JP4289115B2 - ドリルの再研磨・再コーティング方法、再研磨・再コーティングドリル - Google Patents
ドリルの再研磨・再コーティング方法、再研磨・再コーティングドリル Download PDFInfo
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Description
また、ドリル本体は、その先端に設けられた切刃を含めて、超硬合金あるいはハイスによって一体に構成されており、さらに、耐摩耗性の向上を図るため、切刃を含めた刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、刃先部の形状精度を維持するために、刃先部の表面全域を研磨してこの表面全域にコーティングされた硬質皮膜を除去し、これと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングしたり、同じく刃先部の形状精度を維持するために、化学的な方法で刃先部の表面全域にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによって切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングするといった方法が採用されている。
さらに例えば、刃先部の外周面を研磨してこの外周面にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによってこの先端逃げ面にコーティングされた硬質皮膜を除去するのと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングしたり、あるいは、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面を研磨してこれら外周面及び内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによってこの先端逃げ面にコーティングされた硬質皮膜を除去するのと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングするといった方法も採用されている。
なお、先端逃げ面を研磨して切刃の刃立てを行うだけの状態、つまり、先端逃げ面には硬質皮膜がコーティングされていない状態でドリルを再利用することもあるが、このような場合には、先端逃げ面の耐摩耗性が著しく劣ってしまうこととなり、加工効率(切削速度・送り)や穴明け加工数が大幅に低下してしまうのであった。
さらに、この場合、再研磨・再コーティング回数が多くなると、刃先部の形状精度を維持することが困難となるので、結局は、上記のように、刃先部の外周面を再研磨して硬質皮膜を除去した後に、新たな硬質皮膜を再コーティングすることになってしまう。
つまり、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに、これら外周面及び内壁面に対する複数回繰り返しての硬質皮膜の再コーティングを行ったとしても、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないために、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜の総膜厚が、刃先部の形状精度を損ねてしまうほどに厚くなってしまうことがないのである。さらに、先端逃げ面には、従来と同様に、適切な厚み(例えば0.8μm〜5.0μmの範囲)の硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
そのため、刃先部の外周面にコーティングされた硬質皮膜を研摩あるいは化学的な方法で除去する工程を省略したとしても、これに起因する不具合の発生をなくすことが可能となり、ドリルの再研摩・再コーティングにかかるコストを削減するとともに、この再研摩・再コーティングの工程にかかる所要時間を短縮することができる。
しかしながら、このような再研摩・再コーティングドリルを使用すると、上記のマスキングが、自然と、その上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することにより、再コーティング時において刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはない。
つまり、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに、これら外周面及び内壁面に対する複数回繰り返しての硬質皮膜の再コーティングを行ったとしても、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないために、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜の総膜厚が、刃先部の形状精度を損ねてしまうほどに厚くなってしまうことがないのである。さらに、先端逃げ面には、従来と同様に、適切な厚み(例えば0.8μm〜5.0μmの範囲)の硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
そのため、刃先部の外周面にコーティングされた硬質皮膜を研摩あるいは化学的な方法で除去する工程を省略したとしても、これに起因する不具合の発生をなくすことが可能となり、ドリルの再研摩・再コーティングにかかるコストを削減するとともに、この再研摩・再コーティングの工程にかかる所要時間を短縮することができる。
本発明の実施形態を説明するために用いるドリルのドリル本体10は、図1に示すように、軸線O回りに回転される軸線Oを中心とした略円柱状に形成されたものであり、その後端側部分が工作機械の回転軸に把持されるシャンク部11とされる一方、先端側部分が刃先部12とされている。
なお、これらマージン部18と二番取り面19とは、切屑排出溝14と同様に、先端逃げ面13に交差する部分から軸線O方向の後端側へ向かうにしたがいドリル回転方向T後方側にねじれるようにして、刃先部12の軸線O方向での略全長に亘って形成されている。
このような切刃16,16や先端逃げ面13の摩耗に対して、本実施形態では、まず、使用後のドリルにおける一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に、例えばメッキをコーティングする(マスキングを施す)。
このアークイオンプレーティング装置100は、成膜チャンバー110と、成膜チャンバー110の内部にて回転する回転テーブル170と、この回転テーブル170の外周部に沿って配置され、回転テーブル170上でドリル本体10を回転可能に支持する複数の基体保持部160…とを主体として構成され、成膜チャンバー110には、排気手段120と、加熱手段130と、ガス供給手段190とが接続されている。
また、回転テーブル170には、バイアス電源180が接続されており、各基体保持部160…を介してドリル本体10に対してバイアス電圧を印加できるようになっている。
その後、回転テーブル170上で自転しながら回転するドリル本体10に、バイアス電源180により−1000Vの直流バイアス電圧を印加した状態で、カソード電極150aの金属Tiとアノード電極140aとの間にアーク放電を発生させて、ドリル本体10における一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面をTiボンバード洗浄する。
なお、このメッキの剥離は、例えば濃度10%の硝酸または硫酸に室温で浸漬し、メッキを溶解することによって行われる。この場合、(Ti,Al)NやTiCNなどの硬質皮膜がコーティングされていないハイスあるいは超硬合金の表面には、樹脂などの耐酸性のマスキングを施しておくことが好ましい。メッキの剥離を短時間で実施するには、超音波洗浄やショットブラストなどの物理的な処理方法を併用する。
また、先端逃げ面13には、従来と同様に、例えば0.8μm〜5.0μmの範囲である適切な厚みの硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面13の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
つまり、一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングしただけであって、上記のメッキの上に新たに再コーティングされた硬質皮膜が存在している状態で、ドリルの再利用を図ってもよいのである。
なお、この場合、メッキが自然に剥離するとしても、刃先部12の形状精度を維持するためには、メッキの厚みを、上述したように10μm以下に設定しておくことが好ましい。
11 シャンク部
12 刃先部
13 先端逃げ面
14 切屑排出溝
15 切屑排出溝の内壁面
15A 切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面
16 切刃
17 刃先部の外周面
18 マージン部
19 二番取り面
O 軸線
T ドリル回転方向
Claims (4)
- 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、
使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研磨した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングし、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングをその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離することを特徴とするドリルの再研磨・再コーティング方法。 - 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、
使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研磨された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされ、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングがその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離されていることを特徴とする再研磨・再コーティングドリル。 - 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、
使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研摩した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングすることを特徴とするドリルの再研磨・再コーティング方法。 - 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、
使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研摩された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされていることを特徴とする再研摩・再コーティングドリル。
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