JP2005085703A - 導電性ペースト及びセラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性粉末やガラスフリットの分散状態が経時変化することを防止し、製造時のペースト特性を長期間にわたって維持することが可能な導電性ペースト及び信頼性の高いセラミック電子部品を提供する。
【解決手段】導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストにおいて、導電性粉末及びガラスフリットとして、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上であるものを用いる。
また、導電性粉末として、扁平状導電性粉末を含有するものを用いる。
また、導電性粉末として、銅粉末を用いる。
また、有機ビヒクルを構成する中性高分子物質として、アクリル系重合体を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストにおいて、導電性粉末及びガラスフリットとして、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上であるものを用いる。
また、導電性粉末として、扁平状導電性粉末を含有するものを用いる。
また、導電性粉末として、銅粉末を用いる。
また、有機ビヒクルを構成する中性高分子物質として、アクリル系重合体を用いる。
【選択図】なし
Description
本願発明は、導電性ペースト及び該導電性ペーストの焼結体を備えたセラミック電子部品に関する。
近年、携帯電話や小型電子機器の普及に伴い、小型のセラミック電子部品の需要が高まっている。このようなセラミック電子部品の外部電極の形成方法として、導電性粉末、ガラスフリット、有機ビヒクルなどの原料を、三本ロールなどによって分散混合することにより形成した導電性ペーストを、セラミック電子部品に塗布・乾燥後、焼成工程、めっき工程を経て外部電極を形成する方法が広く用いられている。また、外部電極形成用に用いられる導電性ペーストの場合、塗布乾燥時において電極形状が凹凸になることを防止したり、焼成後の電極の緻密性とめっき付性とを両立させたりする目的で、球状導電性粉末と扁平状導電性粉末とを混合して用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来の導電性ペーストを使用して外部電極を形成する場合、導電性ペーストを貯蔵保管する間に、導電性ペーストを構成する導電性粉末やガラスフリットの分散状態が経時的に変化するという問題点がある。具体的には、分散混合時に有機ビヒクルに十分に濡れなかった導電性粉末やガラスフリットが、表面自由エネルギーを小さくしようとして経時的に再凝集するという問題点がある。また、扁平状の導電性粉末を含む導電性ペーストの場合には、有機ビヒクルに徐々に濡れることによって、何層にも重なった扁平状の導電性粉末の面凝集が経時的に解消して、重なりあった扁平状の導電性粉末が分離して分散するという問題点がある。すなわち、扁平状の導電性粉末は、導電性粉末どうしが面で接触した面凝集体を形成しているが、扁平状の導電性粉末と有機ビヒクルを混合すると、面凝集体の隙間に経時的に溶媒が浸透し、徐々に面凝集体の凝集が解消して分散するため、球形金属粉末よりも扁平状の導電性粉末のほうが分散状態が経時変化しやすいという問題点がある。
このように導電性粉末やガラスフリットの分散状態が貯蔵保管時に経時変化すると、導電性ペーストのレオロジー特性が変化して塗布形状が変化したり、導電性ペーストを塗布、焼き付けすることにより形成される電極膜の緻密性が低下して、その後のめっき工程でめっき液が電極膜中に浸入して、内部電極の剥離を引き起こし、例えば、セラミックコンデンサの場合には、目標とする静電容量が得られなくなるというような問題点がある。そのため、導電性ペーストの貯蔵保管時における、導電性粉末とガラスフリットの分散状態の経時変化を抑制することは極めて重要である。
なお、このような問題点は、外部電極形成用の導電性ペーストに限らず、セラミック電子部品の内部電極の形成や回路基板の配線導体の形成などに用いられる導電性ペーストにも当てはまるものである。
かかる問題点を解消するために、例えば、導電性粉末、有機バインダー、及び溶剤を主成分とし、かつ、N−アシルアミン酸及びその塩から選ばれた1種又は2種以上を含むことを特徴とする導電性ペーストが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この導電性ペーストにおいては、N−アシルアミン酸及びその塩の添加によって、導電性粉末の沈降分離は抑制されるものの、ペーストの降伏値が上昇し、印刷後のレベリング特性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、外部電極用ペーストのように、球状と扁平状の導電性粉末及びガラスフリットからなるペースト系では、有機ビヒクルに濡れなかった球状の導電性粉末やガラスフリットの再凝集を抑制することは可能であっても、何層にも重なった扁平状の導電性粉末どうしの重なりが経時的に解消してゆくことが抑制されることを期待することはできない。さらに、N−アシルアミン酸の高粘度ペースト中での拡散及び導電性粉末表面への吸着は、緩慢であることが推察され、十分な効果を発現するには、分散混合に多大の時間をかけたり、加熱処理をしたりすることが必要になるものと考えられる。
さらに他の方法として、導電性粉末、ガラスフリット、及び有機ビヒクルを分散混合する際に、キレート剤を添加する方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、この方法では、キレート剤を高粘度ペーストに添加するために、導電性粉末表面へのキレート剤の吸着が律速段階となったり、吸着後のキレート剤が有機溶媒中に金属錯体として再溶出したりして、ペースト降伏値などのレオロジー特性が徐々に変化するという問題点がある。
しかし、この方法では、キレート剤を高粘度ペーストに添加するために、導電性粉末表面へのキレート剤の吸着が律速段階となったり、吸着後のキレート剤が有機溶媒中に金属錯体として再溶出したりして、ペースト降伏値などのレオロジー特性が徐々に変化するという問題点がある。
さらに、他の方法として、一般に、導電性ペーストの粘度を高粘度化する方法や導電性ペーストを低温保管する方法などが考えられるが、これらの方法には、印刷性などのハンドリング性あるいは生産性の見地から制約があるのが実情である。
特開平6−325614号公報
特開2002−75051号公報
特開平5−242726号公報
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、導電性粉末やガラスフリットの分散状態が経時変化することを防止し、製造時の特性を長期間にわたって維持することが可能な導電性ペースト、及び当該導電性ペーストを用いて形成された電極を備えた信頼性の高いセラミック電子部品を提供することを目的とする。
発明者らは、上記実情に鑑みて、種々の実験、検討を行い、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上の導電性粉末及びガラスフリットを用いることにより、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化を抑制して、信頼性の高い電極を形成できることを知り、さらに実験、検討を行って、本願発明を完成した。
すなわち、本願発明(請求項1)の導電性ペーストは、
導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストであって、
前記導電性粉末及び前記ガラスフリットの、前記有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上であること
を特徴としている。
導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストであって、
前記導電性粉末及び前記ガラスフリットの、前記有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上であること
を特徴としている。
また、請求項2の導電性ペーストは、前記導電性粉末が、扁平状導電性粉末を含有するものであることを特徴としている。
また、請求項3の導電性ペーストは、前記導電性粉末が銅粉末であることを特徴としている。
また、請求項4の導電性ペーストは、前記有機ビヒクルを構成する中性高分子物質が、アクリル系重合体であることを特徴としている。
また、本願発明(請求項5)のセラミック電子部品は、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペーストの焼結体を備えていることを特徴としている。
本願発明(請求項1)の導電性ペーストは、導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストにおいて、導電性粉末及びガラスフリットの、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量を0.3J/m2以上としており、導電性粉末及びガラスフリットの有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上と高いため、高粘度系であっても分散混合時に速やかに導電性粉末表面及びガラスフリット表面を有機ビヒクルに十分に濡らすことが可能になり、導電性ペースト作製後における導電性粉末及びガラスフリットの分散状態の経時変化を極めて少なくすることが可能になる。
その結果、信頼性の高い電極を形成するために必要な特性を長期間安定して維持することが可能な導電性ペーストを提供することが可能になる。
なお、本願発明において、「単位面積当たりの浸漬熱量」とは、有機ビヒクルと導電性粉末、有機ビヒクルとガラスフリットが25℃下で接触してから60分(1時間)の間に発生する熱量を導電性粉末及びガラスフリットの比表面積で除した値である。
また、本願発明において、中性高分子物質とは、酸塩基量の総和が5.0μmol/g以下である高分子物をいう。
その結果、信頼性の高い電極を形成するために必要な特性を長期間安定して維持することが可能な導電性ペーストを提供することが可能になる。
なお、本願発明において、「単位面積当たりの浸漬熱量」とは、有機ビヒクルと導電性粉末、有機ビヒクルとガラスフリットが25℃下で接触してから60分(1時間)の間に発生する熱量を導電性粉末及びガラスフリットの比表面積で除した値である。
また、本願発明において、中性高分子物質とは、酸塩基量の総和が5.0μmol/g以下である高分子物をいう。
また、本願発明の導電性ペーストは、導電性粉末及びガラスフリットの、有機ビヒクルに対する濡れ速度が極めて速いため、請求項2の導電性ペーストのように、導電性粉末が、扁平状導電性粉末を含有する場合(すなわち、導電性粉末が球状導電性粉末と扁平状導電性粉末の混合物である場合や、導電性粉末が主として扁平状導電性粉末であるような場合)にも、従来は困難であった何層にも重なった扁平状導電性粉末どうしの重なりを極めて速やかに解消することが可能になり、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化を抑制することが可能になる。それゆえ、本願発明は、扁平状導電性粉末を含有する導電性ペーストに適用した場合に特に有意義である。
また、請求項3の導電性ペーストのように、導電性粉末として、比較的安価で高導電率の銅粉末を用いた場合、安価で、かつ、導電性に優れた信頼性の高い電極を形成できるようになる。
また、請求項4の導電性ペーストのように、中性高分子物質として、比較的広範囲の溶媒に可溶であり、かつ、熱分解性に優れるアクリル系重合体を用いた場合、特別な溶媒などを使用することが不要になるとともに、焼成時に中性高分子物質を確実に熱分解させて除去することが可能になり、導電性に優れた信頼性の高い電極を効率よく形成することができるようになる。
また、本願発明(請求項5)のセラミック電子部品は、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化が抑制された本願請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペーストを用いて形成された焼結体からなる信頼性の高い電極を備えているので、製造が容易で、しかも信頼性の高いセラミック電子部品を提供することが可能になる。
本願発明の導電性ペーストで用いられる導電性粉末及びガラスフリットは、用いられる有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上であることを要件としている。
有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満の場合、導電性粉末及びガラスフリット表面が有機ビヒクルに速やかに濡れることができず、表面の自由エネルギーを低くしようとして導電性粉末やガラスフリットが再凝集したり、扁平状導電性粉末を用いた場合には、有機ビヒクルに徐々に濡れることによって、何層にも重なった扁平状の導電性粉末の面凝集が少しずつ解消して分散したりすることにより、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化を招くため好ましくない。
なお、浸漬熱量とは、一般に、粉末表面全体が濡れ終わるまでに発生した熱量と定義される場合があるが、本願発明でいう単位面積当たりの浸漬熱量とは、有機ビヒクルと導電性粉末、有機ビヒクルとガラスフリットが25℃下で接触してから60分(1時間)の間に発生する熱量を導電性粉末及びガラスフリットの比表面積で除した値であり、本願発明では、導性粉末と有機ビヒクル、及び、ガラスフリットと有機ビヒクルの濡れ速度が重要である。すなわち、例えば、導電性粉末及びガラスフリットが有機ビヒクルに濡れ始めてから24時間に発生した浸漬熱量が0.3J/m2以上であっても、60分(1時間)の間に発生した熱量が0.3J/m2未満であれば、本願発明の要件を満たすものではなく、本願発明に含まれるものではない。
なお、かかる浸漬熱量の測定装置としては、例えば、東京理工社製のMicro−Multi−Calorimeterを挙げることができる。
なお、浸漬熱量とは、一般に、粉末表面全体が濡れ終わるまでに発生した熱量と定義される場合があるが、本願発明でいう単位面積当たりの浸漬熱量とは、有機ビヒクルと導電性粉末、有機ビヒクルとガラスフリットが25℃下で接触してから60分(1時間)の間に発生する熱量を導電性粉末及びガラスフリットの比表面積で除した値であり、本願発明では、導性粉末と有機ビヒクル、及び、ガラスフリットと有機ビヒクルの濡れ速度が重要である。すなわち、例えば、導電性粉末及びガラスフリットが有機ビヒクルに濡れ始めてから24時間に発生した浸漬熱量が0.3J/m2以上であっても、60分(1時間)の間に発生した熱量が0.3J/m2未満であれば、本願発明の要件を満たすものではなく、本願発明に含まれるものではない。
なお、かかる浸漬熱量の測定装置としては、例えば、東京理工社製のMicro−Multi−Calorimeterを挙げることができる。
また、本願発明の導電性ペーストにおいて用いられる導電性粉末は、当該有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上でありさえすれば、特にその種類などに限定されるものではなく、例えば、銅やニッケルなどの卑金属粉末、銀やパラジウムなどの貴金属粉末、及び表面に上記金属の被覆層を有する粉末などが用いられる。また、これら導電性粉末は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することが可能である。高導電性でありながら比較的安価な銅粉末は、本願発明の導電性ペーストにおいて特に好ましい導電性粉末の一つである。
また、導電性粉末の形状、形態には特に制約はなく、球状、不定形状、フレーク状、扁平状などの種々の形状、形態のものを用いることが可能である。
さらに、導電性粉末の酸化防止の目的で、必要に応じて、公知の酸化防止処理を施した導電性粉末を用いることも可能である。また、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上となるように、必要に応じてカップリング剤処理や分散剤処理などの公知の表面処理を施した導電性粉末を用いることも可能である。
本願発明に用いられるガラスフリットは、当該有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ホウ酸シリカ系ガラス類、ホウ酸亜鉛系ガラス類などの公知のガラスフリットを用いることができる。これらガラスフリットは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することが可能である。
また、ガラスフリットの形状、形態に特別の制約はなく、球状、不定形状、フレーク状、扁平状などの種々の形状、形態のものを用いることが可能である。さらに、有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上となるように、必要に応じてカップリング剤処理や分散剤処理などの公知の表面処理を施したガラスフリットを用いることも可能である。
なお、本願発明で用いられる有機ビヒクルは、中性高分子物質を有機溶媒に溶解することにより調製される。
なお、本願発明で用いられる有機ビヒクルは、中性高分子物質を有機溶媒に溶解することにより調製される。
有機ビヒクルを構成する有機溶媒としては、中性高分子物質を溶解させることが可能な種々の物質を用いることが可能である。例えば、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、ベンジルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1ブタノールなどのアルコール類、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール類、乳酸ブチルなどのエステル類、ケトン類、エーテル類、アセタール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などを使用することができる。なお、これらの有機溶媒は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することが可能である。
本願発明に用いられる有機ビヒクルを構成する高分子物質は、中性高分子物質であることが必要である。すなわち、導電性粉末及びガラスフリットの、中性高分子物質以外の高分子物質を含む有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2以上であっても、本願発明の目的を達成することはできない。
また、本願発明に用いられる中性高分子物質とは、酸塩基量の総和が5.0μmol/g以下である高分子物であって、酸塩基量の総和が5.0μmol/g以下であれば、当該中性高分子物質の側鎖又は末端に任意の官能基を有していてもよい。中性高分子物質の酸塩基量の総和が5.0μmol/gを超える場合、導電性粉末やガラスフリット表面に経時的に吸着し、その結果、レオロジー特性が変化したり、導電性粉末やガラスフリットの凝集を引き起こしたりする可能性があるので好ましくない。
但し、本願発明において、酸塩基量の総和とは、中性高分子物質とカリウムメトキシドとを反応させて中和した場合の、中和に要したカリウムメトキシド量(μmol/g)を酸量とし、中性高分子物質と過塩素酸とを反応させて中和した場合の、中和に要した過塩素酸量(μmol/g)を塩基量としたときの、酸量と塩基量の合計量を意味する概念である。
但し、本願発明において、酸塩基量の総和とは、中性高分子物質とカリウムメトキシドとを反応させて中和した場合の、中和に要したカリウムメトキシド量(μmol/g)を酸量とし、中性高分子物質と過塩素酸とを反応させて中和した場合の、中和に要した過塩素酸量(μmol/g)を塩基量としたときの、酸量と塩基量の合計量を意味する概念である。
中性高分子物質としては、公知の合成高分子や天然高分子を用いることが可能で、具体的には、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキド樹脂、セルロース系樹脂などが例示される。その中でも、比較的広範な溶媒に可溶であり、かつ、熱分解性に優れるアクリル系樹脂は特に好適に用いることができる。
当該中性高分子物質の重量平均分子量には特別な制約はないが、50000〜1000000の範囲であることが望ましい。重量平均分子量が50000未満の場合、十分な塗膜強度を得ることが困難になる傾向があり、重量平均分子量が1000000を超える場合、導電性ペーストの粘度が高くなり過ぎたり、糸引き性が高くなったりして、均一な膜を得ることが困難になる傾向がある。
また、当該中性高分子物質の配合量に特別の限定はないが、導電性ペースト中3.0〜10.5重量%の割合で配合することが好ましい。配合量が3.0重量%未満では、乾燥塗膜強度が不十分になる場合があり、配合量が10.5重量%を超えると、焼成過程で亀裂が発生したり、導電性粉末間の焼結が不十分になって電極の緻密性が低下し、電極の信頼性を損ねる場合がある。
本願発明の導電性ペーストは、例えば、導電性粉末とガラスフリットを有機ビヒクル中に投入し、ディスパー、ボールミル、三本ロールなどの公知の方法を用いて分散混合することにより製造することができる。但し、本願発明の導電性ペーストの製造方法はこれらに限られるものではない。また、必要に応じて、分散混合した後に、加熱処理を行うことも可能である。
また、本願発明のセラミック電子部品は、例えば、本願発明の導電性ペーストを公知の方法にて、セラミック電子部品(セラミック素子)に塗布、乾燥し、焼成を行って外部電極を形成した後、その表面にめっき処理を施して、ニッケルめっき膜及びスズめっき膜などを形成することにより製造される。なお、本願発明の導電性ペーストは、積層セラミック電子部品の内部電極を形成する場合や、回路基板の配線導体を形成する場合にも用いることが可能であり、そのような積層セラミック電子部品や回路基板なども本願発明のセラミック電子部品の範囲に含まれるものである。
以下、本願発明の実施例を示して、本願発明をさらに具体的に説明する。
まず、導電性ペーストの素原料として、
(1)表1に示す導電性粉末(Cu粉末)
(2)表2に示すガラスフリット
(3)表3に示す中性高分子物質(但し、NP−3は中性高分子ではない)
を用意した。
まず、導電性ペーストの素原料として、
(1)表1に示す導電性粉末(Cu粉末)
(2)表2に示すガラスフリット
(3)表3に示す中性高分子物質(但し、NP−3は中性高分子ではない)
を用意した。
なお、表1の導電性粉末の粒子径、及び表2のガラスフリットの粒子径は、エキネン(変性アルコール)溶媒を用い、マイクロトラック粒度測定機によって測定したD50の値を示している。また、表3の中性高分子物質の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Waters2690 allianceシステム)により、標準ポリスチレン換算で測定した結果を示している。なお、測定は、テトラヒドロフランを溶離液に使用して、秒速1.0ml/分の測定条件で行い、検出には屈折計を用いた。
さらに、中性高分子物質の酸量及び塩基量は、それぞれ以下に説明する方法により測定した。
さらに、中性高分子物質の酸量及び塩基量は、それぞれ以下に説明する方法により測定した。
[酸量]
中性高分子物質3gを正確に秤量して30mlのメチルイソブチルケトンで溶解した後、この溶液10mlを採取し、メチルイソブチルケトンを加えて全量を50mlとした。それから、この希釈液を0.01Mカリウムメトキシド溶液で滴定し、中和に要したカリウムメトキシド溶液量から中性高分子物質の酸量を算出した。
中性高分子物質3gを正確に秤量して30mlのメチルイソブチルケトンで溶解した後、この溶液10mlを採取し、メチルイソブチルケトンを加えて全量を50mlとした。それから、この希釈液を0.01Mカリウムメトキシド溶液で滴定し、中和に要したカリウムメトキシド溶液量から中性高分子物質の酸量を算出した。
[塩基量]
中性高分子物質3gを正確に秤量して30mlのメチルイソブチルケトンで溶解した後、この溶液10mlを採取し、メチルイソブチルケトン/エタノール=4/1混合溶液を加えて全量を50mlとした。それから、この希釈液を0.01M過塩素酸溶液で滴定し、中和に要した過塩素酸溶液量から中性高分子物質の塩基量を算出した。
中性高分子物質3gを正確に秤量して30mlのメチルイソブチルケトンで溶解した後、この溶液10mlを採取し、メチルイソブチルケトン/エタノール=4/1混合溶液を加えて全量を50mlとした。それから、この希釈液を0.01M過塩素酸溶液で滴定し、中和に要した過塩素酸溶液量から中性高分子物質の塩基量を算出した。
そして、上記素原料の内、表3記載の中性高分子物質を3メトキシ−3−メチル−1−ブタノール−/ターピネオール混合液(25:75重量比)に溶解し、表4の3種類の有機ビヒクルを得た。
次いで、導電性粉末、ガラスフリット、有機ビヒクルとを三本ロールで分散混合し、表5、6、7の試料番号1〜48に示す組成の導電性ペーストを得た。
なお、浸漬熱量は、東京理工社製のMulti−Micro−Calorimeterを用いて、以下に説明する手法により測定した。
[浸漬熱量]
導電性粉末をメノウ鉢で粉砕した後、室温で12時間減圧乾燥した。それから、乾燥した粉末1gを正確に秤量し、外径10mm、内径8mm、長さ30mmのガラス管内にガスバーナーを用いて溶融封入し、サンプル管を作製した。
次いで、サンプル管を有機ビヒクル22gの入った装置セル内に密閉し、有機ビヒクルを60rpmで撹拌しながら、25℃恒温漕中で12時間静置した。静置後、サンプル管を破壊し、有機ビヒクルと粉末とを接触させた。そして、サンプル管の破壊から60分間に発生した熱量を測定した。
導電性粉末をメノウ鉢で粉砕した後、室温で12時間減圧乾燥した。それから、乾燥した粉末1gを正確に秤量し、外径10mm、内径8mm、長さ30mmのガラス管内にガスバーナーを用いて溶融封入し、サンプル管を作製した。
次いで、サンプル管を有機ビヒクル22gの入った装置セル内に密閉し、有機ビヒクルを60rpmで撹拌しながら、25℃恒温漕中で12時間静置した。静置後、サンプル管を破壊し、有機ビヒクルと粉末とを接触させた。そして、サンプル管の破壊から60分間に発生した熱量を測定した。
なお、表5の試料番号1〜16の導電性ペーストは、本願発明の要件を満たす導電性ペーストであり、試料番号17〜48の導電性ペーストは、以下の点で本願発明の範囲外となる導電性ペーストである。
[試料番号17〜25]
有機ビヒクルに対する導電性粉末の単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号26〜31]
有機ビヒクルに対するガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号32〜39]
中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号40〜41]
有機ビヒクルに対する導電性粉末及びガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を準たさない導電性ペーストである。
[試料番号42〜43]
有機ビヒクルに対する浸漬熱量が0.3J/m2未満の導電性粉末を含有している点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号44〜45]
有機ビヒクルに対するガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号46〜48]
有機ビヒクルに対する導電性粉末及びガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
有機ビヒクルに対する導電性粉末の単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号26〜31]
有機ビヒクルに対するガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号32〜39]
中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号40〜41]
有機ビヒクルに対する導電性粉末及びガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点において本願発明の要件を準たさない導電性ペーストである。
[試料番号42〜43]
有機ビヒクルに対する浸漬熱量が0.3J/m2未満の導電性粉末を含有している点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号44〜45]
有機ビヒクルに対するガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
[試料番号46〜48]
有機ビヒクルに対する導電性粉末及びガラスフリットの単位面積当たりの浸漬熱量が0.3J/m2未満である点、及び中性でない高分子物質が用いられている点において、本願発明の要件を満たさない導電性ペーストである。
これら試料番号1〜48の導電性ペーストを室温(25℃)に保管し、粘度、降伏値、乾燥膜における導電性粉末の充填密度、ガラスフリットの分散状態、電極信頼性(めっき液の浸入度)の長期安定性を評価した。なお、これらの特性評価は、以下の説明する方法で行った。
[粘度特性の長期安定性]
粘度特性の長期安定性については、導電性ペーストの作製直後と作製から3ヶ月後にE型粘度計を用いて粘度を測定し、3ヶ月後の粘度が、導電性ペーストの作製直後の粘度よりも15%以上変化したものについては、粘度特性の長期安定性が不良であると判定した。
粘度特性の長期安定性については、導電性ペーストの作製直後と作製から3ヶ月後にE型粘度計を用いて粘度を測定し、3ヶ月後の粘度が、導電性ペーストの作製直後の粘度よりも15%以上変化したものについては、粘度特性の長期安定性が不良であると判定した。
[降伏値の長期安定性]
レオメトリック社製の粘弾性測定装置(コーン角0.02rad,コーン直径25mm,ギャップ0.0229mm,25℃)を用い、ズリ速度0s-1から10s-1まで1分間で加速し、次いで10s-1から0s-1まで1分間で減速することにより得られたフローカーブのダウンカーブにおいて、8.0s-1から0.2s-1にCasson近似を適用して降伏値を算出した。そして、この降伏値測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月後に行い、3ヶ月後の降伏値がペースト作製直後の降伏値に対して15%以上変化したものについては、降伏値の長期安定性が不良であると判定した。
レオメトリック社製の粘弾性測定装置(コーン角0.02rad,コーン直径25mm,ギャップ0.0229mm,25℃)を用い、ズリ速度0s-1から10s-1まで1分間で加速し、次いで10s-1から0s-1まで1分間で減速することにより得られたフローカーブのダウンカーブにおいて、8.0s-1から0.2s-1にCasson近似を適用して降伏値を算出した。そして、この降伏値測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月後に行い、3ヶ月後の降伏値がペースト作製直後の降伏値に対して15%以上変化したものについては、降伏値の長期安定性が不良であると判定した。
[乾燥膜における導電性粉末の充填密度の長期安定性]
ドクターブレードにて導電性ペーストをガラス基板上(50mm角)に50μm厚に塗布し、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた。次いで、乾燥膜の膜厚Tを接触式表面粗さ計にて求めるとともに、乾燥膜の金属膜厚Mを蛍光X線で求めた。そして、乾燥膜における導電性粉末の充填密度を下記の式から算出した。
充填密度(%)=(M/T)×100
この乾燥膜の充填密度の測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月保管後に行い、3ヶ月後の導電性粉末の充填密度がペースト作製直後の導電性粉末の充填密度に対して5%以上低下したものについては、導電性粉末の充填密度の長期安定性が不良であると判定した。
ドクターブレードにて導電性ペーストをガラス基板上(50mm角)に50μm厚に塗布し、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた。次いで、乾燥膜の膜厚Tを接触式表面粗さ計にて求めるとともに、乾燥膜の金属膜厚Mを蛍光X線で求めた。そして、乾燥膜における導電性粉末の充填密度を下記の式から算出した。
充填密度(%)=(M/T)×100
この乾燥膜の充填密度の測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月保管後に行い、3ヶ月後の導電性粉末の充填密度がペースト作製直後の導電性粉末の充填密度に対して5%以上低下したものについては、導電性粉末の充填密度の長期安定性が不良であると判定した。
[ガラスフリットの分散状態の長期安定性]
ドクターブレードにて導電性ペーストをガラス基板上(50mm角)に50μm厚に塗布し、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた。次いで、乾燥膜のSi成分のWDX像を撮影した(日本分光社製:JXA−8800R,加速電圧15kv,照射電流50nA,Dwell−Time50ms,ピクセル数256×256,深さ1〜2μm)。さらに、そのSi成分のWDX像について、画像解析ソフト(旭エンジニアリング社製:IP−1000,特殊粒子解析ソフト)を用いて、Si成分の円相当径を測定した。
この円相当径測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月保管後に行い、3ヶ月後のSi成分の円相当径がペースト作製直後のSi成分の円相当径に対して15%以上増加したものについては、ガラスフリットの分散状態の長期安定性が不良であると判定した。
ドクターブレードにて導電性ペーストをガラス基板上(50mm角)に50μm厚に塗布し、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた。次いで、乾燥膜のSi成分のWDX像を撮影した(日本分光社製:JXA−8800R,加速電圧15kv,照射電流50nA,Dwell−Time50ms,ピクセル数256×256,深さ1〜2μm)。さらに、そのSi成分のWDX像について、画像解析ソフト(旭エンジニアリング社製:IP−1000,特殊粒子解析ソフト)を用いて、Si成分の円相当径を測定した。
この円相当径測定をペースト作製直後と作製から3ヶ月保管後に行い、3ヶ月後のSi成分の円相当径がペースト作製直後のSi成分の円相当径に対して15%以上増加したものについては、ガラスフリットの分散状態の長期安定性が不良であると判定した。
[電極信頼性(めっき液の浸入度)の長期安定性]
電極信頼性の長期安定性を調べるにあたっては、まず、ドクターブレードにて導電性ペーストをアルミナ基板上(10mm角)に250μm厚となるように塗布した。それから、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた後、中性雰囲気下にて種々の温度で焼成して電極を形成した。そして、ニッケルめっきを行って電極の表面にニッケルめっき膜を形成し、電極をエポキシ樹脂に埋め固めた後、電極が配設されたアルミナ基板を電極形成面に直交する方向に切断した。次に、切断端面を研磨して、アルミナ基板及び電極膜の端面を露出させ、この端面を金属顕微鏡(1000倍)にて観察することにより、電極信頼性の長期安定性を調べた。この研磨、観察による電極信頼性評価を、作製直後の導電性ペーストを用いて形成した電極と、作製から3ヶ月後の導電性ペーストを用いて形成した電極について行い、焼成電極膜(Cu膜)中にニッケル金属が確認されたものを、めっき液の浸入により電極が劣化したものとして、電極信頼性の長期安定性が不良であると判定した。なお、焼成膜表面に亀裂が発生していたものも電極信頼性が不良であると判定した。
電極信頼性の長期安定性を調べるにあたっては、まず、ドクターブレードにて導電性ペーストをアルミナ基板上(10mm角)に250μm厚となるように塗布した。それから、熱風乾燥機にて150℃で15分間乾燥させた後、中性雰囲気下にて種々の温度で焼成して電極を形成した。そして、ニッケルめっきを行って電極の表面にニッケルめっき膜を形成し、電極をエポキシ樹脂に埋め固めた後、電極が配設されたアルミナ基板を電極形成面に直交する方向に切断した。次に、切断端面を研磨して、アルミナ基板及び電極膜の端面を露出させ、この端面を金属顕微鏡(1000倍)にて観察することにより、電極信頼性の長期安定性を調べた。この研磨、観察による電極信頼性評価を、作製直後の導電性ペーストを用いて形成した電極と、作製から3ヶ月後の導電性ペーストを用いて形成した電極について行い、焼成電極膜(Cu膜)中にニッケル金属が確認されたものを、めっき液の浸入により電極が劣化したものとして、電極信頼性の長期安定性が不良であると判定した。なお、焼成膜表面に亀裂が発生していたものも電極信頼性が不良であると判定した。
試料番号1〜48の試料について調べた、粘度特性の長期安定性(粘度)、降伏値の長期安定性(降伏値)、乾燥膜における導電性粉末の充填密度の長期安定性(充填密度)、ガラスフリットの分散状態の長期安定性(ガラスの分散性)、電極信頼性の長期安定性(電極信頼性)の評価結果、及び総合評価を表9,10及び11に示す。
なお、表9,10,11の各項目において、○は特性が良好であることを示し、×は特性が不良であることを示す。
また、表11の各項目にa)を付したものは、導電性ペースト作製直後から増粘・ゲル化し、評価不能であったことを示している。
表9,10,11に示すように、本願発明の要件を満たす試料番号1〜16の導電性ペーストは、長期間にわたってレオロジー特性(粘度・降伏値)や分散状態(充填密度・円相当径)が安定しており、その結果、印刷性や電極形状及び電極信頼性が良好に維持されることが確認された。
また、表11の各項目にa)を付したものは、導電性ペースト作製直後から増粘・ゲル化し、評価不能であったことを示している。
表9,10,11に示すように、本願発明の要件を満たす試料番号1〜16の導電性ペーストは、長期間にわたってレオロジー特性(粘度・降伏値)や分散状態(充填密度・円相当径)が安定しており、その結果、印刷性や電極形状及び電極信頼性が良好に維持されることが確認された。
さらに、試料番号1〜16の導電性ペーストは、ハンドリング性も良好であり、また、試料番号1〜16の導電性ペーストを塗布した電極乾燥膜の強度は実用に供し得るものであることが確認された。
これに対して、本願発明の要件を満たさない試料番号17〜48の導電性ペースト(比較例の試料)においては、レオロジー特性の変化や、分散状態の変化が発生し、長期間にわたって、電極信頼性を維持することができず、実用に供することが困難であることが確認された。
さらに、3ヶ月間室温で保管した試料番号1〜48の導電性ペーストを、積層セラミックコンデンサ(外部電極を形成する前のセラミックコンデンサ素子)に塗布、乾燥した後、焼成することにより外部電極を形成し、その表面にニッケルめっき及びスズめっきを行うことにより積層セラミックコンデンサを作製し、得られた積層セラミックコンデンサについて静電容量を測定した。
なお、図1はこの実施例で作製した積層セラミックコンデンサの概略構成を示す断面図である。この積層セラミックコンデンサは、複数の内部電極3がセラミック層2を介して互いに対向するように配設され、かつ、その一端側が交互に異なる側の端面に引き出されたセラミック素子1の両端側に、内部電極3と導通するように一対の外部電極4,4が配設された構造を有しており、この外部電極4,4は本願発明の導電性ペーストを塗布、乾燥、焼成することにより形成されている。そして、外部電極4,4の表面には、ニッケルめっき及びスズめっきを施すことにより形成されたニッケルめっき膜5及びスズめっき膜6が配設されている。
その結果、試料番号1〜16の導電性ペーストを用いた場合には、いずれも、均一な電極形状が得られること、及び目標とする静電容量が得られることが確認された。
一方、試料番号17〜48の導電性ペーストを用いた場合には、均一な電極形状が得られなかったり、目標の静電容量を得ることができなかったりした。
一方、試料番号17〜48の導電性ペーストを用いた場合には、均一な電極形状が得られなかったり、目標の静電容量を得ることができなかったりした。
上記実施例より、本願発明の導電性ペーストを用いた場合には、長期間にわたって電極信頼性に優れた外部電極を形成することが可能になり、ひいては信頼性の高い積層セラミックコンデンサが得られることが確認された。
なお、上記実施例では、導電性粉末がCu粉末である場合を例にとって説明したが、ニッケルなどの卑金属粉末、銀やパラジウムなどの貴金属粉末などを用いる場合にも本願発明を適用することが可能である。
また、上記実施例では、積層セラミックコンデンサの外部電極を形成する場合を例にとって説明したが、本願発明の導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサに限らず、積層バリスタ、多層基板などの内部に電極を備えた積層セラミック電子部品、内部に電極を備えていないセラミック電子部品であるサーミスタなどの種々の電子部品に広く適用することが可能である。
なお、本願発明は、その他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、導電性ペーストの製造方法の具体的な条件、導電性ペーストの組成、本願発明の導電性ペーストを用いて製造されるセラミック電子部品の構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
本願発明の導電性ペーストは、導電性粉末やガラスフリットの分散状態が経時変化せず、製造時の特性を長期間にわたって維持することが可能であることから、例えば、導電性ペーストを塗布して焼き付けることにより電極を形成する工程を備えたセラミック電子部品などの製造に関する技術分野に広く用いることが可能である。
また、本願発明のセラミック電子部品は、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化が抑制された本願発明の導電性ペーストを用いて形成された焼結体からなる信頼性の高い電極を備えているので、信頼性が高く、種々の電気、電子技術の分野において広く用いることが可能である。
また、本願発明のセラミック電子部品は、導電性粉末やガラスフリットの分散状態の経時変化が抑制された本願発明の導電性ペーストを用いて形成された焼結体からなる信頼性の高い電極を備えているので、信頼性が高く、種々の電気、電子技術の分野において広く用いることが可能である。
1 セラミック素子
2 セラミック層
3 内部電極
4 外部電極
5 ニッケルめっき膜
6 スズめっき膜
2 セラミック層
3 内部電極
4 外部電極
5 ニッケルめっき膜
6 スズめっき膜
Claims (5)
- 導電性粉末と、ガラスフリットと、中性高分子物質を有機溶媒に溶解した有機ビヒクルとを含有する導電性ペーストであって、
前記導電性粉末及び前記ガラスフリットの、前記有機ビヒクルに対する単位面積当たりの浸漬熱量が、0.3J/m2以上であること
を特徴とする導電性ペースト。 - 前記導電性粉末が、扁平状導電性粉末を含有するものであることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
- 前記導電性粉末が銅粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性ペースト。
- 前記有機ビヒクルを構成する中性高分子物質が、アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1〜3記載の導電性ペースト。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ペーストの焼結体を備えていることを特徴とするセラミック電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003318880A JP2005085703A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 導電性ペースト及びセラミック電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003318880A JP2005085703A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 導電性ペースト及びセラミック電子部品 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2003318880A Pending JP2005085703A (ja) | 2003-09-10 | 2003-09-10 | 導電性ペースト及びセラミック電子部品 |
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- 2003-09-10 JP JP2003318880A patent/JP2005085703A/ja active Pending
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