JP2005075353A - 易開封性を有するレトルト用自立性袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】レトルト用自立性袋の分野において、自立性、レトルト処理適性の他、ガスバリヤー性、遮光性に優れると共に、衝撃等に対する耐ピンホール性及び易開封性にも優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋を経済性よく提供する。
【解決手段】易開封性を有するレトルト用自立性袋を、前後の壁面フィルムと底部に底面フィルムを用いてガセット部15を設けた自立袋形式で形成し、上部の開封位置にノッチ18や切り取り線17等の開封手段を設けると共に、壁面フィルムには少なくとも易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層を含む積層体を用い、底面フィルムには少なくとも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔と二軸延伸ナイロンと無延伸ポリプロピレン層を含む積層体を用いて構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】易開封性を有するレトルト用自立性袋を、前後の壁面フィルムと底部に底面フィルムを用いてガセット部15を設けた自立袋形式で形成し、上部の開封位置にノッチ18や切り取り線17等の開封手段を設けると共に、壁面フィルムには少なくとも易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層を含む積層体を用い、底面フィルムには少なくとも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔と二軸延伸ナイロンと無延伸ポリプロピレン層を含む積層体を用いて構成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性を有するレトルト用自立性袋に関し、更に詳しくは、レトルト殺菌処理に耐える耐熱性を有すると同時に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性、遮光性に優れ、また、自立性袋で発生しやすいピンホールの問題もなく、更に内容物を取り出す際の開封性にも優れるという、総合的に優れた性能を備えた易開封性を有するレトルト用自立性袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レトルト用自立性袋を含めたレトルト用パウチでは、レトルト殺菌処理に耐える耐熱性のほか、落下強度などの耐衝撃強度、そして、内容物の保存性の面からガスバリヤー性および遮光性が必要とされ、袋を形成する材料には、例えば、基材フィルムにガスバリヤー層、遮光層とシーラント層とを積層したような構成の積層体が用いられ、その基材フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられ、ガスバリヤー層兼遮光層としては、アルミニウムなどの金属箔が用いられ、シーラント層としては、無延伸ポリプロピレン層、無延伸高密度ポリエチレン層などが用いられてきた。
【0003】
前記ガスバリヤー層兼遮光層としてのアルミニウムなどの金属箔は、近年、内容物を袋のまま加熱する際に、電子レンジによる加熱ができないこと、また、使用後の袋を焼却した際、残渣を生じることなどから、他の材料への代替えが研究され、遮光性は得られないが、エチレン・ビニルアルコール共重合体層やMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)の二軸延伸フィルムなどのガスバリヤー性樹脂層、或いは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの耐熱性フィルムにシリカやアルミナなどの無機酸化物の蒸着層を設けたガスバリヤー性蒸着フィルムを前記積層体の中間層などに積層してガスバリヤー性を付与することが行われている。
【0004】
また、レトルト用自立性袋では、特に前記耐熱性のほか、落下強度などの耐衝撃強度、ピンホールの発生防止、そして、内容物の保存性の面からガスバリヤー性、遮光性などが基本性能として重視されるため、袋の使い勝手に関する易開封性などについては、その開発が未だ不十分な状態にある。
「レトルト用自立性袋」に関する先行技術文献は、意外に少なく、例えば、アルミニウム箔層を必須要素とすることなく、ガスバリヤー性、引き裂き性、自立性および遮光性に優れたレトルト用スタンディングパウチを提供するものとして、「高水素結合性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるガスバリア層、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた材料からなる二軸延伸フィルムからなる一層以上の層(ただし、該二軸延伸フィルムからなる各層の厚みの合計は20μm以上である)、および前記二軸延伸フィルムからなる層の合計厚みの5倍以下で20μm以上の厚みのヒートシール性樹脂層を有し、波長300nmの光の透過率が5%以下である積層体からなることを特徴とするレトルト用スタンディングパウチ。」がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、スタンディングパウチを含むレトルト用パウチに関して、容器内の酸素を除去し、内容物の保存性を向上するとともに、シール強度と耐衝撃強度及びレトルト性を向上させたレトルト用パウチを提供するものとして、「少なくとも1層の酸素バリヤ層とクッション層をドライラミネーションして形成した外面層の片面に、変性ポリオレイン樹脂を2〜40%含むオレフィン系樹脂に酸素吸収剤を配合した酸素吸収層、ヒートシール性層を共押出しまたはサンドイッチラミネーションして形成した内面層を配設した積層フィルムで形成した、レトルト用パウチ。」がある(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−294279号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開2003−118778号公報(第2〜5頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された発明のレトルト用スタンディングパウチでは、アルミニウム箔を使用することなく、必要なガスバリヤー性、遮光性、自立性などの性能を得られるが、易開封性につながる引裂き性に関しては、前記積層体の基材フィルムとして、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた材料からなる二軸延伸フィルムからなる一層以上の層(ただし、該二軸延伸フィルムからなる各層の厚みの合計は20μm以上である)と記載され、また、これに積層されるヒートシール性樹脂層の厚みは、前記二軸延伸フィルムからなる層の合計厚みの5倍以下で20μm以上の厚みと記載され、二軸延伸フィルムからなる一層以上の層とヒートシール性樹脂層の厚みバランスを採る方法で引裂き性が極端に損なわれることを防止したものであり、二軸延伸フィルムからなる一層以上の層に用いる二軸延伸フィルムに関しても、通常の二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルムが用いられているため、引裂き性は有していても、その方向性、即ち、直線カット性には欠けるものであり、袋の易開封性としては不十分となる問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明のレトルト用パウチは、前記のように、容器内の酸素を除去するとともに、シール強度と耐衝撃強度及びレトルト性を向上させた、レトルト用パウチを提供するものであり、そのためにレトルト用パウチを、少なくとも1層の酸素バリヤ層とクッション層をドライラミネーションして形成した外面層の片面に、変性ポリオレイン樹脂を2〜40%含むオレフィン系樹脂に酸素吸収剤を配合した酸素吸収層、ヒートシール性層を共押出しまたはサンドイッチラミネーションして形成した内面層を配設した積層フィルムで形成したものである。
このため、酸素吸収層、酸素バリヤ層、クッション層、ヒートシール性層に関する説明は記載されているが、積層フィルムの引き裂き性、或いは、パウチの易開封性についての記載は一切なく、また、積層フィルムの構成中に、易引き裂き性フィルムや、直線カット性フィルムを使用した例の記載もない。
従って、記載された積層フィルムの構成、或いは、実施例に示された積層フィルムの構成から推定しても、特に引き裂きの方向性などに優れている要素はなく、前記特許文献1に記載されたレトルト用スタンディングパウチと同様に、直線カット性などの易開封性に関しては不十分であり、問題があった。
【0009】
スタンディングパウチ、即ち、自立性袋は、通常、前後の壁面フィルムと底面フィルムとで形成され、その壁面フィルムと底面フィルムには同じ層構成の積層フィルムを用いて製袋するのが一般的であり、このことはレトルト用自立性袋においても同様である。
また、レトルト用自立性袋では、元来内容物の充填後、輸送などの際に、底面フィルムの折り込み部近傍にピンホールを発生しやすい問題があった。
レトルト用自立性袋に易開封性を付与するためには、その積層フィルム中に易引き裂き性、特に直線カット性に優れたフィルムを積層する方法が比較的簡単である。
【0010】
このような易引き裂き性フィルムとしては、一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどが古くから知られている。只、このような一軸延伸ポリプロピレンフィルムまたは一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムは、引き裂き方向の安定化には有効であるが、ポリプロピレンまたは高密度ポリエチレンの延伸フィルムとしての一般的な性能には劣るため、積層フィルムの基材フィルムには、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載することがある)や二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載することがある)などの別の基材フィルムが必要となり、コスト面で割高になる問題があった。
この点、近年、一般の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ナイロンフィルムの性能を保持しながら、MD(流れ方向)に直線カット性を付与した易引き裂き性ポリエステルフィルム(以下、易引き裂き性PETフィルムと記載することがある)および易引き裂き性ナイロンフィルム(以下、易引き裂き性ONフィルムと記載することがある)が開発され使用されるようになっている。
このような易引き裂き性PETフィルムや易引き裂き性ONフィルムを使用した場合は、直線カット性の付与と同時にそれぞれの基材フィルムとしての性能を兼ね備えることができるので、基材フィルムを別に使用する必要がなくなり、コストメリットが得られるようになっている。
只、易引き裂き性ONフィルムは、性能面では優れているが、未だそれ自体のコストが高いため、経済性の面で不利となり使用が難しい。
【0011】
例えば、前記易引き裂き性PETフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネーション法などで積層することにより、レトルト用自立性袋に用いる積層フィルムを作製することはできる。
しかし、このような構成の積層フィルムを前後の壁面フィルムと底面フィルムに用いて、レトルト用自立性袋を作製した場合、壁面フィルムの開封位置での直線カット性には優れた性能を得られるが、同じ構成の積層フィルムを用いた底面フィルムの部分ではピンホールの発生頻度が極めて高くなり、実用に供しえない問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、レトルト殺菌処理が可能な耐熱性を有すると共に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性および遮光性に優れ、且つ、易開封性にも優れると同時にピンホールの発生も防止できるという総合的に優れた性能を備えた易開封性を有するレトルト用自立性袋を経済性よく提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、前後の壁面フィルムと底面フィルムとで形成される自立性袋において、袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側部の端縁部に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールして形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該前後の壁面フィルムが、少なくとも易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、該底面フィルムが、少なくとも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、更に、該自立性袋の上部の開封位置には、前記易引き裂き性のポリエステルフィルムとは別に開封手段が設けられていることを特徴とする易開封性を有するレトルト用自立性袋からなる。
【0014】
本発明において、前記自立性袋の上部の開封位置に設ける開封手段としては、通常のパウチでも多用されるノッチのほか、機械的方法によってパウチの端部に形成される細長くて小さな傷痕群などを設けることができる。また、前記ノッチまたは細長くて小さな傷痕群と組み合わせて、印刷などによる切り取り線などの開封指示線を設けてもよい。
前記ノッチは、一字形やV字形のノッチが多く採用されているが、その形状に制限はなく、引き裂き方向に向かって尖った部分を有する形状であれば何でもよい。
【0015】
また、前記袋の底部のガセット部をヒートシールする内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンは、代表的な好ましい形状として、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となる船底形や、一定の幅と長さの底部から両側が外側に傾斜直線状に立ち上がる形状の船底形のシールパターンが挙げられるが、これらに限定されず、例えば、内側が鈍角のV字形、或いは横長に開いたU字形となるシールパターンなど、実質的に内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンであれば何でもよい。
【0016】
本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋は、前記のように構成されているので、以下に列記するような作用効果を得ることができる。
(1)袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側部の端縁部に切り欠き部が設けられると共に、そのガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされて形成されているので、内容物が充填された袋は、底部が前後に大きく広がり、底部の外周にはヒートシール部による脚部が環状に形成され、優れた自立性が付与される。従って、取扱いが容易になるほか、外観や陳列効果などにも優れたものとなる。
(2)本発明のレトルト用自立性袋は、前後の壁面フィルムとして、易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とをこの順に積層した積層体を用い、また、底面フィルムには、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔と二軸延伸ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレン層とをこの順に積層した積層体を用いて製造することができるので、レトルト殺菌処理が可能な耐熱性を付与できると同時に、それぞれの積層体に積層されたアルミニウム箔により、優れたガスバリヤー性と遮光性が付与される。そして、壁面フィルムに積層された易引き裂き性のポリエステルフィルムにより、直線カット性に優れた易開封性が付与され、また、底面フィルムに積層された二軸延伸ナイロンフィルムと二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより、優れた耐ピンホール性のほか、衝撃強度などの機械的強度が付与される。
(3)また、前記易開封性に関しては、前記易引き裂き性のポリエステルフィルムによる直線カット性に加えて、自立性袋の上部の開封位置に開封手段として、前記ノッチまたは細長くて小さな傷痕群、および印刷による切り取り線などを設けることができるので、正しい位置で、且つ引き裂きの開始時も容易に引き裂くことができ、優れた易開封性が付与される。
【0017】
請求項2に記載した発明は、前記ガセット部をヒートシールするシールパターンが、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンであることを特徴とする請求項1記載の易開封性を有するレトルト用自立性袋からなる。
【0018】
前記ガセット部をヒートシールするシールパターンは、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンであれば特に限定はされないが、自立性袋に充填される内容物が液状物の場合は、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンが、袋の底部の角部を少なくすることができ、落下強度などの衝撃強度に一層優れる点で特に好ましい。
【0019】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、内容物が充填された自立性袋は、底部が前後に大きく広がり、底面の外周にヒートシール部による環状の脚部が形成されると同時に、底面が滑らかな曲面状に形成されるので、自立性に優れると共に、落下強度など衝撃強度にも一層優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の実施の形態について説明する。但し、本発明は、その要旨を超えないかぎり、これらの図面に限定されるものではない。
図1は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる壁面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
図2の(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
そして、図3は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図である。
【0021】
図1に示した壁面フィルム50は、外側(図において上側)から、易引き裂き性のポリエステルフィルム1、接着層4a 、アルミニウム箔2、接着層4b 、無延伸ポリプロピレン層3を、この順に積層して構成したものである。
前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1は、壁面フィルム50に直線カット性を付与すると共に、壁面フィルム50の基材フィルムとしても機能するものである。
このような易引き裂き性のポリエステルフィルム1は、二軸延伸ポリエステルフィルムとして形成され、その厚みは5〜50μmの範囲が好ましく、10〜30μmの範囲が更に好ましい。
前記厚みが5μm未満の場合は、壁面フィルム50に対する直線カット性の付与効果が低下すると共に、基材フィルムとしての強度も不十分となるため好ましくない。また、50μmを超える厚みは、強度面でその必要性がなく、製造自体が難しくなり、コストも上昇するため好ましくない。
このような易引き裂き性のポリエステルフィルム1として、市販品では、例えば、エンブレットPC(商品名、ユニチカ株式会社製)を好適に使用することができる。
【0022】
前記アルミニウム箔2としては、純度99.4%以上のアルミニウム箔がクラックが発生しにくく、好ましいが、鉄などとの合金箔も使用することができる。アルミニウム箔の厚みは5〜30μmの範囲が好ましく、7〜15μmの範囲が更に好ましい。
アルミニウム箔2の厚みが5μm未満の場合は、製造時にピンホールを生じやすく、また、ラミネート加工などの加工性も低下するため好ましくない。また、30μmを超える厚みは、ガスバリヤー性や遮光性の面でその必要性がなく、コストも上昇するため好ましくない。
【0023】
前記無延伸ポリプロピレン層3は、壁面フィルム50の最内層にシーラント層として積層したものであり、無延伸のポリプロピレン層であれば特に限定はされず、樹脂自体は、プロピレンと、エチレンまたはその他のα−オレフィンとのブロック共重合体のほか、ランダム共重合体、プロピレンのホモポリマー、或いは、これらにオレフィン系エラストマー成分をブレンドした樹脂などいずれも使用することができる。
これらは予めフィルム状に製膜した無延伸フィルムをドライラミネーション法や押し出しラミネーション法(所謂、サンドイッチラミネーション法)で貼り合わせて積層してもよく、Tダイなどで押し出しコートして積層してもよい。
無延伸ポリプロピレン層3(シーラント層)の厚みは10〜150μmの範囲が好ましく、40〜100μmの範囲が更に好ましい。
無延伸ポリプロピレン層3の厚みが10μm未満の場合は、ヒートシール強度が不十分となるほか、自立性袋の底部と胴部のヒートシール部の境界部において、フィルムの重なりの差により発生する段差の部分にシール抜けを生じやすくなるため好ましくない。また、厚みが150μmを超える場合は、ヒートシール強度などは既に十分な強度が得られ、その必要性がなく、むしろ壁面フィルム50の易引き裂き性が損なわれるため好ましくない。
【0024】
前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2と無延伸ポリプロピレン層3の間の接着層4a 、4b は、それぞれ両側の層を積層する積層方法に応じて異なるものが使用される。
例えば、易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2とは、ドライラミネーション法や押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができ、ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4a として、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を使用することができる。また、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4a として、ポリプロピレン系の熱接着性樹脂、例えば、ポリプロピレン系アドマー〔商品名、三井化学(株)製〕などを使用することができる。
【0025】
また、アルミニウム箔2と無延伸ポリプロピレン層3とは、例えば、無延伸ポリプロピレン層3を予め製膜した無延伸ポリプロピレンフィルムとして供給する場合は、前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2の場合と同様に、ドライラミネーション法や押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができ、ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4b として、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などの公知のドライラミネート用接着剤を使用することができ、また、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4b として、ポリプロピレン系の熱接着性樹脂(例えば、前記ポリプロピレン系アドマーなど)を使用することができる。
また、無延伸ポリプロピレン層3を前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして積層する場合は、接着層4b にはイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、アルミニウム箔2側にアンカーコートを施し、その上に前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
【0026】
尚、図には示していないが、壁面フィルム50に文字、絵柄などの印刷を施す場合は、例えば、易引き裂き性のポリエステルフィルム1の内側の面にグラビア印刷などで印刷することができる。
また、壁面フィルム50の剛性や機械的強度を一層高めたい場合は、更に別のフィルムを積層することもできる。その場合、易引き裂き性を損なわないためには、無延伸フィルムよりも二軸延伸フィルムが好ましい。汎用の二軸延伸フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)などがあるが、これらの中で、PETフィルムとOPPフィルムは、積層しても比較的易引き裂き性の低下が少ないため、良好に使用することができる。これに対してONフィルムは、積層すると機械的強度の向上効果は大きいが、易引き裂き性の低下も大きいため好ましくない。
【0027】
図2の(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図であり、(イ)に示した底面フィルム60a は、外側(図において上側)から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム5、接着層4c 、アルミニウム箔2、接着層4d 、二軸延伸ナイロンフィルム6、接着層4e 、無延伸ポリプロピレン層3(シーラント層)を、この順に積層して構成したものである。
【0028】
また、(ロ)に示した底面フィルム60b は、外側(図において上側)から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム5、接着層4f、二軸延伸ナイロンフィルム6、接着層4g、アルミニウム箔2、接着層4h、無延伸ポリプロピレン層3を、この順に積層して構成したものであり、この構成の底面フィルム60b は、前記(イ)に示した底面フィルム60a の構成において、中間層として積層したアルミニウム箔2と二軸延伸ナイロンフィルム6の積層位置のみを入れ替えて構成したものである。
従って、図2の(イ)に示した構成の底面フィルム60a と(ロ)に示した構成の底面フィルム60b とは、略同様な性能と作用効果を有するものである。
【0029】
図2の(イ)、(ロ)に示した底面フィルム60a 、60b の構成において、最外層に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)5は、包装用の袋に通常用いられるPETフィルムであり、特に耐熱性、耐水性と共に剛性や引っ張り強度などの機械的強度などに優れ、その厚みは6〜35μmの範囲が好ましく、10〜25μmの範囲が更に好ましい。
PETフィルム5の厚みが6μm未満の場合は、剛性や機械的強度の付与効果が低下すると同時に中間層に積層したアルミニウム箔2の保護効果も低下するため好ましくない。また、PETフィルム5の厚みが35μmを超える場合は、剛性や機械的強度は既に十分であり、むしろ固くなりすぎて柔軟性に欠けるようになるため好ましくない。
【0030】
中間層に積層する二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)6も、包装用の袋に通常用いられるONフィルムであり、前記PETフィルムと比較すると、やや剛性が低く、7%程度の吸湿性を有する反面、屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度、引っ張り強度などの機械的強度に優れ、特に低温時においてもこれらの物性に優れるため、前記PETフィルムと積層することにより、互いの弱点を補完し合って総合的に優れた性能の積層フィルムを得ることができる。
ONフィルム6の厚みは10〜40μmの範囲が好ましく、13〜30μmの範囲が更に好ましい。
ONフィルム6の厚みが10μm未満の場合は、特に屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度などの向上効果がやや不十分になるため好ましくない。また、ONフィルム6の厚みが40μmを超える場合は、既に十分な屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度などの向上効果が得られており、その必要性がなく、むしろコストアップにより経済性の面で不利となるため好ましくない。
【0031】
中間層に積層するアルミニウム箔2は、この場合も前記壁面フィルム50の場合と同様に、底面フィルム60a 、60b にガスバリヤー性および遮光性を付与するために積層するものであり、壁面フィルム50で説明したアルミニウム箔2と同じものを同様に使用することができる。
また、底面フィルム60a 、60b の最内層に積層する無延伸ポリプロピレン層3に関しても、前記壁面フィルム50の最内層に積層した無延伸ポリプロピレン層3と同じものを、厚みは多少薄くしてよいが略同様に使用するものであり、重複を避けるため説明は省略する。
【0032】
また、底面フィルム60a 、60b において、PETフィルム5、アルミニウム箔2、ONフィルム6、無延伸ポリプロピレン層3の各層の間の接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hに関しては、前記壁面フィルム50の場合と同様に、それぞれ両側の層を積層する積層方法に応じて異なるものが使用される。
例えば、最内層の無延伸ポリプロピレン層3を予めフィルム状に製膜した無延伸ポリプロピレンフィルムとして供給した場合は、積層する総ての層がフィルム状となるため、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができる。
ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hとして、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を使用し、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hとして、前記ポリプロピレン系アドマーなどのポリプロピレン系熱接着性樹脂を使用して貼り合わせることができる。
【0033】
また、無延伸ポリプロピレン層3を押し出しコート法で積層する場合は、底面フィルム60a では、接着層4e にイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、ONフィルム6側にアンカーコートを施し、その上にシーラント層の前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
同様に、底面フィルム60b では、接着層4hにイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、アルミニウム箔2側にアンカーコートを施し、その上に前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
【0034】
次に、以上のような壁面フィルムと底面フィルムを用いて製造する本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋について、図3を参照して説明する。
即ち、図3は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図であり、図3に示した易開封性を有するレトルト用自立性袋100は、底部11が、前後の壁面フィルム50a 、50b の下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して、底面フィルム折り返し部12まで挿入してなるガセット部15を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下部の端縁部には、それぞれ底面フィルム切り欠き部13、13が設けられ、ガセット部15が、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンの底部シール部14でヒートシールして形成され、胴部が、前後の壁面フィルム50a 、50b の両側部の端縁部を側部シール部16、16でヒートシールして形成されている。
【0035】
そして、自立性袋100の上部の開封位置には、開封手段として、壁面フィルム50a 、50b に積層された前記易引き裂き性のポリエステルフィルムとは別に、印刷による切り取り線17と、その両端の側部シール部16、16の領域内にノッチ18、18が設けられて構成されている。
自立性袋100の上部の端縁部は、上部シール部19でヒートシールされるが、この部分は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封される。
【0036】
尚、図3に示した易開封性を有するレトルト用自立性袋100の構成において、前後の壁面フィルム50a 、50b には、前記図1に示したような構成の壁面フィルム50を用い、また、底面フィルムには、前記図2の(イ)、(ロ)に示したような構成の底面フィルム60a 、60b を用いるものである。
また、このような構成の自立性袋100は、通常のスタンディングパウチと同様に、自立性袋100が横並びに連続する形式で製袋することができるので、前後の壁面フィルム50a 、50b に積層する易引き裂き性のポリエステルフィルムの直線カット性を自立性袋100の開封位置の引き裂き方向に利用するためには、MD方向(フィルムの流れ方向)に直線カット性を付与した易引き裂き性のポリエステルフィルムを使用すればよく、例えば、先に例示したエンブレットPCは、MD方向に直線カット性が付与された二軸延伸ポリエステルフィルムであるため、そのまま貼り合わせて開封方向に易引き裂き性を有する壁面フィルム50a 、50b を作製することができ、自立性袋100に易開封性を付与することができる。
【0037】
このような構成を採ることにより、易開封性を有するレトルト用自立性袋100は、優れた自立性およびレトルト殺菌処理が可能な耐熱性を有すると共に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性および遮光性にも優れ、更に、前後の壁面フィルム50a 、50b には易引き裂き性のポリエステルフィルムを積層して直線カット性を付与すると共に、自立性袋100の開封位置には別の開封手段として印刷による切り取り線17とその両端にノッチ18、18を設けているので、ノッチ18、18を始点として切り取り線17に沿って、途中で曲がることなく一層容易に引き裂いて自立性袋100を開封することができる。また、底面フィルムには、図2の(イ)、(ロ)に示したように易引き裂き性のポリエステルフィルムは積層されておらず、耐熱性、耐水性、機械的強度などに優れたPETフィルムと共に、特に突き刺し強度、屈曲強度、衝撃強度などに優れたONフィルムが積層されているので、ピンホールの発生も確実に防止され、総合的に性能に優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋とすることができる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
図3に示した構成の易開封性を有するレトルト用自立性袋100を、以下の構成の壁面フィルムと底面フィルムを用いて、以下の寸法で作製して実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋とした。
(前後の壁面フィルムの構成)
(外側)易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤(以下、DLと記載する)/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと記載する)(厚み70μm)
(底面フィルムの構成)
(外側)PETフィルム(厚み12μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/ONフィルム(厚み15μm)/DL/CPPフィルム(厚み55μm)
上記の構成は、図2の(イ)に示した底面フィルムの構成に相当するものである。
(自立性袋の寸法)
自立性袋の幅(全幅):130mm
自立性袋の長さ(全長):190mm
底面フィルム折り込み長さ(ガセット部15の長さ):30mm
【0039】
〔実施例2〕
前記実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋の構成において、底面フィルムのみを以下の構成の底面フィルムに変更したほかは、総て実施例1と同様に加工して実施例2の易開封性を有するレトルト用自立性袋を作製した。
(底面フィルムの構成)
(外側)PETフィルム(厚み12μm)/DL/ONフィルム(厚み15μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/CPPフィルム(厚み55μm)
上記の構成は、図2の(ロ)に示した底面フィルムの構成に相当するものである。
【0040】
〔比較例1〕
前記実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋の構成において、底面フィルムに、壁面フィルムと同じ構成の積層フィルムを用いたほかは、総て実施例1と同様に加工して比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋を作製した。
(底面フィルムの構成)
(外側)易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/CPPフィルム(厚み70μm)
【0041】
(試験およびその結果)
以上のように作製した実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋について、特に、その耐ピンホール性と易開封性を評価するため、以下のように輸送試験とピンホール検査、および易開封性の試験を行った。
(1)輸送試験とピンホール検査
実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋、各30個を試料として、それぞれに内容物として、レトルト用カレー(具入り)を充填し、上部シール部19を脱気シールして密封した後、蒸気式のレトルト釜を用いて、温度120℃、圧力1.5×105 Pa、時間30分間の条件で加圧加熱殺菌し、水冷により冷却した後、レトルト釜から取り出し、各20個ずつを段ボール箱に詰めた後、トラックに積んで走行距離200kmの輸送試験を行った。
次いで、各試料の自立性袋を段ボール箱から取り出して開封し、内容物を取り出し、内部を洗浄した後、それぞれの自立性袋にメチレンブルーを溶解したエチルアルコール液を充填し、24時間放置した後、メチレンブルー着色液の外部への滲みだしの有無を目視により調べてピンホールの検査とした。
【0042】
(2)易開封性の試験
前記レトルト殺菌処理を行った実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋、各30個のうち、前記輸送試験に用いた各20個を除く、残りの各10個ずつを試料として、それぞれの自立性袋の上部シール部19を、ノッチ18を始点として切り取り線17の方向に引き裂いて開封し、引き裂き長さ10cmにおける最大曲がり量(切り取り線17からのズレ長さ)を測定して、直線カット性を調べた。
【0043】
以上の(1)輸送試験とピンホール検査、および(2)易開封性の試験の結果、(1)輸送試験とピンホール検査では、実施例1、2の試料は、いずれも着色液の外部への滲みだしが認められず、ピンホールの発生はなく、耐ピンホール性は良好であった。これに対して比較例1の試料は、20個のうち、4個の試料に着色液の外部への滲みだしが一か所以上認められ、耐ピンホール性は不良であった。
また、(2)易開封性の試験では、実施例1、2および比較例1の各試料とも、前後の壁面フィルム50a 、50b には、易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)とアルミニウム箔(厚み7μm)と無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み70μm)とをドライラミネーション法で貼り合わせた構成の積層フィルム(図1に示した構成の壁面フィルム50に相当する)が用いられており、いずれもノッチ18を始点として切り取り線17の方向に引き裂いて開封した時の引き裂き長さ10cmにおける最大曲がり量(切り取り線17からのズレ長さ)は、5mm以下であり、直線カット性に優れていた。また、引き裂きの開始も、ノッチ18が設けられているので容易に行うことができ、全体として優れた易開封性を有していた。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、レトルト用自立性袋の分野において、優れた自立性およびレトルト殺菌処理が可能な耐熱性、耐水性などを有すると同時に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性、遮光性にも優れ、更に、レトルト用自立性袋に発生しやすかった振動、落下などの衝撃によるピンホールの発生を防止しつつ、易開封性にも優れるという総合的に性能に優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋を生産性および経済性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる壁面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
【図2】(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
【図3】本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 易引き裂き性のポリエステルフィルム
2 アルミニウム箔
3 無延伸ポリプロピレン層
4a 、4b 、4c 、4d 、4e 、4f、4g、4h 接着層
5 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
6 二軸延伸ナイロンフィルム
11 底部
12 底面フィルム折り返し部
13 底面フィルム切り欠き部
14 底部シール部
15 ガセット部
16 側部シール部
17 切り取り線
18 ノッチ
19 上部シール部
50、50a 、50b 壁面フィルム
60a 、60b 底面フィルム
100 易開封性を有するレトルト用自立性袋
【発明の属する技術分野】
本発明は、易開封性を有するレトルト用自立性袋に関し、更に詳しくは、レトルト殺菌処理に耐える耐熱性を有すると同時に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性、遮光性に優れ、また、自立性袋で発生しやすいピンホールの問題もなく、更に内容物を取り出す際の開封性にも優れるという、総合的に優れた性能を備えた易開封性を有するレトルト用自立性袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レトルト用自立性袋を含めたレトルト用パウチでは、レトルト殺菌処理に耐える耐熱性のほか、落下強度などの耐衝撃強度、そして、内容物の保存性の面からガスバリヤー性および遮光性が必要とされ、袋を形成する材料には、例えば、基材フィルムにガスバリヤー層、遮光層とシーラント層とを積層したような構成の積層体が用いられ、その基材フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられ、ガスバリヤー層兼遮光層としては、アルミニウムなどの金属箔が用いられ、シーラント層としては、無延伸ポリプロピレン層、無延伸高密度ポリエチレン層などが用いられてきた。
【0003】
前記ガスバリヤー層兼遮光層としてのアルミニウムなどの金属箔は、近年、内容物を袋のまま加熱する際に、電子レンジによる加熱ができないこと、また、使用後の袋を焼却した際、残渣を生じることなどから、他の材料への代替えが研究され、遮光性は得られないが、エチレン・ビニルアルコール共重合体層やMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)の二軸延伸フィルムなどのガスバリヤー性樹脂層、或いは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの耐熱性フィルムにシリカやアルミナなどの無機酸化物の蒸着層を設けたガスバリヤー性蒸着フィルムを前記積層体の中間層などに積層してガスバリヤー性を付与することが行われている。
【0004】
また、レトルト用自立性袋では、特に前記耐熱性のほか、落下強度などの耐衝撃強度、ピンホールの発生防止、そして、内容物の保存性の面からガスバリヤー性、遮光性などが基本性能として重視されるため、袋の使い勝手に関する易開封性などについては、その開発が未だ不十分な状態にある。
「レトルト用自立性袋」に関する先行技術文献は、意外に少なく、例えば、アルミニウム箔層を必須要素とすることなく、ガスバリヤー性、引き裂き性、自立性および遮光性に優れたレトルト用スタンディングパウチを提供するものとして、「高水素結合性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるガスバリア層、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた材料からなる二軸延伸フィルムからなる一層以上の層(ただし、該二軸延伸フィルムからなる各層の厚みの合計は20μm以上である)、および前記二軸延伸フィルムからなる層の合計厚みの5倍以下で20μm以上の厚みのヒートシール性樹脂層を有し、波長300nmの光の透過率が5%以下である積層体からなることを特徴とするレトルト用スタンディングパウチ。」がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、スタンディングパウチを含むレトルト用パウチに関して、容器内の酸素を除去し、内容物の保存性を向上するとともに、シール強度と耐衝撃強度及びレトルト性を向上させたレトルト用パウチを提供するものとして、「少なくとも1層の酸素バリヤ層とクッション層をドライラミネーションして形成した外面層の片面に、変性ポリオレイン樹脂を2〜40%含むオレフィン系樹脂に酸素吸収剤を配合した酸素吸収層、ヒートシール性層を共押出しまたはサンドイッチラミネーションして形成した内面層を配設した積層フィルムで形成した、レトルト用パウチ。」がある(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−294279号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開2003−118778号公報(第2〜5頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された発明のレトルト用スタンディングパウチでは、アルミニウム箔を使用することなく、必要なガスバリヤー性、遮光性、自立性などの性能を得られるが、易開封性につながる引裂き性に関しては、前記積層体の基材フィルムとして、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた材料からなる二軸延伸フィルムからなる一層以上の層(ただし、該二軸延伸フィルムからなる各層の厚みの合計は20μm以上である)と記載され、また、これに積層されるヒートシール性樹脂層の厚みは、前記二軸延伸フィルムからなる層の合計厚みの5倍以下で20μm以上の厚みと記載され、二軸延伸フィルムからなる一層以上の層とヒートシール性樹脂層の厚みバランスを採る方法で引裂き性が極端に損なわれることを防止したものであり、二軸延伸フィルムからなる一層以上の層に用いる二軸延伸フィルムに関しても、通常の二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルムが用いられているため、引裂き性は有していても、その方向性、即ち、直線カット性には欠けるものであり、袋の易開封性としては不十分となる問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明のレトルト用パウチは、前記のように、容器内の酸素を除去するとともに、シール強度と耐衝撃強度及びレトルト性を向上させた、レトルト用パウチを提供するものであり、そのためにレトルト用パウチを、少なくとも1層の酸素バリヤ層とクッション層をドライラミネーションして形成した外面層の片面に、変性ポリオレイン樹脂を2〜40%含むオレフィン系樹脂に酸素吸収剤を配合した酸素吸収層、ヒートシール性層を共押出しまたはサンドイッチラミネーションして形成した内面層を配設した積層フィルムで形成したものである。
このため、酸素吸収層、酸素バリヤ層、クッション層、ヒートシール性層に関する説明は記載されているが、積層フィルムの引き裂き性、或いは、パウチの易開封性についての記載は一切なく、また、積層フィルムの構成中に、易引き裂き性フィルムや、直線カット性フィルムを使用した例の記載もない。
従って、記載された積層フィルムの構成、或いは、実施例に示された積層フィルムの構成から推定しても、特に引き裂きの方向性などに優れている要素はなく、前記特許文献1に記載されたレトルト用スタンディングパウチと同様に、直線カット性などの易開封性に関しては不十分であり、問題があった。
【0009】
スタンディングパウチ、即ち、自立性袋は、通常、前後の壁面フィルムと底面フィルムとで形成され、その壁面フィルムと底面フィルムには同じ層構成の積層フィルムを用いて製袋するのが一般的であり、このことはレトルト用自立性袋においても同様である。
また、レトルト用自立性袋では、元来内容物の充填後、輸送などの際に、底面フィルムの折り込み部近傍にピンホールを発生しやすい問題があった。
レトルト用自立性袋に易開封性を付与するためには、その積層フィルム中に易引き裂き性、特に直線カット性に優れたフィルムを積層する方法が比較的簡単である。
【0010】
このような易引き裂き性フィルムとしては、一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどが古くから知られている。只、このような一軸延伸ポリプロピレンフィルムまたは一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムは、引き裂き方向の安定化には有効であるが、ポリプロピレンまたは高密度ポリエチレンの延伸フィルムとしての一般的な性能には劣るため、積層フィルムの基材フィルムには、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載することがある)や二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載することがある)などの別の基材フィルムが必要となり、コスト面で割高になる問題があった。
この点、近年、一般の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ナイロンフィルムの性能を保持しながら、MD(流れ方向)に直線カット性を付与した易引き裂き性ポリエステルフィルム(以下、易引き裂き性PETフィルムと記載することがある)および易引き裂き性ナイロンフィルム(以下、易引き裂き性ONフィルムと記載することがある)が開発され使用されるようになっている。
このような易引き裂き性PETフィルムや易引き裂き性ONフィルムを使用した場合は、直線カット性の付与と同時にそれぞれの基材フィルムとしての性能を兼ね備えることができるので、基材フィルムを別に使用する必要がなくなり、コストメリットが得られるようになっている。
只、易引き裂き性ONフィルムは、性能面では優れているが、未だそれ自体のコストが高いため、経済性の面で不利となり使用が難しい。
【0011】
例えば、前記易引き裂き性PETフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネーション法などで積層することにより、レトルト用自立性袋に用いる積層フィルムを作製することはできる。
しかし、このような構成の積層フィルムを前後の壁面フィルムと底面フィルムに用いて、レトルト用自立性袋を作製した場合、壁面フィルムの開封位置での直線カット性には優れた性能を得られるが、同じ構成の積層フィルムを用いた底面フィルムの部分ではピンホールの発生頻度が極めて高くなり、実用に供しえない問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、レトルト殺菌処理が可能な耐熱性を有すると共に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性および遮光性に優れ、且つ、易開封性にも優れると同時にピンホールの発生も防止できるという総合的に優れた性能を備えた易開封性を有するレトルト用自立性袋を経済性よく提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、前後の壁面フィルムと底面フィルムとで形成される自立性袋において、袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側部の端縁部に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールして形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該前後の壁面フィルムが、少なくとも易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、該底面フィルムが、少なくとも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、更に、該自立性袋の上部の開封位置には、前記易引き裂き性のポリエステルフィルムとは別に開封手段が設けられていることを特徴とする易開封性を有するレトルト用自立性袋からなる。
【0014】
本発明において、前記自立性袋の上部の開封位置に設ける開封手段としては、通常のパウチでも多用されるノッチのほか、機械的方法によってパウチの端部に形成される細長くて小さな傷痕群などを設けることができる。また、前記ノッチまたは細長くて小さな傷痕群と組み合わせて、印刷などによる切り取り線などの開封指示線を設けてもよい。
前記ノッチは、一字形やV字形のノッチが多く採用されているが、その形状に制限はなく、引き裂き方向に向かって尖った部分を有する形状であれば何でもよい。
【0015】
また、前記袋の底部のガセット部をヒートシールする内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンは、代表的な好ましい形状として、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となる船底形や、一定の幅と長さの底部から両側が外側に傾斜直線状に立ち上がる形状の船底形のシールパターンが挙げられるが、これらに限定されず、例えば、内側が鈍角のV字形、或いは横長に開いたU字形となるシールパターンなど、実質的に内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンであれば何でもよい。
【0016】
本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋は、前記のように構成されているので、以下に列記するような作用効果を得ることができる。
(1)袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側部の端縁部に切り欠き部が設けられると共に、そのガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールされて形成されているので、内容物が充填された袋は、底部が前後に大きく広がり、底部の外周にはヒートシール部による脚部が環状に形成され、優れた自立性が付与される。従って、取扱いが容易になるほか、外観や陳列効果などにも優れたものとなる。
(2)本発明のレトルト用自立性袋は、前後の壁面フィルムとして、易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とをこの順に積層した積層体を用い、また、底面フィルムには、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔と二軸延伸ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレン層とをこの順に積層した積層体を用いて製造することができるので、レトルト殺菌処理が可能な耐熱性を付与できると同時に、それぞれの積層体に積層されたアルミニウム箔により、優れたガスバリヤー性と遮光性が付与される。そして、壁面フィルムに積層された易引き裂き性のポリエステルフィルムにより、直線カット性に優れた易開封性が付与され、また、底面フィルムに積層された二軸延伸ナイロンフィルムと二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより、優れた耐ピンホール性のほか、衝撃強度などの機械的強度が付与される。
(3)また、前記易開封性に関しては、前記易引き裂き性のポリエステルフィルムによる直線カット性に加えて、自立性袋の上部の開封位置に開封手段として、前記ノッチまたは細長くて小さな傷痕群、および印刷による切り取り線などを設けることができるので、正しい位置で、且つ引き裂きの開始時も容易に引き裂くことができ、優れた易開封性が付与される。
【0017】
請求項2に記載した発明は、前記ガセット部をヒートシールするシールパターンが、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンであることを特徴とする請求項1記載の易開封性を有するレトルト用自立性袋からなる。
【0018】
前記ガセット部をヒートシールするシールパターンは、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンであれば特に限定はされないが、自立性袋に充填される内容物が液状物の場合は、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンが、袋の底部の角部を少なくすることができ、落下強度などの衝撃強度に一層優れる点で特に好ましい。
【0019】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、内容物が充填された自立性袋は、底部が前後に大きく広がり、底面の外周にヒートシール部による環状の脚部が形成されると同時に、底面が滑らかな曲面状に形成されるので、自立性に優れると共に、落下強度など衝撃強度にも一層優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を用いて本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の実施の形態について説明する。但し、本発明は、その要旨を超えないかぎり、これらの図面に限定されるものではない。
図1は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる壁面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
図2の(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
そして、図3は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図である。
【0021】
図1に示した壁面フィルム50は、外側(図において上側)から、易引き裂き性のポリエステルフィルム1、接着層4a 、アルミニウム箔2、接着層4b 、無延伸ポリプロピレン層3を、この順に積層して構成したものである。
前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1は、壁面フィルム50に直線カット性を付与すると共に、壁面フィルム50の基材フィルムとしても機能するものである。
このような易引き裂き性のポリエステルフィルム1は、二軸延伸ポリエステルフィルムとして形成され、その厚みは5〜50μmの範囲が好ましく、10〜30μmの範囲が更に好ましい。
前記厚みが5μm未満の場合は、壁面フィルム50に対する直線カット性の付与効果が低下すると共に、基材フィルムとしての強度も不十分となるため好ましくない。また、50μmを超える厚みは、強度面でその必要性がなく、製造自体が難しくなり、コストも上昇するため好ましくない。
このような易引き裂き性のポリエステルフィルム1として、市販品では、例えば、エンブレットPC(商品名、ユニチカ株式会社製)を好適に使用することができる。
【0022】
前記アルミニウム箔2としては、純度99.4%以上のアルミニウム箔がクラックが発生しにくく、好ましいが、鉄などとの合金箔も使用することができる。アルミニウム箔の厚みは5〜30μmの範囲が好ましく、7〜15μmの範囲が更に好ましい。
アルミニウム箔2の厚みが5μm未満の場合は、製造時にピンホールを生じやすく、また、ラミネート加工などの加工性も低下するため好ましくない。また、30μmを超える厚みは、ガスバリヤー性や遮光性の面でその必要性がなく、コストも上昇するため好ましくない。
【0023】
前記無延伸ポリプロピレン層3は、壁面フィルム50の最内層にシーラント層として積層したものであり、無延伸のポリプロピレン層であれば特に限定はされず、樹脂自体は、プロピレンと、エチレンまたはその他のα−オレフィンとのブロック共重合体のほか、ランダム共重合体、プロピレンのホモポリマー、或いは、これらにオレフィン系エラストマー成分をブレンドした樹脂などいずれも使用することができる。
これらは予めフィルム状に製膜した無延伸フィルムをドライラミネーション法や押し出しラミネーション法(所謂、サンドイッチラミネーション法)で貼り合わせて積層してもよく、Tダイなどで押し出しコートして積層してもよい。
無延伸ポリプロピレン層3(シーラント層)の厚みは10〜150μmの範囲が好ましく、40〜100μmの範囲が更に好ましい。
無延伸ポリプロピレン層3の厚みが10μm未満の場合は、ヒートシール強度が不十分となるほか、自立性袋の底部と胴部のヒートシール部の境界部において、フィルムの重なりの差により発生する段差の部分にシール抜けを生じやすくなるため好ましくない。また、厚みが150μmを超える場合は、ヒートシール強度などは既に十分な強度が得られ、その必要性がなく、むしろ壁面フィルム50の易引き裂き性が損なわれるため好ましくない。
【0024】
前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2と無延伸ポリプロピレン層3の間の接着層4a 、4b は、それぞれ両側の層を積層する積層方法に応じて異なるものが使用される。
例えば、易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2とは、ドライラミネーション法や押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができ、ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4a として、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を使用することができる。また、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4a として、ポリプロピレン系の熱接着性樹脂、例えば、ポリプロピレン系アドマー〔商品名、三井化学(株)製〕などを使用することができる。
【0025】
また、アルミニウム箔2と無延伸ポリプロピレン層3とは、例えば、無延伸ポリプロピレン層3を予め製膜した無延伸ポリプロピレンフィルムとして供給する場合は、前記易引き裂き性のポリエステルフィルム1とアルミニウム箔2の場合と同様に、ドライラミネーション法や押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができ、ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4b として、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などの公知のドライラミネート用接着剤を使用することができ、また、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4b として、ポリプロピレン系の熱接着性樹脂(例えば、前記ポリプロピレン系アドマーなど)を使用することができる。
また、無延伸ポリプロピレン層3を前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして積層する場合は、接着層4b にはイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、アルミニウム箔2側にアンカーコートを施し、その上に前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
【0026】
尚、図には示していないが、壁面フィルム50に文字、絵柄などの印刷を施す場合は、例えば、易引き裂き性のポリエステルフィルム1の内側の面にグラビア印刷などで印刷することができる。
また、壁面フィルム50の剛性や機械的強度を一層高めたい場合は、更に別のフィルムを積層することもできる。その場合、易引き裂き性を損なわないためには、無延伸フィルムよりも二軸延伸フィルムが好ましい。汎用の二軸延伸フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)などがあるが、これらの中で、PETフィルムとOPPフィルムは、積層しても比較的易引き裂き性の低下が少ないため、良好に使用することができる。これに対してONフィルムは、積層すると機械的強度の向上効果は大きいが、易引き裂き性の低下も大きいため好ましくない。
【0027】
図2の(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図であり、(イ)に示した底面フィルム60a は、外側(図において上側)から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム5、接着層4c 、アルミニウム箔2、接着層4d 、二軸延伸ナイロンフィルム6、接着層4e 、無延伸ポリプロピレン層3(シーラント層)を、この順に積層して構成したものである。
【0028】
また、(ロ)に示した底面フィルム60b は、外側(図において上側)から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム5、接着層4f、二軸延伸ナイロンフィルム6、接着層4g、アルミニウム箔2、接着層4h、無延伸ポリプロピレン層3を、この順に積層して構成したものであり、この構成の底面フィルム60b は、前記(イ)に示した底面フィルム60a の構成において、中間層として積層したアルミニウム箔2と二軸延伸ナイロンフィルム6の積層位置のみを入れ替えて構成したものである。
従って、図2の(イ)に示した構成の底面フィルム60a と(ロ)に示した構成の底面フィルム60b とは、略同様な性能と作用効果を有するものである。
【0029】
図2の(イ)、(ロ)に示した底面フィルム60a 、60b の構成において、最外層に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)5は、包装用の袋に通常用いられるPETフィルムであり、特に耐熱性、耐水性と共に剛性や引っ張り強度などの機械的強度などに優れ、その厚みは6〜35μmの範囲が好ましく、10〜25μmの範囲が更に好ましい。
PETフィルム5の厚みが6μm未満の場合は、剛性や機械的強度の付与効果が低下すると同時に中間層に積層したアルミニウム箔2の保護効果も低下するため好ましくない。また、PETフィルム5の厚みが35μmを超える場合は、剛性や機械的強度は既に十分であり、むしろ固くなりすぎて柔軟性に欠けるようになるため好ましくない。
【0030】
中間層に積層する二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)6も、包装用の袋に通常用いられるONフィルムであり、前記PETフィルムと比較すると、やや剛性が低く、7%程度の吸湿性を有する反面、屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度、引っ張り強度などの機械的強度に優れ、特に低温時においてもこれらの物性に優れるため、前記PETフィルムと積層することにより、互いの弱点を補完し合って総合的に優れた性能の積層フィルムを得ることができる。
ONフィルム6の厚みは10〜40μmの範囲が好ましく、13〜30μmの範囲が更に好ましい。
ONフィルム6の厚みが10μm未満の場合は、特に屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度などの向上効果がやや不十分になるため好ましくない。また、ONフィルム6の厚みが40μmを超える場合は、既に十分な屈曲強度や突き刺し強度、衝撃強度などの向上効果が得られており、その必要性がなく、むしろコストアップにより経済性の面で不利となるため好ましくない。
【0031】
中間層に積層するアルミニウム箔2は、この場合も前記壁面フィルム50の場合と同様に、底面フィルム60a 、60b にガスバリヤー性および遮光性を付与するために積層するものであり、壁面フィルム50で説明したアルミニウム箔2と同じものを同様に使用することができる。
また、底面フィルム60a 、60b の最内層に積層する無延伸ポリプロピレン層3に関しても、前記壁面フィルム50の最内層に積層した無延伸ポリプロピレン層3と同じものを、厚みは多少薄くしてよいが略同様に使用するものであり、重複を避けるため説明は省略する。
【0032】
また、底面フィルム60a 、60b において、PETフィルム5、アルミニウム箔2、ONフィルム6、無延伸ポリプロピレン層3の各層の間の接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hに関しては、前記壁面フィルム50の場合と同様に、それぞれ両側の層を積層する積層方法に応じて異なるものが使用される。
例えば、最内層の無延伸ポリプロピレン層3を予めフィルム状に製膜した無延伸ポリプロピレンフィルムとして供給した場合は、積層する総ての層がフィルム状となるため、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法などで貼り合わせることができる。
ドライラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hとして、二液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を使用し、押し出しラミネーション法で貼り合わせる場合は、接着層4c 、4d 、4e 、4f、4g、4hとして、前記ポリプロピレン系アドマーなどのポリプロピレン系熱接着性樹脂を使用して貼り合わせることができる。
【0033】
また、無延伸ポリプロピレン層3を押し出しコート法で積層する場合は、底面フィルム60a では、接着層4e にイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、ONフィルム6側にアンカーコートを施し、その上にシーラント層の前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
同様に、底面フィルム60b では、接着層4hにイソシアネート系などのアンカーコート剤を用いて、アルミニウム箔2側にアンカーコートを施し、その上に前記ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートして無延伸ポリプロピレン層3を積層することができる。
【0034】
次に、以上のような壁面フィルムと底面フィルムを用いて製造する本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋について、図3を参照して説明する。
即ち、図3は、本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図であり、図3に示した易開封性を有するレトルト用自立性袋100は、底部11が、前後の壁面フィルム50a 、50b の下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して、底面フィルム折り返し部12まで挿入してなるガセット部15を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下部の端縁部には、それぞれ底面フィルム切り欠き部13、13が設けられ、ガセット部15が、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンの底部シール部14でヒートシールして形成され、胴部が、前後の壁面フィルム50a 、50b の両側部の端縁部を側部シール部16、16でヒートシールして形成されている。
【0035】
そして、自立性袋100の上部の開封位置には、開封手段として、壁面フィルム50a 、50b に積層された前記易引き裂き性のポリエステルフィルムとは別に、印刷による切り取り線17と、その両端の側部シール部16、16の領域内にノッチ18、18が設けられて構成されている。
自立性袋100の上部の端縁部は、上部シール部19でヒートシールされるが、この部分は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールして密封される。
【0036】
尚、図3に示した易開封性を有するレトルト用自立性袋100の構成において、前後の壁面フィルム50a 、50b には、前記図1に示したような構成の壁面フィルム50を用い、また、底面フィルムには、前記図2の(イ)、(ロ)に示したような構成の底面フィルム60a 、60b を用いるものである。
また、このような構成の自立性袋100は、通常のスタンディングパウチと同様に、自立性袋100が横並びに連続する形式で製袋することができるので、前後の壁面フィルム50a 、50b に積層する易引き裂き性のポリエステルフィルムの直線カット性を自立性袋100の開封位置の引き裂き方向に利用するためには、MD方向(フィルムの流れ方向)に直線カット性を付与した易引き裂き性のポリエステルフィルムを使用すればよく、例えば、先に例示したエンブレットPCは、MD方向に直線カット性が付与された二軸延伸ポリエステルフィルムであるため、そのまま貼り合わせて開封方向に易引き裂き性を有する壁面フィルム50a 、50b を作製することができ、自立性袋100に易開封性を付与することができる。
【0037】
このような構成を採ることにより、易開封性を有するレトルト用自立性袋100は、優れた自立性およびレトルト殺菌処理が可能な耐熱性を有すると共に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性および遮光性にも優れ、更に、前後の壁面フィルム50a 、50b には易引き裂き性のポリエステルフィルムを積層して直線カット性を付与すると共に、自立性袋100の開封位置には別の開封手段として印刷による切り取り線17とその両端にノッチ18、18を設けているので、ノッチ18、18を始点として切り取り線17に沿って、途中で曲がることなく一層容易に引き裂いて自立性袋100を開封することができる。また、底面フィルムには、図2の(イ)、(ロ)に示したように易引き裂き性のポリエステルフィルムは積層されておらず、耐熱性、耐水性、機械的強度などに優れたPETフィルムと共に、特に突き刺し強度、屈曲強度、衝撃強度などに優れたONフィルムが積層されているので、ピンホールの発生も確実に防止され、総合的に性能に優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋とすることができる。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。
〔実施例1〕
図3に示した構成の易開封性を有するレトルト用自立性袋100を、以下の構成の壁面フィルムと底面フィルムを用いて、以下の寸法で作製して実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋とした。
(前後の壁面フィルムの構成)
(外側)易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤(以下、DLと記載する)/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと記載する)(厚み70μm)
(底面フィルムの構成)
(外側)PETフィルム(厚み12μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/ONフィルム(厚み15μm)/DL/CPPフィルム(厚み55μm)
上記の構成は、図2の(イ)に示した底面フィルムの構成に相当するものである。
(自立性袋の寸法)
自立性袋の幅(全幅):130mm
自立性袋の長さ(全長):190mm
底面フィルム折り込み長さ(ガセット部15の長さ):30mm
【0039】
〔実施例2〕
前記実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋の構成において、底面フィルムのみを以下の構成の底面フィルムに変更したほかは、総て実施例1と同様に加工して実施例2の易開封性を有するレトルト用自立性袋を作製した。
(底面フィルムの構成)
(外側)PETフィルム(厚み12μm)/DL/ONフィルム(厚み15μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/CPPフィルム(厚み55μm)
上記の構成は、図2の(ロ)に示した底面フィルムの構成に相当するものである。
【0040】
〔比較例1〕
前記実施例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋の構成において、底面フィルムに、壁面フィルムと同じ構成の積層フィルムを用いたほかは、総て実施例1と同様に加工して比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋を作製した。
(底面フィルムの構成)
(外側)易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)/DL/アルミニウム箔(厚み7μm)/DL/CPPフィルム(厚み70μm)
【0041】
(試験およびその結果)
以上のように作製した実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋について、特に、その耐ピンホール性と易開封性を評価するため、以下のように輸送試験とピンホール検査、および易開封性の試験を行った。
(1)輸送試験とピンホール検査
実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋、各30個を試料として、それぞれに内容物として、レトルト用カレー(具入り)を充填し、上部シール部19を脱気シールして密封した後、蒸気式のレトルト釜を用いて、温度120℃、圧力1.5×105 Pa、時間30分間の条件で加圧加熱殺菌し、水冷により冷却した後、レトルト釜から取り出し、各20個ずつを段ボール箱に詰めた後、トラックに積んで走行距離200kmの輸送試験を行った。
次いで、各試料の自立性袋を段ボール箱から取り出して開封し、内容物を取り出し、内部を洗浄した後、それぞれの自立性袋にメチレンブルーを溶解したエチルアルコール液を充填し、24時間放置した後、メチレンブルー着色液の外部への滲みだしの有無を目視により調べてピンホールの検査とした。
【0042】
(2)易開封性の試験
前記レトルト殺菌処理を行った実施例1、2および比較例1の易開封性を有するレトルト用自立性袋、各30個のうち、前記輸送試験に用いた各20個を除く、残りの各10個ずつを試料として、それぞれの自立性袋の上部シール部19を、ノッチ18を始点として切り取り線17の方向に引き裂いて開封し、引き裂き長さ10cmにおける最大曲がり量(切り取り線17からのズレ長さ)を測定して、直線カット性を調べた。
【0043】
以上の(1)輸送試験とピンホール検査、および(2)易開封性の試験の結果、(1)輸送試験とピンホール検査では、実施例1、2の試料は、いずれも着色液の外部への滲みだしが認められず、ピンホールの発生はなく、耐ピンホール性は良好であった。これに対して比較例1の試料は、20個のうち、4個の試料に着色液の外部への滲みだしが一か所以上認められ、耐ピンホール性は不良であった。
また、(2)易開封性の試験では、実施例1、2および比較例1の各試料とも、前後の壁面フィルム50a 、50b には、易引き裂き性のポリエステルフィルム(厚み12μm)とアルミニウム箔(厚み7μm)と無延伸ポリプロピレンフィルム(厚み70μm)とをドライラミネーション法で貼り合わせた構成の積層フィルム(図1に示した構成の壁面フィルム50に相当する)が用いられており、いずれもノッチ18を始点として切り取り線17の方向に引き裂いて開封した時の引き裂き長さ10cmにおける最大曲がり量(切り取り線17からのズレ長さ)は、5mm以下であり、直線カット性に優れていた。また、引き裂きの開始も、ノッチ18が設けられているので容易に行うことができ、全体として優れた易開封性を有していた。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、レトルト用自立性袋の分野において、優れた自立性およびレトルト殺菌処理が可能な耐熱性、耐水性などを有すると同時に、内容物の保存性に必要なガスバリヤー性、遮光性にも優れ、更に、レトルト用自立性袋に発生しやすかった振動、落下などの衝撃によるピンホールの発生を防止しつつ、易開封性にも優れるという総合的に性能に優れた易開封性を有するレトルト用自立性袋を生産性および経済性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる壁面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
【図2】(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の製造に用いる底面フィルムの一例の構成を示す模式断面図である。
【図3】本発明の易開封性を有するレトルト用自立性袋の一実施例の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 易引き裂き性のポリエステルフィルム
2 アルミニウム箔
3 無延伸ポリプロピレン層
4a 、4b 、4c 、4d 、4e 、4f、4g、4h 接着層
5 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
6 二軸延伸ナイロンフィルム
11 底部
12 底面フィルム折り返し部
13 底面フィルム切り欠き部
14 底部シール部
15 ガセット部
16 側部シール部
17 切り取り線
18 ノッチ
19 上部シール部
50、50a 、50b 壁面フィルム
60a 、60b 底面フィルム
100 易開封性を有するレトルト用自立性袋
Claims (2)
- 前後の壁面フィルムと底面フィルムとで形成される自立性袋において、袋の底部が、前後の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側部の端縁部に切り欠き部が設けられると共に、該ガセット部が、内側が両側から中央部にかけて凹状となるシールパターンでヒートシールして形成され、胴部が、前後の壁面フィルムの両側部の端縁部をヒートシールして形成され、該前後の壁面フィルムが、少なくとも易引き裂き性のポリエステルフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、該底面フィルムが、少なくとも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと二軸延伸ナイロンフィルムとアルミニウム箔と無延伸ポリプロピレン層とを含む積層体で形成され、更に、該自立性袋の上部の開封位置には、前記易引き裂き性のポリエステルフィルムとは別に開封手段が設けられていることを特徴とする易開封性を有するレトルト用自立性袋。
- 前記ガセット部をヒートシールするシールパターンが、内側が両側から中央部にかけて円弧状に凹状となるシールパターンであることを特徴とする請求項1記載の易開封性を有するレトルト用自立性袋。
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