JP2004064704A - 熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置 - Google Patents

熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置 Download PDF

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小島 徹也
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Abstract

【課題】良好なシェーディング補正機能を確保しつつ装置のコストダウンを図る。
【解決手段】熱現像記録装置100の出荷前調整時に、連続記録パターンFpを出力し、この連続記録パターンFpの記録濃度を記録濃度測定ユニットにより測定し、各画素に対するシェーディング補正テーブルを作成して、このシェーディング補正テーブルを記憶部に登録する一方、熱現像記録装置100を記録濃度測定ユニットを搭載せずに出荷した後、離散記録パターンUpを出力し、この離散記録パターンUpの記録濃度を離散記録位置毎に測定し、シェーディング補正テーブルを作成して、記憶部へ登録したシェーディング補正テーブルを更新するようにした。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像記録材料に対してレーザ光を露光した後に熱現像する熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、レーザー・イメージセッター又はレーザー・イメージャーにより効率的に露光させることができ、高解像度及び鮮鋭さを有する鮮明な黒色画像を形成することができる医療診断用及び写真技術用途の光感光性熱現像写真材料に関する技術が必要とされている。これら光感光性熱現像写真材料は、溶液系処理化学薬品の使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】
一般画像形成材料の分野でも同様の要求はあるが、医療用画像は微細な描写が要求されるため、鮮鋭性、粒状性に優れる高画質が必要である上、診断のし易さの観点から冷黒調の画像が好まれる特徴がある。現在、インクジェットプリンター、電子写真等顔料、染料を利用した各種ハードコピーシステムが一般画像形成システムとして流通しているが、医療用画像の出力システムとしては満足できるものがない。
【0004】
これに対して近年、湿式処理を行うことがないドライシステムによる記録装置が注目されている。このような記録装置では、感光性及び感熱性記録材料(感光感熱記録材料)又は熱現像感光材料のフィルムが用いられている。以下、この材料を「熱現像記録材料」又は「熱現像感光材料」と言う。また、このドライシステムによる記録装置では、露光部において熱現像記録材料にレーザ光を照射(走査)して潜像を形成し、その後、熱現像部において熱現像記録材料を加熱手段に接触させて熱現像を行い、その後、冷却し、画像が形成された熱現像記録材料を装置外に排出している。このよう等ライシステムは、湿式処理に比べて廃液処理の問題を解消することができる。
【0005】
上記のような有機銀塩を利用した熱画像システムが、例えば、米国特許3152904号、同3457075号の各明細書及びB.シェリィー(Shely)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed Silver Systems )」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processesand Materials)Neblette第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第2頁、1996年)に記載されている。特に、熱現像記録材料は、一般に、触媒活性量の光触媒(例、ハロゲン化銀)、還元剤、還元可能な銀塩(例、有機銀塩)、必要により銀の色調を制御する色調剤を、バインダーのマトリックス中に分散した感光性層を有している。熱現像記録材料は、画像露光後、高温(例えば80℃以上)に加熱し、ハロゲン化銀あるいは還元可能な銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応により、黒色の銀画像を形成する。酸化還元反応は、露光で発生したハロゲン化銀の潜像の触媒作用により促進される。そのため、黒色の銀画像は、露光領域に形成される。米国特許2910377号、特公昭43−4924号をはじめとする多くの文献に開示され、そして熱現像記録材料による医療用画像形成システムとして富士メディカルドライイメジャーFM−DPLが発売された。
【0006】
有機銀塩を利用した熱画像形成システムの製造においては、溶剤塗布により製造する方法と、主バインダーとしてポリマー微粒子を水分散として含有する塗布液を塗布・乾燥して製造する方法がある。後者の方法は溶剤の回収等の工程が不要なため製造設備が簡単であり、かつ大量生産に有利である。
【0007】
ところで、このような熱現像方式の画像記録においては、均一濃度の記録を行っても、記録装置の個体特性によって主走査方向に記録濃度ムラが生じる、いわゆるシェーディングが発生し、記録画像の画質が低下してしまうという問題がある。その原因としては、露光用のレーザビームを走査するポリゴンミラーの反射率のバラツキやレンズの透過率のバラツキ等、あるいは、熱現像部の温度ムラ等が考えられる。
【0008】
このようなシェーディングによる画質の低下を防止するために、シェーディングによる記録濃度ムラを補正する、いわゆるシェーディング補正が行われている。このシェーディング補正は、例えば、特開平11−38517号公報にも開示されており、以下のようにして行われる。まず、主走査方向に均一な濃度の画像データによる記録を行い、記録された画像の濃度を、記録装置に内蔵された濃度計によって主走査方向に沿って連続的に測定する。そして、全画素の記録濃度分布が均一となるようなシェーディング補正データ(補正条件)を画素毎に算出して、各画素に対応するシェーディング補正データをまとめたシェーディング補正テーブルを作成する。実際の画像記録の際には、画像データ供給源から供給された画像データを、シェーディング補正テーブルから読み出したシェーディング補正データを用いて各画素に対して補正処理することにより、シェーディング補正が行われる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この種の記録装置には、上記のようなシェーディング補正を行うために、記録画像の濃度を主走査方向へ連続的に記録濃度を測定する記録濃度測定ユニットが記録装置に内蔵させていた。この記録濃度測定ユニットは、記録媒体に対して主走査方向にわたって均一に光を照射する光源と、この照射された光源からの光が記録媒体表面で反射された光を主走査方向にわたって検出する受光素子とから構成された高精度かつ高価なものである。
ところで、このようなシェーディング補正は、記録装置を使用するユーザ側においても定期的に行うことが要求されている。ただ、記録装置の出荷前に、上記した濃度測定ユニットにシェーディング補正を一度行っておけば、その後はそれほど大きな記録濃度のムラは生じることがない。
従って、さほど精度が要求されない出荷後におけるシェーディング補正のために、高精度かつ高価な濃度測定ユニットを内蔵させることは無駄が多く、装置自体の低コスト化が図れないという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、良好なシェーディング補正機能を確保しつつ、高精度かつ高価な濃度測定ユニットを搭載することによるコストアップを抑制できる熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明に係る請求項1記載の熱現像記録装置のシェーディング補正方法は、 熱現像感光材料または感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料をレーザ光に露光して熱現像記録材料に潜像を形成し、該潜像の形成された熱現像記録材料を熱現像手段により熱現像する熱現像記録装置のシェーディング補正方法であって、前記熱現像記録装置の出荷前調整時に、連続記録パターンを出力し、この連続記録パターンの記録濃度を記録濃度測定ユニットにより測定し、各画素に対するシェーディング補正テーブルを作成して、このシェーディング補正テーブルを記憶部に登録する一方、前記熱現像記録装置を前記記録濃度測定ユニットを搭載せずに出荷した後、離散記録パターンを出力し、この離散記録パターンの記録濃度を離散記録位置毎に測定し、シェーディング補正テーブルを作成して、前記記憶部へ登録したシェーディング補正テーブルを更新することを特徴とする。
【0012】
この熱現像記録装置のシェーディング補正方法では、記録濃度測定ユニットを用いて連続記録パターンの記録濃度を精密に測定してシェーディング補正を行った後に、このシェーディング補正を行う際に用いた高精度かつ高価な記録濃度測定ユニットを取り外し、これを搭載せずに出荷する。出荷後は、離散記録パターンを出力させて、例えば、市販の安価な濃度計を用いて記録濃度を離散記録位置毎に求め、シェーディング補正を行うようにしたので、熱現像記録装置自体の低コスト化が図られる。また、出荷後のシェーディング補正は、離散記録された位置毎に濃度測定を行うだけで済み、記録濃度測定が簡単となる。
【0013】
請求項2記載の熱現像記録装置のシェーディング補正方法は、前記連続記録パターン及び前記離散記録パターンを、複数の中間調濃度を含む記録濃度で記録し、各記録濃度間を補間処理することで全階調濃度のシェーディング補正を行うことを特徴とする。
【0014】
この熱現像記録装置のシェーディング補正方法では、複数の中間調濃度を含む記録濃度で記録し、各記録濃度間を補間処理することで全階調濃度のシェーディング補正が可能となり、より正確なシェーディング補正を行うことができる。
【0015】
請求項2記載の熱現像記録装置は、熱現像感光材料または感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料をレーザ光に露光して熱現像記録材料に潜像を形成し、該潜像の形成された熱現像記録材料を熱現像手段により熱現像する熱現像記録装置であって、出力したシェーディング補正用パターンの記録濃度の測定結果に基づいてシェーディング補正用テーブルを作成し、熱現像時の濃度補正を行う制御部を有し、該制御部が、記録面へ連続的に記録されたシェーディング補正用パターンの画素毎の記録濃度を測定する第1の記録濃度測定手段と、記録面へ離散的に記録されたシェーディング補正用パターンの各離散記録位置における記録濃度を測定する第2の記録濃度測定手段からの記録濃度の測定結果を入力する接続部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この熱現像記録装置では、記録装置の出荷前に、記録面へ連続的に記録されたシェーディング補正用パターンに対して、画素毎の記録濃度を測定する精密な第1の記録濃度測定手段を用いて高精度にシェーディング補正を行うことができる。また、出荷後には、記録面へ離散的に記録されたシェーディング補正用パターンに対して、離散記録位置毎の記録濃度を測定する第2の記録濃度測定手段を用いて簡便的にシェーディング補正を行うことができる。これにより、熱現像記録装置に高価な記録濃度測定ユニットを搭載する必要がなくなり、コストダウンを図ることができる。また、出荷後のシェーディング補正は、離散記録された位置毎に濃度測定を行うだけで済み、記録濃度測定が簡単となる。
なお、工場出荷時における調整として、連続記録パターンによる高精度なシェーディング補正と、離散記録パターンによる簡易シェーディング補正とを選択的に設定可能な構成としてもよく、その場合には、どちらか一方の補正、或いは両方の補正を実施してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に本発明に係る熱現像記録装置の概略側面図を示す。この熱現像記録装置100は、概略的には、湿式の現像処理を必要としない熱現像記録材料を用い、レーザ光からなる光ビームLによる走査露光により熱現像記録材料を露光して潜像を形成した後に、熱現像を行って可視像を得、その後常温まで冷却して出力する装置である。
【0018】
この熱現像記録装置100は、基本的に、熱現像記録材料の搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとを備えており、また、各部間の要所に設けられ熱現像記録材料を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。この熱現像記録装置100では、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、更にその上段に画像露光部Bと熱現像部Cと冷却部Dとを配置した構成となっており、画像露光部Bと熱現像部Cとを隣接させた配置としている。この構成では、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行え、熱現像記録材料の搬送パス長を最短化し、1枚の出力時間を短縮できる。また、1枚の熱現像記録材料に対して露光工程と熱現像工程との両工程を同時に実施することを可能にしている。
【0019】
熱現像記録材料としては、熱現像感光材料又は感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像感光材料は、光ビーム(例えば、レーザビーム)によって画像を記録(走査露光)し、その後、熱現像して発色させる記録材料である。また、感光感熱記録材料は、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させるか、あるいは、レーザビームのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で定着させる記録材料である。
【0020】
熱現像記録材料供給部Aは、熱現像記録材料を一枚ずつ取り出して、熱現像記録材料の搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、上下3段の装填部10a、10b、10cと、各装填部にそれぞれ配置された供給ローラ対13a、13b、13cと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成されている。3段構成の装填部10a、10b、10cには、異なるサイズや異なる向きの熱現像記録材料(例えばB4サイズや半切サイズ等)を収容したマガジン15a、15b、15cが挿入され、各段に装填されたサイズや向きの違う熱現像記録材料を選択的に使用できるようにしている。
【0021】
なお、上記熱現像記録材料は、シート状に加工され、通常、100枚等の所定単位の積層体(束)とされ、袋状や帯状で包装されてパッケージとされている。パッケージはそれぞれマガジンに収容されて、熱現像記録材料供給部Aの各段に装填される。
【0022】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきた熱現像記録材料に対して光ビームLを主走査方向(図1の紙面垂直方向)に走査露光し、また、主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に熱現像記録材料を搬送することで、所望の画像を熱現像記録材料に記録して潜像を形成する。
【0023】
熱現像部Cは、走査露光後の熱現像記録材料を搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後の熱現像記録材料を冷却し、排出トレイに排出する。
【0024】
この画像露光部Bは、具体的には、熱現像記録材料が上面を滑り移動するガイド板23と、ガイド板23の上面に熱現像記録材料を押さえ付けながら搬送する2つの駆動ローラ21と、2つの駆動ローラ21間のスペースにおいて熱現像記録材料に光ビームLを走査露光する走査露光部19とを備えている。
【0025】
また、熱現像部Cは、熱処理が適用されるタイプの被熱処理熱現像記録材料を加熱するものであり、構成としては、図1に示すように、熱現像記録材料3を処理するのに必要な温度となる加熱体として、熱現像記録材料の移送方向に並ぶ複数のプレートヒータ51a,51b,51cを湾曲させ、かつ、これらのプレートヒータ51a,51b,51cを一連の円弧状配置としている。
【0026】
即ち、このプレートヒータ51a,51b,51cを含む熱現像部Cの構成としては、図示されるように、各プレートヒータに凹面を設け、熱現像記録材料3をこのプレートヒータの凹面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときの熱現像記録材料3の移送手段として、供給ローラ53と、各プレートヒータから熱現像記録材料3への伝熱用でもある複数の押さえローラ55とを配設している。押さえローラ55はドラム52の周面に当接して、ドラム52の回転に従動して回転駆動される。これらの押さえローラ55としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等が利用できる。そして、熱現像部C内における熱現像記録材料3の搬送路の終端には、熱現像記録材料を移送する排出ローラ57が配設されている。
【0027】
この構成により、搬送される熱現像記録材料3がプレートヒータ51a,51b,51cに押し付けられつつ搬送されるので、熱現像記録材料3の座屈が防止される。
そして、熱現像部Cから搬出された熱現像記録材料3は、冷却部Dによってシワが発生しないように、かつ湾曲ぐせが付かないように注意しながら冷却される。冷却部Cから排出された熱現像記録材料3は搬送路途中に設けられた冷却ローラ対59によりガイドプレート61内に案内され、さらに、排出ローラ対63から排出トレイ16に排出される。
なお、上記熱現像記録装置100には、図示は省略するが、記録後の画像に対する記録濃度を測定する記録濃度測定ユニットが、熱現像記録装置100とは別体として接続部に接続される。
【0028】
図2は上記熱現像記録装置100の記録制御系の構成を示すブロック図である。記録制御系は、基本的に、入力される画像データをシェーディング補正する等の露光条件を制御する制御部50と、シェーディング補正のための各種データ(シェーディング補正テーブル等)を記憶する記憶部49と、シェーディング補正された画像信号を受けて熱現像記録材料へ露光光を出射する走査露光部19とを備えている。
【0029】
制御部50には、熱現像記録材料の記録濃度を測定する光源31及び受光素子32を有する前述した記録濃度測定ユニット(第1の記録濃度測定手段)30がコネクタ(接続部)33を介して接続され、測定した記録濃度値を入力するようになっている。
また、この熱現像記録装置100には、制御部50に繋がる外部端子(接続部)34が設けられており、この外部端子34には、例えば市販の濃度計36(第2の記録濃度測定手段)の接続端子37が接続され、測定した記録濃度値を入力するようになっている。この濃度計36は、測定個所にプローブ35を接触させることにより、その接触箇所の濃度を検出する簡易測定用のものである。
【0030】
ここで、本発明に係るシェーディング方法について詳細に説明する。
図3にシェーディング補正の手順を表すフローチャートを示した。記録画像の濃度は、レーザ光の露光量を制御することによって決定される。このため、シェーディング補正を行うには、まず、既知である複数の異なる濃度値の補正用パターンをシェーディング補正を施さずに濃度サンプル(シェーディング補正用パターン)として出力させる(ステップ11、以降はS11と略記する)。そして、各濃度サンプルの出力結果から各記録濃度を前述の記録濃度測定ユニット30で測定する(S12)。例えば、中濃度の補正用パターンと高濃度の補正用パターンの2つの異なる記録濃度のサンプルを出力させて、実際の濃度値を測定する。
【0031】
次いで、これらの記録濃度測定値を用いて各出力記録濃度値に対する記録位置(主走査方向の画素)毎のシェーディング補正テーブルを作成し(S13)、これに基づいて全記録濃度に対するシェーディング補正テーブルを設定する(S14)。例えば、図4に示すように、主走査方向の記録位置に対する中濃度と高濃度との濃度測定結果は、それぞれ異なる分布形態を有する濃度測定結果が得られる。S13において中濃度と高濃度の2つの画像濃度サンプルについて測定した場合には、S14において濃度測定ユニット30で実測定した中濃度と高濃度の濃度測定結果に基づいて、中濃度〜高濃度の間の濃度測定値を補間演算により求めて内挿する。これにより、全記録濃度に対するシェーディング補正テーブルが記録位置毎に作成される。そして、S14で求めたシェーディング補正テーブルに基づいて、実運転時に使用する最終的なシェーディング補正テーブルを作成する(S15)。
【0032】
ここで作成するシェーディング補正テーブルは、各記録濃度に対して、記録濃度が、規定された記録濃度に一致するように画素毎に補正する補正データの集合である。これらの補正データは記憶部49に記憶されて、適宜読み出されて使用される。なお、上記のシェーディング補正は、1回の補正処理でシェーディングが十分に補正できない場合に、シェーディング補正後の補正用パターンに対して再度シェーディング補正を繰り返し施すようにしてもよい。これにより、より確実なシェーディング補正が可能となる。
【0033】
そして、この種の熱現像記録装置100では、常に高画質な画像記録を行うために、定期的にシェーディング補正を行う必要がある。しかしながら、記録濃度測定ユニット30を用いてシェーディング補正用パターンを連続的に走査して画素毎のシェーディング補正を行うと、その後は、さほど精密なシェーディング補正は必要なくなる。つまり、熱現像装置100を使用するユーザ側では、多少ラフなシェーディング補正でも必要十分な補正となる。
【0034】
このため、上記熱現像記録装置100では、工場における出荷前の段階と、ユーザ側における出荷後の段階とで、異なるシェーディング補正を行うようになっている。ここで、出荷前の工場側及び出荷後のユーザ側におけるシェーディング補正の仕方を図5を参照して説明する。
【0035】
(出荷前の工場側)
コネクタ33を介して制御部50に接続した記録濃度測定ユニット30を熱現像記録装置100に取り付ける。この状態で、熱現像記録装置100にてシェーディング補正を開始させる。
このようにすると、熱現像記録装置100が、図示したような幅方向に連続した連続記録パターンであるシェーディング補正用パターンFpを記録する(S31)。
【0036】
次いで、このシェーディング補正用パターンFpの記録濃度が濃度測定ユニット30によって幅方向へ走査されて測定され、図に示すような濃度測定結果Frが得られる(S32)。
その後、制御部50は、得られた濃度測定結果に基づいて、前述した手法により画素毎のシェーディング補正テーブルを作成する(S33)。
この作成したシェーディング補正テーブルが記憶部49にて登録される(S34)。
【0037】
そして、この画素毎のシェーディング補正テーブルが、各濃度毎に導き出され、その後は、このシェーディング補正テーブルに基づいて露光時のレーザ光出力強度が補正され、適正な濃度で画像記録が行われる。
このように、シェーディング補正を完了すると、コネクタ33から記録濃度測定ユニット30を引き抜いて、この記録濃度測定ユニット30を熱現像記録装置100から取り外す。
なお、取り外した記録濃度測定ユニット30は、シェーディング補正を行う他の熱現像記録装置100に取り付けられて再びシェーディング補正を行う際に用いられる。
【0038】
(出荷後のユーザ側)
熱現像記録装置100にてシェーディング補正を開始させる。このとき、熱現像記録装置100には、制御部50に繋がる外部端子34に、市販の濃度計36の接続端子37を接続する。熱現像記録装置100が、図に示すような幅方向に複数の画像が所定間隔をあけて離散的に記録された離散記録パターンであるシェーディング補正用パターンUpを記録する(S41)。
【0039】
このシェーディング補正用パターンUpは、前述のシェーディング補正用パターンFpが中間記録濃度を含む記録面上で連続したパターンであるのに対して、中間記録濃度を含む記録面上で所定間隔毎に記録域が離散したパターンである。
【0040】
次いで、このシェーディング補正用パターンUpの画像に、幅方向の一方側から順に濃度計36のプローブ35を位置合わして記録濃度の測定を行う。このようにすると、シェーディング補正用パターンUpの画像の記録濃度が濃度計36によって順に測定され、各測定値を結んだ、図に示すような濃度測定結果Urが得られる(S42)。
【0041】
その後、制御部50は、得られた濃度測定結果Urに基づいて、前述した手法により画素毎のシェーディング補正テーブルを作成する(S43)。このとき、離散記録パターンのシェーディング補正用パターンUpを用いることにより、記録濃度の測定位置を簡単に設定できる。連続記録パターンでは、測定位置をユーザ側で設定しなければならず、測定位置を予め測長して設定する煩雑な手間を生じるが、離散記録パターンを用いる方法では、単に記録された離散領域にプロープ35を合わせるだけで位置設定が行え、簡単な作業で必要十分な精度で記録濃度の測定を行うことができる。
【0042】
そして、この作成したシェーディング補正テーブルを記憶部49に送信して更新する(S44)。このように、シェーディング補正を行った後、外部端子34から濃度計36の接続端子37引き抜き、この濃度計36を熱現像記録装置100から取り外す。
その後は、このシェーディング補正テーブルに基づいて露光時のレーザ光出力強度が補正され、適正な濃度で画像記録が行われる。
【0043】
このように、濃度測定ユニット30を用いてシェーディング補正用パターンFpの濃度を精密に測定してシェーディング補正を行った後に、このシェーディング補正を行う際に用いた高精度かつ高価な濃度測定ユニット30を搭載しない状態で出荷し、出荷後は、例えば、市販の安価な濃度計36を用いてシェーディング補正用パターンUpの記録濃度を測定して、シェーディング補正テーブルを更新するようにしたので、熱現像記録装置100自体の大幅な低コスト化を図ることができる。
【0044】
即ち、シェーディング補正用パターンUpを、距離が既知である所定間隔毎に、記録域を離散させた状態で記録した離散記録パターンとし、所定間隔毎の各ポイントにて記録濃度をそれぞれ単点測定し、得られた濃度値と、既知である位置データとを用いてシェーディング補正を行うようにした。これにより、記録濃度の測定が簡単にして行え、また、濃度計としては、プローブ35等で各ポイントの濃度を測定する精度の高くない市販の測定器でも、十分な精度で用いることができる。
【0045】
なお、上記のシェーディング補正方法以外にも、工場出荷時における調整として、連続記録パターンによる高精度なシェーディング補正と、離散記録パターンによる簡易シェーディング補正とを選択的に設定可能な構成としてもよい。その場合には、どちらか一方の補正、或いは両方の補正を実施してもよく、目的に応じて任意に設定することができる。
【0046】
また、上記の例では、一つの記録濃度値でシェーディング補正を行っているが、これに限らず、中間調濃度を含む複数の記録濃度で連続記録パターンや離散記録パターンを出力し、それぞれの濃度値に対してシェーディング補正を行うようにすることが好ましい。これにより、全階調濃度に対するシェーディング補正が可能となり、シェーディング補正精度が格段に向上する。
【0047】
次に、シェーディング補正テーブルを作成するまでの一具体例を以下に説明する。以下の例は、複数の中間調濃度で記録した場合のシェーディング補正方法である。
例えば、記録濃度が中濃度DM(濃度値OD=1.0〜1.5、好ましくは1.2)のときの濃度補正データがCM、高濃度DH(濃度値OD=2.5〜3.7、好ましくは3)のときの濃度補正データがCHである場合、主走査位置に応じた濃度補正データC(i)は、次の(1)式によって求められる。
【0048】
C(i)=αCM+βCH……(1)
但し、iは主走査方向の記録位置(つまり画素番号)を表す。また、α,βは重み係数(但し、α+β=1)であり、α,βの大きさは記録濃度、即ち画像データによって変更する。例えば、画素iで記録する画像が高濃度である場合にはβを大きくし、逆に低濃度である場合にはαを大きくする。
【0049】
一例として、補正しても影響の少ない濃度範囲の濃度補正データを、演算の簡略化のために一定値とする場合には、記録濃度の範囲に応じて次のように重み係数α,βを設定する。但し、D(i)は、主走査位置(i)における記録濃度である。
(1)D(i)≦DMのとき:
α=1,β=0とし、C(i)=CMに固定
(2)D(i)≧DHのとき:
α=0,β=1とし、C(i)=CHに固定
(3)DM<D(i)<DHのとき:
C(i)=αCM+βCH……(2)
但し、α+β=1
【0050】
記録濃度毎の補正データの算出は、以上の要領で行えばよいが、好ましくは、代表的な補正データ(CM、CH)を使用し、残りの補正データを線形補間して内挿するのがよい。図6は線形補間した場合の補正データの例を示す。この図に示すように、画像データの濃度値D(i)に応じて次のように補正データC(i)を求める。
【0051】
(1)D(i)≦DMのとき:C(i)=CMに固定
(2)D(i)≧DHのとき:C(i)=CHに固定
Figure 2004064704
【0052】
そして、以上の補正データを含めて、次式によりシェーディング補正データの集合であるシェーディング補正テーブルを決定する。シェーディング補正後のデータをRD(i)とし、画像データの濃度をD(i)、濃度補正データをC(i)、他のバラツキ因子による濃度補正データをK(i)とすると、RD(i)は次の(4)式で表される。
【0053】
RD(i)=f{C(i),K(i)}・D(i)……(4)
この(4)式で表されるデータの集合がシェーディング補正テーブルとして用意される。そして、このシェーディング補正テーブルに基づいて露光時のレーザ光出力強度に補正を加える。具体的には、レーザ光のパルス(幅又は数)変調、強度変調をこの補正後の強度で実施する。これにより、記録濃度及び記録位置によらず、適正な濃度で画像記録することができるようになる。
【0054】
従って、露光までの制御としては、図7に示すように、まず、S21で画像データを読み込み、次に、S22でその画像データを上記(4)式によりシェーディング補正する。そして、最終的にS23で、補正後の画像データに基づいて露光制御を行う。
【0055】
なお、上記の実施形態においては、中濃度DMと高濃度DHの2つの記録濃度をサンプリングし、中濃度〜高濃度の範囲についてシェーディング補正する場合を示したが、低濃度DL(濃度値OD=0.3〜0.7、好ましくは0.5)についてもサンプリングし、低濃度〜中濃度〜高濃度の範囲についてシェーディング補正するようにしてもよい。
【0056】
このように濃度間を線形補間することで、いくつかの代表的な記録濃度のサンプルを取るだけで、きめ細かい補正を行うことができる。また、中濃度〜高濃度のシェーディング補正を、記録濃度毎に用意したシェーディング補正テーブルに基づいて行う場合は、熱現像記録方式に特有の記録濃度ムラを効果的に解消することができる。さらに、補正の対象とする記録濃度を低濃度側にも広げた場合は、広い範囲の記録濃度に亘って適正なシェーディング補正を施すことができ、一層高画質の画像記録を行うことができる。
【0057】
なお、上記シェーディング補正を富士写真フイルム(株)製、DI−AL Em.No.51151(有効期限2003年12月)を用いて行ったところ、良好な補正結果を得ることができた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱現像記録装置のシェーディング補正方法及び熱現像記録装置によれば、濃度測定ユニットを用いて連続記録パターンのシェーディング補正用パターンの濃度を精密に測定してシェーディング補正を行った後に、このシェーディング補正を行う際に用いた高精度かつ高価な濃度測定ユニットを搭載せずに出荷し、出荷後は、離散記録パターンのシェーディング補正用パターンを出力させて、例えば、市販の安価な濃度計によって離散的に濃度測定を行い、シェーディング補正を行うようにしたので、装置自体の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱現像記録装置の概略図である。
【図2】本発明のシェーディング補正を行う制御系の構成図である。
【図3】シェーディング補正を行う手順を表すフローチャートである。
【図4】中濃度及び高濃度の画像データを出力して濃度を測定した結果と、中濃度〜高濃度の範囲を補間演算する様子を示す説明図である。
【図5】本発明のシェーディング補正の仕方を説明する説明図である。
【図6】シェーディング補正する場合の記録濃度と補正データの関係の一例を示す図である。
【図7】シェーディング補正する際の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
30 濃度測定ユニット
32 受光素子
35 プローブ
36 濃度計
49 記憶部
50 制御部
100 熱現像記録装置
Fp シェーディング補正用パターン(連続記録パターン)
Up シェーディング補正用パターン(離散記録パターン)

Claims (3)

  1. 熱現像感光材料または感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料をレーザ光に露光して熱現像記録材料に潜像を形成し、該潜像の形成された熱現像記録材料を熱現像手段により熱現像する熱現像記録装置のシェーディング補正方法であって、
    前記熱現像記録装置の出荷前調整時に、記録面へ連続的に連続記録パターンを出力し、この連続記録パターンの記録濃度を記録濃度測定ユニットにより測定し、各画素に対するシェーディング補正テーブルを作成して、このシェーディング補正テーブルを記憶部に登録する一方、
    前記熱現像記録装置を前記記録濃度測定ユニットを搭載せずに出荷した後、離散記録パターンを出力し、この離散記録パターンの記録濃度を離散記録位置毎に測定し、シェーディング補正テーブルを作成して、前記記憶部へ登録したシェーディング補正テーブルを更新することを特徴とする熱現像記録装置のシェーディング補正方法。
  2. 前記連続記録パターン及び前記離散記録パターンを、複数の中間調濃度を含む記録濃度で記録し、各記録濃度間を補間処理することで全階調濃度のシェーディング補正を行うことを特徴とする請求項1記載の熱現像記録装置のシェーディング補正方法。
  3. 熱現像感光材料または感光感熱記録材料を含む熱現像記録材料をレーザ光に露光して熱現像記録材料に潜像を形成し、該潜像の形成された熱現像記録材料を熱現像手段により熱現像する熱現像記録装置であって、
    出力したシェーディング補正用パターンの記録濃度の測定結果に基づいてシェーディング補正用テーブルを作成し、熱現像時の濃度補正を行う制御部を有し、
    該制御部が、記録面へ連続的に記録されたシェーディング補正用パターンの画素毎の記録濃度を測定する第1の記録濃度測定手段と、記録面へ離散的に記録されたシェーディング補正用パターンの各離散記録位置における記録濃度を測定する第2の記録濃度測定手段からの記録濃度の測定結果を入力する接続部を備えたことを特徴とする熱現像記録装置。
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