JP2005096182A - 溶液製膜方法並びに偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 厚みムラ,風ムラの発生を抑制したフィルムを得る。
【解決手段】 ドープ11をTACと主溶媒であるジクロロメタンから調製する。ドープ11を流延ダイ16から流延バンド23へ流延して流延膜32を形成する。流延室20の第1エリア24は、乾燥風33を供給する乾燥風供給装置29を備えている。第1エリア24内にジクロロメタンの飽和蒸気量100%の乾燥風33を供給する。流延膜32表面と第1エリア24の雰囲気との間で気液平衡が保たれ、溶媒の気化を抑制してレベリング効果により厚みムラの発生を抑制する。乾燥風33の風速を1.5m/s以下として風ムラの発生を抑制する。この流延膜32からフィルム45を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶液製膜方法並びにその方法により製膜されたフィルムを用いて構成された偏光板及び液晶表示装置に関する。
溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒と必要に応じて添加される添加剤とを含むドープを、流延ダイより支持体上に流延し、剥ぎ取ってフィルムを製造する方法である。この方法で製造されるフィルムは、溶融押出法で得られるフィルムに比べ、光学等方性、厚み均一性に優れ、また、異物も少ない。特にポリマーにセルローストリアセテート(以下、TACと称する)を用いて製膜されたTACフィルムは、光学等方性に優れているため、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、透明電導性フィルムなどのオプト・エレクトロニクス用途に利用され、それらフィルムは、液晶表示装置の一部を構成している(例えば、非特許文献1参照。)。オプト・エレクトロニクス用途のフィルムは、厚みが20μm〜65μmのフィルム(以下、薄手フィルムと称する)が用いられる。薄手フィルムを製膜する際には、ドープ粘度やドープ中のポリマー濃度を下げることにより、フィルム表面がレベリングされて厚みムラ改良においては、非常に有効である。また、薄手フィルムを製膜する際には、乾燥負荷が低く流延速度を速めることが容易となる。
発明協会公開技報公技番号2001−1745号(第45−58頁)
しかしながら、支持体上から流延膜を剥ぎ取って従来のフィルム(例えば、75μm〜130μmの厚み)と同様の乾燥を行うと、乾燥の進行が速く厚みムラのレベリングが促進されない。また、乾燥のムラに起因する厚みムラが発生するなど乾燥条件の選択が困難となる。このようなフィルムの厚みムラは、液晶表示装置の表示画面上にムラ状に映り品質上大きな問題となる。さらに、流延直後の流延膜に乾燥風を送風すると乾燥風の流れに従う、いわゆる風ムラと称される面状悪化が生じることもある。また、薄手フィルムにおいてはTACの収縮が大きくこれも品質上大きな問題となる。
本発明の目的は、厚みムラ及び風ムラの発生を抑制し、表面平滑性,厚み均一性,経時での寸度安定性に優れる薄手フィルムの溶液製膜方法及びそのフィルムを用いて構成された偏光板,液晶表示装置を提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、上記課題は以下の手段により解決できることを見出した。
(1)風ムラの発生は、形成直後の流延膜に送風される乾燥風の流れを抑制することで解決することができる。
(2)厚みムラの発生は、流延直後の一定エリアの雰囲気中の気化した溶媒のガス濃度を規定することで、流延膜表面からの溶媒の気化を抑制し、流延膜表面の面状の悪化を防ぐと共に流延膜表面のレベリングを促進させることで解決することができる。
(3)さらに、厚みムラは、支持体から剥ぎ取った流延膜(以下、軟膜と称する)を流延幅方向(以下、幅方向と称する)に拡幅または搬送方向へのドローの付与(引っ張り)の少なくともいずれかを行うことで矯正することができる。また、そのフィルムは、収縮が抑制され、かつ経時での寸度安定性に優れていることも見出した。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーと主溶媒とを含むドープをエンドレスで走行する支持体上に流延ダイを用いて流延し、流延膜を形成させた後に軟膜として剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、前記流延ダイ直後の所定エリアの前記主溶媒ガス濃度を前記主溶媒の飽和蒸気量をSvとしたときに、0.6・Sv以上Sv以下とすることが好ましく、より好ましくは0.8・Sv以上Sv以下とする。なお、本発明において、主溶媒とは、1種類の溶媒を用いる際には、その溶媒を意味し、複数の溶媒からなる混合溶媒を用いる際には、体積比で最も大きい溶媒を意味する。
前記所定エリアに風を供給する風供給手段を設け、この風の供給風速を1.5m/s以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0m/min以下であり、最も好ましくは0.3m/min以下とすることである。前記所定エリアが、前記流延膜の残留揮発分が60重量%以上の領域であることが好ましい。なお、本発明において残留揮発分(重量%)とは、流延膜に含まれる溶媒重量/(乾燥した流延膜の重量+前記流延膜に含まれる溶媒重量)×100で算出される値である。前記所定エリアに風を供給する風供給手段を設け、この風と前記流延膜との相対速度を1.0m/s以下とする方法も可能である。前記軟膜を拡幅する拡幅手段を用い、前記拡幅手段により前記軟膜を流延幅方向に30%以内で拡幅することが好ましく、より好ましくは3%〜20%の範囲であり、最も好ましくは5%〜15%の範囲である。前記軟膜を引っ張る引張手段を用い、前記引張手段により前記軟膜を搬送方向に30%以内で引っ張ることが好ましく、より好ましくは3%〜20%の範囲であり、最も好ましくは5%〜15%の範囲である。
前記フィルムの膜厚が20μm以上65μm以下となるように前記ドープを流延することが好ましく、より好ましくは20μm以上50μm以下となるように流延することである。前記ドープの流延幅を1400mm以上として流延することが好ましく、1400mm以上1900mm以下の範囲であることが好ましいが、1900mmより大きい場合にも有効である。前記フィルムの幅が1400mm以上となるように裁断することが好ましい。
本発明には、前記溶液製膜方法で製膜されたフィルムを用いて構成され偏光板及びその偏光板を用いて構成された液晶表示装置も含まれる。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーと主溶媒とを含むドープをエンドレスで走行する支持体上に流延ダイを用いて流延し、流延膜を形成させた後に軟膜として剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、前記流延ダイ直後の一定エリアの前記主溶媒ガス濃度を前記主溶媒の飽和蒸気量をSvとしたときに、0.6・Sv以上Sv以下とするから、前記流延膜からの溶媒の気化が抑制されて流延膜表面のレベリング効果により厚みムラを抑制でき、その流延膜から製膜されるフィルムの厚みムラを防止できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーと主溶媒とを含むドープをエンドレスで走行する支持体上に流延ダイを用いて流延し、流延膜を形成させた後に軟膜として剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、前記流延ダイ直後の一定エリアの前記主溶媒ガス濃度を前記主溶媒の飽和蒸気量をSvとしたときに、0.6・Sv以上Sv以下とし、前記一定エリアに風を供給する風供給手段を設け、この風の供給風速を1.5m/s以下とするから前記風の流れに伴う前記流延膜表面に発生する風ムラを防止でき、更にレベリング効果により厚みムラの発生をも抑制できる。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーと主溶媒とを含むドープをエンドレスで走行する支持体上に流延ダイを用いて流延し、流延膜を形成させた後に軟膜として剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、前記軟膜を拡幅する拡幅手段を用い、前記拡幅手段により前記軟膜を流延幅方向に30%以内で拡幅するか、または前記軟膜を引っ張る引張手段を用い、前記引張手段により前記軟膜を搬送方向に30%以内で引っ張るか、少なくともいずれかを行うことで、フィルム表面のツレ,シワなどの面状異常を矯正できる。
本発明の溶液製膜方法は、流延膜の乾燥条件を規定することで、前記フィルムの膜厚が20μm以上65μm以下の薄手フィルムの製膜に適している。また、その薄手フィルムを保護フィルムとする偏光板も光学特性に優れ、前記偏光板を液晶表示装置の一部に好ましく用いることができる。
本発明に用いられるポリマーは、特に限定されるものではない。具体的には、ポリアミド類,ポリオレフィン類,ノルボルネン類,ポリスチレン類,ポリカーボネート類,ポリスルホン類,ポリアクリル酸類,ポリメタクリル酸類,ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Polyetheretherketone)類,ポリビニルアルコール類,ポリビニルアセテート類,セルロース誘導体(例えば、低級脂肪酸エステル,セルロースアシレートなど)などが挙げられる。なお、製膜されたフイルムの光学異方性が小さくなるセルロース誘導体、好ましくはセルロースアシレート、より好ましくはセルロースアセテート、さらに好ましくはセルローストリアセテート、最も好ましくは酢化度59.5%〜62.5%のセルローストリアセテートを用いることである。
溶媒としては、例えば、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン,クロロホルムなど),エステル類(例えば、蟻酸メチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸アミル,酢酸ブチルなど),エーテル類(例えば、ジオキサン,ジオキソラン,テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル,メチル−t−ブチルエーテルなど),芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン,トルエン,キシレンなど),脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン,ヘプタンなど),アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど),ケトン類(例えば、シクロペンタノン,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノンなど)などが挙げられる。また、これら溶媒は、単独で用いても良いし、混合させた混合溶媒として用いても良い。
製膜されたフイルムの特性を好ましいものとするために、ドープ中に添加剤を添加しても良い。添加剤としては、可塑剤(トリフェニルフォスフェート,ビフェニルジフェニルフォスフェート,ジペンタエリスリトールヘキサアセテート,ジトリメチロールプロパンテトラアセテートなど),紫外線吸収剤(例えば、オキシベンゾフェノン系化合物,ベンゾトリアゾール系化合物など),マット剤(例えば、二酸化ケイ素の微粒子など),増粘剤,オイルゲル化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤は、ポリマーを溶媒に溶解させるときに添加しても良いし、溶液製膜を行っている際に、調製されたドープにインラインで混合させても良い。また、添加剤を添加する際に、添加剤のみを添加しても良いし、添加剤を溶媒に溶解させた添加剤溶液を添加しても良い。
ポリマー及び必要な添加剤を溶媒に入れた後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させてドープを製造する。ドープ調製後は、濾過により異物を除去することが一般的である。濾過には、濾紙,濾布,不織布,金属メッシュ,焼結金属,多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、フィルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
一度、調製したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で攪拌しながら加熱する方法、多管式,静止型混合器付きジャケット配管などの各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などがある。また、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。これらの処理を施すことにより、溶解性の低い未溶解物を完全に溶解することができ、フイルム中の異物の減少、濾過の負荷軽減を図ることができる。
図1に本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ライン10の一実施形態を示す。ドープ11は、ポリマーにセルロースアシレートを用い、溶媒にジクロロメタンを主溶媒とする例で説明する。ドープ11がミキシングタンク12に入れられる。ミキシングタンク12にはドープ11を均一にする攪拌翼13が設けられ、図示しないモータにより回転することでドープ11を攪拌する。ドープ11は、送液ポンプ14により一定の流量で濾過装置15に送られ不純物が除去された後に流延ダイ16に送られる。
流延ダイ16は、流延室20内に設けられており、その背面には減圧室17が取り付けられている。減圧室17は、配管17aにより真空ポンプ18が接続されている。真空ポンプ18により減圧室17は、所望の圧力となっている。減圧室17の圧力は、大気圧との差圧が−10Pa〜−300Paの範囲とすることが好ましい。また、減圧室17と真空ポンプ18とを接続している配管17aには、圧力計19が備えられている。流延ダイ16の下方には、回転ローラ21,22の回転に伴ってエンドレスで走行する流延バンド23が設けられている。流延室20は、搬送方向の上流側から順に第1エリア24,第2エリア25,第3エリア26となるように仕切り板27,28が設けられている。なお、流延室20内の雰囲気調整のためのエリアは、図1に示す3エリアに限定されるものではないが、流延ダイ16から下流側に向けて少なくとも2エリア以上に区分されている形態であることが好ましい。また、第1〜第3エリア24〜26は、それぞれ独立して乾燥風の供給が行えるように乾燥風供給装置29,30,31が取り付けられている。これら乾燥風供給装置29〜31は、図に示すように別体として構成されているものに限定されず、一体として構成されているものを用いることもできる。
乾燥風供給装置29〜31は、各エリア内の雰囲気の温度,有機溶媒濃度,乾燥風の風量及び温度などの条件を変更できる器具及び乾燥風を送風する送風機などから構成されている。有機溶媒濃度は、流延室20から排気された雰囲気中に含まれている有機溶媒の成分及び各成分の濃度を自動的に計測し、その計測値に基づき飽和蒸気量(Sv)に対する割合を算出する。有機溶媒濃度が高い場合には凝縮器により所望の成分を除去する。または、各エリアに供給する乾燥風に新鮮な風を混合して調整しても良い。有機溶媒濃度が低い場合には、加熱機により所望の有機溶媒を気化させてそのガスを循環させている雰囲気中に含有させることで調整を行う。さらに、循環させている雰囲気の温度は、熱交換器により加熱または冷却し、所望の温度とする。さらに、循環させている雰囲気を乾燥風として供給する場合には、送風機を用いて各エリアへ送風する。
流延ダイ16から流延バンド23上にドープ11を流延して流延膜32を形成する。流延幅は、1400mm以上とすることが好ましく、より好ましくは1400mm以上1900mm以下とすることであるが、1900mmよりも広い場合にも適用可能である。乾燥後のフィルムの厚みが20μm以上65μm以下となるように流延し、薄手フィルムを製膜する。
第1エリア24のガス濃度をジクロロメタンの飽和蒸気量(Sv)に対して60%以上100%以下とすることが好ましく、より好ましくは80%以上100%以下とする。60%未満であると、流延膜32に含まれ、主溶媒であり液体のジクロロメタンと、第1エリア24中の雰囲気に含まれる気体であるジクロロメタンとの気液平衡が保たれずに、流延膜32中の液体のジクロロメタンの気化が進行する。特に、第1エリア24では、流延直後であるために、流延膜32中の液体のジクロロメタンの含有率が高く、ジクロロメタンが気化することにより、流延膜32のレベリング効果が減じる。
乾燥風供給装置29から第1エリア24への乾燥風33の風速は、1.5m/s以下が好ましく、1.0m/s以下とすることがより好ましく、0.3m/s以下とすることが更に好ましい。最も好ましくは、測定限界以下の風速で乾燥風33を第1エリア24に供給することである。乾燥風33の風速を1.5m/s以下とすることにより、風の流れに起因する流延膜32上の風ムラの発生を抑制できる。また、乾燥風33の温度は、特に限定されるものではないが、流延膜32から溶媒が発泡することを防止するため、70℃〜150℃の範囲とすることが好ましい。
形成された直後の流延膜32に風の流れが実質的に生じない乾燥風を供給することで風ムラの発生を抑制できる。風の流れを実質的に生じさせなくするためには、流延バンド23の走行速度とほぼ同速度で走行方向に乾燥風33を送る方法を適用することもできる。このとき、乾燥風33と流延バンド23との相対速度を1.0m/s以下とすることが好ましい。流延膜32中の液体のジクロロメタンと第1エリア24の雰囲気との気液平衡を保持することで、流延膜32からの溶媒、特に主溶媒であるジクロロメタンの気化が抑制される。このため、流延膜32の表面は、その表面積を最も小さくしようとして作用する表面張力により平滑化(レベリング)が生じて厚みムラの発生を防止できる。
流延膜32は、流延バンド23の移動に伴って搬送され第2エリア25へ入る。第2エリア25内も乾燥風供給装置30により、乾燥条件を適宜制御することができる。なお、第2エリア25では、第1エリア24で風ムラ,厚みムラの発生が抑制されているため、乾燥風温度,風速などの条件は、より乾燥が進行し易いものとすることができる。次に、流延膜32は、第3エリア26に搬送される。第3エリア26では、流延膜32は、さらに乾燥が進行しているので、乾燥風供給装置31からの乾燥風の温度,風速などは、乾燥が進行し易い条件に設定することができる。
前記各エリア24〜26内を搬送され、自己支持性を有する流延膜32は、剥取ローラ40で支持されながら軟膜41として流延バンド23から剥ぎ取られる。なお、図1では、第1エリア24は、流延膜32が流延バンド23上を搬送される長さの略1/4を区切っている形態を示している。本発明では、第1エリア24の長さは、それに限定されるものではない。なお、図1では支持体にエンドレスで走行する流延バンドを用いているが、本発明はそれに限定されるものではなく、回転ドラムを用いることもできる。この場合も、回転ドラム上の流延膜の搬送方向に従い、複数のエリアに区分する。それら各エリアのなかで、最も上流側すなわち流延ダイが設けられているエリアの主溶媒ガス濃度と乾燥風の温度や風速を前述した範囲とすることで、本発明の効果を得ることができる。
軟膜41は、搬送ローラ42によりテンタ乾燥機43に搬送される。テンタ乾燥機43では、軟膜41の両縁をクリップ(図示しない)で挟み込み、搬送しながら軟膜41を乾燥する。なお、多数のクリップは、エンドレスチェーンに設けられ、エンドレスチェーンがレールに案内されて移動することに伴って移動する。なお、レールは、軟膜41を拡幅するように設けられており、軟膜41は、幅方向に延伸されて拡幅される。拡幅量は、流延したときの流延膜32の幅を基準として30%以内であることが好ましく、3%〜30%の範囲であることがより好ましく、5%〜15%以内であることが最も好ましい。30%を超えると、本発明では薄手フィルムを製膜するため、その溶媒を含んだものである軟膜41の弾性が小さいため破断するおそれがある。また、若干(約0%と見なせる場合も含む)拡幅することで、流延膜32,軟膜41が搬送中で生じる表面のツレ,シワの矯正を行うことができる。
軟膜41は、テンタ乾燥機43で乾燥、拡幅された後に、搬送ローラ44で搬送されて乾燥室50へ送り込まれる。なお、本発明において、流延膜32,軟膜41,軟膜41が乾燥したフィルム45は説明のための用語であり、厳密に区分されるものではなく、以下の説明ではフィルムと称する。また、図1に示すように、本発明に係る溶液製膜方法は、連続工程で行われる。
フィルム45をローラを用いて搬送すると、張力が付与される。そこで、本発明では、この張力を利用してフィルム搬送方向にドロー(引張)を付与することにより、フィルム45の表面のツレ,シワの矯正を行う。このドロー付与は、流延バンド23,剥取ローラ40,搬送ローラ42,テンタ乾燥機43,搬送ローラ44を用い、フィルム45の搬送速度を下流側になるに従い次第に高速にすることで行う。
本発明において、フィルム搬送方向のドロー率は、流延バンド23上での単位長さを基準として、30%以内とすることが好ましく、3%〜30%の範囲とすることが好ましく、5%〜15%の範囲とすることが最も好ましい。ドロー率が30%を超えると、薄手のフィルムに破断や裂けなどが生じるおそれがある。
フィルム45は、乾燥室50内で多数のローラ51に巻き掛けられながら搬送される。フィルム45には比較的高沸点溶媒、例えばアルコール類、特にはn−ブタノールのように沸点が高い溶媒が残留している。残留溶媒がフィルム45に含まれていると、それを製品として用いる際に徐々に揮発し製品に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、乾燥室50内には、乾燥風供給装置52を用いて、比較的高温の乾燥風53を送風する。例えば、乾燥風53の温度は、100℃〜150℃の範囲とし、風速は、0.4m/s〜3.0m/sの範囲し、乾燥室50内をフィルム45が搬送する時間を5分〜30分の範囲とする例を挙げることができるが、これらの条件に限定されるものではない。
フィルム45は、乾燥室50内を搬送されることで、残留溶媒の残量が好ましいものとなり、製品として用いることができる。また、巻き取る前に、フィルム製品幅に裁断する。これによりフィルム45の巻き取りが容易となると共に巻き取ったフィルムロールを直ちに製品として出荷することができ、コスト低減を図ることができる。フィルム45を製品幅とするために、耳切装置54により、フィルム45の両縁を裁断する。なお、フィルム幅は、特に限定されるものではないが、流延幅に対して両縁それぞれを10%〜35%裁断することが好ましい。例えば、流延幅を1600mm〜1700mmとした場合には、製品フィルムの幅が1400mm以上となるように裁断することで、比較的厚みムラが生じやすい両縁を裁断でき、かつ製品フィルムが広幅なフィルム(以下、広幅フィルムと称する)が得られる。このフィルム45を巻取機55で連続的にロール状で巻き取る。
本発明の溶液製膜方法により得られた広幅フィルムは、厚みムラ及び風ムラの発生を防いでいるので面状が極めて優れたものが得られ、そのフィルムを保護フィルムとする偏光板は光学特性に優れている。また、その偏光板を用いて構成される液晶表示装置も光学特性に優れる。さらに、広幅フィルムは、様々な形態のフィルムベースとして用いることができ、破棄する箇所が少なくなるためにコスト低減に有効である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。なお、実験1で詳細に実験方法及び評価,測定結果を説明し、実験2ないし4の実験条件及び評価,測定結果と併せて後に表1ないし表3にまとめて示す。
実験1では、ドープの調製は、セルローストリアセテート(酢化度57.5%)100重量部,トリフェニルフォスフェート7重量部,ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部の固形分をジクロロメタン92重量部,メタノール8重量部の組成比からなる混合溶媒に入れて、ドープ11を得た。ドープ11の固形分濃度は19.0重量%に調製した。ドープ11を静置脱泡した後に、ミキシングタンク12に投入し、送液ポンプ14によって濾過装置15を経由した後に流延ダイ16へ送った。
流延ダイ16から流延幅を1600mm、流延速度を55m/min,乾燥後のフィルム膜厚が40μmとなるように流延バンド23上へ流延を行い、流延膜32を形成させた。第1エリア24のガス濃度は、主溶媒であるジクロロメタンの飽和蒸気量に対して90%とし、乾燥風33の風速は0.2m/sとし、流延室20内の各エリア24〜26の温度が120℃とした。以上の条件となるように乾燥風供給装置29〜31を用いて調整を行った。なお、ガス濃度測定には新コスモス電機(株)のXP−316Aを用いた(図示しない)。そのデータより飽和蒸気量に対しての割合を算出し、乾燥風供給装置29でガス濃度の調整を行った。次に、第2エリア25に搬送された流延膜32を乾燥させた。乾燥風の風速は、0.4m/sとした。さらに、第3エリア26に搬送された流延膜32を乾燥させるために乾燥風の風速は、2.0m/sとした。
流延バンド23上で、流延膜32が自己支持性を有するものとなった後に、剥取ローラ40で支持しながら軟膜41として剥ぎ取った。搬送ローラ42でテンタ乾燥機43に搬送した。テンタ乾燥機43内の温度は、100℃〜120℃の範囲とし軟膜41の乾燥を進行させた。なお、このときに幅方向への拡幅は行わなかった。乾燥が進行したフィルム45を温度が100℃〜130℃の温度範囲に調整されている乾燥室50に搬送ローラ44で搬送した。乾燥室50内で15分間乾燥させ、その後に耳切装置54でフィルム45の両縁を裁断して幅1340mmの製品フィルムを得た。
流延中に配管17aの圧力変動を圧力計19で測定したところ、−500Paであった。そして、その圧力下でのフィルムの厚みムラの測定を行った。厚みムラ測定には、ANITSU社製FILM THICKNES TESTER KG 601 を用いた。周波数で3Hz以上の周期性を持つ膜厚変動の周期的な変動率を測定した。変動率が全体の膜厚の0.3%未満を◎、0.8%未満を○、1.5%未満を△、1.5%以上を×として4段階評価を行い、△以上を合格とした。実施例1では、厚みムラが抑制されたものが得られた(◎)。
フィルム表面の反射は、全く見えないを○、光の方向を選択することによって非常にうっすら見える場合を△、見える場合を×とする3段階評価を行い、△以上を合格とした。フィルム45の表面反射は全く見られなかった(○)。
また、実験2(ガス濃度70%),比較実験である実験3(ガス濃度30%),比較実験である実験4(ガス濃度50%)の各実験を行った。
Figure 2005096182
次に、実験1の乾燥風33の風速を0.2m/sとした以外は、同じ実験条件で実験5を行った。また、実験6(風速0.8m/s),実験7(風速1.3m/s),比較実験である実験8(風速2.0m/s)の各実験も行った。
Figure 2005096182
また、搬送ローラ42とテンタ乾燥機43とによりフィルムにドローを付与した実験も行った。ドロー率を8%とし、テンタ乾燥機43で幅方向に108%拡幅した実験を実験9として行った。さらに、実験10(ドロー率10%),実験11(ドロー率5%),実験12(ドロー率0.1%)の各実験も行った。なお、それぞれの実験で得られたフイルムを搬送方向に300mm、幅方向に300mmに切断した試料を90℃,24時間放置した。そして、搬送,幅方向の収縮率を測定し、0%以上0.05%未満を◎、0.05以上0.1%未満を○、0.1%以上0.2%未満を△、0.2以上を×の4段階評価を行い、△以上を合格とした。
Figure 2005096182
本発明の溶液製膜方法に用いられるフイルム製膜ラインの概略図である。
符号の説明
10 フイルム製膜ライン
11 ドープ
20 流延室
24 第1エリア
29 乾燥風供給装置
32 流延膜
33 乾燥風
43 テンタ乾燥機
45 フィルム

Claims (10)

  1. ポリマーと主溶媒とを含むドープをエンドレスで走行する支持体上に流延ダイを用いて流延し、流延膜を形成させた後に軟膜として剥ぎ取り、乾燥させてフィルムを製造する溶液製膜方法において、
    前記流延ダイ直後の所定エリアの前記主溶媒ガス濃度を前記主溶媒の飽和蒸気量をSvとしたときに、
    0.6・Sv以上Sv以下とすることを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記所定エリアに風を供給する風供給手段を設け、
    この風の供給風速を1.5m/s以下にすることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 前記所定エリアが、前記流延膜の残留揮発分が60重量%以上の領域であることを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
  4. 前記軟膜を拡幅する拡幅手段を用い、
    前記拡幅手段により前記軟膜を流延幅方向に30%以内で拡幅することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  5. 前記軟膜を引っ張る引張手段を用い、
    前記引張手段により前記軟膜を搬送方向に30%以内で引っ張ることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  6. 前記フィルムの膜厚が20μm以上65μm以下となるように前記ドープを流延することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  7. 前記ドープの流延幅を1400mm以上として流延することを特徴とする請求項1ないし6いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  8. 前記フィルムの幅が1400mm以上となるように裁断することを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載の溶液製膜方法。
  9. 請求項1ないし8いずれか1つ記載の溶液製膜方法で製膜されたフィルムを用いて構成されたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求項9記載の偏光板を用いて構成されたことを特徴とする液晶表示装置。
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