JP2005076610A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2005076610A
JP2005076610A JP2003311799A JP2003311799A JP2005076610A JP 2005076610 A JP2005076610 A JP 2005076610A JP 2003311799 A JP2003311799 A JP 2003311799A JP 2003311799 A JP2003311799 A JP 2003311799A JP 2005076610 A JP2005076610 A JP 2005076610A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scroll
silicon
scroll compressor
orbiting scroll
hard particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003311799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005076610A5 (ja
Inventor
Hideo Hirano
秀夫 平野
Hideto Oka
秀人 岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2003311799A priority Critical patent/JP2005076610A/ja
Publication of JP2005076610A publication Critical patent/JP2005076610A/ja
Publication of JP2005076610A5 publication Critical patent/JP2005076610A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】軽量化と高速回転による高効率化を達成しながらも、過度運転時においても旋回スクロールなどの摺動部材に焼付きが発生するおそれのない高い信頼性を有するスクロール圧縮機を提供する。
【解決手段】基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で旋回スクロール7を構成するとともに、旋回スクロール7の羽根7cにおける少なくとも先端部7eを表面研磨することにより、先端部7eの硬質粒子を先端部以外の部分よりも多く分布させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、業務用や非業務用を問わず各種用途での冷凍サイクルや空調システムなどの圧縮機として使用される圧縮機であって、主としてスクロール圧縮機に関するものである。
スクロール圧縮機には、静止した固定スクロールと、この固定スクロールと噛み合った状態で揺動する旋回スクロールとを備えている。図4に示すように、旋回スクロール30は、円板状の鏡板31と、この鏡板31の上面部31aから渦巻状に直立して形成されたラップ部32と、鏡板31の下部に形成された軸受部33とを備えて構成されている。ラップ部32の高さは、その肉厚の約6倍程度に設定されている。この旋回スクロール30は、従来において鉄系の鋳造品を切削して仕上げ加工されていたが、近年、旋回スクロール30は、スクロール圧縮機の高効率化を図るために、毎分1万回転前後の回転数が要求されるに到り、鉄系の材料からこれよりも比重の小さいアルミニウム合金へと転換して、高効率化および軽量化を図ることが要望されている。
そこで、従来では、図5に示すように、上記鏡板31およびラップ部32の基材部31b,32aを、30%のシリコンと若干のニッケル、マグネシウムを含有したアルミニウムダイキャスト品として一体形成し、鏡板31の上面部31aおよび側面部31d(図4)とラップ部32の表層部32bとを、基材部31b,32aと同じ材質、つまり10%以上のシリコンを含有するアルミニウム合金の粉末焼結材で構成した旋回スクロールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この旋回スクロールは、鏡板31およびラップ部32を上述のアルミニウム合金でダイキャスト成形したのちに、このダイキャスト成形品の基材部31b,32aの表面に同種材料の粉末焼結材をバインダとともにインサート成形により被覆し、バインダを除去したのちに焼結する工程を経て製造される。
上記のように構成された旋回スクロールは、軽量であるため、毎分1万回転前後の高速回転においても軸受機構などに対する面圧などのダメージが少ないものとなり、また、基材部31b,32aに偏析部が存在しても、表層部31a,32bがシリコン等を均一に分散した粉末焼結材であることから、切削仕上げ面も良好となるので、表面に疲労破壊の起点となるようなシリコンの脱落部が生じない信頼性の高いものとなる。したがって、この旋回スクロール30を搭載したスクロール圧縮機は、高速回転が可能となる上に、小型化、軽量化および高効率化を見込める。
特開平3−242486号公報
しかしながら、上記旋回スクロール30は、アルミニウム合金の粉末焼結体で形成され表層部31a,32bのシリコンがアルミニウムで覆われいるが、上述したインサート成形により被覆したのちにバインダを除去して焼結する工程を経ることにより、表層部31a,32bの最表面に部分的に薄いアルミニウムリッチ層が形成されており、この薄いアルミニウムリッチ層の存在によって以下のような課題がある。
すなわち、スクロール圧縮機では、過度運転時、特に除霜運転の開始時に液戻りが激しいために、旋回スクロール30の回りにおいて一時的に潤滑油が不足する事態が発生し、また、除霜が進行するに従って吐出圧力が上昇するが、その吐出圧力によって旋回スクロール30のスラスト面が固定スクロールに強く押し付けられるために、スラスト面で油膜切れが起こり易く、さらに、短時間で除霜を完了させることを目的として高速運転されるために、摩擦熱によってスラスト面の温度が高くなる。さらに、上記除霜などの過度運転時では、吸入温度と吐出温度との温度差が拡がることから、旋回スクロール30の中央部の羽根が大きく熱膨張して伸び、この羽根の先端部が固定スクロールと接触して潤滑油が切れ、これに伴う摩擦熱によって摺動温度が高くなって熱膨張が更に促進され、潤滑状態が一層厳しくなる。その結果、旋回スクロール30のスラスト面においては、シリコンを覆っている最表面の薄いアルミニウムリッチ層のシリコンに対する密着性が低いことから、アルミニウムリッチ層が剥離する可能性があり、剥離した場合に焼付きを起こすおそれがある。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、軽量化と高速回転による高効率化を達成しながらも、潤滑状態が厳しくなる過度運転時においても旋回スクロールなどの摺動部材に焼付きが発生するおそれのない高い信頼性を有するスクロール圧縮機を提供することを目的とするものである。
上記のような目的を達成するために、本発明のスクロール圧縮機は、基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で摺動部材を構成するとともに、前記摺動部材における少なくとも摺動面部分の前記硬質粒子を前記摺動面部分以外の部分よりも多く分布させたことを特徴としている。
このような構成では、摺動部材を軟質材料で構成して軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、摺動面部分に多く分布されている硬質粒子が摺動対向部材を支持するように機能するので、焼付きの発生が確実に防止されて、高い信頼性の圧縮機が得られる。
また、本発明のスクロール圧縮機は、基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で旋回スクロールを構成するとともに、前記旋回スクロールの羽根における少なくとも先端部の前記硬質粒子を前記先端部以外の部分よりも多く分布させたことを特徴としている。
このような構成では、旋回スクロールを軟質材料で構成して軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、羽根先端部に多く分布されている硬質粒子が固定スクロールの底面を支持するように機能するので、除霜などの過度運転時において厳しい潤滑状態となった場合においても焼付きの発生が確実に防止され、高い信頼性のスクロール圧縮機が得られる。
上記圧縮機の摺動部材またはスクロール圧縮機の旋回スクロールが軟質材料を用いた鋳造品であり、前記摺動部材の摺動面または前記旋回スクロールの羽根の先端部が、表面研磨を施して硬質粒子が露出されていることにより、前記硬質粒子が他の部分に比較して多く分布されている構成とすれば、鋳造による一体品とすることによって硬質粒子を軟質基材にばらつき無く分散させることができるとともに、硬質粒子を多く分布させる構成を容易に得ることができる。
また、旋回スクロールの羽根の先端部は、研削、バレル、バフまたは流体による機械的研磨あるいはエッチングなどによる化学的研磨が施されて、硬質粒子が他の部分に比較して多く露出されている構成とすれば、安価に製作することができる。
軟質基材として、アルミニウムを用いることが好ましく、また、軟質材料は、硬質粒子としてのシリコンを軟質基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム−シリコン系合金を用いることが好ましい。さらに、硬質粒子としてのシリコンは、共晶シリコンまたは初晶シリコンであることが一層好ましい。
旋回スクロールの羽根先端部では、硬質粒子としてのシリコンを、面積率で4.7%以上に設定して露出されることが好ましい。これは、シリコンの面積率が焼付きの発生に大きな影響を及ぼすが、シリコンの面積率を4.7%以上に設定すれば、耐焼付き性を確実に確保できることが判明したからである。
旋回スクロールの羽根先端部は、加速電圧を15kVに設定して電子ビームを所定深さまで入射させ、且つサンプリング電流を10nAに設定して電子ビーム径を絞ったときの所定面積における電子プローブマイクロアナライザでの測定結果の平均シリコン強度が17カウント以上になるように設定して研磨されていることが好ましい。
旋回スクロールの羽根先端部における平均シリコン強度は焼付きの発生に大きな影響を及ぼすが、平均シリコン強度を17カウント以上に設定すれば、耐焼付き性を確実に確保できることが判明した。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料として鉄系材料を用いてもよく、この場合には、アルミニウム−シリコン系合金を用いた場合とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、旋回スクロールとしての機械的強度が更に高まることから、羽根の高さを上げるだけで旋回スクロールを簡単に大型化できる。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料としてマグネシウム系材料を用いてもよく、この場合には、アルミニウム−シリコン系合金を用いた場合とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、旋回スクロールをさらに軽量化することができるから、一層の高速化を図って能力制御幅を格段に拡大できる。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料として樹脂系材料を用いてもよく、この場合には、アルミニウム−シリコン系合金を用いた場合とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、一層の小型化および軽量化を図ることができ、空気圧縮機や真空ポンプあるいはファンなどの低圧流体機械の実現も可能となる。
本発明の圧縮機によれば、摺動部材を軟質材料で構成して軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、摺動面部分に多く分布されている硬質粒子が摺動対向部材を支持するよう機能するので、焼付きの発生が確実に防止されて、高い信頼性を得ることができる。
また、本発明のスクロール圧縮機によれば、基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で旋回スクロールを構成して、軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、旋回スクロールの羽根における少なくとも先端部の硬質粒子を先端部以外の部分よりも多く分布させたことにより、この多くの硬質粒子が固定スクロールの底面を支持するように機能するので、除霜などの過度運転時において厳しい潤滑状態となった場合においても焼付きの発生が確実に防止され、高い信頼性が得られる。
圧縮機の摺動部材またはスクロール圧縮機の旋回スクロールを軟質材料を用いた鋳造品として、摺動部材の摺動面または旋回スクロールの羽根の先端部を、表面研磨により硬質粒子を露出させるようにすれば、硬質粒子を軟質基材にばらつき無く分散させることができるとともに、硬質粒子を多く分布させる構成を容易に得ることができる。
また、旋回スクロールの羽根の先端部は、機械的研磨または化学的研磨が施されて、硬質粒子が他の部分に比較して多く露出された構成とすれば、所要の旋回スクロールを安価に製作できる。
旋回スクロールの羽根の先端部における硬質粒子としてのシリコンは、面積率で4.7%以上に設定して露出された構成とすれば、焼付きの発生に大きな影響を及ぼすシリコンの面積率を4.7%以上に設定することにより耐焼付き性を確実に確保できることが判明したことから、旋回スクロールの羽根の焼付き発生を確実に防止できる。
旋回スクロールの羽根先端部の所定面積における電子プローブマイクロアナライザでの測定結果の平均シリコン強度が17カウント以上になるように設定して旋回スクロールの羽根先端部が研磨された構成とすれば、平均シリコン強度が17カウント以上である場合に耐焼付き性を確実に確保できることが判明していることから、旋回スクロールの羽根の焼付き発生を確実に防止できる。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料として鉄系材料を用いた場合には、耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、旋回スクロールとしての機械的強度が更に高まることから、羽根の高さを上げるだけで旋回スクロールを簡単に大型化できる。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料としてマグネシウム系材料を用いた場合には、耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、旋回スクロールをさらに軽量化することができるから、旋回スクロールの一層の高速化を図って能力制御幅を格段に拡大できる。
また、アルミニウム−シリコン系合金に代えて、軟質材料として樹脂系材料を用いた場合には、耐焼付き性の効果を得ることができるのに加えて、一層の小型化および軽量化を図ることができ、空気圧縮機や真空ポンプあるいはファンなどの低圧流体機械の実現も可能となる。
以下、本発明に係るスクロール圧縮機の実施の形態につき、図1〜図3を参照しながら説明する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は本発明の一実施の形態に係るスクロール圧縮機を示す一部破断した正面図である。このスクロール圧縮機は、これの外体をなす密閉容器1内に圧縮機構部2とこれの駆動源のモータ部(図示せず)が内装されている。圧縮機構部2は、フレーム3に固定された固定スクロール4と、この固定スクロール4に対向配置された旋回スクロール7と、固定スクロール4と旋回スクロール7との間に設けられたオルダムリング8と、旋回スクロール7をモータ部に連結するクランク軸9とにより構成されている。
固定スクロール4は、鏡板4a、羽根4b、底面4c、吸入ポート4dを備えて構成されており、吸入ポート4dには吸入管10が接続されている。旋回スクロール7は、これの縦断面図である図2に示すように、鏡板7a,7b、羽根7cおよび軸受部7dを備えて構成されている。この旋回スクロール7の羽根7cと固定スクロール4の羽根4bとが齟齬状に組み合わされているが、旋回スクロール7の羽根7cの高さは固定スクロール4の羽根4bの高さよりも若干低く設定されている。
フレーム3には環状溝11が形成されており、この環状溝11には、フレーム3と旋回スクロール7間をシールするシール部材12が設けられ、このシール部材12における環状溝11に対する内側が高い圧力になるように設定されている。旋回スクロール7は、上記高い圧力によって固定スクロール4に押し付けられており、旋回スクロール7の羽根先端部7eと固定スクロール4の底面4cとの隙間は潤滑油(図示せず)によってシールされている。
つぎに、上記スクロール圧縮機の特徴とする構成について説明する。上記旋回スクロール7は、基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で構成されている。この実施の形態の旋回スクロール7では、軟質基材であるアルミニウムに硬質粒子である微細な共晶シリコンを分散させたアルミニウム−シリコン合金を用いて鋳造することにより構成されている。この鋳造一体品として製作された旋回スクロール7は、これの羽根先端部7eの表層部に研削、バレル、バフまたは流体などによる機械的研磨またはエッチングなどによる化学的研磨が施されて、表層部の共晶シリコンを覆っているアルミニウムを除去して共晶シリコンが露出されている。これにより、旋回スクロール7の羽根先端部7eは、これの表層部での共晶シリコンが他の部分よりも多く分布している。具体的には、羽根先端部7eの表層部おいて、共晶シリコンが面積率で4.7%以上露出されている。また、羽根先端部7eの表層部の研磨は、共晶シリコン量が電子プローブマイクロアナライザによる測定結果による平均シリコン強度が17カウント以上となるように設定して行われている。
つぎに、上記スクロール圧縮機の動作について説明する。モータ部の回転は、クランク軸9を介して旋回スクロール7に伝達されて、オルダムリング8と協働して旋回スクロール7を旋回運動させる。互いに噛み合う齟齬状に対向配置された旋回スクロール7の羽根7cと固定スクロール4の羽根4bとは、旋回スクロール7の旋回運動に伴って吸入管10から吸入ポート4dを介して冷媒を吸入し、この冷媒を圧縮する。この圧縮された冷媒は、吐出ポート4eからリード弁13を押し開いて密閉容器1内に吐出されたのち、吐出管14から密閉容器1の外部に導き出される。この運転時には密閉容器1内が高圧に保持されている。
ところで、スクロール圧縮機における低温時の暖房運転では、着霜が激しくなると、除霜運転に強制的に切り換えられるが、この場合、短時間で除霜を完了させることを目的として、急激に高い回転数まで上げられる。そのため、スクロール圧縮機の吸入温度と吐出温度との温度差が急激に大きくなるので、旋回スクロール7の羽根7cは熱膨張して伸長し、羽根先端部7eが固定スクロール4の底面4cと接触して摺動し、その摩擦熱で温度がさらに上がって摺動がさらに厳しい状態となる。
このとき、上記旋回スクロール7では、羽根先端部7eに適度に露出された微細な共晶シリコンの粒子が固定スクロール4の底面4cと接触して摺動するため、表面に露出している共晶シリコンが自体の非凝着性によって固定スクロール4を支持するようにブリッジ作用するので、旋回スクロール7を軟質材料の鋳造品とすることによって軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、旋回スクロール7の焼付きの発生が極めて効果的に防止される。特に、この旋回スクロール7では、羽根先端部7eにおいて共晶シリコンが面積率で4.7%以上露出するよう設定されているから、以下の理由により、上記焼付きの発生が確実に防止される。
すなわち、表面に露出している共晶シリコンの面積率と焼付き発生との関係を焼付き試験によって調べた結果、共晶シリコンの面積率が4.6%以下に設定した場合には焼付き試験での試験結果が不良となり、4.7%以上に設定した場合には焼付き試験での試験結果が良となった。このように共晶シリコンの面積率は焼付きの発生に大きな影響を及ぼすが、上述の焼付き試験を行った結果により、共晶シリコンの面積率を4.7%以上になるように設定して研磨すれば、耐焼付き性を確実に確保できることが判明した。また、上記旋回スクロール7は、従来の旋回スクロールのようにダイキャスト成形した基材部表面に同種材料の粉末焼結材をバンイダとともにインサート成形により被覆したのち、バインダを除去したのちに焼結する工程を経て製造されるものと異なり、鋳造一体品の表層部を研磨するだけであるから、硬質粒子としてのシリコン量のばらつきが少ない。
また、上述したように旋回スクロール7の羽根先端部7eの表層部における共晶シリコン量を電子プローブマイクロアナライザによる測定結果の平均シリコン強度で17カウント以上になるように分布させても、上述と同様の耐焼付き性を確実に確保できる効果を得ることができる。すなわち、平均シリコン強度と焼付き発生との関係を焼付き試験によって調べた結果、平均シリコン強度が16カウウント以下に設定した場合には焼付き試験での試験結果が不良となり、17カウント以上に設定した場合には焼付き試験での試験結果が良となった。このように平均シリコン強度は焼付きの発生に大きな影響を及ぼすが、上述の焼付き試験を行った結果により、平均シリコン強度が17カウント以上になるように設定して研磨すれば、耐焼付き性を確実に確保できることが判明した。
したがって、旋回スクロール7の羽根先端部7eの表層部は、共晶シリコンの面積率が4.7%以上になるように設定するか、平均シリコン強度を17カウント以上になるように設定するかの一方が得られるように研磨すれば、耐焼付き性を確実に確保できるが、両方の条件を満足するように研磨すれば、耐焼付き性が一層向上する。
つぎに、羽根先端部7eでの共晶シリコン量が平均シリコン強度で17カウント以上の値となる旋回スクロール7を製造する製造工程について、図3の製造工程のフローチャートに基づき説明する。先ず、硬質粒子としての共晶シリコンまたは初晶シリコンを軟質基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム−シリコン系合金を用いて鋳造することにより、旋回スクロール7の試作鋳造品を製作し(ステップS1)、この試作鋳造品における羽根先端部7eの表面を研磨する(ステップS2)。
続いて、上記試作鋳造品における研磨部分の表面から2μmの深さまでの共晶シリコン量を、電子プローブマイクロアナライザを用いて、相対的な量として測定する(ステップS3)。この場合、アルミニウム−シリコン系合金からなる試作鋳造品の研磨部分に対して、加速電圧を15kVに設定することによって電子ビームを2μmまで入射させ、サンプリング電流を10nAに設定して電子ビーム径を極力絞って、0.512 mm×0.512 mmの面積における平均シリコン強度を電子プローブマイクロアナライザにより測定する。その測定結果の良否の判定を行う(ステップS4)。この場合、測定値が17カウント以上である場合に良品であると判別する。
不良であると判別した場合には、硬質粒子と軟質基材との配合率を測定結果に基づき変更したアルミニウム−シリコン系合金を用いて鋳造を行うことにより、異なる試作鋳造品を再度製作して(ステップS1)、その試作鋳造品に対し表層部を研磨して(ステップS2)、研磨後の試作鋳造品における表面から2μmの深さまでの共晶シリコン量を、電子プローブマイクロアナライザを用いて、相対的な量として測定する(ステップS3)。これらの試験工程を、電子プローブマイクロアナライザによる測定値が17カウント以上となるまで繰り返す。
上記試験工程を繰り返して良品の試作鋳造品が出来上がった場合には、実際の製造工程を開始する。すなわち、良品となった試作鋳造品に基づく配合率で硬質粒子を軟質基材に分散させたアルミニウム−シリコン系合金を用いて鋳造を行うことにより、製品鋳造品を製作し(ステップS5)、この製品鋳造品の表層部を試作良品の条件に基づき表面研磨する(ステップS6)。
なお、上記実施の形態では、軟質基材としてアルミニウムを用いる場合を例示して説明しているが、鉄系材料を軟質基材として用いて、羽根先端部7eの表層部を研磨して硬質粒子を面積率で4.7%以上露出させるようにしても、上述とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができる。それに加えて、鉄系材料を軟質基材として用いた場合には、旋回スクロール7としての機械的強度が更に高まることから、羽根7cの高さを上げるだけで旋回スクロール7を簡単に大型化できる利点がある。
また、マグネシウム系材料を軟質基材として用いて、羽根先端部7eの表層部を研磨して硬質粒子を面積率で4.7%以上露出させるようにしても、上述とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができる。それに加えて、マグネシウム系材料をを軟質基材として用いた場合には、旋回スクロール7をさらに軽量化することができるから、一層の高速化を図って能力制御幅を格段に拡大できる利点がある。
さらに、樹脂系材料を軟質基材として用いて、羽根先端部7eの表層部を研磨して硬質粒子を面積率で4.7%以上露出させるようにしても、上述とほぼ同様の耐焼付き性の効果を得ることができる。それに加えて、樹脂系材料を軟質基材として用いた場合には、一層の小型化および軽量化を図ることができ、空気圧縮機や真空ポンプあるいはファンなどの低圧流体機械の実現も可能となる。
なお、上記実施の形態では、鋳造品としての旋回スクロール7を例示して説明したが、焼結体により旋回スクロール7を構成してもよく、その場合には表層部での硬質粒子としてのシリコンの分布を高め易く、焼結時にアルミニウム素材の軟化ないしは拡散、溶融を図れば硬質粒子をアルミニウムで覆い易く鋳造状態に近付けられるので好適である。特に、自動車に搭載する場合では、走行負荷軽減上、極限的な軽量化が要求される場合があり、あらゆる摺動部材に本発明を適用して有効である。
以上説明した作用効果は、熱処理などのプロセスによってシリコンを所要の分布としたり、シリコン量の異なるアルミニウム−シリコン系合金を複合化する手段を採用しても、同様に得ることができる。
本発明は、スクロール圧縮機における摺動部材である固定スクロールと旋回スクロールのうちの形状の小さい旋回スクロールを、基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で構成して、羽根の先端部を研磨して硬質粒子を多く分布させるようにすることにより、軽量化と高速回転による高効率化を図ることが可能なスクロール圧縮機を提供できる。
本発明の一実施の形態に係るスクロール圧縮機を示す一部破断した正面図。 図1のスクロール圧縮機における旋回スクロールの縦断面図。 図2の旋回スクロールの製造過程を示すフローチャート。 スクロール圧縮機の旋回スクロールの外観を示す斜視図。 従来の旋回スクロールを示す一部の断面図。
符号の説明
7 旋回スクロール
7c 羽根
7e 羽根先端部

Claims (12)

  1. 基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で摺動部材を構成するとともに、前記摺動部材における少なくとも摺動面部分の前記硬質粒子を前記摺動面部分以外の部分よりも多く分布させたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 基材にそれよりも硬質の粒子を分散させた軟質材料で旋回スクロールを構成するとともに、前記旋回スクロールの羽根における少なくとも先端部の前記硬質粒子を前記先端部以外の部分よりも多く分布させたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 摺動部材または旋回スクロールが軟質材料を用いた鋳造品であり、前記摺動部材の摺動面または前記旋回スクロールの羽根の先端部が、表面研磨を施して硬質粒子が露出されていることにより、前記硬質粒子が他の部分に比較して多く分布されている請求項1に記載の圧縮機または請求項2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 旋回スクロールの羽根の先端部は、研削、バレル、バフまたは流体による機械的研磨あるいはエッチングなどによる化学的研磨が施されて、硬質粒子が他の部分に比較して多く露出されている請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 軟質基材としてアルミニウムを用いた請求項2ないし4の何れかに記載のスクロール圧縮機。
  6. 軟質材料は、硬質粒子としてのシリコンを軟質基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム−シリコン系合金である請求項2ないし5の何れかに記載のスクロール圧縮機。
  7. 硬質粒子としてのシリコンは共晶シリコンまたは初晶シリコンである請求項6に記載のスクロール圧縮機。
  8. 旋回スクロールの羽根の先端部でシリコンが面積率で4.7%以上に設定して露出されている請求項6または7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 旋回スクロールの羽根先端部は、加速電圧を15kVに設定して電子ビームを所定深さまで入射させ、且つサンプリング電流を10nAに設定して電子ビーム径を絞ったときの所定面積における電子プローブマイクロアナライザでの測定結果の平均シリコン強度が17カウント以上になるように設定して研磨されている請求項4ないし8の何れかに記載のスクロール圧縮機。
  10. 軟質材料は鉄系材料である請求項2ないし4の何れかに記載のスクロール圧縮機。
  11. 軟質材料はマグネシウム系材料である請求項2ないし4の何れかに記載のスクロール圧縮機。
  12. 軟質材料は樹脂系材料である請求項2ないし4の何れかに記載のスクロール圧縮機。
JP2003311799A 2003-09-03 2003-09-03 スクロール圧縮機 Pending JP2005076610A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003311799A JP2005076610A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 スクロール圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003311799A JP2005076610A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 スクロール圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005076610A true JP2005076610A (ja) 2005-03-24
JP2005076610A5 JP2005076610A5 (ja) 2006-10-12

Family

ID=34413263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003311799A Pending JP2005076610A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 スクロール圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005076610A (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62129594A (ja) * 1985-11-28 1987-06-11 Toshiba Corp ロ−タリ−コンプレツサ用ブレ−ド
JPS63230978A (ja) * 1987-03-20 1988-09-27 Riken Corp ベ−ン型圧縮機
JPH036087U (ja) * 1989-06-07 1991-01-22
JPH03242486A (ja) * 1990-02-16 1991-10-29 Hitachi Ltd スクロール部材およびその製造方法
JPH0791381A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Toyota Autom Loom Works Ltd スクロール型圧縮機
JPH09317667A (ja) * 1996-05-28 1997-12-09 Daikin Ind Ltd スクロール圧縮機
JP2000120563A (ja) * 1998-10-13 2000-04-25 Sanden Corp スクロール型圧縮機
JP2002147354A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機
JP2003113785A (ja) * 2001-10-04 2003-04-18 Seiko Instruments Inc 気体圧縮機

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62129594A (ja) * 1985-11-28 1987-06-11 Toshiba Corp ロ−タリ−コンプレツサ用ブレ−ド
JPS63230978A (ja) * 1987-03-20 1988-09-27 Riken Corp ベ−ン型圧縮機
JPH036087U (ja) * 1989-06-07 1991-01-22
JPH03242486A (ja) * 1990-02-16 1991-10-29 Hitachi Ltd スクロール部材およびその製造方法
JPH0791381A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Toyota Autom Loom Works Ltd スクロール型圧縮機
JPH09317667A (ja) * 1996-05-28 1997-12-09 Daikin Ind Ltd スクロール圧縮機
JP2000120563A (ja) * 1998-10-13 2000-04-25 Sanden Corp スクロール型圧縮機
JP2002147354A (ja) * 2000-11-14 2002-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧縮機
JP2003113785A (ja) * 2001-10-04 2003-04-18 Seiko Instruments Inc 気体圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2005205265B2 (en) Sliding Member, Sliding Member Manufacturing Method, And Coating For Sliding Member
CN207494519U (zh) 压缩机部件
US20170306956A1 (en) Compression device and scroll compressor using such a compression device
KR0177012B1 (ko) 경량 스크롤 요소 및 그 제조 방법
JP4440565B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2001214869A (ja) オイルポンプ
JP2005214012A (ja) 圧縮機の摺動部材
WO1999014511A1 (fr) Element coulissant et compresseur frigorifique l'utilisant
JP2005076610A (ja) スクロール圧縮機
US6287361B1 (en) Oil pump gear made of aluminum powder
JP2005076611A (ja) 圧縮機の摺動部材
JP4784408B2 (ja) 圧縮機およびその製造方法
JP4915151B2 (ja) 圧縮機
JP4645525B2 (ja) 圧縮機およびその製造方法
JP2001342979A (ja) スクロール型圧縮機およびそのスクロール部材の製造方法
JP2007291871A (ja) 圧縮機および圧縮機の製造方法
JP2009002288A (ja) 圧縮機の摺動部材
JP2005002923A (ja) スクロール圧縮機
JP2005002924A (ja) スクロール圧縮機
JP2006046101A (ja) 圧縮機
JP4872483B2 (ja) 圧縮機
JP4801288B2 (ja) カーエアコン用スワッシュプレートおよびその製造方法
JP4654744B2 (ja) 圧縮機の摺動部材
KR20060008337A (ko) 스크롤 압축기
JP2007023984A (ja) 圧縮機の摺動部材とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060824

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060824

A977 Report on retrieval

Effective date: 20090409

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20090526

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A521 Written amendment

Effective date: 20090626

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Effective date: 20091026

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20091215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100413