JP2005082877A - 窒化被覆工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法等により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む硬質被膜被覆工具において、新品製作時、又は、再研磨時に、窒化処理をしたとき、刃先先端のコーナの窒化深さを抑制し、先端部の靱性の低下を防止して刃欠けを防止した硬質被膜被覆工具を提供。
【構成】新品製作時、再研磨面である1面38である、切削に寄与する切れ刃の一部面38の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法等により除去した後、又は再研磨時に再研磨面38の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部38を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層37窒化層を形成したものである。
【選択図】図1
【構成】新品製作時、再研磨面である1面38である、切削に寄与する切れ刃の一部面38の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法等により除去した後、又は再研磨時に再研磨面38の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部38を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層37窒化層を形成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法等により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む硬質被膜被覆工具において、新品製作時、又は、再研磨時に、窒化処理をしたときの刃先先端のコーナの窒化深さを抑制し、先端部の靱性の低下を防止した硬質被膜被覆工具に関する。
工具に適用される窒化処理、または反応ガスである窒素の負グロー放電を利用して窒化処理を行ういわゆるイオン窒化処理の目的は、工具表面に窒化層を形成することで表面硬さを上げて耐摩耗性を向上させることにあるが、ビッカース硬度は600〜1200HV程度であり、近年の工具を使用する時の過酷な高速切削条件下では十分な硬度とはいえない。一方ではイオンプレーティング装置の普及でTiNやTiAlNなどの、ビッカース硬度が2000HV以上の硬さのセラミック硬質膜を工具表面に被覆して高速条件下での工具の寿命を大幅に向上させることが可能となった。このセラミック硬質膜被覆技術は表面改質技術として一般的に行われているものであり、工具の寿命を延長させるためには非常に有効な手法であるが、さらに工具の寿命を延ばすために、上記の窒化処理技術とセラミック硬質膜形成技術を組み合わせた技術の開発が進んでいる。
イオン窒化で形成した窒化層については、切削工具に適用する場合は細心の注意が必要であり、特にエンドミルのような鋭利な刃を持つ工具については窒化層の厚さが切削中のコーナ刃欠けの原因になるため、セラミック硬質膜の厚さとともに耐摩耗性のある高機能ハイス工具を製作するうえでは重要な因子となる。しかしながら従来製品ではいずれもその範囲は明確に規定されていないため、実際の鋭利な刃を持つ工具、特にエンドミルに適用する場合には窒化処理の効果は保証されるものではない。特許文献1では、表面硬化層に硬質被膜を施した場合に、切削中に生じ易い切れ刃のチッピングを防ぐため、工具に応じて切れ刃の形状を変えて切削寿命の改善を図っているが、実際の工具に適用する場合は、工具の複雑な形状に応じた面状の切れ刃の微妙な加工が必要となるため実用的とはいえない。図3の従来の被覆切削工具の刃先部分の拡大した説明図に示すように、(a)の従来の被覆切削工具の基材14に形成された窒化層15、15、又は(b)の(a)の上に硬質被膜16、16を施した場合において、窒化層15、15は2面に形成されているので、刃先先端のコーナの窒化深さ17、17が各1面での窒化深さよりも深くなるため、先端部の靱性が低下して欠けやすくなる。図3は2次元での例であるが、刃先先端の様な三次元形状ではその傾向はさらに顕著になる。
特開2000−5904号公報 請求項1
本発明の課題は、上記課題を解決するため、高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法等により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む硬質被膜被覆工具において、新品製作時、又は、再研磨時に、窒化処理をしたとき、刃先先端のコーナの窒化深さを抑制し、先端部の靱性の低下を防止して刃欠けを防止した硬質被膜被覆工具を提供することにある。
このため本発明は、高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法又は化学メッキ、電気メッキを含むCVD法により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む工具において、新品製作時、再研磨面である、即ち、ホブ、ピニオンカッタ、ラックカッタ及び歯切り用フライスを含む歯切工具においてはすくい面、ドリルにおいては先端逃げ面、エンドミルにおいては外周逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の前記硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層を形成したことを特徴とする窒化被覆工具を提供することによって上記した従来方法の課題を解決した。
前記基材露出部を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層を形成する代わりに、基材露出部の表面硬度の向上を浸炭又はショットピーニングで行うものであってもよい。
前記基材露出部を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層を形成する代わりに、基材露出部の表面硬度の向上を浸炭又はショットピーニングで行うものであってもよい。
かかる構成により本発明は、高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、硬質被膜を被覆した工具において、新品製作時、再研磨面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の前記硬質被膜を除去した後、窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層を形成し(窒化層を形成する代わりに、基材露出部の表面硬度の向上を浸炭又はショットピーニングで行うものであってもよい)、基材露出部の一面のみに窒化層を形成するので、コーナでの窒化深さの増加を抑制した。その結果、従来例と比較して工具の耐摩耗性を向上させ、コーナ部の欠けを抑制することで特に切削工具においてその工具寿命を飛躍的に向上させることができる。その効果は粉末ハイス工具の持つ寿命に匹敵、かつそれ以上の性能を示しており、以上の様に本発明品の窒化被覆工具は、従来の被覆工具に比べて耐摩耗性および耐欠損性に優れ、生産性の向上、工具費コストの低減に極めて有効である。図1の本発明の被覆切削工具の刃先部分の拡大した説明図に示すように、(a)では基材24の1面35には予め硬質被膜16が被覆されており、窒化層37は1面38のみに形成したので、コーナでの窒化深さ39の増加を抑制し、浅い深さとなった。(b)は(a)の上にさらに硬質被膜36、36を施したものである。コーナでの窒化深さ39は(a)と同じである。
好ましくは、前記硬質被膜を除去した後窒化処理した表面処理部位と基材内部の窒化処理がされていない部位との硬度の差を50Hv以上200Hv以下するとよい。
より好ましくは、前記工具切れ刃のコーナ部における表面からの窒化処理深さを、コーナ先端から20μmを越え100μm以内とすることがよい。
さらに好ましくは、前記硬質被膜を除去した後窒化処理した表面処理部位に、化学メッキ、電気メッキ、イオンプレーティング法又はCVD法により硬質被膜を被覆することにより、よりコーナ摩耗を少なくできる。
より好ましくは、前記工具切れ刃のコーナ部における表面からの窒化処理深さを、コーナ先端から20μmを越え100μm以内とすることがよい。
さらに好ましくは、前記硬質被膜を除去した後窒化処理した表面処理部位に、化学メッキ、電気メッキ、イオンプレーティング法又はCVD法により硬質被膜を被覆することにより、よりコーナ摩耗を少なくできる。
本発明を実施するための最良の形態の一例を図1を参照して説明する。図1は本発明を実施するための最良の形態の一例である被覆切削工具の刃先部分の拡大した説明図で、本発明の被覆切削工具は、高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材24とし、基材24の1面35にはイオンプレーティング法又は化学メッキ、電気メッキを含むCVD法により予め硬質被膜16を被覆されており、新品製作時、再研磨面である1面38、即ち、ホブ、ピニオンカッタ、ラックカッタ及び歯切り用フライスを含む歯切工具においてはすくい面、ドリルにおいては先端逃げ面、エンドミルにおいては外周逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面38の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面38の予め被覆した硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部38を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層37窒化層を形成したものである(窒化層を形成する代わりに、基材露出部の表面硬度の向上を浸炭又はショットピーニングで行うものであってもよい)。図1(a)では基材24の1面35には予め硬質被膜16が被覆されたており、窒化層37は1面38のみに形成したので、コーナでの窒化深さ39の増加を抑制し、浅い深さとなった。(b)は(a)の上にさらに硬質被膜36、36を施したものである。コーナでの窒化深さ39は(a)と同じである。
本発明の高機能ハイス工具の製造方法とその効果について具体的に実施例1として説明する。脱脂洗浄した高速度工具鋼SKH59相当材(以下ハイスと称する)を基材とした外径6mmの2枚刃の無処理エンドミルを図2のイオンプレーティング装置の工具取り付け治具3に設置して真空装置1の内部を排気口11から図示しない真空ポンプを用いて0.01Paまで真空に排気する(真空排気工程)。その後、加熱用ヒータ12で工具取り付け治具3に装着した工具部材を400〜500℃まで加熱して保持する(加熱工程)。そしてアルゴンガス導入口6からアルゴンガスを導入して所定の真空度(10〜0.1Pa)にした後、電子銃2とアノード4との間で電子銃用直流電源9で印加(Aに接続)してアルゴンガス放電によるプラズマ領域を形成する。アルゴンプラズマ領域はアルゴンイオンと電子および高速中性子からなるプラズマ状態にあり、その状態で工具取り付け治具3に基板用直流電源10をマイナス数百ボルトに負印加する。プラズマ領域中のアルゴンイオンが工具基材に電気的に引き寄せられ、治具3に装着された工具表面にアルゴンイオンが衝突することで工具表面の付着物や表面酸化物等をエッチングして工具表面の清浄化を行う(アルゴンイオンボンバード工程)。次に窒素ガス導入口7から所定の圧力(10〜0.1Pa)になるまで窒素ガスを導入し、印加電圧を10〜200Vに設定してプラズマ窒化処理を行う(プラズマ窒化工程)。プラズマ窒化後は電子銃用直流電源9を切り替える(Bに接続)ことで電子銃を金属蒸発源に移行させて金属の溶解(例えばチタン)を行い、反応ガス(例えば窒素ガス)を導入してセラミック硬質膜(例えばTiN)を工具基材の表面に形成する(コーティング工程)。所定の膜厚を成膜した後は150℃までに真空中で冷却してから工具部材を取り出す。
次に、新品製作時、再研磨面である、エンドミルにおいては外周逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、硬質被膜の一部を除去した工具を脱脂洗浄し、図2のイオンプレーティング装置の工具取り付け治具3に設置して真空装置1の内部を排気口11から図示しない真空ポンプを用いて0.01Paまで真空に排気する(真空排気工程)。その後、加熱用ヒータ12で工具取り付け治具3に装着した工具部材を400〜500℃まで加熱して保持する(加熱工程)。そしてアルゴンガス導入口6からアルゴンガスを導入して所定の真空度(10〜0. 1Pa)にした後、電子銃2とアノード4との間で電子銃用直流電源9で印加(Aに接続)してアルゴンガス放電によるプラズマ領域を形成する。アルゴンプラズマ領域はアルゴンイオンと電子および高速中性子からなるプラズマ状態にあり、その状態で工具取り付け治具3に基板用直流電源10をマイナス数百ボルトに負印加する。プラズマ領域中のアルゴンイオンが工具基材に電気的に引き寄せられ、治具3に装着された工具表面にアルゴンイオンが衝突することで工具表面の付着物や表面酸化物等をエッチングして工具表面の清浄化を行う(アルゴンイオンボンバード工程)。次に窒素ガス導入口7から所定の圧力(10〜0.1Pa)になるまで窒素ガスを導入し、印加電圧を10〜200Vに設定してプラズマ窒化処理を行う(プラズマ窒化工程)。プラズマ窒化後は150℃まで真空中で冷却してから工具部材を取り出す。さらに、プラズマ窒化後に電子銃用直流電源9を切り替える(Bに接続)ことで電子銃を金属蒸発源に移行させて金属の溶解(例えばチタン)を行い、反応ガス(例えば窒素ガス)を導入してセラミック硬質膜(例えばTiN)を工具基材の表面に形成した(コーティング工程)。所定の膜厚を成膜した後は150℃までに真空中で冷却してから工具部材を取り出した。
(ハイスエンドミル切削試験)
切削工具:外径6mm×柄径8mm 2枚刃 ハイスエンドミル(材質SKH59相当材)
切削条件:ドライ(エアブロー)
加工方法:側面切削(ダウンカット)
切削速度:12.4m/min(660min−1)
送り速度:0.027mm/刃(35mm/min)
切り込み:aa=6mm ar=1.5mm
切削長:1m
被削材:SKD11(硬さ180HB)
本発明品と従来品および比較品とのハイスエンドミル切削試験結果を表1に示す。
従来品の特徴として全面に窒化したNo.2やNo.5は刃先にチッピング(刃欠け)現象を引き起こしており、全面窒化処理は鋭利な工具に対して逆効果になることがわかる。一方で被覆により外周マージン部のみを窒化し、コーナでの窒化深さを浅くした本発明品(No.7〜9 )は従来品(No.1〜6 )に比べてエンドミル切削後のコーナ摩耗量が小さく、刃欠けも見られない。比較例として、部分的に窒化した製品においてもコーナ窒化深さが深い比較品(No.10 )では、全面窒化品と同様に刃欠けが生じており、コーナの窒化深さを規定する必要があることがわかる。また、窒化が不十分な比較品(No.11 )では、被覆のみ(No.3)の摩耗量と大差なく、20μmを越えるといった、ある程度の窒化深さが必要であることがわかる。
切削工具:外径6mm×柄径8mm 2枚刃 ハイスエンドミル(材質SKH59相当材)
切削条件:ドライ(エアブロー)
加工方法:側面切削(ダウンカット)
切削速度:12.4m/min(660min−1)
送り速度:0.027mm/刃(35mm/min)
切り込み:aa=6mm ar=1.5mm
切削長:1m
被削材:SKD11(硬さ180HB)
本発明品と従来品および比較品とのハイスエンドミル切削試験結果を表1に示す。
従来品の特徴として全面に窒化したNo.2やNo.5は刃先にチッピング(刃欠け)現象を引き起こしており、全面窒化処理は鋭利な工具に対して逆効果になることがわかる。一方で被覆により外周マージン部のみを窒化し、コーナでの窒化深さを浅くした本発明品(No.7〜9 )は従来品(No.1〜6 )に比べてエンドミル切削後のコーナ摩耗量が小さく、刃欠けも見られない。比較例として、部分的に窒化した製品においてもコーナ窒化深さが深い比較品(No.10 )では、全面窒化品と同様に刃欠けが生じており、コーナの窒化深さを規定する必要があることがわかる。また、窒化が不十分な比較品(No.11 )では、被覆のみ(No.3)の摩耗量と大差なく、20μmを越えるといった、ある程度の窒化深さが必要であることがわかる。
(ハイスドリル切削試験)
実施例1と同様な製作過程でハイスドリルを製作して、次に、新品製作時、再研磨面である、ハイスドリルにおいては先端逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、実施例1と同様な窒化処理とセラミック硬質膜を被覆し、従来品と性能比較を行った。本発明品No.7は、窒化処理の代わりに基材表面硬度の向上を浸炭で行い、基材表面硬度を1030HVとしたものである。
ハイスドリル切削試験条件
切削工具:外径6mm
(溶解ハイス:SKH51 相当材、粉末ハイス:SKH40相当材)
切削条件:水溶性エマルジョン
加工方法:19mm通し穴
切削速度:48m/min(2550min−1)
送り速度:410mm/min(0.162mm/rev)
被削材:S50C(硬さ212HB)
ドリルにおいて、従来品と本発明品の寿命の差は顕著であり、全面窒化(No.4〜6 )では被覆のみ(No.3)と比較して表面硬度が向上しているにも係わらず寿命が短い。これに対して、先端逃げ面のみを窒化し、コーナでの窒化深さを浅くした本発明品(No.7〜9 )は従来品(No.1〜6 )に比べて飛躍的に寿命が向上している。比較例として、部分的に窒化した製品においてもコーナ窒化深さが深い比較品(No.10 )では、全面窒化品と同様に寿命が低下しており、コーナの窒化深さを規定する必要があることがわかる。また、窒化が不十分な比較品(No.11 )では、被覆のみ(No.3)の摩耗量と大差なく、20μmを越えるといった、あるていどの窒化が必要であることがわかる。
実施例1と同様な製作過程でハイスドリルを製作して、次に、新品製作時、再研磨面である、ハイスドリルにおいては先端逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、実施例1と同様な窒化処理とセラミック硬質膜を被覆し、従来品と性能比較を行った。本発明品No.7は、窒化処理の代わりに基材表面硬度の向上を浸炭で行い、基材表面硬度を1030HVとしたものである。
ハイスドリル切削試験条件
切削工具:外径6mm
(溶解ハイス:SKH51 相当材、粉末ハイス:SKH40相当材)
切削条件:水溶性エマルジョン
加工方法:19mm通し穴
切削速度:48m/min(2550min−1)
送り速度:410mm/min(0.162mm/rev)
被削材:S50C(硬さ212HB)
ドリルにおいて、従来品と本発明品の寿命の差は顕著であり、全面窒化(No.4〜6 )では被覆のみ(No.3)と比較して表面硬度が向上しているにも係わらず寿命が短い。これに対して、先端逃げ面のみを窒化し、コーナでの窒化深さを浅くした本発明品(No.7〜9 )は従来品(No.1〜6 )に比べて飛躍的に寿命が向上している。比較例として、部分的に窒化した製品においてもコーナ窒化深さが深い比較品(No.10 )では、全面窒化品と同様に寿命が低下しており、コーナの窒化深さを規定する必要があることがわかる。また、窒化が不十分な比較品(No.11 )では、被覆のみ(No.3)の摩耗量と大差なく、20μmを越えるといった、あるていどの窒化が必要であることがわかる。
(ハイスホブ切削試験)
実施例1と同様な製作過程ハイスホブを製作して、次に、新品製作時、再研磨面である、ハイスホブにおいてはすくい面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、実施例1と同様な窒化処理とセラミック硬質膜を被覆し、従来品と性能比較を行った。
ホブの形状はモジュールm2.87で、圧力角15°、3条12溝、外径95mmである。ワークである被削歯車の緒元は、歯の大きさm2.87、圧力角15°、歯数48,ねじれ角31°、外径166.6mm、歯たけ、7.995,歯厚3.917である。
切削条件:ドライ
加工方法:クライムカット
切削速度:150m/min 又は 200m/min
送り速度:0.5mm/rev
被削材:SCM420H(硬さ180HB)
切削長:12m
実施例1と同様な製作過程ハイスホブを製作して、次に、新品製作時、再研磨面である、ハイスホブにおいてはすくい面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の予め被覆した硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、実施例1と同様な窒化処理とセラミック硬質膜を被覆し、従来品と性能比較を行った。
ホブの形状はモジュールm2.87で、圧力角15°、3条12溝、外径95mmである。ワークである被削歯車の緒元は、歯の大きさm2.87、圧力角15°、歯数48,ねじれ角31°、外径166.6mm、歯たけ、7.995,歯厚3.917である。
切削条件:ドライ
加工方法:クライムカット
切削速度:150m/min 又は 200m/min
送り速度:0.5mm/rev
被削材:SCM420H(硬さ180HB)
切削長:12m
本発明の最良の実施形態では、発明者らは刃先要部を硬質被膜で被覆処理した上ですくい面などの一部の切削要部を除去した上、イオン窒化により基材露出部を窒化処理し、コーナでの窒化深さの増加を抑制した。その結果、従来例と比較して切削時の欠けが抑制され、工具寿命を延長することができた。即ち本発明の特徴は、窒化処理においてセラミック硬質被膜を利用して工具刃先における窒化深さを制御して、刃先の靱性低下を予防し、耐久性に優れた工具としたものである。その効果は粉末ハイス工具の持つ寿命に匹敵、かつそれ以上の性能を示しており、本発明品の窒化被覆工具は従来の被覆工具に比べて耐摩耗性および耐欠損性に優れ、生産性の向上、工具費コストの低減に極めて有効である。
本発明の最良の実施形態では、コーナの窒化深さは20μmを越え100μm以下、望ましくは20μmを越え50μm以下とした。20μm以下では窒化処理の効果が少なく、100μm又は50μmの深さを越えて窒化された場合には通常の窒化処理と同様にコーナ部の欠けを生じやすくなるため、この範囲に限定した。また、切削試験において優位の差として認められる耐摩耗性の向上には基材と表面硬化処理部位の硬度差で50Hv以上必要であり、100Hv程度が望ましく、200Hvを越える硬度差が生じると欠けが生じやすくなるためにこの範囲に限定した。
16 予め形成した硬質被膜 24 基材
36 窒化層37の上にさらに被覆した硬質被膜 37 窒化層
36 窒化層37の上にさらに被覆した硬質被膜 37 窒化層
Claims (5)
- 高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法又は化学メッキ、電気メッキを含むCVD法により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む工具において、新品製作時、再研磨面である、即ち、ホブ、ピニオンカッタ、ラックカッタ及び歯切り用フライスを含む歯切工具においてはすくい面、ドリルにおいては先端逃げ面、エンドミルにおいては外周逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の前記硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部を窒素ガス雰囲気中で窒化処理を行い窒化層を形成したことを特徴とする窒化被覆工具。
- 高速度工具鋼又は合金工具鋼を基材とし、イオンプレーティング法又は化学メッキ、電気メッキを含むCVD法により硬質被膜を被覆した歯切工具及び切削工具を含む工具において、新品製作時、再研磨面である、即ち、ホブ、ピニオンカッタ、ラックカッタ及び歯切り用フライスを含む歯切工具においてはすくい面、ドリルにおいては先端逃げ面、エンドミルにおいては外周逃げ面である、切削に寄与する切れ刃の一部面の前記硬質被膜を、研削を含む物理的方法又は除膜液を使用した化学的方法により除去した後、又は再研磨時に再研磨面の前記硬質被膜を再研磨で除去した後、基材露出部の表面硬度の向上を浸炭又はショットピーニングで行うことを特徴とする窒化被覆工具。
- 前記硬質被膜を除去した後窒化処理した表面処理部位と基材内部の窒化処理がされていない部位との硬度の差を50Hv以上200Hv以下としたことを特徴とする請求項1記載の窒化被覆工具。
- 前記工具切れ刃のコーナ部における表面からの窒化処理深さを、コーナ先端から20μmを越え100μm以内としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の窒化被覆工具。
- 前記硬質被膜を除去した後窒化処理した表面処理部位に、化学メッキ、電気メッキ、イオンプレーティング法又はCVD法により硬質被膜を被覆したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の窒化被覆工具。
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Cited By (2)
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JP2015221926A (ja) * | 2014-05-23 | 2015-12-10 | 株式会社不二越 | 酸化鉄膜の形成方法および酸化鉄膜 |
WO2022180845A1 (ja) * | 2021-02-26 | 2022-09-01 | オーエスジー株式会社 | 窒化処理された切削タップおよびその製造方法 |
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2003
- 2003-09-11 JP JP2003319231A patent/JP2005082877A/ja not_active Withdrawn
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