上述したような包装体を、開封後にそのまま容器として使用できるようにすれば利便性が高くなる。特許文献2の包装体は、開封後に舟形の容器(皿)として使用可能であるが、四面体の第1〜第4封止部が熱シール線(溶断シール部)で形成されるため、落下時に破袋してしまうおそれがあった。
また、電子レンジの普及に伴い、電子レンジで加熱するだけで簡単に喫食できる食品が広く販売されている。そして、食品を包装した状態で電子レンジによる加熱が可能であり、加熱後は容易に開封可能である包装体が要望されている。しかし、特許文献2の包装体は、レタスやほうれん草等の野菜の包装を目的としており、耐熱フィルムで形成されていない。そのため、電子レンジで加熱するとフィルムが溶融して変形してしまうおそれがあった。また、熱シール線は強度が低いため、加熱時の内圧の上昇により第1〜第4封止部から破裂してしまうおそれもあった。
また、図10に示したような特許文献1の包装体100を、直交した底シール部5または天シール部6の何れか一方から開封して特許文献2のように舟形の容器(皿)として使用した場合、背シール部7が端部に連続する天シール部6の開封用ノッチ8から側面4a、4bを引き裂いて開封すると、図11のように背シール部7が舟形の包装体100の底部に位置することとなり安定性が悪くなる。また、背シール部7が中央部に連続する底シール部5の略中央部に開封用ノッチ8を形成し、底シール部5の略中央部から底面3、側面4cを引き裂いて開封すると、図12のように背シール部7が舟形の一方(図12では手前側)の縁部に位置することとなり、背シール部7の重みにより舟形の包装体100が倒れやすくなる。従って、容器とした場合の使用性において十分ではなかった。
本発明は上記問題点に鑑み、開封後に内容物の容器として使用でき、且つ容器とした場合の安定性も確保できる簡易な構成の包装体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、外層と、熱接着性樹脂からなる内層と、を少なくとも有する積層フィルムにより形成される包装体であって、内容物が収納される四面体形状の収納部と、該収納部の一辺に沿って形成される第1シール部と、該第1シール部が形成される辺とねじれの関係にある一辺に沿って形成される第2シール部と、前記第1シール部および前記第2シール部の端部を連結する1本の稜線を跨ぐように、前記第1シール部から前記第2シール部まで連続して形成される第3シール部と、前記第1シール部または前記第2シール部の略中央部に形成される開封開始手段と、を有し、前記積層フィルムは、MD方向に易引き裂き性を有し、前記積層フィルムのMD方向は、前記第1シール部および前記第2シール部の延在方向と直交することを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、前記外層と前記内層の間にバリア層および中間層の少なくとも一方を積層したことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、前記積層フィルムを構成する少なくとも一層が、MD方向に延伸された一軸延伸フィルムであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、前記内層は、MD方向に延伸された一軸延伸フィルムであることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、前記積層フィルムは、金属層を含まず、且つ100℃以上の融点を有する複数の層で構成されていることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、前記第3シール部は、前記稜線の略中央部を跨ぐように形成されることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の包装体において、複数の前記収納部を有し、それぞれの前記収納部に形成された前記第1シール部同士、或いは前記第2シール部同士が連続することで前記収納部が直鎖状に連なることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルムのMD方向を第1シール部および第2シール部の延在方向と直交させておくことで、開封開始手段から収納部を円滑に破断して開封することができる。また、第1シール部および第2シール部の端部を連結する1本の稜線を跨ぐように第3シール部を形成することにより、第1シール部または第2シール部から対向する第2シール部または第1シール部まで破断して舟形の容器としたとき、第3シール部が舟形の側壁に沿って配置されるため、舟形の包装体を安定して載置することができる。
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装体において、外層と内層の間にバリア層および中間層の少なくとも一方を積層することにより、水蒸気バリア性、ガスバリア性、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の物性を付与することができる。
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の包装体において、積層フィルムを構成する少なくとも一層を、MD方向に延伸された一軸延伸フィルムとすることにより、積層フィルムの引き裂き性を向上させることができる。
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の包装体において、積層フィルムの内層を、MD方向に延伸された一軸延伸フィルムとすることにより、粘り(コシ)が出やすく、引き裂き特性が低下し易い内層の引き裂き性が向上するため、積層フィルムの引き裂き性を効果的に向上させることができる。
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の包装体において、金属層を含まず、且つ100℃以上の融点を有する複数の層で構成された積層フィルムを用いることにより、内容物が充填された状態で包装体を電子レンジにより加熱調理可能となる。
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の包装体において、稜線の略中央部を跨ぐように第3シール部を形成することにより、包装体を開封して舟形の容器としたときの第3シール部の位置が舟形の底部寄りや縁部寄りになることがなく、載置時の安定性をより向上させることができる。
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の包装体において、複数の収納部を有し、それぞれの収納部に形成された第1シール部同士、或いは第2シール部同士が連続することで収納部が直鎖状に連なった包装体とすることで、内容物の容量を2倍、3倍に変更した包装体を簡単に製造することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の包装体1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装体1のブランクシートを示す平面図であり、図2〜図4は、包装体1を構成する積層フィルム2の積層構成を示す断面図、図5は、図1のブランクシートが連なった長尺状の積層フィルム2の平面図、図6は、内容物10が充填された包装体1の斜視図である。
図1に示すように、包装体1は矩形状の1枚の積層フィルム2から成形され、三角形状の底面3と、底面3と同一形状の3枚の側面4a〜4cと、底面3および側面4a〜4cを囲むように形成される底シール部5、天シール部6、背シール部7を有している。側面4a、4cの一部は上下に分割して配置されている。
次に、積層フィルム2の積層構成について詳細に説明する。図2に示すように、積層フィルム2は、外層12と、熱接着性(熱可塑性)樹脂層からなる内層13とを積層した積層体である。積層フィルム2は、MD方向(縦方向:Machine Direction=フィルムの流れ方向)の引裂伝播抵抗値がTD方向(横方向:Transverse Direction=フィルムの幅方向)に比べて小さくなっており、MD方向に易引き裂き性(直線カット性)を有している。
外層12は、包装体1を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂を用いることができる。外層12を構成するフィルムの厚さとしては、コスト等を勘案して決定すればよいが、12〜25μm程度が適当である。
本発明に用いられる外層12の具体例としては、一軸延伸および二軸延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられる。ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
外層12には、文字、図形、記号、模様等の所望の印刷模様を付加する印刷層を形成しても良い。印刷層の形成方法としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等の添加剤の1種または2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整する。そして、このインキ組成物を用いてグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷等の印刷方式により外層12の裏面に所望の印刷模様を印刷して印刷層を形成する。
内層13は、熱接着性(熱可塑性)樹脂から成る層であり、熱によって溶融して積層フィルム2を融着するものである。内層13に用いられる熱接着性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(CPP)、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の蒸着層を設けたポリプロピレン(VMCPP)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンとアクリル酸エステルとのエステルコポリマー、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。内層13の層厚としては、要求される物性(ヒートシール性)とコスト等を考慮して適宜決定すればよく、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。内層13の形成方法としては、上記の熱接着性樹脂の単層ないし多層フィルムを積層する方法や、熱接着性樹脂を溶融押出し法により積層する方法が用いられる。
なお、封入される内容物が水分や酸素により変質し易い場合、図3に示すように、外層12と内層13の間に包装体1に水蒸気バリア性、ガスバリア性を付与するバリア層14を積層してもよい。バリア層14としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔(AL)、または、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(VMPET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。バリア層14に用いるアルミニウム箔としては、焼鈍処理されたアルミニウム箔が適当であり、その厚みとしては6〜15μm程度が適当である。或いは、外層12として用いる二軸延伸ナイロンフィルム、ポリエステル系樹脂フィルムの裏面にシリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層、或いは、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のコーティング層を設けてバリア層14としてもよい。また、外層12として、ナイロン/EVOH/ナイロンや、ナイロン/メタキシリレンジアミン・アジピン酸共重合体(MXD)/ナイロン等の、多層構造でバリア性のあるナイロンを使用してもよい。
なお、包装体1に必要とされる物性、例えば、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の物性を付与するために、図4に示すように、外層12と内層13の間に中間層15を積層してもよい。中間層15としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィンの延伸フィルムを用いることができる。或いは、図3のバリア層14と内層13の間にさらに中間層15を積層してもよい。
さらに、外層12、内層13、バリア層14、中間層15の少なくとも一層に、MD方向に直線カット性を付与した一軸延伸フィルムを使用することにより、積層フィルム2のMD方向の引裂伝播抵抗値を小さくすることができる。特に、内層13を構成する熱接着性樹脂は加熱によって粘りが出やすく、引き裂き性が低下し易い。そのため、特に包装体1に内容物を充填したまま加熱調理する用途の場合は、内層13に一軸延伸フィルムを使用して引き裂き性を向上させておくことが好ましい。
積層フィルム2の製造方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等を用いることができる。
また、必要ならば上記各層の積層を行う際に、被積層基材の表面に、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、ブラスト処理等の前処理を任意に施すことができる。
次に、本発明の包装体1の製造方法について説明する。先ず、図1に示した包装体1のブランクシートが底シール部5および天シール部6において連なった、図5に示すような長尺状の積層フィルム2を製造する。このとき、積層フィルム2のMD方向を、底シール部5および天シール部6に直交する方向(図5の左右方向)とする。また、隣接するブランクシートは、底面3、側面4a〜4cが左右対称となるように配置する。
次に、積層フィルム2を充填機にセットし、先端から順次繰り出しながら、内層13が対向するように幅方向(図5の上下方向)に湾曲させて背シール部7同士を連続的にヒートシールしていく。背シール部7をシールすることで、上下に分割された側面4a、4cが接合されて三角形状となる。
次に、背シール部7をシールして環状となった積層フィルム2の底シール部5を、底面3の両端部(図1の矢印Aの位置)で折り曲げ、内層13が対向するように重ね合わせてヒートシールする。そして、残りの一辺の未シール部(天シール部6)から所定量の内容物10(ここでは固形状の食品)を充填する。その後、天シール部6および次の包装体1の天シール部6を、側面4bの両端部(図1の矢印Bの位置)で折り曲げ、内層13が対向するように重ね合わせて同時にヒートシールし、四面体形状の収納部9を形成する。最後に、各天シール部6の間をスリッターにより切断して図6に示すような包装体1を形成する。従って、次の包装体1では未シール部である底シール部5から内容物10が充填される。以降、上記の手順を繰り返して包装体1を連続的に形成する。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
図6に示すように、包装体1は、正三角形状の底面3、側面4a〜4cで構成される四面体形状の収納部9と、底面3の一辺に沿って形成される底シール部5と、底シール部5が形成される底面3の一辺とねじれの関係にある一辺(側面4a、4bの間の稜線)に沿って形成される天シール部6と、底シール部5および天シール部6の端部を連結する側面4a、4cの間の稜線11を跨ぐように、底シール部5から天シール部6まで連続して形成される背シール部7と、を有する。天シール部6の略中央部には、包装体1の切断と同時に開封用ノッチ(Vノッチ)8が形成される。
また、包装体1の製造時に、天シール部6の間、或いは底シール部5の間を一つ置きに切断することで、図7に示したような収納部9が2個連なった包装体1となる。また、天シール部6の間、或いは底シール部5の間を二つ置きに切断することで、収納部9が3個連なった包装体1となる。即ち、天シール部6の間、或いは底シール部5の間を切断せずに連続させることで、内容量を2倍、3倍に変更した包装体1を簡単に製造することができる。
次に、本実施形態の包装体1の開封方法について説明する。図6に示した開封用ノッチ8から天シール部6を引き裂くと、天シール部6に連続する側面4a、4cも積層フィルム2のMD方向に沿って天シール部6に直交する方向に引き裂かれていく。
そして、破断線が底シール部5に到達するまで引き裂くと、図8および図9に示すように、底面3、側面4cが底部、側面4a、4cが側壁となり、上部が大きく開口した舟形の容器となる。これにより、内容物10を取り出す食器を別途準備する必要がなく、食器の洗浄や使い捨ての食器の使用を省略することができるため、環境に配慮した包装体1となる。
また、背シール部7が側面4a、4cの間の稜線11を跨ぐように形成されているため、図8および図9のように舟形の容器としたとき、背シール部7が舟形の側壁に沿って配置される。従って、図11のように背シール部7が舟形の底部に位置する場合や、図12のように背シール部7が舟形の縁部に位置する場合に比べて載置時の安定性が向上し、開封した包装体1が倒れ難くなるため、内容物10の漏出を防止することができる。
このとき、背シール部7が稜線11の略中央部を跨ぐようにすることで、包装体1を開封して舟形の容器としたときの背シール部7の位置が舟形の底部寄りや縁部寄りになることがなく、載置時の安定性をより向上させることができる。
さらに、積層フィルム2として耐熱性の高いフィルムを使用することにより、包装体1に充填された状態で内容物10を加熱調理することも可能となる。例えば、未開封の包装体1を熱湯に入れることにより内容物10をボイルすることができる。
また、バリア層14として金属層を含まず、融点が100℃以上の積層フィルム2を用いることで、電子レンジによる加熱調理も可能である。この場合、加熱時の内圧上昇による包装体1の破裂を防止するために、開封用ノッチ8(図6参照)から側面4a、4cを僅かに破断することにより、収納部9に小孔を開けておけばよい。
以上説明したように、本発明の包装体1は、開封後にそのまま内容物10の容器として使用可能であり、環境に配慮した包装材を提供できる。特に、包装体1を耐熱性の積層フィルム2で成形することにより、加熱調理する食品用の包装材として、調理時の取り扱い性、製造性、開封性等の優れた特性を有することから、使用性及びコスト等を著しく改良した包装体を提供できるものである。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では開封用ノッチ8をVノッチで形成したが、Vノッチに代えてIノッチやUノッチとすることもできる。また、開封用ノッチ8に代えて、天シール部6に複数の微細な突き刺し孔からなる傷痕群領域を設けることもできる。或いは、天シール部6の切断面をギザ刃加工してもよい。
また、上記実施形態では、天シール部6に開封用ノッチ8を形成し、開封用ノッチ8から側面4a、4bを破断して包装体1を開封するようにしたが、側面4bが下向きになるように包装体1を反転させると、底シール部5と天シール部6とが入れ替わる。従って、天シール部6に代えて底シール部5に開封用ノッチ8等の開封開始手段を形成してもよい。この場合、底面3と側面4cが破断されて図8と同様の舟形の容器となる。以下、実施例を用いて本発明の効果をさらに詳細に説明する。
バリア層14が積層された外層12として、厚さ13μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(IBPET−RB、大日本印刷社製)を使用し、このバリア層14(シリカ蒸着層)にドライラミネート層を積層した後、中間層15として厚さ15μmの一軸延伸ナイロンフィルム(エンブレムNCBC、ユニチカ社製)を積層した。次に、中間層の表面にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(ZK99S、東レフィルム加工社製)を積層して、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて、図6に示したような、内容物10(固形状の食品)が充填された一辺135mmの正四面体形状の包装体1を製造した。また、積層フィルム2のMD方向(内層13の延伸方向)を包装体1の開封方向(天シール部6の延在方向と直交する方向)に合わせた。
外層12として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この外層12にドライラミネート層を積層した後、バリア層14として厚さ7μmのアルミニウム箔を積層した。次に、バリア層14の表面にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ60μmの易引き裂き性の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(Pスマート60、三井化学東セロ社製)を積層して、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて実施例1と同一形状の包装体1を製造した。
外層12として、厚さ15μmの複合ナイロン延伸フィルム(BWC15、グンゼ社製)を使用し、この外層12にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ50μmの一軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層して、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて実施例1と同一形状の包装体1を製造した。
外層12として、厚さ15μmの複合ナイロン延伸フィルム(BWC15、グンゼ社製)を使用し、この外層12にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ50μmの易引き裂き性の二軸延伸低密度ポリエチレンフィルム(Lスマート50、三井化学東セロ社製)を積層して、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて実施例1と同一形状の包装体1を製造した。
[比較例1]
外層12として、厚さ15μmの複合ナイロン延伸フィルム(BWC15、グンゼ社製)を使用し、この外層12にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムを積層して積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて、図10に示したような、内容物10(固形状の食品)が充填された一辺135mmの正四面体形状の包装体100を製造した。
[比較例2]
バリア層14が積層された外層12として、厚さ13μmのシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(IBPET−RB、大日本印刷社製)を使用し、このバリア層14(シリカ蒸着層)にドライラミネート層を積層した後、中間層15として厚さ15μmのナイロンフィルム(エンブレムONBC、ユニチカ社製)を積層した。次に、中間層15の表面にドライラミネート層を積層した後、内層13として厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(ZK99S、東レフィルム加工社製)を積層して積層フィルム2を製造した。この積層フィルム2を用いて比較例1と同一形状の包装体100を製造した。
[試験例]
実施例1〜4で製造した本発明の包装体1、および比較例1、2で製造した従来の包装体100の開封性、容器としての使用適性および加熱調理適性について評価した。開封性の評価は、包装体1、100を天シール部6の開封用ノッチ8から引き裂いた場合の開封性を、開封時の感触および開封部の目視により評価した。評価基準は、開封用ノッチ8から底シール部5の両端に亘って側面4a、4bがほぼ真っ直ぐに破断された場合を◎、破断線が若干湾曲したが円滑に破断された場合を○、破断線が大きく湾曲した場合や、内層13の粘りによって破断が止まった場合を×とした。
容器としての使用適性の評価は、図8、図11のように舟形の容器とした包装体1、100の安定性を評価した。評価基準は、舟形の状態で包装体1、100を安定して載置できた場合を○、包装体1、100が倒れた場合や包装体1、100が傾いて内容物10が漏出した場合を×とした。
加熱調理適性の評価は、100℃で3分間加熱(電子レンジによる加熱を想定)、および105℃で30分間加熱(熱湯によるボイルを想定)し、包装体1、100が変形、破損せず使用可能である場合を○、包装体1、100が変形、破損して使用できない場合を×とした。なお、実施例2の包装体1は耐熱性に問題はないが、積層フィルム2にアルミニウム箔が積層されているため電子レンジによる調理を不可とした。開封性、容器としての使用適性、加熱調理適性の評価結果を併せて表1に示す。
表1から明らかなように、MD方向に易引き裂き性を有する積層フィルム2を用い、積層フィルム2のMD方向を包装体1の開封方向に合わせた実施例1〜4の包装体1では、いずれも開封用ノッチ8から円滑に破断された。特に、内層13に一軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた実施例3、易引き裂き性二軸延伸ポリエチレンフィルムを用いた実施例2、4では、開封性がさらに良好であった。これに対し、MD方向に易引き裂き性を有しない積層フィルム2を用いた比較例1、2の包装体100では、破断線の湾曲や破断の停止が発生した。
また、図6に示したように、側面4a、4cの間の稜線11を跨ぐように背シール部7を形成した実施例1〜4の包装体1では、図8のように背シール部7が開封後の舟形の包装体100の側壁に位置するため、舟形の包装体1を安定して載置することができ、容器としての使用適性も良好であった。一方、図10に示したように、天シール部6の上端から底シール部5の中央部まで、側面4cを縦断するように背シール部7を形成した比較例1、2の包装体100では、天シール部6から開封すると図11のように背シール部7が舟形の包装体100の底部に位置してしまい、安定して載置できなかった。
また、積層フィルム2として融点が100℃以上のフィルムを用いた実施例4の包装体1は、内容物10を充填した状態で電子レンジによる調理が可能であり、実施例4よりも耐熱性の高い融点が130℃以上のフィルムを用いた実施例1、3の包装体1は、電子レンジによる調理および熱湯によるボイルの両方が可能であった。また、実施例2の包装体1は、バリア層としてアルミニウム箔を用いているため電子レンジによる調理は不可であるが、熱湯によるボイルは可能であった。