以下、図面を参照しながら本発明の電子レンジ加熱用包装体について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体を構成する内装袋1の概略平面図である。内装袋1は、図1に示すように、積層フィルム10で形成される収納部2と、収納部2の四辺を密封する上面シール部3a、側面シール部3b、底面シール部3cとから成る平面視矩形状であり、収納部2には内容物4(ここではレトルト食品)が収納されている。側面シール部3bの一辺(図1の右側上部)ないしは二辺には開封用ノッチ6が形成されている。
収納部2の内側且つ開封用ノッチ6の近傍には熱可塑性樹脂で形成された開閉用チャック7が設けられており、開閉用チャック7を挟んで上面シール部3aの反対側にはイージーピール性(易剥離性)を有する封止部8が形成されている。なお、封止部8を形成する封止部材8a(図2参照)は、共押し出しによって開閉用チャック7の下チャック7b(図2参照)と一体形成されている。開封用ノッチ6から側面シール部3bを引き裂いて内装袋1の上端を切り取ることにより、開口部9(図6参照)が形成され、さらに開閉用チャック7及び封止部8を開くことで、開口部9からの食材の追加、及び内容物4の取り出しが可能となる。
図2は、内装袋1の部分断面図(図1のXX′矢視断面図)である。図2を参照しながら、本実施形態の内装袋1の構成について詳細に説明する。内装袋1を形成する積層フィルム10は、外側から順に、基材層11、中間層13、熱可塑性樹脂層15が積層されたものである。
基材層11は、内装袋1を構成する基本素材となることから、内装袋1の形成、加工等の条件に耐えうるとともに、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホール性、水蒸気またはガスに対するバリア性、その他の特性に優れ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持できるものであることが好ましい。
本発明に用いられる基材層11としては、2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を製膜化する前に予め混合して製膜化する方法等により、ポリエステル系樹脂フィルムを製造し、更に、例えばテンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用することができる。基材層11の層厚としては、3〜50μm程度、より好ましくは、5〜30μm程度が望ましい。
なお、基材層11の製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、ごく微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
なお、静電気の発生に伴う不具合を防止して、ラミネート適性、製袋性、充填包装適性等を向上させるために、基材層11の表面に帯電防止コート層を設けても良い。帯電防止コート層の形成方法としては、例えば、樹脂をビヒクルの主成分とし、これに帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要に応じて可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、充填剤、着色剤等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、溶剤・希釈剤等で十分に混練して樹脂組成物を調製する。次いで、該樹脂組成物を使用し、これを基材層11の表面に、通常のコーティング法、或いは、印刷法等を用いて、コーティングないし印刷して、帯電防止コート層を形成する。
帯電防止剤としては、例えば、陰イオン系活性剤、陽イオン系活性剤、非イオン系活性剤、両性表面活性剤等の界面活性剤、金属粉やカーボン等の無機系帯電防止剤、シリコーン系帯電防止剤、高級脂肪酸およびそのエステル類、酸アミド類、塩類、パラフィン系炭化水素類、ワックス類等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
ビヒクル樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。
なお、基材層11の原料であるポリエステル系樹脂のペレットに、上記のような帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、これを十分に混練した後、製膜することにより、基材層11に帯電防止性を付与することもできる。
熱可塑性樹脂層15は、熱によって溶融して積層フィルム10を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、線状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱可塑性樹脂層15の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜200μm程度、特に50μm〜100μm程度であることが好ましい。
また、例えば加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、熱可塑性樹脂層15を構成する溶融押し出し樹脂に、前述の帯電防止剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、その製膜化に際して、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を挙げることができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
中間層13は、内装袋1が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、内装袋1に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
中間層13としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。特に、包装フィルム1に耐突き刺し(耐ピンホール)性が要求される場合は、延伸ナイロンフィルムを使用することができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。また、中間層13の厚さは任意であるが、数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
積層フィルム10を構成する基材層11、中間層13、熱可塑性樹脂層15の間にはドライラミネート層(図示せず)が積層されている。ドライラミネート層は、基材層11、中間層13、熱可塑性樹脂層15を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。ドライラミネート層の形成方法としては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法或いは印刷法等によって塗布し、次いで溶剤等を乾燥させて形成することができ、そのコーティングないし印刷量としては、乾燥状態で0.1〜10g/m2程度が望ましい。
なお、必要に応じて、基材層11の内表面に、積層フィルム10の表面に所望の印刷模様を形成するための印刷層を設けることもできる。また、基材層11と中間層13との接着強度を高めるために、基材層11の裏面にアンカーコート層を積層し、このアンカーコート層にドライラミネート層を介して中間層13を積層した構造としても良い。アンカーコート層は、基材層11の裏面を化学的に処理するものである。アンカーコート層の厚さは、通常、0.1〜2.0μm程度が好ましい。アンカーコート層を構成するアンカーコート剤としては、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系等のアンカーコート剤を使用することができる。
積層フィルム10の代表的な構成を例示するならば、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材層11、12μm)/ドライラミネート層/延伸ナイロンフィルム層(中間層13、15μm)/ドライラミネート層/線状低密度ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層15、60μm)を挙げることができる。
次に、本発明の積層フィルム10の製造方法、及び積層フィルム10を用いた内装袋1の製造方法について説明する。図2に示したような積層構成の場合、先ず、基材層11にドライラミネート層を介して中間層13を積層した後、さらにドライラミネート層を介して熱可塑性樹脂層15を積層して積層フィルム10を製造する。
次に、ロール状に巻かれた長尺の積層フィルム10を順次繰り出すとともに、長尺方向に二つ折りにしながらスリッター(図示せず)でカットして、2枚の積層フィルム10に分割する。なお、予め所定幅にスリットされた積層フィルム10を別々のロールから繰り出しても良い。
次に、2枚の積層フィルム10を、熱可塑性樹脂層15が対向するように重ね合わせる。さらに、ロール状に巻かれた長尺の開閉用チャック7を繰り出して、2枚の積層フィルム10の間の所定位置(図1の上面シール部3aが形成される側)に挟み込み、ヒートシールする。
図2に示すように、開閉用チャック7は上チャック7aと下チャック7bから成り、開閉用チャック7をヒートシールバーの配置に合わせて供給することにより、上チャック7aは一方(図2の上側)の積層フィルム10に、下チャック7bは他方(図2の下側)の積層フィルム10にヒートシールされる。このとき、上チャック7aと下チャック7bの間に断熱板(図示せず)を介在させることにより、上チャック7aと下チャック7bの熱融着を防止する。そして、下チャック7bと一体形成された封止部材8aを上チャック7aがヒートシールされる側(図2の上側)の積層フィルム10の内面にヒートシールして、イージーピール性の封止部8を形成する。
次に、2枚の積層フィルム10を開閉用チャック7の上側において連続してヒートシールして上面シール部3aを形成するとともに、積層フィルム10の長尺の幅方向に所定間隔でヒートシールし、側面シール部3bを形成する。その後、側面シール部3bに開封用ノッチ6を入れ、シール部において幅方向にカットする。一方、上面シール部3aと反対側はヒートシールせずに未シール部としておく。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。このようにして、未シール部を残して3方に上面シール部3a、側面シール部3bが形成された内装袋1の半製品を製造する。
最後に、未シール部から収納部2内に所定量の内容物4を充填し、未シール部をヒートシールして底面シール部3cを形成することにより、図1に示したような内装袋1となる。なお、図1に示すように、収納部2と開閉用チャック7の間には封止部8が設けられているため、開閉用チャック7側に内容物4が漏出するおそれがない。
図3は、本発明の電子レンジ用包装体を構成する外装箱20の展開図であり、図4は、外装箱20を組み立てた状態を示す斜視図、図5は、外装箱20を開封した状態を示す斜視図である。図3に示すように、外装箱20は所定の形状に打ち抜いた1枚のシート(厚紙)から組み立てられ、前面板21と、前面板21の右側端に折り線を介して順次連なる右側面板23a、後面板25と、前面板21の左側端に折り線を介して連なる左側面板23bと、前面板21の上下に折り線を介して連なる上側面板27、下側面板29を有している。
後面板25の上端には、上側面板27の裏面に接着される接着片30aが折り線を介して連設され、後面板25の下端には、下側面板29の裏面に接着される接着片30bが折り線を介して連設されている。また、後面板25の右側端には、左側面板23bの裏面に接着される接着片30cが折り線を介して連設されている。また、右側面板23a、左側面板23bの上端及び下端にはフラップ31が折り線を介して連設されている。
前面板21及び左側面部23bには略L字状のミシン目が連なった開封線33a、33bが形成されている。開封線33a、33bは、前面板21の幅方向(図3の左右方向)中央よりもやや右側から上下端縁(上側面板27、下側面板29との境界)に沿って進み、角度を変えて前面板2の左角部を斜めに横断し、さらに角度を変えて左側面部23bを斜めに横断して左側面板23bの長手方向略中央部に至る。左側面板23bの側端縁には、開封線33a、33bを連結するツマミ部35が形成されている。また、前面板21には、開封線33a、33bのツマミ部35と反対側の端部を連結するように前面板21を縦断するS字形の切り込みが連続するヒンジ線37が設けられている。
図3を用いて外装箱20の組み立て手順について説明する。先ず、前面板21の右側に順次連なる右側面板23a、後面板25、接着片30c、及び前面板21の左側に連なる左側面板23bを折り線に沿って折り曲げ、左側面板23bの内側に接着片30cを接着する。次に、前面板21に連なる上側面板27、下側面板29、後面板25に連なる接着片30a、30b、右側面板23a及び左側面板23bに連なる4枚のフラップ31を折り線に沿って折り曲げ、下側面板29の内側に接着片30bを接着する。
そして、内装袋1(図1参照)を収納した後、接着片30aの外側面を上側面板27の裏面に接着して外装箱20を封止する。このようにして、図4に示すように外装箱20内に内装袋1を収納した電子レンジ加熱用包装体100が組み立てられる。
なお、多数の電子レンジ加熱用包装体100を大型の段ボールケースに梱包して輸送する場合、輸送時の振動や衝撃によって外装箱20内の内装袋1に圧力が加わり、内容物4による内圧が封止部8に作用して封止部8が剥離することがある。封止部8が剥離すると、内容物4が開閉用チャック7付近まで漏出し、開閉用チャック7を開閉する際に手を汚してしまう。そこで、内装袋1を封止部8の下側(底面シール部3c側)で二つ折りにして外装箱20に収納しておくことが好ましい。このようにすれば、内装袋1に圧力が加わることによる封止部8の剥離、及びこれに伴う開閉用チャック7付近への内容物4の漏出を効果的に防止することができ、消費者が開閉用チャック7を開閉する際に手を汚すおそれがなくなる。
外装箱20から内装袋1を取り出すときは、外装箱20のツマミ部35を把持して引き上げることにより開封線33a、33bを破断する。そして、ヒンジ線37を軸として蓋部40(開封線33a、33bの内側部分)を上方向に回動させることにより、図5に示すように、前面板21に開口41が形成されて内装袋1の取り出しが可能となる。
次に、内装袋1に充填された内容物4に、食材を追加して加熱調理する方法について説明する。まず、ユーザが開封用ノッチ6から内装袋1の上端を左右方向に引き裂くことにより包装袋1の上部に開口部9(図6参照)を形成する。開口部9は、互いに係合した上チャック7a及び下チャック7bによって密封されている。
次いで、上チャック7a及び下チャック7bとの係合を解除して開口部9を広げて開放させる。このとき、封止部材8aを介して下チャック7bと連結された封止部8は、イージーピール性を有するため収納部2の内面から剥離される。この状態で、追加する食材を開口部9から包装袋1の収納部2に投入し、上チャック7a及び下チャック7bを再び係合させて収納部2を密封する。
次いで、内装袋1を取り出した後の外装箱2内に内装袋1を載置する。具体的には、図6及び図7に示すように、外装箱20の蓋部40を、ヒンジ線37を介して前面板21側に折り返しておく。そして、内装袋1の底面シール部3cを外装箱20の内面(左側面板23bと後面板25との角部)に当接させ、開口部9側を蓋部40の裏面に沿わせるように立て掛ける。これにより、内装袋1は開口部9を斜め上向きにした状態で支持される。図3に示したように、ヒンジ線37は連続するS字形の切り込みで形成されているため、蓋部40の折り曲げ状態が維持し易くなっている。従って、内容物4及び追加した食材を含む内装袋1の重量が軽い場合でも、開口部9を上向きにした状態で内装袋1を安定して支持することができる。
続いて、包装袋1を外装箱20と共に電子レンジ内に設置し、加熱すると、追加した食材は内容物4とともに加熱調理される。このとき、加熱によって発生した高温の水蒸気により収納部2が膨張し、水蒸気が滞留する蒸らし空間が収納部2の上部に形成される。収納部2の容積を超える量の水蒸気は、開閉用チャック7の一部が開いて適宜外部に発散し、包装袋1の破裂が防止される。加熱調理が終了した後、ユーザは再び開閉用チャック7の係合を解除して開口部9を開放し、食材の追加された内容物4を容器に盛り付ける。
本発明の電子レンジ加熱用包装体100によれば、外装箱20を、電子レンジでの加熱時に開口部9を上向きにした状態で内装袋1を立て掛けるための支持台として利用することができる。そのため、開口部9から内容物4や追加した食材が漏出して電子レンジ内部を汚染するおそれがない。
また、外装箱20の蓋部40を折り返すだけで内装袋1の支持台として利用できるため、自立性を持たせた複雑な形状の内装袋1や外装箱20を製造する必要がなく、製造コストも低減される。さらに、加熱調理時に消費者が外装箱20を所定の形状に組み立てる必要もなく、使い方も分かり易い。
次に、内装袋1と外装箱20の寸法の関係について説明する。図7に示すように、蓋部40の開閉方向と平行な方向における外装箱20の外寸をW1、蓋部40を開放した時の前面板21の残存部分43の幅をW2とするとき、0<W2≦1/3×W1であることが好ましい。W2がW1の1/3を超える場合、前面板21に形成される開口41が小さくなり、外装箱20から内装袋1を取り出し難くなる。また、W2=0である場合、残存部分43がなくなるために、外装箱20を内装袋1の支持台として用いる際に右側面板23aが内装袋1の重量で倒れ易くなり、内装袋1を確実に支持できなくなる。
また、開口部9を上向きにしたときの内装袋1の上下方向の寸法L1とW1との関係は、1/2×L1≦W1≦L1+10mmであることが好ましい。W1がL1の1/2よりも小さい場合、外装箱20を内装袋1の支持台として用いる際に内装袋1の先端が垂れ下がり、蒸通孔となる開閉用チャック7が下向きとなる可能性があるため、開口部9から水蒸気と共に内容物4が漏出するおそれがある。一方、W1がL1+10mmを超える場合、外装箱20を内装袋1の支持台として用いる際に内装袋1の先端が蓋部40の裏面に届かないか、届いたとしても内装袋1の先端のごく一部のみが支持されるため、開口部9を十分に持ち上げることができない。また、内装袋1が蓋部40から滑り落ち易くなるため支持が不安定となる。
なお、蓋部40の開閉方向と垂直な方向における外装箱20の外寸W3(図4参照)は、電子レンジ加熱用包装体100の製造時における外装箱20への内装袋1の収納性を考慮して、側面板23a、23bに対向する内装袋1の一辺の長さに応じて決定することが好ましい。例えば、内装袋1を二つ折りにせず伸ばした状態で外装箱20に収納する場合は、W3を内装袋1の長手方向の寸法L1の±10mmの範囲に設定すれば良い。
また、上面シール部3a、底面シール部3cが重なるように内装袋1を二つ折りにして外装箱20に横向きに収納する場合、即ち、上面シール部3a、底面シール部3cを、右側面板23aまたは左側面板23bに対向するように収納する場合は、W3を内装袋1の長手方向と垂直な方向の寸法L2(図1参照)の±10mmの範囲に設定すれば良い。
以上説明したように、本発明の電子レンジ加熱用包装体100は、ソースや調味液等の、食材を追加して電子レンジで加熱調理するレトルト食品用の包装材として、調理時の取り扱い性、製造性等の優れた特性を有することから、使用性及びコスト等を著しく改良した電子レンジ加熱用包装体を提供できるものである。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、図3に示した外装箱20の構成は好ましい一例に過ぎず、S字形の切り込みが連続するヒンジ線43に代えて、直線状の切り込みが連続するミシン目や押し罫によってヒンジ線43を形成することもできる。
また、図2に示した積層フィルム10の積層構造も適宜変更可能である。例えば、図2では中間層13にドライラミネート層を介して熱可塑性樹脂層15を積層したが、ドライラミネート層を省略して中間層13に熱可塑性樹脂層15を直接積層しても良い。
なお、上述した積層フィルム10の積層方法は好ましい一例に過ぎず、例えば積層フィルム10の製造方法として、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、共押出ラミネーション法、その他の方法を用いることもできる。また、必要ならば上記各層の積層を行う際に、被積層基材の表面に、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、ブラスト処理等の前処理を任意に施すことができる。
また、上述した包装体1の製造工程も好ましい一例に過ぎず、例えばバッチ式に製造することもできる。その場合、2枚の積層フィルム10の間に開閉用チャック7を挟み込んで重ね合わせ、上チャック7a、下チャック7b、封止部材8a、及び積層フィルム10の周辺端部をヒートシールすることにより、二方シール型、三方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、スタンディングパウチ等の、種々の形態の包装袋1を製造することができる。以下、実施例を用いて本発明の構成を更に具体的に説明する。
(1)基材層11として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この基材層11の表面にグラビア印刷により印刷層を形成し、印刷層の表面にドライラミネート層を介して、中間層13として厚さ15μmの延伸ナイロンフィルムを積層した。さらに、中間層13の表面にドライラミネート層を介して、熱可塑性樹脂層15として厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層して積層フィルム10を製造した。
(2)次に、上記(1)で製造した2枚の積層フィルム10、及びポリエチレン樹脂製の開閉用チャック7(出光ユニテック社製、MFP−339)を用いて、外寸(L1)235mm×(L2)180mmの、内装袋1の半製品を製造した。
(3)上記(2)で製造した包装袋1内に未シール部から内容物4としてレトルト食品を充填し、未シール部をヒートシールして図1に示すような包装体1を製造した。一方、図3に示した外装箱20の半製品から、外寸(W1)130mm×(W3)182mm、前面板21の残存部分43の幅(W2)30mmの外装箱20を組み立て、封止部8の下側で二つ折りにした包装袋1を横向きにして収納して本発明の電子レンジ加熱用包装体100を製造した。
上記で製造した本発明の電子レンジ加熱用包装体100は、外装箱20のツマミ部35を把持して開封線33a、33bを破断した後、内装袋1を簡単に取り出すことができた。また、開封用ノッチ6を切り開き、開閉用チャック7の係合を解除して開口部9を形成し、収納部2内に食材を追加した後に再び開閉用チャック7を係合させた。
そして、後面板25を下にして外装箱20を平置きし、包装袋1の底面シール部3cを左側面板23bと後面板25の角部に当接させるとともに、開口部9側を蓋部40の裏面に立て掛け、電子レンジ内に載置して加熱した。その結果、開口部9を上向きにした状態で包装袋1を安定して支持することができ、内容物4が水蒸気と共に開口部9から漏出することはなかった。