JP2005097223A - 新規なヘクサペプチド、ヘプタペプチドおよび免疫賦活剤 - Google Patents

新規なヘクサペプチド、ヘプタペプチドおよび免疫賦活剤 Download PDF

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Abstract

【目的】小麦グルテンの蛋白質分解酵素の分解液から、免疫賦活作用を有する新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドを提供する。
【構成】小麦グルテンを蛋白質分解酵素等で処理し、新規な免疫賦活作用を有する(1)Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln、(2)Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln及び(3)Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Glnであり、マクロファージ(AM)貪食能、ナチュラルキラー(NK)細胞活性、及びマイトジェン活性(幼若化能)等の免疫賦活作用を有し、毒性も極めて低い。
【選択図】なし・

Description

本発明は、新規なヘクサペプチド、ヘプタペプチドおよび免疫賦活剤に関する。
食品由来のペプチドおよびフコイダンは、免疫賦活剤としての利点を持つ。
特開平06−256389 特開平08−225594 特開平08−231589 特開2002−265370 特開2002−265496 J.L.Decker et al.:Ann.Intern.Med.,101,810−824(1984). F.Parker et al.:Eur.J.Biochem.,145,677−682(1984). J.Berthou et al.:FABS Lett.,218,55−58(1987) K.Suetsuna et al.:Food Sci.Technol.Res.,8,227−230(2002).
摂取された食品は消化管の中で分解、吸収される過程で宿主免疫系への種々の影響を与えることが知られている〔非特許文献1〕。宿主の免疫反応は免疫担当細胞であるリンパ球及びマクロファージから分泌される生理活性物質によって調節、制御されていることが知られているが、かたや、食品成分中にも宿主免疫系を調節する物質の存在が知られている。その中には、食品蛋白質を酵素分解したペプチドとして、ヒトカゼイン由来Gly−Leu−Phe、ウシカゼイン由来Leu−Leu−Tyr、ヒトβカゼイン由来Val−Glu−Pro−Ile−Pro−Tyrのものが知られておりいずれもマクロファージの活性を上昇させることが見出されている〔非特許文献2,3〕。これらを例にとるまでもなく、生体内に摂取された食品成分はそのままの形かあるいは分解された形で免疫応答系細胞と接する。このような食品成分と免疫応答系細胞との相互作用は、これまで知られているところでは、たとえば免疫系の異常状態である食品アレルギーを引き起こす場合があり、免疫系の賦活あるいは抑制という形となって観察されている。免疫応答系を調節する本来の生体内物質としてインターロイキンをはじめとするサイトカイニンと呼ばれる一群のポリペプチドであり、その機能及び構造について多くの情報が集積しつつある中で、発明者らは多くの免疫賦活ペプチド及びフコイダン等[特許文献1,2,3,4]を報告してきた。一方、小麦グルテンの加水分解物は、乳化性や起泡性をもつことから、以前から物性改良剤として利用されてきたが、小麦グルテン由来の生理活性ペプチドが、食品素材及び健康補助食品としての免疫調節機能を持つとの報告は少なく、発明者らの抗酸化ペプチド Ala−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln 及びLeu−Gln−Pro−Gly−Gln−Gly−Gln−Gln−Gly[非特許文献4]以外に、未だ医薬品としての開発が進んでいるとの報告はない。
本発明者は、小麦グルテンの蛋白質分解酵素の分解液から薬理作用を有する物質を検索し、新規な3種類のペプチドが強い免疫賦活作用を有することを見出した。そして、これら3種類のペプチドを医薬として実用化するための研究を鋭意行った。その結果、これら3種類のペプチドが、免疫賦活作用を有し、天然物由来の免疫賦活剤としての有用性を見出した。本発明は係る知見に基づくものである。本発明に係る新規なペプチドは、次式(1)、(2)及び(3)、
(1)Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln
(2)Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln
(3)Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln
で示されるL体のアミノ酸配列で表わされる新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドであり、常温における性状は白色の粉末である。
前記のヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、化学的に合成する方法又は小麦グルテンの蛋白質分解酵素の分解液から分離精製する方法を挙げることができる。本発明に係る新規なこれらペプチドを化学的に合成する場合には、液相法または固相法等の通常のペプチド合成法によってポリマー性の固相支持体へペプチドのC末端(カルボキシル末端側)からそのアミノ酸残基に対応したL体のアミノ酸を順次ペプチド結合によって結合していくのがよい。そして、そのようにして得られた合成ペプチドは、トリフルオロメタンスルホン酸、フッ化水素等を用いてポリマー性の固相支持体から切断した後、アミノ酸側鎖の保護基を除去し、逆相系のカラムを用いた通常の方法で精製することができる。
上記したように、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、小麦グルテンの蛋白質分解酵素の分解液から分離精製することができるが、その場合には、例えば、以下のようにして行うことができる。上記の新規なこれらペプチドを含有している小麦グルテン部分を取り出し加水分解する。加水分解は常法に従って行う。例えば、蛋白質分解酵素(例えば、ペプシン、モルシン、アクチナーゼ、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ等)で加水分解する場合は、小麦グルテンを必要とあれば更に加水分解した後、酵素の至適温度まで加温し、pHを至適値に調整し、酵素を加えてインキュベートする。次いで必要に応じ中和した後、酵素を失活させて加水分解液を得る。その加水分解液を濾紙及び/又はセライト等を用いて濾過することによって不溶性成分を除去し、得られた濾液をセロファン等の半透膜を用いて適当な溶媒(例えば、トリス−塩酸緩衝液、リン酸緩衝液の中性の緩衝液等)中で充分に透析し、その濾液中の成分で半透膜を通過した成分を含む溶液を強酸性陽イオン交換樹脂(例えば、ダウケミカル社製のDowex50W等)にかけ、その吸着画分から免疫賦活活性を有する成分を含有する画分を得、得られた免疫賦活活性画分を陽イオン交換ゲル濾過(例えば、ファルマシア社製のSP−SephadexC−25等)によって分画し、得られた免疫賦活性画分を更に逆相HPLCによって分画する。
本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、静脈内への繰り返し投与を行った場合、抗体産生を惹起せず、アナフィラキシーショックを起こさない。又、これらペプチドはL−アミノ酸のみの配列構造からなり、投与後、生体内のプロテアーゼにより徐々に分解される為、毒性は極めて低く安全性は極めて高い(LD50>5000mg/kg:ラット経口投与)。これらペプチドは、通常用いられる賦形剤等の添加物を用いて注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等に調製することができる。投与法としては、通常は、免疫力が低下している哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ラット等)に注射すること、あるいは経口投与することがあげられる。投与量は、例えば、動物体重1kg当たりペプチド0.01−10mgの量である。投与回数は、通常、1日1回から4回程度であるが、投与経路によって、適宜、調製することができる。上記の各種製剤において用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の種類は、特に限定されず、通常の注射剤、散剤、顆粒剤、錠剤あるいはカプセル剤に用いられるものを使用することができる。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤に用いる添加剤としては、下記のものをあげることができる。賦形剤としては、結晶セルロース等の糖類、マンニトール等の糖アルコール類、でんぷん類、無水リン酸カルシウム等;結合剤としては、でんぷん類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等;崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース及びそのカリウム塩類;滑沢剤としては、ステアリン酸及びその塩類、タルク、ワックス類をあげることができる。又、製剤の調製にあたっては、必要に応じメントール、クエン酸及びその塩類、香料等の矯臭剤を用いることができる。注射用の無菌組成物は、常法により、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドを、注射用水、生理食塩液及びキシリトールやマンニトールなどの糖アルコール注射液、プロピレングリコールやポリエチレングリコール等のグリコールに溶解又は懸濁させて注射剤とすることができる。この際、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて添加することができる。これらペプチドを含有する製剤は凍結乾燥品又は乾燥粉末の形とし、用時、通常の溶解剤、例えば水又は生理食塩液にて溶解して用いることもできる。
本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは優れた免疫賦活作用を有し、これら免疫賦活ペプチドは、マクロファージ(AM)貪食能、ナチュラルキラー(NK)細胞活性、及びマイトジェン活性(幼若化能)を示した。
発明を実施するための最良の形態・実施例
本発明は、医薬品としての有用性を有する下記のアミノ酸の配列のペプチド構造を有するペプチド及びこれらペプチドを有効成分とする免疫賦活剤に関する。
(1)Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln
(2)Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln
(3)Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln
(式中、アミノ酸残基を表わす各記号は、アミノ酸化学において慣用の表示法によるものである)
以下に実施例として、製造例及び試験例を記載し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
製造例1
小麦グルテン10gに脱イオン水1000mLを加えてホモジナイズした。この小麦グルテンのホモジネイトにペプシン0.3gを加え、pH2.0に調整して、37℃で20時間インキュベートした。このようにして調製した小麦グルテンのペプシン分解液をDiaflow膜(アミコン社製、YM−10型膜、分画分子量1万)を用いて限外濾過した。得られた濾過液をDowex50W×4(H)を充填したカラム(カラムサイズ;4.5×20cm)を用いてクロマトグラフィーした。脱イオン水で十分水洗した後、2規定のアンモニア水500mLで溶出し溶出液を減圧濃縮した。この濃縮液をSephadex G−25を充填したカラム(カラムサイズ;2.6×140cm)を用いてクロマトグラフィーした。その際のクロマトグラフィーの条件は、流速60mL/h、各画分7.2mLで行った。ペプチド画分として分画番号23から60を集めて濃縮した。その結果を図1に示した。更に、この濃縮液をSP−Sephadex C−25(H)を充填したカラム(カラムサイズ;2×50cm)を用いてクロマトグラフィーした。脱イオン水1Lから3%食塩水1Lでの濃度勾配法による溶出を、流速60mL/h、各画分7.2mLのクロマトグラフィー条件で行った。各ペプチド画分としてWP−1画分(分画番号16〜33)、WP−2画分(分画番号34〜53)及びWP−3画分(分画番号54〜80)を分画し集めて減圧濃縮、凍結乾燥して、各ペプチド粉末(WP画分)を得た。その結果を図2に示した。このようにして分画したペプチド画分(WP画分)の中で、免疫賦活活性の高かったWP−3画分の精製ペプチド粉末7mgを脱イオン水25μLに溶解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行った。HPLC条件は、カラムとして野村化学社製Develosil ODS−5(φ4.6mm ID×25cm L)を使用し、移動相として0.05%トリフルオロ酢酸(以下、TFAと略記する)から25%アセトニトリル/0.05%TFAでの濃度勾配法により、流速1.0mL/min、検出波長220nmでクロマトグラフィー処理し、溶出時間36分(1)、溶出時間57分(2)及び溶出時間93分に強い免疫賦活活性を有するペプチドフラグメントを得た。その結果を図3に示した。
このようにして得られた免疫賦活ペプチドのアミノ酸配列は、アプライドバイオシステム(ABI)社製のプロテインシークエンサー477A型を用いて決定された。その結果、次式(1)、(2)及び(3)、
(1)Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln
(2)Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln
(3)Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln
で示されるL体のアミノ酸配列で表わされる新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドであることが確認された。常温における性状は白色の粉末である。尚、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドを免疫賦活剤として、例えば錠剤に製剤する場合には、常法に従って、例えば次のように処理すればよい:(1)ペプチド13g、(2)乳糖87g、(3)コーンスターチ29g、(4)ステアリン酸マグネシウム1gを原料とし、先ず(1)、(2)及び17gのコーンスターチを混和し、7gのコーンスターチから作ったペーストとともに顆粒化し、この顆粒に5gのコーンスターチと(4)とを加え、得られた混合物を圧縮錠剤機で打錠し、錠剤1000個を製造する。
製造例2
本例は、合成法による製造例である。
Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Glnの合成法
アプライドバイオシステム(ABI)社製のペプチド合成装置430A型を用いた固相法によって当該ヘクサペプチドを合成した。固相担体としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂を使用した。先ず、当該ヘクサペプチドのアミノ酸配列に従って、常法どおり、そのC末端側のグルタミンからクロロメチル樹脂に反応させ、ペプチド結合樹脂を得た。このときのアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−Bocと略記する)基で保護されたt−Bocアミノ酸を使用した。次に、このペプチド結合樹脂をエタンジオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチドは蒸留水に溶解した後、逆相系のカラムC18(5μ)を用いたHPLCにより精製した。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液が23分間で76%−52%の濃度勾配法により流速1.3mL/minでHPLCクロマトグラフィーした。紫外部波長216nmで検出し、最大の吸収を示した溶出画分を分取、これを凍結乾燥することによって目的とする合成ヘクサペプチドを得た。
この合成ヘクサペプチドをマススペクトルにより分析した結果、アミノ酸配列及びアミノ酸組成が前記で示したアミノ酸配列構造を有するヘクサペプチドであることが確認された。このマススペクトル及びアミノ酸分析の結果は表1に示す通りである。
Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln合成法
アプライドバイオシステム(ABI)社製のペプチド合成装置430A型を用いた固相法によって当該ヘプタペプチドを合成した。固相担体としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂を使用した。先ず、当該ヘプタペプチドのアミノ酸配列に従って、常法どおり、そのC末端側のグルタミンからクロロメチル樹脂に反応させ、ペプチド結合樹脂を得た。このときのアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−Bocと略記する)基で保護されたt−Bocアミノ酸を使用した。次に、このペプチド結合樹脂をエタンジオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチドは蒸留水に溶解した後、逆相系のカラムC18(5μ)を用いたHPLCにより精製した。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液が34分間で94%−76%の濃度勾配法により流速1.4mL/minでHPLCクロマトグラフィーした。紫外部波長217nmで検出し、最大の吸収を示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによって目的とする合成ヘプタペプチドを得た。
この合成ヘプタペプチドをマススペクトル及びアミノ酸分析により分析した結果、アミノ酸配列及びアミノ酸組成が前記で示したアミノ酸配列構造を有するヘプタペプチドであることが確認された。このマススペクトル及びアミノ酸分析の結果は表1に示す通りである。
Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln合成法
アプライドバイオシステム(ABI)社製のペプチド合成装置430A型を用いた固相法によって当該ヘクサペプチドを合成した。固相担体としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体(ポリスチレン樹脂)をクロロメチル化した樹脂を使用した。先ず、当該ヘクサペプチドのアミノ酸配列に従って、常法どおり、そのC末端側のグルタミンからクロロメチル樹脂に反応させ、ペプチド結合樹脂を得た。このときのアミノ酸は、t−ブトキシカルボニル(以下、t−Bocと略記する)基で保護されたt−Bocアミノ酸を使用した。次に、このペプチド結合樹脂をエタンジオールとチオアニソールからなる混合液に懸濁し、室温で10分間撹拌後、氷冷下でトリフルオロ酢酸を加え、更に10分間撹拌した。この混合液にトリフルオロメタンスルホン酸を滴下し、室温で30分間撹拌した後、無水エーテルを加えてその生成物を沈澱させて分離し、その沈澱物を無水エーテルで数回洗浄した後、減圧下で乾燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチドは蒸留水に溶解した後、逆相系のカラムC18(5μ)を用いたHPLCにより精製した。移動相として(A)0.1%TFA含有蒸留水、(B)0.1%TFA含有アセトニトリル溶液を使用し、(A)液が45分間で87%−68%の濃度勾配法により流速1.5mL/minでHPLCクロマトグラフィーした。紫外部波長219nmで検出し、最大の吸収を示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することによって目的とする合成ヘクサペプチドを得た。
この合成ヘクサペプチドをマススペクトル及びアミノ酸分析により分析した結果、アミノ酸配列及びアミノ酸組成が前記で示したアミノ酸配列構造を有するヘクサペプチドであることが確認された。このマススペクトル及びアミノ酸分析の結果は表1に示す通りである。
Figure 2005097223
上記の合成によって得られた本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、以下に示す試験によって、マクロファージ(AM)貪食能、ナチュラルキラー(NK)細胞活性、及びマイトジェン活性(幼若化能)等の免疫賦活作用が確認された。
試験例1
(マクロファージ(AM)貪食能の測定)
肺胞マクロファージ(AM)の調製として、動物はネンブタール麻酔下で両腎動脈を切断して脱血後、開胸し、唾液腺及び結合組織を除去した後、気管を露出させたその後、翼静針付注入セットのチューブを用い、気管に挿入、留置し、37℃に温めた生食水約4mLにて肺を洗浄した。ラット1匹当たり50mLの洗浄液を得るまでこの操作を繰り返した。回収された洗浄液を1,000rpmで15分間遠心し、培地にて適当に希釈後、血球計算盤でマクロファージ数を算定した。5%牛胎児血清を含んだRPMI 1640培地にて2〜5×10cells/mLに調製後、各培養容器に1mLずつ加えた。抗血清を用いてオプソニン化後、51Crでラベルされた羊赤血球(SRBC)を肺胞マクロファージ(AM)と2時間、37℃で培養することにより貪食を行わせた。肺胞マクロファージ(AM)に貪食されていない羊赤血球(SRBC)を蒸留水にて溶血、破壊後、除去した。その後、1規定のNaOHを加え細胞を溶解後、γ−カウンターにて肺胞マクロファージ(AM)内に貪食された羊赤血球(SRBC)の放射活性を測定した。3種類の合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)を用いて、肺胞マクロファージ(AM)のオプソニン化羊赤血球(SRBC)に対する貪食能をみた結果は図4に示すとおりである。
試験例2
(ナチュラルキラー(NK)細胞活性の測定)
脾細胞の調製として、各ラットをネンブタール麻酔下で右腎動脈を切断して脱血後、無菌的に脾臓を摘出した。摘出された脾臓をRPMI 1640培地を含むシャーレ内で、滅菌したステンレススチールのスクリーンに通すことにより、脾細胞を単離し、0.2%酢酸液で希釈後、細胞数を血球計算盤上で算定した。脾細胞(2×10cells/mL)と51Crでラベルした腫瘍細胞(Moloney virus−induced T−cell lymphoma;YAC−1)を標的細胞とし、エフェクター細胞と標的細胞の比をE:T=100:1の割合で、4時間、37℃のCOインキュベータ内で培養後、上清を採取、γ−カウンターでその放射活性を測定し、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を算出した。3種類の合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)を用いて、脾細胞のナチュラルキラー(NK)細胞活性をみた結果は、図5に示すとおりである。
試験例3
(脾細胞のマイトジェン活性の測定)
96ウエルのマイクロプレートに脾細胞をウエル当たり1×10cellsの濃度で加え、更にT細胞マイトジェンであるフォトヘマトグルチニン(PHA,20μg/mL)、コンカナバリンA(ConA、20μg/mL)あるいはB細胞のマイトジェンである細菌リポポリサッカライド(LPS、100μg/mL)と37°C、72時間培養後、1.0μCiのH−thymidineを各ウエルに加えた。24時間後、H−thymidineを取り込んだ脾細胞を自動細胞ハーベスターによってフィルター上に採取し、その放射活性を液体シンチレーションカウンターにより測定した。得られた結果は、培地のみと、培養した脾細胞の増殖能とを比較して刺激指数(SI)で表した。3種類の合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)を用いて、脾細胞のマイトジェン(幼若化能)活性をみた結果は、図6〜8に示すとおりである。
以上の試験の結果、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、in vitroにおいて有意に免疫機能に影響を及ぼすことが確認され、免疫賦活剤として有用である。尚、本発明に係る新規なヘクサペプチド及びヘプタペプチドは、構造的にそのアミノ酸配列を部分構造とするペプチドにおいて、構造中に採用することもできる。
本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例1におけるSephadexG−25カラムクロマトグラフィーによる、免疫賦活ペプチドの分離精製の結果を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例1におけるSP SephadexC−25カラムクロマトグラフィーによる、免疫賦活ペプチドの分離精製の結果を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例1における逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による、免疫賦活ペプチドの分離精製の結果を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例2で得られた合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)の、肺胞マクロファージ(AM)貪食能を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例2で得られた合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)の、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例2で得られた合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)の、フォトヘマトグルチニン(PHA,20μg/mL)に対するマイトジェン活性(幼若化能)を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例2で得られた合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)の、コンカナバリンA(ConA、20μg/mL)に対するマイトジェン活性(幼若化能)を示す図である。 本発明に係る3種のペプチドに関する、製造例2で得られた合成ペプチド(試料濃度;1mM、5mM、10mM、50mM)の、細菌リポポリサッカライド(LPS、100μg/mL)に対するマイトジェン活性(幼若化能)を示す図である。

Claims (6)

  1. 次式;Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘクサペプチド。
  2. 次式;Phe−Gln−Gln−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘクサペプチドを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  3. 次式;Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘプタペプチド。
  4. 次式:Ile−Gln−Gln−Pro−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘプタペプチドを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
  5. 次式;Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘクサペプチド。
  6. 次式;Pro−Gln−Ile−Pro−Gln−Gln
    で示されるL体のアミノ酸の配列によるペプチド構造を有する新規なヘクサペプチドを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活剤。
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