JP2005079321A - 半導体装置 - Google Patents

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哲哉 吉田
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Abstract

【課題】 従来での半導体装置では、固定電位絶縁電極を構成するトレンチがゲート領域の形成領域と重畳しており、ゲート領域からの自由キャリア(正孔)がソース領域に取り込まれ、直流信号電流増幅率が悪化するという問題があった。
【解決手段】 本発明の半導体装置では、固定電位絶縁電極5を構成するトレンチ7に関し、トレンチの一端71はゲート領域9の形成領域外に配置し、トレンチの他端72がゲート領域の形成領域内に配置されるようにする。そのことで、本発明では、トレンチ7とゲート領域9との接触領域を低減させ、半導体素子のOFF動作からON動作への移行時に、自由キャリア(正孔)がゲート領域9からトレンチ7側壁へ流れ込むことを抑制する。その結果、ゲート領域9からの自由キャリア(正孔)の過剰な注入を抑止し、ソース領域4から多量の自由キャリア(電子)を注入することができ、所望の直流信号電流増幅率を容易に得ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明の半導体装置は、ソース領域と同電位に保つ電極を構成するトレンチとゲート領域との配置箇所を考慮し、電流増幅率を向上させる大電流素子に関する。
従来の半導体装置では、ノーマリ・オフ型のバイポーラトランジスタで、制御性に優れ、低オン抵抗であり、微細化、高耐圧化を実現した素子構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の半導体装置では、ノーマリ・オフ型のバイポーラトランジスタで、制御性に優れ、低オン抵抗であり、ターン・オフ速度に優れた素子構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
図6及び図7を参照して、従来における半導体装置の構造の一例を示す。図6(A)は素子の斜視図であり、図6(B)は上面図である。図7(A)は図6(B)のC−C線方向の断面図であり、図7(B)は図6(B)のD−D線方向の断面図である。
先ず、図6(A)に示す如く、従来の半導体装置は、N+型の半導体基板51、N+型の半導体基板51上にはN−型のエピタキシャル層52が形成されている。N−型のエピタキシャル層52には、N+型のソース領域54とトレンチ57とが互いに直交するように形成されている。そして、トレンチ57には、その内壁を被覆するように絶縁膜56、高濃度のP+型多結晶シリコン(ポリシリコン)から成る固定電位絶縁電極55が形成されている。尚、固定電位絶縁電極55とソース領域54とは、例えば、アルミニウム(Al)層61(図7参照)がオーミックコンタクトし、両者の電位が同電位に固定されている。また、エピタキシャル層52は主にドレイン領域53として用いられ、エピタキシャル層52の固定電位絶縁電極55に挾まれた領域をチャネル領域58と呼ぶことにする。
そして、固定電位絶縁電極55が高濃度のP+型ポリシリコンであり、チャネル領域58表面に形成されるソース領域54と固定電位絶縁電極55とがAl層61を介して同電位に保たれる。そのため、チャネル領域58には、仕事関数差により、周囲の固定電位絶縁電極55より空乏層が形成される。そして、チャネル領域58には伝導電子に対するポテンシャル障壁が形成され、ソース領域54とドレイン領域53とは初めから電気的に遮断された状態となっている。
次に、図6(B)に示す如く、固定電位絶縁電極55はストライプ状をしており、その両端はP型のゲート領域59に接している。そして、ゲート領域59表面にはゲート電極Gが形成されており、ゲート領域59からドレイン領域53へ自由キャリア(正孔)を供給する。また、固定電位絶縁電極55間に囲まれたチャネル領域58は、ひとつの単位セルを形成している。尚、チャネルの状態によって電流を遮断、もしくは電流量を制御し得るという条件を満たしていれば、単位セルを構成する固定電位絶縁電極55の形状、ソース領域54の形状などは任意である。
図7(A)に示す如く、H2をチャネル厚み、L2をチャネル長と呼ぶ。つまり、チャネル厚みH2とは、チャネル領域において対向する絶縁膜56間の間隔であり、チャネル長L2とは、溝の側壁に沿って、ソース領域54の底面から固定電位絶縁電極55の底面までの距離をいう。また、基板51裏面にはAl層60が形成されている。
特開平11−40802号公報(第13−14頁、第16−17図) 特開平9−321292号公報(第10−13頁、第1−3図)
上述したように、従来における半導体装置では、ドレイン電極Dに正の高電圧を印加し、ソース電極Sを接地した状態で、ゲート電極Gを接地することで、または、ゲート電極Gに負の電圧を印加することで、OFF動作を成す。そして、この半導体装置のOFF動作では、N型のチャネル領域58とP型の固定電位絶縁電極55との仕事関数差によりチャネル領域58が擬似的なP型領域となる。そして、ドレイン領域53に正の高電圧が印加され、チャネル領域58が接地状態となることで、擬似的なP型領域となるチャネル領域58とN型領域のドレイン領域3とが逆バイアス状態となり、半導体装置はOFF動作を成す。
一方、半導体装置をON動作とするためには、ゲート電極Gに正の電圧を印加し、ゲート領域59から自由キャリア(正孔)を注入し、チャネル領域58をN型領域にする。そして、チャネル領域58及びドレイン領域53では、注入された自由キャリア(正孔)により伝導度変調を起こし、低抵抗状態を成す。つまり、半導体装置はゲート領域59から注入する自由キャリア(正孔)によりON動作、OFF動作を行っているので、ゲート領域59からの自由キャリア(正孔)の注入量により直流信号電流増幅率が左右される。
しかしながら、従来の半導体装置では、トレンチ57は、Y軸方向(図6(B)参照)に軸部63を有し、その軸部63からX軸方向(図6(B)参照)に複数の枝部64が延在する。X軸方向に延在するトレンチ57の枝部64は、ソース領域54を縦断し、ゲート領域59内にその一端が形成されている。そして、ON動作時には、ゲート領域59から注入する自由キャリア(正孔)はトレンチ57側壁へと流れ込む。その後、トレンチ57側壁へと流れ込んだ自由キャリア(正孔)は、ソース領域54にも取り込まれる。そのことで、ゲート領域59から注入された自由キャリア(正孔)の一部は、ソース領域54で自由キャリア(電子)と再結合することで消滅し、またはソース電極Sを介して外部へと排出されている。つまり、従来の半導体装置では、本来の目的であるチャネル領域58でのスイッチング、伝導度変調等の役割を果たすことなく消滅する自由キャリア(正孔)が多数存在していた。そのため、ON動作時には、ゲート領域59からは、必要以上の自由キャリア(正孔)を注入しなければならず、所望の直流信号電流増幅率を得られないという問題があった。
本発明は、固定電位絶縁電極を構成するトレンチの配置に関し、酸化膜が形成されている該トレンチの側壁とゲート領域との接触面積を低減し、ON動作時に、自由キャリア(正孔)がトレンチ側壁を伝わってソース領域へ流れ込むことを抑止し、直流信号電流増幅率を向上させることを目的とする。
上述した各事情に鑑みて成されたものであり、本発明の半導体装置では、ドレイン領域を構成する一導電型の半導体層と、互いに平行になるように前記半導体層表面から形成された複数のトレンチと、前記トレンチの内壁には絶縁膜が形成され、前記絶縁膜を覆うように前記トレンチ内を充填する逆導電型の多結晶シリコンから成る固定電位絶縁電極と、前記トレンチ間に位置し、前記固定電位絶縁電極と同電位に保たれる一導電型のソース領域と、前記ソース領域と離間され、少なくとも前記絶縁膜とその一部を隣接するように配置されるゲート領域と、前記固定電位絶縁電極間に位置し、少なくとも前記ソース領域の下方に位置するチャネル領域とを具備し、一対の前記ゲート領域間には前記ソース領域が1本配置され、且つ、前記トレンチはそれぞれ独立して形成され、前記トレンチの延在方向の長さは、前記一対のゲート領域間より短いことを特徴とする。従って、本発明の半導体装置では、固定電位絶縁電極を構成するトレンチの側壁がゲート領域と接触する領域を必要最低限に抑えることで、ゲート領域からトレンチ側壁を伝わってソース領域へと取り込まれる自由キャリア(正孔)を低減することができる。
また、本発明の半導体装置では、全ての前記トレンチの側壁は前記ソース領域と接触しており、前記トレンチは前記ソース領域の延在方向に対し一定間隔で配置されていることを特徴とする。従って、本発明の半導体装置では、固定電位絶縁電極を構成するトレンチは、ソース領域を区切るように、一定の間隔で配置されることで、確実に、半導体装置のOFF動作を成すことができる。
また、本発明の半導体装置では、前記トレンチの一端及びその近傍領域の側壁は、交互に前記ゲート領域の一方と接触していることを特徴とする。従って、本発明の半導体装置では、トレンチの側壁がゲート領域と接触する領域は、一対のゲート領域に対して交互に配置されることで、セル間での均一動作性を向上させることができる。
また、本発明の半導体装置では、前記トレンチは、その一端及びその近傍領域の側壁が前記一対のゲート領域のどちらか一方と接触しているトレンチと、前記一対のゲート領域のどちらとも接触しないトレンチとからなり、それぞれの前記トレンチが交互に配置されていることを特徴とする。従って、本発明の半導体装置では、トレンチの側壁とゲート領域とが接触する領域を低減でき、より電流増幅率の増加を実現できる。また、トレンチの側壁とゲート領域とが接触する領域を一対のゲート領域に対して交互に配置されることで、セル間での均一動作性を向上させることができる。
上述したように、第1に、本発明の半導体装置では、固定電位絶縁電極を構成するトレンチに関し、トレンチの一端は、ソース領域を区分し、ゲート領域の形成領域外に配置される。一方、トレンチの他端は、ゲート領域の形成領域内に配置される。そのことで、本発明の半導体装置では、ON動作時に、自由キャリア(正孔)が、トレンチ側壁を通過してソース領域に取り込まれ、自由キャリア(電子)と再結合し、消滅するのを抑止できる。その結果、ゲート領域からの自由キャリア(正孔)の注入を抑え、ソース領域から多量の自由キャリア(電子)を注入することができ、所望の直流信号電流増幅率を得ることができる。
第2に、本発明の半導体装置では、セル領域を形成する一対のゲート領域に対し、それぞれのゲート領域の形成領域にトレンチの他端が、交互に配置される。そのことで、ゲート領域からチャネル領域及びドレイン領域に対する自由キャリア(正孔)の注入、あるいは、引き抜きをセル間で均一に行うことができる。その結果、自由キャリア(正孔)の偏りによる電流集中も抑止でき、素子の均一動作を実現できる。
以下に、本発明における半導体装置及びその製造方法の一実施の形態について、図1〜図8を参照にして詳細に説明する。
先ず、図1から図4を参照とし、本実施の形態の半導体装置について、以下に説明する。
図1(A)は本発明の半導体装置の構造を示す斜視図であり、図1(B)は本発明の半導体装置の構造を示す上面図である。図1(A)に示す如く、N+型の半導体基板1上にはN−型のエピタキシャル層2が堆積されている。等間隔をなして互いに平行になるような複数のトレンチ7が、このエピタキシャル層2の表面から形成されている。そして、基板1はドレイン取り出し領域として用いられており、エピタキシャル層2は、主に、ドレイン領域3として用いられる。また、トレンチ7はエピタキシャル層2表面に対して側壁がほぼ垂直にエッチングされ、その内壁には絶縁膜6が形成されている。更に、トレンチ7には、P型不純物が注入された、例えば、多結晶シリコンが堆積されている。そして、詳細は後述するが、トレンチ7内の多結晶シリコンは、半導体主表面で、例えば、アルミニウム(Al)を介してソース領域4と電気的に接続されている。そのことで、トレンチ7内のP型の多結晶シリコンは、ソース電極Sと同電位からなる固定電位絶縁電極5として用いられる。一方、複数のトレンチ7間に位置するエピタキシャル層2はチャネル領域8として用いられる。
図1(A)及び図1(B)に示す如く、本実施の形態では、ゲート領域9はソース領域4と離間され、エピタキシャル層2に一定の間隔を置いて複数設けられている。そして、図示の如く、ソース領域4は、ゲート領域9の長手方向、つまり、Y軸方向に延在し、1つのセルを形成する2本のゲート領域9間に形成されている。そして、本実施の形態では、ソース領域4は、Y軸方向にゲート領域9とほぼ平行に位置し、それぞれのゲート領域9から等距離に配置される。一方、固定電位絶縁電極5を形成するトレンチ7は、ソース領域4及びゲート領域9と直交する方向に、つまり、X軸方向に延在している。
本実施の形態では、トレンチ7は、トレンチの一端71側でソース領域4を一定間隔に区切り、トレンチ7の側壁がソース領域4と接触している。一方、トレンチ7の他端72及びその近傍領域は、それぞれゲート領域9とその形成領域の一部を重畳させ、トレンチ7の側壁がゲート領域9と接触している。そして、トレンチ7の一端71は、X軸方向に、少なくともソース領域4を区切る位置まで配置されることで、半導体装置のOFF動作時には、チャネル領域8が空乏層で満たされる構造となる。トレンチ7の一端71は、その形成領域をゲート領域9と重畳しない位置に形成される。そのことで、半導体素子のON動作の際に、ゲート領域9から注入される自由キャリア(正孔)が、トレンチ7の側壁を介して、ソース領域4に必要以上に流れ込むことを抑止できる。
次に、図2を参照として本発明の半導体装置の断面構造およびその動作について説明する。図2(A)は図1(B)のA−A線方向の断面図であり、図2(B)は図1(B)のB−B線方向の断面図である。
図2(A)に示す如く、エピタキシャル層2に関し、主に、ソース領域4の下方に位置し、トレンチ7に囲まれた領域がチャネル領域8であり、矢印H1をチャネル厚み、矢印L1をチャネル長とする。つまり、チャネル厚みH1とは、チャネル領域8において対向する絶縁膜6間の間隔であり、チャネル長L1とは、トレンチ7の側壁に沿って、ソース領域4底面から固定電位絶縁電極5の底面までの距離をいう。また、ドレイン取り出し領域として用いるN+型の基板1の裏面には、例えば、Al層10がオーミックコンタクトしており、このAl層10を介してドレイン電極Dが形成されている。
具体的には、本実施の形態では、チャネル厚みH1は0.8〜1.4μm程度であり、また、隣接するトレンチ7の中心間の間隔T1は3.2μm程度である。そして、トレンチ7は、チャネル厚みH1が上述した0.8〜1.4μm程度を保つように、Y軸方向(図1(B)参照)に対し、平行に配置されている。
一方、図2(A)では図示していないが、エピタキシャル層2表面には絶縁層としてのシリコン酸化膜12(図2(B)参照)が形成されている。そして、このシリコン酸化膜12に設けられたコンタクト領域13(図2(B)参照)を介して、Al層11がソース領域4にオーミックコンタクトしている。また、Al層11はコンタクト領域13を介して、固定電位絶縁電極5にもオーミックコンタクトしている。この構造により、上述の如く、固定電位絶縁電極5は接地状態となり、ソース領域4と固定電位絶縁電極5とは同電位に保たれる。また、実質、ソース領域4の下方に位置するチャネル領域8も固定電位絶縁電極5と同電位に保たれる。尚、本実施の形態の半導体装置では、チャネル領域8に形成される空乏層により主電流の導通、遮断を制御するので、その条件を満たしていれば単位セルを構成する固定電位絶縁電極5の形状、ソース領域4の形状などは任意である。
図2(B)に示す如く、ゲート領域9上面を含めエピタキシャル層2表面にはシリコン酸化膜12が堆積されている。そして、ゲート領域9上面には、シリコン酸化膜12に設けられたコンタクト領域14を介して、例えば、Alから成るゲート電極Gが形成されている。尚、図中の破線は固定電位絶縁電極5の存在を示している。そして、図示の如く、断面図および表面図における絶縁膜6の角部は角張って描いてあるが、これらは模式図であり、実際には丸みを帯びていてもよい。すなわち、電界集中を抑制するためにこれら角部に丸みを持たせることは、広く一般に採用されていることである。
次に、本発明の半導体素子の動作原理を説明する。
先ず、半導体素子のOFF動作について説明する。上述したように、半導体素子の電流経路は、ドレイン取り出し領域であるN+型の基板1、N−型のエピタキシャル層2から成るドレイン領域3、トレンチ7間に位置するN−型のチャネル領域8およびN+型のソース領域4とから構成される。つまり、全ての領域がN型領域から構成されており、一見、ドレイン電極Dに正の電圧を印加し、ソース電極Sを接地した状態で動作させるとOFF動作を成すことができないようにみられる。
しかしながら、上述の如く、ソース領域4及びチャネル領域8から成るN型領域と固定電位絶縁電極5であるP型領域とはAl層11を介して接続され、同電位となっている。そのため、固定電位絶縁電極5周辺のチャネル領域8では、P+型のポリシリコンとN−型のエピタキシャル層2との仕事関数差により、固定電位絶縁電極5を囲むように空乏層が広がる。つまり、固定電位絶縁電極5を形成するトレンチ7間の幅、つまり、チャネル幅Hを調整することで、両側の固定電位絶縁電極5から延びる空乏層によりチャネル領域8は埋め尽くされることとなる。詳細は後述するが、この空乏層で埋め尽くされたチャネル領域8は、擬似的なP型領域となっている。
この構造により、N−型のドレイン領域3とN+型のソース領域4とを擬似的なP型領域であるチャネル領域8によって、PN接合分離することができる。つまり、本発明の半導体装置は、チャネル領域8に擬似的なP型領域を形成することで、初めから遮断状態(OFF動作状態)となっている。また、半導体装置がOFF動作時では、ドレイン電極Dには正の電圧が印加され、ソース電極Sが接地され、ゲート電極Gが接地状態であるか、又は、ゲート電極Gに負の電位が印加されている。このとき、擬似的なP型領域であるチャネル領域8とN型領域であるドレイン領域3との境界面には、逆バイアスが印加されることで紙面下方向に空乏層が形成される。そして、この空乏層の形成状態は半導体装置の耐圧特性を左右する。
ここで、図3を参照とし、上述した擬似的なP型領域について以下に説明する。図3(A)はOFF動作時のチャネル領域8でのエネルギーバンド図を示しており、図3(B)はOFF動作時のチャネル領域8に形成された空乏層を模式的に表した図である。固定電位絶縁電極5であるP+型のポリシリコン領域とチャネル領域8であるN−型のエピタキシャル層2領域とは絶縁膜6を介して対峙している。そして、両者はエピタキシャル層2表面でAl層11を介して同電位に保たれている。そのことで、トレンチ7周辺部には、両者の仕事関数差により空乏層が形成され、さらに空乏層内にわずかに存在する少数の自由キャリア(正孔)によりP型領域となる。
具体的には、Al層11を介してP+型のポリシリコン領域とN−型のエピタキシャル層2領域とを同電位にすると、図3(A)に示す如くエネルギーバンド図が形成される。先ず、P+型のポリシリコン領域において、絶縁膜6界面では価電子帯が負の傾斜により形成されており、自由キャリア(正孔)に対しては絶縁膜6の界面はポテンシャルエネルギーが高いことを示している。つまり、P+型のポリシリコン領域の自由キャリア(正孔)は絶縁膜6界面に存在することができず、絶縁膜6から離れる方向に追いやられる。その結果、P+型のポリシリコン領域の絶縁膜6界面にはイオン化アクセプタから成る負電荷が取り残される状態となる。そのことで、N−型のエピタキシャル層2領域では、このイオン化アクセプタから成る負電荷と対となるイオン化ドナーから成る正電荷が必要となる。そのため、チャネル領域8は絶縁膜6界面から空乏層化していくこととなる。
しかしながら、チャネル領域8の不純物濃度は1E14(/cm)程度、厚みは0.8〜1.4μm程度であるため、チャネル領域8は、固定電位絶縁電極5から広がり出した空乏層で完全に占有されることとなる。実際には、チャネル領域8が空乏層化しただけではイオン化アクセプタと釣合うだけの正電荷を確保できないため、チャネル領域8内には少数の自由キャリア(正孔)も存在するようになる。そのことで、図示の如く、P+型のポリシリコン領域内のイオン化アクセプタとN−型のエピタキシャル層2内の自由キャリア(正孔)またはイオン化ドナーとが対となり電界を形成する。その結果、絶縁膜6界面から形成された空乏層はP型領域となり、この空乏層で満たされたチャネル領域8はP型の領域となる。
次に、半導体素子のOFF動作からON動作へと転じる状態について説明する。半導体素子をターン・オンするためには、ゲート電極Gに接地状態から正の電圧を印加する。このとき、ゲート領域9からは自由キャリア(正孔)が導入されるが、上述の如く、自由キャリア(正孔)はイオン化アクセプタにひかれて絶縁膜6界面に流れ込む。そして、チャネル領域8の絶縁膜6界面に自由キャリア(正孔)が充填されることで、P+型のポリシリコン領域内のイオン化アクセプタと自由キャリア(正孔)のみで対となり電界を形成する。そのことで、チャネル領域8での絶縁膜6と最も遠い領域、つまり、チャネル領域8中央領域から、自由キャリア(電子)が存在するようになり、中性領域が出現する。その結果、チャネル領域8の空乏層が減退し、中央領域からチャネルが開き、ソース領域4からドレイン領域3へ自由キャリア(電子)が移動し、主電流が流れる。
つまり、自由キャリア(正孔)は、トレンチ7壁面を通路として瞬時に行き渡り、固定電位絶縁電極5からチャネル領域8へと広がる空乏層は後退し、チャネルが開くのである。更に、ゲート電極Gが所定値以上の電圧が印加されると、ゲート領域9とチャネル領域8ならびにドレイン領域3の形成するPN接合が順バイアスとなる。そして、自由キャリア(正孔)がチャネル領域8ならびにドレイン領域3に直接注入される。その結果、チャネル領域8ならびにドレイン領域3に自由キャリア(正孔)が多く分布することで伝導度変調が起こり、主電流は低いオン抵抗で流れるようになる。
最後に、半導体素子のON動作からOFF動作へと転じる状態について説明する。半導体素子をターン・オフするためには、ゲート電極Gの電位を接地状態(0V)、もしくは負電位にする。すると伝導度変調によりドレイン領域3およびチャネル領域8に大量に存在していた自由キャリア(正孔)は消滅するか、もしくはゲート領域9を通路として素子外に排除される。そのことで、再びチャネル領域8は空乏層で満たされ、再び擬似的なP型領域となり、耐圧を維持し、主電流は止まる。
上述したように、半導体素子のOFF動作からON動作に移行する際には、ゲート電極Gに正の電圧が印加され、ゲート領域9から自由キャリア(正孔)が注入される。そして、自由キャリア(正孔)は、トレンチ7の側壁を通路としてチャネル領域8へと流れ込む。更に、ゲート−ソース間の電圧が所定の値以上になると、自由キャリア(正孔)は、P型のゲート領域9と隣接するN型のエピタキシャル層2とのPN接合を介してドレイン領域3へと流れ込む。
このとき、特に、半導体素子のOFF動作からON動作への移行時には、ゲート領域9とその形成領域を重畳させるトレンチ7の側壁には自由キャリア(正孔)が集中し易く、大部分の自由キャリア(正孔)はトレンチ7側壁へと流れ込む。トレンチ7の側壁は、ソース領域4と密接しており、ゲート領域9から注入された自由キャリア(正孔)は、トレンチ7側壁からソース領域4へと容易に取り込まれてしまう。そのことで、ソース領域4では、取り込まれた自由キャリア(正孔)と自由キャリア(電子)とが再結合し、チャネル領域8での伝導度変調に寄与することなく消滅してしまう。そして、ソース領域4内で無効に消滅した分の自由キャリア(正孔)は余分にゲート領域9から注入する必要があり、所望の直流信号電流増幅率が得られない。
しかしながら、本実施の形態では、図1に示すように、トレンチ7の他端72はゲート領域9の形成領域内に配置し、トレンチ7の一端71はゲート領域9の形成領域外に配置している。つまり、本発明の半導体装置は従来の半導体装置と比較すると、1つのセル領域内に形成されるトレンチ7の数は同じであるが、トレンチ7とゲート領域9との接触箇所は半分になっている。そのことで、一対のゲート領域9のそれぞれにおいて、トレンチ7と形成領域を重畳しない領域では、優先的に、自由キャリア(正孔)は、P型のゲート領域9と隣接するN型のエピタキシャル層2とのPN接合を介してドレイン領域3へと流れ込む。
そして、ドレイン領域3へと流れ込んだ自由キャリア(正孔)は、上述したように、ドレイン領域3内のドリフト領域での伝導度変調に寄与し、主電流が低いオン抵抗で流れるようになる。一方、トレンチ7の他端72がゲート領域9の形成領域内に配置される領域では、従来の構造と同様に、ゲート領域9から注入された自由キャリア(正孔)は、優先的にトレンチ7側壁へと流れ込む。本実施の形態では、直流信号電流増幅率を悪化させる要因となるトレンチ7とゲート領域9との接触領域を低減することで、ソース領域4内で無効に消滅する自由キャリア(正孔)を減らすことができる。そして、ゲート領域9からは必要以上の自由キャリア(正孔)を注入することはなく、ソース領域4からは多量の自由キャリア(電子)を注入することができ、所望の直流信号電流増幅率を容易に得ることができる。
更に、本実施の形態では、図1(B)に示すように、トレンチ7において、トレンチの一端71はソース領域4を区分し、ゲート領域9の形成領域内に配置されない。一方、トレンチの他端72はゲート領域9の形成領域内に配置されている。そして、セル領域を形成する1対のゲート領域9に対し、トレンチの他端72は、それぞれのゲート領域9と交互にその形成領域を重畳させている。そのことで、本実施の形態の半導体装置では、一対のゲート領域9の両方を利用して、自由キャリア(正孔)をチャネル領域8及びドレイン領域3に注入し、また、引き抜くことができる。その結果、どちらか一方のゲート領域9に対し、自由キャリア(正孔)が集中することがなく、各セル間の均一動作を実現することができる。
また、各セル間の均一動作を実現することで、半導体素子のON動作からOFF動作時に、自由キャリア(正孔)がある領域に集中するのを防ぐことができる。そのことで、本実施の形態の半導体装置では、とりわけ自由キャリア(正孔)の引き抜きの弱いところに電流集中が生じ、その領域が大電流により焼け、故障することを防ぐことができる。
尚、上述したように、本実施の形態では、トレンチの一端71は、ゲート領域9の形成領域内に配置させない場合に関し説明したが、この場合に限定する必要はない。例えば、トレンチの一端71がゲート領域9と形成領域を重畳させるか、否かは、半導体装置のスイッチング特性と直流信号電流増幅率との必要性に応じ設計される。そのため、いくつかのトレンチ7において、トレンチの一端71もゲート領域9と形成領域を重畳させても良い。
また、その他の実施の形態として、図4及び図5に半導体装置の上面図を示す。図4に示すように、トレンチ7において、トレンチの一端71側においてはソース領域4を区分し、ゲート領域9の形成領域内に配置されない。一方、トレンチの他端72はゲート領域9の形成領域内に配置されている。そして、セル領域を形成する1対のゲート領域9に対し、全てのトレンチの他端72は、どちらか一方のゲート領域9と形成領域を重畳させている。この構造においても、上述したように、ゲート領域9からは必要以上の自由キャリア(正孔)をチャネル領域8へと注入することはなく、ソース領域4からは多量の自由キャリア(電子)を注入することができ、所望の直流信号電流増幅率を容易に得ることができる。
図5に示すように、ソース領域4を一定間隔で区分するが、その両端74、75が、一対のゲート領域9の形成領域内に配置されていないトレンチ73を形成する場合もある。例えば、スイッチング特性よりも直流信号電流増幅率の方が重要である半導体装置の場合には、トレンチ7とゲート領域9との接触箇所を低減させる。そのことで、ゲート領域9から注入される自由キャリア(正孔)は、その大部分がドレイン領域3へと注入され、ドリフト領域での伝導度変調に寄与する。そのことで、主電流が低いオン抵抗で流れ、ソース領域4からは多量の自由キャリア(電子)を注入することができる。
また、本実施の形態では、図示していないが、半導体装置のスイッチング特性と直流信号電流増幅率との関係により、さまざまなトレンチ形状とすることができ、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本発明の半導体装置を説明するための(A)斜視図、(B)上面図である。 本発明の半導体装置を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。 本発明の半導体装置を説明するための(A)エネルギーバンド図、(B)OFF時のチャネル領域を説明する図である。 本発明の半導体装置を説明するための上面図である。 本発明の半導体装置を説明するための上面図である。 従来の半導体装置を説明するための(A)斜視図、(B)上面図である。 従来の半導体装置を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
符号の説明
1 基板
2 エピタキシャル層
3 ドレイン領域
4 ソース領域
5 固定電位絶縁電極
6 絶縁膜
7、73 トレンチ
8 チャネル領域
9 ゲート領域
10、11、15 Al層
12 シリコン酸化膜
13、14 コンタクト領域
71、74 トレンチの一端
72、75 トレンチの他端

Claims (9)

  1. ドレイン領域を構成する一導電型の半導体層と、
    互いに平行になるように前記半導体層表面から形成された複数のトレンチと、
    前記トレンチの内壁には絶縁膜が形成され、前記絶縁膜を覆うように前記トレンチ内を充填する逆導電型の多結晶シリコンから成る固定電位絶縁電極と、
    前記トレンチ間に位置し、前記固定電位絶縁電極と同電位に保たれる一導電型のソース領域と、
    前記ソース領域と離間され、少なくとも前記絶縁膜とその一部を隣接するように配置されるゲート領域と、
    前記固定電位絶縁電極間に位置し、少なくとも前記ソース領域の下方に位置するチャネル領域とを具備し、
    一対の前記ゲート領域間には前記ソース領域が1本配置され、且つ、前記トレンチはそれぞれ独立して形成され、前記トレンチの延在方向の長さは、前記一対のゲート領域間より短いことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記ソース領域は、前記一対のゲート領域のそれぞれから等しい位置に配置され、前記トレンチは、その延在方向の長さが前記ソース領域と前記ゲート領域間より長いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記トレンチの側壁は前記ソース領域と接触しており、前記トレンチは前記ソース領域の延在方向に対し一定間隔で配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記トレンチの一端及びその近傍領域の側壁は、前記ゲート領域のどちらか一方と接触していることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記トレンチの一端及びその近傍領域の側壁は、交互に前記ゲート領域の一方と接触していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記トレンチの一端及びその近傍領域の側壁は、前記ゲート領域の一方と接触していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  7. 前記ソース領域は、前記一対のゲート領域のそれぞれから等しい位置に配置され、前記トレンチは、その延在方向の長さが前記ソース領域と前記ゲート領域間より長いトレンチと、その延在方向の長さが前記ソース領域と前記ゲート領域間より短いトレンチとからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  8. 前記トレンチの側壁は前記ソース領域と接触しており、前記トレンチは前記ソース領域の延在方向に対し一定間隔で配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
  9. 前記トレンチは、その一端及びその近傍領域の側壁が前記一対のゲート領域のどちらか一方と接触しているトレンチと、前記一対のゲート領域のどちらとも接触しないトレンチとからなり、それぞれの前記トレンチが交互に配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の半導体装置。
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