JP2005075526A - 媒体反転装置および記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 入力ギアおよび出力ギアの損傷を防止し、動作信頼性を確保し製造コストの増加を抑える。
【解決手段】 記録用紙4に記録を行う記録部と、この記録部に記録用紙4を搬送するための搬送ローラ21と、この搬送ローラ21を回転駆動するLFモータ26とを有する記録ユニット1に対して着脱可能に設けられ、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される入力ギア143を有し記録ユニット1からLFモータ26の駆動力が伝達される伝達ギア列115bを有し、記録用紙4の表裏面を反転するための用紙反転ユニット2において、LFモータ26からの駆動力の伝達を遮断するための遮断機構を備えている。
【選択図】 図9
【解決手段】 記録用紙4に記録を行う記録部と、この記録部に記録用紙4を搬送するための搬送ローラ21と、この搬送ローラ21を回転駆動するLFモータ26とを有する記録ユニット1に対して着脱可能に設けられ、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される入力ギア143を有し記録ユニット1からLFモータ26の駆動力が伝達される伝達ギア列115bを有し、記録用紙4の表裏面を反転するための用紙反転ユニット2において、LFモータ26からの駆動力の伝達を遮断するための遮断機構を備えている。
【選択図】 図9
Description
本発明は、例えば記録用紙やフィルム等の被記録媒体の表裏面を反転するための媒体反転装置、およびこの媒体反転装置によって表裏反転される被記録媒体の表裏面にそれぞれ記録を行う記録装置に関する。
従来、例えば記録用紙やフィルム等の被記録媒体の表裏面に自動両面記録を行うインクジェット記録装置が知られている。この種のインクジェット記録装置としては、いくつかの方式が実施あるいは提案されている。
それらの方式の一例としては、記録用紙の表(おもて)面側への記録が終了した後に、それまでの搬送方向と逆方向に搬送して、記録用紙を媒体反転装置内に送り込み、記録用紙の表裏面を反転する動作終了後に再度再び同じ搬送部によって記録用紙を搬送し、同じ記録部にて記録用紙の裏面側に記録を行う方式がある。
このような方式の中で、記録装置本体に対して媒体反転装置が着脱可能に構成されているものがある。着脱可能に構成された媒体反転装置は、通常、自動両面記録を行わないときには、記録装置本体から媒体反転装置が取り外されて記録装置本体のみにすることで、記録装置全体が小型になり、設置面積を小さくできる等の点で利点がある。
この着脱可能に構成された従来の媒体反転装置は、記録装置本体側の駆動機構から駆動力をギア伝達によって受け取る、あるいは媒体反転装置内に駆動機構を備え、制御信号のみあるいは駆動電力のみを記録装置本体側から受け取るように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
米国特許明細書6332068号
ところで、上述したような従来の媒体反転装置には、以下のような問題がある。
1)従来の媒体反転装置は、記録用紙を搬送するための駆動力を、記録装置本体側からギア列を介して伝達を受けるために、記録装置本体に装着される。このとき、記録装置本体側の出力ギアと媒体反転装置側の入力ギアとが噛み合うことによって、これら出力ギアおよび入力ギアが損傷する恐れがある。
2)記録装置本体側の出力ギアおよび媒体反転装置側の入力ギアが損傷することを防止するために、これら出力ギアおよび入力ギアの各モジュールを大きくしたり、各ギアの歯先を尖らしたり(有効歯たけ寸法が比較的大きい高歯に形成したり)することで、噛み合い動作を円滑にすることが効果的な場合がある。しかしながら、このような対策では、ギア自体に回転負荷が生じるため、特に、ギア列が比較的長い、すなわち多数のギアによって構成されている場合には、充分な効果が得られない。
3)出力ギアおよび入力ギアの損傷を防止する他の対策としては、ギア列の途中に振り子機構を設けることによって、噛み合い動作の際には、噛み合うギアの回転による逃げ量が、振り子機構の太陽ギア上を移動する遊星ギアの移動量となって吸収されるようにすることが効果的な場合がある。
しかしながら、通常、振り子機構の両側にそれぞれ設けられている各遊星ギアは、必ず、一方の遊星ギアがギア列に接続された状態にされている。このため、記録装置本体に媒体反転装置が装着される際の、ギアの噛み合いの回転による逃げは、ギア列に接続された遊星ギアが離れる方向、つまり、一方向に限定されてしまう。したがって、媒体反転装置の装着の仕方によっては、各ギアの噛み合いの際にギアが回転不能になる場合が生じ、その場合に、各ギアが損傷してしまうことを防止することが困難である。
4)したがって、出力ギアおよび入力ギアの損傷を防止する対策としては、ギア列を配設せずに、媒体反転装置内に駆動源となるモータを設置する構成も考えられている。しかしながら、この構成では、モータへの電力供給および制御信号のための電気的接点を、記録装置本体と媒体反転装置との間に設ける必要があり、動作信頼性が乏しいと同時に、製造コストが嵩んでしまうという欠点ある。
そこで、本発明は、入力ギアおよび記録装置本体側の出力ギアが損傷することを防止し、動作信頼性を確保し製造コストの増加を抑えることができる媒体反転装置および記録装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る媒体反転装置は、被記録媒体に記録を行う記録部と、記録部に被記録媒体を搬送するための搬送ローラと、この搬送ローラを回転駆動する駆動手段とを有する記録装置本体に対して着脱可能に設けられ、記録装置本体側の出力ギアに噛合される入力ギアを有し記録装置本体側から駆動手段の駆動力が伝達される伝達ギア列を備え、被記録媒体の表裏面を反転するための媒体反転装置において、駆動手段からの駆動力の伝達を遮断するための遮断手段を備える。
以上のように構成された本発明に係る媒体反転装置によれば、記録装置本体に対して着脱される際に、遮断手段が、伝達ギア列による駆動力の伝達を遮断するため、記録装置本体側の出力ギアおよびこの出力ギアに噛合される入力ギアが損傷することが防止される。
また、本発明に係る媒体反転装置が備える遮断手段は、記録装置本体に対して媒体反転装置が着脱される際に、入力ギアを回転自在に制御する。これによって、入力ギアは、記録装置本体側の出力ギアに噛合される際に、時計回りおよび反時計回りのいずれの回転方向にも回転することが可能にされ、入力ギアおよび記録装置本体側の出力ギアが損傷することが防止される。
また、本発明に係る媒体反転装置は、入力ギアに噛合された入力側伝達ギアと、入力側伝達ギアに噛合された太陽ギアと、この太陽ギアと同軸に揺動可能に設けられた振り子と、この振り子に回転自在に支持された第1遊星ギアおよび第2遊星ギアとを備える。そして、遮断手段は、振り子の揺動位置に応じて、駆動力の伝達を遮断する。
また、本発明に係る媒体反転装置が備える入力ギアは、歯先を尖らせて形成されている。これによって、入力ギアと出力ギアとの噛み合い動作が更に円滑になるため、噛合時に損傷が生じることが更に確実に防止される。
また、本発明に係る媒体反転装置が備える遮断手段は、駆動力の伝達を遅延させるディレイギアを有し、このディレイギアの回転量によって、駆動力の遮断状態と伝達状態とを制御する。これによって、記録装置本体側から媒体反転装置側に制御信号を伝達する必要がなく、記録装置本体と媒体反転装置との間に電気的な接続箇所を設ける必要がない。このため、本発明によれば、動作信頼性が良好に確保され、電気的な接続箇所を設けるための費用を省けるので、製造コストが嵩むことが抑えられる。
また、本発明に係る媒体反転装置が備える遮断手段は、記録装置本体側の記録部による記録が終了した後、伝達ギア列による駆動力の伝達を遮断する。これによって、被記録媒体の記録終了後に、伝達ギア列の回転負荷が小さくされ、記録装置本体から媒体反転装置を容易に取り外すことが可能になる。
また、本発明に係る媒体反転装置は、記録部が、インクを吐出するインクジェット記録手段を有する記録装置本体に装着される。
また、本発明に係る記録装置は、上述した媒体反転装置と、媒体反転装置に着脱可能に設けられ媒体反転装置によって反転された被記録媒体に記録を行う記録部を有する記録装置本体とを備える。
また、本発明に係る記録装置が有する記録部は、インクを吐出するインクジェット記録手段を有する。
上述したように、本発明に係る媒体反転装置によれば、搬送ローラを回転駆動する駆動手段からの駆動力の伝達を遮断するための遮断手段を備えることによって、伝達ギア列の入力ギアおよび記録装置本体側の出力ギアが損傷することを防止できる。
また、本発明に係る媒体反転装置によれば、駆動力の伝達を遅延させるディレイギアを有し、このディレイギアの回転量によって、駆動力の遮断状態と伝達状態とを制御する遮断手段を備えることによって、記録装置本体と媒体反転装置との間に電気的接続箇所を設けることなく遮断状態と伝達状態とに制御されるため、動作信頼性が良好に確保され、製造コストが嵩むことを抑えることが可能になる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通して、同一部材、または同一機能部分には、便宜上同一符号を付して示す。
図1は、本発明に係る実施形態の記録装置の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1中矢印A方向から見た記録装置の全体構成を示す断面図である。
なお、本実施形態の記録装置は、被記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方式が採用された記録装置であるが、他の方式が適用されてもよい。また、本実施形態では、被記録媒体として、記録用紙が代表例であることから、広義の被記録媒体を用いるべきところを記録用紙と称するが、これは被記録媒体の範囲を記録用紙に制限するものではなく、フィルム等が用いられてもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の記録装置は、記録用紙4に文字や画像等を記録するための記録装置本体である記録ユニット1と、記録用紙4の表裏面を反転して搬送するための用紙反転ユニット2とを備えている。そして、本実施形態の記録装置は、記録ユニット1に対して用紙反転ユニット2が着脱可能に設けられている。
記録ユニット1は、記録ユニット1の構造を支持するシャーシ10と、インクを吐出して記録を行う記録ヘッド11と、この記録ヘッド11に供給されるインクが収容されるインクタンク12と、記録ヘッド11およびインクタンク12を保持して走査(主走査)するためのキャリッジ13と、このキャリッジ13を案内支持するガイドシャフト14と、このガイドシャフト14と平行にキャリッジ13を案内支持するガイドレール15と、キャリッジ13を駆動するためのタイミングベルト16と、プーリを介してタイミングベルト16を駆動するキャリッジモータ17と、キャリッジ13の位置を検出するためのコードストリップ18と、キャリッジモータ17のプーリ(不図示)に対向されてタイミングベルト16が張架されるアイドラプーリ20とを備えている。
また、記録ユニット1は、記録用紙4を搬送する搬送ローラ21と、この搬送ローラ21に押圧されて従動するピンチローラ22と、このピンチローラ22を回転可能に保持するピンチローラホルダ23と、ピンチローラ22を搬送ローラ21に圧接させるためのピンチローラばね24と、搬送ローラ21に固定された搬送ローラプーリ25と、搬送ローラ21を回転駆動するためのLF(ラインフィード)モータ26と、搬送ローラ21の回転角度を検出するためのコードホイール27と、記録ヘッド11に対向して配置されて記録用紙4を支持するプラテン29とを備えている。
また、記録ユニット1は、搬送ローラ21と協働して記録用紙4を搬送するための第1排出ローラ30と、この第1排出ローラ30の下流側に設けられた第2排出ローラ31と、第1排出ローラ30に対向されて記録用紙4を挟持するための回転体としての第1拍車列32と、第2排出ローラ31と対向されて記録用紙4を挟持するための回転体としての第2拍車列33と、これら第1拍車列32と第2拍車列33を回転可能に保持する拍車ベース34とを備えている。
また、記録ユニット1は、記録ヘッド11の目詰まり(吐出口やノズルの目詰まり)を防止してインク吐出性能を維持回復したり、インクタンク12を交換するときに記録ヘッド11のインク流路にインクを行き渡らせたりする際に作動させるメインテナンスユニット36と、記録用紙4が積載され記録動作時に記録用紙4を1枚ずつ記録部へ供給する自動給送部としてのメインASF(Automatic Sheet Feeder)37とを備えている。
メインASF37は、図1および図2に示すように、メインASF37の構造を支持するASFベース38と、積載された記録用紙4に当接され給送を行う給送ローラ39と、複数枚の記録用紙4が同時に搬送されたときに1枚ずつに分離する分離ローラ40と、記録用紙4が積載され給送ローラ39側に向けて付勢するための圧板41と、この圧板41上に設けられ記録用紙4の幅方向の任意の位置に固定可能なサイドガイド42と、給送動作時に給送ローラ39と分離ローラ40のニップ部よりも先に進んでしまった記録用紙4の先端を所定位置まで戻すための戻し爪(不図示)と、メインASF37からの記録用紙4の通紙方向を一方向に規制するASFフラップ44とを備えている。
また、記録ユニット1は、ASF遊星ギア49に噛合されたリフト入力ギア50と、このリフト入力ギア50からの駆動力を減速しつつ伝達するリフト減速ギア列51と、リフトカム軸58に直結されたリフトカムギア52、ガイドシャフト14を一端側に片寄せするように付勢するためのガイドシャフトばね55と、ガイドシャフトギア53のカムが摺動するガイド斜面56と、ピンチローラホルダ23等を昇降動作させるためのリフトカム軸58と、記録用紙4の先端を搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に案内するための通紙ガイド70と、記録ユニット1全体を支持するベース72と、記録装置全体を駆動制御するための制御基板301(図21参照)とを備えている。
ここで、本実施形態の記録装置全体を駆動制御する制御基板および検出部について、簡単に説明する。図21は、本実施形態の記録装置全体を駆動制御する制御基板および検出部を示すブロック図である。
図21に示すように、記録装置は、キャリッジ13に搭載されコードストリップ18を読み取るCR(キャリッジ)エンコーダセンサ19と、シャーシ10に取り付けられたコードホイール27を読み取るLFエンコーダセンサ28と、メインASF37を駆動するASFモータ46と、記録用紙4の搬送方向の先端および後端を検出するPE(ペーパエンド)センサレバー66の動作を検出するためのPEセンサ67と、リフトカム軸58の動作を検出するためのリフトカムセンサ69と、記録ユニット1に対する用紙反転ユニット2の着脱操作を検出するための反転ユニットセンサ130とを備えている。
また、記録装置は、図21に示すように、メインテナンスユニット36を駆動するためのPGモータ302と、メインテナンスユニット36の動作を検出するためのPGセンサ303と、メインASF37の動作を検出するためのASFセンサ305と、記録ヘッド11を駆動するためのヘッドドライバ307と、記録データを記録装置に入力するホスト装置308と記録装置とを電気的に接続するためのI/F(インターフェース)309と、記録装置全体を制御し制御信号を送出するCPU310と、制御データなどが書き込まれたROM(Read-Only Memory)311と、記録データ等を展開する領域となるRAM(Random-Access Memory)312とを備えている。
次に、本実施形態の一般的なシリアル走査型の記録装置の動作の概略について、図1、図2、および図21を参照して説明する。なお、本発明の要部である用紙反転ユニット2の動作については後述する。
本実施形態の記録装置は、大別して、記録用紙4に画像等を記録する記録ヘッド11を有する記録部と、記録部に記録用紙4を供給するための給送部と、この給送部から供給された記録用紙4を記録部に搬送するための搬送部と、記録部の記録ヘッド11のインク吐出特性を維持するためのヘッドメインテナンス部とを有する記録ユニット1と、この記録ユニット1に対して着脱自在に設けられた用紙反転ユニット2とを備えて構成されている。
まず、図21に示すように、記録ユニット1は、ホスト装置308から記録データが送られ、I/F309を介してRAM312上に記録データが格納されると、記録動作を開始させる制御信号がCPU310から送出されて記録動作が開始される。
<給送部>
記録動作が開始されたとき、まず給送動作が行われる。給送部は、メインASF37によって構成されており、圧板41上に積載された複数枚の記録用紙4から記録動作ごとに記録用紙4を1枚ずつ引き出して搬送部に自動給送する。
記録動作が開始されたとき、まず給送動作が行われる。給送部は、メインASF37によって構成されており、圧板41上に積載された複数枚の記録用紙4から記録動作ごとに記録用紙4を1枚ずつ引き出して搬送部に自動給送する。
給送動作が開始されると、ASFモータ46が正転方向に回転し、その駆動力がギア列を経て、圧板41を保持しているカム(不図示)を回転させる。ASFモータ46の回転に伴ってカムが外れたとき、圧板41は、圧板ばね(不図示)の弾性力によって、給送ローラ39側に向けて付勢される。同時に、給送ローラ39が記録用紙4を給送する方向に回転するため、圧板41上に積載されている記録用紙4の最上位の1枚の搬送が開始される。
このとき、給送ローラ39と記録用紙4との間の摩擦力、および記録用紙4同士の摩擦力の条件によって、複数枚の記録用紙4が誤って同時に給送されてしまう場合がある。この場合には、給送ローラ39に圧接されかつ記録用紙4の給送方向と逆方向に所定の戻り回転トルクを有する分離ローラ40が作用する。この分離ローラ40は、最も給送ローラ39側に位置する記録用紙4以外の記録用紙4を元の圧板41上へ押し戻す働きをする。また、メインASF37による給送動作の終了時に、カムの動作により分離ローラ40は、給送ローラ39との圧接状態が解除され、給送ローラ29から所定の距離離間されるが、その際に確実に圧板41上の所定位置まで記録用紙4を押し戻すために、戻し爪が回転してその役割を果たす。以上のような給送動作により、給送部は、記録用紙4を1枚だけ搬送部へ給送する。
なお、メインASF37から1枚の記録用紙4が搬送されていくとき、記録用紙4の先端は、ASFフラップばね(不図示)によって通紙経路を妨げる方向に付勢されているASFフラップ44に当接するが、ASFフラップ44を押し退けて通過する。また、記録用紙4の記録動作が終了し、記録用紙4の後端がASFフラップ44を通過したときに、ASFフラップ44は、ASFフラップばねによる元の付勢状態に戻って通紙経路を閉ざすので、記録用紙4が逆方向に搬送されてもメインASF37側に戻ることはない。
<搬送部>
搬送部には、記録用紙4の搬送経路上に沿って、搬送ローラ対を構成する搬送ローラ21およびピンチローラ22と、第1排出ローラ対を構成する第1排出ローラ30および第1拍車列32と、第2排出ローラ対を構成する第2排出ローラ31および第2拍車列33とがそれぞれ設けられており、これら第1排出ローラ対および第2排出ローラ対によって一対の排出ローラ対が構成されている。
搬送部には、記録用紙4の搬送経路上に沿って、搬送ローラ対を構成する搬送ローラ21およびピンチローラ22と、第1排出ローラ対を構成する第1排出ローラ30および第1拍車列32と、第2排出ローラ対を構成する第2排出ローラ31および第2拍車列33とがそれぞれ設けられており、これら第1排出ローラ対および第2排出ローラ対によって一対の排出ローラ対が構成されている。
給送部から搬送部に給送された記録用紙4は、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に向けて搬送される。ピンチローラ22の中心は、搬送ローラ21の中心に対して、第1排出ローラ30側に近づけられる方向に若干のオフセットをもって取り付けられている。このため、記録用紙4がニップ部に挿入される接線方向角度が、水平方向に対して若干傾斜されている。したがって、記録用紙4の先端が的確にニップ部内に案内されるように、ピンチローラホルダ23と通紙ガイド70によって形成される通紙経路は、水平方向に対して所定の傾斜角度で記録用紙4を搬送するように構成されている。
メインASF37によって給送された記録用紙4は、停止状態の搬送ローラ21のニップ部に突き当てられる。このとき、所定の通紙経路長よりもやや長い距離分をメインASF37で給送することにより、給送ローラ39と搬送ローラ21の間で記録用紙4のループが形成される。このループが真っ直ぐに戻ろうとする力によって、記録用紙4の先端は、搬送ローラ21のニップ部に押圧されることで、記録用紙4の先端が搬送ローラ21に倣って平行になり、いわゆるレジストレーション取り動作が完了する。
レジストレーション取り動作が完了した後、記録用紙4を正方向(第1排出ローラ30側に向けて進行していく方向)に移動させる方向に、駆動手段としてのLFモータ26が回転開始される。その後、給送ローラ39は、駆動力を切断され、記録用紙4の移動に伴って連れ回りするようになる。この時点で、記録用紙4は、搬送ローラ21とピンチローラ22のみで搬送されるようになる。記録用紙4は、所定改行量毎に正方向に前進し、プラテン29上に設けられたリブに沿って進行する。
その後、記録用紙4の先端は、第1排出ローラ30と第1拍車列32とのニップ部と、第2排出ローラ31と第1拍車列33とのニップ部に掛かる。なお、第1排出ローラ30と第2排出ローラ31の周速は、搬送ローラ21の周速とほぼ等しく設定されている。また、搬送ローラ21から第1排出ローラ30および第2排出ローラ31は、ギア列(不図示)を介して機械的に接続されている。このため、第1排出ローラ30および第2排出ローラ31は、搬送ローラ21と同期して回転されることになり、これによって、搬送中の記録用紙4が弛んだり引っ張られたりすることなく良好に搬送される。
<記録部>
記録部は、主に、記録データに基づいて記録用紙4に記録を行う記録手段である記録ヘッド11と、この記録ヘッド11が搭載されて記録用紙4の搬送方向と交差(通常直交)する方向である主走査方向に記録ヘッド11を移動させるためのキャリッジ13とを備えて構成されている。
記録部は、主に、記録データに基づいて記録用紙4に記録を行う記録手段である記録ヘッド11と、この記録ヘッド11が搭載されて記録用紙4の搬送方向と交差(通常直交)する方向である主走査方向に記録ヘッド11を移動させるためのキャリッジ13とを備えて構成されている。
記録ヘッド11には、インクタンク12に接続される複数のインク流路が形成されており、これらインク流路がプラテン29と対向する面(吐出口面)に配された吐出口まで連通されている。吐出口列を形成する複数の吐出口のそれぞれの内部には、インク吐出用のアクチュエータが配設されている。このアクチュエータとしては、例えば、電気熱変換体(発熱素子)による液体の膜沸騰圧力を利用したものや、ピエゾ素子等の電気機械変換体(電気−圧力変換素子)などが用いられる。
キャリッジ13は、シャーシ10に固定されたガイドシャフト14と、シャーシ10に一体に設けられたガイドレール15とによって案内支持されている。キャリッジ13は、キャリッジモータ17とアイドラプーリ20との間に張架されたタイミングベルト16を介してキャリッジモータ17の駆動力が伝達されることにより、走査方向に沿って往復移動される。
上述したような記録ヘッド11を用いるインクジェット記録方式の記録装置において、記録部は、記録ヘッド11に、フレキシブルフラットケーブルを介してヘッドドライバ307の制御信号が伝達されることで、記録データに応じてインク滴を吐出することが可能にされている。また、記録部は、シャーシ10に張架されたコードストリップ18をキャリッジ13に搭載されたCR(キャリッジ)エンコーダ19によって読み取ることで、適切なタイミングで記録用紙4に向けてインク滴を吐出することができる。このように、記録部によって1ライン分の記録動作が終了した後、搬送部によって記録用紙4を必要量だけ搬送する。この動作を繰り返して行うことにより、記録用紙4の全面にわたる記録動作が可能にされている。
<ヘッドメインテナンス部>
ヘッドメインテナンス部は、記録ヘッド11の吐出口の目詰まりを防止したり、記録ヘッド11の吐出口面の紙粉等による汚れを解消したりすることで、記録ヘッド11の記録特性を正常状態に維持し回復するためのメインテナンスユニット36を有している。メインテナンスユニット36には、回復機構として、例えば、吐出口を覆うキャッピング機構、キャッピング状態で吐出口からインクを吸引排出させる吸引回復機構、吐出口の周辺部を拭き取り清掃するワイピング機構などが設けられている。
ヘッドメインテナンス部は、記録ヘッド11の吐出口の目詰まりを防止したり、記録ヘッド11の吐出口面の紙粉等による汚れを解消したりすることで、記録ヘッド11の記録特性を正常状態に維持し回復するためのメインテナンスユニット36を有している。メインテナンスユニット36には、回復機構として、例えば、吐出口を覆うキャッピング機構、キャッピング状態で吐出口からインクを吸引排出させる吸引回復機構、吐出口の周辺部を拭き取り清掃するワイピング機構などが設けられている。
メインテナンスユニット36は、キャリッジ13が待機ポジションに位置する状態で記録ヘッド11に対向するように設置されている。メインテナンスユニット36は、記録ヘッド11の吐出口面(吐出口が形成された面)に当接して吐出口を保護するキャップを有するキャッピング機構、吐出口面をクリーニングするワイパーを有するワイピング機構、キャップに接続されキャップ内に負圧を発生させる吸引ポンプを有する吸引回復機構などを有して構成されている。
記録ヘッド11の吐出口内を回復するために吐出口内からインクを吸い出す際には、キャップを吐出口面に押圧し、吸引ポンプを駆動してキャップ内を負圧にすることでインクを吸引して排出する。また、インク吸引後に吐出口面にインクが付着している場合や、吐出口面に紙粉等の異物が付着した場合には、ワイパーを吐出口面に当接させて平行に移動させることによって、吐出口面をワイピング(拭き取り清掃)することで付着物を除去する。
以上が、記録装置が備える記録ユニット1の構成の概略であり、次に、媒体反転装置としての用紙反転ユニット2の構成を含め、本実施形態に要部の構成について、以下に詳細に説明する。
本実施形態に係る記録装置は、例えばシート状の単票紙等が使用される記録用紙4の表裏に、操作者を手動操作で煩わせることなく自動的に両面記録を行うことを可能にするための用紙反転ユニット2を備えることを特徴としている。
<用紙反転ユニットの構成>
用紙反転ユニット2について、表裏面を反転させる記録用紙4の搬送経路を、図2を参照して説明する。図2に示すように、用紙反転ユニット2は、回動可能に支持されて記録用紙4の搬送方向を切り替えるための切替フラップ104と、回動可能に支持されて記録用紙4が用紙反転ユニット2内から退出するときに開閉される出口フラップ106と、用紙反転ユニット2内で記録用紙4を搬送するための第1反転ローラ108および第2反転ローラ109と、第1反転ローラ108に従動する第1反転ピンチローラ112と、第2反転ローラ109に従動する第2反転ピンチローラ113とを備えている。
用紙反転ユニット2について、表裏面を反転させる記録用紙4の搬送経路を、図2を参照して説明する。図2に示すように、用紙反転ユニット2は、回動可能に支持されて記録用紙4の搬送方向を切り替えるための切替フラップ104と、回動可能に支持されて記録用紙4が用紙反転ユニット2内から退出するときに開閉される出口フラップ106と、用紙反転ユニット2内で記録用紙4を搬送するための第1反転ローラ108および第2反転ローラ109と、第1反転ローラ108に従動する第1反転ピンチローラ112と、第2反転ローラ109に従動する第2反転ピンチローラ113とを備えている。
上述したように記録装置では、記録動作が開始されると、メインASF37に積載された複数枚の記録用紙4から、給送ローラ39による給送動作で1枚ずつ記録用紙4が給送され、搬送部の搬送ローラ21に記録用紙4が送給される。搬送ローラ21とピンチローラ22とに挟持された記録用紙4は、図2中矢印F1方向に搬送される。
記録用紙4に対して表裏面にそれぞれ記録する両面記録を行う場合には、記録用紙4の表(おもて)面側の記録が終了した後、記録用紙4がメインASF37の下方に設けられた水平経路内を図2中矢印F2方向に搬送される。用紙反転ユニット2は、メインASF37の後方に配置されているので、矢印F2方向に搬送された記録用紙4が水平経路から用紙反転ユニット2内へ導かれ、用紙反転ユニット2内で記録用紙4を図2中矢印F3方向に搬送させる。
そして、用紙反転ユニット2内で、記録用紙4は、第2反転ローラ109と第2反転ピンチローラ113とに挟持されて進行方向が転換され、更に第1反転ローラ108と第1反転ピンチローラ112に挟持されて、図2中矢印F4方向に搬送され、最終的に進行方向が180度転換されて、再び水平経路内に戻される。このように、記録用紙4は、用紙反転ユニット4内を搬送されることで、記録部の記録ヘッドに対向される対向面が、既に記録された表面側から、未記録である裏面側に反転される。水平経路内を矢印F1方向に搬送された記録用紙4は、再び搬送ローラ21とピンチローラ22とに挟持されて、記録部によって裏面側への記録が行われる。
以上のように、表面側への記録が終了した後、記録用紙4は、メインASF37の下方に位置する水平経路と、メインASF37の後方に位置する用紙反転ユニット2内の搬送経路とによって表裏面が反転されて、再度、記録部によって裏面側が記録されることで、自動的に表裏に対する両面記録が行われる。
<用紙反転ユニットの詳細説明>
○記録ユニットに対する用紙反転ユニットの着脱動作
記録ユニット1に対して用紙反転ユニット2を着脱する動作について、図3〜図6を参照して説明する。
○記録ユニットに対する用紙反転ユニットの着脱動作
記録ユニット1に対して用紙反転ユニット2を着脱する動作について、図3〜図6を参照して説明する。
図3は、記録ユニット1と用紙反転ユニット2との装着動作を説明するための斜視図である。図4は、記録ユニット1を背面側(図3中矢印B方向)から見た背面図である。図5は、用紙反転ユニット2を正面側(図3中矢印C方向)から見た正面図である。また、図6は、記録ユニット1と用紙反転ユニット2の固定状態を説明するための模式図である。
まず、記録ユニット1に対して用紙反転ユニット2が装着される際、図3に示すように、用紙反転ユニット2は、記録ユニット1の背面に設けられた反転ユニット装着口203に向かって、図3中矢印D方向に移動されて、図4および図5に示すように、用紙反転ユニット2の幅方向の両側に設けられた上下方向位置決め凸部201が、記録ユニット1の幅方向の両側に設けられた上下方向位置決め凹部202内に沿って挿入されることにより、用紙反転ユニット2の上下方向(記録用紙4の水平経路に直交する方向)に対する位置決めが行われる。
続いて、記録ユニット1に対して用紙反転ユニット2が更に挿入されることで、用紙反転ユニット2に設けられた幅方向位置決め凸部204が、記録ユニット1の幅方向位置決め凹部205内に嵌合されて、用紙反転ユニット2の幅方向(記録ヘッドの走査方向)に対する位置決めが行われる。
最後に、図6(a)に示すように、用紙反転ユニット2の幅方向に設けられた固定ツメであるセットフック206の斜面部206aが、記録ユニット1の幅方向に設けられた係合部207を乗り越えていき、完全に係合部207を乗り越えたときに、セットフック206が係合部207の一側に係合されて固定される。
一方、用紙反転ユニット2を記録ユニット1から取り外す場合、まず、図6(b)に示すように、用紙反転ユニット2の幅方向に設けられたセットフック206のリリースレバー208を後方である矢印E方向にスライド操作することで、リリースレバー208に設けられたカム部(不図示)がセットフック206の先端部分を係合部207の上方向に退避させ、セットフック206と係合部207との係合状態が解除される。続いて、この状態で、用紙反転ユニット2を記録ユニット1の背面に設けられた反転ユニット装着口203から引き抜くことで、用紙反転ユニット2は、記録ユニット1から取り外される。
○用紙反転ユニットの装着時のギア歯先の損傷の防止作用
用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構については、後に詳細な説明を行うので、詳細説明は省略する。ここでは、用紙反転ユニット2を記録ユニット1に装着する際に発生する駆動伝達ギアの歯先が損傷することが防止される作用について、図7〜図9を参照して説明する。
用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構については、後に詳細な説明を行うので、詳細説明は省略する。ここでは、用紙反転ユニット2を記録ユニット1に装着する際に発生する駆動伝達ギアの歯先が損傷することが防止される作用について、図7〜図9を参照して説明する。
図7は、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の伝達ギア列について、記録ユニット1に用紙反転ユニット2が装着された後の状態を説明するための側面図であり、本発明を適用した記録装置の一実施形態(図1)を図2とは反対側から見た状態である。図8は、図7の伝達ギア列を図7中矢印G方向から見た平面図である。
図7および図8に示すように、記録装置が備える伝達ギア列115は、記録ユニット1側のLFモータ26から太陽ギア116まで駆動力を伝達するためのギア列であり、LFモータ26の回転軸に設けられたLFモータギア140と、このLFモータギア140によって回転駆動される出力側ダブルギア141と、この出力側ダブルギア141に噛合された出力ギア142と、この出力ギア142に噛合された入力ギア143と、この入力ギア143に噛合された入力側ダブルギア144(入力側伝達ギア)とを有している。なお、厳密に分類すれば、この伝達ギア列115は、記録ユニット1側に設けられた伝達ギア列115aと、用紙反転ユニット2側に設けられた伝達ギア列115bとからなる。
図9は、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の伝達ギア列115について、記録ユニット1に用紙反転ユニット2が装着される前の状態を説明するための側面図である。
本実施形態では、記録ユニット1側から伝達ギア列115を介して記録用紙4を搬送するための駆動力が伝達される用紙反転ユニット2を記録ユニット1に対して着脱するときに、用紙反転ユニット2の伝達ギア列115による駆動力の伝達を遮断するための遮断機構(遮断手段)が設けられている。
この遮断機構は、後述する用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構についての説明で述べられているように、太陽ギア116の回転方向によって2つの第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126の回転方向を切り替える振り子アーム117が、ローラアイドラギア124と第1反転ディレイギア121のどちらにも噛み合わない位置で、駆動力の伝達を遮断することが可能にされている。
すなわち、図9に示すように、用紙反転ユニット2を記録ユニット1に装着する際に、伝達ギア列115による駆動力の伝達が遮断された状態にされることで、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される用紙反転ユニット2側の入力ギア143が軽負荷で、時計方向および反時計方向である図9中矢印i方向およびj方向のどちらの方向にも回転可能にされて、各出力ギア142および入力ギヤ143の歯先が損傷することを防止できる。以下、駆動力の伝達を遮断する動作について具体的に説明する。
図7および図8に示すように、記録ユニット1に装着された用紙反転ユニット2は、伝達ギア列115が接続されて記録ユニット1からの駆動力の伝達が可能になると同時に、記録ユニット1側に設けられた反転ユニット検出センサ(不図示)によって、用紙反転ユニット2が装着されたことが検出されて、ローラ類駆動機構が初期化される。(ここで、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構については、詳細な説明を後述するので、説明は省略する。)
ローラ類駆動機構の初期化状態では、ストップアーム127のフォロワーピン127aが、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周の無限軌道内に位置されている。このため、LFモータ26が正転方向に回転駆動することで、振り子アーム117が図7中矢印k方向に揺動しようとすると、ストップアーム127に当接されて、振り子アーム117に支持された第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合することができない。(但し、太陽ギア116内の軸のスベリがあるため、LFモータ26は、正転方向に回転駆動を続けることができる。)
すなわち、この初期化状態は、伝達ギア列115による駆動力の伝達が遮断された遮断状態であり、入力ギア143が受ける回転負荷が最小の状態であると同時に、入力ギア143が時計方向または反時計方向のどちらの方向にも回転自在にされているため、記録ユニット1側の出力ギア142と用紙反転ユニット2側の入力ギア143とが噛み合わされるときに、これら出力ギア142および入力ギア143の歯先が損傷することが確実に防止されている。
ローラ類駆動機構の初期化状態では、ストップアーム127のフォロワーピン127aが、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周の無限軌道内に位置されている。このため、LFモータ26が正転方向に回転駆動することで、振り子アーム117が図7中矢印k方向に揺動しようとすると、ストップアーム127に当接されて、振り子アーム117に支持された第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合することができない。(但し、太陽ギア116内の軸のスベリがあるため、LFモータ26は、正転方向に回転駆動を続けることができる。)
すなわち、この初期化状態は、伝達ギア列115による駆動力の伝達が遮断された遮断状態であり、入力ギア143が受ける回転負荷が最小の状態であると同時に、入力ギア143が時計方向または反時計方向のどちらの方向にも回転自在にされているため、記録ユニット1側の出力ギア142と用紙反転ユニット2側の入力ギア143とが噛み合わされるときに、これら出力ギア142および入力ギア143の歯先が損傷することが確実に防止されている。
この初期化は、用紙反転ユニット2が記録ユニット1に装着された際に毎回行われることは勿論のこと、両面記録が終了した時点にも初期化状態と同様に、振り子アーム117とストップアーム127の配置が採られるようにされている。したがって、記録動作が終了した後に、用紙反転ユニット2を記録ユニット1から取り外す場合にも、用紙反転ユニット2内の振り子アーム117とストップアーム127の配置は、初期化態に保たれている。
このように、用紙反転ユニット2を記録ユニット1に装着するときには、常に、記録ユニット1側の出力ギア142に噛み合う用紙反転ユニット2側の入力ギア143の歯先が軽負荷で回転可能な状態であり、用紙反転ユニット2を装着する際に各ギア142,143の歯先が損傷することを防止することができる。
なお、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される用紙反転ユニット2側の入力ギア143の回転負荷を少なくするためには、入力ギア143に回転負荷を与えるギアの個数が少ない位置、言い換えれば、入力ギア143にできるだけ近い位置で、駆動力の伝達を遮断する構成がより一層効果的である。
また、出力ギア142に噛合される用紙反転ユニット2側の入力ギア143の歯先を尖らす(有効歯たけ寸法が比較的大きい高歯に形成する)ことで、各ギア142,143の噛み合い動作が更に円滑になるため、噛合時に損傷が生じることを更に確実に防止することが可能になり、出力ギア142および入力ギア143のモジュールを通常よりも大きくすることでも同様の効果が得られる。
また、本実施形態で特徴となる点としては、伝達ギア列115による駆動力の伝達を遮断するための遮断機構が、上述した反転ユニット検出センサによる検出信号をトリガーにして遮断状態に切り替えるのではなく、後述する第1反転ディレイギア121および第2反転ディレイギア122の相対的な正転方向または逆転方向の回転量で制御されている点がある。すなわち、本発明に係る記録装置は、用紙反転ユニット2側から記録ユニット1に対して、検出信号の伝達を行う必要がないため、記録ユニット1と用紙反転ユニット2との間に電気的な接続箇所を設ける必要がなく、動作信頼性を確保する点および製造コストの増加を抑える点で優れている。
○記録用紙の表面側に対する記録が終了した後に、記録用紙を用紙反転ユニットに搬送する動作
まず、記録用紙4の表面側に記録するときの記録範囲について説明する。記録ヘッド11は、図2に示すように、搬送ローラ21と第1排出ローラ30との間に吐出口領域Nを有しているが、吐出口へのインク流路配置の都合や、インクを吐出させるアクチュエータへの配線の都合などにより、搬送ローラ21のニップ部の直近に吐出口領域Nを配置することが通常困難である。このため、記録用紙4が搬送ローラ21とピンチローラ22で挟持されている範囲では、搬送ローラ21のニップ部よりも下流側に図2中に示す長さL1だけ離れた範囲までしか記録を行うことができない。
まず、記録用紙4の表面側に記録するときの記録範囲について説明する。記録ヘッド11は、図2に示すように、搬送ローラ21と第1排出ローラ30との間に吐出口領域Nを有しているが、吐出口へのインク流路配置の都合や、インクを吐出させるアクチュエータへの配線の都合などにより、搬送ローラ21のニップ部の直近に吐出口領域Nを配置することが通常困難である。このため、記録用紙4が搬送ローラ21とピンチローラ22で挟持されている範囲では、搬送ローラ21のニップ部よりも下流側に図2中に示す長さL1だけ離れた範囲までしか記録を行うことができない。
このような記録用紙4の表面側後端(下端)の余白領域を少なくするために、本実施形態の記録装置では、搬送ローラ21のニップ部から記録用紙4が離脱し、第1排出ローラ30および第2排出ローラ31だけで挟持され搬送される部分まで記録を続行する。これにより、記録用紙4の表面側後端の余白が無くなるまでの記録動作が可能になる。
しかし、記録用紙4が第1排出ローラ30および第2排出ローラ31だけで挟持された状態から矢印F2方向に記録用紙4を搬送しようとすると、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に記録用紙4を確実に案内することができず(または困難で)、用紙詰まり、いわゆるジャムが発生する可能性がある。
本実施形態では、このようなジャムを回避するために、以下に説明する手段によって、搬送ローラ21からピンチローラ22をリリース(離間)させて所定の隙間を確保し、その隙間に記録用紙4の後端を引き込んだ後に、再度ピンチローラ22を記録用紙4に圧接させることにより、矢印F2方向に記録用紙4を良好に搬送することが可能にされている。
図10は、記録用紙4の表面側の記録が終了した後に、記録用紙4を搬送ローラ21のニップ部に再度引き込む動作を説明するために模式的に示す側面図である。図10を参照して、記録用紙4に対して自動両面記録を行う動作について具体的に説明する。
図10(a)は、記録用紙4の表面側の記録が終了し、記録用紙4が第1排出ローラ30および第1拍車列32、第2排出ローラ31および第2拍車列33によって挟持されている状態を示す。第1拍車列32および第2拍車列33は、対応する各排出ローラ30,31に押圧されて従動回転される。
上述したように、この状態まで記録用紙4を前進させて記録を行うと、記録用紙4の後端の縁一杯まで記録ヘッド11の吐出口列(吐出ノズル列)を対向させることが可能になるため、記録用紙4の後端に余白を残すことなく記録することも可能である。
次に、図10(b)に示すように、ピンチローラ22と搬送ローラ21との間に比較的大きな所定量の隙間をあけることにより、記録用紙4の後端が多少波打っていたり、上方に反り返っていたりしている場合であっても、容易に引き込めるようにされている。なお、このときに、ピンチローラホルダ23とキャリッジ13が干渉することはないので、キャリッジ13は、主走査方向に対してどの位置にあっても構わない。
図10(b)に示すように、図10(a)の状態から第1排出ローラ30を図10中時計回りに回転させることによって、記録用紙4を矢印F2方向に搬送する(以下、矢印F2方向に記録用紙4を搬送することをバックフィードと称する。)。そして、記録用紙4をバックフィードさせることで、記録用紙4の後端をピンチローラ22に対応する位置まで移動させ、その位置で記録用紙4を一旦停止させる。
この状態で一旦停止させる理由は、本実施形態の記録装置が湿式のインクジェット記録方式を採用しているためである。すなわち、記録用紙4の記録済み面(図10中での上面)は、記録動作直後のインクで濡れた状態にあり、直ぐにピンチローラ22を記録用紙4に圧接してしまうと、ピンチローラ22にインクが転写され、そのインクが再び記録用紙4に転写され、記録用紙4を汚損させてしまう可能性があるからである。
インクがピンチローラ22に転写されてしまうか否か、言い換えれば記録用紙4上に吐出されたインクが充分に乾燥しているか否かは、種々の条件に左右される。すなわち、記録用紙の種類、使用インクの種類、使用インクの重ね打ち込み方法、使用インクの単位面積当たりの打ち込み量(例えば記録したデータの単位面積当たりの密度)、記録動作を行っている環境における温度、湿度、気体の流速等の条件で変化する。
概略では、表面(ひょうめん)にインク受容層を有し、記録用紙の内部にインクを速やかに導くような記録用紙を用いた場合、インクが比較的早く乾燥しやすい。また、染料等、インクの粒子が小さく、記録用紙の内部に浸透しやすいインクを使用すれば、インクが早く乾燥しやすい。また、化学的に反応するインクを使用し、記録用紙の表面に重ねて打ち込むことで固化させるインクシステムを採用した場合には、インクが早く乾燥しやすい。
また、単位面積当たりに打ち込むインク量を少なくすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の温度を高くすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の湿度を低くすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の気体の流速を速くすれば、早く乾燥しやすい。以上のように、いくつかの条件により必要な乾燥時間が決定されるので、本実施形態では、所定のインクシステムを用いて、一般的な使用条件(一般的な記録用紙、一般的な記録動作環境)で記録を行った際に必要な乾燥時間が標準値として設定されており、予測可能な条件によって乾燥時間を変動させる構成を用いている。
この予測可能な条件は、単位面積当たりの打ち込みインク量であるが、その他にも、環境温度検出手段や、環境湿度検出手段、環境風速検出手段等を併用すれば、乾燥待機時間を更に高精度精に予測することも可能である。
例えば、図21に示すように、ホスト装置308から入力された記録データをRAM312内に記憶し、単位面積当たりの打ち込みインク量を算出して、その最大値とROM311に記憶された所定の閾値とを比較して、乾燥待機時間を決定する方式を適用することができる。すなわち、単位面積当たりの打ち込みインク量の最大値が大きい場合には、乾燥待機時間を長く設定し、逆に小さい場合には、乾燥待機時間を短く設定することで、記録パターンによる乾燥待機時間を最適化することができる。
また、記録に使用したインクの種類が、染料系インクであるか、顔料系インクであるかによっても乾燥待機時間が異なるが、染料インクの場合は乾燥しやすいために乾燥待機時間を短く設定し、顔料インクの場合は乾燥しにくいために乾燥待機時間を長く設定する。また、周囲温度が高いときには、乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定し、周囲温度が低いときには、乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定する。また、周囲湿度が高いときには乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定し、周囲湿度が低いときには乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定する。また、表面(ひょうめん)にインク受容層を有し、打ち込まれたインクを速やかに記録用紙の内部に取り込むような記録用紙の場合には、記録用紙の表面は乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定し、撥水性が高い記録用紙の場合には、乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定する。
なお、図10(a)に示す位置で、記録用紙4を乾燥待機させても良いが、そうせずに、図10(b)に示す位置まで記録用紙4をバックフィードさせて待機する方が好ましい理由は、記録用紙4の変形によるところが大きい。すなわち、湿式のインクジェット記録方式で記録用紙に記録を行った場合は、記録用紙が水分を吸収することで記録用紙の繊維が膨張し、記録用紙が伸びることがある。記録される記録パターンによって記録用紙に伸びる部分と伸びない部分が生じる場合があり、このような場合には特に顕著に紙面の凹凸が形成される。凹凸の量は、主に記録用紙が水分を吸収し始めてから経過した時間に依存し、時間が経過するにつれて凹凸量が増加していって、所定の変形量に収束する。
記録後から時間が経過して記録用紙の端部の変形量が大きくなると、ピンチローラ22を搬送ローラ21から離間させていても、記録用紙の端部がピンチローラ22に干渉してジャムを起こしてしまう可能性がある。このようなジャムを防止するために、記録終了後、記録用紙の凹凸の変形量が大きくなる前にバックフィードをして、ピンチローラ22の下方まで記録用紙を移動させてしまうようにしている。以上の理由により、図10(b)に示す位置まで記録用紙4の表面後端をバックフィードさせて、記録用紙の記録済み部分が充分に乾燥するまで待機する。離間時の搬送ローラ21とピンチローラ22との隙間は、記録用紙4の表面側に記録した後の記録用紙の変形量よりも大きく設定されている。
図10(c)は、記録用紙4を用紙反転ユニット2に向けて搬送している状態を示す。図10(c)に示すように、記録用紙4の記録済み部分が充分に乾燥し、記録用紙4がピンチローラ22に圧接されても、ピンチローラ22にインクが転写されない状態になった後、記録用紙4をピンチローラ22と搬送ローラ21で挟持する。この状態で搬送ローラ21を回転駆動させて、記録用紙4をバックフィードする。このとき、PEセンサレバー66は、搬送経路の上方に回転された退避位置でロックされているので、PEセンサレバー66の先端が記録用紙4に食い込んだり、あるいは、記録済み部分を擦ってインクを剥離させてしまったりするようなことはない。
また、通紙ガイド70は、搬送経路に対して下降された下降位置に移動されているので、その通紙面70aが略水平にされており、用紙反転ユニット2側に向けて記録用紙4を真っ直ぐに搬送することが可能にされている。なお、本実施形態では、通常、通紙ガイド70が上昇位置に移動された状態を初期状態としているが、本発明の趣旨はこれに制限されるものではなく、通紙ガイド70の初期状態が下降位置に移動された状態としても良い。このように構成することにより、剛性が高い記録用紙を第2排出ローラ31側から挿入する際に、円滑に挿入することが可能となる。
○用紙反転ユニット内部の記録用紙の搬送形態についての説明
次に、用紙反転ユニット2内部の記録用紙4の搬送状態について、図11を参照して説明する。図11は、用紙反転ユニット2内の構成について、搬送経路および各反転ローラの設置状態を模式的に示す断面図である。
次に、用紙反転ユニット2内部の記録用紙4の搬送状態について、図11を参照して説明する。図11は、用紙反転ユニット2内の構成について、搬送経路および各反転ローラの設置状態を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、用紙反転ユニット2は、用紙反転ユニット2の支持構造体および記録用紙4の搬送経路の一部を構成する反転ユニットフレーム101と、反転ユニットフレーム101内部に固定されて搬送経路の一部を構成する内ガイド102と、反転ユニットフレーム101の後方に開閉自在に設けられて搬送経路の一部を構成するリアカバー103と、切替フラップ104を所定方向に付勢する切替フラップばね105と、出口フラップ106を所定方向に付勢する出口フラップばね107と、第1反転ローラ108の周面に設けられた第1反転ローラゴム110と、第2反転ローラ109の周面に設けられた第2反転ローラゴム111とを備えている。
記録用紙4が図10(c)に示す状態から用紙反転ユニット2に搬送されてきたとき、出口フラップ106は、出口フラップばね107の弾性力によって、図11に示す位置に付勢されているため、記録用紙4の導入路が一意に決められる。このため、記録用紙4は、図11中矢印F10方向に進行していく。
続いて、記録用紙4の後端は、切替フラップ104に当接されるが、通常の両面記録が可能な記録用紙の場合には、切替フラップ104が回転されないような所定の荷重に切替フラップばね105が設定されているため、記録用紙4が切替フラップ104と反転ユニットフレーム101との間の搬送経路に沿って矢印F3方向に進行する。そのまま、記録用紙4は、記録済み面(表面)が第2反転ローラ109の第2反転ローラゴム111に当接され、未記録面(裏面)が高潤滑性の高分子樹脂材からなる第2反転ピンチローラ113に当接される向きで、第2反転ローラ109と第2反転ピンチローラ113との間に挟持されていく。
このとき、後述する駆動機構により、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109と搬送ローラ21は、ほぼ等しい周速度で回転するように設定されているので、記録用紙4と第2反転ローラ109の間に滑りを生じさせることなく記録用紙4を搬送する。また、このように各ローラ108,109,21の周速度がほぼ等しくされることにより、搬送中の記録用紙4が、弛んだ状態や張力がかかった状態になることもない。記録用紙4は、第2反転ローラ109によって進行方向が変えられることで、リアカバー103の内面に沿って進行し、同様に第1反転ローラ108の第1反転ローラゴム110と第1反転ピンチローラ112との間に挟持されていく。
再度、第1反転ローラ108により進行方向が変えられて、記録用紙4は、図11中矢印b方向に搬送される。これらの第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、記録用紙4の表裏または搬送方向を反転させるための反転ローラを構成している。そのまま、記録用紙4が進行することで、記録用紙4の先端が出口フラップ106に当接される。出口フラップ106は、非常に小さい荷重の出口フラップばね107によって付勢されているので、記録用紙4自身が出口フラップ106を押し退けて用紙反転ユニット2から出ていく。記録用紙4の進行方向の先端が出口フラップ106を出ていくときには、記録用紙4の進行方向の後端が出口フラップ106の下方を既に通過しているように用紙反転ユニット2内の搬送経路長が設定されているので、記録用紙4自身の先端部と後端部とが擦れ合うことはない。
なお、詳細な説明については後述するが、記録用紙4の表面側に記録を行う際に、PEセンサレバー66によって記録用紙長を測定することが可能である。このため、搬送ローラ21から第2反転ローラ109までの距離、あるいは第1反転ローラ108から搬送ローラ21までの距離よりも短い記録用紙や、用紙反転ユニット2の出口フラップ106から搬送経路を一周して出口フラップ106まで戻ってくる搬送路全長よりも長い記録用紙が挿入された際には、表面側の記録が終了した段階で警告等を発し、用紙反転ユニット2内に記録用紙4が搬送されることなく、第2排出ローラ31側から排出されてしまうように構成されている。
ここで、記録用紙4の記録済み面を第1反転ローラゴム110および第2反転ローラゴム111側にして搬送する理由について説明する。
まず第1の理由として、第1反転ローラゴム110や第2反転ローラゴム111は駆動側であり、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113は従動側であるので、記録用紙4は、駆動側ローラに追従して搬送され、従動側は記録用紙4との摩擦力により回転させられることになる。このとき、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113を支持する回転軸の軸損が十分に小さければ良いが、何らかの原因で軸損が上昇した場合、記録用紙4と第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113との間で滑りが生じる可能性がある。記録用紙4に記録されている記録部分は、ローラとの当接によりインクが転写されない程度には乾燥しているが、摺動された場合に記録用紙4の表面からインクが剥離されてしまう可能性もある。
もしも、記録用紙4の記録済み面が第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113側に当接されていて、これらローラ112,113と記録用紙4との間で滑りが生じた場合には、記録済み面のインクが剥離してしまう可能性がある。それを防止するために、本実施形態のように、記録済み面(表側)側に駆動側部材が当接されるようにし、未記録面(裏面)側に従動部材が当接されるように配置されている。
第2の理由として、駆動側の第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、記録用紙4を屈曲可能な屈曲半径による制約があるため、ある程度の直径以下に設定することはできないが、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113は小径化することが可能であるので、用紙反転ユニット2をコンパクトに設計するためには、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113を小径に設計することが多い。
また、基本的には、記録用紙4の記録済み面からインクがローラ側に転写されないが、極微量ずつ転写されて、記録済み面に当接されるローラ側が徐々にインクで汚損されていくことがある。小径化されたローラの場合は、ローラの外周が記録用紙4に接触する頻度が高くなるため、大径のローラに比べて汚れていく速度が速くなるので、小径のローラは汚れに対して不利であると言える。以上のことから、本実施形態では、記録装置の小型化とローラの汚れを抑える観点から、記録用紙4の記録済み面(表面)に当接される側に、直径が比較的大きい第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を位置させる配置としている。
第3の理由として、一方側のみが駆動される一対のローラで記録用紙4を挟持して搬送する場合には、搬送量を正確にするために駆動側を摩擦係数が比較的大きい材質で形成し、従動側を摩擦係数が比較的小さい材質で形成し、ニップ部の面積(ニップ面積)を稼ぐために、いずれか一方のローラを弾性材料で形成することが多い。一般に、ローラは、比較的製造コストが低くて大きな摩擦係数が得られ、弾性にも富んでいるゴム類素材(ゴム状弾性材)が駆動側材質に採用されている。また、搬送力を増すために、例えばエラストマー等を含むゴム類の表面に研磨を施し、故意に研磨目の微小な凹凸を設ける手法もよく用いられる。この場合には、従動側を表面の摩擦係数が比較的小さい高分子樹脂材で形成することが一般的である。
微小な凹凸の付いたゴム類と平滑な高分子樹脂材の表面とを比較した場合、記録用紙4の記録済み面に当接させたとき、どちらもインクの汚れが付着する。微小な凹凸の付いたゴム類では、その凹凸内に汚れを保持するため、再度、記録用紙4に汚れが転写されることが少ないのに対し、平滑な高分子樹脂材では汚れが剥離して記録用紙4に再転写されることがあるので、ゴム類を記録用紙4の記録済み面に当接させる方が有利であると言える。以上のことから、本実施形態では、記録用紙4の記録済み面である表面側に当接される側にゴム類素材のローラを配置し、未記録面である裏面側に当接する側に高分子樹脂素材のローラを配置するように構成されている。以上が、通常の記録用紙4に両面記録する際の反転動作についての説明である。
○2通りの搬送経路を有する用紙反転ユニットの説明
次に、用紙反転ユニット2について、自動両面記録を行わないで、剛性が比較的高い記録用紙に記録を行う場合の動作を説明する。
次に、用紙反転ユニット2について、自動両面記録を行わないで、剛性が比較的高い記録用紙に記録を行う場合の動作を説明する。
剛性が比較的高い記録用紙としては、例えば、厚さが2mm〜3mm程度の厚紙や、円板状や異形状の記録用紙を所定のトレイに載置して搬送する場合が想定される。このような記録用紙は剛性が比較的高く、用紙反転ユニット2の反転ローラ108,109の直径に倣う程に湾曲させることができないため、両面記録を行うことができない。しかしながら、用紙反転ユニット2が記録ユニット1に装着されたままの状態で、そのような記録用紙に記録を行う状況があり得る。
記録用紙4の剛性が高い場合、メインASF37を利用して給送することもできないので、その場合は、直線状の搬送経路を用いるために、第2排出ローラ31側から搬送ローラ21側に向かって記録用紙4を給送する。このときの用紙反転ユニット2の動作について、図12を参照して説明する。図12は、用紙反転ユニット2内の搬送経路を切り替える切替フラップ104の動作を説明するための断面図である。
図12(a)は、上述した通常の記録用紙を使用して自動両面記録を行う場合の状態を示す。このとき、切替フラップばね105は、搬送された記録用紙4の押圧力に抗して切替フラップ104を付勢し続けるので、記録用紙4は、表裏面を反転させるための搬送経路側に案内される。
図12(b)は、剛性が高い記録用紙4を使用した場合の状態を示す。剛性が高い記録用紙4が用紙反転ユニット2に搬送された場合、記録用紙4は、出口フラップ106の下方を通過して切替フラップ104に当接される。切替フラップばね105は、剛性が高い記録用紙4が挿入され切替フラップ104が押圧されることによって、その押圧力で切替フラップ104を退避させる程度のばね荷重に設定されている。このため、切替フラップ104は、剛性が高い記録用紙4の進行に従って、図12(b)中矢印r方向に回転されて退避される。そして、剛性が高い記録用紙4は、第1反転ローラ108と第2反転ローラ109との間に設けられた他の搬送経路である退避経路131内に導かれる。また、リアカバー103には、退避経路131に対応する位置に、記録用紙4を挿通させる開口が設けられているので、長尺な剛性が高い記録用紙4を使用した場合でも、用紙反転ユニット2内に干渉して搬送動作が妨げられることがない。
なお、本発明の趣旨は、図12(b)を参照して説明した構成に制限されるものではない。すなわち、本発明の実施に際して、上下2本の反転ローラ108,109の間に退避経路131を設けることは必須ではなく、例えば以下のように構成することも可能である。
図13は、略水平経路の上方に、比較的大径の反転ローラを配置して構成された他の用紙反転ユニットを模式的に示す側面図である。なお、他の用紙反転ユニットにおいて、上述した用紙反転ユニット2と同一機能部分に対応する各部材には、便宜上、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図13に示すように、切替フラップ104は、切替フラップばね(不図示)の弾性力によって、反転ローラ108の周面に沿って搬送路を構成する位置に付勢されている。切替フラップばねは、切替フラップ104を付勢する弾性力が、剛性が高い記録用紙4が当接された際に、記録用紙4によって切替フラップ104が回転されるような所定の荷重に設定されている。
したがって、剛性が低い記録用紙の場合は、第1反転ローラ108が図13中矢印n方向に回転されることによって、記録用紙は図13中矢印m方向に進行する。一方、剛性が高い記録用紙の場合は、記録用紙が切替フラップ104を押し退けて回動させて、図13中矢印q方向の退避経路131に進行する。これにより、長尺な剛性が高い記録用紙を使用した場合であっても、用紙反転ユニット2内部で干渉して搬送動作が制限されることはない。
以上のように、本実施形態の記録装置は、記録ユニット1から用紙反転ユニット2を取り外すことなく、剛性が高く湾曲させることが困難な記録用紙に対して片面記録を行うことも可能にされている。
○用紙反転ユニットのローラ類駆動機構についての説明
次に、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構について、本発明を適用した記録装置の一実施形態(図1)を図2とは反対側から見て用紙反転ユニットのローラ類駆動機構の構成を示す模式的側断面図である図14を参照して説明する。
次に、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構について、本発明を適用した記録装置の一実施形態(図1)を図2とは反対側から見て用紙反転ユニットのローラ類駆動機構の構成を示す模式的側断面図である図14を参照して説明する。
図14に示すように、用紙反転ユニット2が備えるローラ類駆動機構は、記録ユニット1側のLFモータ26からの駆動力を伝達するための伝達ギア列115と、この伝達ギア列115によって駆動力が伝達される太陽ギア116と、この太陽ギア116と同軸に揺動可能に設けられた振り子アーム117と、この振り子アーム117に回転可能に支持されて太陽ギア116にそれぞれ噛合された第1遊星ギア118および第2遊星ギア119とを備えている。
また、ローラ類駆動機構は、各遊星ギア118,119に噛合される第1反転ディレイギア121と、この第1反転ディレイギア121と同軸に設けられた第2反転ディレイギア122と、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122との間に相対的な付勢力を与える反転ディレイギアばねと、第1反転ローラ108に固定された第1反転ローラギア125と、第2反転ローラ109に固定された第2反転ローラギア126と、2つの第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126に噛合されるローラアイドラギア124とを備えている。
また、ローラ類駆動機構は、ローラアイドラ124に噛合されるスパイラル溝ギア120と、このスパイラル溝ギア120の後述するカム溝に係合されて揺動されるストップアーム127と、このストップアーム127をセンタリングするように付勢する引っ張りコイルばね128と、振り子アーム117に取り付けられた振り子付勢ばね132とを備えている。
上述したように、本実施形態では、用紙反転ユニット2の駆動力を、搬送ローラ21を駆動するLFモータ26から得ている。このように構成することにより、搬送ローラ21と第1反転ローラ108あるいは第2反転ローラ109とが協働して記録用紙4を搬送する際に、起動停止のタイミングおよび記録用紙4の搬送速度をほぼ完全に同期させることができ、このような構成を採るのが好適である。
LFモータ26からの駆動力は、伝達ギア列115を介して太陽ギア116まで伝達される。太陽ギア116には、振り子アーム117が揺動自在に取り付けられている。また、振り子アーム117の両端には、第1遊星ギア118および第2遊星ギア119がそれぞれ回転可能に支持されている。
太陽ギア116と振り子アーム117との間には、適度な摩擦力が働くように構成されているので、太陽ギア116の回転方向に従って振り子アーム117が揺動される。ここで、搬送ローラ21が記録用紙4を排出方向に搬送する方向にLFモータ26を回転させる方向を正転方向とし、用紙反転ユニット2側に記録用紙4を搬送する方向を逆転方向とした場合、LFモータ26が正転方向に回転されたときには、太陽ギア116が図14中矢印a方向に回転される。太陽ギア116の回転に伴って、振り子アーム117も基本的に矢印a方向に揺動される。
振り子アーム117が矢印a方向に揺動されることによって、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合され、ローラアイドラギア124を回転させる。ローラアイドラギア124の回転に伴って、第1反転ローラギア125は図14中矢印c方向に回転され、同様に第2反転ローラギア126が図14中矢印d方向に回転される。第1反転ローラギア125が矢印c方向に回転され、第2反転ローラギア126が矢印d方向に回転されることで、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109がそれぞれ用紙反転ユニット2内で記録用紙4を搬送する方向に回転される。
また、LFモータ26が逆転方向に回転されたときには、太陽ギア116が図14中矢印b方向に回転される。太陽ギア116が矢印b方向に回転するのに伴って、振り子アーム117も基本的に矢印b方向に揺動される。振り子アーム117が矢印b方向に揺動されることによって、振り子アーム117に支持された第2遊星ギア119は、第1反転ディレイギア121に噛合される。
第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122には、対向する対向面から互いに突起(不図示)がそれぞれ突設されている。これらの突起は、第2反転ディレイギア122を固定して考えた場合、第2反転ディレイギア122に対して第1反転ディレイギア121を1回転させることで、突起同士が係合状態と係合解除状態とに切り替えられるクラッチの役割を果たしている。すなわち、遮断機構は、これら第1反転ディレイギア121および第2反転ディレイギア122の相対的な回転量に応じて、駆動力を伝達する伝達状態と、駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替えられる。
第2遊星ギア119が第1反転ディレイギア121に噛合されていない状態では、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122との間の各突起が、反転ディレイギアばねによって突起同士が離間される方向に付勢されている。このため、第1反転ディレイギア121が回転を開始してから略一回転した後に、第2反転ディレイギア122は回転を開始する。このように、LFモータ26が逆転方向に回転を開始してから、第2反転ディレイギア122が回転を開始するまでの期間が、駆動力の伝達が解除され、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が停止されている遅延期間になる。
そして、第2反転ディレイギア122が回転されることで、ローラアイドラギア124を介して、第1反転ローラギア125を図14中矢印c方向に回転させるとともに、第2反転ローラギア126を図14中矢印d方向に回転させる。これらの回転方向は、LFモータ26を正転方向に回転させた場合の回転方向と同じ方向である。このような機構によって、LFモータ26の回転方向に拘わらず、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を常に記録用紙4の搬送方向に回転させることが可能にされている。
ここで、スパイラル溝ギア120の作用について説明する。スパイラル溝ギア120は、外周にギア部が設けられており、一方の側面に最内周および最外周に無限軌道をそれぞれ有する螺旋状のカム溝が切り欠かれたカム部が設けられている。
このスパイラル溝ギア120は、本実施形態において、アイドラギア124を介して太陽ギア116と直結されているので、太陽ギア116と同一方向に同期して回転されている。スパイラル溝ギア120のカム溝には、ストップアーム127に設けられたフォロワーピン127aが係合されており、スパイラル溝ギア120の回転に伴ってストップアーム127が揺動される。
例えば、スパイラル溝ギア120が図14中矢印e方向に回転されたときには、フォロワーピン127aがカム溝の内周側に引き込まれて、ストップアーム127が図14中矢印g方向に揺動される。そのままスパイラル溝ギア120が矢印e方向に回転され続けたときにも、フォロワーピン127aが、カム溝の最内周の無限軌道に進入するので、ストップアーム127は所定位置で停止される。
一方、スパイラル溝ギア120が図14中矢印f方向に回転されたときには、フォロワーピン127aが、カム溝の外周側に向かって移動されるので、ストップアーム127が図14中矢印h方向に揺動される。このときも同様に、スパイラル溝ギア120が矢印f方向に回転され続けたとき、フォロワーピン127aが、カム溝の最外周の無限軌道に進入するので、ストップアーム127は所定位置で停止される。
なお、スパイラル溝ギア120の回転方向が切り替わった際に、フォロワーピン127aが、最外周および最内周の各無限軌道から螺旋状の溝部分に円滑に移動できるように、ストップアーム127には、ストップアーム127の移動範囲の中央付近を中心としてセンタリングするための引っ張りコイルばね128の一端が取り付けられている。
このストップアーム127は、振り子アーム117に取り付けられた振り子付勢ばね132に作用する。振り子付勢ばね132は、一端が振り子アーム117に取り付けられた弾性部材である。また、振り子付勢ばね132の他端は、常にストップアーム127側よりもスパイラル溝ギア120の中心側に位置されている。
このような位置関係により、LFモータ26が正方向に回転したときに、次のような作用を与える。すなわち、LFモータ26が逆方向に回転されて記録用紙4を用紙反転ユニット2に搬送させ、表裏面を反転させて記録用紙4が搬送ローラ21まで戻ってきたときに、スパイラル溝ギア120に対して、ストップアーム127は、カム溝の最外周側の無限軌道に沿って回転されている。その後、LFモータ26を正方向に回転させて裏面側の記録を行っている際に、ストップアーム127は、スパイラル溝ギア120の内周側に向かって移動されてくる。LFモータ26が正方向に回転されているときには、振り子アーム117が、図14中矢印a方向に揺動されて駆動力を伝達しているので、ストップアーム127が内周に向かってくる途中で振り子付勢ばね132に当接される。
LFモータ26が更に正方向に回転されることで、ストップアーム127は、更に内周側に移動されて振り子付勢ばね132を弾性変形させる。このため、振り子アーム117は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が噛み合うときに圧力角方向に作用する力および振り子アーム117を図14中矢印a方向に揺動させる力と、振り子付勢ばね132の弾性力との力のバランスで、振り子アーム117の姿勢が決まることになる。
本実施形態の場合は、振り子付勢ばね132の反発力が小さく設定されているので、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に進入された位置にいても、振り子付勢ばね132を弾性変形させるだけで、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との間で、駆動力の伝達が継続して行われる。
LFモータ26の動作が間欠的な駆動をすることで回転状態と停止状態を繰り返しているときに、停止状態となっても、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合されたままなので、これら第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の噛み合いが外れることはない。しかし、記録用紙4の裏面側の記録が終了した後、用紙反転ユニット2への駆動力の伝達が不要になったときには、LFモータ26の負荷を軽減させる点から駆動を切断した方が好ましい。したがって、記録ユニット1側からの駆動力の伝達を切断したい場合には、以下の動作が行われる。
すなわち、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に進入していて、振り子付勢ばね132が弾性変形されている状態で、少しだけLFモータ26を逆方向に回転させる。すると、振り子付勢ばね132の弾性力によって、振り子アーム117は、図14中矢印b方向に回転しようとする状態が、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合することよって止められている状態から、歯面同士の当接を外す方向の回転が与えられるので、振り子アーム117は一気に矢印b方向に回転される。
一旦、振り子アーム117が矢印b方向に回転されてしまうと、弾性変形されていた振り子付勢ばね132が元の形状に復帰するので、LFモータ26を正方向に回転させても振り子付勢ばね132とストップアーム127が干渉するため、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124が噛み合う位置まで振り子アーム117は揺動できない。したがって、この状態からは、LFモータ26を逆方向に所定量だけ回転させなければ、用紙反転ユニット2の振り子アーム117以降に駆動力が伝達されない。振り子アーム117までを駆動させるのは、単に伝達ギア列115を回転駆動させるだけなので、LFモータ26に掛かる負荷が僅少であり、記録ユニット1に用紙反転ユニット2が装着されていないときの負荷とほとんど差がない。
なお、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に位置している状態から、LFモータ26が逆方向に回転された場合には、振り子付勢ばね132とストップアーム127の間には何も作用を及ぼさないので、上述したように第1反転ディレイギア121へ駆動力を伝達することができる。
○用紙反転ユニットの詳細な動作シーケンス
次に、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作および自動両面記録の動作の詳細について、図15および図19を参照して説明する。図15は、図14に示した用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作を説明するための側面図である。図19は、自動両面記録の動作シーケンスを示すフローチャートである。
次に、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作および自動両面記録の動作の詳細について、図15および図19を参照して説明する。図15は、図14に示した用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作を説明するための側面図である。図19は、自動両面記録の動作シーケンスを示すフローチャートである。
図15および図19に示すように、自動両面記録が開始されると、ステップS1で、記録用紙4の給送が行われる。例えば、メインASF37などから搬送ローラ21に向けて記録用紙4が供給される。次に、ステップS2で、記録部によって記録用紙4の表面側に対する記録が行われる。これは、記録用紙4に片面記録する場合と同様の動作である。このときのローラ類駆動機構の状態は図15(a)に示す状態である。
図15(a)は、用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構を初期化した後に、LFモータ26が正方向に回転駆動中の状態を示している。すなわち、自動両面記録時の記録用紙4の表面側に対する記録動作中や、自動両面記録を使用しない通常の記録動作中などの状態を示している。ストップアーム127のフォロワーピン127aは、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周側の無限軌道に位置している。このため、振り子アーム117が図15中矢印a方向に揺動しようとすると、振り子アーム117はストップアーム127に当接して、それ以上回転できず、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に係合することができない。したがって、LFモータ26からの駆動力は、第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126に伝達されない。この状態では、第1反転ピンチローラ112または第2反転ピンチローラ113による押圧力を受けて軸損が発生している各第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が回転されないので、LFモータ26が受ける負荷が少ない。
次に、ステップS3で、記録用紙4の表面側の記録が終了した時点で、PEセンサ67によって記録用紙4の表面後端が検出できたか否かを確認する。このとき、PEセンサ67によって、記録用紙4の表面先端のみが検出されていた場合には、まだ記録用紙4の表面後端が検出されていない。このため、ステップS4で、そのままLFモータ26を正方向に回転させて、記録用紙4の表面後端がPEセンサレバー66を通過して更に少し進行した位置p2まで記録用紙4を搬送させる。次に、ステップS5で、PEセンサ67が記録用紙4の表面先端を検出したときから表面後端を検出するときまでの間に記録用紙4を搬送した搬送量から、記録用紙4の長さを算出する。
上述のように、記録用紙4の長さが所定長L1よりも短い場合は、搬送ローラ21から第2反転ローラ109まで搬送する間、あるいは第1反転ローラ108から搬送ローラ21までの搬送の間にローラに届かなくなってしまうため、自動両面記録動作の対象から除外することが必要である。また、記録用紙4の長さが所定長L2よりも長い場合は、記録用紙4の記録済み面同士が搬送ローラ21から用紙反転ユニット2までの通紙経路中で交差してしまうことになり好ましくないので、自動両面記録動作の対象から除外することが必要である。
すなわち、記録用紙4の長さが、所定長L1より大きく所定長L2より小さい範囲内であるか否かをステップ5で判断する。(但し、L1<L2)記録用紙4の長さが上述の範囲外であり、自動両面記録動作の対象から除外すると判断した場合には、ステップS6に移行し、LFモータ26を正方向に回転させて、そのまま記録用紙4を装置外方に排出し、給送エラーにする。記録用紙4の長さが、上述の範囲内であると判断した場合には、ステップS7に移行し、搬送ローラ21からピンチローラ22を離間させる。
次に、ステップS8で、記録用紙4の表面後端が、既にピンチローラ22近傍の位置p1よりも搬送方向の下流側まで搬送されているか否かを確認する。記録用紙4の表面後端が既に下流側まで搬送されている場合には、記録用紙4にピンチローラ22を圧接させたときに搬送ローラ21とピンチローラ22に記録用紙4が確実に挟持されるように、ステップS9で、表面後端が位置p1に移動するまで、LFモータ26を逆方向に回転させてバックフィードする。このときのローラ類駆動機構は、図15(b)に示す状態になる。
また、ステップS2からステップS8までの動作では、なるべく動作が停止しないようにし、上述したように記録用紙4が変形する前にステップS9が行われることが望ましい。なお、記録用紙4の表面後端が位置p1よりも上流側に位置している場合には、そのままピンチローラ22を記録用紙4に圧接させることで記録用紙4を確実に挟持することが可能であるので、そのままステップS10に移行する。
図15(b)は、LFモータ26の逆方向の回転が開始した直後の状態を示している。すなわち、自動両面記録時に記録用紙4の表面側の記録終了後にバックフィードが開始された直後や、メインASF37からの給送後の頭出し量調整のためにLFモータ26を逆転させた場合などである。このときは、振り子アーム117が図15中矢印b方向に揺動しようとするのを妨げられないので、第2遊星ギア119が第1反転ディレイギア121に噛合される。これに伴って、第1反転ディレイギア121は、回転を開始するが、略1回転するまで第2反転ディレイギア122に駆動力が伝達されない。このため、ローラアイドラギア124は回転されず、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は回転動作されない。
したがって、この状態でもまだLFモータ26が受ける負荷が少ない。このような状態に設定している理由は、自動両面記録時に記録用紙4をバックフィードさせたとき、搬送ローラ21から第2反転ローラ109までの搬送距離を考慮して、記録用紙4の裏面先端が第2反転ローラ109に到達するまでは、第2反転ローラ109を回転させる必要がないためである。また、上述したように、通常記録時の頭出し量の調整時などに、不必要に第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が回転されないようにするためである。
次に、ステップS10で、記録用紙4の表面側の記録済みインクが充分に乾燥するまで乾燥待機時間t1[sec]だけ待機する。ステップS10で必要な乾燥待機時間t1は、上述したように種々の要因によって変動するので、可変のパラメータとすることが可能である。具体的には、記録用紙の種類、インクの種類、インクの重ね打ち込み方法、インクの単位面積当たりの打ち込み量、環境温度、環境湿度、環境風速等の各種条件を勘案して乾燥待機時間t1が決定される。
続いて、ステップS11で、記録用紙4にピンチローラ22を圧接させ、搬送ローラ21とピンチローラ22で再度記録用紙4を挟持する。さらに、ステップS12で、乾燥待機時間t2[sec]だけ待機する。この乾燥待機時間t2は、ステップS10で乾燥待機時間t1だけ待機した場合には、待機を行わなくても良く、乾燥待機時間t2=0としてステップ13に移行させることも可能である。
乾燥待機時間t2だけ待機する理由は、例えば、記録用紙4の表面後端部に記録動作が行われておらず、後端部に余白部分が存在している場合に、ステップS10において乾燥待機時間t1=0として直ぐに余白部分にピンチローラ22を圧接させるように制御しても、何ら支障がない。しかし、搬送ローラとピンチローラで余白部分を挟持し、そのまま直ぐにバックフィードして記録用紙4の搬送を行った場合には、乾燥前のインクがピンチローラ22に転写されてしまう可能性があるためである。このため、ステップS10で乾燥待機時間t1=0とした場合を考慮して、ステップ12で乾燥待機時間t2だけ待機するように構成されている。
次に、ステップS13で、LFモータ26を逆方向に回転させ、記録用紙4を所定量x1だけバックフィードする。このステップS13で、記録用紙4を用紙反転ユニット2まで搬送し、表裏面を反転させる。このステップS13が完了したとき、記録用紙4の裏面先端は、搬送ローラ21よりも少し上流側まで戻されている。ここまでのローラ類駆動機構の状態が、図15(c)に示す状態である。
図15(c)は、LFモータ26を更に逆方向に回転させ続けた場合の状態を示している。すなわち、記録用紙4をバックフィードして用紙反転ユニット2内で反転している間の状態である。図15(b)の状態以降、反転ディレイギア121が略1回転されたとき、第1反転ディレイギア121のスラスト方向に突出された突起が、対向して設けられた第2反転ディレイギア122の突起に係合され、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122が一体になって回転を開始する。第2反転ディレイギア122が回転を開始することによって、第2反転ディレイギア122はローラアイドラギア124と常時噛合されているので、ローラアイドラギア124および第1反転ローラギア125、第2反転ローラギア126がそれぞれ回転される。これによって、第1反転ローラ108は、図15中矢印c方向に回転駆動され、第2反転ローラ109は、図15中矢印d方向に回転駆動される。
次に、記録用紙4の裏面先端を搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に挟持させる際に行われる、いわゆるレジストレーション動作について説明する。
まず、図20に示すように、ステップS14で、現在使用している記録用紙4が、剛性が比較的低い薄い記録用紙であるか、剛性が比較的高い厚い記録用紙であるかによって制御をそれぞれ切り替える。記録用紙4の剛性の判断は、プリンタドライバ等で利用者が設定する記録用紙の種類によって判断されても良く、また記録用紙の厚みを測定して検出する厚み検出手段(不図示)を使用して判断されても良い。なお、ここで制御を2つに分ける理由は、記録用紙の剛性によって記録用紙4を撓ませてループを形成した際の挙動が異なるからである。
比較的剛性が低い薄い記録用紙を使用する場合について説明する。図17は、薄い記録用紙を使用した場合に、記録用紙の裏面先端のレジストレーション動作を示す断面図である。図17および図20に示すように、ステップS13で、LFモータ26が逆方向に回転されることにより、図17(a)に示すように、記録用紙4の反転搬送が行われる。ステップS13が終了したとき、記録用紙4の裏面先端は、おおよそ通紙ガイド70近傍に戻されている。薄い記録用紙を使用した場合には、次にステップS15に移行する。ステップS15では、通紙ガイド70を上昇位置に移動させる。
図17(b)は、ステップS15が完了した状態を示す。上述したように、搬送ローラ21の中心に対して、ピンチローラ22の中心は若干のオフセットをもって第1排出ローラ30側に配置されている。このため、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部は、記録用紙4が搬送されてきた略水平方向に対して若干の角度をもって傾斜されている。したがって、レジストレーション動作前に、通紙ガイド70を下降位置から上昇位置に戻すことで、通紙ガイド70の通紙面70aが傾斜され、記録用紙4の裏面先端を、この傾斜されたニップ部に円滑に導くことが可能になる。
続いて、ステップS16で、LFモータ26を逆方向に回転させ、更に記録用紙4を搬送ローラ21に向けて搬送する。ステップS17で、PEセンサ67によって記録用紙4の裏面先端を検出する。ステップS17で、記録用紙4の裏面先端が検出されない場合には、再度ステップS16に移行し、記録用紙4の裏面先端が検出された場合には、ステップS18に移行する。
次に、ステップS18で、PEセンサ67による裏面先端の検出位置から搬送ローラ21までの距離よりも少しだけ長い距離x2だけ記録用紙4を搬送する。これにより、記録用紙4の裏面先端は、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に到達し、更に余分に搬送された部分は記録用紙4が撓んで、ループが形成される。
図17(c)は、ステップS18が完了したときの状態を示す。通紙ガイド70を上昇位置に移動させたことにより、通紙経路の高さ方向(記録用紙4の厚み方向)の隙間が少なくなっているが、記録用紙4の剛性が比較的低いので、ループが容易に形成され、湾曲された部分が記録用紙4を押し込むので、逆転を続ける搬送ローラ21とピンチローラ22のニップ部に記録用紙4の裏面先端部が倣って搬送ローラ21と平行になり、いわゆるレジストレーション動作が完了する。次に、ステップS19で、LFモータ26の回転方向を正方向の回転に切り替えて、記録用紙4の裏面先端をニップ部で挟持し、所定距離x3だけ搬送して、裏面側の記録開始の準備を完了する。
次に、比較的剛性が高い厚い記録用紙を使用する場合について説明する。図18は、厚い記録用紙を使用した場合に、記録用紙の裏面先端のレジストレーション動作を示す断面図である。図18(a)は、図17(a)と同様にステップS13の途中の状態を示し、図18(b)は、ステップS13が完了したときの状態を示す。
ステップS20で、通紙ガイド70は下降位置のままでLFモータ26を逆方向に回転させ、ステップS13で停止した位置の記録用紙4の裏面先端から搬送ローラ21のニップ部までの距離よりも少しだけ長い距離x4だけ記録用紙4を搬送する。これによって、上述した薄い記録用紙を使用した場合と同様に、記録用紙4の裏面先端は、逆転されている搬送ローラ21のニップ部に到達し、更に記録用紙4が押し込まれた部分でループが形成されるので、記録用紙4の裏面先端は搬送ローラ21と平行になり、レジストレーション動作が完了する。図18(c)はステップS20が完了したときの状態を示す。
次に、ステップS21で、LFモータ26の回転方向を正方向に切り替えて、記録用紙4の裏面先端をニップ部で挟持し、所定距離x5だけ搬送して、裏面側の記録開始の準備をする。なお、ステップS19またはステップS21で、それまで逆方向に回転されていたLFモータ26が正方向の回転に回転方向を切り替える。このとき、振り子アーム117は、図14中矢印a方向へと揺動される。これによって、第2遊星ギア119と第1反転ディレイギア121との噛合状態が解除される。
LFモータ26の逆方向の回転時は、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122が各突起によって係合され、同時に、両者の間に挟まれた捩じりコイルばねである反転ディレイギアばねが圧縮された状態になっているが、第1反転ディレイギア121が回転自在なフリー状態になることによって、反転ディレイギアばねが伸張するため、第1反転ディレイギア121は略1回転だけ反転され、初期状態に復帰する。
次に、ステップS22で、記録用紙4の裏面側の記録開始の準備を完了する。ここで、厚い記録用紙を使用する場合に、レジストレーション動作を行う間、通紙ガイド70を下降位置に移動させている理由について説明する。薄い記録用紙の場合と同様に、図17(c)に示したようにしてループを形成しようとした場合、記録用紙の剛性が高いため、ニップ部に到達する前から記録用紙4はピンチローラホルダ23の内面に沿って搬送されてしまう。これにより、記録用紙4がニップ部に到達した後に更に搬送されてループを形成しようとしても、すでにループを形成するスペースが無くなっており、ループが形成されない。そのため、良好なレジストレーションが取れない場合があり得るためである。
また、ループが形成されない場合、第1反転ローラ108と搬送ローラ21との間で同時に挟持された記録用紙4にたるみ(弛み)ができない。これは、本実施形態のように、ローラ類駆動機構に振り子アーム117のような機構を用いる場合、ステップS20におけるLFモータ26の逆転からステップS21におけるLFモータ26の正転に至る間に、振り子アーム117が揺動する時間が必要になり、振り子アーム117を揺動させる期間で、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が停止してしまう。
搬送ローラ21は、LFモータ26に直接接続されているために、停止する期間がないので、記録用紙4の搬送速度に矛盾が生じてしまう。記録用紙4に弛みが有れば、ステップS21の最中にその弛みを取っていく分で記録用紙4の搬送速度の矛盾を吸収できるが、弛みが無かった場合は、記録用紙4の搬送速度の矛盾を吸収できずに、無理に搬送ローラ21側が記録用紙4を搬送しようとするが、記録用紙4の後端側が第1反転ローラ108に挟持されているために、実際には搬送されない事態が発生することがある。これにより、記録用紙4の裏面先端の搬送量が狂ってしまい、想定よりも裏面先端(上端)の余白が少なくなってしまうことがある。以上の不都合を解消するために、通紙ガイド70を下降位置に移動させることで、ピンチローラホルダ23との高さ方向の隙間が充分に確保され、ループを形成するためのスペースが確保されている。これにより、剛性の比較的高い厚い記録用紙を使用した場合にも、良好なレジストレーション動作が可能になる。
次に、ステップS23で、記録用紙4の裏面側に記録を行う。このとき、大抵の記録用紙4の裏面の後端部は、まだ第1反転ローラ108に挟持されている。そのままで第1反転ローラ108の回転を停止させた場合、記録用紙4を後方に引っ張る負荷となってしまうため、記録用紙4の搬送精度が悪化するおそれがあり、好ましくない。したがって、少なくとも記録用紙4の裏面の後端部が第1反転ローラ108に挟持されている間は、第1反転ローラ108の回転駆動を継続させるように構成されている。このときのローラ類駆動機構は、図15(d)に示すような状態になる。
図15(d)は、記録用紙4の反転動作後、LFモータ26が正方向に回転している最中の用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作状態を示す側面図である。すなわち、図15(c)の状態からLFモータ26が正方向の回転に切り替えられると、振り子アーム117は図15中矢印a方向に揺動される。このとき、ストップアーム127は、図15中矢印h方向に揺動されており、振り子アーム117が図14中矢印a方向に揺動されてきても、振り子付勢ばね132がストップアーム127に当接することがないので、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合され、駆動力が伝達される。
その後、LFモータ26の正方向の回転が継続されると、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120に導かれて内周側に向けて移動し、ストップアーム127が図15中矢印g方向に揺動される。ストップアーム127は、矢印g方向に揺動されていく途中で、振り子付勢ばね132に当接され、振り子付勢ばね132を弾性変形させていく。この振り子付勢ばね132の弾性変形による反力で、振り子アーム117には図15中矢印b方向に揺動させる付勢力が働く。しかし、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との間で駆動力の伝達中には、ギア歯面同士が噛み合う力の方が大きいために、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されることがなく、駆動が継続される。図15(d)は、この状態を示している。
また、上述したように、LFモータ26の回転、停止を伴う間欠駆動を行った場合でも、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合されているために、これら第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されることはない。更に、記録用紙4の裏面の記録動作を継続し、LFモータ26を正方向に回転させていくと、フォロワーピン127aはスパイラル溝ギア120の最内周部に到達する。このときのローラ類駆動機構は、図15(e)に示す状態になる。
このとき、振り子付勢ばね132は最大量弾性変形された状態になるが、この状態でも、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が噛み合う力が、振り子アーム117を揺動させる付勢力よりも大きくなるように、振り子付勢ばね132の荷重が設定されているので、LFモータ26を正方向に回転させ続けている限り、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されない。以上で、記録用紙4の裏面側への記録動作が完了した後、ステップS24に移行する。
ステップS24で、記録用紙4を排出トレイ(不図示)上に排出する排出動作を行う。排出動作は、LFモータ26の正方向の回転を継続することにより、第2排出ローラ31によって記録用紙4を記録ユニット1の外部に搬送することで行われる。
次に、ステップS25で、記録用紙4の裏面先端の位置を検出して、この裏面先端が位置p3よりも下流側に位置しているか否かを判断する。記録用紙4の裏面先端が位置P3よりも下流側に位置している場合には、ステップ26に移行し、記録用紙4の裏面先端が位置P3に到達しない上流側に位置している場合には、再度ステップ224に移行する。これは、長さが短い記録用紙を用いた場合、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の最内周まで到達しないことがあるからである。その場合にも、所定長分だけLFモータ26を回転させることにより、記録用紙4の裏面側の記録動作が終了したときには、フォロワーピン127aが必ずスパイラル溝ギア120の最内周まで移動するようにされている。
次に、ステップS26で、ローラ類駆動機構の初期化を行う。上述したように、振り子付勢ばね132に蓄えられている付勢力が、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態によって保持されているので、LFモータ26を微少量だけ逆方向に回転させるだけで噛合状態が解除される。すなわち、LFモータ26を逆方向に回転させると、振り子アーム117が図15中矢印b方向に揺動しようとするため、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除され、蓄えられていた振り子付勢ばね132が元に戻る弾性力によって、矢印b方向に一気に揺動する。このときのローラ類駆動機構は、図15(f)に示す状態になる。
この状態では、振り子付勢ばね132の姿勢は元に戻っているので、ここからLFモータ26が正方向に回転した場合、振り子アーム117は図15中矢印a方向に揺動しようとするが、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の最内周近傍に進入しているため、振り子付勢ばね132がストップアーム127に当接されてしまい、第1遊星ギア118は、ローラアイドラギア124に噛合することができない。LFモータ26を正方向に更に回転させても、フォロワーピン127aは、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周側を回転し続けるので、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が駆動されることはない。なお、上述のように、第1反転ディレイギア121は、ステップS19またはステップS21で初期化されているので、このステップS26で、LFモータ26を距離x7だけ逆転させることで、ローラ類駆動機構の全ての初期化が終了する。
以上で、自動両面記録動作が終了する。連続して自動両面記録動作を行うる場合は、上述の動作シーケンスを繰り返せば良い。
なお、本実施形態では、振り子付勢ばね132の作用で、振り子アーム117とストップアーム127の間に弾性的な当接関係を実現しているが、本発明の趣旨はこれに制限されず、以下のように構成することも可能である。
図16は、図15と同様に用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の他の動作を説明するための側面図である。図16の振り子アーム117は、弾性が少ない腕部を有しており、その腕部とストップアーム127が当接できる位置に配置されている。以下に、この構成での動作を簡単に説明する。
図16(a)から図16(c)までの一連の動作は、図15(a)から図15(c)の動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
図16(d)は、ストップアーム127のフォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の内周側に移動されて、振り子アーム117の腕部と当接された状態を示す。振り子アーム117の腕部には、比較的弾性が少ないので、ストップアーム127に押されると、振り子アーム117を図16中矢印b方向に回転させる力が働く。その力は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態を解除させる方向に働く。
噛合状態を解除しようとする力は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との歯面間に働く押圧力並びにギア歯面の弾性力および滑り力と釣り合うが、やがてフォロワーピン127aがカム溝の内周側に移動されるのに伴なって、噛合状態を解除しようとする力が次第に大きくなり、ギア歯面間の力に打ち勝って、強制的に第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態を解除させる。噛合状態が解除されると同時に、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、回動が停止される。図16(e)は、この状態を示している。なお、この各反転ローラ108,109の回動を停止させるタイミングは、ステップS23の途中で、記録用紙4の裏面後端が第1反転ローラ108を通過した後の適当な時期に行われる。
第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の噛合状態が解除された以降では、LFモータ26が正転方向に回転させても、ストップアーム127によって振り子アーム117が図16中矢印a方向に揺動するのを妨げられるので、次にLFモータ26が逆方向に所定量だけ回転するまで、用紙反転ユニット2は駆動されない。また、第1反転ディレイギア121もステップS19またはステップS21で初期化されているので、この時点で用紙反転ユニット2のローラ類駆動機構の初期化は完了している。
これにより、記録用紙4の裏面側の記録動作中に第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を回転させる負荷を無くすことができ、LFモータ26の回転負荷を低減させることが可能となる。
なお、本発明の趣旨はこれに制限されず、上述した実施形態では、通常の待機状態で通紙ガイド70が上昇位置に位置されるように構成されたが、初期状態で下降位置に位置させることも可能である。また、ステップS26の後、待機状態で、搬送ローラ21からピンチローラ22を離間させたリリース状態となるようにすることで、厚紙等の記録用紙4を第2排出ローラ31側から給送するためなどに好適である。
上述したように、本実施形態の記録装置および用紙反転ユニット2によれば、搬送ローラ21を回転駆動するLFモータ26からの駆動力の伝達を遮断するための遮断機構を備えることによって、伝達ギア列115bの入力ギア143および記録ユニット1側の出力ギア142が損傷することが防止できる。
また、記録装置および用紙反転ユニット2によれば、駆動力の伝達を遅延させる第1反転ディレイギア121および第2反転ディレイギア122を有し、これら各ディレイギア121,122間の相対的な回転量によって、駆動力の遮断状態と伝達状態とを制御する遮断機構を備えることによって、記録ユニット1と用紙反転ユニット2との間に電気的接続箇所を設けることなく遮断状態と伝達状態とに制御されるため、動作信頼性が良好に確保され、製造コストが嵩むことを抑えることが可能になる。
また、本実施形態の記録装置および用紙反転ユニット2によれば、上述した従来のように入力ギアおよび出力ギアが損傷することが防止するために、伝達ギア列を設けずに、媒体反転装置内に駆動源となるモータを設置する構成に比較して、電力供給および制御信号の伝達のための電気的接続箇所を記録ユニット1と用紙反転ユニット2との間に設ける必要がないため、動作信頼性の良好に確保し、製造コストの増加を抑えることができる。
さらに、用紙反転ユニット2に設けられている駆動力の伝達を遮断する遮断機構は、記録終了後に伝達を遮断した遮断状態にするため、用紙反転ユニット2のギア列の回転負荷が小さくなり、用紙反転ユニット2を記録ユニット1から簡単に取り外すことができる。 なお、上述した実施形態では、記録手段である記録ヘッドを主走査方向に移動させながら記録するシリアル型の記録装置を一例に挙げて説明したが、本発明は、被記録媒体の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプの記録手段を用いて副走査(紙送り)のみで記録するライン方式の記録装置の場合にも、同様に適用することが可能であり、同様の効果を得られる。
さらに、用紙反転ユニット2に設けられている駆動力の伝達を遮断する遮断機構は、記録終了後に伝達を遮断した遮断状態にするため、用紙反転ユニット2のギア列の回転負荷が小さくなり、用紙反転ユニット2を記録ユニット1から簡単に取り外すことができる。 なお、上述した実施形態では、記録手段である記録ヘッドを主走査方向に移動させながら記録するシリアル型の記録装置を一例に挙げて説明したが、本発明は、被記録媒体の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプの記録手段を用いて副走査(紙送り)のみで記録するライン方式の記録装置の場合にも、同様に適用することが可能であり、同様の効果を得られる。
また、本発明は、記録手段の数にも関わらずに自由に実施できるものであり、1個の記録手段を用いる記録装置の他、異なる色のインクを使用する複数の記録手段を用いるカラー記録用の記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度のインクを使用する複数の記録手段を用いる階調記録用の記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
さらにまた、本発明は、記録装置がインクジェット記録装置である場合、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られる。
なお、本発明は、記録装置がインクジェット記録装置の場合、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用する記録装置の他、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いてインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用する記録装置など、他のインク吐出方式を用いるインクジェット記録装置に対しても同様に適用することができ、同様の作用、効果が得られる。
1 記録ユニット
2 用紙反転ユニット
4 記録用紙
10 シャーシ
11 記録ヘッド
12 インクタンク
13 キャリッジ
14 ガイドシャフト
15 ガイドレール
16 タイミングベルト
17 キャリッジモータ
20 アイドラプーリ
21 搬送ローラ
22 ピンチローラ
23 ピンチローラホルダ
24 ピンチローラばね
26 LFモータ
29 プラテン
30 第1排出ローラ
31 第2排出ローラ
32 第1拍車列
33 第2拍車列
34 拍車ベース
36 メインテナンスユニット
37 メインASF
38 ASFベース
39 給送ローラ
40 分離ローラ
41 圧板
42 サイドガイド
44 ASFフラップ
46 ASFモータ
55 ガイドシャフトばね
56 ガイド斜面
58 リフトカム軸
66 PEセンサレバー
67 PEセンサ
68 PEセンサレバーばね
70 通紙ガイド
102 内ガイド
103 リアカバー
104 切替フラップ
105 切替フラップばね
106 出口フラップ
107 出口フラップばね
108 第1反転ローラ
109 第2反転ローラ
112 第1反転ピンチローラ
113 第2反転ピンチローラ
115(115a,115b) 伝達ギア列
116 太陽ギア
117 振り子アーム
118 第1遊星ギア
119 第2遊星ギア
120 スパイラル溝ギア
125 第1反転ローラギア
126 第2反転ローラギア
127 ストッパアーム
128 ストッパアームばね
131 退避経路
140 LFモータギア
141 出力側ダブルギア
142 出力ギア
143 入力ギア
144 入力側ダブルギア
201 上下方向位置決め凸部
202 上下方向位置決め凹部
203 反転ユニット装着口
204 幅方向位置決め凸部
205 幅方向位置決め凹部
206 セットフック
207 係合部
208 リリースレバー
301 制御基板
305 ASFセンサ
307 ヘッドドライバ
308 ホスト装置
310 CPU
311 ROM
312 RAM
2 用紙反転ユニット
4 記録用紙
10 シャーシ
11 記録ヘッド
12 インクタンク
13 キャリッジ
14 ガイドシャフト
15 ガイドレール
16 タイミングベルト
17 キャリッジモータ
20 アイドラプーリ
21 搬送ローラ
22 ピンチローラ
23 ピンチローラホルダ
24 ピンチローラばね
26 LFモータ
29 プラテン
30 第1排出ローラ
31 第2排出ローラ
32 第1拍車列
33 第2拍車列
34 拍車ベース
36 メインテナンスユニット
37 メインASF
38 ASFベース
39 給送ローラ
40 分離ローラ
41 圧板
42 サイドガイド
44 ASFフラップ
46 ASFモータ
55 ガイドシャフトばね
56 ガイド斜面
58 リフトカム軸
66 PEセンサレバー
67 PEセンサ
68 PEセンサレバーばね
70 通紙ガイド
102 内ガイド
103 リアカバー
104 切替フラップ
105 切替フラップばね
106 出口フラップ
107 出口フラップばね
108 第1反転ローラ
109 第2反転ローラ
112 第1反転ピンチローラ
113 第2反転ピンチローラ
115(115a,115b) 伝達ギア列
116 太陽ギア
117 振り子アーム
118 第1遊星ギア
119 第2遊星ギア
120 スパイラル溝ギア
125 第1反転ローラギア
126 第2反転ローラギア
127 ストッパアーム
128 ストッパアームばね
131 退避経路
140 LFモータギア
141 出力側ダブルギア
142 出力ギア
143 入力ギア
144 入力側ダブルギア
201 上下方向位置決め凸部
202 上下方向位置決め凹部
203 反転ユニット装着口
204 幅方向位置決め凸部
205 幅方向位置決め凹部
206 セットフック
207 係合部
208 リリースレバー
301 制御基板
305 ASFセンサ
307 ヘッドドライバ
308 ホスト装置
310 CPU
311 ROM
312 RAM
Claims (9)
- 被記録媒体に記録を行う記録部と、前記記録部に被記録媒体を搬送するための搬送ローラと、前記搬送ローラを回転駆動する駆動手段とを有する記録装置本体に対して着脱可能に設けられ、前記記録装置本体側の出力ギアに噛合される入力ギアを有し前記記録装置本体側から前記駆動手段の駆動力が伝達される伝達ギア列を備え、被記録媒体の表裏面を反転するための媒体反転装置において、
前記駆動手段からの駆動力の伝達を遮断するための遮断手段を備えることを特徴とする媒体反転装置。 - 前記遮断手段は、前記記録装置本体に対して前記媒体反転装置が着脱される際に、前記入力ギアを回転自在に制御する請求項1に記載の媒体反転装置。
- 前記入力ギアに噛合された入力側伝達ギアと、前記入力側伝達ギアに噛合された太陽ギアと、前記太陽ギアと同軸に揺動可能に設けられた振り子と、前記振り子に回転自在に支持された第1遊星ギアおよび第2遊星ギアとを備え、
前記遮断手段は、前記振り子の揺動位置に応じて、駆動力の伝達を遮断する請求項1または2に記載の媒体反転装置。 - 前記入力ギアは、歯先を尖らせて形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の媒体反転装置。
- 前記遮断手段は、駆動力の伝達を遅延させるディレイギアを有し、前記ディレイギアの回転量によって、駆動力の遮断状態と伝達状態とを制御する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の媒体反転装置。
- 前記遮断手段は、前記記録装置本体側の前記記録部による記録が終了した後、前記伝達ギア列による駆動力の伝達を遮断する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の媒体反転装置。
- 前記記録装置本体側の前記記録部が、インクを吐出するインクジェット記録手段を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の媒体反転装置。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の媒体反転装置と、
前記媒体反転装置に着脱可能に設けられ、前記媒体反転装置によって反転された被記録媒体に記録を行う記録部を有する記録装置本体とを備える記録装置。 - 前記記録部は、インクを吐出するインクジェット記録手段を有する請求項8に記載の記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003306420A JP2005075526A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 媒体反転装置および記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003306420A JP2005075526A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 媒体反転装置および記録装置 |
Publications (1)
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JP2005075526A true JP2005075526A (ja) | 2005-03-24 |
Family
ID=34409500
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003306420A Pending JP2005075526A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | 媒体反転装置および記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005075526A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106593125A (zh) * | 2017-02-07 | 2017-04-26 | 深圳市天防科技有限公司 | 一种省力门锁装置 |
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2003
- 2003-08-29 JP JP2003306420A patent/JP2005075526A/ja active Pending
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CN106593125A (zh) * | 2017-02-07 | 2017-04-26 | 深圳市天防科技有限公司 | 一种省力门锁装置 |
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