JP2005081927A - 動力出力装置およびこれを搭載する自動車 - Google Patents

動力出力装置およびこれを搭載する自動車 Download PDF

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Abstract

【課題】 内燃機関からの動力を用いて逆回転する駆動軸に動力を出力すると共に低回転または回転停止している駆動軸に大きなトルクを作用させ、エネルギ効率の向上を図る。
【解決手段】 動力分配統合機構30の第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31にモータMG1を、第1プラネタリギヤP1のリングギヤ32と第2プラネタリギヤP2のリングギヤ37にモータMG2を、第1プラネタリギヤP1のキャリア34に駆動輪69a,69bに連結された駆動軸65を、第2プラネタリギヤP2のサンギヤ36にエンジン22のクランクシャフト26を、第2プラネタリギヤP2のキャリア39にブレーキB1をそれぞれ接続し、モータMG1の回転軸とエンジン22のクランクシャフト26とをクラッチC1により接続する。クラッチC1とブレーキB1を切り替えることにより、エンジン22からの動力により後進させたり、低速時に大きなトルクを作用させるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびこれを搭載すると共に駆動軸に車軸が機械的に連結されてなる自動車に関する。
従来、この種の動力出力装置としては、自動車に搭載された装置であって、プラネタリギヤのサンギヤに第1モータ、リングギヤに第2モータ、キャリアに駆動輪に連結された駆動軸をそれぞれ接続し、第2モータの回転軸にワンウェイクラッチを介してエンジンの出力軸を接続するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ワンウェイクラッチがフリーになることにより、エンジンの運転を停止した状態で第1モータからの動力と第2モータからの動力とを駆動軸に出力することができる。
特開平7−135701号公報(図33、第8頁)
しかしながら、こうした動力出力装置では、駆動軸を逆回転させて自動車を後進させるときには、第1モータからの動力と第2モータからの動力とによって行なう必要があり、エンジンからの動力を用いることができない。また、エンジンや第1モータや第2モータから出力するトルクはプラネタリギヤの各回転要素の回転数のバランスをとる必要から、低回転または回転停止している駆動軸に出力できるトルクは、単純にエンジンから出力可能なトルクと第1モータから出力可能なトルクと第2モータから出力可能なトルクとの和とすることができず、その和より小さなものとなってしまう。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、内燃機関からの動力を用いて逆回転する駆動軸に動力を出力することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、低回転または回転停止している駆動軸に大きなトルクを作用させることを目的の一つとする。更に、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、エネルギ効率の向上を目的の一つとする。
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
内燃機関と、
発電可能な第1の電動機と、
発電可能な第2の電動機と、
前記駆動軸に連結された第1軸と前記第1の電動機の回転軸に連結された第2軸と前記第2の電動機の回転軸に連結された第3軸と前記内燃機関の出力軸に接続された第4軸と第5軸とを含む複数軸を有し、前記複数軸に入出力される動力の収支をもって前記駆動軸に動力を出力可能な多軸式動力入出力手段と、
前記第2軸と前記第4軸との連結および該連結の解除を行なう連結解除手段と、
前記第5軸の回転の停止および該停止の解除を行なう停止解除手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置では、駆動軸に連結された第1軸と第1の電動機の回転軸に連結された第2軸と第2の電動機の回転軸に連結された第3軸と内燃機関の出力軸に接続された第4軸と第5軸とを含む複数軸を有し複数軸に入出力される動力の収支をもって駆動軸に動力を出力可能な多軸式動力入出力手段の第2軸と第4軸とを連結解除手段により連結したりその連結を解除すると共に停止解除手段により第5軸の回転を停止させたりその回転停止を解除する。即ち、内燃機関の出力軸と第1の電動機の回転軸とを接続したりその接続を解除するから、内燃機関からの動力を軸を変えて出力することができる。また、第5軸の回転を停止させたりその回転停止を解除することにより、駆動軸への動力の出力形態を変えることができる。このように多軸式動力入出力手段における接続関係を多様に変更することができるから、内燃機関からの動力を用いて逆回転する駆動軸に動力を出力したり、低回転または回転停止している駆動軸に内燃機関からの動力や第1の電動機あるいは第2の電動機からの動力を作用させたりすることもできる。また、この多様な接続関係を必要に応じて変更することにより、装置全体のエネルギ効率の向上を図ることもできる。
こうした本発明の動力出力装置において、前記多軸式動力入出力手段は、前記第1軸と前記第2軸と前記第3軸の3軸のうちのいずれか2軸の回転数に基づいて残余の軸を回転させると共に前記第3軸と前記第4軸と前記第5軸の3軸のうちのいずれか2軸の回転数に基づいて残余の軸を回転させる手段であるものとすることもできる。また、前記多軸式動力入出力手段は、前記第1軸と前記第2軸と前記第3軸の3軸うちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する第1の3軸式動力入出力手段と、前記第4軸と前記第5軸と前記第3軸に接続された第6軸の3軸うちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する第2の3軸式動力入出力手段と、を備える手段であるものとすることもできる。
また、本発明の動力出力装置において、前記駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記連結解除手段による前記第2軸と前記第4軸との連結および該連結の解除の切り替えと前記停止解除手段による前記第5軸の回転の停止および該停止の解除の切り替えとを行なう切替制御手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、駆動軸に要求される要求動力に応じて、内燃機関の出力軸と第1の電動機の回転軸とを接続したりその接続を解除すると共に第5軸の回転を停止させたりその回転停止を解除することができる。
この切替制御手段を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記切替制御手段は、通常時として前記第2軸と前記第4軸とが連結されると共に前記第5軸の回転停止が解除されるよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記切替制御手段は、前記要求動力が所定の低回転高トルク範囲の動力であると共に第1の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸とが連結されると共に前記第5軸が回転停止するよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段であるものとしたり、前記切替制御手段は、前記要求動力が前記駆動軸を逆回転させる動力であると共に第2の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸との連結が解除されると共に前記第5軸が回転停止するよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段であるものとしたり、前記切替制御手段は、前記要求動力が所定の動力範囲内であると共に第3の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸との連結が解除されると共に前記第5軸の回転停止が解除されるよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段であるものとすることもできる。これらのように切り替えることにより、駆動軸に要求される要求動力に見合う動力を効率よく出力することができる。なお、第1の所定の出力条件や第2の所定の出力条件,第3の所定の出力条件は、例えば、装置が備える蓄電装置の残容量に基づいて設定するなど、要求動力以外の要素に基づいて設定されるものなどが考えられる。
本発明の動力出力装置において、操作者の操作に基づいて前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、該設定された要求動力に基づいて前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定する目標動力設定手段と、該設定された目標動力が前記内燃機関から出力されると共に前記要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを駆動制御する駆動制御手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、操作者に操作に基づく動力を内燃機関から出力して駆動軸に出力することができる。
この駆動制御手段を備える態様の本発明の動力出力装置において、前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、該蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電すべき要求電力を設定する要求電力設定手段と、を備え、前記目標動力設定手段は、前記設定された要求動力と前記設定された要求電力とに基づいて前記目標動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、蓄電手段を効率よく用いることにより装置のエネルギ効率を更に向上させることができる。
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、発電可能な第1の電動機と、発電可能な第2の電動機と、前記駆動軸に連結された第1軸と前記第1の電動機の回転軸に連結された第2軸と前記第2の電動機の回転軸に連結された第3軸と前記内燃機関の出力軸に接続された第4軸と第5軸とを含む複数軸を有し前記複数軸に入出力される動力の収支をもって前記駆動軸に動力を出力可能な多軸式動力入出力手段と、前記第2軸と前記第4軸との連結および該連結の解除を行なう連結解除手段と、前記第5軸の回転の停止および該停止の解除を行なう停止解除手段と、を備える動力出力装置を搭載し、前記駆動軸に車軸が機械的に連結されてなることを要旨とする。
この本発明の自動車では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、内燃機関の出力軸と第1の電動機の回転軸とを接続したりその接続を解除することに基づく内燃機関からの動力を軸を変えて出力することができる効果や第5軸の回転を停止させたりその回転停止を解除することに基づく駆動軸への動力の出力形態を変えることができる効果、多軸式動力入出力手段における接続関係を多様に変更することができることに基づく内燃機関からの動力を用いて逆回転する駆動軸に動力を出力したり低回転または回転停止している駆動軸に内燃機関からの動力や第1の電動機あるいは第2の電動機からの動力を作用させたりすることができる効果、多様な接続関係を必要に応じて変更することに基づくエネルギ効率の向上を図ることができる効果などと同様な効果を奏することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26にダンパ28を介して接続されると共に駆動輪69a,69bにデファレンシャルギヤ68とギヤ機構66とを介して接続された動力分配統合機構30と、この動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、同じく動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、2つのプラネタリギヤP1,P2とクラッチC1とブレーキB1とにより構成されている。第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31にはモータMG1の回転軸が、リングギヤ32にはモータMG2の回転軸が、ピニオンギヤ33を連結するキャリア34にはギヤ機構66がそれぞれ接続されている。第1プラネタリギヤP1のキャリア34は、上述したようにギヤ機構66に接続され、最終的には駆動輪69a,69bに接続されているから、その回転軸を説明の都合上、「駆動軸」65と呼ぶことにする。第2プラネタリギヤP2のサンギヤ36にはエンジン22のクランクシャフト26が接続されていると共にクラッチC1を介して第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31に接続されている。したがって、クラッチC1をオンとすることによりエンジン22のクランクシャフト26を第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31、即ちモータMG1の回転軸に接続することができる。第2プラネタリギヤP2のリングギヤ37には、モータMG2の回転軸が接続されている。また、第2プラネタリギヤP2のピニオンギヤ38を連結するキャリア39は、ブレーキB1を介してケースに接続されている。
こうして構成された動力分配統合機構30は、クラッチC1とブレーキB1とを共にオフとすることにより、エンジン22を切り離すことができる。クラッチC1とブレーキB1とを共にオフとした状態で駆動軸65に動力を出力している際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図2に示す。図中、左のR1,R2軸はモータMG2の回転数Nm2である第1プラネタリギヤP1のリングギヤ32の回転数および第2プラネタリギヤP2のリングギヤ37の回転数を示し、C1軸は駆動軸65の回転数Ndである第1プラネタリギヤP1のキャリア34の回転数を示し、S1軸はモータMG1の回転数Nm1である第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31の回転数を示す。C2軸は第2プラネタリギヤP2のキャリア39の回転数を示し、S2軸はエンジン22のクランクシャフト26の回転数Ne(以下、エンジン22の回転数Neという)である第2プラネタリギヤP2のサンギヤ36の回転数を示す。前述したように、クラッチC1をオンとすることにより第2プラネタリギヤP2のサンギヤ31(エンジン22のクランクシャフト26)を第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31(モータMG1の回転軸)に接続することができるから、図2の共線図では、S1軸とS2軸とが重なるように示した。図中、R1,R2軸上の矢印はモータMG2から出力しているトルクTm2を示し、C1軸上の矢印は駆動軸65に作用しているトルクTdを示し、 S1軸上の矢印はモータMG1から出力しているトルクTm1を示す。ここで、駆動軸65に作用しているトルクTdは実際には回転方向に作用するが、釣り合いを考える際の容易のために下向きに作用させて示した。また、S2軸上の黒丸はエンジン22の回転数Neが値0であること、即ちエンジン22が停止しているのを示している。したがって、3つの矢印が作用している斜線が第1プラネタリギヤP1の共線であり、エンジン22の回転数NeとモータMG1のトルクTm2が作用している斜線が第2プラネタリギヤP2の共線である。この共線図では、各回転要素(各軸)に作用するトルクを共線を梁に見立てたときにこの梁に作用する力と同一視することができるものである。したがって、各軸に作用するトルク或いは作用させるべきトルクを、同様の力が作用している梁の釣り合いを解くことにより計算することができる。なお、図中、ρ1は第1プラネタリギヤP1のギヤ比(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)であり、ρ2は第2プラネタリギヤP2のギヤ比(サンギヤ36の歯数/リングギヤ37の歯数)である。このように、エンジン22の運転を停止した状態でモータMG1とモータMG2とからの動力により駆動軸65に動力を出力して走行することができる。
また、動力分配統合機構30は、クラッチC1をオンとすると共にブレーキB1をオフとすることにより、第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31,リングギヤ32,キャリア34の3個の回転要素にモータMG1およびエンジン22,モータMG2,駆動軸65を接続したいわゆる3要素タイプの動力分配統合機構として機能させることができる。この状態の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図3に示す。クラッチC1によりエンジン22のクランクシャフト26は第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31に接続されているから、二つの共線は一致し、S1,S2軸にモータMG1のトルクTm1とエンジン22のトルクTeとを作用させることができる。
さらに、動力分配統合機構30は、クラッチC1をオフとすると共にブレーキB1をオンとすることにより、エンジン22からの動力を回転方向を変転させて駆動軸65に作用させることができる。エンジン22からの動力により後進している際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図4に示す。図中、破線矢印はエンジン22からトルクTeを出力することに基づいてモータMG2の回転軸(R1,R2軸)に作用するトルクを示す。このように、ブレーキB1をオンとしてエンジン22から動力を出力すると、その動力はモータMG2の回転軸(R1,R2軸)を逆回転方向に回転させる動力として作用する。このとき、モータMG1からも逆回転方向にトルクを作用させれば、駆動軸65には逆回転方向のトルクが作用するから、駆動軸65は逆回転する。即ち、エンジン22からの動力によりハイブリッド自動車20を後進走行させることができるのである。
加えて、動力分配統合機構30は、クラッチC1とブレーキB1とを共にオンとすることにより、低回転数で駆動している又は停止している駆動軸65に高トルクの動力を作用させることができる。この状態の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図5に示す。駆動軸65が回転していないときには、エンジン22を運転することはできないが、モータMG1とモータMG2とからの動力を減速して駆動軸65に出力することができる。駆動軸65が回転し始めてエンジン22を運転できるようになると、モータMG1とモータMG2とからの動力にエンジン22からの動力を加えて減速して駆動軸65に出力することができる。ここで、エンジン22のトルクTeとモータMG1のトルクTm1に対しては、エンジン22やモータMG1の回転数Ne,Nm1と駆動軸65の回転数Ndの比を共線図(図5)の下段に示すようにα1:α2とすると、エンジン22のトルクTeとモータMG1のトルクTm1との和に減速比α(α=α1/α2)を乗じた値のトルクとして駆動軸65に作用させることができる。モータMG2のトルクTm2に対しては、モータMG2の回転数Nm2と駆動軸65の回転数Ndの比を共線図(図5)の下段に示すようにβ1:β2とすると、モータMG2のトルクTm2に減速比β(β=β1/β2)を乗じた値のトルクとして駆動軸65に作用させることができる。なお、上述したクラッチC1やブレーキB1のオンオフ制御は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により行なわれる。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ51,52を介してバッテリ60と電力のやりとりを行なう。インバータ51,52とバッテリ60とを接続する電力ライン64は、各インバータ51,52が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ60は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ60は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)50により駆動制御されている。モータECU50には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ53,54からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU50からは、インバータ51,52へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU50は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ60は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)62によって管理されている。バッテリECU62には、バッテリ60を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ60の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ60の出力端子に接続された電力ライン64に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ60に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ60の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU62では、バッテリ60を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づく残容量(SOC)やこの残容量(SOC)と電池温度とに基づく入出力制限Win,Woutなども演算または設定している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、クラッチC1への駆動信号やブレーキB1への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。更に、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU50,バッテリECU62と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU50,バッテリECU62と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸65に出力すべき駆動要求トルクTd*を計算し、この駆動要求トルクTd*に対応する要求動力が駆動軸65に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸65に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ60の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ60の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸65に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2から要求動力に見合う動力を駆動軸65に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードはバッテリ60の充放電を行なうか否かの差があるだけで実質的な制御における差違はない。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について前進時の動作と後進時の動作とに分けて説明する。図6は、運転者がシフトレバー81をドライブ(Dレンジ)に操作したときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ60を充放電するための要求充放電パワーPb*など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、図示しないクランクポジションセンサにより検出されたクランクシャフト26の回転位置に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ53,54により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU50から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ60を充放電するための要求充放電パワーPb*は、残容量(SOC)に基づいて設定されたものをバッテリECU62から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動軸65に出力すべき駆動要求トルクTd*と車両に要求される車両要求パワーP*とを設定する(ステップS110)。駆動要求トルクTd*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと駆動要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図7に要求トルク設定用マップの一例を示す。車両要求パワーP*は、設定した駆動要求トルクTd*に駆動軸65の回転数Ndを乗じたものとバッテリ60が要求する要求充放電パワーPb*とロスLossとの和として計算することができる。なお、駆動軸65の回転数Ndは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めることができる。
駆動要求トルクTd*と車両要求パワーP*とを設定すると、設定した車両要求パワーP*に基づいてエンジン22から出力すべきエンジン要求パワーPe*を設定する(ステップS120)。エンジン要求パワーPe*の設定は、エンジン22の応答性がモータMG1,MG2などに比して遅いことから、いままでにこのルーチンが実行されて設定されたエンジン要求パワーPe*と今回設定された車両要求パワーP*とを用いて車両要求パワーP*がいずれエンジン要求パワーPe*として設定されるようなまし処理やレート処理を用いてエンジン要求パワーPe*を設定する。続いて、設定したエンジン要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインとエンジン要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図8に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインとエンジン要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
次に、車速Vを閾値Vrefと比較すると共に駆動要求トルクTd*を閾値Trefと比較する(ステップS140,S150)。ここで、閾値Vrefや閾値Trefは、クラッチC1やブレーキB2のオンオフの切り替えを行なうために設定されるものである。車速Vが閾値Vref未満で駆動要求トルクTd*が閾値Tref未満のとき、即ち停車しているか比較的低速で走行しているときに比較的低トルクが要求されたときには、図2の共線図の状態としてエンジン22を停止して走行するようクラッチC1とブレーキB1とを共にオフとし(ステップS160)、エンジン22の運転を停止するためにエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに値0を設定すると共に(ステップS170)、駆動要求トルクTd*と第1プラネタリギヤP1のギヤ比ρ1とを用いた第1プラネタリギヤP1の共線における釣り合いの関係式から得られる次式(1)および式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*とを求めて設定し(ステップS180)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU50は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ51,52のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とには値0が設定されているから、エンジンECU24は、エンジン22が運転されているときには燃料噴射制御や点火制御などの制御を停止してエンジン22の運転を停止し、エンジン22が停止しているときにその状態(停止状態)を保持する。
車速Vが閾値Vref未満で駆動要求トルクTd*が閾値Tref以上のとき、即ち停車しているか比較的低速で走行しているときに比較的高トルクが要求されたときには、図5の共線図の状態としてモータMG1とモータMG2からの動力に加えてエンジン22からの動力も用いて走行するようクラッチC1とブレーキB2とを共にオンとし(ステップS190)、車速Vと第1プラネタリギヤP1のギヤ比ρ1と第2プラネタリギヤP2のギヤ比ρ2とを用いてエンジン22の回転数Neを計算してこれを目標回転数Ne*とし(ステップS200)、目標回転数Ne*と前述したエンジン22の動作ライン(図8参照)とにより対応する目標トルクTe*を設定する(ステップS210)。そして、次式(3)の関係式を保持するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。
車速Vが閾値Vref以上のときには、図3の共線図に示すように動力分配統合機構30が3要素タイプの動力分配統合機構として機能するようクラッチC1をオンとすると共にブレーキB1をオフとし(ステップS230)、モータMG1のトルク指令Tm1*を次式(4)により計算して設定すると共に(ステップS240)、モータMG2のトルク指令Tm2*を式(5)により計算して設定し(ステップS250)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、式(4)は、モータMG1を目標回転数Nm1*であるエンジン22の目標回転数Ne*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(4)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。式(5)は、図3の共線図における釣り合いから容易に導くことができる。
次に、後進時の動作について説明する。図9は、運転者がシフトレバー81をリバース(Rレンジ)に操作したときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される後進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。
後進時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、図6に例示した駆動制御ルーチンのステップS100〜S130の処理と同様の処理であるステップS300〜S330の処理を実行する。即ち、制御に必要なデータを入力し(ステップS300)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動要求トルクTd*と車両要求パワーP*とを設定し(ステップS310)、設定した車両要求パワーP*に基づいてエンジン要求パワーPe*を設定し(ステップS320)、このエンジン要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS330)。ここで、これらの処理では、車速Vについて後進方向を正として扱うことにより、前進方向に対する処理を後進方向に対する処理として適用させることができる。したがって、以下、駆動要求トルクTd*も後進方向を正として扱うと共にこれに伴ってモータMG1やモータMG2のトルクも逆回転方向を正として扱う。
続いて、駆動要求トルクTd*を閾値Trefと比較する(ステップS340)。ここで、閾値Trefは、クラッチC1やブレーキB2のオンオフの切り替えを行なうために設定されるものである。駆動要求トルクTd*が閾値Tref未満のとき、即ち比較的低トルクが要求されたときには、図2の共線図と同様の状態としてエンジン22を停止して走行するようクラッチC1とブレーキB1とを共にオフとし(ステップS350)、エンジン22の運転を停止するためにエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに値0を設定すると共に(ステップS360)、駆動要求トルクTd*と第1プラネタリギヤP1のギヤ比ρ1とを用いた第1プラネタリギヤP1の共線における釣り合いの関係式から得られる上述した式(1)および式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*と求めて設定し(ステップS370)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS410)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU50は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ51,52のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。なお、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とには値0が設定されているから、エンジンECU24は、エンジン22が運転されているときには燃料噴射制御や点火制御などの制御を停止してエンジン22の運転を停止し、エンジン22が停止しているときにその状態(停止状態)を保持する。
駆動要求トルクTd*が閾値Tref以上のとき、即ち比較的高トルクが要求されたときには、図4の共線図の状態としてモータMG1とモータMG2からの動力に加えてエンジン22からの動力も用いて後進走行するようクラッチC1をオフとすると共にブレーキB1をオンとし(ステップS380)、モータMG2のトルク指令Tm2*を次式(6)により計算して設定すると共に(ステップS390)、モータMG1のトルク指令Tm1*を式(7)により計算して設定し(ステップS400)、設定したエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信して(ステップS410)、駆動制御ルーチンを終了する。ここで、式(6)は、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させるためにモータMG2に作用させるトルクを求めるフィードバック制御における関係式であり、式(6)中、右辺第2項の「k3」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k4」は積分項のゲインである。式(7)は、図4の共線図における釣り合いから容易に導くことができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、前進走行時には、クラッチC1とブレーキB1とを共にオフとすることによりエンジン22の運転を停止した状態でモータMG1とモータMG2とからの動力を駆動軸65に出力して走行することができる。また、クラッチC1をオンとすると共にブレーキB1をオフとすることにより動力分配統合機構30をいわゆる3要素タイプの動力分配統合機構として機能させてエンジン22からの動力をバッテリ60への充放電なしに或いは充放電を伴ってトルク変換して駆動軸65に出力して走行することができる。更に、クラッチC1とブレーキB1とを共にオンとすることにより、駆動軸65が回転していないときにはモータMG1とモータMG2とからの動力を減速して駆動軸65に出力して走行し、駆動軸65が回転しているときにはモータMG1とモータMG2とからの動力にエンジン22からの動力を加えて減速して駆動軸65に出力して走行することができる。このように、クラッチC1とブレーキB1を切り替えて動力を出力することができるから、車両の状態と運転者からの要求に応じて適当にクラッチC1とブレーキB1とを切り替えることにより、これらの切り替えを行なうことができないものに比して、車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
実施例のハイブリッド自動車20によれば、後進走行時には、クラッチC1とブレーキB1とを共にオフとすることによりエンジン22の運転を停止した状態でモータMG1とモータMG2とからの動力を駆動軸65に出力して後進走行することができる。また、クラッチC1をオフとすると共にブレーキB1をオンとすることにより、エンジン22からの動力によりハイブリッド自動車20を後進走行させることができる。このように、クラッチC1とブレーキB1を切り替えて動力を出力して後進することができるから、車両の状態と運転者からの要求に応じて適当にクラッチC1とブレーキB1とを切り替えることにより、これらの切り替えを行なうことができないものに比して、車両全体のエネルギ効率を向上させることができる。
もとより、実施例のハイブリッド自動車20によれば、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に応じて設定される駆動要求トルクTd*を駆動軸65に出力して前進方向にも後進方向にも走行することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31にモータMG1を接続し、第1プラネタリギヤP1のリングギヤ32と第2プラネタリギヤP2のリングギヤ37にモータMG2を接続し、第1プラネタリギヤP1のキャリア34に駆動軸65を接続し、第2プラネタリギヤP2のサンギヤ36にエンジン22のクランクシャフト26を接続し、第2プラネタリギヤP2のキャリア39にブレーキB1を接続したが、接続関係はこれに限定されるものではなく、例えば、第1プラネタリギヤP1のサンギヤ31の接続関係とリングギヤ32の接続関係とを入れ替えるものとしたり、第2プラネタリギヤP2のサンギヤ36の接続関係とリングギヤ37の接続関係とを入れ替えるものとするなど種々の接続としてもよい。
上述した各実施例やその変形例では、エンジン22とモータMG1とモータMG2と動力分配統合機構30,130,230とを備え駆動軸65,165,265に動力を出力する動力出力装置を自動車に搭載するものとしたが、こうした動力出力装置を自動車以外の列車などの車両や船舶,航空機などの移動体に搭載するものとしてもよいし、建設機器などの移動しない設備の動力源として用いるものとしてもよい。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータ走行している際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 3要素タイプとして機能させた際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 エンジン22からの動力により後進している際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 低回転数で駆動している駆動軸65に高トルクの動力を作用させる際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子を示す説明図である。 ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される後進時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
符号の説明
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31,36 サンギヤ、32,37 リングギヤ、33,38 ピニオンギヤ、34,39 キャリア、50 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、51,52 インバータ、53,54 回転位置検出センサ、60 バッテリ、62 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、64 電力ライン、65 駆動軸、66 ギヤ機構、68 デファレンシャルギヤ、69a,69b 駆動輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、P1,P2 プラネタリギヤ、MG1,MG2 モータ、C1 クラッチ、B1 ブレーキ。

Claims (11)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    内燃機関と、
    発電可能な第1の電動機と、
    発電可能な第2の電動機と、
    前記駆動軸に連結された第1軸と前記第1の電動機の回転軸に連結された第2軸と前記第2の電動機の回転軸に連結された第3軸と前記内燃機関の出力軸に接続された第4軸と第5軸とを含む複数軸を有し、前記複数軸に入出力される動力の収支をもって前記駆動軸に動力を出力可能な多軸式動力入出力手段と、
    前記第2軸と前記第4軸との連結および該連結の解除を行なう連結解除手段と、
    前記第5軸の回転の停止および該停止の解除を行なう停止解除手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記多軸式動力入出力手段は、前記第1軸と前記第2軸と前記第3軸の3軸のうちのいずれか2軸の回転数に基づいて残余の軸を回転させると共に前記第3軸と前記第4軸と前記第5軸の3軸のうちのいずれか2軸の回転数に基づいて残余の軸を回転させる手段である請求項1記載の動力出力装置。
  3. 前記多軸式動力入出力手段は、前記第1軸と前記第2軸と前記第3軸の3軸うちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する第1の3軸式動力入出力手段と、前記第4軸と前記第5軸と前記第3軸に接続された第6軸の3軸うちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する第2の3軸式動力入出力手段と、を備える手段である請求項1または2記載の動力出力装置。
  4. 前記駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記連結解除手段による前記第2軸と前記第4軸との連結および該連結の解除の切り替えと前記停止解除手段による前記第5軸の回転の停止および該停止の解除の切り替えとを行なう切替制御手段を備える請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
  5. 前記切替制御手段は、通常時として前記第2軸と前記第4軸とが連結されると共に前記第5軸の回転停止が解除されるよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段である請求項4記載の動力出力装置。
  6. 前記切替制御手段は、前記要求動力が所定の低回転高トルク範囲の動力であると共に第1の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸とが連結されると共に前記第5軸が回転停止するよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段である請求項5記載の動力出力装置。
  7. 前記切替制御手段は、前記要求動力が前記駆動軸を逆回転させる動力であると共に第2の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸との連結が解除されると共に前記第5軸が回転停止するよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段である請求項5または6記載の動力出力装置。
  8. 前記切替制御手段は、前記要求動力が所定の動力範囲内であると共に第3の所定の出力条件が成立したときには前記第2軸と前記第4軸との連結が解除されると共に前記第5軸の回転停止が解除されるよう前記連結解除手段と前記停止解除手段とを駆動制御する手段である請求項5ないし7いずれか記載の動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置であって、
    操作者の操作に基づいて前記駆動軸に出力すべき要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    該設定された要求動力に基づいて前記内燃機関から出力すべき目標動力を設定する目標動力設定手段と、
    該設定された目標動力が前記内燃機関から出力されると共に前記要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記第1の電動機と前記第2の電動機とを駆動制御する駆動制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  10. 請求項9記載の動力出力装置であって、
    前記第1の電動機および前記第2の電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
    該蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電すべき要求電力を設定する要求電力設定手段と、
    を備え、
    前記目標動力設定手段は、前記設定された要求動力と前記設定された要求電力とに基づいて前記目標動力を設定する手段である
    動力出力装置。
  11. 請求項1ないし10いずれか記載の動力出力装置を搭載し、前記駆動軸に車軸が機械的に連結されてなる自動車。
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