が注目されている。このような記録装置では、感光性及び感熱性記録材料(感光感熱記録材料)や熱現像感光材料のフィルムが用いられている。以下、この材料を「熱現像記録材料」又は「熱現像感光材料」と言う。また、このドライシステムによる記録装置では、露光部において熱現像記録材料にレーザ光を照射(走査)して潜像を形成し、その後、熱現像部において熱現像記録材料を加熱手段に接触させて熱現像を行い、その後、徐冷・冷却し、画像が形成された熱現像記録材料を装置外に排出している。このようなドライシステムは、湿式処理に比べて廃液処理の問題を解消することができる。
上記のような有機銀塩を利用した熱画像形成システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書およびB.シェリー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1996年)に記載されている。特に、熱現像記録材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像記録材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示され、そして熱現像記録材料による医療用画像形成システムが開発された(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−005337号公報 特開2000−343746号公報
このような医療用画像形成システムである熱現像装置について、図6に基づいて説明する。
図6において、200は熱現像記録装置で、この熱現像記録装置200は、湿式の現像処理を必要としない熱現像記録材料を用い、レーザ光からなる光ビームによる走査露光によって熱現像記録材料を露光して潜像を形成した後に、熱現像を行って可視像を得、その後常温まで徐冷・冷却する装置である。基本的に、熱現像記録材料の搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部(レーザ記録装置)B'と、熱現像部Cと、徐冷部Dと、冷却部Eを備えており、また、各部間の要所に設けられ熱現像記録材料を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Fを備えている。
この熱現像記録装置200では、最下段に電源/制御部F、その上段に熱現像記録材料供給部A、更にその上段に画像露光部B'と、熱現像部Cと徐冷部Dと冷却部Eを配置した構成となっており、画像露光部B'と熱現像部Cとを隣接させた配置としている。
この構成によれば、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことができ、熱現像記録材料の搬送パス長を最短化し、1枚の出力時間を短縮することができる。また、1枚の熱現像記録材料に対して露光工程と熱現像工程との両工程を同時に実施することが可能となる。
熱現像記録材料供給部Aは、熱現像記録材料を一枚ずつ取り出して、熱現像記録材料の搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、三つの装填部10a、10b、10cと、各装填部にそれぞれ配置される供給ローラ対13a、13b、13cと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、三段構成となっている各装填部10a、10b、10cの内部には、異なる熱現像記録材料(例えば、B4サイズ、及び半切サイズなど)が収容されたマガジン15a、15b、15cが挿入され、各段に装填されたサイズや向きの、いずれかを選択的に使用できるようにしている。
なお、上記熱現像記録材料は、シート状に加工され、通常、100枚等の所定単位の積層体(束)とされ、袋体や帯等で包装されてパッケージとされている。パッケージはそれぞれマガジンに収容されて熱現像記録材料供給部Aの各段に装填される。
画像露光部B'は、熱現像記録材料供給部Aから搬送ガイド14bにて搬送されてきた熱現像記録材料に対して光ビームLを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像を熱現像記録材料に記録して潜像を形成する。画像露光部B'については、後述する。
次に、熱現像部Cについて説明する。
熱現像部Cは、熱処理を適用されるタイプの被熱処理熱現像記録材料を加熱するものであり、構成としては、図6に示すように、熱現像記録材料3を処理するのに必要な温度となる加熱体としての熱現像記録材料の移送方向に並ぶ複数のプレートヒータ51a、51b、51cを湾曲させ、かつ、これらのプレートヒータ51a、51b、51cを一連の円弧状配置としている。
即ち、このプレートヒータ51a、51b、51cを含む熱現像部Cの構成としては、図示されるように、各プレートヒータに凹面を設け、熱現像記録材料3をこのプレートヒータの凹面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときの熱現像記録材料3の移送手段として、供給ローラ53と、各プレートヒータから熱現像記録材料3への伝熱用でもある複数の押さえローラ55とを配設している。押さえローラ55はドラム52の周面に当接して、ドラム52の回転に従動して回転駆動される。これらの押さえローラ55としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等が利用できる。この構成により、搬送される熱現像記録材料3がプレートヒータ51a、51b、51cに押し付けられつつ搬送されるので、熱現像記録材料3の座屈を防止することができる。そして、熱現像部C内における熱現像記録材料3の搬送路の終端には、熱現像記録材料を移送する排出ローラ57が配設されている。
そして、熱現像部Cから配送された熱現像記録材料3は、徐冷部Dによってシワが発生しないように、かつ湾曲ぐせが付かないように注意しながら徐冷される。
徐冷部D内では、複数の徐冷ローラ対59が熱現像記録材料3の搬送経路に所望の一定曲率Rを与えるように配置されている。これは、熱現像記録材料3がその材料のガラス転移点以下に冷却されるまで一定の曲率Rにより搬送されるということであり、このように意図的に熱現像記録材料に曲率を付けることで、ガラス転移点以下に冷却される前に余計なカールが付かなくなり、ガラス転移点以下となれば、新たなカールが付くこともなく、カール量がばらつかない。
また、徐冷ローラ自体及び徐冷部Dの内部雰囲気を温度調節している。このような温度調節は、熱処理装置の立ち上げ直後と十分にランニングを行った後との状態をなるべく同様なものにし、濃度変動を小さくすることができる。
徐冷部Dでガラス転移点以下にまで冷却された熱現像記録材料3は、徐冷部Dの出口近辺に設けられた搬出ローラ対59により冷却部Eに搬送される。
冷却部Eには、冷却プレート61があり、ここでさらに冷却されて熱現像記録材料3を手にしても火傷をしない温度にまで下げられる。その後、排出ローラ対63によって排出トレイ16に排出される。
熱現像記録材料としては、熱現像感光材料又は感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像記録材料は、光ビーム(例えば、レーザビーム)によって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させる記録材料である。また、感光感熱記録材料は、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させるか、あるいは、レーザビームのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で定着する記録材料である。
ここで、レーザ画像露光部B'について具体的に説明する。
図7にレーザ画像露光部B'におけるシート状の熱現像記録材料を搬送するための副走査搬送部と、走査露光部の概略構成を示す構成図を示した。
レーザ画像露光部B'は、光ビーム走査露光によって熱現像記録材料を露光する部位であり、熱現像材料の搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部(副走査手段)17と、走査露光部(レーザ照射手段)19とを備えている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザを走査(主走査)させる。このとき熱現像記録材料を副走査搬送部17によって副走査方向に移動させる。
副走査搬送部17は、照射するレーザ光Lの主走査ラインを挟んで、軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、熱現像記録材料3を支持するガイド板23を備えている。ガイド板23は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される熱現像記録材料3を、並設されたこれら駆動ローラ同士間の外側で該駆動ローラ周面の一部に沿って撓ませるスロープ部25、26と、駆動ローラ同士間で熱現像記録材料の撓みによる弾性反発力を当接して受け止める略水平な面からなる押し当て部29が設けられている。
熱現像記録材料3は、スロープ部25を滑り落ちるように進入し、略水平面である押し当て部29を通過する搬送経路となるが、この搬送力を付与するのが、ガイド板23に対応して設けられた駆動ローラ21である。
スロープ部25は、押し当て部29との境界部分で屈曲して接続された傾斜面であり、このスロープ部25と押し当て部29との交差角度φは、0°〜45°の範囲に設定されている。そして、搬送下流側のスロープ部26についても同様に形成され、押し当て部29に対して上記交差角度φの傾斜面が設けられている。なお、0°より大きな交差角度φで屈曲させた傾斜面は少なくとも搬送方向上流側に設けてあればよい。
駆動ローラ21は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を、歯車やベルト等の伝達手段を介して受け、図7の時計回り方向へ回転するようになっている。なお、この駆動ローラ21と同一構成の駆動ローラ22を、スロープ部26と押し当て部29との境界位置に、熱現像記録材料3の排出用として設けている。
ここで、駆動ローラ21を例に取り説明すると、駆動ローラ21は押し当て部29とスロープ部25との境界部分である屈曲部31に対向配置されている。この駆動ローラ21のガイド板23に対する配置位置は、図8に模式的に一部拡大して示す側面図に見られるように、ガイド板23の屈曲部(角度変更点)31を通り、ガイド板の内角(180°−φ)を2等分する直線Mが、駆動ローラ21の中心を通ることが好ましい。なお、駆動ローラ21の直径とガイド板23の長さの関係については別段制約はない。
また、駆動ローラ21は、その周面がガイド板23との間で所定の隙間Gが形成されるように配置されている。この隙間Gは、熱現像記録材料3の肉厚寸法tに対して同一乃至10倍の厚さ(t≦G≦10t)とすることが好ましい。
ガイド板23を熱現像処理部とする場合、ガイド板23の表面を繊維で覆い、加熱したガイド板23から熱現像記録材料3への熱付与を最適値に調整することもできる。この場合、駆動ローラ21の周面と、繊維の先端とで形成される間隙は、記録材料が繊維の先端部を倒して搬送するため、見かけ上、0であってもよい(図7参照)
上記副走査搬送部17の構成において、スロープ部25の先端から熱現像記録材料3が進入すると、ガイド板23と駆動ローラ21との間に熱現像記録材料3の先端が入り込む。このとき、ガイド板23の押し当て部29とスロープ部25とが所定の角度φで屈曲されているため、熱現像記録材料3がスロープ部25から押し当て部29に移るときに撓み、この撓みにより熱現像記録材料自身に弾性反発力が発生する。この弾性反発力により、熱現像記録材料3と駆動ローラ21との間に所定の摩擦力が生じ、駆動ローラ21から熱現像記録材料3へ確実に搬送駆動力が伝達され、熱現像記録材料3が搬送される。なお、駆動ローラ21および22の摩擦係数は、ガイド板23の記録材料接触面の摩擦係数より大きい。
また、上記スロープ部25(26)の傾斜角度Φは、熱現像記録材料3の剛性に依存する。例えば、FCR9000(商品名、富士写真フイルム(株)販売)に使用されるイメージング・プレート(IP)や感光性平版印刷版であるアルミニウム板などは剛性が大きいので、傾斜角度Φは小さく、熱現像記録材料(フイルムベースを使用)や銀塩写真感光材料(樹脂コート紙を使用)などは剛性が小さいので、傾斜角度Φは大きくなる。傾斜角度Φは、熱現像記録材料3の剛性に依存する。熱現像記録材料3が例えば厚さ175μmのフイルムベース使用の場合には、傾斜角度Φは10°〜30°、隙間Gは1t〜5tであればよい。
そして、スロープ部26及び駆動ローラ22により、ガイド板23からの熱現像記録材料3の排出時においても、熱現像記録材料3の屈曲による弾性反発力により駆動ローラ22との間で所定の摩擦力が生じ、確実に搬送されるようになる。
また、押し当て部29においては、熱現像記録材料3の弾性反発力によって熱現像記録材料3が押し当て部29に押し付けられて、熱現像記録材料3の搬送面からのばたつき、即ち、上下方向のばたつきが抑制される。この駆動ローラ同士間の熱現像記録材料3に向けてレーザ光Lを照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。
一方、走査露光部19は、図7に示すように、画像信号に応じて変調したレーザ光Lを主走査方向に偏向して、所定の記録位置Xに入射するものであって、熱現像記録材料の分光感度特性に応じた狭帯波長域のレーザ光(波長350nm〜900nm)を出射するレーザ光源35と、レーザ光源35を駆動する記録制御装置37と、シリンドリカルレンズ39と、光偏光器であるポリゴンミラー41と、fθレンズ43と、立ち下げ用のシリンドリカルミラー45とを備えている。
なお、走査露光部19には、これ以外にもレーザ光源35から出射された光ビームを成形するコリメータレンズやビームエキスパンダ、面倒れ補正光学系、光路調整用ミラー等、公知の光ビーム走査露光装置に配置される各種光学系部材が必要に応じて配置される。なお、レーザ光の熱現像記録材料3上における記録ビーム径は、φ50〜φ200μmに設定している。特に副走査方向の記録ビーム径は、干渉領域を縮小するため小さい方が好ましい。
ここで、露光方式としてはパルス幅変調によって画像記録を行う。記録制御装置37は、記録画像に応じてレーザ光源35をパルス幅変調して駆動し、記録画像に応じてパルス幅変調された光ビームを出射させる。レーザ光源35から出射されたレーザ光Lは、ポリゴンミラー41によって主走査方向に偏向され、fθレンズ43によって記録位置Xで結像するように調光され、シリンドリカルミラー45によって光路を選択されて記録位置Xに、所定の入射角度θiで入射される。即ち、熱現像記録材料3の法線方向と副走査方向(搬送方向)に平行な面内で、熱現像記録材料3の法線から副走査方向へ4°〜15°の傾斜を有する入射角度θiで、熱現像記録材料3に向けてレーザ光Lを照射する。
このように、図6の医療用画像形成システムによれば、CTやMRIなど各種医療用画像診断装置の画像をプリントするドライレーザーイメージャの新製品として、高速・大量処理、クリーンな環境を実現でき、フィルムプリントのドライ化による効率アップと作業環境の改善に貢献することができた。
主な特長は、超高速処理で、フィルム搬送機構により、1枚目フィルム出力時間約65秒、半切サイズ約180枚/時の超高速処理を実現し、立ち上げ時間もパワーセーブモードの待機状態からわずか10分、緊急時にも速やかにプリント可能となった。また、使いやすさも、最大3トレイを装備することができ、六切サイズから半切サイズまで、各種画像診断装置の多様なフィルムサイズ要求に対応可能となり、人目で分かり易いカラー液晶表示、フィルム補給などの操作手順のアニメーション表示を採用、誰でも・簡単に・安心して使えるようにしてあり、さらに、環境に対する配慮として、クリーンな環境を目指しており、従来、有機溶剤が不可欠といわれていた熱現像感光材料の塗布を水で行う本出願人による「水系塗布技術」を用いて製造されたドライ画像記録用フィルムの使用で画像記録時や読影診断時、保管などの際にも、気になる臭気を発生することなく、快適な作業環境を実現できるようになった。
ところが、露光はレーザ光源による露光であるため、レーザ光源による露光は、ポリゴンミラーを使用し、また、光学的レンズ系を使用して、レーザビームを振る必要があることから装置内に広いスペースを必要とした。
一方、レーザ光源を用いる代わりに有機エレクロトルミネッセンス発光素子(以後、「有機EL発光素子」という。)の発光素子をアレイ状に配置した記録装置は公知である(例えば特許文献2参照)。
これは発光素子に起因した発光不良部の救済をするための発明で、発光デバイスを構成する複数の有機EL発光素子が画像情報に応じで選択されて発光し、選択された発光素子は副走査方向の全幅が発光し、この発光はスリットにより副走査方向の幅を所望の幅にされ、セルフォックレンズアレイの結像特性により記録面であるドラム状の画像担持体に照射され電子写真プロセスにより所望の画像情報を得るというものである。
この記録装置は感光ドラムによるトナーの転写紙への画像転写方式の記録装置であってフィルムを露光する本発明に係る記録装置とは異なるものであるが、本出願人はレーザ光に替えてこの有機EL発光素子を用いる熱現像装置に適用した。
図9は本出願人が試作した有機EL発光素子を用いる熱現像装置の画像露光部である。図9において、711a、bは熱現像記録材料Pを支持するガイド板、712a、bは軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ、713はEL発光素子714を一列にライン配置した有機EL発光装置、715はスリットである。そして、有機EL発光装置713の有機EL発光素子714側をスリット715に対向させて配置して、画像露光部を構成している。
この画像露光部の動作は次のようになる。
熱現像記録材料Pが駆動ローラ712aによってガイド板711a上をスリット715の方向へ搬送される。そして、熱現像記録材料Pがスリット715の上まで来ると、有機EL発光装置713の有機EL発光素子714のうち画像データに従って発光させたい素子のみ発光させ(主走査方向)、熱現像記録材料Pの上に潜像を形成する。スリット715は有機EL発光素子714の光が反射しないようにするために設けてある。次いで、駆動ローラ712a、712bによって熱現像記録材料Pを1ピッチ進め(副走査方向)、再び、EL発光装置713の有機EL発光素子714のうち画像データに従って発光させたい素子のみ発光させる(主走査方向)。以下、これを繰り返す。
そして所望の潜像画像が形成されたら、熱現像記録材料Pは駆動ローラ712bによって搬出され、次段の熱現像部Cへ送られる。
有機EL発光素子のこのような構成の画像露光部の場合、有機EL発光装置713がガイド板711a、bの上の、かつガイド板711a、bのスロープの最下部に位置しているので、熱現像記録材料Pなどの塵埃が有機EL発光素子714に付着し易く、これのクリーニング等のメンテナンスが面倒であった。
また、スリット715があるために、熱現像記録材料Pが有機EL発光素子714に密着し難く、鮮明な画像が得られないことが起った。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、従来のレーザ露光部と比べて大幅な小型化を可能とし、かつ試作の有機EL発光素子を使用した露光部と比べても、メンテナンスの簡単で、鮮明な画像が得られる露光部を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の熱現像装置の発明は、前記画像露光部が、前記熱現像記録材料の搬送路を挟んで一方の側に配置されるプレート状のガイド板と、他方の側に配置され、各々の軸線が前記搬送路に略平行でありかつ搬送方向に略直角に交差する2つの駆動ローラと、を含む副走査方式であり、該ガイド板に発光素子を主走査方向に複数個埋め込んだことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱現像装置において、前記発光素子が有機EL又は発光ダイオードであることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の熱現像装置において、前記画像露光部に搬送された前記熱現像記録材料に対して前記発光素子の反対側に押さえローラを設けたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の熱現像装置において、前記押さえローラが黒色系のゴムローラであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載の熱現像装置において、前記画像露光部に搬送された前記熱現像記録材料に対して前記発光素子の反対側にも発光素子を設けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の熱現像装置において、前記熱現像記録材料に対して両側に位置する前記2つの発光素子群は互いに異なる波長の光を発するものであることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項項1〜6のいずれか1項記載の熱現像装置において、前記ガイド板を一定温度に温度調節する温度調節装置を備えたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の熱現像装置において、前記ガイド板にヒートシンクを取り付けたことを特徴とする。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る画像露光部の搭載された熱現像記録装置の概略構成図である。図1において、100は熱現像記録装置で、この熱現像記録装置100は、湿式の現像処理を必要としない熱現像記録材料を用い、レーザ光からなる光ビームによる走査露光によって熱現像記録材料を露光して潜像を形成した後に、熱現像を行って可視像を得、その後常温まで徐冷・冷却する装置である。基本的に、熱現像記録材料の搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、徐冷部Dと、冷却部Eを備えており、また、各部間の要所に設けられ熱現像記録材料を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Fを備えている。
この熱現像記録装置100では、最下段に電源/制御部F、その上段に熱現像記録材料
供給部A、更にその上段に画像露光部Bと熱現像部Cと徐冷部Dと冷却部Eを配置した構成となっており、画像露光部Bと熱現像部Cとを隣接させた配置としている。
この構成によれば、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことができ、熱現像記録材料の搬送パス長を最短化し、1枚の出力時間を短縮することができる。また、1枚の熱現像記録材料に対して露光工程と熱現像工程との両工程を同時に実施することが可能となる。
熱現像記録材料としては、熱現像感光材料又は感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像記録材料は、光によって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させる記録材料である。また、感光感熱記録材料は、光によって画像を記録し、その後、熱現像して発色させるか、画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で定着する記録材料である。
画像露光部Bは、本発明に係るもので、熱現像記録材料供給部Aから搬送ガイド14bにて搬送されてきた熱現像記録材料に対して光を主走査方向に一斉露光し、また、主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像を熱現像記録材料に記録して潜像を形成する。
ここで、本発明に係る画像露光部Bの各実施例について説明する。
<第1の実施例>
図2は本発明の第1の実施例に係る画像露光部の斜視図である。
図2において111は熱現像記録材料Pを支持するガイド板、112a、bは軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ、114は多数個の有機ELを1列にライン配置した有機EL発光装置である。有機EL発光素子は、発光材料として用いる有機材料を選択することにより容易に可視域をすべてカバーすることができ、近年、高輝度・高効率な材料が多く開発されている。素子の寿命も連続動作で1万時間を超えている。図から判るように、このような有機EL発光装置114をガイド板111の中に埋め込んでいるのが特徴である。
この画像露光部の動作は次ぎのようになる。
熱現像記録材料Pが駆動ローラ112aによってガイド板111上を中心方向へ搬送されると、有機EL発光装置114の有機EL発光素子のうち画像データに従って発光させたい素子のみ発光させ(主走査方向)、熱現像記録材料Pの上に潜像を形成する。本発明においては図9のようなスリット115がなく、かつガイド板111が湾曲していてしかも駆動ローラ112a、112bによって熱現像記録材料Pをその湾曲側に押し付ける方向に搬送しているので、熱現像記録材料Pが有機EL発光素子114に密着するため、鮮明な画像が得られることとなる。
また、有機EL発光装置114はガイド板111の中に埋め込んであり、ガイド板111の表面がほぼツライチとなっているので、クリーニングが簡単にでき、メンテナンスがし易くなる。
<第2の実施例>
図3は本発明の第2の実施例に係る画像露光部の斜視図である。
図3において111は熱現像記録材料Pを支持するガイド板、112a、bは軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ、114は多数個の有機EL発光素子を1列にライン配置した有機EL発光装置で、有機EL発光装置114はガイド板111の中に埋め込まれている。ここまでは第1実施例と同じである。
そして第2の実施例によれば、図から判るように、記録装置に搬送された熱現像記録材料Pに対して有機EL発光装置114の反対側に押さえローラ112cを設けたことを特徴としている。
また、押さえローラ112cとして、黒色系のゴムローラとすることにより、有機EL発光素子の光が押さえローラ112c側に到来しても、光を吸収するため、反射しないようにできる。また、ゴム製であるのでスリップし難くなる。
この画像露光部の動作は次ぎのようになる。
熱現像記録材料Pが駆動ローラ112aによってガイド板111上を中心方向へ搬送されると、有機EL発光装置114の有機EL発光素子のうち画像データに従って発光させたい素子のみ発光させ(主走査方向)、熱現像記録材料Pの上に潜像を形成する。その際、押さえローラ112cが熱現像記録材料Pをガイド板111上に押さえているので、熱現像記録材料Pが有機EL発光素子114により強く密着するため、第1実施例よりさらに鮮明な画像が得られることとなる。
<第3の実施例>
図4は本発明の第3の実施例に係る画像露光部の斜視図である。
図4において111は熱現像記録材料Pを支持するガイド板、112a、bは軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ、114は多数個の有機EL発光素子を1列にライン配置した有機EL発光装置で、有機EL発光装置114はガイド板111の中に埋め込まれている。ここまでは第1実施例と同じである。
そして第3の実施例によれば、図から判るように、有機EL発光装置114の他に、多数個の有機EL発光素子を1列にライン配置した有機EL発光装置114'を、熱現像記録材料Pに対して有機EL発光装置114の反対側に設けたことを特徴としている。
そしてこの場合、有機EL発光素子114と有機EL素子114'とは波長の異なるものとするのがよい。例えば、有機EL発光素子114の波長をM(nm)とし、有機EL発光素子114'の波長をN(nm)としておき、熱現像記録材料Pの有機EL発光素子114側に接する面に短波長M(nm)のあたりに感度を有する感材を塗布しておき、有機EL発光素子114'側に接する面にN(nm)のあたりに感度を有する感材を塗布しておく。
第3の実施例に係る画像露光部でこの熱現像記録材料Pを露光すると、有機EL発光素子114の光がその接する面を露光し、その後透過して熱現像記録材料Pの反対面にまで達したとしても反対面の感材の有する波長が異なるのでここを露光することはない。同じく、逆に有機EL発光素子114'の光がその接する面を露光し、その後透過して反対面まで達したとしても反対面の感材を露光することはない。従って、画像のカブリのない鮮明な同一が画像が熱現像記録材料Pの表裏にそれぞれ記録されるので、見易い画像が得られることとなる。
<第4の実施例>
図5は本発明の第4の実施例に係る画像露光部の斜視図である。
図5において111は熱現像記録材料Pを支持するガイド板、112a、bは軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ、114は多数個の有機EL発光素子を1列にライン配置した有機EL発光装置で、有機EL発光装置114はガイド板111の中に埋め込まれている。ここまでは第1実施例と同じである。
そして第4の実施例によれば、図から判るように、有機EL発光装置114の埋められたガイド板111の近傍に加熱ヒータ115とこの加熱ヒータの温度を調節する温度制御装置116を介して電源に接続するようにしている。この記録装置には図示してない温度センサによって、有機EL発光装置114の温度が検出され、この検出値が温度制御装置116に送られ、ここで所定の設定値と比較されて、その差(誤差)が解消されるように温度制御される。
なお、ここでは温度制御装置116を専用の温度制御装置として用いているが、制御部FのCPUに温度制御を兼用させることも可能である。
さらに、ガイド板111には、加熱ヒータ115と温度制御装置116の他に、冷却ファン117から成るヒートシンクも取り付けられていて、常時冷却され、加熱時にのみ加熱するようにして、温度を所定値に維持するようにしている。
また、冷却ファン117に替えて、ペルチェ素子によるヒートシンクを用いると、冷却効果はさらに向上する。
以上の実施例では、有機EL発光素子の例で示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発光ダイオードのような半導体発光素子でも勿論構わない。
以上のように、本発明によれば、画像露光部がガイド板副走査方式のガイド板に有機EL発光素子又は発光ダイオードを主走査方向に複数個埋め込んだので、画像ようの複数の発光素子を同時に発光させるだけで主走査方向の記録が同時に出来るようになるため、従来のレーザ露光のようなスキャンと比べて高速露光が可能となるばかりか、スキャンを行う必要がないのでポリゴンミラー等を使ったレーザビームを振る広いスペースを必要としなくなる。従って、装置全体も低くすることができ、図6の従来装置における排出ローラ対63から排出トレイ16に排出される部分を、図1の装置に図示した高さhまで低くすることができるようになる。
また、図6の従来装置では、レーザビームを入射する空きスペースを熱現像記録材料の上部に設けておく必要があるため、熱現像記録材料の押さえ手段が真上に配置できず、したがって熱現像記録材料がガイド板の記録点で浮き上がることがしばしば起き、その場合、画像ボケの記録欠陥を生じることとなった。
本発明によれば、発光素子の反対側にゴムローラを設置したので、熱現像記録材料を確実に押圧することができ、また、ゴムローラを黒色系とすることで反射も抑制することができ、鮮明な画像が得られることとなる。
また、有機EL発光素子をガイド板に埋め込んだので、出っ張りが無くなりクリーニングが簡単にでき、メンテナンスがし易くなる熱現像記録装置が得られる。
そして、熱現像記録材料に対して両側に発光素子群を配置し、しかも互いに異なる波長の光を発するものとしているので、画像のカブリのない鮮明な同一画像が熱現像記録材料
Pの表裏にそれぞれ記録され、見易い画像が得られることとなる。
また、ガイド板を一定温度に温度調節する温度調節装置とヒートシンクを設けたので、画像露光部を所定の温度に正確に維持することができ、安定した画像が得られる。
本発明に係る画像露光部の搭載された熱現像記録装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施例に係る画像露光部の斜視図である。 本発明の第2の実施例に係る画像露光部の斜視図である。 本発明の第3の実施例に係る画像露光部の斜視図である。 本発明の第4の実施例に係る画像露光部の斜視図である。 従来の画像露光部の搭載された熱現像記録装置の概略構成図である。 従来のレーザ画像露光部における熱現像記録材料を搬送する副走査搬送部と走査露光部の概略構成を示す構成図である。 駆動ローラのガイド板に対する配置位置を模式的に示す一部拡大図である。 本発明の試作に係る画像露光部の斜視図である。
符号の説明
A 熱現像記録材料供給部
B 画像露光部
C 熱現像部
D 徐冷部
E 冷却部
F 電源/制御部
P 熱現像記録材料
111 ガイド板
112a、b 駆動ローラ
112c、 押さえローラ
114、114' 有機EL発光装置
115 加熱ヒータ
116 温度制御装置
117 冷却ファン(ヒートシンク)

Claims (8)

  1. 画像露光部において熱現像感光材料又は感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料に対して光を与えて潜像を形成し、熱現像部において前記潜像に熱を加えて現像する熱現像装置において、
    前記画像露光部が、前記熱現像記録材料の搬送路を挟んで一方の側に配置されるプレート状のガイド板と、他方の側に配置され、各々の軸線が前記搬送路に略平行でありかつ搬送方向に略直角に交差する2つの駆動ローラと、を含む副走査方式であり、該ガイド板に発光素子を主走査方向に複数個埋め込んだことを特徴とする熱現像装置。
  2. 前記発光素子が有機EL又は発光ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の熱現像装置。
  3. 前記画像露光部に搬送された前記熱現像記録材料に対して前記発光素子の反対側に押さえローラを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱現像装置。
  4. 前記押さえローラが黒色系のゴムローラであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱現像装置。
  5. 前記画像露光部に搬送された前記熱現像記録材料に対して前記発光素子の反対側にも発光素子を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱現像装置。
  6. 前記熱現像記録材料に対して両側に位置する前記2つの発光素子群は互いに異なる波長の光を発するものであることを特徴とする請求項5記載の熱現像装置。
  7. 前記ガイド板を一定温度に温度調節する温度調節装置を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の熱現像装置。
  8. 前記ガイド板にヒートシンクを取り付けたことを特徴とする請求項7記載の熱現像装置。
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