JP2004087881A - ベアチップのマウント方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボイドの発生を防止するとともにベアチップ下面へ確実にはんだを供給し、また、ベアチップ側面へのはんだ付着を防止することができるベアチップのマウント方法を提供すること。
【解決手段】一側壁に開口部35が形成されるとともに、その開口部35の上部に保護壁36を設けられたベアチップ保持治具32を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具32を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。
【選択図】 図3
【解決手段】一側壁に開口部35が形成されるとともに、その開口部35の上部に保護壁36を設けられたベアチップ保持治具32を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具32を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法に関する。さらに詳細には、水素還元ダイボンド法によりはんだ接合を行うベアチップのマウント方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えばパワートランジスタ等の電子部品の接合には、水素還元雰囲気中ではんだ付けを行う水素還元ダイボンド法が用いられている。この水素還元ダイボンド法は、図7に示すように、水素還元雰囲気中において、基板100の表面の酸化物を除去し、その基板100を加熱して、その加熱された基板100上にはんだ106を供給する。そして、はんだ106が供給された所へ素子101をセットした後にスクラブ動作を行って基板100と素子101とを接合する方法である。
【0003】
ところが、上記した方法では、供給されるはんだ106の表面に形成されている酸化物を除去することができない。このため、スクラブ動作を行うことにより、酸化物を粉砕してボイドの発生を抑制している。しかしながら、スクラブ動作によっても酸化物を完全に除去することはできない。そのため、ある程度(5%程度)のボイドの発生を容認しなければならなかった。
【0004】
そこで、水素還元ダイボンド法においてボイドの発生を防止するための方法が種々提案されている。そのうちの1つとして、例えば特開平6−23534号公報に開示された方法がある。ここに開示された方法は、図8に示すように、基板100と素子101との接合領域外にはんだ106を置き、溶融したはんだ106を毛細管現象により接合領域に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。なお、はんだ106の置き方として、図8(a)に示すように寝かした状態で置く場合と、図8(b)に示すように治具107を用いて直立させた状態で置く場合が挙げられている。
【0005】
また、別の方法として、特開平9−51049号公報に開示された方法がある。この方法は、図9に示すように、接合する一方の部品110に突起115を設け、その突起115で他方の部品111を支持して、部品110と部品111との間に隙間を形成し、その隙間の側方からはんだ106を供給して、溶融したはんだ106aを毛細管現象により隙間に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。そして、突起115によって支持されている部品111の中央部を加圧して撓ませることにより、はんだ供給部の毛細管現象を助けるようにしている。
【0006】
さらに、別の方法として、特開平8−288319号公報に開示された方法もある。この方法は、図10に示すように、素子121をコレット122にて吸着することにより、基板120と素子121との間に隙間を形成し、コレット122の側壁に形成されている開口に接続した注入管128から溶融はんだ106aを流し込むようになっている。そして、基板120と素子121との隙間内に存在するエアーを、注入管128から流し込む溶融はんだ106aによって、コレット122の側壁に開口したエアーベント129から押し出すことにより、ボイドの発生を防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−23534号公報に開示された方法では、素子101の下面に溶融したはんだ106が侵入しにくいという問題があった。なぜなら、基板100と素子101とが接している、つまり基板100と素子101との間に隙間がないため、溶融したはんだ106の浸透性が悪く毛細管現象が起こりにくいからである。
【0008】
これに対し、特開平9−51049号公報に開示された方法では、部品110に突起を設けて、部品110と部品111との間に隙間を形成しているため、溶融はんだ106aが侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、部品110に突起115を設定する必要があり、部品110の形状が複雑になってしまう。このため、製品のコストアップを招来するという問題がある。また、はんだには熱応力を緩和する働きがあるが、はんだ層に突起115が介在することになるため、はんだの熱応力緩和の働きを阻害してしまうという問題がある。さらに、はんだ供給部の毛細管現象を助けるために部品111の中央部を撓ませているが、突起115に支持される部品111がベアチップなどの脆いものであると割れてしまうという問題がある。
【0009】
また、特開平8−288319号公報に開示された方法でも、基板120と素子121との間に隙間が形成されるので、溶融はんだ106aが基板120と素子121との間に侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、この方法では、供給する溶融はんだ106aに含まれる酸化物も一緒に基板120と素子121との隙間に流れ込む。このため、流し込む溶融はんだ106aに含まれる酸化物が原因でボイドが発生するという問題がある。
【0010】
さらに上記した特開平6−23534号公報、特開平9−51049号公報、および特開平8−288319号公報に開示された方法はすべて、接合領域の側方から溶融はんだ106aが供給されるため、素子(部品)101,111,121の側面に、溶融はんだ106aが付着してはんだブリッジが形成されるおそれがあり、製品の品質上問題があった。素子の側面にはんだが付着してはんだブリッジが形成されると、素子内での短絡が生じてしまい素子の電気特性が変化してしまうからである。
【0011】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ボイドの発生を防止するとともにベアチップ下面へ確実にはんだを供給し、また、ベアチップ側面へのはんだ付着を防止することができるベアチップのマウント方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するためになされた本発明に係るベアチップのマウント方法は、水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、少なくとも一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具を基板に載置することにより、基板とベアチップとの間に隙間を形成し、隙間の側方であってかつ開口部の近傍から基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させ、開口部から基板上で溶融させたはんだを隙間に侵入させることにより、基板とベアチップとをはんだ接合することを特徴とする。
【0013】
このベアチップのマウント方法では、まず、少なくとも一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具によって、ベアチップが吸着保持される。そして、その状態でベアチップ保持治具が基板上に載置される。これにより、ベアチップと基板との間に確実に隙間が形成される。そして、基板とベアチップとの間に形成された隙間の側方であって、かつベアチップ保持治具に形成された開口部の近傍から、基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させる。基板上で溶融したはんだには、元々、はんだに形成されていた酸化物も含まれているが、比重差により酸化物は表面に浮かんでくる。つまり、未酸化の溶融はんだが酸化物に被覆されたような状態となる。
【0014】
そして、はんだが供給され続けると溶融はんだの量が増えていき、基板上に溶融はんだが広がりベアチップ下面に到達する。そうすると、溶融はんだの表面に形成された酸化膜が破れ、未酸化状態の溶融はんだが毛細管現象と濡れ作用により、基板とベアチップとの間の隙間に侵入していく。その後、所定量のはんだが供給されると、未酸化状態の溶融はんだが基板とベアチップとの間の隙間全体に充填される。すなわち、ベアチップ下面に確実にはんだを供給することができる。また、溶融はんだの上方に浮かんでいた酸化物は、基板とベアチップとの隙間の側方で基板上に残留する。すなわち、ベアチップ下面には、酸化物が侵入しないので、ボイドの発生を防止することができる。
【0015】
ここで、ベアチップ保持治具は、毛細管現象が発生しやすい高さにベアチップを保持するようにするのが好ましい。具体的には、基板とベアチップとの隙間が50〜200μm程度、望ましく50μm程度になるようにするのがよい。なぜなら、基板とベアチップとの隙間が50μm以下となるようにすると、ベアチップ保持治具の製品誤差によって、基板とベアチップとの間に隙間が確保されないおそれがあるからである。一方、基板とベアチップとの隙間が200μm以上であると、はんだの供給が追いつかずにベアチップ下面に空気が入り込んでしまい、ボイドが発生するおそれがあるからである。
【0016】
本発明に係るベアチップのマウント方法においては、開口部の上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されており、ベアチップをベアチップ保持治具にて吸着保持し、保護壁でベアチップの側面を保護することにより、ベアチップの側面へのはんだの付着を防止することが望ましい。
【0017】
このベアチップのマウント方法では、開口部上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持する。このため、ベアチップの側面は開口部上部に形成された保護壁により保護される。したがって、基板とベアチップとの間に形成された隙間の側方から溶融はんだを供給しても、ベアチップの側面に溶融はんだが付着することがない。よって、ベアチップ側面ではんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明に係るベアチップのマウント方法においては、隙間に侵入する溶融はんだの進行方向に力が作用するようにはんだを斜め方向から基板上に供給することが望ましい。
【0019】
はんだを斜め方向から供給することにより、はんだを供給する力の水平方向分力によって溶融はんだが進行方向へと押され、溶融はんだが基板とベアチップとの間に形成される隙間により侵入しやすくなるからである。
【0020】
ここで、はんだを斜め方向から供給する場合、はんだと基板とがなす角度を小さくした方が、溶融はんだを進行方向へ押す力は大きくなる。その一方、はんだと基板とがなす角度を小さくしていくと、溶融はんだの表面に存在する酸化物も基板とベアチップとの隙間に侵入しやすくなる。したがって、基板とベアチップとの隙間に溶融はんだの表面に存在する酸化物が侵入しない角度範囲内において、はんだの供給角度を決定すればよい。
【0021】
また、ベアチップ保持治具に保護壁を形成すると、溶融はんだは保護壁先端部に触れた後にベアチップ下面に到達する。そして、ベアチップ保持治具(保護壁)の材質には、通常、はんだと馴染みにくいものが使用される。したがって、保護壁先端部付近で溶融はんだの進行が阻害され、その部分で溶融はんだが詰まってしまうおそれがある。しかしながら、はんだを斜め方向から供給することにより、溶融はんだの進行方向、つまり基板とベアチップとの隙間内に侵入する方向に力が働くので溶融はんだの詰まりを防止することができる。
【0022】
あるいは、本発明に係るベアチップのマウント方法においては、隙間に侵入する溶融はんだを吸引しながら基板上にはんだを供給することが望ましい。
【0023】
溶融はんだを吸引しながらはんだを供給することにより、溶融はんだが基板とベアチップとの間に形成された隙間により侵入しやすくなるからである。また、上記したようにベアチップ保持治具に保護壁を形成すると、保護壁先端部付近で溶融はんだが詰まってしまうおそれがあるが、溶融はんだを吸引することにより、溶融はんだの詰まりを防止することができるからである。
【0024】
なお、溶融はんだを吸引する吸引源とベアチップを吸着保持するための吸引源とを共通化することにより装置構成を簡素化することができる。具体的には、ベアチップ保持治具に形成するはんだ吸引用流路とベアチップ吸着用流路とを連通させることにより吸引源を簡単に共通化することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベアチップのマウント方法を具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態は、電子部品製造装置のボンディング行程に本発明を適用したものである。
【0026】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係るボンディング行程を実施するための電子部品製造装置の概略構成を図1に示す。図1は、電子部品製造装置の概略を示す平面図である。
【0027】
この電子部品製造装置には、基板置き場20から基板10を搬送するための基板搬送ロボット21と、ベアチップ置き場22からベアチップ11を搬送するためのベアチップ搬送ロボット23と、水素還元雰囲気を作り出すための水素還元チャンバ24と、基板10にベアチップ11をはんだ接合するためのボンディングヘッド25と、基板10にベアチップ11がマウントされた完成品を完成品置き場26へ搬送するための完成品搬送ロボット27とが備わっている。そして、この電子部品製造装置では、ボンディングヘッド25からはんだが供給されて、水素還元チャンバ24内において基板10にベアチップ11がはんだ接合され、完成品である電子部品が製造されるようになっている。
【0028】
そして、ボンディングヘッド25には、ベアチップ11を吸着保持するためのベアチップ保持治具12が備わっている。このベアチップ保持治具12は、図2(a)に示すように、その下面が開放され上面が平坦である箱体形状をなすものである。なお、図2(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。ベアチップ保持治具12の上面には、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路13が接続されている。なお、真空吸着用流路13は、図示しない真空ポンプ(吸引源)に接続されている。また、ベアチップ保持治具12の側壁14は、ベアチップ11を真空吸着した状態で基板10上に載置した際、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成されるような高さとなっている。さらに、ベアチップ保持治具12の一側壁には、開口部15が形成されている。この開口部15は、溶融はんだの供給口となるものである。また、ボンディングヘッド25は、はんだ16を鉛直方向に保持しつつ開口部15の近傍に供給することができるようになっている。
【0029】
次に、上記の構成を有する電子部品製造装置におけるボンディング行程について図2を参照しながら詳細に説明する。図2は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。まず、ベアチップ搬送ロボット23によって、ベアチップ11がベアチップ置き場22から水素還元チャンバ24内に搬送される。ベアチップ11が水素還元チャンバ24内に搬送されると、ベアチップ11は、ボンディングヘッド25に備わるベアチップ保持治具12に真空吸着される。また、基板搬送ロボット21によって、基板10が基板置き場20から水素還元チャンバ24内に搬送される。そして、搬送されてきた基板10上に、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具12が載置される(図2(a))。これにより、ベアチップ保持治具12の側壁14が基板10に接地するため、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。すなわち、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成される。その結果、溶融はんだの毛細管現象が生じやすくなる。
【0030】
続いて、ボンディングヘッド25からはんだ16が基板10上に供給される。より詳細に述べると、ベアチップ保持治具12の開口部15の側方に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。このとき、はんだ16に形成されている酸化物16bも溶融するが、溶融はんだ16aと酸化物16bとの比重差により、酸化物16bは溶融はんだ16aの表面に浮かんでくる。つまり、未酸化状態の溶融はんだ16aが酸化物16bによる酸化膜で被覆された状態となる(図2(b))。
【0031】
その後、溶融はんだ16aの量が増加していき、溶融はんだ16aがベアチップ11に到達すると、溶融はんだ16a表面の酸化膜16bが破られて未酸化状態の溶融はんだ16aが、毛細管現象およびはんだ濡れ作用によって、基板10とベアチップ11との隙間に侵入していく(図2(c))。このとき、基板10とベアチップ11との隙間は、均一に50μm程度に保たれているから、溶融はんだ16aを確実に隙間に侵入させることができる。なお、はんだ濡れ性を良くするために、基板10の表面にはニッケルメッキを施し、ベアチップ11のはんだ付着面には金メッキあるいはニッケルメッキを施していることが望ましい。
【0032】
そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aが基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。一方、溶融はんだ16aの表面に浮かんでいた酸化物16bは、基板10とベアチップ11との隙間の側方で基板10上に残留する。つまり、基板10とベアチップ11との隙間には、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが供給されるため、ボイドの発生が防止される。なお、基板10上に残留した酸化物16bは、はんだ接合が終了した後に除去される。
【0033】
ここで、ベアチップ11の下面四隅にまで溶融はんだ16aが供給されないおそれがある場合(例えば、ベアチップ11が大きい場合など)には、はんだ16の供給を停止した後にスクラブ動作を行うのがよい。スクラブ動作を行うことにより、ベアチップ11の下面四隅にまで溶融はんだ16aを確実に供給することができるからである。ただし、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置したままの状態でスクラブ動作を行うと基板10が傷つくため、ベアチップ保持治具12を若干上昇させてスクラブ動作を行う必要がある(図2(e))。
【0034】
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係るボンディング行程によれば、一側壁に開口部15が形成されたベアチップ保持治具12を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させるので、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが基板10とベアチップ11との隙間に供給される一方、酸化物16bはベアチップ保持治具12の開口部15の近傍に残留するので、非常にボイドの少ないはんだ接合を行うことができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第1の実施の形態と同じであるが、ベアチップ11を吸着保持する行程が若干異なる。このため、ベアチップ保持治具の構成が第1の実施の形態で述べたものと若干異なっている。
【0036】
そこでまず、本実施の形態で用いるベアチップ保持治具について説明する。ベアチップ保持治具32は、図3(a)に示すように、第1の実施の形態におけるベアチップ保持治具12と同様、その下面が開放され上面が平坦である箱体形状をなすものである。なお、図3(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。そして、ベアチップ保持治具32の一側壁に形成された開口部35の上部に、保護壁36が形成されている。この保護壁36は、ベアチップ11を吸着したときにベアチップ11の側面を覆い保護するものである。したがって、保護壁36の高さは、ベアチップ11の厚みとほぼ同じになっている。また、ベアチップ保持治具32の上面にも、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路33が接続されている。さらに、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁34も形成されている。
【0037】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具32を用いて行うボンディング行程について図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具32に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具32が、基板10上に載置される(図3(a))。これにより、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁36によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。すなわち、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成される。
【0038】
次いで、ボンディングヘッド25から、ベアチップ保持治具32の開口部35の側方にはんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融し、溶融はんだ16aと酸化物16bとの比重差により、未酸化状態の溶融はんだ16aが酸化物16bによる酸化膜で被覆された状態となる(図3(b))。
【0039】
その後、溶融はんだ16aの量が増加していき、溶融はんだ16aがベアチップ11に到達すると、溶融はんだ16a表面の酸化膜16bが破られて未酸化状態の溶融はんだ16aが、毛細管現象およびはんだ濡れ作用によって、基板10とベアチップ11との隙間に侵入していく(図3(c))。このとき、基板10とベアチップ11との隙間は、均一に50μm程度に保たれているから、毛細管現象が生じその隙間に溶融はんだ16aが確実に侵入していく。
【0040】
ここで、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁36によって覆われ保護されている。したがって、過剰な溶融はんだ16aが供給された場合であっても、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することがない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されることはない。
【0041】
そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aはベアチップ11の側面に付着することなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。一方、溶融はんだ16aの表面に浮かんでいた酸化物16bは、基板10とベアチップ11との隙間の側方で基板10上に残留する。したがって、基板10とベアチップ11との隙間には、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが供給されるため、ボイドの発生が防止される。
【0042】
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係るボンディング行程によれば、一側壁に開口部35が形成されたベアチップ保持治具32を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具32を基板10に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させるので、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが基板10とベアチップ11との隙間に供給される一方、酸化物16bはベアチップ保持治具32の開口部35の近傍に残留するので、非常にボイドの少ないはんだ接合を行うことができる。
【0043】
また、ベアチップ保持治具32に形成された開口部35の上部に保護壁36を設けているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁36により覆われて保護される。そのため、ベアチップ11の側面へ溶融はんだ16aが付着することを確実に防止することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第2の実施の形態と同じであるが、はんだを供給する行程が若干異なる。このため、ボンディングヘッドの構成が第2の実施の形態で述べたものと若干異なっている。
【0045】
そこでまず、本実施の形態で用いるボンディングヘッドについて図4を用いて説明する。図4は、ボンディングヘッド25aの概略構成を示す正面図である。ボンディングヘッド25aには、図4に示すように、はんだ16を供給するはんだ供給装置41と、ベアチップ11を真空吸着するベアチップ保持治具42とが備わっている。はんだ供給装置41は、水平面に対して約45度の角度で取り付けられている。これにより、はんだ供給装置41は、はんだ16を斜め方向から基板10上へ供給することができるようになっている。
【0046】
また、ベアチップ保持治具42は、図5(a)に示すように、第2の実施の形態におけるベアチップ保持治具32と基本的構成を同じくするが、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔47が設けられている点が異なる。なお、図5(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。また、ベアチップ保持治具42の上面にも、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路43が接続されている。また、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁44も形成されている。さらに、ベアチップ11の側面を保護するための保護壁46も設けられている。
【0047】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具42を用いて行うボンディング行程について、図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具42に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具42が、基板10上に載置される(図5(a))。このとき、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁46によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。
【0048】
次いで、はんだ供給装置41から、ベアチップ保持治具42に設けられたはんだ供給孔47に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。この溶融はんだ16aは、まず保護壁46の先端部に到達するが、この部分で流れが阻害されて基板10とベアチップ11との隙間に流れ込まずに詰まってしまうおそれがある(図5(b))。なぜなら、保護壁46の材質がはんだと馴染みにくいもの(例えば、チタンなど)であり、連続使用によりこの部位に汚れなどが堆積するからである。
【0049】
しかしながら、本実施の形態においては、はんだ16を斜め方向から供給しているため、溶融はんだ16aに対しはんだ16を供給する力の水平方向の分力、つまり基板10とベアチップ11との隙間内に押し込もうとする力が作用する。このため、溶融はんだ16aは、保護壁46の先端部で流れが阻害されても詰まることはなく、基板10とベアチップ11との隙間に流れ込んでいく(図5(c))。すなわち、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。
【0050】
また、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁46によって覆われ保護されている。したがって、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することはない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されない。そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが、保護壁46の先端部で詰まることなく、また、ベアチップ11の側面に付着することもなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。したがって、ボイドの発生も防止される。
【0051】
以上、詳細に説明したように第3の実施の形態に係るボンディング行程によれば、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔47が形成されたベアチップ保持治具42を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具42を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方に斜め方向からはんだ16を供給して基板10上ではんだを溶融させ、はんだ16を供給する力の水平方向分力、毛細管現象、およびはんだの濡れ作用を利用して、溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。このため、保護壁46の先端部における溶融はんだ16aの詰まりが防止され、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0052】
また、ベアチップ保持治具42には保護壁46が設けられているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁46により覆われて保護されるので、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着してはんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0053】
(第4の実施の形態)
最後に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第3の実施の形態と同じであるが、はんだを供給する行程が若干異なる。このため、ベアチップ保持治具の構成が第3の実施の形態で述べたものと若干異なっている。なお、ボンディングヘッドの構成は第3の実施の形態のものと同じである。
【0054】
そこでまず、本実施の形態で用いるベアチップ保持治具について図6(a)を用いて説明する。なお、図6(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。ベアチップ保持治具52は、図6に示すように、第3の実施の形態におけるベアチップ保持治具42と基本的構成を同じくするが、溶融はんだ16aを吸引するためのはんだ吸引孔58が設けられている点が異なる。なお、ベアチップ保持治具52の上面には、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路53が接続されている。また、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁54も形成されている。さらに、ベアチップ11の側面を保護するための保護壁56も設けられている。さらにまた、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔57も設けられている。
【0055】
そして、はんだ吸引孔58は、はんだ供給孔47とは反対側の端部に形成されている。このはんだ吸引孔58は、真空吸着用流路53に連通しており、図示しない同一の真空ポンプ(吸引源)に接続されている。もちろん、別々に真空ポンプを設けることもできるが、装置の簡素化の観点からは共通化することが望ましい。このはんだ吸引孔58により、基板10とベアチップ11との隙間に供給される溶融はんだ16aを吸引することができるようになっている(図6(c)参照)。
【0056】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具52を用いて行うボンディング行程について、図6を参照しながら詳細に説明する。図6は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具52に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具52が、基板10上に載置される(図6(a))。このとき、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁56によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。
【0057】
次いで、ボンディングヘッド25aに備わるはんだ供給装置41から、ベアチップ保持治具52に設けられたはんだ供給孔57に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。この溶融はんだ16aは、まず保護壁56の先端部に到達するが、上記した理由により、この部分で流れが阻害されて基板10とベアチップ11との隙間に流れ込まずに詰まってしまうおそれがある(図6(b))。
【0058】
しかしながら、本実施の形態においては、はんだ吸引孔58から基板10とベアチップ11との隙間に存在する空気を吸引しているので、保護壁56の先端部で溶融はんだ16aが詰まると、基板10とベアチップ11との隙間内において真空度が上昇する。言い換えると、保護壁56の先端部で詰まった溶融はんだ16aが吸引される。このため、溶融はんだ16aに対して、基板10とベアチップ11との隙間内に引き込もうとする力が働く。また、はんだ16を斜め方向から供給しているため、溶融はんだ16aには、はんだ16を供給する力の水平方向の分力、つまり基板10とベアチップ11との隙間内に押し込もうとする力が作用する。これらのことにより、溶融はんだ16aは、保護壁56の先端部で流れが阻害されても詰まることはなく、基板10とベアチップ11との隙間に確実に流れ込んでいく(図6(c))。すなわち、溶融はんだ16aの詰まりをより確実に防止することができる。
【0059】
また、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁56によって覆われ保護されている。したがって、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することはない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されない。そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが、保護壁56の先端部で詰まることなく、また、ベアチップ11の側面に付着することもなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。したがって、ボイドの発生も防止される。
【0060】
以上、詳細に説明したように第4の実施の形態に係るボンディング行程によれば、溶融はんだ16aを吸引するためのはんだ吸引孔58が形成されたベアチップ保持治具52を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具52を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用するとともに、はんだ吸引孔58から溶融はんだ16aを吸引して、溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。このため、保護壁56の先端部における溶融はんだ16aの詰まりが防止され、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0061】
また、はんだ16を斜め方向から供給しているので、はんだ16を供給する力の水平方向分力が溶融はんだ16aに作用するため、保護壁56の先端部における溶融はんだ16aの詰まりをより確実に防止することができる。さらに、ベアチップ保持治具52には保護壁56が設けられているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁56により覆われて保護されるので、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着してはんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0062】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、第1の実施の形態において、第3あるいは第4の実施の形態で述べたはんだの供給方法(斜めに供給する方法あるいは吸引しながら供給する方法)を適用することもできる。これにより、基板10とベアチップ11との隙間全体に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0063】
また、第3および第4の実施の形態では、はんだ供給孔47,57が形成されたベアチップ保持治具42,52を用いているが、はんだ供給孔47,57孔が形成されていない第2の実施の形態におけるベアチップ保持治具32を用いて、はんだ16を斜め方向から供給することもできる。このようにしても、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。
【0064】
さらに、第4の実施の形態においては、はんだ16を斜め方向から供給しているが、第1あるいは第2の実施の形態で示したように、はんだ16を鉛直方向から供給することもできる。このようにしても、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。つまり、溶融はんだ16aを吸引するだけでも、溶融はんだ16aの詰まりを十分に防止することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係るベアチップのマウント方法によれば、水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具を基板に載置することにより、基板とベアチップとの間に隙間を形成し、隙間の側方であってかつ開口部の近傍から基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させ、開口部から基板上で溶融させたはんだを隙間に侵入させることにより、基板とベアチップとの隙間には未酸化状態の溶融はんだのみを供給することができる。このため、基板とベアチップとは、ボイドの少ないはんだ接合が行われる。
【0066】
また、開口部の上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されており、そのベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持し、保護壁でベアチップの側面を保護するので、ベアチップ側面へのはんだ付着を確実に防止することができる。
【0067】
さらに、基板とベアチップとの隙間に侵入する溶融はんだの進行方向に力が作用するようにはんだを斜めにして基板上に供給する、あるいは基板とベアチップとの隙間に侵入する溶融はんだを吸引しながら基板上にはんだを供給するので、溶融はんだを基板とベアチップとの隙間全体に供給することができる。また、ベアチップ保持治具に保護壁を形成した場合には、保護壁先端部での溶融はんだの詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子部品製造装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は供給されたはんだが溶融し始めた状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示し、(d)ははんだの供給を停止した状態を示し、(e)はスクラブ動作を行っている状態を示している。
【図3】第2の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は供給されたはんだが溶融し始めた状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図4】第3の実施の形態に係るボンディング行程を実施するボンディングヘッドの概略構成を示す正面図である。
【図5】第3の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は溶融はんだが保護壁先端部に到達した状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図6】第4の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は溶融はんだが保護壁先端部に到達した状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図7】従来の水素還元ダイボンド法の原理を説明するための図である。
【図8】従来の水素還元ダイボンド法によるはんだ付け方法を説明するための図であり、(a)ははんだを寝かした状態で供給する場合を示し、(b)ははんだを立てた状態で供給する場合を示している。
【図9】従来の水素還元ダイボンド法による、別のはんだ付け方法を説明するための図である。
【図10】従来の水素還元ダイボンド法による、さらに別のはんだ付け方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 基板
11 ベアチップ
12,32,42,52 ベアチップ保持治具
13,33,43,53 真空吸着用流路
14,34,44,54 側壁
15,35 開口部
16 はんだ
16a 溶融はんだ
16b 酸化物
25,25a ボンディングヘッド
36,46,56 保護壁
47,57 はんだ供給孔
58 はんだ吸引孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法に関する。さらに詳細には、水素還元ダイボンド法によりはんだ接合を行うベアチップのマウント方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えばパワートランジスタ等の電子部品の接合には、水素還元雰囲気中ではんだ付けを行う水素還元ダイボンド法が用いられている。この水素還元ダイボンド法は、図7に示すように、水素還元雰囲気中において、基板100の表面の酸化物を除去し、その基板100を加熱して、その加熱された基板100上にはんだ106を供給する。そして、はんだ106が供給された所へ素子101をセットした後にスクラブ動作を行って基板100と素子101とを接合する方法である。
【0003】
ところが、上記した方法では、供給されるはんだ106の表面に形成されている酸化物を除去することができない。このため、スクラブ動作を行うことにより、酸化物を粉砕してボイドの発生を抑制している。しかしながら、スクラブ動作によっても酸化物を完全に除去することはできない。そのため、ある程度(5%程度)のボイドの発生を容認しなければならなかった。
【0004】
そこで、水素還元ダイボンド法においてボイドの発生を防止するための方法が種々提案されている。そのうちの1つとして、例えば特開平6−23534号公報に開示された方法がある。ここに開示された方法は、図8に示すように、基板100と素子101との接合領域外にはんだ106を置き、溶融したはんだ106を毛細管現象により接合領域に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。なお、はんだ106の置き方として、図8(a)に示すように寝かした状態で置く場合と、図8(b)に示すように治具107を用いて直立させた状態で置く場合が挙げられている。
【0005】
また、別の方法として、特開平9−51049号公報に開示された方法がある。この方法は、図9に示すように、接合する一方の部品110に突起115を設け、その突起115で他方の部品111を支持して、部品110と部品111との間に隙間を形成し、その隙間の側方からはんだ106を供給して、溶融したはんだ106aを毛細管現象により隙間に侵入させてはんだ付けすることにより、はんだ接合部におけるボイドの発生を少なくするようにしている。そして、突起115によって支持されている部品111の中央部を加圧して撓ませることにより、はんだ供給部の毛細管現象を助けるようにしている。
【0006】
さらに、別の方法として、特開平8−288319号公報に開示された方法もある。この方法は、図10に示すように、素子121をコレット122にて吸着することにより、基板120と素子121との間に隙間を形成し、コレット122の側壁に形成されている開口に接続した注入管128から溶融はんだ106aを流し込むようになっている。そして、基板120と素子121との隙間内に存在するエアーを、注入管128から流し込む溶融はんだ106aによって、コレット122の側壁に開口したエアーベント129から押し出すことにより、ボイドの発生を防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−23534号公報に開示された方法では、素子101の下面に溶融したはんだ106が侵入しにくいという問題があった。なぜなら、基板100と素子101とが接している、つまり基板100と素子101との間に隙間がないため、溶融したはんだ106の浸透性が悪く毛細管現象が起こりにくいからである。
【0008】
これに対し、特開平9−51049号公報に開示された方法では、部品110に突起を設けて、部品110と部品111との間に隙間を形成しているため、溶融はんだ106aが侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、部品110に突起115を設定する必要があり、部品110の形状が複雑になってしまう。このため、製品のコストアップを招来するという問題がある。また、はんだには熱応力を緩和する働きがあるが、はんだ層に突起115が介在することになるため、はんだの熱応力緩和の働きを阻害してしまうという問題がある。さらに、はんだ供給部の毛細管現象を助けるために部品111の中央部を撓ませているが、突起115に支持される部品111がベアチップなどの脆いものであると割れてしまうという問題がある。
【0009】
また、特開平8−288319号公報に開示された方法でも、基板120と素子121との間に隙間が形成されるので、溶融はんだ106aが基板120と素子121との間に侵入しにくいという問題は解消されている。ところが、この方法では、供給する溶融はんだ106aに含まれる酸化物も一緒に基板120と素子121との隙間に流れ込む。このため、流し込む溶融はんだ106aに含まれる酸化物が原因でボイドが発生するという問題がある。
【0010】
さらに上記した特開平6−23534号公報、特開平9−51049号公報、および特開平8−288319号公報に開示された方法はすべて、接合領域の側方から溶融はんだ106aが供給されるため、素子(部品)101,111,121の側面に、溶融はんだ106aが付着してはんだブリッジが形成されるおそれがあり、製品の品質上問題があった。素子の側面にはんだが付着してはんだブリッジが形成されると、素子内での短絡が生じてしまい素子の電気特性が変化してしまうからである。
【0011】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、ボイドの発生を防止するとともにベアチップ下面へ確実にはんだを供給し、また、ベアチップ側面へのはんだ付着を防止することができるベアチップのマウント方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するためになされた本発明に係るベアチップのマウント方法は、水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、少なくとも一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具を基板に載置することにより、基板とベアチップとの間に隙間を形成し、隙間の側方であってかつ開口部の近傍から基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させ、開口部から基板上で溶融させたはんだを隙間に侵入させることにより、基板とベアチップとをはんだ接合することを特徴とする。
【0013】
このベアチップのマウント方法では、まず、少なくとも一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具によって、ベアチップが吸着保持される。そして、その状態でベアチップ保持治具が基板上に載置される。これにより、ベアチップと基板との間に確実に隙間が形成される。そして、基板とベアチップとの間に形成された隙間の側方であって、かつベアチップ保持治具に形成された開口部の近傍から、基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させる。基板上で溶融したはんだには、元々、はんだに形成されていた酸化物も含まれているが、比重差により酸化物は表面に浮かんでくる。つまり、未酸化の溶融はんだが酸化物に被覆されたような状態となる。
【0014】
そして、はんだが供給され続けると溶融はんだの量が増えていき、基板上に溶融はんだが広がりベアチップ下面に到達する。そうすると、溶融はんだの表面に形成された酸化膜が破れ、未酸化状態の溶融はんだが毛細管現象と濡れ作用により、基板とベアチップとの間の隙間に侵入していく。その後、所定量のはんだが供給されると、未酸化状態の溶融はんだが基板とベアチップとの間の隙間全体に充填される。すなわち、ベアチップ下面に確実にはんだを供給することができる。また、溶融はんだの上方に浮かんでいた酸化物は、基板とベアチップとの隙間の側方で基板上に残留する。すなわち、ベアチップ下面には、酸化物が侵入しないので、ボイドの発生を防止することができる。
【0015】
ここで、ベアチップ保持治具は、毛細管現象が発生しやすい高さにベアチップを保持するようにするのが好ましい。具体的には、基板とベアチップとの隙間が50〜200μm程度、望ましく50μm程度になるようにするのがよい。なぜなら、基板とベアチップとの隙間が50μm以下となるようにすると、ベアチップ保持治具の製品誤差によって、基板とベアチップとの間に隙間が確保されないおそれがあるからである。一方、基板とベアチップとの隙間が200μm以上であると、はんだの供給が追いつかずにベアチップ下面に空気が入り込んでしまい、ボイドが発生するおそれがあるからである。
【0016】
本発明に係るベアチップのマウント方法においては、開口部の上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されており、ベアチップをベアチップ保持治具にて吸着保持し、保護壁でベアチップの側面を保護することにより、ベアチップの側面へのはんだの付着を防止することが望ましい。
【0017】
このベアチップのマウント方法では、開口部上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持する。このため、ベアチップの側面は開口部上部に形成された保護壁により保護される。したがって、基板とベアチップとの間に形成された隙間の側方から溶融はんだを供給しても、ベアチップの側面に溶融はんだが付着することがない。よって、ベアチップ側面ではんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0018】
また、本発明に係るベアチップのマウント方法においては、隙間に侵入する溶融はんだの進行方向に力が作用するようにはんだを斜め方向から基板上に供給することが望ましい。
【0019】
はんだを斜め方向から供給することにより、はんだを供給する力の水平方向分力によって溶融はんだが進行方向へと押され、溶融はんだが基板とベアチップとの間に形成される隙間により侵入しやすくなるからである。
【0020】
ここで、はんだを斜め方向から供給する場合、はんだと基板とがなす角度を小さくした方が、溶融はんだを進行方向へ押す力は大きくなる。その一方、はんだと基板とがなす角度を小さくしていくと、溶融はんだの表面に存在する酸化物も基板とベアチップとの隙間に侵入しやすくなる。したがって、基板とベアチップとの隙間に溶融はんだの表面に存在する酸化物が侵入しない角度範囲内において、はんだの供給角度を決定すればよい。
【0021】
また、ベアチップ保持治具に保護壁を形成すると、溶融はんだは保護壁先端部に触れた後にベアチップ下面に到達する。そして、ベアチップ保持治具(保護壁)の材質には、通常、はんだと馴染みにくいものが使用される。したがって、保護壁先端部付近で溶融はんだの進行が阻害され、その部分で溶融はんだが詰まってしまうおそれがある。しかしながら、はんだを斜め方向から供給することにより、溶融はんだの進行方向、つまり基板とベアチップとの隙間内に侵入する方向に力が働くので溶融はんだの詰まりを防止することができる。
【0022】
あるいは、本発明に係るベアチップのマウント方法においては、隙間に侵入する溶融はんだを吸引しながら基板上にはんだを供給することが望ましい。
【0023】
溶融はんだを吸引しながらはんだを供給することにより、溶融はんだが基板とベアチップとの間に形成された隙間により侵入しやすくなるからである。また、上記したようにベアチップ保持治具に保護壁を形成すると、保護壁先端部付近で溶融はんだが詰まってしまうおそれがあるが、溶融はんだを吸引することにより、溶融はんだの詰まりを防止することができるからである。
【0024】
なお、溶融はんだを吸引する吸引源とベアチップを吸着保持するための吸引源とを共通化することにより装置構成を簡素化することができる。具体的には、ベアチップ保持治具に形成するはんだ吸引用流路とベアチップ吸着用流路とを連通させることにより吸引源を簡単に共通化することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のベアチップのマウント方法を具体化した最も好適な実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。本実施の形態は、電子部品製造装置のボンディング行程に本発明を適用したものである。
【0026】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係るボンディング行程を実施するための電子部品製造装置の概略構成を図1に示す。図1は、電子部品製造装置の概略を示す平面図である。
【0027】
この電子部品製造装置には、基板置き場20から基板10を搬送するための基板搬送ロボット21と、ベアチップ置き場22からベアチップ11を搬送するためのベアチップ搬送ロボット23と、水素還元雰囲気を作り出すための水素還元チャンバ24と、基板10にベアチップ11をはんだ接合するためのボンディングヘッド25と、基板10にベアチップ11がマウントされた完成品を完成品置き場26へ搬送するための完成品搬送ロボット27とが備わっている。そして、この電子部品製造装置では、ボンディングヘッド25からはんだが供給されて、水素還元チャンバ24内において基板10にベアチップ11がはんだ接合され、完成品である電子部品が製造されるようになっている。
【0028】
そして、ボンディングヘッド25には、ベアチップ11を吸着保持するためのベアチップ保持治具12が備わっている。このベアチップ保持治具12は、図2(a)に示すように、その下面が開放され上面が平坦である箱体形状をなすものである。なお、図2(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。ベアチップ保持治具12の上面には、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路13が接続されている。なお、真空吸着用流路13は、図示しない真空ポンプ(吸引源)に接続されている。また、ベアチップ保持治具12の側壁14は、ベアチップ11を真空吸着した状態で基板10上に載置した際、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成されるような高さとなっている。さらに、ベアチップ保持治具12の一側壁には、開口部15が形成されている。この開口部15は、溶融はんだの供給口となるものである。また、ボンディングヘッド25は、はんだ16を鉛直方向に保持しつつ開口部15の近傍に供給することができるようになっている。
【0029】
次に、上記の構成を有する電子部品製造装置におけるボンディング行程について図2を参照しながら詳細に説明する。図2は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。まず、ベアチップ搬送ロボット23によって、ベアチップ11がベアチップ置き場22から水素還元チャンバ24内に搬送される。ベアチップ11が水素還元チャンバ24内に搬送されると、ベアチップ11は、ボンディングヘッド25に備わるベアチップ保持治具12に真空吸着される。また、基板搬送ロボット21によって、基板10が基板置き場20から水素還元チャンバ24内に搬送される。そして、搬送されてきた基板10上に、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具12が載置される(図2(a))。これにより、ベアチップ保持治具12の側壁14が基板10に接地するため、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。すなわち、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成される。その結果、溶融はんだの毛細管現象が生じやすくなる。
【0030】
続いて、ボンディングヘッド25からはんだ16が基板10上に供給される。より詳細に述べると、ベアチップ保持治具12の開口部15の側方に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。このとき、はんだ16に形成されている酸化物16bも溶融するが、溶融はんだ16aと酸化物16bとの比重差により、酸化物16bは溶融はんだ16aの表面に浮かんでくる。つまり、未酸化状態の溶融はんだ16aが酸化物16bによる酸化膜で被覆された状態となる(図2(b))。
【0031】
その後、溶融はんだ16aの量が増加していき、溶融はんだ16aがベアチップ11に到達すると、溶融はんだ16a表面の酸化膜16bが破られて未酸化状態の溶融はんだ16aが、毛細管現象およびはんだ濡れ作用によって、基板10とベアチップ11との隙間に侵入していく(図2(c))。このとき、基板10とベアチップ11との隙間は、均一に50μm程度に保たれているから、溶融はんだ16aを確実に隙間に侵入させることができる。なお、はんだ濡れ性を良くするために、基板10の表面にはニッケルメッキを施し、ベアチップ11のはんだ付着面には金メッキあるいはニッケルメッキを施していることが望ましい。
【0032】
そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aが基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。一方、溶融はんだ16aの表面に浮かんでいた酸化物16bは、基板10とベアチップ11との隙間の側方で基板10上に残留する。つまり、基板10とベアチップ11との隙間には、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが供給されるため、ボイドの発生が防止される。なお、基板10上に残留した酸化物16bは、はんだ接合が終了した後に除去される。
【0033】
ここで、ベアチップ11の下面四隅にまで溶融はんだ16aが供給されないおそれがある場合(例えば、ベアチップ11が大きい場合など)には、はんだ16の供給を停止した後にスクラブ動作を行うのがよい。スクラブ動作を行うことにより、ベアチップ11の下面四隅にまで溶融はんだ16aを確実に供給することができるからである。ただし、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置したままの状態でスクラブ動作を行うと基板10が傷つくため、ベアチップ保持治具12を若干上昇させてスクラブ動作を行う必要がある(図2(e))。
【0034】
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係るボンディング行程によれば、一側壁に開口部15が形成されたベアチップ保持治具12を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具12を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させるので、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが基板10とベアチップ11との隙間に供給される一方、酸化物16bはベアチップ保持治具12の開口部15の近傍に残留するので、非常にボイドの少ないはんだ接合を行うことができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第1の実施の形態と同じであるが、ベアチップ11を吸着保持する行程が若干異なる。このため、ベアチップ保持治具の構成が第1の実施の形態で述べたものと若干異なっている。
【0036】
そこでまず、本実施の形態で用いるベアチップ保持治具について説明する。ベアチップ保持治具32は、図3(a)に示すように、第1の実施の形態におけるベアチップ保持治具12と同様、その下面が開放され上面が平坦である箱体形状をなすものである。なお、図3(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。そして、ベアチップ保持治具32の一側壁に形成された開口部35の上部に、保護壁36が形成されている。この保護壁36は、ベアチップ11を吸着したときにベアチップ11の側面を覆い保護するものである。したがって、保護壁36の高さは、ベアチップ11の厚みとほぼ同じになっている。また、ベアチップ保持治具32の上面にも、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路33が接続されている。さらに、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁34も形成されている。
【0037】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具32を用いて行うボンディング行程について図3を参照しながら詳細に説明する。図3は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具32に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具32が、基板10上に載置される(図3(a))。これにより、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁36によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。すなわち、基板10とベアチップ11との間に50μm程度の隙間が形成される。
【0038】
次いで、ボンディングヘッド25から、ベアチップ保持治具32の開口部35の側方にはんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融し、溶融はんだ16aと酸化物16bとの比重差により、未酸化状態の溶融はんだ16aが酸化物16bによる酸化膜で被覆された状態となる(図3(b))。
【0039】
その後、溶融はんだ16aの量が増加していき、溶融はんだ16aがベアチップ11に到達すると、溶融はんだ16a表面の酸化膜16bが破られて未酸化状態の溶融はんだ16aが、毛細管現象およびはんだ濡れ作用によって、基板10とベアチップ11との隙間に侵入していく(図3(c))。このとき、基板10とベアチップ11との隙間は、均一に50μm程度に保たれているから、毛細管現象が生じその隙間に溶融はんだ16aが確実に侵入していく。
【0040】
ここで、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁36によって覆われ保護されている。したがって、過剰な溶融はんだ16aが供給された場合であっても、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することがない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されることはない。
【0041】
そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aはベアチップ11の側面に付着することなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。一方、溶融はんだ16aの表面に浮かんでいた酸化物16bは、基板10とベアチップ11との隙間の側方で基板10上に残留する。したがって、基板10とベアチップ11との隙間には、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが供給されるため、ボイドの発生が防止される。
【0042】
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係るボンディング行程によれば、一側壁に開口部35が形成されたベアチップ保持治具32を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具32を基板10に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用して溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させるので、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが基板10とベアチップ11との隙間に供給される一方、酸化物16bはベアチップ保持治具32の開口部35の近傍に残留するので、非常にボイドの少ないはんだ接合を行うことができる。
【0043】
また、ベアチップ保持治具32に形成された開口部35の上部に保護壁36を設けているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁36により覆われて保護される。そのため、ベアチップ11の側面へ溶融はんだ16aが付着することを確実に防止することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第2の実施の形態と同じであるが、はんだを供給する行程が若干異なる。このため、ボンディングヘッドの構成が第2の実施の形態で述べたものと若干異なっている。
【0045】
そこでまず、本実施の形態で用いるボンディングヘッドについて図4を用いて説明する。図4は、ボンディングヘッド25aの概略構成を示す正面図である。ボンディングヘッド25aには、図4に示すように、はんだ16を供給するはんだ供給装置41と、ベアチップ11を真空吸着するベアチップ保持治具42とが備わっている。はんだ供給装置41は、水平面に対して約45度の角度で取り付けられている。これにより、はんだ供給装置41は、はんだ16を斜め方向から基板10上へ供給することができるようになっている。
【0046】
また、ベアチップ保持治具42は、図5(a)に示すように、第2の実施の形態におけるベアチップ保持治具32と基本的構成を同じくするが、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔47が設けられている点が異なる。なお、図5(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。また、ベアチップ保持治具42の上面にも、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路43が接続されている。また、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁44も形成されている。さらに、ベアチップ11の側面を保護するための保護壁46も設けられている。
【0047】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具42を用いて行うボンディング行程について、図5を参照しながら詳細に説明する。図5は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具42に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具42が、基板10上に載置される(図5(a))。このとき、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁46によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。
【0048】
次いで、はんだ供給装置41から、ベアチップ保持治具42に設けられたはんだ供給孔47に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。この溶融はんだ16aは、まず保護壁46の先端部に到達するが、この部分で流れが阻害されて基板10とベアチップ11との隙間に流れ込まずに詰まってしまうおそれがある(図5(b))。なぜなら、保護壁46の材質がはんだと馴染みにくいもの(例えば、チタンなど)であり、連続使用によりこの部位に汚れなどが堆積するからである。
【0049】
しかしながら、本実施の形態においては、はんだ16を斜め方向から供給しているため、溶融はんだ16aに対しはんだ16を供給する力の水平方向の分力、つまり基板10とベアチップ11との隙間内に押し込もうとする力が作用する。このため、溶融はんだ16aは、保護壁46の先端部で流れが阻害されても詰まることはなく、基板10とベアチップ11との隙間に流れ込んでいく(図5(c))。すなわち、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。
【0050】
また、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁46によって覆われ保護されている。したがって、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することはない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されない。そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが、保護壁46の先端部で詰まることなく、また、ベアチップ11の側面に付着することもなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。したがって、ボイドの発生も防止される。
【0051】
以上、詳細に説明したように第3の実施の形態に係るボンディング行程によれば、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔47が形成されたベアチップ保持治具42を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具42を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方に斜め方向からはんだ16を供給して基板10上ではんだを溶融させ、はんだ16を供給する力の水平方向分力、毛細管現象、およびはんだの濡れ作用を利用して、溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。このため、保護壁46の先端部における溶融はんだ16aの詰まりが防止され、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0052】
また、ベアチップ保持治具42には保護壁46が設けられているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁46により覆われて保護されるので、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着してはんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0053】
(第4の実施の形態)
最後に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態に係るボンディング行程は、基本的には第3の実施の形態と同じであるが、はんだを供給する行程が若干異なる。このため、ベアチップ保持治具の構成が第3の実施の形態で述べたものと若干異なっている。なお、ボンディングヘッドの構成は第3の実施の形態のものと同じである。
【0054】
そこでまず、本実施の形態で用いるベアチップ保持治具について図6(a)を用いて説明する。なお、図6(a)は、ボンディング行程の一過程を示す図である。ベアチップ保持治具52は、図6に示すように、第3の実施の形態におけるベアチップ保持治具42と基本的構成を同じくするが、溶融はんだ16aを吸引するためのはんだ吸引孔58が設けられている点が異なる。なお、ベアチップ保持治具52の上面には、ベアチップ11を真空吸着するための真空吸着用流路53が接続されている。また、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成するための側壁54も形成されている。さらに、ベアチップ11の側面を保護するための保護壁56も設けられている。さらにまた、はんだ16を斜め方向から供給するためのはんだ供給孔57も設けられている。
【0055】
そして、はんだ吸引孔58は、はんだ供給孔47とは反対側の端部に形成されている。このはんだ吸引孔58は、真空吸着用流路53に連通しており、図示しない同一の真空ポンプ(吸引源)に接続されている。もちろん、別々に真空ポンプを設けることもできるが、装置の簡素化の観点からは共通化することが望ましい。このはんだ吸引孔58により、基板10とベアチップ11との隙間に供給される溶融はんだ16aを吸引することができるようになっている(図6(c)参照)。
【0056】
続いて、上記の構成を有するベアチップ保持治具52を用いて行うボンディング行程について、図6を参照しながら詳細に説明する。図6は、ボンディング行程の内容を説明するための図である。基板10、ベアチップ11、および完成品の各搬送についての説明は、第1の実施の形態と同様であるため省略する。まず、ベアチップ11がベアチップ保持治具52に真空吸着される。そして、ベアチップ11を真空吸着したベアチップ保持治具52が、基板10上に載置される(図6(a))。このとき、はんだ供給側のベアチップ11の側面が、保護壁56によって覆われて保護される。また、ベアチップ11は基板10に対して所定の高さ(50μm程度)に保持される。
【0057】
次いで、ボンディングヘッド25aに備わるはんだ供給装置41から、ベアチップ保持治具52に設けられたはんだ供給孔57に、はんだ16が供給される。そうすると、供給されたはんだ16は基板10上で溶融する。この溶融はんだ16aは、まず保護壁56の先端部に到達するが、上記した理由により、この部分で流れが阻害されて基板10とベアチップ11との隙間に流れ込まずに詰まってしまうおそれがある(図6(b))。
【0058】
しかしながら、本実施の形態においては、はんだ吸引孔58から基板10とベアチップ11との隙間に存在する空気を吸引しているので、保護壁56の先端部で溶融はんだ16aが詰まると、基板10とベアチップ11との隙間内において真空度が上昇する。言い換えると、保護壁56の先端部で詰まった溶融はんだ16aが吸引される。このため、溶融はんだ16aに対して、基板10とベアチップ11との隙間内に引き込もうとする力が働く。また、はんだ16を斜め方向から供給しているため、溶融はんだ16aには、はんだ16を供給する力の水平方向の分力、つまり基板10とベアチップ11との隙間内に押し込もうとする力が作用する。これらのことにより、溶融はんだ16aは、保護壁56の先端部で流れが阻害されても詰まることはなく、基板10とベアチップ11との隙間に確実に流れ込んでいく(図6(c))。すなわち、溶融はんだ16aの詰まりをより確実に防止することができる。
【0059】
また、はんだ供給側のベアチップ11の側面は、保護壁56によって覆われ保護されている。したがって、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着することはない。このため、ベアチップ11の側面にはんだブリッジが形成されない。そして、所定量のはんだ16が供給されると、未酸化状態の溶融はんだ16aのみが、保護壁56の先端部で詰まることなく、また、ベアチップ11の側面に付着することもなく、基板10とベアチップ11との隙間全体に充填される。したがって、ボイドの発生も防止される。
【0060】
以上、詳細に説明したように第4の実施の形態に係るボンディング行程によれば、溶融はんだ16aを吸引するためのはんだ吸引孔58が形成されたベアチップ保持治具52を用いてベアチップ11を真空吸着した状態で、ベアチップ保持治具52を基板10上に載置することにより、基板10とベアチップ11との間に隙間を形成し、その隙間の側方にはんだ16を供給して基板10上ではんだ16を溶融させ、毛細管現象およびはんだの濡れ作用を利用するとともに、はんだ吸引孔58から溶融はんだ16aを吸引して、溶融はんだ16aを基板10とベアチップ11との隙間に侵入させる。このため、保護壁56の先端部における溶融はんだ16aの詰まりが防止され、基板10とベアチップ11との隙間に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0061】
また、はんだ16を斜め方向から供給しているので、はんだ16を供給する力の水平方向分力が溶融はんだ16aに作用するため、保護壁56の先端部における溶融はんだ16aの詰まりをより確実に防止することができる。さらに、ベアチップ保持治具52には保護壁56が設けられているので、ベアチップ11を真空吸着したとき、ベアチップ11の側面が保護壁56により覆われて保護されるので、ベアチップ11の側面に溶融はんだ16aが付着してはんだブリッジが形成されることを確実に防止することができる。
【0062】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、第1の実施の形態において、第3あるいは第4の実施の形態で述べたはんだの供給方法(斜めに供給する方法あるいは吸引しながら供給する方法)を適用することもできる。これにより、基板10とベアチップ11との隙間全体に溶融はんだ16aをより確実に供給することができる。
【0063】
また、第3および第4の実施の形態では、はんだ供給孔47,57が形成されたベアチップ保持治具42,52を用いているが、はんだ供給孔47,57孔が形成されていない第2の実施の形態におけるベアチップ保持治具32を用いて、はんだ16を斜め方向から供給することもできる。このようにしても、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。
【0064】
さらに、第4の実施の形態においては、はんだ16を斜め方向から供給しているが、第1あるいは第2の実施の形態で示したように、はんだ16を鉛直方向から供給することもできる。このようにしても、溶融はんだ16aの詰まりを防止することができる。つまり、溶融はんだ16aを吸引するだけでも、溶融はんだ16aの詰まりを十分に防止することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明に係るベアチップのマウント方法によれば、水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持した状態で、ベアチップ保持治具を基板に載置することにより、基板とベアチップとの間に隙間を形成し、隙間の側方であってかつ開口部の近傍から基板上にはんだを供給して基板上ではんだを溶融させ、開口部から基板上で溶融させたはんだを隙間に侵入させることにより、基板とベアチップとの隙間には未酸化状態の溶融はんだのみを供給することができる。このため、基板とベアチップとは、ボイドの少ないはんだ接合が行われる。
【0066】
また、開口部の上部にベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されており、そのベアチップ保持治具を用いてベアチップを吸着保持し、保護壁でベアチップの側面を保護するので、ベアチップ側面へのはんだ付着を確実に防止することができる。
【0067】
さらに、基板とベアチップとの隙間に侵入する溶融はんだの進行方向に力が作用するようにはんだを斜めにして基板上に供給する、あるいは基板とベアチップとの隙間に侵入する溶融はんだを吸引しながら基板上にはんだを供給するので、溶融はんだを基板とベアチップとの隙間全体に供給することができる。また、ベアチップ保持治具に保護壁を形成した場合には、保護壁先端部での溶融はんだの詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子部品製造装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は供給されたはんだが溶融し始めた状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示し、(d)ははんだの供給を停止した状態を示し、(e)はスクラブ動作を行っている状態を示している。
【図3】第2の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は供給されたはんだが溶融し始めた状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図4】第3の実施の形態に係るボンディング行程を実施するボンディングヘッドの概略構成を示す正面図である。
【図5】第3の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は溶融はんだが保護壁先端部に到達した状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図6】第4の実施の形態に係るボンディング行程の内容を説明するための図であり、(a)はベアチップ保持治具を基板上に載置した状態を示し、(b)は溶融はんだが保護壁先端部に到達した状態を示し、(c)は溶融はんだがベアチップ下面に侵入し始めた状態を示している。
【図7】従来の水素還元ダイボンド法の原理を説明するための図である。
【図8】従来の水素還元ダイボンド法によるはんだ付け方法を説明するための図であり、(a)ははんだを寝かした状態で供給する場合を示し、(b)ははんだを立てた状態で供給する場合を示している。
【図9】従来の水素還元ダイボンド法による、別のはんだ付け方法を説明するための図である。
【図10】従来の水素還元ダイボンド法による、さらに別のはんだ付け方法を説明するための図である。
【符号の説明】
10 基板
11 ベアチップ
12,32,42,52 ベアチップ保持治具
13,33,43,53 真空吸着用流路
14,34,44,54 側壁
15,35 開口部
16 はんだ
16a 溶融はんだ
16b 酸化物
25,25a ボンディングヘッド
36,46,56 保護壁
47,57 はんだ供給孔
58 はんだ吸引孔
Claims (4)
- 水素還元ダイボンド法により基板上にベアチップをはんだ接合するベアチップのマウント方法において、
少なくとも一方の端部に開口部が形成されたベアチップ保持治具を用いて前記ベアチップを吸着保持した状態で、前記ベアチップ保持治具を前記基板に載置することにより、前記基板と前記ベアチップとの間に隙間を形成し、
前記隙間の側方であってかつ前記開口部の近傍から前記基板上にはんだを供給して前記基板上ではんだを溶融させ、
前記開口部から前記基板上で溶融させたはんだを前記隙間に侵入させることにより、前記基板と前記ベアチップとをはんだ接合することを特徴とするベアチップのマウント方法。 - 請求項1に記載するベアチップのマウント方法において、
前記開口部の上部に前記ベアチップの側面を覆うための保護壁が形成されており、
前記ベアチップを前記ベアチップ保持治具にて吸着保持し、前記保護壁で前記ベアチップの側面を保護することにより、前記ベアチップの側面へのはんだの付着を防止することを特徴とするベアチップのマウント方法。 - 請求項1または請求項2に記載するベアチップのマウント方法において、
前記隙間に侵入する溶融はんだの進行方向に力が作用するようにはんだを斜め方向から前記基板上に供給することを特徴とするベアチップのマウント方法。 - 請求項1から請求項3に記載するいずれか1つのベアチップのマウント方法において、
前記隙間に侵入する溶融はんだを吸引しながら前記基板上にはんだを供給することを特徴とするベアチップのマウント方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002248106A JP2004087881A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベアチップのマウント方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002248106A JP2004087881A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | ベアチップのマウント方法 |
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