JP2006298677A - セラミックス粉末の合成方法 - Google Patents

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裕司 堀田
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佐藤  公泰
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孝明 長岡
Koji Watari
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Abstract

【課題】極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する低温焼結可能なセラミックス粉末を、簡単かつ生産性よく合成することのできるセラミックス粉末の合成方法を提供する。
【解決手段】溶媒の存在下、水熱合成することによりセラミックス粉末を合成する方法である。セラミックス粉末を構成する原材料と、生成するセラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成する。
【選択図】なし

Description

本発明はセラミックス粉末の合成方法、この合成方法により合成されたセラミックス粉末、このセラミックス粉末を用いて得られる成形体、及び焼結体に関する。更に詳しくは、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する低温焼結可能なセラミックス粉末を、簡単かつ生産性よく合成することのできるセラミックス粉末の合成方法、この合成方法により合成されたセラミックス粉末、このセラミックス粉末を用いて得られる成形体、及び焼結体に関する。
アルミナをはじめとする酸化物セラミックスや、窒化珪素をはじめとする非酸化物セラミックス等のセラミックスからなる粉末は、電子部品材料を構成するための材料として使用されている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末は、積層セラミックスコンデンサ(multilayer ceramic chip capacitors(MLCC))、サーミスタ、及び抵抗体等の誘電材料、圧電材料、半導体、その他各種電子部品材料を構成するための材料として使用されている。
チタン酸バリウム粉末を合成する方法としては、例えば、(1)TiO2とBaCO3とを、1300℃以上の高温で焼成しつつ固相反応させる固相反応法、(2)TiCl4、BaCl2、及びシュウ酸を反応させることにより得られたBaTiO(C242・4H2Oを熱分解するシュウ酸塩法、(3)水酸化バリウムと水酸化チタンの混合物を水熱処理して得られた反応物を仮焼する水熱合成法、(4)バリウムアルコキシドとチタンアルコキシドの混合溶液を加水分解しその加水分解物を仮焼するアルコキシド法、(5)水酸化バリウム水溶液にチタンアルコキシドを加えて得られた反応物を仮焼する水酸化物−アルコキシド法、等が知られている。また、これら(1)〜(5)の方法以外にも、噴霧熱分解法やゾルゲル法等が知られている。
近年、MLCCには、小型大容量化、高周波数化等の高性能化の要求が高まっている。また、製造的な観点から見ると、MLCCはより低温で焼成することによって製造可能であること等が要求される。これらの要求を満足すべく、高純度であるとともに組成が均質であり、かつ、微粒で均一な粒度分布を有するチタン酸バリウム粉末の需要が拡大している。これらの要求を満足すべく、チタン酸バリウムを製造するための関連する従来技術として、シュウ酸塩法(例えば、特許文献1,2参照)、アルコキシド法(例えば、特許文献3参照)、水熱合成法(例えば、特許文献4、非特許文献1,2参照)等の液相合成法が開示されている。
これらの液相合成法により合成されるチタン酸バリウム粉末は、固相法で合成されるものに比して、焼結体を得るための焼成温度をある程度低くすることができる。しかしながら、その焼成温度は1200℃以上とすることが必要であるため、低温焼成の要求に十分満足しているとはいえなかった。一方、ゾルゲル法では、成形操作によって成形体に生ずる歪みの残留を根本的に解決できないという問題がある。また、ゾルゲル法によって得られるチタン酸バリウムの一次粒子径はいわゆるナノサイズであり、焼結性が高いものである。しかし、その粒径が不均一な二次粒子(凝集粒子)として存在するために、成形が容易ではないといった問題がある。更には、乾燥、焼結時における成形体の収縮が大きく、かつ、加水分解反応の条件が複雑であるという問題がある。また、ゲル化工程を経て得られた成形体を焼結させるための焼成温度は、1100℃以上とする必要がある。
一方、チタン酸バリウム粉末を成形して所定形状の成形体を製造する方法としては、プレス成形法、静水圧成形法、ドクターブレード法等のテープ成形法、押出成形法、鋳込成形法等の、生産性の高い成形方法がある。即ち、生産性を高めるためには、チタン酸バリウムの粉末が必要である。このため、生産性の高いこれらの成形方法で成形可能であるとともに、得られる成形体が低温で焼結可能であるチタン酸バリウム粉末を提供することは、産業上及び環境上、極めて重要である。
一般的に、MLCCは、内部電極層と誘電体材料層と積層して得られた積層体を焼成することにより製造される。ここで、誘電体材料層は、チタン酸バリウム粉末を成形した成形体により構成されている。このため、内部電極層の構成材料となる金属の融点は、チタン酸バリウム粉末からなる成形体の焼成温度に比して高温である必要がある。従って、チタン酸バリウム焼結体を高温で焼成しなければならないと、電極として使用可能な金属の選択幅が狭くなるという問題がある。
特開2004−26641号公報 特表2004−521850号公報 特開2000−128631号公報 特開2002−211926号公報 H.Xu,L.Gao、「Hydrothermal synthesis of high-purity BaTiO3 powders: control of powder phase and size, sintering density, and dielectric properties」Materials Letters, 58 (2004) 1582-1586. H.Xu,L.Gao、「Tetragonal Nanocrystalline Barium Titanate powder: Preparation, Characterization, and Dielectric Properties」J. Am. Ceram. Soc., 86 (2003) 203-205.
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末を、簡単かつ生産性よく合成することのできるセラミックス粉末の合成方法を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する、成形及び低温焼結可能であるとともに所望とする形状に容易に成形可能なセラミックス粉末を提供することにある。
更に、本発明の課題とするところは、高密度であるとともに優れた誘電特性を示す焼結体を、比較的低温で焼成することによって製造し得る成形体を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、高密度であるとともに優れた誘電特性を示す焼結体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、セラミックス粉末を水熱合成するにあたり、セラミックス粉末を構成する原材料と前記溶媒とを連続的に混合しながら水熱合成することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すセラミックス粉末の合成方法、セラミックス粉末、成形体、及び焼結体が提供される。
[1]溶媒の存在下、水熱合成することによりセラミックス粉末を合成する方法であって、前記セラミックス粉末を構成する原材料と生成する前記セラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成することを含むセラミックス粉末の合成方法。
[2]生成する前記セラミックス粉末を粉砕しながら水熱合成する前記[1]に記載のセラミックス粉末の合成方法。
[3]生成する前記セラミックス粉末をボールミルにより粉砕する前記[2]に記載のセラミックス粉末の合成方法。
[4]前記セラミックス粉末が、チタン酸バリウム(BaTiO3)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si34)、モリブデン酸リチウム(Li2MoO4)、窒化チタン(TiN)、又はムライト(3Al23・2SiO2)の粉末である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミックス粉末の合成方法。
[5]80〜150℃で水熱合成する前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセラミックス粉末の合成方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセラミックス粉末の合成方法により合成された、一次粒子径が10〜50nm、及び凝集粒子径が0.1〜0.5μmであり、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末。
[7]1000℃以下で焼結可能なチタン酸バリウム(BaTiO3)の粉末である前記[6]に記載のセラミックス粉末。
[8]前記[6]又は[7]に記載のセラミックス粉末を成形してなる、相対密度が50%以上である成形体。
[9]前記[7]に記載のセラミックス粉末を成形及び焼成してなり、その結晶構造が正方晶である焼結粒により構成された、相対密度が90%以上である焼結体。
本発明のセラミックス粉末の合成方法によれば、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末を、簡単かつ生産性よく合成することができる。また、本発明のセラミックス粉末は、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成する、低温焼結可能であるとともに所望とする形状に容易に成形可能であるという効果を奏する。
本発明の成形体は、高密度であるとともに優れた誘電体特性を示す焼結体を、比較的低温で焼成することによって製造し得るという効果を奏する。また、本発明の焼成体は、高密度であるとともに優れた誘電体特性を示すものであるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明のセラミックス粉末の合成方法の一実施形態は、溶媒の存在下、水熱合成することによりセラミックス粉末を合成する方法であり、セラミックス粉末を構成する原材料と生成するセラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成することを含む合成方法である。以下、図面を参照しつつ、その詳細について説明する。
図1は、本発明のセラミックス粉末の合成方法で用いられる水熱合成装置の一例を示す模式図である。この水熱合成装置は、セラミックス粉末を構成する原材料を入れるための耐熱耐圧容器1と、この耐熱耐圧容器1を所定の温度に保持するためのヒーター4とを備えたものである。また、耐熱耐圧容器1の外側には回転軸棒3が配設されており、加熱・加圧条件下で耐熱耐圧容器1を回転させることができる。耐熱耐圧容器1は、例えばテトラフルオロエチレン樹脂製の中容器、ステンレス製の外容器等で構成されているような、耐薬品性や耐圧性に優れたものを使用することが好ましい。なお、水熱合成時の温度や圧力、或いは回転時の衝撃等で容易に破損せず、溶媒や原材料等と容易に反応しない容器であればよい。
本実施形態のセラミックス粉末の合成方法では、先ず、得ようとするセラミックス粉末を構成する原材料と溶媒とを、この耐熱耐圧容器1内に投入する。合成することのできるセラミックス粉末の種類は特に限定されないが、具体的にはチタン酸バリウム(BaTiO3)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、モリブデン酸リチウム(Li2MoO4)、ムライト(3Al23・2SiO2)、及びペロブスカイト酸化物等の酸化物セラミックスや、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si34)、窒化チタン(TiN)、窒化ホウ素(BN)、及び炭化チタン(TiC)等の非酸化物セラミックスの粉末を挙げることができる。従って、耐熱耐圧容器1内に投入される原材料や溶媒の種類は、得ようとするセラミックス粉末の種類によって、適宜選択される。
次いで、回転軸棒3を回転させ、耐熱耐圧容器1を回転させることにより、投入された原材料を撹拌しながら水熱合成を実施する。水熱合成の進行に伴い、系内にはセラミックスからなる粉末が徐々に生成することとなるが、本実施形態では、原材料と生成するセラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成を実施する。これにより、その一次粒子径がナノサイズであるとともに、均一な粒径の凝集粒子を構成する、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末を、簡単かつ生産性よく合成することができる。
一般に、ナノ粒子を成形することにより、低温焼結が可能となることが知られている。しかしながら、その一次粒子径が100nm以下であるナノ粒子は、凝集力が強く、一次粒子として存在することが困難である。このため、粒度分布幅のある凝集粒子として存在する。従って、このような粒度分布幅のある凝集粒子を成形して得られた成形体の密度は低くなり易く、焼結し難い傾向にある。また、ボールミルにより凝集粒子を解砕することは、一次粒子の凝集力が強いために困難である。しかしながら、本実施形態のセラミックス粉末の合成方法によれば、セラミックス粉末を構成する原材料と、系内で生成してその粒径が増大しつつあるセラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成するため、その一次粒子径がナノサイズのセラミックス粉末を合成することができる。また、得られるこのセラミックス粉末は凝集して凝集粒子を構成するが、この凝集粒子の粒子径は、一般的な成形方法により成形可能なサブミクロンサイズ(例えば、100nm)以上であるとともに、均一な分布を有する。
また、本実施形態のセラミックス粉末の合成方法においては、生成するセラミックス粉末を粉砕しながら水熱合成することが好ましい。これにより、より微細な一次粒子径及び凝集粒子径のセラミックス粉末を得ることが可能であるとともに、得られるセラミックス粉末の表面を活性化することができる。粉砕方法としては、図1に示すように、原材料とともに粉砕混合用ボール2を耐熱耐圧容器1内に投入し、その外部に配設された回転軸棒3を回転させることによる、いわゆるボールミルが好適である。このように、生成するセラミックス粉末を、ボール媒体を用いて粉砕しながら水熱合成すると、セラミックス粉末の表面の少なくとも一部が乱れるか、又は壊れるものと推測される。一方、セラミックス粉末どうしの接点で拡散が起こることにより、焼結が進行するものと考えられる。このため、その表面の少なくとも一部に損壊等の生じたセラミックス粉末は、その表面に何らの損壊等も生じていない、結晶性の高いセラミックス粉末に比して、焼成に伴う表面での拡散が起こり易く、いわゆる「表面が活性化されている」ものと考えられる。ボールミルで使用する粉砕混合用ボール2の材質は、水熱合成の際に不純物としての影響が生じないものであればよく、例えば、ジルコニア(ZrO2)製のものを使用することができる。また、粉砕混合用ボール2のサイズや投入量は、反応系のスケール等によって適宜設定すればよい。
本実施形態のセラミックス粉末はの合成方法では、仮焼工程や粉砕工程が不溶である。従って、例えば、同様にナノサイズのチタン酸バリウム粉末を合成可能なゾルゲル法に比して製造工程が簡略化されている。このため、成形及び低温焼成可能なセラミックス粉末を安価に提供できる。
本実施形態のセラミックス粉末の合成方法の更なる詳細を、セラミックス粉末がチタン酸バリウム粉末である場合を例に挙げて説明する。本実施形態のセラミックス粉末の合成方法によってチタン酸バリウム粉末を合成するには、先ず、水酸化バリウム(Ba(OH)2)水溶液と、チタニウムテトライソプロポキシド(((CH32CHO)4Ti)溶液を混合し、耐熱耐圧容器1に投入する(図1参照)。BaとTiの比は、概ね1:1とすればよいが、Tiに比してBaを僅かに多くすることが好ましい。水酸化バリウムを水に溶解させる際に僅かながら生成する炭酸バリウムを考慮するためである。また、Baを多めに使用することにより、水酸化バリウム水溶液のpHを高めにすることができ、合成されるチタン酸バリウム粉末のBa成分の溶出による組成変化を少なくすることができる。具体的には、Ba:Ti=1.03:1〜1.5:1とすることが好ましい。
なお、上記の例では、チタニウムアルコキシドとしてチタニウムテトライソプロポキシドを用いているが、その他のチタニウムアルコキシドを用いることも可能である。具体的には、チタニウムアルコキシドの一般式を「(RO)4Ti」で表記した場合に、好適な置換基「R」として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基等を挙げることができる。また、チタニウムアルコキシドを溶解する溶媒は、チタニウムアルコキシドを溶解させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール等のアルコールの他、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素類、又はこれらの溶媒の混合溶媒を用いることができる。なお、水と相溶可能な溶媒を用いることが好ましい。但し、水と相溶しない溶媒を用いる場合には、アルコール類を添加して用いることが、水酸化バリウム水溶液と相溶し、均一な加水分解が生起されることによって微細な粒子を得ることができるために好ましい。
また、塩化バリウムと塩化チタンの水溶液を混合するとともに、アンモニウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を加えてpH8〜11、好ましくは9〜10に水溶液を原材料として使用することもできる。原材料としての水溶液のpHをアルカリ域にすることにより、得られるチタン酸バリウムからBa成分の溶出を防ぐことができ、チタン酸バリウムの分解を防ぐことができる。なお、原材料の組み合わせとしては、塩化物−塩化物、塩化物−アルコキシド等を挙げることができる。
耐熱耐圧容器1の回転速度は、粉砕混合用ボール2が内部で跳ねることなく定常的に回転する速度に設定することが好ましい。これにより、生成されるチタン酸バリウム粉末の表面を活性化させ、かつ、その凝集粒子の粒子径を均一にすることができる。
水熱合成の温度は、80〜150℃とすることが好ましく、90〜120℃とすることが更に好ましく、90〜110℃とすることが特に好ましい。水熱合成の温度をこの温度範囲内とすることにより、より低温で焼結され得る、焼結性に優れたチタン酸バリウム粉末を得ることができる。
水熱合成の完了後は、固液分離及び乾燥することにより、目的とするチタン酸バリウム粉末を得ることができる。固液分離は、濾過、遠心分離等の既知の分離方法で行えばよい。また、乾燥は、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、これら乾燥方法を組み合わせた方法等により行えばよい。なお、乾燥時の凝集を防ぐために、乾燥温度は低い方が好ましい。また、凍結乾燥法で乾燥することが、乾燥時の凝集をより防ぐことが可能となるために好ましい。
次に、本発明のセラミックス粉末の一実施形態について説明する。本実施形態のセラミックス粉末は、これまで述べてきた本発明の実施形態であるセラミックス粉末の合成方法によって合成されたものであり、一次粒子径が10〜50nm、及び凝集粒子径が0.1〜0.2μmであり、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末である。以下、その詳細について説明する。
本実施形態のセラミックス粉末は、その一次粒子径が10〜50nm、好ましくは10〜30nmである。また、本実施形態のセラミックス粉末は、その凝集粒子径(二次粒子径)が0.1〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.2μm、更に好ましくは0.12〜0.15μmである。即ち、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成するものであるため、低温焼結可能であるとともに所望とする形状に容易に成形可能なものである。なお、本明細書にいう「成形可能」とは、成形することによって焼結可能な成形体を得ることが可能であることをいい、より具体的には、相対密度50%以上の成形体を得ることが可能であることをいう。
また、本実施形態のセラミックス粉末は、極めて微粒かつ均一な粒径の凝集粒子を構成するものであることから、いわゆるナノサイズの粒子が充填した成形体を得ることができる。従って、本実施形態のセラミックス粉末を用いれば、密度の高い成形体を得ることができるため、ナノサイズの粒子の特性を生かした低温焼結が可能となる。例えば、セラミックス粉末がチタン酸バリウム粉末である場合には、1000℃以下で焼結可能である。例えば、チタン酸バリウム粉末を用いてMLCCを製造する場合を想定すると、本実施形態のセラミックス粉末であるチタン酸バリウム粉末を用いれば、内部電極の構成材料となる金属の選択幅が広がることとなる。金属の選択幅が広がれば、安価な金属を電極材料として採用することも可能となるため、焼成エネルギーの低減とともに、MLCC製造のコストの低減をも図ることができる。
本実施形態のセラミックス粉末は、仮焼、粉砕等の工程を要さずとも製造され得る、粒度分布幅の狭い凝集粒子の形態として存在するものである。この凝集粒子は従来の成形方法によって容易に成形可能である。また、セラミックス粉末がチタン酸バリウム粉末である場合に、得られる成形体は800〜1000℃の焼成温度で焼結可能である。即ち、従来のチタン酸バリウム粉末からなる成形体の焼成温度よりも、300〜500℃低い温度で焼結可能である。
本実施形態のセラミックス粉末は、サブミクロンサイズの凝集粒子を構成しており、従来のセラミックスの成形方法に適応可能である。ここで、本発明の成形体の一実施形態は、このようなセラミックス粉末を成形してなるものである。このとき、本実施形態の成形体の相対密度は50%以上、好ましくは52%以上、更に好ましくは53%以上である。成形方法は特に限定されないが、例えば、セラミックス粉末を金型に詰めてプレス成形、静水圧成形(乾式成形)したり、粉末を分散させて鋳込成形やテープ成形(湿式成形)をしたりすることにより得ることができる。いずれの成形方法を採用した場合であっても、焼結時の異常粒成長が抑制され、焼結性の向上につながる。なお、本明細書にいう「相対密度」とは、焼結体の理論上の密度に対する相対的な比率(%)をいう。
例えば、本実施形態のセラミックス粉末であるチタン酸バリウム粉末を金型に充填し、プレス成形及び静水圧成形して得られた成形体は、800〜1000℃といった低温で焼結させることができる。即ち、従来よりも300〜500℃も低い温度で焼結させることができる。
また、本発明の焼結体の一実施形態は、前述のセラミックス粉末のうちのチタン酸バリウム粉末を成形及び焼成してなるものであり、その結晶構造が正方晶(tetragonal)型の焼結粒により構成された、相対密度が90%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上のものである。即ち、本発明の実施形態であるセラミックス粉末の合成方法で合成されたチタン酸バリウム系粉末を成形及び焼成することにより、高密度であるとともに、優れた誘電体特性を示す正方晶型の焼結粒で構成された焼結体を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
80℃の蒸留水38mlに、水酸化バリウム(Ba(OH)2・8H2O)6.1645gを加えて溶解させた。溶解後、僅かに生成されるBaCO3を濾過により除去し、水酸化バリウム水溶液を調製した。調製した水酸化バリウム水溶液に、イソプロピルアルコール8mlにチタニウムテトライソプロポキシド(((CH32CHO)4Ti)3.7002gを溶かして得た溶液を滴下することにより、原材料溶液を調製した。調製した原材料溶液を、テトラフルオロエチレン樹脂製の100ml内容器に入れ、この内容器をステンレス製の外容器内にセットして反応容器とした。この反応容器を、回転数150rpmで回転させながら昇温速度5℃/minで100℃、125℃、及び150℃まで加熱し、それぞれの温度で2時間保持して水熱合成を行った後に冷却した。
得られた沈殿物を水で洗浄後、凍結乾燥を行って粉末を得た。得られた粉末のX線回折を行ったところ、この粉末はチタン酸バリウムの粉末であることが確認された。図3は、得られたチタン酸バリウム粉末の粉末X線回折結果を示すチャートである。ここで、図3中、(a)は市販のチタン酸バリウム粉末、(c)、(e)、及び(g)は、それぞれ100℃、125℃、及び150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末に対応する。図3より、いずれの温度条件で水熱合成して得られた粉末も、チタン酸バリウム粉末であることが確認できる。更に、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粉末形態を観察したところ、粉末の一次粒子径は10〜50nmであり、その一次粒子が凝集した凝集粒子として存在していた。また、凝集粒子径は、0.12〜0.2μmであり、ほぼ均一径であった。図2(a)は、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末の微構造を示すSEM写真である。得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子を、1.96kNの力でプレス成形し、更に9.8×107Paの圧力で静水圧成形を行うことにより成形体を得た。得られた成形体の相対密度は、いずれも52%であった。これらの成形体を、それぞれ個別に昇温速度100℃/hで所定の温度(800℃、900℃、及び1000℃)まで上げ、常圧で5時間焼成することにより、焼成温度の異なるチタン酸バリウムからなる焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度を測定した。その結果、150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度52.3%、焼成温度900℃で相対密度56.7%、焼成温度1000℃で相対密度88.2%の焼結体をそれぞれ得ることができた。また、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度55.3%、焼成温度900℃で相対密度77.1%、焼成温度1000℃で相対密度94.0%の焼結体をそれぞれ得ることができた。更に、100℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度55.8%、焼成温度900℃で相対密度77.8%、焼成温度1000℃で相対密度94.6%の焼結体をそれぞれ得ることができた。図5は、得られた焼結体の粉末X線回折結果を示すチャートであり、図6は、図5のA部拡大図である。ここで、図5及び図6中、(a)は市販のチタン酸バリウム粉末、(c)、(e)、及び(g)は、それぞれ100℃、125℃、及び150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体のX線回折結果を示すチャートである。
また、焼結体の焼結粒の結晶構造をX線回折によって測定したところ、2θ=45°のピークが2本に分離されていることを確認した(図6参照)。これは、その焼結粒の結晶構造が正方晶(tetragonal)型であるチタン酸バリウム焼結体が得られたことを意味する。また、走査型電子顕微鏡による観察でも、正方晶の焼結粒で構成されたチタン酸バリウム焼結体を確認することができた。
(実施例2)
80℃の蒸留水38mlに、水酸化バリウム(Ba(OH)2・8H2O)6.1645gを加えて溶解させた。溶解後、僅かに生成されるBaCO3を濾過により除去し、水酸化バリウム水溶液を調製した。調製した水酸化バリウム水溶液に、イソプロピルアルコール8mlにチタニウムテトライソプロポキシド(((CH32CHO)4Ti)3.7002gを溶かして得た溶液を滴下することにより、原材料溶液を調製した。調製した原材料溶液を、テトラフルオロエチレン樹脂製の100ml内容器に入れ、直径5mmφのジルコニア(ZrO2)ボールを容器体積の1/2まで入れた。この内容器をステンレス製の外容器内にセットして反応容器とした。この反応容器を、回転数150rpmで回転させながら昇温速度5℃/minで100℃、125℃、及び150℃まで加熱し、それぞれの温度で2時間保持して水熱合成を行った後に冷却した。
得られた沈殿物を水で洗浄後、凍結乾燥を行って粉末を得た。得られた粉末のX線回折を行ったところ、この粉末はチタン酸バリウムの粉末であることが確認された。図3は、得られたチタン酸バリウム粉末の粉末X線回折結果を示すチャートである。ここで、図3中、(b)、(d)、及び(f)は、それぞれ100℃、125℃、及び150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末に対応する。図3より、いずれの温度条件で水熱合成して得られた粉末も、チタン酸バリウム粉末であることが確認できる。更に、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粉末形態を観察したところ、粉体の一次粒子径は10〜50nmであり、その一次粒子が凝集した凝集粒子として存在していた。また、その凝集粒子径は、0.12〜0.15μmであり、ほぼ均一径であった。図2(b)は、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末の微構造を示すSEM写真である。また、図2(c)は、図2(b)のチタン酸バリウム粉末の凝集粒子形態を示すFE−SEM写真である。図2(c)より、得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子は、一次粒子径が10〜30nmのナノサイズのチタン酸バリウム粉末で構成されていることが確認できる。得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子を1.96kNの力でプレス成形し、更に9.8×107Paの圧力で静水圧成形を行うことにより成形体を得た。得られた成形体の相対密度は、いずれも53%であった。これらの成形体を、それぞれ個別に昇温速度100℃/hで所定の温度(800、900、及び1000℃)まで上げ、常圧で5時間焼成することにより、焼成温度の異なるチタン酸バリウムからなる焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度を測定した。その結果、150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度66.9%、焼成温度900℃で相対密度90.3%、焼成温度1000℃で相対密度95.3%の焼結体をそれぞれ得ることができた。また、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度68.3%、焼成温度900℃で相対密度90.8%、焼成温度1000℃で相対密度96.3%の焼結体をそれぞれ得ることができた。更に、100℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度80.3%、焼成温度900℃で相対密度95.5%、焼成温度1000℃で相対密度97.6%の焼結体をそれぞれ得ることができた。図4(a)〜図4(c)は、それぞれ150℃、125℃、及び100℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体の破断面の微構造を示すSEM写真である。図4より、図2に示された球状の凝集粒子が焼結されることにより、合成条件にかかわらず、その焼結粒の結晶構造が正方晶(tetragonal)型の焼結粒が形成されていることが確認できる。また、図5は、得られた焼結体の粉末X線回折結果を示すチャートであり、図6は、図5のA部拡大図である。ここで、図5及び図6中、(b)、(d)、及び(f)は、それぞれ100℃、125℃、及び150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体のX線回折結果を示すチャートである。更に、図7に、チタン酸バリウム焼結体を得るに際しての、焼成温度に対して相対密度をプロットしたグラフを示す。
また、焼結体の焼結粒の結晶構造をX線回折によって測定したところ、2θ=45°のピークが2本に分離されていることを確認した(図6参照)。これは、その焼結粒の結晶構造が正方晶(tetragonal)型であるチタン酸バリウム焼結体が得られたことを意味する。また、走査型電子顕微鏡による観察でも、正方晶の焼結粒で構成されたチタン酸バリウム焼結体を確認することができた。
実施例1と実施例2を比較すると、ボールミルと水熱合成を同時に行うことにより、更に焼結温度の低いチタン酸バリウム粉末を合成可能であることが明らかである。また、実施例1で得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子の平均粒径(0.15μm)に比して、実施例2で得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子の平均粒径(0.125μm)の方が小さいことが明らかである。
(実施例3)
80℃の蒸留水20mlに、塩化バリウム(BaCl2)6.1645gを加え溶解させた。溶解後、僅かに生成されるBaCO3を濾過により除去し、塩化バリウム水溶液を調製した。調製した塩化バリウム水溶液に、Ba:Tiのモル比が1.5:1になるように秤量した塩化チタン(TiCl4)を80℃の蒸留水20mlに溶解して得た塩化チタン水溶液を滴下することにより、原材料溶液を調製した。調製した原材料溶液を、テトラフルオロエチレン樹脂製の100ml内容器に入れ、直径5mmφのジルコニア(ZrO2)ボールを容器体積の1/2まで入れた。この内容器をステンレス製の外容器内にセットして反応容器とした。この反応容器を、回転数150rpmで回転させながら昇温速度5℃/minで125℃、及び150℃まで加熱し、それぞれの温度で2時間保持して水熱合成を行った後に冷却した。
得られた沈殿物を水で洗浄後、凍結乾燥を行って粉末を得た。得られた粉末のX線回折を行ったところ、この粉末はチタン酸バリウムの粉末であることが確認された。更に、走査型電子顕微鏡(SEM)にて粉末形態を観察したところ、粉体の一次粒子径は10〜50nmであり、その一次粒子が凝集した凝集粒子として存在していた。また、その凝集粒子は、サブミクロンサイズの粒度分布幅の狭いほぼ均一径の状態であった。得られたチタン酸バリウム粉末の凝集粒子を1.96kNの力でプレス成形し、更に9.8×107Paの圧力で静水圧成形を行うことにより、2個の成形体を得た。得られた成形体の相対密度は、いずれも53%であった。これらの成形体を、それぞれ個別に昇温速度100℃/hで所定の温度(800、900、及び1000℃)まで上げ、常圧で5時間焼成することにより、焼成温度の異なる6つのチタン酸バリウムからなる焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度を測定した。その結果、150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度83.0%、焼成温度900℃で相対密度84.7%、焼成温度1000℃で相対密度91.8%の焼結体をそれぞれ得ることができた。また、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末を用いた場合には、焼成温度800℃で相対密度79.5%、焼成温度900℃で相対密度88.4%、焼成温度1000℃で相対密度91.4%の焼結体をそれぞれ得ることができた。図7に、チタン酸バリウム焼結体を得るに際しての、焼成温度に対して相対密度をプロットしたグラフを示す。
また、焼結体の焼結粒の結晶構造をX線回折によって測定したところ、2θ=45°のピークが2本に分離されていることを確認した。これは、その焼結粒の結晶構造が正方晶(tetragonal)型であるチタン酸バリウム焼結体が得られたことを意味する。また、走査型電子顕微鏡による観察でも、正方晶の焼結粒で構成されたチタン酸バリウム焼結体を確認することができた。
(比較例1)
その一次粒子径が0.3μmである、市販のチタン酸バリウム粉末(堺化学社製)を1.96kNの力でプレス成形し、更に9.8×107Paの圧力で静水圧成形を行うことにより、5個の成形体を得た。これらの成形体を、それぞれ個別に昇温速度100℃/hで所定の温度(1100、1200、1250、1300、及び1350℃)まで上げ、常圧で5時間焼成することにより、焼成温度の異なる5つのチタン酸バリウムからなる焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度を測定した。その結果、焼成温度1100℃で相対密度68.0%、焼成温度1200℃で相対密度84.6%、焼成温度1250℃で相対密度87.8%、焼成温度1300℃で相対密度95.8%、焼成温度1350℃で相対密度99.8%であった。この結果から、相対密度90%以上の焼結体を得るためには、1250〜1300℃で焼成する必要があり、更に相対密度95%以上の焼結体を得るためには、1300℃以上で焼成する必要があることが明らかである。従って、実施例のチタン酸バリウム粉末を使用すれば、従来のチタン酸バリウム粉末を用いた場合に比べて、300〜500℃焼成温度を低下させることが可能である。
(比較例2)
その一次粒子径が70〜100nmである、市販のチタン酸バリウム粉末(和光純薬社製)を1.96kNの力でプレス成形し、更に9.8×107Paの圧力で静水圧成形を行うことにより、5個の成形体を得た。これらの成形体を、それぞれ個別に昇温速度100℃/hで所定の温度(1100、1200、1250、1300、及び1350℃)まで上げ、常圧で5時間焼成することにより、焼成温度の異なる5つのチタン酸バリウムからなる焼結体を得た。
得られた焼結体の相対密度を測定した。その結果、焼成温度1100℃で相対密度51.9%であった。即ち、未焼成体(成形体)の相対密度と同等であり、1100℃では焼結が進行しなかった。また、焼成温度1200℃で相対密度76.8%、焼成温度1250℃で相対密度97.6%、焼成温度1300℃で相対密度96.3%、焼成温度1350℃で相対密度89.8%であった。この結果から、相対密度90%以上の焼結体を得るためには、1200〜1250℃で焼成する必要があり、更に相対密度95%以上の焼結体を得るためには、1250℃以上で焼成する必要があることが明らかである。
市販のナノサイズのチタン酸バリウム粉末を使用すると、サブミクロンサイズのチタン酸バリウム粉末を使用するよりも、その焼成温度を50〜100℃低下させることができる。しかしながら、本発明の一実施形態であるチタン酸バリウム粉末を使用する場合よりも、焼成温度を高くする必要がある。
本発明のセラミックス粉末は、例えば電子部品材料を構成するための材料として好適である。具体的には、セラミックス粉末がチタン酸バリウム粉末である場合には、このチタン酸バリウム粉末は、積層セラミックスコンデンサ(MLCC)、サーミスタ、及び抵抗体等の誘電材料、圧電材料、半導体、その他各種電子部品材料を構成するための材料として好適である。
本発明のセラミックス粉末の合成方法で用いられる水熱合成装置の一例を示す模式図である。 実施例1において125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末の微構造を示すSEM写真である。 実施例2において125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末の微構造を示すSEM写真である。 図2(b)のチタン酸バリウム粉末の凝集粒子形態を示すFE−SEM写真である。 実施例1及び2で得られたチタン酸バリウム粉末の粉末X線回折結果を示すチャートである。 実施例2において、150℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体の破断面の微構造を示すSEM写真である。 実施例2において、125℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体の破断面の微構造を示すSEM写真である。 実施例2において、100℃で水熱合成を行って得られたチタン酸バリウム粉末からなる成形体を、900℃で焼成して得た焼結体の破断面の微構造を示すSEM写真である。 実施例1及び2で得られた焼結体のX線回折結果を示すチャートである。 図5のA部拡大図である。 チタン酸バリウム焼結体を得るに際しての、焼成温度に対して相対密度をプロットしたグラフである。
符号の説明
1…耐熱耐圧容器、2…粉砕混合用ボール、3…回転軸棒、4…ヒーター。

Claims (9)

  1. 溶媒の存在下、水熱合成することによりセラミックス粉末を合成する方法であって、
    前記セラミックス粉末を構成する原材料と、生成する前記セラミックス粉末とを連続的に混合しながら水熱合成することを含むセラミックス粉末の合成方法。
  2. 生成する前記セラミックス粉末を粉砕しながら水熱合成する請求項1に記載のセラミックス粉末の合成方法。
  3. 生成する前記セラミックス粉末をボールミルにより粉砕する請求項2に記載のセラミックス粉末の合成方法。
  4. 前記セラミックス粉末が、チタン酸バリウム(BaTiO3)、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、炭化珪素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si34)、モリブデン酸リチウム(Li2MoO4)、窒化チタン(TiN)、又はムライト(3Al23・2SiO2)の粉末である請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックス粉末の合成方法。
  5. 80〜150℃で水熱合成する請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックス粉末の合成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックス粉末の合成方法により合成された、一次粒子径が10〜50nm、及び凝集粒子径が0.1〜0.5μmであり、成形及び低温焼結可能なセラミックス粉末。
  7. 1000℃以下で焼結可能なチタン酸バリウム(BaTiO3)の粉末である請求項6に記載のセラミックス粉末。
  8. 請求項6又は7に記載のセラミックス粉末を成形してなる、相対密度が50%以上である成形体。
  9. 請求項7に記載のセラミックス粉末を成形及び焼成してなり、その結晶構造が正方晶である焼結粒により構成された、相対密度が90%以上である焼結体。
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