JP2005087009A - マイナスイオン乾燥発芽米およびその製造方法並びにその加工食品 - Google Patents

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信 涌井
Hitoshi Ogoshi
均 大越
Masahito Fujii
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Abstract

【課題】 炊飯加工後時間を経過するも水分を保有して食味が高く、抗菌性、経済性、外観面でも優れ、かつ、ハンドリングが容易な発芽米とその製造方法並びにその加工食品(包装米飯を含む)を提供しようとするものである。
【解決手段】 (1)マイナスイオン精米工場の環境下で、(2)玄米を含む多種の米類に所定の時間、所定の強さのマイナスイオンを与え、(3)25〜35℃のマイナスイオン水中で、(4)発芽を行い、(5)脱水し、特に(6)絶対湿度を0〜10g/m3とした低温除湿環境による乾燥を行うことにより課題を解決しようとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食味、食感、保存性、ハンドリングに優れた発芽米およびその製造方法ならびにそれらを用いた加工食品(包装米飯を含む。)に関する。
玄米は、精米した白米に比べて栄養価に富んでいることは広く知られている。しかしながら外層部が堅牢なワックス層と糠層があり、そのため水の吸水率が悪く、通常の加熱では硬くて食べることができない。したがって、やわらかくするためには圧力釜などの高温高圧加熱装置を使用して炊飯することが必要であった。
一方、マイナスイオン(電子)を発生させる手段としては
(1)鉱石の一種で電子を流すトルマリンを利用したもの
(2)セラミック粉末を利用したもの
(3)コロナ放電のように高電圧直流電流を利用したもの
(4)高電圧交流電流を利用したもの
等がある。このマイナスイオン(電子)を米に当てながら精米をすることにより、精米ロスや消費電力を削減し、保水性を高めた品質の白米を製造することは特開平09−094466にも記載されているが、炊飯やご飯との関係は記載されていない。
玄米をやわらかく普通の炊飯釜で炊く方法として、20〜40℃の水温で適当な時間浸漬して発芽させた発芽玄米とすることが知られている。発芽玄米は、発芽中に自己代謝機能により玄米の堅牢な部分がやわらかくなり、普通の炊飯方法や蒸気加熱によってもやわらかく美味しい炊飯米が得られる。
また発芽玄米は通常の玄米に比べて消化吸収が良く、ガンマアミノ酪酸、フィチン酸等の栄養成分を多く含んでいることより、機能性食品として評価されている。
しかし、20〜40℃の水浴中に長時間浸漬することが原因で、玄米に付着している細菌の増殖により発酵臭や腐敗臭などの異臭が発生し、発芽玄米にその異臭が残留するという欠点があった。この問題を解決するために、殺菌剤や電解水、紫外線ランプ、循環水、有機酸使用などの方法が開示されている。殺菌剤や電解水、紫外線ランプは直接細菌を殺菌し細菌の増殖を抑制する方法であるが、最終製品への残留や機械および光熱費などの経済的な費用がかかる等の問題がある。
また発芽玄米には発芽を停止した後にそのまま包装するウエットタイプと、水分を乾燥によって取り除くドライタイプの2種類がある。ところがこの2つの発芽玄米には問題がある。
ウエットタイプは微生物汚染の問題がある。ウエットタイプは発酵時に吸収した水分が残った状態であるために水分活性が高く、常温で放置しておくとすぐに微生物汚染が生じる。このために真空包装が必要となる。ところが真空包装になると、元々水分を含んだ膨潤状態であるために、包装時の圧力差による米粒の変形や加圧による米粒の凝集が起こり、袋から取り出す時にほぐしが必要になるという問題がある。また水分含有率が20%以上であるために乾燥した米とは違い、炊飯時の水加減が難しいという問題もある。
一方のドライタイプは、米粒の外側と内側では乾燥速度が違うために、乾燥中に米粒が割れてしまうことから外観上での商品価値が低いという問題がある。また乾燥しているために水の吸水率が低く、吸水を飽和状態にしなければ、すなわち浸漬時間を十分に取らなければ、炊き増えした食味の高いごはんにならないという問題がある。したがって、浸漬せずに炊飯しても食味の高いご飯はできないことが分かる。さらに、発芽玄米100%あるいは白米と混合して炊飯する場合には米粒の割れと低い吸水性が原因で、ご飯の中に発芽玄米の硬さが残り、満足のいく食感は得られないという問題もある。
ドライタイプの発芽玄米の製造方法は流動式、棚式、真空式、マイクロウエーブ式、加湿式、凍結式等様々な方法があるが、主たる方法は熱風による乾燥法である。熱風乾燥法を利用した場合、発芽米の表面に熱源による熱風が直接あたるために、その加熱現象が原因で表面側のみが熱により乾燥すると同時に糊化するために硬くなり、吸水性が低下したり、表面が乾燥するために表面と外部の水分バランスが崩れるために米粒が割れたり、加熱によりお米のデンプンとタンパク質がアミノカルボニル反応を起こすために変色し、さらに栄養分が変性する等の問題もある。
上記の問題を解決するために鋭意検討を行った結果、乾燥方法を改善し、低温除湿乾燥法により発芽米を乾燥させると問題点を解消することができることを見出して本発明を完成した。低温除湿乾燥とは具体的に数字で表すと、絶対湿度0〜10g/m3の環境での乾燥である。絶対湿度とは温度と相対湿度によって決まる固有の数値で、これは1m3の空気の中に何gの水を含むかを表し、この数字が小さくなるにつれて乾燥が早まり、また外観上の品質や食感、食味を向上できる。絶対湿度が小さく、空気中の水分が少ない場合は、空気が被乾燥物より水分を奪うために被乾燥物の乾燥が進み、絶対湿度が10g/m3以上になると空気中の水分が多くなるために被乾燥物から水分を奪えなくなり、結果として乾燥が進みにくくなる。そのような場合、乾燥を進めるために被乾燥物に熱を加えて乾燥をする方法では熱による被乾燥物の品質劣化は避けることができない。お米も同じであり、熱を加えると水分が抜けるために表面が割れ、更に熱を加えると糊状になったり、お米のデンプンとタンパク質が熱によりアミノカルボニル反応を起こし、変色等の問題が生じ、また余計に加熱するので熱源をつくるための燃料が必要となり経済的にも効率があがらない。さらに被乾燥物の周りの外気環境を制御していない場合、環境によっても乾燥の進み方は変わり、絶対湿度の高い夏は乾燥しにくく、逆に絶対湿度の低い冬は乾燥しやすくなる。このように絶対湿度を低くすることによって、品質的、経済的に優れ、環境に左右されないお米を生産することができることが分かった。
発芽玄米を白米と混合して加工食品や包装米飯にする場合、ウエットタイプの発芽玄米では白米が乾燥状態であるために、炊飯時の水加減を白米に合わせると発芽玄米がやわらかすぎて、逆に発芽玄米に合わせると白米が硬くなるために水加減が難しいという問題がある。また、真空包装によってダンゴ状態となるために白米との混合が不均一となり、外観および炊飯状態にもムラが出る。ダンゴ状態を機械的にほぐすことは可能であるが、物理的な力により膨潤状態の発芽玄米に割れが発生してしまうという問題が生じる。
一方のドライタイプの発芽玄米を白米と混合して加工食品や包装米飯にする場合、発芽玄米と白米の吸水率が異なるために、加工後の食感のばらつきが出てしまうという問題がある。これを調整するために発芽玄米と白米を飽和状態まで吸水させてから混合して炊飯するという方法はあるが、吸水率を飽和状態とするためには時間が必要であり、その時間は発芽米と白米では異なるためにハンドリングが悪いという問題がある。
さらに、既存の発芽玄米は発芽後の処理方法として、
(1)真空包装し熱水または蒸気処理後に冷凍、冷蔵保存流通する方法
(2)熱水または蒸気処理後に真空包装し、冷凍、冷蔵保存流通する方法
(3)熱水または蒸気処理後に真空包装すると共に高温高圧殺菌し、常温保存流通する方法
(4)発芽後、熱風乾燥して常温保存流通する方法
のいずれかを採用している。
しかし、(1)と(2)は保存流通コストが大きくなり、(2)と(3)は袋のピンホールやシール不良で細菌の増殖の危険があり、玄米粒が加熱により強固に付着して固まりとなり、容易にほぐせない為に大量炊飯や加工では扱いが大変で使用しにくい。(4)の乾燥品は流通コストも安価でピンホールやシール不良による細菌汚染の危険もなく、玄米が1粒1粒となっており、精白米との混米も容易で、大量炊飯や加工は扱いが容易であるが、乾燥中に米粒に複数の亀裂が入るために胴割れ現象が起きる。米粒に複数の亀裂が入るために流通や加工中の衝撃で簡単に細かく砕ける欠点がある。また炊飯中の吸水が遅く、炊飯後の食味は硬く美味しくないという問題がある。
マイナスイオン(電子)は特有の波長を有しており、水に当てると水の分子が励起、振動状態となり水の分子鎖(クラスター)が小さくなる。一方、植物や人間の細胞表面には自由水と呼ばれる細胞内外に浸透あるいは遊離する水があるが、水のクラスターが小さくなるということは細胞中に浸透しやすくなり、クラスターが小さくなるということは容積が小さく、すなわち比重が大きくなり、細胞の膜にくっつくようになる。この細胞にくっついた水が少なくなると、水分ロスに伴う品質劣化が生じる。米の中にも約15%の水分があるので、水のクラスターが小さくなり吸水性が向上するということは言うまでもない。
植物の品質劣化には酸化といい、中に含まれる脂肪酸が活性酸素により過酸化物に変化する反応があるが、マイナスイオン(電子)を当てると、この過酸化物への反応を抑えることによって酸化を抑えることができる。米も同様に脂肪酸が含まれているので、上記の効果があることは言うまでもない。
特に栄養価の高い様々なタンパク質や油脂分を多く含む糠層のある玄米や発芽玄米においては水分変化や酸化による品質劣化は進みやすいという問題がある。
特開平09−094466号公報
本発明の目的は、炊飯加工後も食味が高く、抗菌性、経済性、外観面でも優れ、かつハンドリングが容易な発芽米とその製造方法を提供することである。さらに本発明の目的は食味が高く、品質上とハンドリングに優れた発芽米および発芽米とマイナスイオン白米を混合して加工した加工食品(包装米飯を含む)を提供することである。
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、(1)マイナスイオン精米工場の環境下で、(2)玄米を含む多種の米類に所定の時間、所定の強さのマイナスイオンを与え、(3)25〜35℃のマイナスイオン水中で、(4)発芽を行い、(5)脱水、(6)絶対湿度を0〜10g/m3とした低温除湿環境による乾燥を条件とする発芽米の製造方法を見出しました。上記(1)〜(6)を満たす製造を行えば従来の欠点を解消した食味、抗菌性、コスト面、ハンドリング上での優れた発芽米および発芽米を利用した加工食品を提供することができる。
本発明によれば、炊飯加工後も食味が高く、抗菌性取扱い性にすぐれた発芽米を提供し、さらに、白米を混合した加工食品(包装米飯を含む)では、解凍後のご飯の粒離れがよく、だし汁のなじみもよくて美味しい食味とふっくらした食感が得られる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
当社マイナスイオン環境下の精米工場で、玄米に直接マイナスイオンを所定の時間、所定の強さで与えた。その玄米を32℃のマイナスイオン水の入った発芽槽に入れて、20時間浸漬して発芽した。さらに水切りを行い、脱水機にかけて脱水した。発芽の程度は、一般的には2mm程度の膨らみあるいは突起部が確認できる程度の状態が良い。脱水後の水分が32%であったために、絶対湿度を6g/m3とした低温除湿乾燥を行い(温度:25℃、湿度30%)、水分が14.5%までになるまで乾燥を続けた。
乾燥は発芽玄米の割れの防止のため、米粒の中心部と外層部の乾燥ムラが生じないように乾燥させることが、最終的に食味の優れたご飯となる。乾燥した発芽米をケット科学研究所製のグレインスコープにて観察を行い、お米の表面の亀裂や胴割れ率の測定を行った。
続いて乾燥した発芽米を5合炊きの電気炊飯釜にて3合炊飯した。炊飯後に、できたご飯の重さを量り、生米に対する炊き増えを算出した。一方、できあがったご飯の水分の測定を赤外水分計にて行った。さらに、炊飯食味値、テンシプレッサー測定によるご飯の食感分析を行った。また、できあがったご飯を滅菌袋に入れて抽出した後、培地に塗布して37℃48時間培養を行い、一般細菌数と真菌数を測定した。一般生菌数は標準寒天培地、真菌数は真菌培地にて行った。
結果を表1から表6に示す。さらに無浸漬または浸漬したご飯についてパネラーで官能試験を行った。その結果を表8に示した。
Figure 2005087009
註 ドライは(0007)のドライタイプを、ウエットは同じくウエットタイプをいう。
Figure 2005087009
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表1は炊飯前の生米の吸水率測定結果を表す。
表から明らかなように、マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は、通常玄米を発芽したドライタイプの発芽玄米、市販品のドライタイプの発芽玄米と比較して吸水率の高いことが分かる。これはマイナスイオン効果によるものである。初期吸水率が高いということは無浸漬で炊飯できることを示し、吸水率が高いということは炊飯中にご飯が炊き増えし、ご飯の水分を保持する力が強いということであり、食感と食味の優れたご飯であることを示す。一方、市販品のウエットタイプは初期水分が元々高いために無浸漬での炊飯はできるが、吸水率は飽和状態で時間と共に増えないために、ご飯が炊き増えせず、ご飯の水分保持力は弱くなる。
表2は炊飯後のご飯の炊き増え(生米に対する炊飯後のご飯重量比)を表す。
マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は、通常玄米を発芽したドライタイプの発芽玄米、市販品のドライ、ウエットタイプの発芽玄米と比べて明らかに炊き増えしている。これはマイナスイオン効果によるものである。同じ米量であっても炊きあがるご飯の量が多いことはコスト面でも優れていることを示している。
表3は、炊飯後の時間経過後のご飯の水分を示す。測定はケット科学研究所製の水分計FD−600にて行った。
マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は、通常玄米を発芽したドライタイプの発芽玄米、市販品のドライ、ウエットタイプの発芽玄米と比べて、ご飯の水分値が高い。これはマイナスイオン効果によるものである。ご飯の水分値が高いということは、水分損失によるご飯の乾燥を抑えられることにより、保存性が向上することを示している。
表4−1は、炊飯後の時間経過後のご飯の硬さを示す。測定はタケトモ電機製のテンシプレッサー マイボーイにて行った。数字が大きいほどご飯が硬いことを示す。マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は、通常玄米を発芽したドライタイプの発芽玄米、市販品のドライ、ウエットタイプの発芽玄米と比べていずれの時間においても値が小さく、やわらかいご飯であることを示している。これはマイナスイオン効果によるものであり、やわらかい食感の優れたご飯であることを示している。
表4−2は、炊飯後の時間経過後のご飯の粘りを示す。測定はタケトモ電機製のテンシプレッサー マイボーイにて行った。数字が大きいほどご飯に粘りがあることを示すが、一般的に美味しいご飯と言われる粘りの数値は35〜40程度である。市販品のウエットタイプでは粘りが大きくべたつくことが分かる。これに対し、ドライタイプのマイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米、通常玄米を発芽した発芽玄米、市販品のドライタイプの発芽玄米は適度な粘りを示していることが分かる。その中でもマイナスイオン処理した発芽玄米は他のドライタイプの発芽玄米と比較して時間が経過しても粘りの変化が少なく、マイナスイオンの効果である。
表5は、炊飯後の時間経過後のご飯の炊飯食味値を示す。測定はサタケ製の炊飯食味計STA‐1Aにて行った。数字が大きいほどご飯の食味が高いことを示す。マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は、通常玄米を発芽したドライタイプの発芽玄米、市販品のドライ、ウエットタイプの発芽玄米と比べていずれの時間においても値が大きく、ご飯の食味値が高いことを示している。これはマイナスイオン効果によるものであり、食味値が高い品質の優れたご飯であることを示している。
表6は25℃の雰囲気下、炊飯したご飯および滅菌水を滅菌袋に入れて、ストマッカーで叩いて抽出した液を希釈し、一般細菌は標準寒天培地、真菌は真菌培地に各々塗布した後に37℃にて培養を行い、試験開始の0日後、5日後、9日後、15日後に測定した結果を表す。測定9日後では通常水で発芽した発芽米はマイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽米に対して一般細菌で約400倍、真菌で約1000倍の細菌増加が起こっていた。一般に食品中の細菌数が107〜108個/gになると腐敗が始まるとされているため、両検体ともに安全圏内ではあるが、9日間増加が見られないマイナスイオン処理した玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽米は、食品として品質が良く、安全性のあることが分かる。
Figure 2005087009

表7は発芽米の胴割れ率を表す。胴割れ率は乾燥後の発芽米を、ケット科学研究所製のグレインスコープにて目視で測定した。表7の通り、実施例の低温除湿乾燥した発芽米は胴割れ率が15%であるのに対し、対照の熱風乾燥した発芽米は何れも65%以上の胴割れがあり、圧倒的に低温除湿した発芽米の胴割れ率の低いことが分かる。これは熱による影響の違いであると考えられる。熱風乾燥した米は熱によって表面の水分から徐々に中心に向かって水分が奪われながら乾燥していくために、乾燥の途中で米に歪が生じること、さらに乾燥後の常温に戻っていく際に、お米の表面と中心での冷却の進み方が違うこと、以上によって胴割れが起こると考えられる。しかし、低温除湿乾燥では上記のような熱による歪や、冷却による表面と中心部の違いがないために、胴割れが起こりにくくなっている。
Figure 2005087009
Figure 2005087009
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表8−1は無浸漬で炊飯した直後の官能試験結果、
表8−2は60分浸漬してから炊飯した直後の官能試験結果、
表8−3は無浸漬で炊飯したご飯の時間経過後の官能試験結果を示している。
仕上がり、食味と食感、ハンドリングについて比較を行った。マイナスイオン処理の玄米をマイナスイオン水で発芽した発芽玄米は通常玄米を発芽した発芽玄米、市販品のウエット、ドライタイプの発芽玄米と比較して、いずれの項目においても優れていることが分かった。ドライタイプは乾燥による胴割れと艶の消失、ウエットタイプは過剰水分によるべたつきが生じているためである。マイナスイオン処理した発芽玄米はマイナスイオンの水分保持効果により、乾燥による水分と艶のロスを抑えたドライタイプであるため、上記のような問題が起こらず、官能試験結果で優れている。
また本発明の包装米飯は、電子レンジや熱湯等の加熱装置で加熱して食べられる冷凍、高温高圧殺菌米飯であり長期保存が可能な米飯である。
包装米飯を製造するためには、例えば次の方法がある。発芽米あるいは発芽米と白米を混合した米を水洗後に、炊飯器に入れ、水に浸漬してあるいは水に浸さずに炊飯を行い、蒸らした後に成形あるいは成形せずに計量包装を行う。また包装後は加熱殺菌あるいは加熱加圧殺菌しても良い。
発芽米と白米の比率は重量比で100:0〜5:95である。通常は発芽米と白米を用いるが、必要に応じて炊き込みご飯、寿司飯のように具材や酢を合わせるなど、通常の白米同様の炊飯が可能である。
炊飯器は通常電気釜、IH電気釜、丸型ガス釜、多段型ガス釜、連続型ガス釜、蒸気炊飯釜、せいろ等いずれでも可能である。
包装の形態に特に制限はなく、例えばトレイ、袋、真空袋がある。包装材の材質としてはポリエチレン、ポリプロピレンのような合成樹脂やアルミ蒸着した合成樹脂のラミネート材、これらの組み合わせ等がある。またガスバリヤ性の材質を使用し、脱酸素剤や不活性ガスの窒素ガスを封入したものでも良い。
当社マイナスイオン環境下の精米工場で、秋田県産あきたこまちの玄米に直接マイナスイオン処理を施した。そのマイナスイオン処理した玄米をマイナスイオン水の入ったマイナスイオン供給装置付きの発芽槽に入れた。さらに32℃、22時間かけて発芽を行い、冷水を入れて発芽を止め、水を切ってから脱水機にかけて脱水した。発芽の程度は、一般的には2mm程度の膨らみあるいは突起部が確認できる程度の状態が良い。脱水後の水分が32%であったために、絶対湿度を6g/mとした低温除湿乾燥を行い(温度:25℃、湿度30%)、水分が14.5%までになるまで乾燥を続けた。
上記発芽玄米2kgを軽く水洗いし、2升のパロマ製の丸型ガス釜に入れた。発芽米の2倍量の加水の後に、水に浸さずに無浸漬で炊飯を行った。約21分の炊飯と20分の蒸らしの後で、ご飯を不二精機製の自動成形機に入れて約150gに成形した。さらに共栄電熱製の急速冷凍機に移して急速冷凍した。冷凍になったご飯を1500Wの電子レンジで約1分間加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表9に示した。
上記発芽玄米1kgを軽く水洗いし、当社秋田県産あきたこまちのマイナスイオン無洗米白米1kgと合わせ、2升のパロマ製の丸型ガス釜に入れた。発芽玄米の1.5倍量の水と0.5倍量のだし汁を加え、炊き込みご飯用の具材を入れて、水に浸さずに無浸漬で炊飯を行った。約19分の炊飯と約20分の蒸らしの後でご飯を加熱加圧殺菌袋に入れ、イワキ硝子製の加熱加圧殺菌装置に入れた。加熱加圧殺菌後、お湯で10分加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表10に示した。
(比較実施例)
(比較例1)
市販品のドライタイプの発芽玄米2kgを軽く水洗いし、2升のパロマ製の丸型ガス釜に入れた。発芽米の2倍量の加水の後に水に浸さず無浸漬で炊飯を行った。約19分の炊飯と20分の蒸らしの後で、ご飯を不二精機製の自動成形機に入れて約150gに成形した。さらに共栄電熱製の急速冷凍機に移して急速冷凍をした。冷凍になったご飯を1500Wの電子レンジで約1分間加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表9に示した。
(比較例2)
市販品のウエットタイプの発芽玄米2kgを軽く水洗いし、2升のパロマ製の丸型ガス釜に入れた。発芽米の1.5倍量の加水の後に水に浸さず無浸漬で炊飯を行った。約18分の炊飯と20分の蒸らしの後で、ご飯を不二精機製の自動成形機に入れて約150gに成形した。さらに共栄電熱製の急速冷凍機に移して急速冷凍をした。冷凍になったご飯を1500Wの電子レンジで約1分間加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表9に示した。
(比較例3)
市販品のドライタイプの発芽玄米1kgを軽く水洗いし、当社秋田県産あきたこまちの無洗米白米1kgと合わせ、2升のパロマ製丸型ガス釜に入れた。発芽玄米の1.5倍量の水と0.5倍量のだし汁を加え、炊き込みご飯用の具材を入れて、水に浸さずに無浸漬で炊飯を行った。約19分の炊飯と約20分の蒸らしの後でご飯を加熱加圧殺菌袋に入れ、イワキ硝子製の加熱加圧殺菌装置に入れた。加熱加圧殺菌後、お湯で10分加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表10に示した。
(比較例4)
市販品のウエットタイプの発芽玄米1kgを軽く水洗いし、当社秋田県産あきたこまちの無洗米白米1kgと合わせ、2升のパロマ製丸型ガス釜に入れた。発芽玄米の1.125倍量の水と0.375倍量のだし汁を加え、炊き込みご飯用の具材を入れて、水に浸さずに無浸漬で炊飯を行った。約19分の炊飯と約20分の蒸らしの後でご飯を加熱加圧殺菌袋に入れ、イワキ硝子製の加熱加圧殺菌装置に入れた。加熱加圧殺菌後、お湯で10分加熱し、パネラーで官能試験を行った。官能試験結果を表10に示した。
Figure 2005087009
Figure 2005087009
本発明発芽玄米の成分分析結果は下表(表11)のとおりである。
Figure 2005087009
本発明は、米類の穀粒処理プラントの製造業界を活性化するとともに、発芽米の加工業界をも刺激し、さらには、安全で食味が高く食感の優れた食料の備蓄関係の業界にも大いに利用されるものである。

Claims (7)

  1. マイナスイオン環境下でマイナスイオンを与えた玄米を、マイナスイオン水の発芽槽中で発芽させ、その後乾燥して成るマイナスイオン乾燥発芽米。
  2. うるち玄米、もち玄米、搗いたうるち米、搗いたもち米、うるち胚芽米、もち胚芽米を、玄米に代えて成る請求項1記載のマイナスイオン乾燥発芽米。
  3. 前記乾燥が低温除湿乾燥法による乾燥であることを特徴とする請求項1又は2記載のマイナスイオン乾燥発芽米。
  4. うるち玄米、もち玄米、搗いたうるち米、搗いたもち米、うるち胚芽米、もち胚芽米の米類にマイナスイオン環境下でマイナスイオンを与え、マイナスイオン水の発芽槽中で発芽させ、その後低温除湿乾燥法で乾燥したことを特徴とするマイナスイオン乾燥発芽米の製造方法。
  5. 低温除湿乾燥法における低温除湿の度合いが絶対湿度で0〜10g/m3である請求項4記載のマイナスイオン乾燥発芽米の製造方法。
  6. 請求項1、2又は3記載のマイナスイオン乾燥発芽米を加工して得た加工食品。
  7. 請求項1、2又は3記載のマイナスイオン乾燥発芽米とマイナスイオン環境下でマイナスイオンを与えた白米とを混合炊飯し、それを加工して得た加工食品。

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