JP2006273449A - 媒体反転装置及びそれを備えた記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 記録装置本体である記録ユニットに対して着脱される反転ユニットにおいて、記録媒体の紙詰まりを抑止し、記録装置として高処理能力を維持する。
【解決手段】 記録媒体に画像形成する記録ユニット1に自動両面印字用ユニットである反転ユニット2が自在に着脱される。その反転ユニット2には記録媒体のジャム処理を含む点検用のシャッター221が設けられ、その点検用シャッター221が開かれて開放状態になると、それに連動して挿入制止レバー222(装着制止手段)が反転ユニット2の記録ユニット1への挿入装着を阻止する。それによって、点検用シャッター221の開きっ放しで記録媒体が搬送されることで、ジャムが発生するのを未然に防止する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、記録シートやフィルムなど記録媒体の表裏面を反転する媒体反転装置、およびその媒体反転装置によって表裏反転された記録媒体の表裏面それぞれに記録を行う記録装置に関するものである。
記録シートやフィルムなどの記録媒体の表裏両面に自動記録するインクジェット記録装置として、記録媒体の表(おもて)面側への記録が終了すると、その記録媒体をそれまでの搬送方向とは逆方向へ搬送して媒体反転装置内に送り込み、裏面への反転後に再び同じ搬送部によって搬送し、同じ記録部にてその記録媒体の裏面に記録を行う方式がある。
その場合、両面印字ユニットとして単体化された媒体反転装置(以下、反転ユニットと略称する)を、記録装置本体である記録ユニットに着脱自在に取り付けまたは取り外しできるようにした記録装置が周知である。通常、この種の反転ユニットは、自動両面記録がカスタマイズ(仕様)されていない場合とか、カスタマイズされていてもユーザの都合で不使用時は、記録ユニットから取り外されて記録装置全体の大きさをコンパクトに小型化できようになっている。そうすることで、限られた設置スペースに設置できるなど利便性に優れている。
機能面において、反転ユニットは記録ユニット側からの駆動力をギア伝達によって受動するか、もしくは反転ユニット自身が駆動機構を備えて、記録ユニット側から制御信号のみを受信したり、電源電圧を受けるように構成されている。また、作動中に反転ユニットの搬送路途中で記録媒体に紙詰まり(ジャム)が発生した場合でも容易に撤去処理を実施できるよう、あるいは搬送ローラに汚れや損傷などが生じた場合は容易に清掃や修理点検が可能となるように、搬送路途中に設けた点検用シャッターを開いて装置内部を目視確認が可能となっているものがある(特許文献1参照)。
特開2002−059599号公報
ところで、従来および上記特許文献1に見られる反転ユニットにあっては、解決すべき次の問題点がある。
1つは、ジャム処理や部品メンテナンス用の設けた点検用シャッターが開かれている状態で記録ユニットに挿入して装着された場合、その状態で記録媒体が搬送されるとたちまち紙詰まりを引き起こす可能性がある。また1つは、発生した紙詰まりを処理すべく点検用シャッターを開き、ジャム処理を終えた後に不注意でその点検用シャッターを閉め忘れ、シャッター開放状態のまま記録媒体の搬送を再開すると、再び紙詰まりが生じてしまう。
そうした問題に対しては、次の対応策が考えられる。すなわち、シャッター開放状態になっている場合、記録ユニット側からの駆動力伝達ギア列において、例えば遊星ギアの移動に制限を加えて駆動力伝達を遮断する。それにより、反転ユニット側の搬送ローラへの駆動を停止させることで媒体搬送を中断し、紙詰まりの発生を防ぐ。実際にそうした考えに基づく機種も存在する。
しかしながら、上記駆動力遮断方式による反転ユニットの場合、記録ユニット側の駆動は停止しないため、不可抗力的に記録ユニット側から駆動停止中の反転ユニットの搬送ローラに記録媒体が搬送されてしまうと、やはり紙詰まりの可能性があるので満足すべき解決策とはなり難い。
以上から、本発明の目的は、記録装置本体である記録ユニットに対して反転ユニットとして着脱可能であり、記録媒体の紙詰まりを抑止できる媒体反転装置を提供することにある。さらには、そうした紙詰まり抑止に機能を発揮する媒体反転装置を装備することでジャム処理中断などを極力抑えて高処理能力を維持できる記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る代表的な媒体反転装置(反転ユニット)は、記録媒体に画像形成する記録装置本体に対して媒体反転装置本体が着脱可能となっており、記録媒体を表裏反転して記録装置本体に返還するとともに、記録媒体のジャム処理を含む点検用のシャッターが媒体反転装置本体に設けられているものであって、点検用シャッターが開かれて開放状態になるとそれに連動して作動して媒体反転装置本体が記録装置本体に挿入装着されるのを阻止する装着制止手段を具備してなることを特徴とするものである。
したがって、上記構成の媒体反転装置は、ジャム処理などのための点検用シャッターが開いておれば、それに連動して装着制止手段が媒体反転装置本体が記録媒体本体に挿入装着されるのを阻止する。
また、本発明に係る代表的な記録装置は、記録媒体のジャム処理を含む点検用のシャッターを有しかつ記録媒体を反転させて記録装置本体に返還するための媒体反転装置が、その媒体反転装置本体を記録装置本体に対して着脱可能となっているものであって、媒体反転装置本体を記録装置本体に挿入装着後、点検用シャッターが開放状態になっていることを検知することによって、記録装置本体に備わる媒体搬送駆動系の作動を停止させる搬送停止手段を具備してなることを特徴とするものである。
したがって、上記構成の記録装置は、媒体反転装置本体を記録装置本体に挿入して装着後、媒体反転装置本体の点検用シャッターが開いたままの状態になっておれば、それを検出することによって搬送停止手段が記録装置本体側の媒体搬送駆動系の作動を停止させる。
本発明の媒体反転装置によれば、点検用シャッターが開いたのままの状態で記録装置本体に装着されるのを、媒体反転装置に設けた装着制止手段が阻止するので、結果として、点検用シャッターの開きっ放しで記録媒体が搬送されることでジャムが発生するのを未然に防止できる効果がある。
また、本発明の記録装置によれば、媒体反転装置本体を記録装置本体に挿入して装着後、媒体反転装置本体の点検用シャッターが開いたままの状態になっておれば、搬送停止手段が記録装置本体側の媒体搬送駆動系の作動を停止させるので、ジャム発生を未然に防止できる。そうした紙詰まり抑止に機能を発揮する媒体反転装置を装備することで、ジャム処理中断などを極力抑えて高処理能力を維持できる利点がある。
以下、本発明の反転ユニットおよび記録装置のそれぞれ一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、本実施形態の反転ユニットを説明するうえで、図1とこれを矢印A方向から見た図2において本実施形態の記録装置についてまず説明する。ここに示される記録装置は、記録媒体にインクを吐出して記録を行うインクジェット記録方式のものであるが、他の方式においても勿論適用可能である。また、本実施形態においては、記録媒体として記録シートが代表例ではあるが、それに制限されるものではなく、樹脂製フィルムなどが対象であっても勿論適用可能である。
図3に示すように、記録装置を大別すれば、記録シート4に文字や画像などの情報を記録する記録装置本体である記録ユニット1を備え、この記録ユニット1は記録ヘッド11を有する記録部と、記録部に記録シート4を給送する給送部と、そしてこの給送部から供給された記録シート4を記録部に搬送する搬送部と、記録部の記録ヘッド11に対して記録シート4の表裏面を反転して搬送する搬送部と、記録部の記録ヘッド11のインク吐出特性を維持するためのヘッドメンテナンス部などからなっている。そうした記録ユニット1に対して、後述の反転ユニット2が着脱自在に取り付け取り外し可能になっている。
記録ユニット1の各部の詳しくは以下のとおりである。記録ユニット1の構造を支持するシャーシ10と、インクを吐出して記録を行う記録ヘッド11と、この記録ヘッド11に供給されるインクが収容されるインクタンク12と、記録ヘッド11およびインクタンク12を保持して走査(主走査)するためのキャリッジ13と、このキャリッジ13を案内支持するガイドシャフト14と、このガイドシャフト14と平行にキャリッジ13を案内支持するガイドレール15と、キャリッジ13を駆動するためのタイミングベルト16と、プーリを介してタイミングベルト16を駆動するキャリッジモータ17と、キャリッジ13の位置を検出するためのコードストリップ18と、キャリッジモータ17のプーリ(不図示)に対向されてタイミングベルト16が張架されるアイドラプーリ20とを備えている。
また、記録ユニット1は、記録シート4を搬送する搬送ローラ21と、この搬送ローラ21に押圧されて従動するピンチローラ22と、このピンチローラ22を回転可能に保持するピンチローラホルダ23と、ピンチローラ22を搬送ローラ21に圧接させるためのピンチローラばね24と、搬送ローラ21に固定された搬送ローラプーリ25と、搬送ローラ21を回転駆動するためのLF(ラインフィード)モータ26と、搬送ローラ21の回転角度を検出するためのコードホイール27と、記録ヘッド11に対向して配置されて記録シート4を支持するプラテン29とを備えている。
また、記録ユニット1は、搬送ローラ21と協働して記録シート4を搬送するための第1排出ローラ30と、この第1排出ローラ30の下流側に設けられた第2排出ローラ31と、第1排出ローラ30に対向されて記録シート4を挟持するための回転体としての第1拍車列32と、第2排出ローラ31と対向されて記録シート4を挟持するための回転体としての第2拍車列33と、これら第1拍車列32と第2拍車列33を回転可能に保持する拍車ベース34とを備えている。
また、記録ユニット1は、記録ヘッド11の目詰まり(吐出口やノズルの目詰まり)を防止してインク吐出性能を維持回復したり、インクタンク12を交換するときに記録ヘッド11のインク流路にインクを行き渡らせたりする際に作動させるメインテナンスユニット36と、記録シート4が積載され記録動作時に記録シート4を1枚ずつ記録部へ供給する自動給送部としてのメインASF(AUTOMATIC SHEET FEEDER)37とを備えている。
同じく図1〜図3において、メインASF37は、メインASF37の構造を支持するASFベース38と、積載された記録シート4に当接し搬送を行う給送ローラ39と、複数枚の記録シート4が同時に搬送されたときに1枚ずつに分離する分離ローラ40と、記録シート4が積載され給送ローラ39側に向けて付勢するための圧板41と、この圧板41上に設けられ記録シート4の幅方向の任意の位置に固定可能なサイドガイド42と、給送動作時に給送ローラ39と分離ローラ40のニップ部よりも先に進んでしまった記録シート4の先端を所定位置まで戻すための戻し爪(不図示)と、メインASF37からの記録シート4の通紙方向を一方向に規制するASFフラップ44とを備えている。
また、記録ユニット1は、以下、本発明でいう媒体搬送駆動系を備えている。ASF遊星ギア49に噛合されたリフト入力ギア50と、このリフト入力ギア50からの駆動力を減速しつつ伝達するリフト減速ギア列51と、リフトカム軸58に直結されたリフトカムギア52、ガイドシャフト14を一端側に片寄せするように付勢するためのガイドシャフトばね55と、ガイドシャフトギア53のカムが摺動するガイド斜面56と、ピンチローラホルダ23等を昇降動作させるためのリフトカム軸58と、記録シート4の先端を搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に案内するための通紙ガイド70と、記録ユニット1全体を支持するベース72と、記録装置全体を駆動制御するための本発明でいう
搬送停止手段の主要部となる制御基板301(図21参照)とを備えている。
ここで、かかる記録ユニット1を主要部とする記録装置の駆動ならびに制御を司る制御部について、さらに駆動信号や制御信号など各種信号の検出部について、図21の機能ブロック図を参照して説明する。
キャリッジ13に搭載されコードストリップ18を読み取るCR(キャリッジ)エンコーダセンサ19と、シャーシ10に取り付けられたコードホイール27を読み取るLFエンコーダセンサ28と、メインASF37を駆動するASFモータ46と、記録シート4の搬送方向の先端および後端を検出するPE(ペーパエンド)センサレバー66の動作を検出するためのPEセンサ67と、リフトカム軸58の動作を検出するためのリフトカムセンサ69と、記録ユニット1に対する反転ユニット2の着脱操作を検出するための反転ユニット検出センサ130と、記録ユニット1に設けられ、反転ユニット2の点検用シャッター221の開閉を検出するレバー開閉検出センサ225とを備えている。
さらに、メインテナンスユニット36を駆動するためのPGモータ302と、メインテナンスユニット36の動作を検出するためのPGセンサ303と、メインASF37の動作を検出するためのASFセンサ305と、記録ヘッド11を駆動するためのヘッドドライバ307と、記録データを記録装置に入力するホスト装置308と記録装置とを電気的に接続するためのI/F(インターフェース)309と、記録装置全体を制御し制御信号を送出するCPU310と、制御データなどが書き込まれたROM311と、記録データなどを展開する領域となるRAM312とを備えている。
次に、本実施形態によるシリアル走査型記録装置の動作の概略について、図1、図2、および図21を参照して説明する。
記録ユニット1は、ホスト装置308から記録データが送られ、I/F309を介してRAM312上に記録データが格納されると、記録動作を開始させる制御信号がCPU310から送出されて記録動作が開始される。
(給送部の構成)
記録動作が開始されたとき、まず給送動作が行われる。給送部は、メインASF37によって構成されており、圧板41上に積載された複数枚の記録シート4から記録動作ごとに記録シート4を1枚ずつ引き出して搬送部に自動給送する。
給送動作が開始されると、ASFモータ46が正転方向に回転し、その駆動力がギア列を経て、圧板41を保持しているカム(不図示)を回転させる。ASFモータ46の回転に伴ってカムが外れたとき、圧板41は、圧板ばね(不図示)の弾性力によって、給送ローラ39側に向けて付勢される。同時に、給送ローラ39が記録シート4を給送する方向に回転するため、圧板41上に積載されている記録シート4の最上位の1枚の搬送が開始される。
このとき、給送ローラ39と記録シート4との間の摩擦力、および記録シート4同士の摩擦力の条件によって、複数枚の記録シート4が誤って同時に給送されてしまう場合がある。この場合には、給送ローラ39に圧接されかつ記録シート4の給送方向と逆方向に所定の戻り回転トルクを有する分離ローラ40が作用する。この分離ローラ40は、最も給送ローラ39側に位置する記録シート4以外の記録シート4を元の圧板41上へ押し戻す働きをする。また、メインASF37による給送動作の終了時に、カムの動作により分離ローラ40は、給送ローラ39との圧接状態が解除され、給送ローラ29から所定の距離離間されるが、その際に確実に圧板41上の所定位置まで記録シート4を押し戻すために、戻し爪が回転してその役割を果たす。以上のような給送動作により、給送部は、記録シート4を1枚だけ搬送部へ給送する。
なお、メインASF37から1枚の記録シート4が搬送されていくとき、記録シート4の先端は、ASFフラップばね(不図示)によって通紙経路を妨げる方向に付勢されているASFフラップ44に当接するが、ASFフラップ44を押し退けて通過する。また、記録シート4の記録動作が終了し、記録シート4の後端がASFフラップ44を通過したときに、ASFフラップ44は、ASFフラップばねによる元の付勢状態に戻って通紙経路を閉ざすので、記録シート4が逆方向に搬送されてもメインASF37側に戻ることはない。
(搬送部の構成)
搬送部には、記録シート4の搬送経路上に沿って、搬送ローラ対を構成する搬送ローラ21およびピンチローラ22と、第1排出ローラ対を構成する第1排出ローラ30および第1拍車列32と、第2排出ローラ対を構成する第2排出ローラ31および第2拍車列33とがそれぞれ設けられており、これら第1排出ローラ対および第2排出ローラ対によって一対の排出ローラが構成されている。
給送部から搬送部に送られた記録シート4は、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に向けて搬送される。ピンチローラ22の中心は、搬送ローラ21の中心に対して、第1排出ローラ30側に近づけられる方向に若干のオフセットをもって取り付けられている。このため、記録シート4がニップ部に挿入される接線方向角度が、水平方向に対して若干傾斜されている。したがって、記録シート4の先端が的確にニップ部内に案内されるように、ピンチローラホルダ23と通紙ガイド70によって形成される通紙経路は、水平方向に対して所定の傾斜角度で記録シート4を搬送するように構成されている。
メインASF37によって給送された記録シート4は、停止状態の搬送ローラ21のニップ部に突き当てられる。このとき、所定の通紙経路長よりもやや長い距離分をメインASF37で給送することにより、給送ローラ39と搬送ローラ21の間で記録シート4のループが形成される。このループが真っ直ぐに戻ろうとする力によって、記録シート4の先端は、搬送ローラ21のニップ部に押圧されることで、記録シート4の先端が搬送ローラ21に倣って平行になり、いわゆるレジストレーション取り動作が完了する。
レジストレーション取り動作が完了した後、記録シート4を正方向(第1排出ローラ30側に向けて進行していく方向)に移動させる方向に、LFモータ26が回転開始される。その後、給送ローラ39は、駆動力を切断され、記録シート4の移動に伴って連れ回りするようになる。この時点で、記録シート4は、搬送ローラ21とピンチローラ22のみで搬送されるようになる。記録シート4は、所定改行量毎に正方向に前進し、プラテン29上に設けられたリブに沿って進行する。
その後、記録シート4の先端は、第1排出ローラ30と第1拍車列32とのニップ部と、第2排出ローラ31と第1拍車列33とのニップ部に掛かる。なお、第1排出ローラ30と第2排出ローラ31の周速は、搬送ローラ21の周速とほぼ等しく設定されている。また、搬送ローラ21から第1排出ローラ30および第2排出ローラ31は、ギア列(不図示)を介して機械的に接続されている。このため、第1排出ローラ30および第2排出ローラ31は、搬送ローラ21と同期して回転されることになり、これによって、搬送中の記録シート4が弛んだり引っ張られたりすることなく良好に搬送される。
(記録部の構成)
記録部は、主に、記録データに基づいて記録シート4に記録を行う記録手段である記録ヘッド11と、この記録ヘッド11が搭載されて記録シート4の搬送方向と交差(通常直交)する方向である主走査方向に記録ヘッド11を移動させるためのキャリッジ13とを備えて構成されている。
記録ヘッド11には、インクタンク12に接続される複数のインク流路が形成されており、これらインク流路がプラテン29と対向する面(吐出口面)に配された吐出口まで連通されている。吐出口列を形成する複数の吐出口のそれぞれの内部には、インク吐出用のアクチュエータが配設されている。このアクチュエータとしては、例えば、電気熱変換体(発熱素子)による液体の膜沸騰圧力を利用したものや、ピエゾ素子等の電気機械変換体(電気−圧力変換素子)などが用いられる。
キャリッジ13は、シャーシ10に固定されたガイドシャフト14と、シャーシ10に一体に設けられたガイドレール15とによって案内支持されている。キャリッジ13は、キャリッジモータ17とアイドラプーリ20との間に張架されたタイミングベルト16を介してキャリッジモータ17の駆動力が伝達されることにより、走査方向に沿って往復移動される。
上述したような記録ヘッド11を用いるインクジェット記録方式の記録装置において、記録部は、記録ヘッド11に、フレキシブルフラットケーブル73を介してヘッドドライバ307の制御信号が伝達されることで、記録データに応じてインク滴を吐出することが可能にされている。また、記録部は、シャーシ10に張架されたコードストリップ18をキャリッジ13に搭載されたCR(キャリッジ)エンコーダ19によって読み取ることで、適切なタイミングで記録シート4に向けてインク滴を吐出することができる。このように、記録部によって1ライン分の記録動作が終了した後、搬送部によって記録シート4を必要量だけ搬送する。この動作を繰り返して行うことにより、記録シート4の全面にわたる記録動作が可能にされている。
(ヘッドメインテナンス部)
ヘッドメインテナンス部は、記録ヘッド11の吐出口の目詰まりを防止したり、記録ヘッド11の吐出口面の紙粉等による汚れを解消したりすることで、記録ヘッド11の記録特性を正常状態に維持し回復するためのメインテナンスユニット36を有している。メインテナンスユニット36には、回復機構として、例えば、吐出口を覆うキャッピング機構、キャッピング状態で吐出口からインクを吸引排出させる吸引回復機構、吐出口の周辺部を拭き取り清掃するワイピング機構などが設けられている。
メインテナンスユニット36は、キャリッジ13が待機ポジションに位置する状態で記録ヘッド11に対向するように設置されている。メインテナンスユニット36は、記録ヘッド11の吐出口面(吐出口が形成された面)に当接して吐出口を保護するキャップを有するキャッピング機構、吐出口面をクリーニングするワイパーを有するワイピング機構、キャップに接続されキャップ内に負圧を発生させる吸引ポンプを有する吸引回復機構などを有して構成されている。
記録ヘッド11の吐出口内を回復するために吐出口内からインクを吸い出す際には、キャップを吐出口面に押圧し、吸引ポンプを駆動してキャップ内を負圧にすることでインクを吸引して排出する。また、インク吸引後に吐出口面にインクが付着している場合や、吐出口面に紙粉等の異物が付着した場合には、ワイパーを吐出口面に当接させて平行に移動させることによって、吐出口面をワイピング(拭き取り清掃)することで付着物を除去する。
次に、本発明による反転ユニット2の実施形態について説明する。
例えば、シート状の単票紙などが使用される記録シート4の表裏に、操作者を手動操作で煩わせることなく自動的に両面記録を行うことを可能にするために反転ユニット2が機能する。そうした反転ユニット2が記録ユニット1に対して着脱自在に取り付け取り外し可能となっている。
図2に示すように、反転ユニット2は、回動可能に支持されて記録シート4の搬送方向を切り替えるための切替フラップ104と、回動可能に支持されて記録シート4が反転ユニット2内から退出するときに開閉される出口フラップ106と、反転ユニット2内で記録シート4を搬送するための第1反転ローラ108および第2反転ローラ109と、第1反転ローラ108に従動する第1反転ピンチローラ112と、第2反転ローラ109に従動する第2反転ピンチローラ113とを備えている。
上記したように、記録ユニット1において記録動作の開始時、メインASF37に積載された複数枚の記録シート4から、給送ローラ39による給送動作で1枚ずつ記録シート4が給送され、搬送部の搬送ローラ21に記録シート4が送給される。搬送ローラ21とピンチローラ22とに挟持された記録シート4は、図2中矢印F1方向に搬送される。
記録シート4に対して表裏面にそれぞれ記録する両面記録を行う場合、記録シート4の表(おもて)面側の記録が終了した後、記録シート4がメインASF37の下方に設けられた水平経路内を図2中矢印F2方向に搬送される。反転ユニット2は、メインASF37の後方に配置されているので、矢印F2方向に搬送された記録シート4が水平経路から反転ユニット2内へ導かれ、反転ユニット2内で記録シート4を図2中矢印F3方向に搬送させる。
また、この反転ユニット2においては、記録シート4は第2反転ローラ109と第2反転ピンチローラ113とに挟持されて進行方向が転換され、さらに第1反転ローラ108と第1反転ピンチローラ112に挟持されて、図2中矢印F4方向に搬送され、最終的に進行方向が180度転換されて、再び水平経路内に戻される。このように、記録シート4は、反転ユニット4内を搬送されることで、記録部の記録ヘッドに対向される対向面が、既に記録された表面側から、未記録である裏面側に反転される。水平経路内を矢印F1方向に搬送された記録シート4は、再び搬送ローラ21とピンチローラ22とに挟持されて、記録部によって裏面側への記録が行われる。
以上のように、表面側への記録が終了した後、記録シート4は、メインASF37の下方に位置する水平経路と、メインASF37の後方に位置する反転ユニット2内の搬送経路とによって表裏面が反転されて、再度、記録部によって裏面側が記録されることで、自動的に表裏に対する両面記録が行われる。
また、反転ユニット2には、記録シート4が搬送路で紙詰まりを起こしたりした場合をそれを排除するための作業を行うため、あるいは搬送ローラなど部品の汚れを清掃したり点検するために、本発明の点検用シャッター221が設けられている。また、この点検用シャッター221の開閉状態を検知して、その検知結果で点検用シャッター221が開いている状態では、反転ユニット2を記録ユニット1に対して挿入装着を拒んで阻止するための本発明の重要部材である「装着制止手段」として、以下に詳述する挿入制止レバー222が反転ユニット2に設けられている。
次に、記録ユニット1への反転ユニット2の着脱動作を図3〜図6の各図と図22〜図25を参照して説明する。
図3において、記録ユニット1に対して反転ユニット2が装着される際、反転ユニット2は、記録ユニット1の背面に設けられた反転ユニット2の挿入装着口203に向かって、図3中矢印D方向に移動されて、図4および図5に示すように、反転ユニット2の幅方向の両側に設けられた上下方向位置決め凸部201が、記録ユニット1の幅方向の両側に設けられた上下方向位置決め凹部202内に沿って挿入されることにより、反転ユニット2の上下方向(記録シート4の水平経路に直交する方向)に対する位置決めが行われる。
続いて、記録ユニット1に対して反転ユニット2がさらに深く挿入されることで、反転ユニット2に設けられた幅方向位置決め凸部204が、記録ユニット1の幅方向位置決め凹部205内に嵌合されて、反転ユニット2の幅方向(記録ヘッドの走査方向)に対する位置決めが行われる。
図6(a)に示すように、反転ユニット2の幅方向に設けられた固定ツメであるセットフック206の斜面部206aが、記録ユニット1の幅方向に設けられた係合部207を乗り越えていき、完全に係合部207を乗り越えたときに、セットフック206が係合部207の一側に係合されて固定される。同時に、図22に示すように、記録ユニット1に内蔵された反転ユニット検出センサ130が反転ユニット2を検出してON状態になることにより、機械的にも、電気的にも、反転ユニット2を使用した両面印字が可能な状態となる(反転ユニット検出センサ130がOFF時は、両面印字が不可能になっている)。
反転ユニット2の装着時、点検用シャッター221が開放状態になっていると、そのシャッター開動作に連動して挿入制止レバー222が反転ユニット2の上面外装から突出した状態になる。その場合、反転ユニット2を記録ユニット1に挿入装着していく軌道をとると、挿入制止レバー222に設けた突起状のストッパ部223が記録ユニット1の背面外壁部227に突き当たって干渉することで、反転ユニット2を記録ユニット1に挿入装着できないように阻止する。
図22〜図25は、点検用シャッター221が開放状態において、反転ユニット2が挿入装着されるのを阻止する動作順を示す。反転ユニット2に設けられた挿入制止レバー222は、通常、点検用シャッター221が閉状態であれば、図23に示すように、レバー支軸226を回転中心として点検用シャッター221に押さえつけられ、圧縮バネであるレバー付勢ばね(弾性部材)224の弾性圧に反した状態で保持されている。点検用シャッター221が開状態になると、図24に示すように、押さえつけていた点検用シャッター221がなくなるため、圧縮バネであるレバー付勢ばね224の弾性圧によって、レバー支軸226を中心として回転し、ストッパ部223が反転ユニット2の外装上面から突出した状態となる。それにより、点検用シャッター221が開状態で、反転ユニット2を記録ユニット1に装着しようと、反転ユニット2が矢印D方向(図3にも表示あり)の軌道をとると、ストッパ部223が記録ユニット1の背面外壁部227と干渉することになり、反転ユニット2の装着が阻止される。
図25に示すように、反転ユニット2が記録ユニット1に装着された状態で点検用シャッター221が開放状態になると、点検用シャッター221に押さえつけられ、レバー付勢ばね224の弾性圧に反した状態で保持されていた挿入制止レバー222が、前述のレバー付勢ばね224の弾性圧によって挿入制止レバーストッパ部223が反転ユニット2の外装上面から突出した状態となり、記録ユニット1に設けられたレバー開閉検出センサ225をON状態にする。このレバー開閉検出センサ225の検出情報は、制御基板301(図21参照)に送られ、反転ユニット2へギア駆動を伝達している記録ユニット1のギア駆動を停止させる働きを持つ。よって、記録ユニット1に、反転ユニット2の点検用シャッターが開放状態という情報が送られると記録ユニット1側のシート搬送の駆動が停止される。これにより、点検用シャッターが開放状態になったままでシートが搬送されて発生するジャムを防止することができる。ここで、レバー開閉検出センサ225の検出情報は、反転ユニット2へギア駆動を伝達している記録ユニット1のギア駆動を停止させる働きを持つのは、反転ユニット検出センサ130がON状態(反転ユニット2を検出している)時だけ、つまり、反転ユニット2が装着されている時だけである。反転ユニット検出センサ130がOFF状態(反転ユニット2が装着されていない)時は、レバー開閉検出センサ225の検出情報は確認されないようになっている。
一方、反転ユニット2を記録ユニット1から取り外す場合、まず、図6(b)に示すように、反転ユニット2の幅方向に設けられたセットフック206のリリースレバー208を後方である矢印E方向にスライド操作することで、リリースレバー208に設けられたカム部(不図示)がセットフック206の先端部分を係合部207の上方向に退避させ、セットフック206と係合部207との係合状態が解除される。続いて、この状態で、反転ユニット2を記録ユニット1の背面に設けられた反転ユニット装着口203から引き抜くことで、反転ユニット2は、記録ユニット1から取り外される。これにより、前述したように、反転ユニット検出センサ130がOFF状態(反転ユニット2が装着されていない)時は、両面印字が不可能になっている。
図7〜図9は、反転ユニット2を記録ユニット1に挿入装着する際、駆動伝達ギアの歯先が損傷するのを防止する作用を示している。記録装置が備える伝達ギア列115は、記録ユニット1側のLFモータ26から太陽ギア116まで駆動力を伝達するためのギア列であり、LFモータ26の回転軸に設けられたLFモータギア140と、このLFモータギア140によって回転駆動される出力側ダブルギア141と、この出力側ダブルギア141に噛合された出力ギア142と、この出力ギア142に噛合された入力ギア143と、この入力ギア143に噛合された入力側ダブルギア144(入力側伝達ギア)とを有している。なお、厳密に分類すれば、この伝達ギア列115は、記録ユニット1側に設けられた伝達ギア列115aと、反転ユニット2側に設けられた伝達ギア列115bとからなる。
図9は、反転ユニット2のローラ類駆動機構の伝達ギア列115について、記録ユニット1に反転ユニット2が装着される前の状態を示している。本実施形態では、記録ユニット1側から伝達ギア列115を介して記録シート4を搬送するための駆動力が伝達される反転ユニット2を記録ユニット1に対して着脱するときに、反転ユニット2の伝達ギア列115による駆動力の伝達を遮断するための遮断機構が設けられている。
この遮断機構は、後述する反転ユニット2のローラ類駆動機構についての説明で述べられているように、太陽ギア116の回転方向によって2つの第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126の回転方向を切り替える振り子アーム117が、ローラアイドラギア124と第1反転ディレイギア121のどちらにも噛み合わない位置で、駆動力の伝達を遮断することが可能にされている。
すなわち、図9に示すように、反転ユニット2を記録ユニット1に装着する際に、伝達ギア列115による駆動力の伝達が遮断された状態にされることで、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される反転ユニット2側の入力ギア143が軽負荷で、時計方向および反時計方向である図9中矢印i方向およびj方向のどちらの方向にも回転可能にされて、各出力ギア142および入力ギヤ143の歯先が損傷することを防止できる。以下、駆動力の伝達を遮断する動作について具体的に説明する。
図7および図8に示すように、記録ユニット1に装着された反転ユニット2は、伝達ギア列115が接続されて記録ユニット1からの駆動力の伝達が可能になると同時に、記録ユニット1側に設けられた反転ユニット検出センサ(不図示)によって、反転ユニット2が装着されたことが検出されて、ローラ類駆動機構が初期化される。(ここで、反転ユニット2のローラ類駆動機構については、詳細な説明を後述するので、説明は省略する。)
ローラ類駆動機構の初期化状態では、ストップアーム127のフォロワーピン127aが、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周の無限軌道内に位置されている。このため、LFモータ26が正転方向に回転駆動することで、振り子アーム117が図7中矢印k方向に揺動しようとすると、ストップアーム127に当接されて、振り子アーム117に支持された第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合することができない。(但し、太陽ギア116内の軸のスベリがあるため、LFモータ26は、正転方向に回転駆動を続けることができる。)
すなわち、この初期化状態は、伝達ギア列115による駆動力の伝達が遮断された遮断状態であり、入力ギア143が受ける回転負荷が最小の状態であると同時に、入力ギア143が時計方向または反時計方向のどちらの方向にも回転自在にされているため、記録ユニット1側の出力ギア142と反転ユニット2側の入力ギア143とが噛み合わされるときに、これら出力ギア142および入力ギア143の歯先が損傷することが確実に防止されている。
この初期化は、反転ユニット2が記録ユニット1に装着された際に毎回行われることは勿論のこと、両面記録が終了した時点にも初期化状態と同様に、振り子アーム117とストップアーム127の配置が採られるようにされている。したがって、記録動作が終了した後に、反転ユニット2を記録ユニット1から取り外す場合にも、反転ユニット2内の振り子アーム117とストップアーム127の配置は、初期化態に保たれている。
このように、反転ユニット2を記録ユニット1に装着するときには、常に、記録ユニット1側の出力ギア142に噛み合う反転ユニット2側の入力ギア143の歯先が軽負荷で回転可能な状態であり、反転ユニット2を装着する際に各ギア142,143の歯先が損傷することを防止することができる。
なお、記録ユニット1側の出力ギア142に噛合される反転ユニット2側の入力ギア143の回転負荷を少なくするためには、入力ギア143に回転負荷を与えるギアの個数が少ない位置、言い換えれば、入力ギア143にできるだけ近い位置で、駆動力の伝達を遮断する構成がより一層効果的である。
また、出力ギア142に噛合される反転ユニット2側の入力ギア143の歯先を尖らす(有効歯たけ寸法が比較的大きい高歯に形成する)ことで、各ギア142,143の噛み合い動作が更に円滑になるため、噛合時に損傷が生じることを更に確実に防止することが可能になり、出力ギア142および入力ギア143のモジュールを通常よりも大きくすることでも同様の効果が得られる。
また、伝達ギア列115による駆動力の伝達を遮断するための遮断機構が、上述した反転ユニット検出センサによる検出信号をトリガーにして遮断状態に切り替えるのではなく、後述する第1反転ディレイギア121および第2反転ディレイギア122の相対的な正転方向または逆転方向の回転量で制御されている点がある。すなわち、本発明に係る記録装置は、反転ユニット2側から記録ユニット1に対して、検出信号の伝達を行う必要がないため、記録ユニット1と反転ユニット2との間に電気的な接続箇所を設ける必要がなく、動作信頼性を確保する点および製造コストの増加を抑える点で優れている。
記録シート4の表面側に記録が終了した後、その記録録シート4を反転ユニット2に搬送する動作は、まず、記録シート4の表面側に記録するときの記録範囲について説明する。記録ヘッド11は、図2に示すように、搬送ローラ21と第1排出ローラ30との間に吐出口領域Nを有しているが、吐出口へのインク流路配置の都合や、インクを吐出させるアクチュエータへの配線の都合などにより、搬送ローラ21のニップ部の直近に吐出口領域Nを配置することが通常困難である。このため、記録シート4が搬送ローラ21とピンチローラ22で挟持されている範囲では、搬送ローラ21のニップ部よりも下流側に図2中に示す長さL1だけ離れた範囲までしか記録を行うことができない。
このような記録シート4の表面側後端(下端)の余白領域を少なくするために、本実施形態の記録装置では、搬送ローラ21のニップ部から記録シート4が離脱し、第1排出ローラ30および第2排出ローラ31だけで挟持され搬送される部分まで記録を続行する。これにより、記録シート4の表面側後端の余白が無くなるまでの記録動作が可能になる。
しかし、記録シート4が第1排出ローラ30および第2排出ローラ31だけで挟持された状態から矢印F2方向に記録シート4を搬送しようとすると、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に記録シート4を確実に案内することができず(または困難で)、シート詰まり、いわゆるジャムが発生する可能性がある。
本実施形態では、このようなジャムを回避するために、以下に説明する手段によって、搬送ローラ21からピンチローラ22をリリース(離間)させて所定の隙間を確保し、その隙間に記録シート4の後端を引き込んだ後に、再度ピンチローラ22を記録シート4に圧接させることにより、矢印F2方向に記録シート4を良好に搬送することが可能にされている。
図10は、記録シート4の表面側の記録が終了した後に、記録シート4を搬送ローラ21のニップ部に再度引き込む動作を説明するために模式的に示す側面図である。図10を参照して、記録シート4に対して自動両面記録を行う動作について具体的に説明する。
図10(a)は、記録シート4の表面側の記録が終了し、記録シート4が第1排出ローラ30および第1拍車列32、第2排出ローラ31および第2拍車列33によって挟持されている状態を示す。第1拍車列32および第2拍車列33は、対応する各排出ローラ30,31に押圧されて従動回転される。
上述したように、この状態まで記録シート4を前進させて記録を行うと、記録シート4の後端の縁一杯まで記録ヘッド11の吐出口列(吐出ノズル列)を対向させることが可能になるため、記録シート4の後端に余白を残すことなく記録することも可能である。
次に、図10(b)に示すように、ピンチローラ22と搬送ローラ21との間に比較的大きな所定量の隙間をあけることにより、記録シート4の後端が多少波打っていたり、上方に反り返っていたりしている場合であっても、容易に引き込めるようにされている。なお、このときに、ピンチローラホルダ23とキャリッジ13が干渉することはないので、キャリッジ13は、主走査方向に対してどの位置にあっても構わない。
図10(b)に示すように、図10(a)の状態から第1排出ローラ30を図10中時計回りに回転させることによって、記録シート4を矢印F2方向に搬送する(以下、矢印F2方向に記録シート4を搬送することをバックフィードと称する。)。そして、記録シート4をバックフィードさせることで、記録シート4の後端をピンチローラ22に対応する位置まで移動させ、その位置で記録シート4を一旦停止させる。
この状態で一旦停止させる理由は、本実施形態の記録装置が湿式のインクジェット記録方式を採用しているためである。すなわち、記録シート4の記録済み面(図10中での上面)は、記録動作直後のインクで濡れた状態にあり、直ぐにピンチローラ22を記録シート4に圧接してしまうと、ピンチローラ22にインクが転写され、そのインクが再び記録シート4に転写され、記録シート4を汚損させてしまう可能性があるからである。
インクがピンチローラ22に転写されてしまうか否か、言い換えれば記録シート4上に吐出されたインクが充分に乾燥しているか否かは、種々の条件に左右される。すなわち、記録シートの種類、使用インクの種類、使用インクの重ね打ち込み方法、使用インクの単位面積当たりの打ち込み量(例えば記録したデータの単位面積当たりの密度)、記録動作を行っている環境における温度、湿度、気体の流速等の条件で変化する。
概略では、表面(ひょうめん)にインク受容層を有し、記録シートの内部にインクを速やかに導くような記録シートを用いた場合、インクが比較的早く乾燥しやすい。また、染料等、インクの粒子が小さく、記録シートの内部に浸透しやすいインクを使用すれば、インクが早く乾燥しやすい。また、化学的に反応するインクを使用し、記録シートの表面に重ねて打ち込むことで固化させるインクシステムを採用した場合には、インクが早く乾燥しやすい。
また、単位面積当たりに打ち込むインク量を少なくすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の温度を高くすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の湿度を低くすれば、早く乾燥しやすい。また、記録動作を行っている環境の気体の流速を速くすれば、早く乾燥しやすい。以上のように、いくつかの条件により必要な乾燥時間が決定されるので、本実施形態では、所定のインクシステムを用いて、一般的な使用条件(一般的な記録シート、一般的な記録動作環境)で記録を行った際に必要な乾燥時間が標準値として設定されており、予測可能な条件によって乾燥時間を変動させる構成を用いている。
この予測可能な条件は、単位面積当たりの打ち込みインク量であるが、その他にも、環境温度検出手段や、環境湿度検出手段、環境風速検出手段等を併用すれば、乾燥待機時間を更に高精度精に予測することも可能である。
例えば、図21に示すように、ホスト装置308から入力された記録データをRAM312内に記憶し、単位面積当たりの打ち込みインク量を算出して、その最大値とROM311に記憶された所定の閾値とを比較して、乾燥待機時間を決定する方式を適用することができる。すなわち、単位面積当たりの打ち込みインク量の最大値が大きい場合には、乾燥待機時間を長く設定し、逆に小さい場合には、乾燥待機時間を短く設定することで、記録パターンによる乾燥待機時間を最適化することができる。
また、記録に使用したインクの種類が、染料系インクであるか、顔料系インクであるかによっても乾燥待機時間が異なるが、染料インクの場合は乾燥しやすいために乾燥待機時間を短く設定し、顔料インクの場合は乾燥しにくいために乾燥待機時間を長く設定する。また、周囲温度が高いときには、乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定し、周囲温度が低いときには、乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定する。また、周囲湿度が高いときには乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定し、周囲湿度が低いときには乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定する。また、表面(ひょうめん)にインク受容層を有し、打ち込まれたインクを速やかに記録シートの内部に取り込むような記録シートの場合には、記録シートの表面は乾燥しやすいので、乾燥待機時間を短く設定し、撥水性が高い記録シートの場合には、乾燥しにくいので、乾燥待機時間を長く設定する。
なお、図10(a)に示す位置で、記録シート4を乾燥待機させても良いが、そうせずに、図10(b)に示す位置まで記録シート4をバックフィードさせて待機する方が好ましい理由は、記録シート4の変形によるところが大きい。すなわち、湿式のインクジェット記録方式で記録シートに記録を行った場合は、記録シートが水分を吸収することで記録シートの繊維が膨張し、記録シートが伸びることがある。記録される記録パターンによって記録シートに伸びる部分と伸びない部分が生じる場合があり、このような場合には特に顕著に紙面の凹凸が形成される。凹凸の量は、主に記録シートが水分を吸収し始めてから経過した時間に依存し、時間が経過するにつれて凹凸量が増加していって、所定の変形量に収束する。
記録後から時間が経過して記録シートの端部の変形量が大きくなると、ピンチローラ22を搬送ローラ21から離間させていても、記録シートの端部がピンチローラ22に干渉してジャムを起こしてしまう可能性がある。このようなジャムを防止するために、記録終了後、記録シートの凹凸の変形量が大きくなる前にバックフィードをして、ピンチローラ22の下方まで記録シートを移動させてしまうようにしている。以上の理由により、図10(b)に示す位置まで記録シート4の表面後端をバックフィードさせて、記録シートの記録済み部分が充分に乾燥するまで待機する。離間時の搬送ローラ21とピンチローラ22との隙間は、記録シート4の表面側に記録した後の記録シートの変形量よりも大きく設定されている。
図10(c)は、記録シート4を反転ユニット2に向けて搬送中の状態を示す。図10(c)に示すように、記録シート4の記録済み部分が充分に乾燥し、記録シート4がピンチローラ22に圧接されても、ピンチローラ22にインクが転写されない状態になった後、記録シート4をピンチローラ22と搬送ローラ21で挟持する。この状態で搬送ローラ21を回転駆動させて、記録シート4をバックフィードする。このとき、PEセンサレバー66は、搬送経路の上方に回転された退避位置でロックされているので、PEセンサレバー66の先端が記録シート4に食い込んだり、あるいは、記録済み部分を擦ってインクを剥離させてしまったりするようなことはない。
また、通紙ガイド70は、搬送経路に対して下降された下降位置に移動されているので、その通紙面70aが略水平にされており、反転ユニット2側に向けて記録シート4を真っ直ぐに搬送することが可能にされている。なお、本実施形態では、通常、通紙ガイド70が上昇位置に移動された状態を初期状態としているが、本発明の趣旨はこれに制限されるものではなく、通紙ガイド70の初期状態が下降位置に移動された状態としても良い。このように構成することにより、剛性が高い記録シートを第2排出ローラ31側から挿入する際に、円滑に挿入することが可能となる。
つぎに、図11は反転ユニット2内部の記録シート4の搬送状態を示す。反転ユニット2は、反転ユニット2の支持構造体および記録シート4の搬送経路の一部を構成する反転ユニットフレーム101と、反転ユニットフレーム101内部に固定されて搬送経路の一部を構成する内ガイド102と、反転ユニットフレーム101の後方に開閉自在に設けられて搬送経路の一部を構成するリアカバー103と、切替フラップ104を所定方向に付勢する切替フラップばね105と、出口フラップ106を所定方向に付勢する出口フラップばね107と、第1反転ローラ108の周面に設けられた第1反転ローラゴム110と、第2反転ローラ109の周面に設けられた第2反転ローラゴム111とを備えている。
記録シート4が図10(c)に示す状態から反転ユニット2に搬送されてきたとき、出口フラップ106は、出口フラップばね107の弾性力によって、図11に示す位置に付勢されているため、記録シート4の導入路が一意に決められる。このため、記録シート4は、図11中矢印F10方向に進行していく。
続いて、記録シート4の後端は、切替フラップ104に当接されるが、通常の両面記録が可能な記録シートの場合には、切替フラップ104が回転されないような所定の荷重に切替フラップばね105が設定されているため、記録シート4が切替フラップ104と反転ユニットフレーム101との間の搬送経路に沿って矢印F3方向に進行する。そのまま、記録シート4は、記録済み面(表面)が第2反転ローラ109の第2反転ローラゴム111に当接され、未記録面(裏面)が高潤滑性の高分子樹脂材からなる第2反転ピンチローラ113に当接される向きで、第2反転ローラ109と第2反転ピンチローラ113との間に挟持されていく。このとき、後述する駆動機構により、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109と搬送ローラ21は、ほぼ等しい周速度で回転するように設定されているので、記録シート4と第2反転ローラ109の間に滑りを生じさせることなく記録シート4を搬送する。また、このように各ローラ108,109,21の周速度がほぼ等しくされることにより、搬送中の記録シート4が、弛んだ状態や張力がかかった状態になることもない。記録シート4は、第2反転ローラ109によって進行方向が変えられることで、リアカバー103の内面に沿って進行し、同様に第1反転ローラ108の第1反転ローラゴム110と第1反転ピンチローラ112との間に挟持されていく。
再度、第1反転ローラ108により進行方向が変えられて、記録シート4は、図11中矢印b方向に搬送される。これらの第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、記録シート4の表裏または搬送方向を反転させるための反転ローラを構成している。そのまま、記録シート4が進行することで、記録シート4の先端が出口フラップ106に当接される。出口フラップ106は、非常に小さい荷重の出口フラップばね107によって付勢されているので、記録シート4自身が出口フラップ106を押し退けて反転ユニット2から出ていく。記録シート4の進行方向の先端が出口フラップ106を出ていくときには、記録シート4の進行方向の後端が出口フラップ106の下方を既に通過しているように反転ユニット2内の搬送経路長が設定されているので、記録シート4自身の先端部と後端部とが擦れ合うことはない。
なお、記録シート4の表面側に記録を行う際に、PEセンサレバー66によって記録シート長を測定することが可能である。このため、搬送ローラ21から第2反転ローラ109までの距離、あるいは第1反転ローラ108から搬送ローラ21までの距離よりも短い記録シートや、反転ユニット2の出口フラップ106から搬送経路を一周して出口フラップ106まで戻ってくる搬送路全長よりも長い記録シートが挿入された際には、表面側の記録が終了した段階で警告等を発し、反転ユニット2内に記録シート4が搬送されることなく、第2排出ローラ31側から排出されてしまうように構成されている。
記録シート4の記録済み面を第1反転ローラゴム110および第2反転ローラゴム111側にして搬送する理由は次のとおりである。まず、第1の理由として、第1反転ローラゴム110や第2反転ローラゴム111は駆動側であり、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113は従動側であるので、記録シート4は、駆動側ローラに追従して搬送され、従動側は記録シート4との摩擦力により回転させられることになる。このとき、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113を支持する回転軸の軸損が十分に小さければ良いが、何らかの原因で軸損が上昇した場合、記録シート4と第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113との間で滑りが生じる可能性がある。記録シート4に記録されている記録部分は、ローラとの当接によりインクが転写されない程度には乾燥しているが、摺動された場合に記録シート4の表面からインクが剥離されてしまう可能性もある。
もしも、記録シート4の記録済み面が第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113側に当接されていて、これらローラ112,113と記録シート4との間で滑りが生じた場合には、記録済み面のインクが剥離してしまう可能性がある。それを防止するために、本実施形態のように、記録済み面(表側)側に駆動側部材が当接されるようにし、未記録面(裏面)側に従動部材が当接されるように配置されている。
第2の理由として、駆動側の第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、記録シート4を屈曲可能な屈曲半径による制約があるため、ある程度の直径以下に設定することはできないが、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113は小径化することが可能であるので、反転ユニット2をコンパクトに設計するためには、第1反転ピンチローラ112や第2反転ピンチローラ113を小径に設計することが多い。
また、基本的には、記録シート4の記録済み面からインクがローラ側に転写されないが、極微量ずつ転写されて、記録済み面に当接されるローラ側が徐々にインクで汚損されていくことがある。小径化されたローラの場合は、ローラの外周が記録シート4に接触する頻度が高くなるため、大径のローラに比べて汚れていく速度が速くなるので、小径のローラは汚れに対して不利であると言える。以上のことから、本実施形態では、記録装置の小型化とローラの汚れを抑える観点から、記録シート4の記録済み面(表面)に当接される側に、直径が比較的大きい第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を位置させる配置としている。
第3の理由として、一方側のみが駆動される一対のローラで記録シート4を挟持して搬送する場合には、搬送量を正確にするために駆動側を摩擦係数が比較的大きい材質で形成し、従動側を摩擦係数が比較的小さい材質で形成し、ニップ部の面積(ニップ面積)を稼ぐために、いずれか一方のローラを弾性材料で形成することが多い。一般に、ローラは、比較的製造コストが低くて大きな摩擦係数が得られ、弾性にも富んでいるゴム類素材(ゴム状弾性材)が駆動側材質に採用されている。また、搬送力を増すために、例えばエラストマー等を含むゴム類の表面に研磨を施し、故意に研磨目の微小な凹凸を設ける手法もよく用いられる。この場合には、従動側を表面の摩擦係数が比較的小さい高分子樹脂材で形成することが一般的である。
微小な凹凸の付いたゴム類と平滑な高分子樹脂材の表面とを比較した場合、記録シート4の記録済み面に当接させたとき、どちらもインクの汚れが付着する。微小な凹凸の付いたゴム類では、その凹凸内に汚れを保持するため、再度、記録シート4に汚れが転写されることが少ないのに対し、平滑な高分子樹脂材では汚れが剥離して記録シート4に再転写されることがあるので、ゴム類を記録シート4の記録済み面に当接させる方が有利であると言える。以上のことから、本実施形態では、記録シート4の記録済み面である表面側に当接される側にゴム類素材のローラを配置し、未記録面である裏面側に当接する側に高分子樹脂素材のローラを配置するように構成されている。以上が、通常の記録シート4に両面記録する際の反転動作についての説明である。
つぎに、反転ユニット2について、自動両面記録を行わないで、剛性が比較的高い記録シートに記録を行う場合の動作は次のとおりである。剛性が比較的高い記録シートとしては、例えば、厚さが2〜3mm程度の厚紙や、円板状や異形状の記録シートを所定のトレイに載置して搬送する場合が想定される。このような記録シートは剛性が比較的高く、反転ユニット2の反転ローラ108,109の直径に倣う程に湾曲させることができないため、両面記録を行うことができない。しかしながら、反転ユニット2が記録ユニット1に装着されたままの状態で、そのような記録シートに記録を行う状況があり得る。
記録シート4の剛性が高い場合、メインASF37を利用して給送することもできないので、その場合は、直線状の搬送経路を用いるために、第2排出ローラ31側から搬送ローラ21側に向かって記録シート4を給送する。このときの反転ユニット2の動作について、反転ユニット2内の搬送経路を切り替える切替フラップ104の動作を図12(a),(b)に示す。
図12(a)は、上述した通常の記録シートを使用して自動両面記録を行う場合の状態を示す。このとき、切替フラップばね105は、搬送された記録シート4の押圧力に抗してストッパ(不図示)に切替フラップ104を付勢し続けるので、記録シート4は、表裏面を反転させるための搬送経路側に案内される。
図12(b)は、剛性が高い記録シート4を使用した場合の状態を示す。剛性が高い記録シート4が反転ユニット2に搬送された場合、記録シート4は、出口フラップ106の下方を通過して切替フラップ104に当接される。切替フラップばね105は、剛性が高い記録シート4が挿入され切替フラップ104が押圧されることによって、その押圧力で切替フラップ104を退避させる程度のばね荷重に設定されている。このため、切替フラップ104は、剛性が高い記録シート4の進行に従って、図12(b)中矢印r方向に回転されて退避される。そして、剛性が高い記録シート4は、第1反転ローラ108と第2反転ローラ109との間に設けられた他の搬送経路である退避経路131内に導かれる。また、リアカバー103には、退避経路131に対応する位置に、記録シート4を挿通させる開口が設けられているので、長尺な剛性が高い記録シート4を使用した場合でも、反転ユニット2内に干渉して搬送動作が妨げられることがない。
なお、本発明の主旨は、図12(b)を参照して説明した構成に制限されるものではない。すなわち、本発明の実施に際して、上下2本の反転ローラ108,109の間に退避経路131を設けることは必須ではなく、例えば以下のように構成することも可能である。
図13は、略水平経路の上方に、比較的大径の反転ローラを配置して構成された他の反転ユニットを模式的に示す側面図である。なお、他の反転ユニットにおいて、上述した反転ユニット2と同一機能部分に対応する各部材には、便宜上、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。切替フラップ104は、切替フラップばね(不図示)の弾性力によって、反転ローラ108の周面に沿って搬送路を構成する位置に付勢されている。切替フラップばねは、切替フラップ104を付勢する弾性力が、剛性が高い記録シート4が当接された際に、記録シート4によって切替フラップ104が回転されるような所定の荷重に設定されている。
したがって、剛性が低い記録シートの場合は、第1反転ローラ108が図13中矢印n方向に回転されることによって、記録シートは図13中矢印m方向に進行する。一方、剛性が高い記録シートの場合は、記録シートが切替フラップ104を押し退けて回動させて、図13中矢印q方向の退避経路131に進行する。これにより、長尺な剛性が高い記録シートを使用した場合であっても、反転ユニット2内部で干渉して搬送動作が制限されることはない。
以上のように、本実施形態の記録装置は、記録ユニット1から反転ユニット2を取り外すことなく、剛性が高く湾曲させることが困難な記録シートに対して片面記録を行うことも可能にされている。
次に、反転ユニット2のローラ類駆動機構について図14を参照して説明する。反転ユニット2が備えるローラ類駆動機構は、記録ユニット1側のLFモータ26からの駆動力を伝達するための伝達ギア列115と、この伝達ギア列115によって駆動力が伝達される太陽ギア116と、この太陽ギア116と同軸に揺動可能に設けられた振り子アーム117と、この振り子アーム117に回転可能に支持されて太陽ギア116にそれぞれ噛合された第1遊星ギア118および第2遊星ギア119とを備えている。
また、ローラ類駆動機構は、各遊星ギア118,119に噛合される第1反転ディレイギア121と、この第1反転ディレイギア121と同軸に設けられた第2反転ディレイギア122と、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122との間に相対的な付勢力を与える反転ディレイギアばね123と、第1反転ローラ108に固定された第1反転ローラギア125と、第2反転ローラ109に固定された第2反転ローラギア126と、2つの第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126に噛合されるローラアイドラギア124とを備えている。
また、ローラ類駆動機構は、ローラアイドラ124に噛合されるスパイラル溝ギア120と、このスパイラル溝ギア120の後述するカム溝に係合されて揺動されるストップアーム127と、このストップアーム127をセンタリングするように付勢する引っ張りコイルばね128と、振り子アーム117に取り付けられた振り子付勢ばね132とを備えている。
上述したように、本実施形態では、反転ユニット2の駆動力を、搬送ローラ21を駆動するLFモータ26から得ている。このように構成することにより、搬送ローラ21と第1反転ローラ108あるいは第2反転ローラ109とが協働して記録シート4を搬送する際に、起動停止のタイミングおよび記録シート4の搬送速度をほぼ完全に同期させることができ、このような構成を採るのが好適である。
LFモータ26からの駆動力は、伝達ギア列115を介して太陽ギア116まで伝達される。太陽ギア116には、振り子アーム117が揺動自在に取り付けられている。また、振り子アーム117の両端には、第1遊星ギア118および第2遊星ギア119がそれぞれ回転可能に支持されている。
太陽ギア116と振り子アーム117との間には、適度な摩擦力が働くように構成されているので、太陽ギア116の回転方向に従って振り子アーム117が揺動される。ここで、搬送ローラ21が記録シート4を排出方向に搬送する方向にLFモータ26を回転させる方向を正転方向とし、反転ユニット2側に記録シート4を搬送する方向を逆転方向とした場合、LFモータ26が正転方向に回転されたときには、太陽ギア116が図14中矢印a方向に回転される。太陽ギア116の回転に伴って、振り子アーム117も基本的に矢印a方向に揺動される。
振り子アーム117が矢印a方向に揺動されることによって、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合され、ローラアイドラギア124を回転させる。ローラアイドラギア124の回転に伴って、第1反転ローラギア125は図14中矢印c方向に回転され、同様に第2反転ローラギア126が図14中矢印d方向に回転される。第1反転ローラギア125が矢印c方向に回転され、第2反転ローラギア126が矢印d方向に回転されることで、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109がそれぞれ反転ユニット2内で記録シート4を搬送する方向に回転される。
また、LFモータ26が逆転方向に回転されたときには、太陽ギア116が図14中矢印b方向に回転される。太陽ギア116が矢印b方向に回転するのに伴って、振り子アーム117も基本的に矢印b方向に揺動される。振り子アーム117が矢印b方向に揺動されることによって、振り子アーム117に支持された第2遊星ギア119は、第1反転ディレイギア121に噛合される。
第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122には、対向する対向面から互いに突起(不図示)がそれぞれ突設されている。これらの突起は、第2反転ディレイギア122を固定して考えた場合、第2反転ディレイギア122に対して第1反転ディレイギア121を1回転させることで、突起同士が係合状態と係合解除状態とに切り替えられるクラッチの役割を果たしている。すなわち、遮断機構は、これら第1反転ディレイギア121および第2反転ディレイギア122の相対的な回転量に応じて、駆動力を伝達する伝達状態と、駆動力の伝達を遮断する遮断状態とに切り替えられる。
第2遊星ギア119が第1反転ディレイギア121に噛合されていない状態では、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122との間の各突起が、反転ディレイギアばね123によって突起同士が離間される方向に付勢されている。このため、第1反転ディレイギア121が回転を開始してから略一回転した後に、第2反転ディレイギア122は回転を開始する。このように、LFモータ26が逆転方向に回転を開始してから、第2反転ディレイギア122が回転を開始するまでの期間が、駆動力の伝達が解除され、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が停止されている遅延期間になる。
そして、第2反転ディレイギア122が回転されることで、ローラアイドラギア124を介して、第1反転ローラギア125を図14中矢印c方向に回転させるとともに、第2反転ローラギア126を図14中矢印d方向に回転させる。これらの回転方向は、LFモータ26を正転方向に回転させた場合の回転方向と同じ方向である。このような機構によって、LFモータ26の回転方向に拘わらず、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を常に記録シート4の搬送方向に回転させることが可能にされている。
ここで、スパイラル溝ギア120は、外周にギア部が設けられており、一方の側面に最内周および最外周に無限軌道をそれぞれ有する螺旋状のカム溝が切り欠かれたカム部が設けられている。このスパイラル溝ギア120は、本実施形態において、アイドラギア124を介して太陽ギア116と直結されているので、太陽ギア116と同一方向に同期して回転されている。スパイラル溝ギア120のカム溝には、ストップアーム127に設けられたフォロワーピン127aが係合されており、スパイラル溝ギア120の回転に伴ってストップアーム127が揺動される。
例えば、スパイラル溝ギア120が図14中矢印e方向に回転されたときには、フォロワーピン127aがカム溝の内周側に引き込まれて、ストップアーム127が図14中矢印g方向に揺動される。そのままスパイラル溝ギア120が矢印e方向に回転され続けたときにも、フォロワーピン127aが、カム溝の最内周の無限軌道に進入するので、ストップアーム127は所定位置で停止される。
一方、スパイラル溝ギア120が図14中矢印f方向に回転されたときには、フォロワーピン127aが、カム溝の外周側に向かって移動されるので、ストップアーム127が図14中矢印h方向に揺動される。このときも同様に、スパイラル溝ギア120が矢印f方向に回転され続けたとき、フォロワーピン127aが、カム溝の最外周の無限軌道に進入するので、ストップアーム127は所定位置で停止される。
なお、スパイラル溝ギア120の回転方向が切り替わった際に、フォロワーピン127aが、最外周および最内周の各無限軌道から螺旋状の溝部分に円滑に移動できるように、ストップアーム127には、ストップアーム127の移動範囲の中央付近を中心としてセンタリングするための引っ張りコイルばね128の一端が取り付けられている。
このストップアーム127は、振り子アーム117に取り付けられた振り子付勢ばね132に作用する。振り子付勢ばね132は、一端が振り子アーム117に取り付けられて、片持ち支持された引っ張りコイルばねである。また、振り子付勢ばね132の他端は、常にストップアーム127側よりもスパイラル溝ギア120の中心側に位置されている。
このような位置関係により、LFモータ26が正方向に回転したときに、次のような作用を与える。すなわち、LFモータ26が逆方向に回転されて記録シート4を反転ユニット2に搬送させ、表裏面を反転させて記録シート4が搬送ローラ21まで戻ってきたときに、スパイラル溝ギア120に対して、ストップアーム127は、カム溝の最外周側の無限軌道に沿って回転されている。その後、LFモータ26を正方向に回転させて裏面側の記録を行っている際に、ストップアーム127は、スパイラル溝ギア120の内周側に向かって移動されてくる。LFモータ26が正方向に回転されているときには、振り子アーム117が、図14中矢印a方向に揺動されて駆動力を伝達しているので、ストップアーム127が内周に向かってくる途中で振り子付勢ばね132に当接される。
LFモータ26が更に正方向に回転されることで、ストップアーム127は、更に内周側に移動されて振り子付勢ばね132を弾性変形させる。このため、振り子アーム117は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が噛み合うときに圧力角方向に作用する力および振り子アーム117を図14中矢印a方向に揺動させる力と、振り子付勢ばね132の弾性力との力のバランスで、振り子アーム117の姿勢が決まることになる。
本実施形態の場合は、振り子付勢ばね132の反発力が小さく設定されているので、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に進入された位置にいても、振り子付勢ばね132を弾性変形させるだけで、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との間で、駆動力の伝達が継続して行われる。
LFモータ26の動作が間欠的な駆動をすることで回転状態と停止状態を繰り返しているときに、停止状態となっても、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合されたままなので、これら第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の噛み合いが外れることはない。しかし、記録シート4の裏面側の記録が終了した後、反転ユニット2への駆動力の伝達が不要になったときには、LFモータ26の負荷を軽減させる点から駆動を切断した方が好ましい。したがって、記録ユニット1側からの駆動力の伝達を切断したい場合には、以下の動作が行われる。
すなわち、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に進入していて、振り子付勢ばね132が弾性変形されている状態で、少しだけLFモータ26を逆方向に回転させる。すると、振り子付勢ばね132の弾性力によって、振り子アーム117は、図14中矢印b方向に回転しようとする状態が、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合することよって止められている状態から、歯面同士の当接を外す方向の回転が与えられるので、振り子アーム117は一気に矢印b方向に回転される。
一旦、振り子アーム117が図14中矢印b方向に回転されてしまうと、弾性変形されていた振り子付勢ばね132が元の形状に復帰するので、LFモータ26を正方向に回転させても振り子付勢ばね132とストップアーム127が干渉するため、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124が噛み合う位置まで振り子アーム117は揺動できない。したがって、この状態からは、LFモータ26を逆方向に所定量だけ回転させなければ、反転ユニット2の振り子アーム117以降に駆動力が伝達されない。振り子アーム117までを駆動させるのは、単に伝達ギア列115を回転駆動させるだけなので、LFモータ26に掛かる負荷が僅少であり、記録ユニット1に反転ユニット2が装着されていないときの負荷とほとんど差がない。
なお、ストップアーム127のフォロワーピン127aがカム溝の最内周側の無限軌道に位置している状態から、LFモータ26が逆方向に回転された場合には、振り子付勢ばね132とストップアーム127の間には何も作用を及ぼさないので、上述したように第1反転ディレイギア121へ駆動力を伝達することができる。
図15(a)〜(f)および図19は、反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作および自動両面記録の動作を示す。
自動両面記録が開始されると、記録シート4の給送が行われる(ステップ:S1)。例えば、メインASF37などから搬送ローラ21に向けて記録シート4が供給される。次に、ステップS2において、記録部によって記録シート4の表面側に対する記録が行われる。これは、記録シート4に片面記録する場合と同様の動作である。このときのローラ類駆動機構の状態は図15(a)に示す状態である。
図15(a)は、反転ユニット2のローラ類駆動機構を初期化した後に、LFモータ26が正方向に回転駆動中の状態を示している。すなわち、自動両面記録時の記録シート4の表面側に対する記録動作中や、自動両面記録を使用しない通常の記録動作中などの状態を示している。ストップアーム127のフォロワーピン127aは、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周側の無限軌道に位置している。このため、振り子アーム117が図15中の矢印a方向に揺動しようとすると、振り子アーム117はストップアーム127に当接して、それ以上回転できず、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に係合することができない。したがって、LFモータ26からの駆動力は、第1反転ローラギア125および第2反転ローラギア126に伝達されない。この状態では、第1反転ピンチローラ112または第2反転ピンチローラ113による押圧力を受けて軸損が発生している各第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が回転されないので、LFモータ26が受ける負荷が少ない。
次に、ステップS3で、記録シート4の表面側の記録が終了した時点で、PEセンサ67によって記録シート4の表面後端が検出できたか否かを確認する。このとき、PEセンサ67によって、記録シート4の表面先端のみが検出されていた場合には、まだ記録シート4の表面後端が検出されていない。このため、ステップS4で、そのままLFモータ26を正方向に回転させて、記録シート4の表面後端がPEセンサレバー66を通過して更に少し進行した位置p2まで記録シート4を搬送させる。次に、ステップS5で、PEセンサ67が記録シート4の表面先端を検出したときから表面後端を検出するときまでの間に記録シート4を搬送した搬送量から、記録シート4の長さを算出する。
上述のように、記録シート4の長さが所定長L1よりも短い場合は、搬送ローラ21から第2反転ローラ109まで搬送する間、あるいは第1反転ローラ108から搬送ローラ21までの搬送の間にローラに届かなくなってしまうため、自動両面記録動作の対象から除外することが必要である。また、記録シート4の長さが所定長L2よりも長い場合は、記録シート4の記録済み面同士が搬送ローラ21から反転ユニット2までの通紙経路中で交差してしまうことになり好ましくないので、自動両面記録動作の対象から除外することが必要である。
すなわち、記録シート4の長さが、所定長L1より大きく所定長L2より小さい範囲内であるか否かをステップ5で判断する。(但し、L1<L2)記録シート4の長さが上述の範囲外であり、自動両面記録動作の対象から除外すると判断した場合には、ステップS6に移行し、LFモータ26を正方向に回転させて、そのまま記録シート4を装置外方に排出し、給送エラーにする。記録シート4の長さが、上述の範囲内であると判断した場合には、ステップS7に移行し、搬送ローラ21からピンチローラ22を離間させる。
次に、ステップS8で、記録シート4の表面後端が、既にピンチローラ22近傍の位置p1よりも搬送方向の下流側まで搬送されているか否かを確認する。記録シート4の表面後端が既に下流側まで搬送されている場合には、記録シート4にピンチローラ22を圧接させたときに搬送ローラ21とピンチローラ22に記録シート4が確実に挟持されるように、ステップS9で、表面後端が位置p1に移動するまで、LFモータ26を逆方向に回転させてバックフィードする。このときのローラ類駆動機構は、図15(b)に示す状態になる。
また、ステップS2〜ステップS8においては、なるべく動作が停止しないようにし、上述したように記録シート4が変形する前にステップS9が行われることが望ましい。なお、記録シート4の表面後端が位置p1よりも上流側に位置している場合には、そのままピンチローラ22を記録シート4に圧接させることで記録シート4を確実に挟持することが可能であるので、そのままステップS10に移行する。
図15(b)は、LFモータ26の逆方向の回転が開始した直後の状態を示している。すなわち、自動両面記録時に記録シート4の表面側の記録終了後にバックフィードが開始された直後や、メインASF37からの給送後の頭出し量調整のためにLFモータ26を逆転させた場合などである。このときは、振り子アーム117が図15中矢印b方向に揺動しようとするのを妨げられないので、第2遊星ギア119が第1反転ディレイギア121に噛合される。これに伴って、第1反転ディレイギア121は、回転を開始するが、略1回転するまで第2反転ディレイギア122に駆動力が伝達されない。このため、ローラアイドラギア124は回転されず、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は回転動作されない。
したがって、この状態でもまだLFモータ26が受ける負荷が少ない。このような状態に設定している理由は、自動両面記録時に記録シート4をバックフィードさせたとき、搬送ローラ21から第2反転ローラ109までの搬送距離を考慮して、記録シート4の裏面先端が第2反転ローラ109に到達するまでは、第2反転ローラ109を回転させる必要がないためである。また、上述したように、通常記録時の頭出し量の調整時などに、不必要に第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が回転されないようにするためである。
次に、ステップS10で、記録シート4の表面側の記録済みインクが充分に乾燥するまで乾燥待機時間t1[sec]だけ待機する。ステップS10で必要な乾燥待機時間t1は、上述したように種々の要因によって変動するので、可変のパラメータとすることが可能である。具体的には、記録シートの種類、インクの種類、インクの重ね打ち込み方法、インクの単位面積当たりの打ち込み量、環境温度、環境湿度、環境風速等の各種条件を勘案して乾燥待機時間t1が決定される。
続いて、ステップS11で、記録シート4にピンチローラ22を圧接させ、搬送ローラ21とピンチローラ22で再度記録シート4を挟持する。さらに、ステップS12で、乾燥待機時間t2[sec]だけ待機する。この乾燥待機時間t2は、ステップS10で乾燥待機時間t1だけ待機した場合には、待機を行わなくても良く、乾燥待機時間t2=0としてステップ13に移行させることも可能である。
乾燥待機時間t2だけ待機する理由は、例えば、記録シート4の表面後端部に記録動作が行われておらず、後端部に余白部分が存在している場合に、ステップS10において乾燥待機時間t1=0として直ぐに余白部分にピンチローラ22を圧接させるように制御しても、何ら支障がない。しかし、搬送ローラとピンチローラで余白部分を挟持し、そのまま直ぐにバックフィードして記録シート4の搬送を行った場合には、乾燥前のインクがピンチローラ22に転写されてしまう可能性があるためである。このため、ステップS10で乾燥待機時間t1=0とした場合を考慮して、ステップ12で乾燥待機時間t2だけ待機するように構成されている。
次に、ステップS13で、LFモータ26を逆方向に回転させ、記録シート4を所定量x1だけバックフィードする。このステップS13で、記録シート4を反転ユニット2まで搬送し、表裏面を反転させる。このステップS13が完了したとき、記録シート4の裏面先端は、搬送ローラ21よりも少し上流側まで戻されている。ここまでのローラ類駆動機構の状態が、図15(c)に示す状態である。
図15(c)は、LFモータ26を更に逆方向に回転させ続けた場合の状態を示している。すなわち、記録シート4をバックフィードして反転ユニット2内で反転している間の状態である。図15(b)の状態以降、反転ディレイギア121が略1回転されたとき、第1反転ディレイギア121のスラスト方向に突出された突起が、対向して設けられた第2反転ディレイギア122の突起に係合され、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122が一体になって回転を開始する。第2反転ディレイギア122が回転を開始することによって、第2反転ディレイギア122はローラアイドラギア124と常時噛合されているので、ローラアイドラギア124および第1反転ローラギア125、第2反転ローラギア126がそれぞれ回転される。これによって、第1反転ローラ108は、図15中矢印c方向に回転駆動され、第2反転ローラ109は、図15中矢印d方向に回転駆動される。
また、記録シート4の裏面先端を搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に挟持させる際に行われる、いわゆるレジストレイション動作を以下のとおりである。まず、図20に示すように、ステップS14で、現在使用している記録シート4が、剛性が比較的低い薄い記録シートであるか、剛性が比較的高い厚い記録シートであるかによって制御をそれぞれ切り替える。記録シート4の剛性の判断は、プリンタドライバ等で利用者が設定する記録シートの種類によって判断されても良く、また記録シートの厚みを測定して検出する厚み検出手段(不図示)を使用して判断されても良い。なお、ここで制御を2つに分ける理由は、記録シートの剛性によって記録シート4を撓ませてループを形成した際の挙動が異なるからである。
比較的剛性が低い薄い記録シートを使用する場合について説明する。図17(a)〜(c)は、薄い記録シートを使用した場合に、記録シートの裏面先端のレジストレイション動作を示す断面図である。この図17と図20に示すように、ステップS13で、LFモータ26が逆方向に回転されることにより、図17(a)に示すように、記録シート4の反転搬送が行われる。ステップS13が終了したとき、記録シート4の裏面先端は、おおよそ通紙ガイド70近傍に戻されている。薄い記録シートを使用した場合には、次にステップS15に移行する。ステップS15では、通紙ガイド70を上昇位置に移動させる。
図17(b)は、ステップS15が完了した状態を示す。上述したように、搬送ローラ21の中心に対して、ピンチローラ22の中心は若干のオフセットをもって第1排出ローラ30側に配置されている。このため、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部は、記録シート4が搬送されてきた略水平方向に対して若干の角度をもって傾斜されている。したがって、レジストレイション動作前に、通紙ガイド70を下降位置から上昇位置に戻すことで、通紙ガイド70の通紙面70aが傾斜され、記録シート4の裏面先端を、この傾斜されたニップ部に円滑に導くことが可能になる。
続いて、ステップS16で、LFモータ26を逆方向に回転させ、更に記録シート4を搬送ローラ21に向けて搬送する。ステップS17で、PEセンサ67によって記録シート4の裏面先端を検出する。ステップS17で、記録シート4の裏面先端が検出されない場合には、再度ステップS16に移行し、記録シート4の裏面先端が検出された場合には、ステップS18に移行する。
次に、ステップS18で、PEセンサ67による裏面先端の検出位置から搬送ローラ21までの距離よりも少しだけ長い距離x2だけ記録シート4を搬送する。これにより、記録シート4の裏面先端は、搬送ローラ21とピンチローラ22とのニップ部に到達し、更に余分に搬送された部分は記録シート4が撓んで、ループが形成される。
図17(c)は、ステップS18が完了したときの状態を示す。通紙ガイド70を上昇位置に移動させたことにより、通紙経路の高さ方向(記録シート4の厚み方向)の隙間が少なくなっているが、記録シート4の剛性が比較的低いので、ループが容易に形成され、湾曲された部分が記録シート4を押し込むので、逆転を続ける搬送ローラ21とピンチローラ22のニップ部に記録シート4の裏面先端部が倣って搬送ローラ21と平行になり、いわゆるレジストレイション動作が完了する。次に、ステップS19で、LFモータ26の回転方向を正方向の回転に切り替えて、記録シート4の裏面先端をニップ部で挟持し、所定距離x3だけ搬送して、裏面側の記録開始の準備を完了する。
つぎに、比較的剛性が高い厚い記録シートを使用する場合について説明する。図18(a)〜(c)は、厚い記録シートを使用した場合に、記録シートの裏面先端のレジストレイション動作を示す断面図である。図18(a)は、図17(a)と同様にステップS13の途中の状態を示し、図18(b)は、ステップS13が完了したときの状態を示す。
ステップS20で、通紙ガイド70は下降位置のままでLFモータ26を逆方向に回転させ、ステップS13で停止した位置の記録シート4の裏面先端から搬送ローラ21のニップ部までの距離よりも少しだけ長い距離x4だけ記録シート4を搬送する。これによって、上述した薄い記録シートを使用した場合と同様に、記録シート4の裏面先端は、逆転されている搬送ローラ21のニップ部に到達し、更に記録シート4が押し込まれた部分でループが形成されるので、記録シート4の裏面先端は搬送ローラ21と平行になり、レジストレイション動作が完了する。図18(c)はステップS20が完了したときの状態を示す。
つぎに、ステップS21で、LFモータ26の回転方向を正方向に切り替えて、記録シート4の裏面先端をニップ部で挟持し、所定距離x5だけ搬送して、裏面側の記録開始の準備をする。なお、ステップS19またはステップS21で、それまで逆方向に回転されていたLFモータ26が正方向の回転に回転方向を切り替える。このとき、振り子アーム117は、図14中矢印a方向へと揺動される。これによって、第2遊星ギア119と第1反転ディレイギア121との噛合状態が解除される。
LFモータ26の逆方向の回転時は、第1反転ディレイギア121と第2反転ディレイギア122が各突起によって係合され、同時に、両者の間に挟まれた捩じりコイルばねである反転ディレイギアばね123が圧縮された状態になっているが、第1反転ディレイギア121が回転自在なフリー状態になることによって、反転ディレイギアばね123が伸張するため、第1反転ディレイギア121は略1回転だけ反転され、初期状態に復帰する。
つぎに、ステップS22で、記録シート4の裏面側の記録開始の準備を完了する。ここで、厚い記録シートを使用する場合に、レジストレイション動作を行う間、通紙ガイド70を下降位置に移動させている理由について説明する。薄い記録シートの場合と同様に、図17(c)に示したようにしてループを形成しようとした場合、記録シートの剛性が高いため、ニップ部に到達する前から記録シート4はピンチローラホルダ23の内面に沿って搬送されてしまう。これにより、記録シート4がニップ部に到達した後に更に搬送されてループを形成しようとしても、すでにループを形成するスペースが無くなっており、ループが形成されない。そのため、良好なレジストレイションが取れない場合があり得るためである。
また、ループが形成されない場合、第1反転ローラ108と搬送ローラ21との間で同時に挟持された記録シート4にたるみ(弛み)ができない。これは、本実施形態のように、ローラ類駆動機構に振り子アーム117のような機構を用いる場合、ステップS20におけるLFモータ26の逆転からステップS21におけるLFモータ26の正転に至る間に、振り子アーム117が揺動する時間が必要になり、振り子アーム117を揺動させる期間で、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が停止してしまう。
搬送ローラ21は、LFモータ26に直接接続されているために、停止する期間がないので、記録シート4の搬送速度に矛盾が生じてしまう。記録シート4に弛みが有れば、ステップS21の最中にその弛みを取っていく分で記録シート4の搬送速度の矛盾を吸収できるが、弛みが無かった場合は、記録シート4の搬送速度の矛盾を吸収できずに、無理に搬送ローラ21側が記録シート4を搬送しようとするが、記録シート4の後端側が第1反転ローラ108に挟持されているために、実際には搬送されない事態が発生することがある。これにより、記録シート4の裏面先端の搬送量が狂ってしまい、想定よりも裏面先端(上端)の余白が少なくなってしまうことがある。以上の不都合を解消するために、通紙ガイド70を下降位置に移動させることで、ピンチローラホルダ23との高さ方向の隙間が充分に確保され、ループを形成するためのスペースが確保されている。これにより、剛性の比較的高い厚い記録シートを使用した場合にも、良好なレジストレイション動作が可能になる。
つぎに、ステップS23で、記録シート4の裏面側に記録を行う。このとき、大抵の記録シート4の裏面の後端部は、まだ第1反転ローラ108に挟持されている。そのままで第1反転ローラ108の回転を停止させた場合、記録シート4を後方に引っ張る負荷となってしまうため、記録シート4の搬送精度が悪化するおそれがあり、好ましくない。したがって、少なくとも記録シート4の裏面の後端部が第1反転ローラ108に挟持されている間は、第1反転ローラ108の回転駆動を継続させるように構成されている。このときのローラ類駆動機構は、図15(d)に示すような状態になる。
図15(d)は、記録シート4の反転動作後、LFモータ26が正方向に回転している最中の反転ユニット2のローラ類駆動機構の動作状態を示す側面図である。すなわち、図15(c)の状態からLFモータ26が正方向の回転に切り替えられると、振り子アーム117は図15中矢印a方向に揺動される。このとき、ストップアーム127は、図15中矢印h方向に揺動されており、振り子アーム117が図14中矢印a方向に揺動されてきても、振り子付勢ばね132がストップアーム127に当接することがないので、第1遊星ギア118がローラアイドラギア124に噛合され、駆動力が伝達される。
その後、LFモータ26の正方向の回転が継続されると、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120に導かれて内周側に向けて移動し、ストップアーム127が図15中矢印g方向に揺動される。ストップアーム127は、矢印g方向に揺動されていく途中で、振り子付勢ばね132に当接され、振り子付勢ばね132を弾性変形させていく。この振り子付勢ばね132の弾性変形による反力で、振り子アーム117には図15中矢印b方向に揺動させる付勢力が働く。しかし、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との間で駆動力の伝達中には、ギア歯面同士が噛み合う力の方が大きいために、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されることがなく、駆動が継続される。図15(d)は、この状態を示している。
また、上述したように、LFモータ26の回転、停止を伴う間欠駆動を行った場合でも、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が係合されているために、これら第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されることはない。更に、記録シート4の裏面の記録動作を継続し、LFモータ26を正方向に回転させていくと、フォロワーピン127aはスパイラル溝ギア120の最内周部に到達する。このときのローラ類駆動機構は、図15(e)に示す状態になる。
このとき、振り子付勢ばね132は最大量弾性変形された状態になるが、この状態でも、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の歯面同士が噛み合う力が、振り子アーム117を揺動させる付勢力よりも大きくなるように、振り子付勢ばね132の荷重が設定されているので、LFモータ26を正方向に回転させ続けている限り、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除されない。以上で、記録シート4の裏面側への記録動作が完了した後、ステップS24に移行する。
ステップS24で、記録シート4を排出トレイ(不図示)上に排出する排出動作を行う。排出動作は、LFモータ26の正方向の回転を継続することにより、第2排出ローラ31によって記録シート4を記録ユニット1の外部に搬送することで行われる。
つぎに、ステップS25で、記録シート4の裏面先端の位置を検出して、この裏面先端が位置P3よりも下流側に位置しているか否かを判断する。記録シート4の裏面先端が位置P3よりも下流側に位置している場合には、ステップ26に移行し、記録シート4の裏面先端が位置P3に到達しない上流側に位置している場合には、再度ステップ224に移行する。これは、長さが短い記録シートを用いた場合、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の最内周まで到達しないことがあるからである。その場合にも、所定長分だけLFモータ26を回転させることにより、記録シート4の裏面側の記録動作が終了したときには、フォロワーピン127aが必ずスパイラル溝ギア120の最内周まで移動するようにされている。
つぎに、ステップS26で、ローラ類駆動機構の初期化を行う。上述したように、振り子付勢ばね132に蓄えられている付勢力が、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態によって保持されているので、LFモータ26を微少量だけ逆方向に回転させるだけで噛合状態が解除される。すなわち、LFモータ26を逆方向に回転させると、振り子アーム117が図15中矢印b方向に揺動しようとするため、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態が解除され、蓄えられていた振り子付勢ばね132が元に戻る弾性力によって、矢印b方向に一気に揺動する。このときのローラ類駆動機構は、図15(f)に示す状態になる。
この状態では、振り子付勢ばね132の姿勢は元に戻っているので、ここからLFモータ26が正方向に回転した場合、振り子アーム117は図15中矢印a方向に揺動しようとするが、フォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の最内周近傍に進入しているため、振り子付勢ばね132がストップアーム127に当接されてしまい、第1遊星ギア118は、ローラアイドラギア124に噛合することができない。LFモータ26を正方向に更に回転させても、フォロワーピン127aは、スパイラル溝ギア120のカム溝の最内周側を回転し続けるので、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109が駆動されることはない。なお、上述のように、第1反転ディレイギア121は、ステップS19またはステップS21で初期化されているので、このステップS26で、LFモータ26を距離x7だけ逆転させることで、ローラ類駆動機構の全ての初期化が終了する。
以上で、自動両面記録動作が終了する。連続して自動両面記録動作を行うる場合は、上述の動作シーケンスを繰り返せば良い。
なお、本実施形態では、振り子付勢ばね132の作用で、振り子アーム117とストップアーム127の間に弾性的な当接関係を実現しているが、本発明の趣旨はこれに制限されず、以下のように構成することも可能である。
図16(a)〜(e)は、図15(a)〜(f)と同様、反転ユニット2のローラ類駆動機構の他の動作を説明するための側面図である。図16の振り子アーム117は、弾性が少ない腕部を有しており、その腕部とストップアーム127が当接できる位置に配置されている。以下、この構成での動作を説明する。図16(d)は、ストップアーム127のフォロワーピン127aがスパイラル溝ギア120のカム溝の内周側に移動されて、振り子アーム117の腕部と当接された状態を示す。振り子アーム117の腕部には、比較的弾性が少ないので、ストップアーム127に押されると、振り子アーム117を図16中矢印b方向に回転させる力が働く。その力は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態を解除させる方向に働く。
噛合状態を解除しようとする力は、第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との歯面間に働く押圧力並びにギア歯面の弾性力および滑り力と釣り合うが、やがてフォロワーピン127aがカム溝の内周側に移動されるのに伴なって、噛合状態を解除しようとする力が次第に大きくなり、ギア歯面間の力に打ち勝って、強制的に第1遊星ギア118とローラアイドラギア124との噛合状態を解除させる。噛合状態が解除されると同時に、第1反転ローラ108および第2反転ローラ109は、回動が停止される。図16(e)は、この状態を示している。なお、この各反転ローラ108,109の回動を停止させるタイミングは、ステップS23の途中で、記録シート4の裏面後端が第1反転ローラ108を通過した後の適当な時期に行われる。
第1遊星ギア118とローラアイドラギア124の噛合状態が解除された以降では、LFモータ26が正転方向に回転させても、ストップアーム127によって振り子アーム117が図16中矢印a方向に揺動するのを妨げられるので、次にLFモータ26が逆方向に所定量だけ回転するまで、反転ユニット2は駆動されない。また、第1反転ディレイギア121もステップS19またはステップS21で初期化されているので、この時点で反転ユニット2のローラ類駆動機構の初期化は完了している。
これにより、記録シート4の裏面側の記録動作中に第1反転ローラ108および第2反転ローラ109を回転させる負荷を無くすことができ、LFモータ26の回転負荷を低減させることが可能となる。
上記実施形態においては、通常の待機状態で通紙ガイド70が上昇位置に位置されるように構成されたが、初期状態で下降位置に位置させることも可能である。また、上記ステップS26の後、待機状態で、搬送ローラ21からピンチローラ22を離間させたリリース状態となるようにすることで、厚紙等の記録シート4を第2排出ローラ31側から給送するためなどに好適である。
本発明に係る記録ユニット1及び反転ユニット2によれば、点検用シャッター221を有する反転ユニット2が、前記点検用シャッター221が開放状態のままで記録ユニット1に装着されるのを、反転ユニット2内に設けられた挿入制止レバー222が反転ユニット2の外装表面から突起として出現して記録ユニット1の外装と干渉することによって防ぎ、結果として、点検用シャッター221が開放状態のままの反転ユニット2が記録ユニット1本体に装着され、シートが搬送されて発生するジャムを防止することができる。
また、反転ユニット2が記録ユニット1に装着状態で点検用シャッター221が開放状態になると、反転ユニット2内に設けられた挿入制止レバー222が反転ユニット2の外装表面から突起として出現し、記録ユニット1に設けられた挿入制止レバー検出装置225を作動させる。これによって、記録ユニット1には、反転ユニット2の点検用シャッター221が開放状態という情報が送られ、記録ユニット1側のシート搬送の駆動を停止させる。その点検用シャッター221が開放状態になったままでシートが搬送されて発生するジャムを防止することができる。
さらに、反転ユニット2が記録ユニット1に装着状態で、点検用シャッター221が開放状態の場合は、記録ユニット1側のシート搬送の駆動も停止させる。このため、従来例のように、反転ユニット2内の搬送ローラの駆動のみを停止させ、記録ユニット1側の搬送ローラの駆動は可能な状態であるために発生する恐れがある、記録ユニット1側から、停止している反転ユニット2内の搬送ローラへシートが搬送されてしまうとによるジャムも防止できる。
同時に、点検用シャッター221が開放状態では搬送ローラが駆動されないため、ユーザが回転している搬送ローラに、接触したり、ネックレスが巻き込まれたりすることで発生する傷害を防止する効果もある。
なお、上記実施形態においては、記録手段である記録ヘッドを主走査方向に移動させながら記録するシリアル型の記録装置を一例に挙げて説明したが、本発明は、被記録媒体の全幅または一部をカバーする長さのラインタイプの記録手段を用いて副走査(紙送り)のみで記録するライン方式の記録装置の場合にも、同様に適用することが可能であり、同様の効果を得られる。
また、本発明は、記録手段の数にも関わらずに自由に実施できるものであり、1個の記録手段を用いる記録装置の他、異なる色のインクを使用する複数の記録手段を用いるカラー記録用の記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度のインクを使用する複数の記録手段を用いる階調記録用の記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。
さらにまた、本発明は、記録装置がインクジェット記録装置である場合、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用いる構成、記録ヘッドとインクタンクを別体にし、その間をインク供給用のチューブ等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られる。
なお、本発明は、記録装置がインクジェット記録装置の場合、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用する記録装置の他、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いてインクを吐出する方式のインクジェット記録ヘッドを使用する記録装置など、他のインク吐出方式を用いるインクジェット記録装置に対しても同様に適用することができ、同様の作用、効果が得られる。
本発明の実施形態に係る記録装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。 前記記録装置の全体構成を模式的に示す断面図である。 前記記録装置の記録ユニットと反転ユニットの装着動作を説明するための斜視図である。 記録ユニットを背面から見た背面図である。 反転ユニットを正面から見た正面図である。 記録ユニットと反転ユニットの固定状態を説明するための模式図である。 記録ユニットに反転ユニットが装着された状態における反転ユニットのローラ類駆動機構の伝達ギア列を説明するための側面図である。 前記ローラ類駆動機構の伝達ギア列を示す平面図である。 伝達ギア列について記録ユニットに反転ユニットが装着される前の状態を説明するための側面図である。 (a)〜(c)は、記録シートの表面側の記録が終了した後に、記録シートを搬送ローラのニップ部に再度引き込む動作順を示す側面図である。 反転ユニットの構成を模式的に示す断面図である。 (a),(b)は、反転ユニット内の切替フラップの動作順を示す断面図である。 反転ユニットの他の構成例を模式的に示す断面図である。 反転ユニットのローラ類駆動機構を示す側面図である。 (a)〜(f)は、ローラ類駆動機構の動作順を示す側面図である。 (a)〜(e)は、ローラ類駆動機構の他の動作順を示す側面図である。 (a)〜(c)は、薄い記録シートを使用する場合の裏面先端のレジストレイション動作順を示す断面図である。 (a)〜(c)は、厚い記録シートを使用する場合の裏面先端のレジストレイション動作順を示す断面図である。 自動両面記録動作の動作シーケンスを示すフローチャートである。 自動両面記録動作の動作シーケンスを示すフローチャートである。 記録装置全体を駆動制御する制御基板および検出部の構成を示す機能ブロック図である。 点検用シャッターの開閉状態による記録ユニットへの反転ユニットの装着動作を示す断面図である。 点検用シャッターの開閉状態による記録ユニットへの反転ユニットの装着動作を示す断面図である。 点検用シャッターの開閉状態による記録ユニットへの反転ユニットの装着動作を示す断面図である。 点検用シャッターの開閉状態による、記録ユニットへの反転ユニットの装着動作を示す断面図である。
符号の説明
1 記録ユニット
2 反転ユニット
4 記録シート
10 シャーシ
11 記録ヘッド
12 インクタンク
13 キャリッジ
14 ガイドシャフト
15 ガイドレール
16 タイミングベルト
17 キャリッジモータ
20 アイドラプーリ
21 搬送ローラ
22 ピンチローラ
23 ピンチローラホルダ
24 ピンチローラばね
26 LFモータ
29 プラテン
30 第1排出ローラ
31 第2排出ローラ
32 第1拍車列
33 第2拍車列
34 拍車ベース
36 メインテナンスユニット
37 メインASF
38 ASFベース
39 給送ローラ
40 分離ローラ
41 圧板
42 サイドガイド
44 ASFフラップ
46 ASFモータ
55 ガイドシャフトばね
56 ガイド斜面
58 リフトカム軸
66 PEセンサレバー
67 PEセンサ
68 PEセンサレバーばね
70 通紙ガイド
102 内ガイド
103 リアカバー
104 切替フラップ
105 切替フラップばね
106 出口フラップ
107 出口フラップばね
108 第1反転ローラ
109 第2反転ローラ
112 第1反転ピンチローラ
113 第2反転ピンチローラ
115 伝達ギア列
116 太陽ギア
117 振り子アーム
118 第1遊星ギア
119 第2遊星ギア
120 スパイラル溝ギア
125 第1反転ローラギア
126 第2反転ローラギア
127 ストッパアーム
128 ストッパアームばね
131 退避経路
140 LFモータギア
141 出力側ダブルギア
142 出力ギア
143 入力ギア
144 入力側ダブルギア
201 上下方向位置決め凸部
202 上下方向位置決め凹部
203 反転ユニット挿入装着口
204 幅方向位置決め凸部
205 幅方向位置決め凹部
206 セットフック
207 係合部
208 リリースレバー
221 点検用シャッター
222 挿入制止レバー(装着制止手段)
223 レバーストッパ部
224 レバー付勢ばね
225 レバー開閉検出センサ
226 挿入制止レバー支軸
227 記録ユニット背面外壁部
301 制御基板
305 ASFセンサ
307 ヘッドドライバ
308 ホスト装置
310 CPU
311 ROM
312 RAM

Claims (5)

  1. 記録媒体に画像形成する記録装置本体に対して媒体反転装置本体が着脱可能となっており、記録媒体を表裏反転して記録装置本体に返還するとともに、記録媒体のジャム処理を含む点検用のシャッターが前記媒体反転装置本体に設けられている媒体反転装置において、
    前記点検用シャッターが開かれて開放状態になるとそれに連動して作動して前記媒体反転装置本体が前記記録装置本体に挿入装着されるのを阻止する装着制止手段を具備してなることを特徴とする媒体反転装置。
  2. 前記装着制止手段は、前記点検用シャッターの開動作に連動して前記媒体反転装置本体の挿入装着口に没した状態から突出して出現することにより、前記媒体反転装置本体の前記記録装置本体への挿入装着を拒む挿入制止レバーでなっていることを特徴とする請求項1に記載の媒体反転装置。
  3. 前記挿入制止レバーが、弾性部材の弾発力によって突出動作するようにしてなっていることを特徴とする請求項2に記載の媒体反転装置。
  4. 記録媒体のジャム処理を含む点検用のシャッターを有しかつ記録媒体を反転させて記録装置本体に返還するための媒体反転装置が、その媒体反転装置本体を前記記録装置本体に対して着脱可能となっている記録装置において、
    前記媒体反転装置本体を前記記録装置本体に挿入装着後、前記点検用シャッターが開放状態になっていることを検知することによって、前記記録装置本体に備わる媒体搬送駆動系の作動を停止させる搬送停止手段を具備してなることを特徴とする記録装置。
  5. 前記搬送停止手段は、前記媒体反転装置の挿入装着口に突出して出現した装着制止手段を検出することによって、制御部から駆動オフ信号を出力して媒体搬送駆動系の作動を停止させることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
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