JP2005082696A - 低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン樹脂微粒子 - Google Patents

低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン樹脂微粒子 Download PDF

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武司 脇屋
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Abstract

【課題】 界面活性剤や乳化剤を用いることなく、極めて残存イオン量の少ない樹脂微粒
子を製造することができる低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン樹脂微粒子を提供
する。
【解決手段】 樹脂と、常温常圧では前記樹脂を溶解しない流体との混合物を加熱及び/
又は加圧して、前記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にする工程1と
、前記流体を降温して解圧する工程2とを有する低イオン樹脂微粒子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

界面活性剤や乳化剤を用いることなく、残存イオン量の極めて少ない樹脂微粒子を製造す
ることができる低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン樹脂微粒子に関する。
樹脂微粒子は、粒子径、粒子径分布、表面特性、組成、構造等を比較的自由に制御でき、
また、近年では異種粒子との複合化技術も進歩していることから、液晶ディスプレイ用ス
ペーサ、回路接続用導電性微粒子の基材粒子等の電子・電気材料;分析装置用カラム充填
材等の分離・分析用材料;体外診断薬用ラテックス等の医療材料;AGコート剤等の光学
材料;各種樹脂改質剤等の広い分野において単独又は複合体として用いられている。
近年では、液晶パネルや電子回路等の小型化、高性能化に伴い、より粒子径の小さな樹脂
微粒子の需要が高まっている。また、絶縁被覆導電性微粒子(例えば、特許文献1)や液
晶パネル用固着スペーサ(例えば、特許文献2)といった、基材粒子の表面に基材より粒
子径の小さな粒子を複合化させ、新たな機能を付与した複合粒子等も用いられるようにな
っている。
このような樹脂微粒子を、液晶や樹脂等の媒体と複合した複合材料として用いる場合、樹
脂微粒子から溶出した物質が、直接又は間接的に媒体を汚染して性能を低下させることが
あるという問題があった。例えば、樹脂微粒子を回路接続部材等に用いた場合、樹脂微粒
子に含まれるイオン成分等が溶出して、電極や回路間でのイオンマイグレーションを起こ
してリークの原因となることがあった。
従来、樹脂微粒子を製造する方法としては、主に乳化重合、分散重合や懸濁重合法が用い
られていた。しかしながら、乳化重合法では、重合性単量体を水中に乳化させるために界
面活性剤等の両親媒性物質を用いる必要があることから、得られる樹脂微粒子は残存イオ
ンや残存界面活性剤量の多いものにならざるを得なかった。一方、分散重合法や懸濁重合
法では、ポリオキシエチレンやポリビニルアルコール等を安定剤として用いることにより
残存イオン量の少ない樹脂微粒子を製造することは可能である。しかし、このような方法
では、得られる樹脂微粒子の粒径に制限があり、近年需要が高まっている1μm未満の樹
脂微粒子を製造することは困難であった。
更に、近年では、乳化剤を用いないソープフリー重合法も提案されているが、重合開始剤
や共重合性分散剤にイオン成分を用いざるを得ないことから、結局は残存イオン量の少な
い樹脂微粒子を得ることはできなかった。
特開2003−26813号公報 特開平9−235527号公報
本発明は、上記現状に鑑み、界面活性剤や乳化剤を用いることなく、残存イオン量の極め
て少ない樹脂微粒子を製造することができる低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン
樹脂微粒子を提供することを目的とする。
本発明は、樹脂と、常温常圧では前記樹脂を溶解しない流体との混合物を加熱及び/又は
加圧して、前記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にする工程1と、前
記流体を降温して解圧する工程2とを有する低イオン樹脂微粒子の製造方法である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂と、常温常圧では該樹脂を溶解しない流体との混合
物を加熱及び/又は加圧して流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にし、
その後降温して解圧することにより、真球度が高く粒子径の揃った樹脂微粒子が流体中に
分散した樹脂微粒子分散液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
超臨界状態又は亜臨界状態にある流体は気体の有する拡散性と液体の有する溶解性とを併
せ持つ。従って、常温常圧では樹脂に対して貧溶媒であっても超臨界状態又は亜臨界状態
にすることにより良溶媒となり、樹脂を溶解、分散することができる。その後、降温、解
圧すれば、再び流体は貧溶媒となることから、溶解していた樹脂が析出する。超臨界状態
又は亜臨界状態にある流体中では樹脂は極めて高い分散状態にあったことから、析出して
くる樹脂は均一であり、また、その表面張力によってほぼ完全な球形になるものと考えら
れる。
このような方法により製造された樹脂微粒子は、従来の懸濁重合法や乳化重合法のように
界面活性剤等の両親媒性物質や非共重合性分散安定剤を用いる必要が全くないことから、
ソープフリーでかつ極めて残存イオン量の少ない樹脂微粒子となる。
なお、本明細書において、超臨界流体とは、臨界圧力(以下、Pcともいう)以上、かつ
臨界温度(以下、Tcともいう)以上の条件の流体を意味する。また、亜臨界流体とは、
超臨界状態以外の状態であって、反応時の圧力、温度をそれぞれP、Tとしたときに、0
.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T
/Tc<1.0の条件の流体を意味する。上記亜臨界流体の好ましい圧力、温度の範囲は
、0.6<P/Pc<1.0かつ0.6<T/Tc、又は、0.6<P/Pcかつ0.6
<T/Tc<1.0である。ただし、流体が水である場合には、亜臨界流体となる温度、
圧力の範囲は、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/P
cかつ0.5<T/Tc<1.0である。なお、ここで温度は摂氏を表すが、Tc又はT
のいずれかが摂氏ではマイナスである場合には、温度に関しては亜臨界状態を満たしてい
るものとして扱い、圧力が0.5<P/Pcの条件を満たすときには亜臨界状態にあるも
のとする。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法では、まず、樹脂と常温常圧では該樹脂が溶解し
ない流体とを混合する。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法を適用できる樹脂としては特に限定されず、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;
脂環式炭化水素樹脂;熱可塑性ポリイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリエステルイ
ミド樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルアセタ
ール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂;ポリエーテルイミド樹脂
;熱可塑性ポリベンゾイミダゾール樹脂等が挙げられる。
また、例えば、エポキシ樹脂、硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、硬化型ポリイミ
ド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹
脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等の硬化性樹脂等も用いることができ
る。
上記樹脂の製造方法としては特に限定されず、従来公知の製造方法により製造されたもの
を用いることができる。また、超臨界溶液中で得られた樹脂を用いてもよく、その場合に
は、上記工程1の前段階として樹脂の重合を行い、本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方
法と連続した一連の工程とすることもできる。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法において樹脂微粒子を製造するにあたっては、上
記樹脂の形状としては比表面積(単位体積あたりの表面積)を大きくした方が好ましい。
比表面積を大きくすることで流体と樹脂との接触を高効率で行うことができ、処理時間を
短縮できる。処理時間を短縮することで、エネルギー効率を高め、かつ、樹脂の分解や劣
化を抑制することができる。比表面積を大きくする方法としては特に限定されないが、例
えば、直径1〜5mm程度の粉体状の樹脂を用いる方法、予め1mm以下のフィルムに成
形された樹脂を用いる方法等が挙げられる。
上記流体としては、常温常圧では上記樹脂を溶解しないものであれば特に限定されないが
、水やアルコール等の有機媒体等の常温常圧で液体であるものであってもよいし、二酸化
炭素、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、空気等の常温常圧で気体であるものであっても
よいし、また、これらの混合流体であってもよい。ただし、常温常圧では液体であるもの
を少なくとも1種含有することが好ましい。上記流体が常温常圧で気体であるもののみか
らなる場合には、流体中に樹脂を溶解させるために極めて高い圧力や温度を要する場合が
ある。
なお、上記流体として混合流体を用いる場合には、混合流体を構成する流体の少なくとも
1成分が超臨界状態又は亜臨界状態になればよい。
上記常温常圧で液体である流体としては水及び/又はアルコールが好ましい。水は使いや
すい媒体であるうえ、安価であるので経済的であり、環境に与える影響の点でも好ましい
。また、メタノール等のアルコールも、同様の理由により好ましい。更に、2級アルコー
ルであるイソプロパノールを用いれば、加水分解性樹脂の加水分解を抑制することができ
る。
また、常温常圧で樹脂を溶解しない限りにおいて、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、イ
ソペンタン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ブテン等の飽和、不飽和、直鎖、分岐、環
状飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、スチレン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶
剤;アセトン、イソブチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルエチルケト
ン等のケトン系有機溶剤;イソ吉草酸、酢酸等のカルボン酸系化合物;ジエチルエーテル
、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;ヘキサメチレンジアミン等のアミン系有機溶
剤;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系有機溶剤;ジ
メチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、
N−メチル−2−ピロリドン等も用いることができる。これらの有機溶媒は、ハロゲン化
等によりその一部又は全部が変性されていても構わない。
上記樹脂と流体とは、上述の条件を満たす範囲で最適な組み合わせを選択する。例えば、
樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合には、液体流体としてはメタノールが好適
であり、樹脂がポリメタクリル酸メチルである場合には、液体流体としては水が好適であ
り、樹脂がポリオレフィン樹脂である場合には、液体流体としては水とアルコールとの混
合流体が好適である。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法では、上記樹脂と流体との混合物を加熱及び/又
は加圧して上記流体を超臨界状態又は亜臨界流体にする。上記流体が混合流体である場合
には、少なくとも一成分が超臨界状態又は亜臨界流体になればよい。例えば、水は約37
4℃以上の温度かつ約22MPa以上の圧力により、メタノールは約240℃以上の温度
かつ約8MPa以上の圧力により超臨界状態になることが知られている。
なお、上記混合物を耐圧容器に密封すれば、加熱することにより容易に超臨界状態又は亜
臨界状態を達成することができる。上記耐熱容器としては特に限定されず、従来公知のも
のを用いることができ、例えば、オートクレーブ等を用いることができる。
超臨界状態又は亜臨界状態は極めて活性の高い環境であり、化学反応が非常に促進される
ことから、長時間樹脂を超臨界状態に置くとエステル化、アセタール化等の反応が起こっ
たり、分解反応が起こったりして、樹脂が劣化することがある。従って、超臨界状態又は
亜臨界状態に置く時間は樹脂が反応しない程度の短い時間内とすることが好ましい。例え
ば、ポリエチレンテレフタレートとメタノールとの組み合わせでは、250℃5分以内と
することが好ましい。
また、超臨界状態又は亜臨界状態において上記樹脂と流体との混合物を攪拌することが好
ましい。攪拌し剪断力を与えることにより上記樹脂が流体中により均一に拡散し、得られ
る樹脂微粒子の粒子径をより均一にするとこができる。
上記攪拌の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、
オートクレーブ用の撹拌モーターを用いる方法や、予め超臨界状態又は亜臨界状態におい
ても安定な硬質球(例えば、鋼鉄製ボール等)を少なくとも1つ耐圧容器中に入れておき
超臨界状態又は亜臨界状態で耐圧容器を振とうさせる方法、超音波を照射する方法等が挙
げられる。
所定の時間超臨界状態又は亜臨界状態を保った後には、上記流体を速やかに降温して解圧
することが好ましい。上述のように超臨界状態又は亜臨界状態中に樹脂を長時間おくと、
樹脂が劣化してしまうことがある。所定の時間が経過した後には密封状態のまま急冷して
常温常圧に戻すことにより、樹脂の劣化を防止することができる。急冷する方法としては
特に限定されず、例えば、上記耐圧容器を空冷又は水冷する方法等が挙げられる。
以上の工程により、樹脂微粒子の分散液が得られる。得られた分散液中の樹脂微粒子は、
ほぼ完全な球状であり、また、粒子径分布も極めて狭いものである。
得られた樹脂微粒子は、分散液から回収して用いることができる。また、得られた樹脂微
粒子を媒体等に分散した複合体として用いる場合には、上記流体中に該媒体を共存させる
、又は、該媒体自体を流体として用いれば、樹脂微粒子を回収後に改めて媒体に分散させ
る必要がないことから好ましい。例えば、流体としてトルエン等を用いる場合に(メタ)
アクリル酸エステル等の重合性単量体を添加しり、又は、(メタ)アクリル酸エステル等
の重合性単量体自体を流体として用いた場合、樹脂微粒子を形成させた後、上記重合性単
量体を重合させれば、樹脂微粒子を、単分散性を失うことなく樹脂中に分散させることが
できる。また、液晶等の汚染に対して極めて敏感な材料に樹脂微粒子を分散させたい場合
においても、流体中に液晶を共存させた状態で樹脂微粒子を形成させた後、流体を取り除
くことで、液晶中に樹脂微粒子を極めて均一に分散させることができる。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法では、樹脂と常温常圧では該樹脂を溶解しない流
体との混合物を加熱及び/又は加圧して流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界
状態にし、その後降温して解圧することにより、ほぼ完全に球状で、かつ、粒子径分布の
狭い樹脂微粒子の分散液を得ることができる。また、本発明では密封した耐圧容器を用い
ることにより、一連の工程を温度のみをコントロールすることで行うことができる。更に
、製造条件を整えれば、樹脂の熱分解等の副反応がほとんど起こることはないことから、
高分子量の樹脂を原料として用いれば、ほぼそのままの高分子量の樹脂微粒子を得ること
ができる。また、原料樹脂の分子量にバラツキがある場合であっても、超臨界状態又は亜
臨界状態にするまでの過程で流体に溶解した比較的低分子量の樹脂を除く操作を行えば、
高分子量でかつ分子量分布の狭い樹脂微粒子を得ることもできる。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法によれば、界面活性剤や乳化剤を用いることなく
、極めて残存イオン量の少ない樹脂微粒子を製造することができる。
本発明の低イオン樹脂微粒子の製造方法により製造してなる低イオン樹脂微粒子であって
、低イオン樹脂微粒子1gと10mLの超純水とを石英管に封入し、120℃、24時間
抽出したときに、超純水中に抽出されるイオンの濃度が10ppm以下である低イオン樹
脂微粒子もまた、本発明の1つである。
超純水中に抽出されるイオンの濃度が10ppmを超えると、樹脂微粒子を単体又は複合
体として液晶中で用いたり、回路接続用部材として用いたりする場合、樹脂微粒子から放
出されるイオンによって液晶の汚染や電極でのマイグレーション等を引き起こすといった
問題が生じる。
なお、ここで放出されるイオンには、一般的なNa、K等のアルカリ金属イオン又は
アルカリ土類金属イオン、Cl等のハロゲンイオン、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アン
モニウム塩、スルホニウム塩等の有機物イオンが含まれる。
本発明の低イオン樹脂微粒子を導電性微粒子の絶縁被覆用や液晶スペーサの固着性付与剤
等、他の粒子と複合化して用いる場合には、粒子径が1μm以下であることが好ましい。
1μmを超えると、基材となる粒子の粒子径が必要以上に大きくなりすぎたり、導電接続
が困難になったりすることがある。
本発明の低イオン樹脂微粒子は、粒子径のCV値が15%以下であることが好ましい。1
5%を超えると粒子径が不均一となり、これをコア粒子や被覆する絶縁粒子として用いた
複合粒子の粒子径が均一性に欠け、液晶スペーサとして用いた場合にはギャップのバラツ
キ、導電接続に用いた場合には接続不良の原因となることがある。より好ましくは10%
以下である。なお、上記CV値は、下記式により求められる。
CV値(%)=(σ/D)×100
式中、σは粒子径の標準偏差を表し、Dは平均粒子径を表す。
本発明の低イオン樹脂微粒子は、残存イオン量が極めて少ないことから、電子機器や電子
部品に用いる導電性微粒子のコア粒子やその被覆粒子等として用い、異方性接着剤等に混
合した場合に、イオンマイグレーションに起因する不具合を引き起こすことがない。また
、イオンの放出量が少なく液晶を汚染しないことから、液晶表示素子のスペーサやその被
覆粒子、また、液晶の改質剤等の添加剤としても好適に用いることができる。更に、分散
剤や界面活性剤を含んでいないことから、車両用合わせガラス中間膜や各種樹脂の添加剤
等にも好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
内容積10mLの耐圧容器にメタノール4gと直径約3mmのペレット状のポリエチレン
テレフタレート0.2gを入れ密封した。なお、耐熱容器中には予めSUS製のボールを
1個入れておいた。耐圧容器を振動させて、メタノールとポリエチレンテレフタレートと
を混合した後、オイルバス中で250℃になるまで加熱し、メタノールを超臨界状態にし
た。この状態で耐圧容器を振動させ、5分後に急冷して常温常圧に戻した。
これにより、メタノール中にポリエチレンテレフタレートの微粒子(樹脂微粒子1)が懸
濁した樹脂微粒子懸濁液が得られた。
得られた樹脂微粒子懸濁液中の樹脂微粒子1を観察したところ、ほぼ完全に球形であった
。また、樹脂微粒子1について動的光散乱粒度分布計(大塚電子社製、DLS8000)
を用いて粒子径分布を調べたところ、平均粒子径は4.7μm、CV値は14%であった
(実施例2)
内容積10mLの耐圧容器に水4gと直径約3mmのペレット状のポリメタクリル酸メチ
ル0.2gを入れ密封した。なお、耐厚容器中には予めSUS製のボールを1個入れてお
いた。耐圧容器を振動させて、水とポリメタクリル酸メチルとを混合した後、サンドバス
中で400℃になるまで加熱し、水を超臨界状態にした。5分後に急冷して常温常圧に戻
した。
これにより、水中にポリメタクリル酸メチルの微粒子(樹脂微粒子2)が懸濁した樹脂微
粒子懸濁液が得られた。
得られた樹脂微粒子懸濁液中の樹脂微粒子2を観察したところ、ほぼ完全に球形であった
。また、樹脂微粒子2について動的光散乱粒度分布計(大塚電子社製、DLS8000)
を用いて粒子径分布を調べたところ、平均粒子径は229nm、CV値は5%であった。
(比較例1)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた50
0mL容のセパラブルフラスコに、スチレン500mmol、p−スチレンスルホン酸ナ
トリウム1mmol、過硫酸カリウム0.3mmol、及び、蒸留水500mLを秤量し
た後、200rpmで攪拌し窒素雰囲気下で70℃で12時間重合を行った後、遠心分離
操作による未反応モノマー、開始剤等の除去、洗浄を2回行い、表面にスルホン酸ナトリ
ウム基を有する樹脂微粒子3を得た。
樹脂微粒子3について動的光散乱粒度分布計(大塚電子社製、DLS8000)を用いて
粒子径分布を調べたところ、平均粒子径は0.19μm、CV値は7.5%であった。
(比較例2)
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた10
00mL容セパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmol、ジメタクリル酸
エチレングリコール3mmol、アゾビスアミジノプロパン2塩酸塩2mmol、及び、
蒸留水500mLを秤量した後、200rpmで攪拌し窒素雰囲気下で70℃で8時間重
合を行った後、遠心分離操作による未反応モノマー、開始剤等の除去、洗浄を2回行い、
表面にアミジノ塩酸塩基を有する樹脂微粒子4を得た。
樹脂微粒子4について動的光散乱粒度分布計(大塚電子社製、DLS8000)を用いて
粒子径分布を調べたところ、平均粒子径は0.29μm、CV値は11.5%であった。
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2で作製した樹脂微粒子1gと10mLの超純水とを石英ガ
ラス管に封入し、120℃、24時間加熱を行った。加熱後の水中のイオン濃度を、Na
についてはフレームレス原子吸光光度法により、Cl、SO 2−についてはイオン
クロマト法によりそれぞれ測定した。
結果を表1に示した。
Figure 2005082696
本発明によれば、界面活性剤や乳化剤を用いることなく、残存イオン量の極めて少ない樹
脂微粒子を製造することができる低イオン樹脂微粒子の製造方法及び低イオン樹脂微粒子
を提供できる。

Claims (7)

  1. 樹脂と、常温常圧では前記樹脂を溶解しない流体との混合物を加熱及び/又は加圧して、
    前記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態にする工程1と、前記流体を降
    温して解圧する工程2とを有することを特徴とする低イオン樹脂微粒子の製造方法。
  2. 樹脂と、常温常圧では前記樹脂を溶解しない流体との混合物を耐圧容器に密封し、前記耐
    圧容器を加熱することにより前記流体の少なくとも一成分を超臨界状態又は亜臨界状態に
    する工程1と、前記耐圧容器を急冷して解圧する工程2とを有することを特徴とする低イ
    オン樹脂微粒子の製造方法。
  3. 流体は、常温常圧では液体であるものを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の
    低イオン樹脂微粒子の製造方法。
  4. 流体は、水及び/又はアルコールを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の低イ
    オン樹脂微粒子の製造方法。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の低イオン樹脂微粒子の製造方法により製造してなる低イオ
    ン樹脂微粒子であって、
    低イオン樹脂微粒子1gと10mLの超純水とを石英管に封入し、120℃、24時間抽
    出したときに、超純水中に抽出されるイオンの濃度が10ppm以下である
    ことを特徴とする低イオン樹脂微粒子。
  6. 粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項5記載の低イオン樹脂微粒子。
  7. 粒子径のCV値が15%以下であることを特徴とする請求項5又は6記載の低イオン樹脂
    微粒子。
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