JP2005079241A - ベアチップのマウント方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ボイド率のさらなる低減を可能とするベアチップのマウント方法を提供すること。
【解決手段】 端部にはんだ供給口15が形成されたベアチップ保持治具12を用いて、ベアチップ11をはんだ供給口15側が高くなるよう斜めに吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、はんだ供給口15から基板10上にはんだを供給して基板10上ではんだを溶融させ、その溶融はんだ16を基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。そして、所定量のはんだを供給した後に、ベアチップ11をベアチップ保持治具12からリリースして、基板10とベアチップ11とをはんだ接合する。
【選択図】 図4
【解決手段】 端部にはんだ供給口15が形成されたベアチップ保持治具12を用いて、ベアチップ11をはんだ供給口15側が高くなるよう斜めに吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、はんだ供給口15から基板10上にはんだを供給して基板10上ではんだを溶融させ、その溶融はんだ16を基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。そして、所定量のはんだを供給した後に、ベアチップ11をベアチップ保持治具12からリリースして、基板10とベアチップ11とをはんだ接合する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法に関する。さらに詳細には、水素還元ダイボンド法によりはんだ接合を行うベアチップのマウント方法に関するものである。
従来から、例えばパワートランジスタ等の電子部品の接合には、水素還元雰囲気中ではんだ付けを行う水素還元ダイボンド法が用いられている。この水素還元ダイボンド法は、図6に示すように、水素還元雰囲気中において、基板100の表面の酸化物を除去し、その基板100を加熱して、その加熱された基板100上にはんだ106を供給する。そして、はんだ106が供給された所へ素子101をセットした後にスクラブ動作を行って基板100と素子101とを接合する方法である。
ところが、上記した方法では、供給されるはんだ106の表面に形成されている酸化物を除去することができない。このため、スクラブ動作を行うことにより、酸化物を粉砕してボイドの発生を抑制している。しかしながら、スクラブ動作によっても酸化物を完全に除去することはできない。そのため、ある程度(5〜10%程度)のボイドの発生を容認しなければならなかった。
ボイドが発生すると、接合の信頼性を著しく低下させるとともに、実使用時に電子部品から発生される熱の伝達が悪くなり、放熱不足となって電子部品の機能停止もしくは破損に至ってしまう。このため、ボイドの発生を防止することが非常に重要である。
そこで、水素還元ダイボンド法においてボイドの発生を防止するための方法が種々提案されている。そのうちの1つとして、例えば特開平6−23534号公報に開示された方法がある。ここに開示された方法は、図7に示すように、基板100と素子101との接合領域外にはんだ106を置き、溶融したはんだ106を毛細管現象により接合領域に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。なお、はんだ106の置き方として、図7(a)に示すように寝かした状態で置く場合と、図7(b)に示すように治具107を用いて直立させた状態で置く場合が挙げられている。
また、別の方法として、特開平9−51049号公報に開示された方法がある。この方法は、図8に示すように、接合する一方の部品110に突起115を設け、その突起115で他方の部品111を支持して、部品110と部品111との間に隙間を形成し、その隙間の側方からはんだ106を供給して、溶融したはんだ106aを毛細管現象により隙間に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。そして、突起115によって支持されている部品111の中央部を加圧して撓ませることにより、はんだ供給部の毛細管現象を助けるようにしている。
さらに、別の方法として、特開平8−288319号公報に開示された方法もある。この方法は、図9に示すように、素子121をコレット122にて吸着することにより、基板120と素子121との間に隙間を形成し、コレット122の側壁に形成されている開口に接続した注入管128から溶融はんだ106aを流し込むようになっている。そして、基板120と素子121との隙間内に存在するエアーを、注入管128から流し込む溶融はんだ106aによって、コレット122の側壁に開口したエアーベント129から押し出すことにより、ボイドの発生を防止している。
しかしながら、特開平6−23534号公報に開示された方法では、素子101の下面に溶融したはんだ106が侵入しにくいという問題があった。なぜなら、基板100と素子101とが接している、つまり基板100と素子101との間に隙間がないため、溶融したはんだ106の浸透性が悪く毛細管現象が起こりにくいからである。
これに対し、特開平9−51049号公報に開示された方法では、部品110に突起を設けて、部品110と部品111との間に隙間を形成しているため、溶融はんだ106aが侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、部品110に突起115を設定する必要があり、部品110の形状が複雑になってしまう。このため、製品のコストアップを招来するという問題がある。また、はんだには熱応力を緩和する働きがあるが、部品110と突起115とが接触しているため、はんだによる熱応力緩和の作用が生じないという問題がある。さらに、はんだ供給部の毛細管現象を助けるために部品111の中央部を撓ませているが、突起115に支持される部品111がベアチップなどの脆いものであると割れてしまうという問題がある。
ここで、熱応力を緩和するために、突起115を樹脂で形成すると、樹脂の熱伝導性が悪いため、部品110の放熱性を悪化させる。つまり、ボイドが発生した場合と同様の状態となる。さらに、部品110を撓ませるために、突起115が2個以上必要であるから樹脂の面積が増加し、ますます放熱性が悪化するという問題がある。
また、特開平8−288319号公報に開示された方法でも、基板120と素子121との間に隙間が形成されるので、溶融はんだ106aが基板120と素子121との間に侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、この方法では、供給する溶融はんだ106aに含まれる酸化物も一緒に基板120と素子121との隙間に流れ込む。このため、流し込む溶融はんだ106aに含まれる酸化物が原因でボイドが発生するという問題がある。
そこで、本出願人は上記した問題点を解決すべく、特願2002−248106号にて、ボイドの発生を防止するとともにベアチップ(素子)下面へ確実にはんだを供給し、また、ベアチップ側面へのはんだ付着を防止することができるベアチップのマウント方法を提案した。
しかしながら、本出願人が特願2002−248106号で提案したベアチップのマウント方法でも、ボイド率を十分に低減することができなかった。これは、はんだが基板と素子との間に浸透する際に発生する下向きの力(素子を基板側に引き寄せようとする力)が作用するからである。すなわち、図10に示すように、素子101と基板100との間に対するはんだ106aの浸透に伴い、素子101に対して下向きの力が発生すると、素子101が急激に下降したり、ばたついてしまい、素子101と基板100との間に隙間がなくなってしまう。そうすると、はんだ106aの流れが乱れてしまい、図11に示すようにボイドが発生するのである。
その後、図12に示すように、はんだ106aの供給に伴い素子101は押し上げられ、素子保持治具にしっかりと保持される。しかしながら、一度発生したボイドははんだ内に残留してしまう。その結果、図13に示すように、ボイドが発生した状態のままで、はんだ付けが終了するので、ボイド率を十分に低減することができなかったのである。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ボイド率のさらなる低減を可能とするベアチップのマウント方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るベアチップのマウント方法は、水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、端部にはんだ供給口が形成されたベアチップ保持治具を用いて前記ベアチップを前記はんだ供給口側が高くなるよう斜めに吸着保持した状態で、前記ベアチップ保持治具を前記基板上に載置することにより、前記基板と前記ベアチップとの間に隙間を形成し、前記はんだ供給口から前記基板上にはんだを供給して前記基板上であって前記隙間の側方ではんだを溶融させ、前記基板上で溶融させたはんだを前記隙間に所定量侵入させた後に、前記ベアチップ保持治具から前記ベアチップをリリースして、前記基板と前記ベアチップとをはんだ接合することを特徴とする。
このベアチップのマウント方法では、まず、端部にはんだ供給口が形成されたベアチップ保持治具によって、ベアチップが吸着保持される。そして、その状態でベアチップ保持治具が基板上に載置される。これにより、ベアチップと基板との間に確実に隙間が形成される。そして、基板とベアチップとの間に形成された隙間の側方であって、かつベアチップ保持治具に形成されたはんだ供給口から、基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させる。基板上で溶融したはんだには、元々、はんだに形成されていた酸化物も含まれているが、酸化物は比重差によりはんだ供給口の上方に浮かんでくる。つまり、ベアチップ保持治具内には未酸化の溶融はんだのみが供給される。
そして、はんだが供給され続けると溶融はんだの量が増えていき、基板上に溶融はんだが広がりベアチップ下面に到達する。そうすると、毛細管現象とはんだの濡れ作用により、未酸化状態の溶融はんだが基板とベアチップとの間の隙間に侵入していく。このとき、ベアチップに対して下向きの力が発生する。
ここで、ベアチップは、ベアチップ保持治具によってはんだ供給口側が高くなるよう斜めに吸着保持されている。このため、溶融はんだは、基板とベアチップとの間を進行するとともに、ベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける。なぜなら、溶融はんだに作用している力の分力が、ベアチップ面の垂直方向(ベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける方向)に作用するからである。そして、このベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける力は、溶融はんだが基板とベアチップとの間の隙間に侵入する際にベアチップに作用する下向きの力よりも大きい。
したがって、基板とベアチップとの間の隙間に溶融はんだを供給した際、ベアチップが急激に下降したり、ばたついてしまうことを防止することができる。このため、はんだの流れが乱れることなく、未酸化状態の溶融はんだが基板とベアチップとの間の隙間全体に広がる。その後、ベアチップがベアチップ保持治具からリリースされ、ベアチップと基板とがはんだ接合される。なお、はんだ供給口の上方に浮かんでいた酸化物は、基板とベアチップとの隙間の側方で基板上に残留する。
本発明に係るベアチップのマウント方法においては、前記ベアチップ保持治具は、前記基板上に載置された状態で、前記基板と前記ベアチップとのなす角度が0度より大きく30度より小さくなるように前記ベアチップを吸着保持することが望ましい。
基板とベアチップとのなす角度が0度であると、基板とベアチップとの間の隙間に溶融はんだを供給した際に、ベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける力が発生しない。一方、基板とベアチップとのなす角度が30度よりも大きくなると、はんだの供給が追いつかずにベアチップ下面に空気が入り込んでしまい、ボイドが発生するおそれがある。このため、基板とベアチップとのなす角度は、0度より大きく30度より小さくするのがよい。そして好ましくは、基板とベアチップとのなす角度は、5〜10度の範囲内とするのがよい。
また、本発明に係るベアチップのマウント方法においては、前記はんだを斜め方向から前記基板上に供給することが望ましい。
はんだを斜め方向から供給することにより、はんだを供給する力の水平方向分力によって、溶融はんだに作用する進行方向への力を大きくなる。これにより、溶融はんだがベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける力が大きくなる。したがって、基板とベアチップとの間の隙間に溶融はんだを供給する際に、ベアチップが急激に下降したり、ばたついてしまうことをより確実に防止することができる。よって、ボイドの発生を防止することができる。
ここで、はんだを斜め方向から供給する場合、はんだと基板とのなす角度を小さくした方が、溶融はんだを進行方向へ押す力は大きくなる。その一方、はんだと基板とのなす角度を小さくしていくと、溶融はんだの表面に存在する酸化物も基板とベアチップとの隙間に侵入しやすくなる。したがって、基板とベアチップとの隙間に溶融はんだの表面に存在する酸化物が侵入しない角度範囲内において、はんだの供給角度を決定すればよい。具体的に、はんだと基板とのなす角度、つまりはんだの供給角度は、15〜75度の範囲内、好ましくは30〜60度の範囲内で決定すればよい。
本発明に係るベアチップのマウント方法によれば、ベアチップを斜めに吸着保持することにより、基板とベアチップとの間に溶融はんだを供給する際に、ベアチップをベアチップ保持治具に押し付ける力を作用させることができる。これにより、ベアチップが急激に下降したり、ばたついてしまうことを確実に防止することができる。したがって、ボイド率のさらなる低減を行うことができる。
以下、本発明のベアチップのマウント方法を具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態は、電子部品製造装置のボンディング工程に本発明を適用したものである。そこで、実施の形態に係るボンディング工程を実施するための電子部品製造装置の概略構成を図1に示す。図1は、電子部品製造装置の概略を示す平面図である。
この電子部品製造装置には、基板置き場20から基板10を搬送するための基板搬送ロボット21と、ベアチップ置き場22からベアチップ11を搬送するためのベアチップ搬送ロボット23と、水素還元雰囲気を作り出すための水素還元チャンバ24と、基板10にベアチップ11をはんだ接合するためのボンディングヘッド25と、基板10にベアチップ11がマウントされた完成品を完成品置き場26へ搬送するための完成品搬送ロボット27とが備わっている。そして、この電子部品製造装置では、ボンディングヘッド25から棒状のはんだが供給されて、水素還元チャンバ24内において基板10にベアチップ11がはんだ接合され、完成品である電子部品が製造されるようになっている。
そして、ボンディングヘッド25には、ベアチップ11を吸着保持するためのベアチップ保持治具12が備わっている。このベアチップ保持治具12は、図2に示すように、その下面が開放された箱体形状をなすものである。なお、図2は、ボンディング工程の一過程を示す図であり、ベアチップを吸着したベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示す。
ベアチップ保持治具12には、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路13およびチャンバ14が形成されている。チャンバ14は、ベアチップ11に対する真空吸着を安定させるために設けられている。そして、真空吸着用流路13(チャンバ14)は、図示しない真空ポンプ(吸引源)に接続されている。
また、ベアチップ保持治具12の端部に、はんだ供給口15が形成されている。はんだ供給口15は、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置した状態で、基板10と約60度をなすように形成されている。これにより、はんだを斜め方向から基板10上に供給することができるようになっている。具体的には、はんだ供給口15に図示しない棒状のはんだを供給して基板10上で溶融させる。
さらに、ベアチップ保持治具12の開放部の上面(ベアチップ11を吸着する面)は、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置した状態で、基板10に対して角度θをなすように斜めになっている。これにより、ベアチップ保持治具12は、ベアチップ11をはんだ供給口15側が高くなるよう斜めに吸着保持することができるようになっている。
次に、上記の構成を有する電子部品製造装置におけるボンディング工程について、図2〜図5を参照しながら詳細に説明する。図3は、基板とベアチップとの間にはんだが供給され始めた状態を示す。図4は、基板とベアチップとの間へのはんだ供給がさらに進んだ状態を示す。図5は、基板とベアチップとの間へのはんだ供給が終了してベアチップがベアチップ保持治具からリリースされた状態を示す。
まず、ベアチップ搬送ロボット23によって、ベアチップ11がベアチップ置き場22から水素還元チャンバ24内に搬送される。ベアチップ11が水素還元チャンバ24内に搬送されると、ベアチップ11は、ボンディングヘッド25に備わるベアチップ保持治具12に真空吸着される。また、基板搬送ロボット21によって、基板10が基板置き場20から水素還元チャンバ24内に搬送される。そして、搬送されてきた基板10上に、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具12が載置される(図2)。これにより、ベアチップ11は、基板10との間に隙間を保つとともに、基板10に対し角度θをなした状態で斜めに保持される。
ここで、ベアチップの保持角度θは、0度より大きく30度より小さい範囲に設定すればよい。ベアチップの保持角度θが0度であると、基板10とベアチップ11との間の隙間に溶融はんだを供給した際に、ベアチップ11をベアチップ保持治具12に押し付ける力が発生しない。一方、ベアチップの保持角度θが30度よりも大きくなると、はんだの供給が追いつかずにベアチップ11の下面に空気が入り込んでしまい、ボイドが発生するおそれがあるからである。そして好ましくは、ベアチップの保持角度θは、5〜10度の範囲内とするのがよい。
続いて、ボンディングヘッド25から図示しない棒状のはんだが基板10上に供給されると、棒状のはんだが基板10上で溶融する。これにより、図3に示すように、はんだ供給口15から溶融はんだ16が供給される。このとき、はんだに形成されている酸化物17も溶融するが、溶融はんだ16と酸化物17との比重差により、酸化物17は溶融はんだ16の表面に浮かんでくる。つまり、酸化物17は、はんだ供給口15の上方に留まり、未酸化状態の溶融はんだ16がはんだ供給口15からベアチップ11の下面に供給される。
そして、溶融はんだ16の量が増加していき、溶融はんだ16がベアチップ11の下面に接触すると、図4に示すように、溶融はんだ16が毛細管現象およびはんだ濡れ作用によって、基板10とベアチップ11との隙間に浸透していく。このとき、ベアチップ11に対して下向きの力が発生する。しかしながら、ベアチップ11は基板10に対して角度θをなすように斜めに保持されている。このため、溶融はんだ16は、基板10とベアチップ11との間を進行するとともに、ベアチップ11をベアチップ保持治具12に押し付ける。なぜなら、溶融はんだ16に作用している力の分力が、ベアチップ11下面の垂直方向(ベアチップ11をベアチップ保持治具12に押し付ける方向)に作用するからである。
また、はんだ供給口15を基板10に対して斜めに形成し、はんだを斜め方向から基板10上に供給しているので、はんだを供給する力の水平方向分力によって溶融はんだ16の進行方向へ作用する力を大きくなっている。これにより、溶融はんだ16がベアチップ11をベアチップ保持治具12に押し付ける力がより大きくなる。
ここで、はんだを斜め方向から供給する場合、はんだ(はんだ供給口15)と基板10とのなす角度を小さくした方が、溶融はんだ16を進行方向へ押す力は大きくなる。その一方、はんだ(はんだ供給口15)と基板10とのなす角度を小さくしていくと、溶融はんだ16の表面に存在する酸化物17も基板10とベアチップ11との隙間に侵入しやすくなる。したがって、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16の表面に存在する酸化物17が侵入しない角度範囲内において、はんだの供給角度(はんだ供給口15の角度)を決定すればよい。具体的に、はんだ(はんだ供給口15)と基板とのなす角度、つまりはんだの供給角度(基板10とはんだ供給口15とがなす角度)は、15〜75度の範囲内、好ましくは30〜60度の範囲内で決定すればよい。
したがって、基板10とベアチップ11との間の隙間に溶融はんだ16を供給した際、ベアチップ11が急激に下降したり、ばたついてしまうことを確実に防止することができる。このため、溶融はんだ16は、流れが乱れることなく、基板10とベアチップ11との間の隙間全体に広がっていく。よって、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16が浸透していく際に、ボイドが発生することを確実に防止することができる。なお、はんだ濡れ性を良くするために、基板10の表面にはニッケルメッキを施し、ベアチップ11のはんだ付着面には金メッキあるいはニッケルメッキを施していることが望ましい。
そして、所定量のはんだが供給されると、図5に示すように、ベアチップ11がベアチップ保持治具12からリリースされ、ベアチップ11と基板10とがはんだ接合される。このときのはんだ厚さは、供給するはんだの量によって管理される。また、はんだ供給口15の上方に浮かんでいた酸化物17は、基板10とベアチップ11との隙間の側方で基板10上に残留する。つまり、基板10とベアチップ11との隙間には、未酸化状態の溶融はんだ16のみが供給される。したがって、酸化物の混入によるボイドの発生も確実に防止することができる。なお、基板10上に残留した酸化物17は、はんだ接合が終了した後に除去される。
このようにしてはんだ接合を行った場合のボイド率を調べたところ、特願2002−248106号で提案した方法に比べ、35%程度のボイド率の低減が図られていた。また、ボイド率のばらつきも小さくなっていた。
以上、詳細に説明したように本実施の形態に係るボンディング工程によれば、端部にはんだ供給口15が形成されたベアチップ保持治具12を用いてベアチップ11をはんだ供給口15側が高くなるよう斜めに吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、はんだ供給口15から基板10上にはんだを供給して基板10上ではんだを溶融させ、その溶融はんだ16を基板10とベアチップ11との間に隙間に侵入させるので、溶融はんだ16を基板10とベアチップ12との間を進行させるとともに、ベアチップ11をベアチップ保持治具12に押し付けることができる。これにより、基板10とベアチップ11との間の隙間に溶融はんだ16を供給した際、ベアチップ11が急激に下降したり、ばたついてしまうことを防止することができる。このため、溶融はんだ16の流れが乱れないので、ボイドの発生が防止され、さらなるボイド率の低減を図ることができる。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
10 基板
11 ベアチップ
12 ベアチップ保持治具
13 真空吸着用流路
14 チャンバ
15 はんだ供給口
16 溶融はんだ
17 酸化物
11 ベアチップ
12 ベアチップ保持治具
13 真空吸着用流路
14 チャンバ
15 はんだ供給口
16 溶融はんだ
17 酸化物
Claims (3)
- 水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、
端部にはんだ供給口が形成されたベアチップ保持治具を用いて前記ベアチップを前記はんだ供給口側が高くなるよう斜めに吸着保持した状態で、前記ベアチップ保持治具を前記基板上に載置することにより、前記基板と前記ベアチップとの間に隙間を形成し、
前記はんだ供給口から前記基板上にはんだを供給して前記基板上であって前記隙間の側方ではんだを溶融させ、
前記基板上で溶融させたはんだを前記隙間に所定量侵入させた後に、前記ベアチップ保持治具から前記ベアチップをリリースして、前記基板と前記ベアチップとをはんだ接合することを特徴とするベアチップのマウント方法。 - 請求項1に記載するベアチップのマウント方法において、
前記ベアチップ保持治具は、前記基板上に載置された状態で、前記基板と前記ベアチップとのなす角度が0度よりも大きく30度よりも小さくなるように前記ベアチップを吸着保持することを特徴とするベアチップのマウント方法。 - 請求項1または請求項2に記載するベアチップのマウント方法において、
前記はんだを斜め方向から前記基板上に供給することを特徴とするベアチップのマウント方法。
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2003
- 2003-08-29 JP JP2003306080A patent/JP2005079241A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012099559A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-05-24 | Shindengen Electric Mfg Co Ltd | 電子部品の実装方法、および電子部品の実装構造 |
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