JP2005118906A - ドリルの再研磨・再コーティング方法、再研磨・再コーティングドリル - Google Patents

ドリルの再研磨・再コーティング方法、再研磨・再コーティングドリル Download PDF

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Abstract

【課題】 加工能率や穴明け加工数の低下を招くことなく、刃先部の形状精度を維持して、ドリルの再研摩・再コーティング工程を省略化する。
【解決手段】 使用後のドリルにおける切刃16,16を含めた刃先部12の表面にマスキングを施してから先端逃げ面13を再研磨した後に、切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングし、さらに、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15に施されたマスキングをその上に位置する硬質皮膜ごと剥離する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、穴明け加工に用いられ、切刃を含めた刃先部の表面に硬質皮膜がコーティングされたドリルに関するものであり、とくに、使用後のドリルが再研磨・再コーティングされてなる再研磨・再コーティングドリルに関するものである。
従来より、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる螺旋状の切屑排出溝が一対形成され、これら切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と先端逃げ面との交差稜線部に一対の切刃が形成されたドリルが知られている。
また、ドリル本体は、その先端に設けられた切刃を含めて、超硬合金あるいはハイスによって一体に構成されており、さらに、耐摩耗性の向上を図るため、切刃を含めた刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−279409号公報
ところで、このようなドリルは、その使用にともなって切刃の摩耗が顕著になってきた場合に、再研摩・再コーティングを施すことによって、再利用が図られるようになっている。
例えば、刃先部の形状精度を維持するために、刃先部の表面全域を研磨してこの表面全域にコーティングされた硬質皮膜を除去し、これと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングしたり、同じく刃先部の形状精度を維持するために、化学的な方法で刃先部の表面全域にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによって切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングするといった方法が採用されている。
さらに例えば、刃先部の外周面を研磨してこの外周面にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによってこの先端逃げ面にコーティングされた硬質皮膜を除去するのと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングしたり、あるいは、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面を研磨してこれら外周面及び内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去してから、先端逃げ面を研磨することによってこの先端逃げ面にコーティングされた硬質皮膜を除去するのと同時に切刃の刃立てを行い、その後、硬質皮膜を再コーティングするといった方法も採用されている。
しかしながら、上述したようなドリルの再研摩・再コーティングを行うには、多大なコスト及び時間がかかってしまうという問題があるため、このような再研摩・再コーティング工程の省略化が強く望まれている。
なお、先端逃げ面を研磨して切刃の刃立てを行うだけの状態、つまり、先端逃げ面には硬質皮膜がコーティングされていない状態でドリルを再利用することもあるが、このような場合には、先端逃げ面の耐摩耗性が著しく劣ってしまうこととなり、加工効率(切削速度・送り)や穴明け加工数が大幅に低下してしまうのであった。
また、再研磨・再コーティング工程を簡略化し、なおかつ、先端逃げ面の耐摩耗性を維持するために、先端逃げ面のみを再研磨し、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに新たな硬質皮膜の再コーティングを行うこともあるが、この場合には、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされる硬質皮膜が複数層重ねられることによって、この硬質皮膜が過剰に厚くなり、硬質皮膜にチッピングや欠損が生じやすくなるので、安定した耐摩耗性を発揮できなくなる。
さらに、この場合、再研磨・再コーティング回数が多くなると、刃先部の形状精度を維持することが困難となるので、結局は、上記のように、刃先部の外周面を再研磨して硬質皮膜を除去した後に、新たな硬質皮膜を再コーティングすることになってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、加工能率や穴明け加工数の低下を招くことなく、刃先部の形状精度を維持して、ドリルの再研摩・再コーティング工程を省略化することが可能なドリルの再研摩・再コーティング方法、再研摩・再コーティングドリルを提供することを目的とする。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、請求項1に記載のドリルの再研摩・再コーティング方法は、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研磨した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングし、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングをその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の再研磨・再コーティングドリルは、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研磨された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされ、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングがその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離されていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載のドリルの再研磨・再コーティング方法は、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研摩した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングすることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の再研摩・再コーティングドリルは、軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研摩された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされていることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、切刃を含めた刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングする前の状態で、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面には、予めコーティングされた硬質皮膜の上にマスキングが施されていることから、切刃を含めた刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングした後に、上記のマスキングを、その上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することにより、再コーティング時において刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはない。
つまり、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに、これら外周面及び内壁面に対する複数回繰り返しての硬質皮膜の再コーティングを行ったとしても、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないために、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜の総膜厚が、刃先部の形状精度を損ねてしまうほどに厚くなってしまうことがないのである。さらに、先端逃げ面には、従来と同様に、適切な厚み(例えば0.8μm〜5.0μmの範囲)の硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
そのため、刃先部の外周面にコーティングされた硬質皮膜を研摩あるいは化学的な方法で除去する工程を省略したとしても、これに起因する不具合の発生をなくすことが可能となり、ドリルの再研摩・再コーティングにかかるコストを削減するとともに、この再研摩・再コーティングの工程にかかる所要時間を短縮することができる。
請求項3に記載の発明によれば、切刃を含めた刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングする前の状態で、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面には、予めコーティングされた硬質皮膜の上にマスキングが施されていることから、切刃を含めた刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングした後には、上記のマスキングの上に新たに再コーティングされた硬質皮膜が存在することなる。
しかしながら、このような再研摩・再コーティングドリルを使用すると、上記のマスキングが、自然と、その上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することにより、再コーティング時において刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはない。
つまり、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに、これら外周面及び内壁面に対する複数回繰り返しての硬質皮膜の再コーティングを行ったとしても、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないために、刃先部の外周面及び切屑排出溝の内壁面に再コーティングされた硬質皮膜の総膜厚が、刃先部の形状精度を損ねてしまうほどに厚くなってしまうことがないのである。さらに、先端逃げ面には、従来と同様に、適切な厚み(例えば0.8μm〜5.0μmの範囲)の硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
そのため、刃先部の外周面にコーティングされた硬質皮膜を研摩あるいは化学的な方法で除去する工程を省略したとしても、これに起因する不具合の発生をなくすことが可能となり、ドリルの再研摩・再コーティングにかかるコストを削減するとともに、この再研摩・再コーティングの工程にかかる所要時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態を説明するために用いるドリルのドリル本体10は、図1に示すように、軸線O回りに回転される軸線Oを中心とした略円柱状に形成されたものであり、その後端側部分が工作機械の回転軸に把持されるシャンク部11とされる一方、先端側部分が刃先部12とされている。
刃先部12の外周には、この刃先部12の先端逃げ面13に開口する部分から軸線O方向の後端側へ向かうにしたがい略一定のねじれ角でドリル回転方向T後方側にねじれる一対の切屑排出溝14,14が軸線Oに関して対称に形成されていて、これら一対の切屑排出溝14,14における内壁面15,15のうちのドリル回転方向T前方側を向く内壁面15A,15Aと先端逃げ面13との交差稜線部に、略直線状をなす一対の切刃16,16が形成されている。
刃先部12の先端逃げ面13は、一対の切刃16,16からドリル回転方向T後方側へ向かうにしたがい軸線O方向の後端側へ向かって後退するとともに、内周側から外周側へ向かうにしたがい軸線O方向の後端側へ向かって後退するような略多段円錐面状に形成されており、一対の切刃16,16のそれぞれには、所定の逃げ角及び先端角が付されるようになっている。
さらに、刃先部12における一対の切屑排出溝14,14を除く外周面17、すなわちランド部は、軸線Oに直交する断面で見たときに、切屑排出溝14のドリル回転方向T前方側を向く内壁面15Aの外周側稜線部に交差して、軸線Oを中心とした略円弧状をなすマージン部18と、このマージン部18のドリル回転方向T後方側に連なり、マージン部18がなす円弧よりも一段小さい外径を有する軸線Oを中心とした略円弧状をなす二番取り面19とから構成されている。
なお、これらマージン部18と二番取り面19とは、切屑排出溝14と同様に、先端逃げ面13に交差する部分から軸線O方向の後端側へ向かうにしたがいドリル回転方向T後方側にねじれるようにして、刃先部12の軸線O方向での略全長に亘って形成されている。
そして、本実施形態では、ドリル本体10が、その先端に設けられた一対の切刃16,16を含めて、超硬合金あるいはハイス等の硬質材料によって一体に構成されており、一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面には、例えば(Ti,Al)NやTiCNなどの硬質皮膜がコーティングされている。
以上のような構成を有するドリルを用いて、穴明け加工を施していくと、次第に、切刃16,16や先端逃げ面13の摩耗が顕著になってくる。
このような切刃16,16や先端逃げ面13の摩耗に対して、本実施形態では、まず、使用後のドリルにおける一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に、例えばメッキをコーティングする(マスキングを施す)。
また、このメッキ(マスキング)は、例えばNi系の無電解メッキを用い、メッキ処理時間を調整することにより、刃先部12の外周面17(マージン部18,二番取り面19)及び切屑排出溝14の内壁面15に対して2〜10μmの厚さでコーティングする。このメッキの厚みは、再コーティングする硬質皮膜をマスキングするのに十分な厚さを有するように、2μm以上に設定し、かつ、再コーティング後に剥離しやすく、メッキを剥離しない場合(後述する)であっても歯形精度が維持できるように、10μm以下に設定してある。
次に、メッキが刃先部12の表面にコーティングされた使用後のドリルにおける刃先部12の先端逃げ面13を再研磨することにより、この先端逃げ面13に予めコーティングされていた硬質皮膜とその上に新たにコーティングされたメッキとを除去するとともに、先端逃げ面13と切屑排出溝14,14のドリル回転方向T前方側を向く内壁面15A,15Aとの交差稜線部に形成される切刃16,16の刃立てを行う。
次に、切刃16,16を含めた刃先部12の表面に、図2に示すようなアークイオンプレーティング装置を用いて、硬質皮膜を再コーティングすることになる。
このアークイオンプレーティング装置100は、成膜チャンバー110と、成膜チャンバー110の内部にて回転する回転テーブル170と、この回転テーブル170の外周部に沿って配置され、回転テーブル170上でドリル本体10を回転可能に支持する複数の基体保持部160…とを主体として構成され、成膜チャンバー110には、排気手段120と、加熱手段130と、ガス供給手段190とが接続されている。
成膜チャンバー110内部の対向する2壁面近傍に、カソード電極(蒸着源)150a、150bが配設されており、各々のカソード電極150a、150bに、電源140,140が接続され、カソード電極150a、150b近傍のこれらと対向する位置に、それぞれアノード電極140a、140bが配置されている。
また、回転テーブル170には、バイアス電源180が接続されており、各基体保持部160…を介してドリル本体10に対してバイアス電圧を印加できるようになっている。
このようなアークイオンプレーティング装置100を用いて、ドリル本体10の刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングするには、まず、ドリル本体10を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥させた後、装置100内の回転テーブル170上の外周部に沿って設けられた基体保持部160に対して装着する。次いで、装置100内を排気して0.5Paの真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱する。
その後、回転テーブル170上で自転しながら回転するドリル本体10に、バイアス電源180により−1000Vの直流バイアス電圧を印加した状態で、カソード電極150aの金属Tiとアノード電極140aとの間にアーク放電を発生させて、ドリル本体10における一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面をTiボンバード洗浄する。
次に、装置100内に反応ガスとして窒素ガスを導入して10Paの反応雰囲気とするとともに、回転テーブル170上で自転しながら回転するドリル本体10に、−300Vのバイアス電圧を印加しながら、TiAl金属からなるカソード電極150bとアノード電極140bとの間にアーク放電を発生させて、ドリル本体10における一対の切刃166,16を含めた刃先部12の表面に、層厚方向に沿って目標全体層厚の(Ti,Al)N層からなる硬質皮膜を蒸着して再コーティングする。
なお、アークイオンプレーティング装置100内の回転テーブル170の基体保持部160に装着されたドリル本体10は、その軸線O回りに自転させられるとともに、回転テーブル170の軸線回りの回転によって公転させられながら、硬質皮膜が再コーティングされていくようになっている。
このようにして、切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングすると、先端逃げ面13の表面には、新たに再コーティングされた硬質皮膜のみが、例えば0.8μm〜5.0μmの範囲の厚みで存在した状態となり、かつ、刃先部12の外周面17(マージン部18,二番取り面19)及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15の表面には、予めコーティングされた硬質皮膜と、この硬質皮膜の上の新たにコーティングされたメッキと、このメッキの上に新たに再コーティングされた硬質皮膜とが存在した状態となる。
その後、刃先部12の外周面17であるマージン部18及び二番取り面19と切屑排出溝14,14の内壁面15,15との表面に存在している、予めコーティングされた硬質皮膜と新たにコーティングされたメッキと新たに再コーティングされた硬質皮膜とについて、上記のメッキをその上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することになる。
なお、このメッキの剥離は、例えば濃度10%の硝酸または硫酸に室温で浸漬し、メッキを溶解することによって行われる。この場合、(Ti,Al)NやTiCNなどの硬質皮膜がコーティングされていないハイスあるいは超硬合金の表面には、樹脂などの耐酸性のマスキングを施しておくことが好ましい。メッキの剥離を短時間で実施するには、超音波洗浄やショットブラストなどの物理的な処理方法を併用する。
以上説明したように、本実施形態では、一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングする前の状態で、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15には、予めコーティングされた硬質皮膜の上にメッキがコーティングされていることになるから、一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングした後に、上記のメッキを、その上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することにより、再コーティング時において刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはない。
すなわち、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15にコーティングされた硬質皮膜を除去せずに、これら外周面17及び内壁面15,15に対する複数回繰り返しての硬質皮膜の再コーティングを行ったとしても、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないために、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15に再コーティングされた硬質皮膜の総膜厚が、刃先部12の形状精度を損ねてしまうほどに厚くなってしまうことがないのである。
また、先端逃げ面13には、従来と同様に、例えば0.8μm〜5.0μmの範囲である適切な厚みの硬質皮膜が再コーティングされることによって、この先端逃げ面13の耐摩耗性が損なわれてしまうこともない。
したがって、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15にコーティングされた硬質皮膜を研摩あるいは化学的な方法で除去する工程を省略したとしても、これに起因する不具合の発生をなくすことができ、ドリルの再研摩・再コーティングにかかるコストを削減するとともに、この再研摩・再コーティングの工程にかかる所要時間を短縮することが可能となっている。
なお、本実施形態では、刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15の表面に存在している、予めコーティングされた硬質皮膜と新たにコーティングされたメッキと新たに再コーティングされた硬質皮膜とについて、上記のメッキをその上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離するようにしているが、このメッキの剥離は必ずしも必要ではない。
つまり、一対の切刃16,16を含めた刃先部12の表面に硬質皮膜を再コーティングしただけであって、上記のメッキの上に新たに再コーティングされた硬質皮膜が存在している状態で、ドリルの再利用を図ってもよいのである。
このような再研摩・再コーティングドリルを使用した場合には、上記のメッキが、自然と、その上に新たに再コーティングされた硬質皮膜ごと剥離することとなり、再コーティング時において刃先部12の外周面17及び切屑排出溝14,14の内壁面15,15に再コーティングされた硬質皮膜が残存することはないので、実質的に、上述の実施形態で説明したものと同様の再研磨・再コーティングドリルを得ることができる。
なお、この場合、メッキが自然に剥離するとしても、刃先部12の形状精度を維持するためには、メッキの厚みを、上述したように10μm以下に設定しておくことが好ましい。
本発明の実施形態を説明するために用いるドリルを示す側面図である。 硬質皮膜をコーティングするためのアークイオンプレーティング装置を示す概略構成図である。
符号の説明
10 ドリル本体
11 シャンク部
12 刃先部
13 先端逃げ面
14 切屑排出溝
15 切屑排出溝の内壁面
15A 切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面
16 切刃
17 刃先部の外周面
18 マージン部
19 二番取り面
O 軸線
T ドリル回転方向

Claims (4)

  1. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、
    使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研磨した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングし、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングをその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離することを特徴とするドリルの再研磨・再コーティング方法。
  2. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、
    使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研磨された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされ、さらに、前記刃先部の外周面及び前記切屑排出溝の内壁面に施されたマスキングがその上に位置する前記硬質皮膜ごと剥離されていることを特徴とする再研磨・再コーティングドリル。
  3. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルを再研磨・再コーティングする方法であって、
    使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングを施してから前記先端逃げ面を再研摩した後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜を再コーティングすることを特徴とするドリルの再研磨・再コーティング方法。
  4. 軸線回りに回転されるドリル本体の先端側部分である刃先部の外周に、この刃先部の先端逃げ面に開口するとともに後端側へ向けて延びる切屑排出溝が形成され、この切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く内壁面と前記先端逃げ面との交差稜線部に切刃が形成され、前記切刃を含めた前記刃先部の表面には硬質皮膜がコーティングされたドリルであって、
    使用後のドリルにおける前記切刃を含めた前記刃先部の表面にマスキングが施されてから前記先端逃げ面が再研摩された後に、前記切刃を含めた前記刃先部の表面に硬質皮膜が再コーティングされていることを特徴とする再研摩・再コーティングドリル。
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