JP2005089294A - 無機化合物粒子の固着物の解砕方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】解砕のために、従来の機械的解砕や、粉砕媒体や気流による衝撃を利用することなく、粉砕媒体からの不純物やチッピング粒子が混入せず、高純度で、粒度分布の狭い粉体を得ることができる無機化合物粒子の固着物の解砕方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を溶媒中、30〜500℃の範囲の温度で加熱することを特徴とする無機化合物粒子の固着物の解砕方法が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】本発明によれば、加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を溶媒中、30〜500℃の範囲の温度で加熱することを特徴とする無機化合物粒子の固着物の解砕方法が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は無機化合物粒子の固着物の解砕方法に関し、詳しくは、加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を、従来の機械的解砕手段や、媒体ミルや気流式解砕機を用いることなく解砕して、チッピング粒子を含まず、高純度で、粒度分布の狭い粉体を得ることができる無機化合物粒子の固着物の解砕方法に関する。
従来、無機化合物粒子、例えば、チタン酸バリウムに代表されるペロブスカイト化合物の粉体は、一つの方法として、原料粉体を加熱して、反応生成物として、目的とする無機化合物粒子の固着物を得、この固着物を解砕して、所定の平均粒子径を有する粉体として製造されている。また、例えば、場合によっては、一旦、製造したチタン酸バリウムの粒子を成長させるために、これに粒子の成長を促進する添加剤を混合し、加熱して、生成した固着物を改めて解砕して、所要の平均粒子径を有するチタン酸バリウムの粉体を得ている。
このように、無機化合物の粉体の製造においては、例えば、固相法によるチタン酸バリウムの製造におけるように、反応に加熱工程を含んでいるために、目的とする無機化合物粒子が固着物として得られる場合がある。また、予め製造した無機化合物粒子を加熱し、凝集させ、融着させ、又は焼結させてなる固着物を解砕して、所定の粒子径を有する粒子に解粒し、整粒することが必要となる場合も往々にしてある。従来、このような固着物を解砕するには、一般的には、ロールミル、ハンマーミル、ピンミル等の機械的解砕機や、ボールミル、チューブミル、コニカルミル、振動ミル、タワーミル、アトライター、ビスコミル、サンドミル、アニュラーミル等の媒体ミルやジェットミル等の気流式解砕機が用いられている(非特許文献1参照)。
しかし、従来の機械的解砕手段によれば、得られる粉体の粉砕度が低く、他方、例えば、ボールミルのように、粉砕媒体を用いる解砕においては、それら粉砕媒体自身の磨耗による不純物が得られる解砕物、即ち、粉体に混入することが避けられず、また、そのような解砕によって無機化合物粒子が過度に解砕されて微粒子(以下、チッピング粒子という。)を生成し、これが得られる解砕物に混入することが避けられなかった。このように、得られる解砕物に粉砕媒体が不純物として混入することを回避する方法としては、例えば、解砕する無機化合物粒子を主成分とする粉砕媒体を用いることが提案されているが(例えば、特許文献1参照)、チッピング粒子が生成し、これが得られる解砕物に混入する問題は依然として解決されていない。
一例を挙げれば、特に、炭化ケイ素のように、高強度で高耐磨耗性を有する無機化合物は、焼結粒子も非常に硬いので、その解砕に用いる粉砕媒体(例えば、玉石、ケーシング等)はその磨耗が非常に激しく、粉砕媒体から生成する不純物が得られる解砕物に混入しやすく、それ故に、得られた解砕物から不純物を除去する工程が殊更に必要とされている。一般に、ジルコニア製玉石は、粉砕媒体として粉砕効率が高いことが知られているが、炭化ケイ素の焼結体をジルコニア製玉石で解砕するときは、得られる炭化ケイ素の粉体中に5〜15%ものジルコニアが混入するという問題がある(例えば、特許文献2参照)。
更に、別の一例を挙げれば、誘電体セラミックスの素材として知られているチタン酸バリウム粉体は、例えば、炭酸バリウムと酸化チタンを1000℃以上の温度で加熱する所謂固相法によって製造されているが、このような固相法によるチタン酸バリウム粉体の製造においては、チタン酸バリウムは、粒子が凝集し、相互に融着してなる固着物として得られるので、これをボールミル等の媒体ミルを用いて解砕して、望ましい平均粒子径を有するチタン酸バリウム粒子を得るようにしている(例えば、非特許文献2参照)。
他方、気流式解砕機を用いて、無機化合物粒子の固着物を解砕する場合には、得られる解砕物に粉砕媒体から生成する不純物が混入することは避けることはできるが、しかし、気流による衝撃によって解砕される無機化合物粒子に歪が生じるので、粒子の結晶性の低下等、望ましい粉体物性を損なう問題がある。
上述したように、従来、無機化合物粒子からなる固着物の解砕において、従来の機械的解砕手段を用いれば、得られる粉体の粉砕度が低く、他方、媒体ミルを用いる方法によれば、得られる解砕物にチッピング粒子や粉砕媒体に起因する不純物の混入することが避けられない。また、気流式解砕方法によれば、処理中の無機化合物粒子が衝撃によって歪を生じ、望ましい特性に有害な影響を及ぼすことがある。
特開平03−174355号公報
特開2002−121077号公報
粉体工学会編「粉砕・分級と表面改質」第99頁(2001年発行)
粉体工学会誌、第34巻第11号第32頁、佐々木▲きょう▼一「チタン酸バリウムとその複合粒子の製造法とプロセス」(1997年)
本発明は、無機化合物粒子の固着物の解砕における上述した問題を解決するためになされたものであって、従来の機械的解砕手段や、粉砕媒体や気流による衝撃を利用することなく、粉砕媒体からの不純物やチッピング粒子が混入せず、純度が高く、粒度分布の狭い無機化合物粉体を得ることができる無機化合物粒子の固着物の解砕方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を溶媒中、30〜500℃の範囲の温度で加熱することを特徴とする無機化合物粒子の固着物の解砕方法が提供される。
本発明によれば、加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を溶媒中、加熱して解砕するので、摩耗した粉砕媒体に由来する不純物の混入がなく、また、無機化合物粒子自体のチッピング粒子の混入もなく、かくして、高純度で粒度分布の狭い無機化合物の粉体を得ることができる。
本発明において、無機化合物粒子の固着物とは、無機化合物粒子を加熱することによって、無機化合物粒子が相互に凝集し、融着し、又は焼結して生成した固着物をいい、無機化合物粉体の製造において、反応生成物として得られる無機化合物粒子の固着物を含むものとする。
従って、本発明において、無機化合物は、特に、限定されるものではなく、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、ホウ化物、リン化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩又はこれらの複合であり、これら無機化合物は、その製造方法において限定されるものではない。また、無機化合物粒子の固着物は、予め、解砕されていなくてもよく、また、予め、媒体ミルや気流式解砕機やその他の従来より知られている解砕手段にて解砕されていてもよい。
このように、固着物が予め、上述したような従来より知られている解砕手段にて解砕されているときは、本発明に従って、溶媒の存在下で加熱することによって、残留している粒子間の固着を短時間で解砕し、また、チッピング粒子を溶解、再析出させることによって、粒度分布の狭い粉体を得ることができる。他方、固着物が予め、解砕されていないときは、チッピング粒子の生成なしに、一次粒子まで解砕された粉体を得ることができる。
本発明において、無機化合物粒子の固着物がその目的とする無機化合物粒子の製造において反応生成物として得られる固着物、即ち、目的とする無機化合物粒子の製造のための原料の加熱によって得られた反応生成物である一例としては、例えば、チタン酸バリウムに代表されるペロブスカイト化合物についていえば、例えば、水熱法、固相法、有機酸塩法、アルコキシド法又はゾル−ゲル法によって得られるペロブスカイト化合物の固着物を挙げることができる。
また、一般に、無機化合物粉体の製造に際しては、その原料の反応に際して、又はその無機化合物の粒子の熱処理時に、粒子の成長を促進させ、又は粒子の結晶化度を向上させるために、所謂焼結助剤、粒子成長促進剤、結晶化促進剤、フラックス剤等と呼ばれる添加剤、例えば、限定されるものではないが、具体例を挙げれば、酸化ホウ素、酸化銅、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化モリブデン等のような酸化物や、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化バリウム、塩化ストロンチウム等のハロゲン化物を原料に添加する場合がある。また、上記添加剤とは反対の効果を目的として、所謂焼結防止剤、粒子成長抑制剤等と呼ばれる添加剤、例えば、限定されるものではないが、具体例を挙げれば、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等を原料に添加する場合がある。
これらの添加剤は、従来の無機化合物粒子の固着物の解砕方法によれば、粒子間(粒界)に粒界成分として残存して、粒子を固着させ、かくして、得られる粉体の粒度分布を悪化させたり、また、製品(例えば、誘電体セラミックス)の特性に悪影響を及ぼす場合がある。目的とする無機化合物を製造するために用いる原料のうちの過剰な成分についても、同様である。
しかし、本発明の方法によれば、無機化合物粒子の固着物は、上述したような焼結助剤、粒子成長促進剤、結晶化促進剤、フラックス剤や、又は焼結防止剤、粒子成長抑制剤等を含んでいる場合であっても、これらの添加剤自身や過剰の原料のような、本来、不必要な成分を溶媒中に溶解させることによって、目的とする無機化合物粒子から除去することもできるので、固着している粒子の解粒と整粒効果に加えて、粒子の高純度化も可能である。
即ち、本発明によれば、上述したような種々の方法によってペロブスカイト化合物を製造する際に、生成するペロブスカイト化合物粒子の成長を促進させ、又は抑制する添加剤を原料に混合して、ペロブスカイト化合物の固着物を得、これを解砕して、所要の平均粒子径を有するペロブスカイト化合物粉体を得ることができる。即ち、原料にペロブスカイト化合物粒子の成長を促進させ、又は抑制する添加剤を混合して、ペロブスカイト化合物の固着物を得、この固着物を溶媒中で30〜500℃の範囲の温度で加熱して解砕することによって、望ましい平均粒子径を有すると共に狭い粒度分布を有するペロブスカイト化合物粉体を得ることができる。
別の方法として、予め、製造したペロブスカイト化合物に粒子の成長を促進させ、又は抑制する添加剤を混合し、加熱して、ペロブスカイト化合物の固着物を得、これを解砕して、所要の平均粒子径を有するペロブスカイト化合物粉体を得ることもできる。即ち、予め、製造したペロブスカイト化合物に粒子の成長を促進させ、又は抑制する添加剤を混合し、加熱して、ペロブスカイト化合物の固着物を得、この固着物を溶媒中で30〜500℃の範囲の温度で加熱して解砕することによっても、望ましい平均粒子径を有すると共に狭い粒度分布を有するペロブスカイト化合物粉体を得ることができる。
このように、本発明によれば、粒子成長促進剤や粒子成長抑制剤を含む無機化合物粒子の固着物を得、この固着物を溶媒中、加熱し、解砕することによって、上記粒子成長促進剤や粒子成長抑制剤を溶媒中に溶解させ、かくして、固着物を解粒し、整粒するのみならず、純度を高めた無機化合物粒子を得ることができる。
特に、本発明によれば、このように、無機化合物粒子の固着物が含む上述したような添加剤や過剰の原料のような不必要な成分の溶媒への溶解度を増加させるために、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の塩基、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム等の有機酸塩を加えることによって上述した効果をより高めることができる。
本発明において用いる溶媒は、有機溶媒、無機溶媒を問わないが、好ましくは、固着物を形成している無機化合物のチッピング粒子や固着物の粒界成分を溶解し得る程度の溶解製を有する溶媒が用いられ、特に、取扱いやすいことから、水や、水混和性有機溶媒と水との混合物が好ましく用いられる。このような溶媒中で無機化合物の固着物を加熱する温度は、通常、30〜500℃の範囲であるが、好ましくは、60〜500℃の範囲であり、なかでも、処理の効率や経済性を考えると、最も好ましくは、100〜300℃の範囲である。
本発明によれば、このような加熱処理に際して、固着物の解砕を促進するのみならず、チッピング粒子の溶解と再析出を促進するために、好ましくは、溶媒中に、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムのようなアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物のような塩基や有機アミン類のような塩基や、例えば、塩酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等のような有機酸のような酸を溶媒に加える。また、溶媒に加えることによって、塩基又は酸として働くものを加えてもよい。本発明によれば、このようにして、溶媒中、好ましくは、攪拌しながら、無機化合物の固着物を加熱することによって、効率よく、解砕することができる。但し、溶媒中、固着物の加熱処理時、攪拌は、必ずしも、必要ではない。
チタン酸バリウムに代表されるペロブスカイト化合物は、一般式
ABO3
(式中、Aはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bはチタン、ジルコニウム、ハフニウム及びスズから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
で表される。
ABO3
(式中、Aはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム及び鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bはチタン、ジルコニウム、ハフニウム及びスズから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
で表される。
前述したように、加熱工程を含む原料の反応によって固着物として得られるペロブスカイト化合物、例えば、チタン酸バリウムを本発明に従って解砕する場合は、ペロブスカイト化合物の固着物を水中で、好ましくは、攪拌下に、加熱することによって、ペロブスカイト化合物粒子間に存在する粒界成分を溶解すると共に、微細な粒子を溶解し、別の粒子上に析出させるようにして、解砕を進めることによって、ペロブスカイト化合物を整粒された粉体として得ることができる。このようなペロブスカイト化合物の固着物の解砕においては、溶媒に加える塩基の量が多い程、固着物の解砕と微細な粒子の溶解、再析出が促進されるので望ましく、また、このように、微細な粒子の溶解、再析出を繰り返すことによって、粒子を成長させることもできる。このように、本発明によれば、固着した無機化合物粒子を解粒、整粒することができるのみならず、大粒子化することもできる。
また、例えば、ペロブスカイト化合物粉体を用いて誘電体セラミックスを製造する場合に、その粉体の焼結性や焼結体の電気特性を調節するために、例えば、ホウ素、ビスマス、アルカリ金属(例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム等)、希土類元素(例えば、イットリウム、ジスプロシウム、エルビウム、ホルミウム等)、遷移金属(例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニオブ等)、ケイ素、アルミニウム等の化合物を添加剤としてペロブスカイト化合物粉体に添加することがあるが、本発明に従って、ペロブスカイト化合物の固着物を解砕する際に、そのような添加剤をペロブスカイト化合物に含有させてもよいことはいうまでもない。本発明によれば、そのような添加剤を溶媒に加え、その溶媒中で固着物を加熱してもよく、また、加熱処理前や加熱処理後のペロブスカイト化合物に加えてもよい。
以下に実施例と共に比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。粒子の種々の物性や粉体写真の撮影は以下に記載する方法によった。
(平均粒子径の測定)
適量の粉体を0.025重量%濃度のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に加え、日本精機製作所製超音波ホモジナイザー(US−600T)で2分間分散させて検液を調製し、この検液について、粒度分布測定装置(日機装製マイクロトラックX−100)を用いて測定した。
適量の粉体を0.025重量%濃度のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に加え、日本精機製作所製超音波ホモジナイザー(US−600T)で2分間分散させて検液を調製し、この検液について、粒度分布測定装置(日機装製マイクロトラックX−100)を用いて測定した。
(比表面積の測定)
BET式のマウンテック社製Macsorb model−1203を用いて測定した。
BET式のマウンテック社製Macsorb model−1203を用いて測定した。
(ペロブスカイト化合物粉体中の不純物の測定)
プラズマ発光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製SPS3000)を用いて測定した。
プラズマ発光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製SPS3000)を用いて測定した。
(粉体写真の撮影)
日本電子製走査型電子顕微鏡JSM−5600を用いて撮影した。
日本電子製走査型電子顕微鏡JSM−5600を用いて撮影した。
実施例1
(水熱法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
水酸化チタン( 酸化チタンとして30重量%)131.5g(チタンとして0.5モル) に窒素雰囲気下で水酸化バリウム八水塩(Ba(OH)2・8H2O)157.5g(バリウムとして0.5モル) を加え、加水して、スラリー濃度を1.0モル/L(BaTiO3 換算) に調整した。このスラリーをチタン製ビーカーに入れ、1L容量のオートクレープに仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて5時間水熱反応を行った。反応終了後、得られたスラリーにpHが6.5になるまで炭酸ガスを吹き込んだ後、水洗、濾過し、110℃で乾燥して、チタン酸バリウムを得た。以下、このチタン酸バリウムを実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムという。このチタン酸バリウムを加熱して、比表面積4.4m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
(水熱法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
水酸化チタン( 酸化チタンとして30重量%)131.5g(チタンとして0.5モル) に窒素雰囲気下で水酸化バリウム八水塩(Ba(OH)2・8H2O)157.5g(バリウムとして0.5モル) を加え、加水して、スラリー濃度を1.0モル/L(BaTiO3 換算) に調整した。このスラリーをチタン製ビーカーに入れ、1L容量のオートクレープに仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて5時間水熱反応を行った。反応終了後、得られたスラリーにpHが6.5になるまで炭酸ガスを吹き込んだ後、水洗、濾過し、110℃で乾燥して、チタン酸バリウムを得た。以下、このチタン酸バリウムを実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムという。このチタン酸バリウムを加熱して、比表面積4.4m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
このチタン酸バリウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.3モル/L(BaTiO3 換算) に調整した。これを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗して、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウムの粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.5μmであり、比表面積は5.3m2/gであった。
上記チタン酸バリウム固着物の電子顕微鏡写真を図1に示し、粒度分布を図2に示し、更に、上記チタン酸バリウム固着物を解砕して得られたチタン酸バリウム粉体の電子顕微鏡写真を図3に示し、粒度分布を図4に示す。
実施例2
(固相法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、鉄芯入りナイロンボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1200℃で2時間加熱して、チタン酸バリウム固着物を得た。この固着物の比表面積は1.2m2/gであった。
(固相法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、鉄芯入りナイロンボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1200℃で2時間加熱して、チタン酸バリウム固着物を得た。この固着物の比表面積は1.2m2/gであった。
このチタン酸バリウム固着物を瑪瑙製乳鉢で解砕した後、チタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/L(BaTiO3 換算)に調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で250℃まで昇温し、250℃にて5時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにうして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は1.0μmであり、比表面積は1.7m2/gであった。
上記チタン酸バリウム固着物の電子顕微鏡写真を図5に示し、粒度分布を図6に示し、また、上記チタン酸バリウム固着物を解砕して得られたチタン酸バリウム粉体の電子顕微鏡写真を図7に示し、粒度分布を図8に示す。
実施例3
(有機酸塩法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
濃度50g/L(チタン換算) の四塩化チタン水溶液450mLに濃度267.3g/L(塩化バリウム換算) の塩化バリウム水溶液450mLを加えて混合溶液を調製した。この混合溶液を温度70℃に保持した濃度144.7g/L(シュウ酸二水和物換算)のシュウ酸水溶液900mL中に加えて、シュウ酸バリウムチタニルを得た。このシュウ酸バリウムチタニルを水洗した後、130℃で乾燥した。このシュウ酸バリウムチタニルを860℃で2時間加熱してチタン酸バリウム固着物を得た。この固着物の比表面積は7.9m2/gであった。
(有機酸塩法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
濃度50g/L(チタン換算) の四塩化チタン水溶液450mLに濃度267.3g/L(塩化バリウム換算) の塩化バリウム水溶液450mLを加えて混合溶液を調製した。この混合溶液を温度70℃に保持した濃度144.7g/L(シュウ酸二水和物換算)のシュウ酸水溶液900mL中に加えて、シュウ酸バリウムチタニルを得た。このシュウ酸バリウムチタニルを水洗した後、130℃で乾燥した。このシュウ酸バリウムチタニルを860℃で2時間加熱してチタン酸バリウム固着物を得た。この固着物の比表面積は7.9m2/gであった。
このチタン酸バリウム固着物を瑪瑙製乳鉢で解砕した後、チタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/L(BaTiO3 換算) に調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。加熱後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は3.8μmであり、比表面積は7.2m2/gであった。
実施例4
(過剰の原料を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、過剰の原料としてこのチタン酸バリウムに対して0.3モル%の堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムを加え、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合し、これを加熱して、比表面積1.4m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。この固着物のX線回折によれば、チタン酸バリウム以外にオルトチタン酸バリウム(Ba2TiO4)のピークがみられた。
(過剰の原料を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、過剰の原料としてこのチタン酸バリウムに対して0.3モル%の堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムを加え、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合し、これを加熱して、比表面積1.4m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。この固着物のX線回折によれば、チタン酸バリウム以外にオルトチタン酸バリウム(Ba2TiO4)のピークがみられた。
このチタン酸バリウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.3モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。加熱後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体のX線回折によれば、Ba2TiO4 のピークは消失しており、更に、蛍光X線を用いて、この粉体がチタン酸バリウムであることを確認した。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の比表面積は2.0m2/gであった。
実施例5
(粒子成長促進剤を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、粒子成長促進剤としてチタン酸バリウムに対して1重量%の堺化学工業(株)製塩化バリウム二水塩を加えて、ポリエチレン製ポットミルで湿式混合した後、噴霧乾燥した。この乾燥物を加熱して、比表面積4.2m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
(粒子成長促進剤を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、粒子成長促進剤としてチタン酸バリウムに対して1重量%の堺化学工業(株)製塩化バリウム二水塩を加えて、ポリエチレン製ポットミルで湿式混合した後、噴霧乾燥した。この乾燥物を加熱して、比表面積4.2m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
このチタン酸バリウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して1.5倍モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.3モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレープ装置に装着し、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。加熱後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.6μmであり、比表面積は4.6m2/gであった。更に、このようにして得られたチタン酸バリウム中の塩素含有量を蛍光X線分析装置により測定した結果、100ppm以下であった。
実施例6
(粒子成長抑制剤を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、粒子成長抑制剤としてチタン酸バリウムに対して0.3重量%の酸化ケイ素を加えて、ポリエチレン製ポットミルで湿式混合した後、噴霧乾燥した。この乾燥物を加熱して、比表面積は6.2m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
(粒子成長抑制剤を含むチタン酸バリウム固着物の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムに、粒子成長抑制剤としてチタン酸バリウムに対して0.3重量%の酸化ケイ素を加えて、ポリエチレン製ポットミルで湿式混合した後、噴霧乾燥した。この乾燥物を加熱して、比表面積は6.2m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
このチタン酸バリウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して等モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.4モル/Lに調整した。このスラリーを容量200mLのオートクレーブ装置に仕込み、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.5μmであり、比表面積は6.5m2/gであった。更に、このようにして得られたチタン酸バリウム中の酸化ケイ素含有量をプラズマ発光分光分析装置により測定した結果、900ppmであった。
実施例7
(固相法によるジルコン酸カルシウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸カルシウムと高純度酸化ジルコニウムを等モル秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1150℃で2時間加熱して、比表面積3.0m2/gのジルコン酸カルシウム固着物を得た。
(固相法によるジルコン酸カルシウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸カルシウムと高純度酸化ジルコニウムを等モル秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1150℃で2時間加熱して、比表面積3.0m2/gのジルコン酸カルシウム固着物を得た。
このジルコン酸カルシウム固着物を瑪瑙製乳鉢にて粗砕した後、チタン製ビーカーに入れ、ジルコン酸カルシウム固着物に対して同モルの水酸化ナトリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、400〜450rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で250℃で昇温し、250℃にて5時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線線を用いてジルコン酸カルシウムであることを確認した。また、このようにして得られたジルコン酸カルシウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は1.2μmであり、比表面積は3.3m2/gであった。
実施例8
(固相法によるチタン酸マグネシウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度酸化マグネシウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、850℃で2時間加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸マグネシウム固着物を得た。
(固相法によるチタン酸マグネシウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度酸化マグネシウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、850℃で2時間加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸マグネシウム固着物を得た。
このチタン酸マグネシウム固着物を瑪瑙製乳鉢にて粗砕した後、チタン製ビーカーに入れ、チタン酸マグネシウム固着物に対して同モルの水酸化ナトリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、100〜150rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で220℃まで昇温し、220℃にて5時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸マグネシウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸マグネシウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は4.2μmであり、比表面積は2.9m2/gであった。
実施例9
(水熱法によるチタン酸ストロンチウム固着物の解砕)
水酸化チタン(酸化チタンとして30重量%)131.5g(チタンとして0.5モル) に窒素雰囲気下で水酸化ストロンチウム八水塩(Sr(OH)2・8H2O)132.9g(ストロンチウムとして0.5モル) を加え、加水して、スラリー濃度を1.0モル/L(SrTiO3 換算) に調整した。このスラリーをチタン製ビーカーに入れ、容量1Lのオートクレーブに仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて5時間水熱反応を行った。反応終了後、得られたスラリーにpHが6.5になるまで炭酸ガスを吹き込んだ後、水洗、濾過し、110℃で乾燥して、チタン酸ストロンチウムを得た。このチタン酸ストロンチウムを加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸ストロンチウム固着物を得た。
(水熱法によるチタン酸ストロンチウム固着物の解砕)
水酸化チタン(酸化チタンとして30重量%)131.5g(チタンとして0.5モル) に窒素雰囲気下で水酸化ストロンチウム八水塩(Sr(OH)2・8H2O)132.9g(ストロンチウムとして0.5モル) を加え、加水して、スラリー濃度を1.0モル/L(SrTiO3 換算) に調整した。このスラリーをチタン製ビーカーに入れ、容量1Lのオートクレーブに仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて5時間水熱反応を行った。反応終了後、得られたスラリーにpHが6.5になるまで炭酸ガスを吹き込んだ後、水洗、濾過し、110℃で乾燥して、チタン酸ストロンチウムを得た。このチタン酸ストロンチウムを加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸ストロンチウム固着物を得た。
このチタン酸ストロンチウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸ストロンチウム固着物に対して同モルの水酸化ストロンチウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.5モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて5時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸ストロンチウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸ストロンチウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.7μmであり、比表面積は3.0m2/gであった。
実施例10
(固相法によるチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物の解砕)
高純度炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムをBa:Ca:Ti:Zrモル比が0.95:0.05:0.9:0.1となるように秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1000℃で2時間加熱して、比表面積3.1m2/gのチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物を得た。
(固相法によるチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物の解砕)
高純度炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムをBa:Ca:Ti:Zrモル比が0.95:0.05:0.9:0.1となるように秤量し、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を乾燥した後、1000℃で2時間加熱して、比表面積3.1m2/gのチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物を得た。
このチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物を瑪瑙製乳鉢にて粗砕した後、チタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。これを容量1Lのオートクレープ装置に仕込み、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で180℃まで昇温し、180℃にて20時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.8μmであり、比表面積は4.0m2/gであった。
実施例11
(固相法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、更に、炭酸バリウムと酸化チタンとの合計量に、粒子成長促進剤として0.1重量%の塩化ナトリウムを加えて、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を噴霧乾燥した後、1150℃2時間加熱して、比表面積1.1m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
(固相法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
堺化学工業(株)製高純度炭酸バリウムと高純度酸化チタンを等モル秤量し、更に、炭酸バリウムと酸化チタンとの合計量に、粒子成長促進剤として0.1重量%の塩化ナトリウムを加えて、ジルコニアボール入りポリエチレン製ポットミルを用いて湿式混合した。この混合物を噴霧乾燥した後、1150℃2時間加熱して、比表面積1.1m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
このチタン酸バリウム固着物を瑪瑙製乳鉢にて粗砕した後、チタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、550〜600rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で250℃まで昇温し、250℃にて3時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は1.1μmであり、比表面積は1.3m2/gであった。更に、このようにして得られたチタン酸バリウム中のナトリウム含有量をプラズマ発光分光分析装置により測定した結果、150ppmであった。
実施例12
(チタン酸バリウムの焼結体の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムにポリピニルアルコールを加え、造粒した後、直径20mm、厚み2mmの成形体を作製した。この成形体を1400℃で4時間加熱して、タブレット状の焼結体を得た。
(チタン酸バリウムの焼結体の解砕)
実施例1で得た水熱法によるチタン酸バリウムにポリピニルアルコールを加え、造粒した後、直径20mm、厚み2mmの成形体を作製した。この成形体を1400℃で4時間加熱して、タブレット状の焼結体を得た。
この焼結体をチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウムに対して8モル倍の水酸化バリウムを加え、加水した。このスラリーを容量200mLのオートクレーブ装置に仕込み、100℃/時の割合で250℃まで昇温し、250℃にて50時間、攪拌することなく、加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は40μmであり、比表面積は0.11m2/gであった。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の電子顕微鏡写真を図9に示す。
実施例13
(アルコキシド法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
金属バリウムを窒素雰囲気下、80℃で脱水処理したイソプロピルアルコールに溶解させて、0.2モル/L濃度のバリウムイソプロポキシド溶液を調製した。また、チタンイソプロポキシドを窒素雰囲気下、脱水処理したイソプロピルアルコールに溶解させ、1.0モル/L濃度のチタンイソプロポキシド溶液を調整した。これらのバリウムイソプロポキシド溶液とチタンイソプロポキシド溶液をBa/Tiモル比が1/1になるようにフラスコに秤量し、窒素雰囲気下、2時間、攪拌しながら還流した。この後、脱炭酸した蒸留水をゆっくり加えて3時間熟成した後、室温まで冷却して、チタン酸バリウムを得た。このチタン酸バリウムを加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
(アルコキシド法によるチタン酸バリウム固着物の解砕)
金属バリウムを窒素雰囲気下、80℃で脱水処理したイソプロピルアルコールに溶解させて、0.2モル/L濃度のバリウムイソプロポキシド溶液を調製した。また、チタンイソプロポキシドを窒素雰囲気下、脱水処理したイソプロピルアルコールに溶解させ、1.0モル/L濃度のチタンイソプロポキシド溶液を調整した。これらのバリウムイソプロポキシド溶液とチタンイソプロポキシド溶液をBa/Tiモル比が1/1になるようにフラスコに秤量し、窒素雰囲気下、2時間、攪拌しながら還流した。この後、脱炭酸した蒸留水をゆっくり加えて3時間熟成した後、室温まで冷却して、チタン酸バリウムを得た。このチタン酸バリウムを加熱して、比表面積2.5m2/gのチタン酸バリウム固着物を得た。
このチタン酸バリウム固着物をそのままチタン製ビーカーに入れ、窒素雰囲気下でチタン酸バリウム固着物に対して同モルの水酸化バリウムを加え、加水した後、スラリー濃度を0.3モル/L(BaTiO3 換算) に調整した。このスラリーを容量1Lのオートクレーブ装置に仕込み、200〜250rpmで攪拌しながら、100℃/時の割合で200℃まで昇温し、200℃にて2時間加熱した。この後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。
このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.7μmであり、比表面積は3.1m2/gであった。
比較例1
実施例2で得られたチタン酸バリウム固着物は、プラズマ発光分光分析装置を用いて測定した結果、用いた原料に由来して、不純物としてジルコニウム8ppmを含むものであった。
実施例2で得られたチタン酸バリウム固着物は、プラズマ発光分光分析装置を用いて測定した結果、用いた原料に由来して、不純物としてジルコニウム8ppmを含むものであった。
このチタン酸バリウム固着物をジルコニアボール入りナイロン製ポットに入れ、フリッチュ社製遊星ボールミルを用いて湿式粉砕した。このようにして得られた粉体は、X線回折及び蛍光X線を用いてチタン酸バリウムであることを確認した。また、このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の粒度分布測定の結果、平均粒子径は0.8μmであり、比表面積は2.8m2/gであった。更に、このようにして得られたチタン酸バリウム中のジルコニウム含有量をプラズマ発光分析装置にて測定した結果、630ppmであった。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の電子顕微鏡写真を図10に示し、粒度分布を図11に示す。
比較例2
実施例1で得られたチタン酸バリウム固着物をガラス製ビーカーに入れ、加水して、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。このスラリーを20℃で5時間、攪拌した後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。このようにして得られたチタン酸バリウムの粒度分布と比表面積を測定したが、いずれも熱処理前の固着物と変わらず、解砕されていなかった。
実施例1で得られたチタン酸バリウム固着物をガラス製ビーカーに入れ、加水して、スラリー濃度を1.0モル/Lに調整した。このスラリーを20℃で5時間、攪拌した後、スラリーを濾過、水洗し、110℃で乾燥し、瑪瑙製乳鉢で粉砕して粉体を得た。このようにして得られたチタン酸バリウムの粒度分布と比表面積を測定したが、いずれも熱処理前の固着物と変わらず、解砕されていなかった。
Claims (3)
- 加熱によって生成した無機化合物粒子の固着物を溶媒中、30〜500℃の範囲の温度で加熱することを特徴とする無機化合物粒子の固着物の解砕方法。
- 固着物が無機化合物粒子の成長を促進させ、又は抑制する添加剤を含む請求項1に記載の方法。
- 酸又は塩基を含む溶媒中、固着物を加熱する請求項1又は2に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004236106A JP2005089294A (ja) | 2003-08-13 | 2004-08-13 | 無機化合物粒子の固着物の解砕方法 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2003293261 | 2003-08-13 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2006298677A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | セラミックス粉末の合成方法 |
US11631540B2 (en) * | 2017-07-19 | 2023-04-18 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Multilayer ceramic capacitor of barium titanate ceramic doped with molybdenum and manufacturing method thereof |
-
2004
- 2004-08-13 JP JP2004236106A patent/JP2005089294A/ja active Pending
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JP2006298677A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | セラミックス粉末の合成方法 |
US11631540B2 (en) * | 2017-07-19 | 2023-04-18 | Taiyo Yuden Co., Ltd. | Multilayer ceramic capacitor of barium titanate ceramic doped with molybdenum and manufacturing method thereof |
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