JP2005073784A - クッション材 - Google Patents

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Shinichi Okajima
真一 岡嶋
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直美 森戸
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Abstract

【課題】
床ずれの好発生部位である人体仙骨部の床ずれ予防が出来るクッション材を提供する。
【解決の手段】
人体が長時間横臥するクッション材であって、厚みが2.5〜40mm、圧縮弾性率が20〜200N/mmである立体編物を少なくとも1枚、クッション性を有する他材料に積層したクッション材である。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は床ずれ予防効果に優れるクッション材に関する。例えば、長時間使用する老人用或いは病院用の寝具クッション材に関する。
床ずれは長時間の組織圧迫による血液循環阻害とそれに伴う組織壊死によって生ずると考えられている。それ故、これまでは組織圧迫を体に掛かる圧縮応力と解釈し、クッション材上に横たわった際の人体に掛かる垂直方向の体圧値に基準値を設け、人体の接触部位全体がこの基準値以下ないし基準を超える面積が少しでも少なくなるように、クッション材の構成を検討して床ずれ予防クッション材の開発を行なってきた。
ところが、実際には床ずれ高発生部位の多くには人体内部に骨突起があり、組織内血管には圧縮応力、引張応力、せん断応力が様々な方向に働くため、垂直方向の体圧値のみでは床ずれ発生と完全に相関付ける事が出来ず、床ずれ防止効果と特定部位の血流量とクッション材特性との関係については充分解明されてはいなかった。
一方、特許文献1に記載の生体内の血流量や血流分布等の血流を無侵襲で簡易に測定出来る装置が医用分野や脳血流測定分野に提案されているが、これまで床ずれ予防クッション材の開発に適用された事例は全く無かった。
特開2003−144401号報
本発明の目的は、床ずれの好発生部位である人体腰部の床ずれ予防が出来るクッション材を提供する事にある。
本発明者らは、従来の体圧値を用いたクッション材開発の問題点を鑑み、特に人体仙骨部の床ずれ発生の直接的な原因である血液循環阻害状態つまりは虚血状態とクッション材物性との関係を鋭意検討し、特定物性を有する立体編物と他のクッション性を有する材料と積層したクッション材を用いると床ずれ防止効果が大きいことを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明のクッション材とは、人が横になって長時間休息したり、睡眠を取ったり、療養したりする寝具マットレスやベッドパッドを指す。ここで長時間とは数時間から数年の長期間も意味し、従来より床ずれが問題となっていたものである。
本発明のクッション材としては、厚みが2.5〜40mm、圧縮弾性率が20〜200N/mmである立体編物を少なくとも1枚、クッション性を有する材料に積層したクッション材である。本発明のクッション材は他のクッション性を有する材料と積層されている必要がある。他のクッション性を有する材料とは、ポリウレタンフォームマット、ポリエステル固綿マット、エアマット、超柔軟合成ゴムマット、各種流動性ゲルマット、シリコーン系ゲルシートを積層したポリウレタンフォームマット、ラテックスマット等の単体ないしそのさまざまな組合せの積層体である。
より好ましくは立体編物と下層にポリエステル固綿マット又はポリウレタンフォームマットを組合わせたものである。ここで複数枚とは、2〜10枚を指す。
立体編物は厚みが2.5〜40mmである事が必要である。2.5mm未満では、クッション性の劣ったものであるとともに、人体に対する部分的な圧縮、引張、せん断方向の応力を吸収できないため、好ましくない。40mmを超える立体編物は可能であるが、人体の沈み込みが大きくなる場合があり、好ましくない。より好ましくは厚みは3〜20mmである。
本立体編物の圧縮弾性率が20〜200N/mmであることが必要である。この圧縮弾性率がこの範囲であると、後述する血流量が75〜99%となり、床づれ防止効果が大きい。
本立体編物は表裏面二層の編地と、該二層の編地を連結する少なくとも一部が繊維繊度が20〜2000dtexのモノフィラメントによる連結糸から構成されるものである。
本立体編物は、相対する2列の針床を有する編機で編成する事ができ、ダブルラッセル編機、ダブルトリコット編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できるが、寸法安定性の良い立体編物を得るためにはダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
本立体編物を構成する表裏面二層の編組織は、適度に通気性を確保しながら良好なクッション性を発現させる点で4角、6角等のメッシュ、格子状、畦調、マーキゼット等の孔空き組織で、1メッシュを構成する編目数(コース数)を12コース以下にすることが好ましい。また、表裏の少なくとも一方の編組織が孔空きでない平坦組織や凹凸組織等の編組織であれば、全コースがニットループで形成される編組織や、ニットループ組織と挿入組織の複合組織等を用いることができる。
表裏面二層の編地を構成する糸としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリフッ化ビニリデン繊維、ポリアクリル繊維、ポリアリレート繊維、生分解性繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等の任意の繊維を用いる事が出来るが、強度、編成性、ケミカルリサイクル性の点からポリエステル系繊維がより好ましい。
また、繊維の断面形状としては、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型、ドッグボーン型等の多角形型、多様型の中実型や同多角形、多様型の中空型や不定形なものでも良いが、表面耐摩耗性、強度等の物性を立体編物に付与出来る点から丸型中実型または丸型中空型であるのがさらに好ましい。繊維の形態も、未加工糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等いずれのものを採用してもよく、マルチフィラメントでもモノフィラメントでも良いが、連結糸のモノフィラメントを編地表面へ露出しない様に被覆率を上げるには、立体編物の少なくとも片側面、特に表面層側にマルチフィラメントの仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましい。
マルチフィラメントは総繊度が50〜2500dtex、単糸繊度が0.1〜30dtexの繊度のものを用いる事ができ、任意に繊度を設定できる。この際、編機の針1本にかかる連結糸モノフィラメントの繊度T(デシテックス)と全マルチフィラメントの繊度d(デシテックス)がT/d≦0.9であると、立体編物表面でのマルチフィラメントのモノフィラメント被覆によりモノフィラメント独特のギラツキ感を抑制でき、かつ編地表面の肌触りを向上出来る点で好ましい。
また意匠性の面から編成前に予め常法で染色された先染糸や必要に応じたカラーの顔料が混入された原着糸を用いてもよく、必要に応じて二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
マルチフィラメントの物性としては、例えば、マルチフィラメントとしてポリエチレンテレフタレート繊維を使用する場合、表面耐摩耗性等の耐久性の面から繊維の極限粘度[η]は0.4〜0.8dl/gが好ましく、繊維破断強度は3〜5cN/dtex、破断伸度は20〜40%である事がより好ましい。またポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用する場合、極限粘度[η]は0.8〜1.5dl/gが好ましく、繊維破断強度は3〜5cN/dtex、破断伸度は30〜60%である事がより好ましい。
モノフィラメントとしては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリフッ化ビニリデン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、生分解性繊維、ポリエステル系やポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマー繊維、ガラス繊維、金属繊維等の任意の繊維を用いる事が出来るが、良好なクッション性を保つ点からも、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、特にポリトリメチレンテレフタレート繊維が好ましい。
モノフィラメント繊維の断面形状としては、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平型、ドッグボーン型等の多角形型、多様型の中実型や鞘芯型、同多角形、多様型の中空型や不定形なものでも良いが、丸型中実型、丸型同心鞘芯型、丸型中空型であるのがより好ましい。
立体編物中の連結糸密度は、立体編物6.45cm2(=2.54cm×2.54cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2)、連結糸のデシテックスをT(g/(1×106)cm)、連結糸の比重をρ(g/cm3)とした時、立体編物6.45cm2の面積中にある連結糸の総断面積(N×T/(1×106×ρ))が0.02〜0.35cm2が好ましく、より好ましくは0.04〜0.25cm2である。この範囲に設定することによって圧縮弾性率を20〜200N/mmとする事が出来、床ずれ予防効果が高くなる。
連結糸モノフィラメントは、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地に挿入組織状に引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させ、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を上げる上で好ましい。
立体編物中のモノフィラメントの曲率が0.01〜1.6である事が好ましい。ここでいうモノフィラメントの曲率とは、立体編物中でモノフィラメントが最大に湾曲した部分におけるモノフィラメントの中心線でできる円弧の曲率のことをいう。モノフィラメントの曲率はより好ましくは0.03〜1.0、さらに好ましくは0.05〜0.7である。モノフィラメントの曲率が0.01未満であると、立体編物の厚み方向に荷重が加わった場合、表面編地と裏面編地が立体編物の長さ方向(ウエール列に沿った方向)にずれるせん断変形が生じやすく、圧縮回復時のヒステリシスロスが大きく弾力感のないクッション性となる。また、繰り返し圧縮によりその傾向がさらに増長する。モノフィラメントの曲率が1.6を超えるとせん断変形は生じ難いが、これも弾力感のないクッション性となる。
連結糸或いは表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。
他のクッション性を有する素材としては、ポリウレタンフォームマットまたはポリエステル固綿マット等が好ましい。ポリウレタンフォームマットとしては、1種又は数種の硬さのポリウレタンフォームが積層され、防水性のカバーで被覆されたマットレスである。硬さとしてはJIS−K6400軟質ウレタンフォーム試験方法において、10〜150Nの低反撥、高反撥等様々な硬さのものが好ましい。厚みとしては50〜180mmが好ましい。
ポリエステル固綿マットは、ポリエステルの短繊維又は長繊維をウェブ状に積層し、繊維同士が絡みあった一般的なマットレスであり、ポリエステルの一部に熱接着性複合繊維を混綿し、熱処理等で繊維同士を部分的に融着させたものであっても良い。
他の材料としてエアマットを用いることもできる。エアマットとは、有機高分子シートから構成され、かつ空気等の気体を圧入して適宜弾性を保持できる袋状の一般的なマットレスであり、そのエアマットの素材としては、各種有機高分子を使用する事が出来るが、気密性、耐久性を考慮すると、塩化ビニル系樹脂やゴムが適している。厚みとしては50〜180mmが好ましく用いられる。エアマットには、吸気及び排気用のノズルを取り付けて、マット内部の空気量を調整出来るようにすると、より好ましく、床づれ防止効果が大きくなる。
本発明のクッション材は使用時に通常の綿等のシーツを用いてもかまわないが、より床ずれ防止効果を高めるためにはない方が好ましい。本クッション材は使用時には立体編物側に人間が上になるように使用する方法が床ずれ防止効果が大きくて好ましい。
本発明のクッション材は、人体が長時間横臥するクッション材であり、本発明者らは、後述する仙骨部筋組織の血流量と床づれ防止効果の関係を検討し、この血流量を指標に床づれ防止効果の大きなクッション材を開発したものである。ここで、血流量とは無侵襲近赤外線酸素モニタ装置(OM−200、株式会社島津製作所製)を用い、下記手法により測定した人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定したものである。
1)本発明のクッション材上で側臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量a(μmol/L)を3分間測定する。
2)続けて本発明のクッション材上で仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量b90(μmol/L)を90分間測定する。
3)各側臥姿勢と仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量変化においての単位時間平均値a、b(μmol/L・秒)を算出する。
4)被験者合計10人で、1)〜3)の測定を行い、側臥姿勢と仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量の単位時間平均値a、b(μmol/L・秒)の被験者10人の平均値A、B(μmol/L・秒)を算出する
5)人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率(=B/A×100)を算出する。
本発明のクッション材としては、この人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率が75〜99%になる特定物性を有する立体編物を少なくとも1枚に用いる事が床づれ防止効果が大きくて好ましい。さらに好ましくは人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率が80〜99%であり、最も好ましくは85〜99%である。総ヘモグロビン比率が75%未満の場合、仰臥姿勢での人体仙骨部筋組織の血液量が確保されにくい、つまり虚血状態が高いため、床ずれが発生しやすくなる。
また99%を超える場合は、クッション材からの圧力を受ける為、現時点では実現不可能である。
本発明の測定に使用する非侵襲近赤外線酸素モニタ装置(OM−200、株式会社島津製作所製)とは、近赤外分光法(Near Infra−Red Spectroscopy、NIRS)により、組織中の酸素化されたヘモグロビン(以下、酸素化ヘモグロビン)と酸素を脱離したヘモグロビン(以下、脱酸素化ヘモグロビン)の量の変化を生体に手を加える事無く表示出来る装置であり、ここで総ヘモグロビン量とは酸素化ヘモグロビン量と脱酸素化ヘモグロビン量の和を指す。また使用する測定検出器(浅部用プローブ(タイプB)、株式会社島津製作所製)測定深度が10〜15mmの測定表層から浅い箇所を測定する厚みが10mm以下の検出器を指す。
ここで、測定を行う人体仙骨部筋組織とは仙骨部上の中心箇所であり、測定被験者は20〜60才までの身長150〜170cm、体重40〜60kg、肥満度−10〜20%の細身の健康な一般成人女性から無作為に抽出された成人女性が測定値のバラツキが小さいため好ましい。
次に1)〜5)の具体的測定手法について、詳細に説明する。まず、測定前の準備として、クッション材を水平状態が保たれた平滑な床面又は寝具台上に設置する。次に測定使用する非侵襲近赤外線酸素モニタ装置(OM−200、株式会社島津製作所製)と検出器を配線、設置、電源を入れた状態で測定室内温度25℃、相対湿度65%となるよう調整し、24時間安定させる。次に被験者の着衣は、上は着用時及び横臥時に背中にしわが発生しない一般的な綿100%のTシャツ、下は下着と綿100%のロングスカートとし、仙骨部上には下着やロングスカートのウェスト締付けゴムが当たらないようにする。そして、被験者がクッション材上に横臥し、検出器は取り付けない状態で30分間仰臥姿勢で安静状態を保つ。
その後、被験者が腹臥姿勢となり、検出器を装着する。装着方法としては、検出器を肌着内側の被験者の仙骨部に直接測定受光部と送光部が当たり、受光部と送光部が被験者の身長方向と平行となるようにし幅4cmの紙テープで一度固定し、さらに検出器の厚みを無視できるよう同程度の厚みの脱脂綿を検出器の周りにあてて、検出器と脱脂綿全体を覆う形で幅4cmの紙テープで固定する。取り付けた検出器をウエスト締付けゴム以外の下着とロングスカートの生地で覆う事になる。また上着のTシャツは検出器を覆わない。
次に、被験者は仰臥姿勢で3分間、次に30度側臥姿勢(2002年株式会社医学芸術社発行「よくわかる褥瘡ケア・マニュアル」のP−59〜61記載の30度側臥位を指す、以下、側臥姿勢と呼ぶ)で1分間安静後、3分間の総ヘモグロビン量変化を測定し、この後、姿勢変更後1分間の安静状態を保つ操作を入れながら、仰臥姿勢と側臥姿勢での総ヘモグロビン量変化をそれぞれ3分間づつ、合計最低3回づつ以上測定を繰返し、測定される側臥姿勢の総ヘモグロビン量が3分間の間に測定直後から±10(μmol/L)の変動の範囲内となり、かつ最終測定の側臥姿勢の総ヘモグロビン量の最大値及び最小値と、直前測定の側臥姿勢の総ヘモグロビン量の最大値及び最小値との絶対値差が0〜10(μmol/L)の範囲内であれば、安定状態に入ったとする。この最終測定の側臥姿勢の総ヘモグロビン量の3分間測定をa(μmol/L)とする。仰臥姿勢と側臥姿勢でのそれぞれ3分間づつの総ヘモグロビン量測定を最低5回繰り返しても上記安定状態に入らない場合は、検出器を取り外し、30分間仰臥姿勢で安静状態からの操作を繰り返す。またこの一連の操作を3回繰り返しても安定状態とならない場合は、被験者を変更する。
次に続けて、側臥姿勢から仰臥姿勢に変更し、1分間安静後、本発明のクッション材上で仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量b90(μmol/L)を90分間測定する。測定中は全身は全く動かさない事を前提とする。
ここで、測定した人体仙骨部筋組織の3分間の側臥姿勢と90分間の姿勢臥姿勢のそれぞれの総ヘモグロビン量変化a(μmol/L)、b90(μmol/L)の単位時間平均値a、b(μmol/L・秒)を算出する。
そして、側臥姿勢と仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量の単位時間平均値a、b(μmol/L・秒)を被験者10人分測定、データ採取し、被験者10人の平均値A、B(μmol/L・秒)を算出する。
この被験者10人の平均値A、B(μmol/L・秒)を用い、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を、側臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量に対する仰臥姿勢の人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン量の百分率として、B/A×100を算出する。
とくに本発明のクッション材は人体側に立体編物が積層されているのが好ましい。防水カバーで被覆された通気性のないポリウレタンフォームマットやポリエステル固綿に比べ、立体編物は通気性に優れるため床ずれ発生の原因として考えられる湿潤も予防するため好ましいものとなる。また仙骨部へのせん断方向の応力も働きにくく好ましい。
本発明のクッション材の用途としては、長時間使用する老人用或いは病院用の床ずれ予防用寝具クッション材のみならず、血行障害に伴い大きな問題となっているエコノミー症候群予防用の航空機用クッション材、長距離運転時のうっ血予防用の自動車、鉄道車両の乗り物シート用クッション材及び家具、事務用等のシート用クッション材にも用いることができる。
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
(1)厚み(mm)
接触圧力490Paの厚み測定計で10回測定した平均値(T0)とした。
(2)圧縮弾性率(N/mm)
島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)を用い、直径100mmの円盤状圧縮治具により、平滑剛体面上に置いた15cm角、厚みT0(mm)の立体編物を、10mm/minの速度で250Nの荷重になるまで圧縮し、直ぐに10mm/minの速度で開放する。この際に得られる図1に示す荷重−変位曲線のうち、行き(圧縮)の曲線の立ち上がり部分の略直線領域の傾きを{荷重P(N)}/{変位ε(mm)}の式により算出し、圧縮弾性率(N/mm)とする。
(3)発疹性
本発明のクッション材上での、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率測定後、検出器を取り外し、仙骨部の発疹状態を外観観察により、
◎:測定前と殆ど変化が無い
○:測定前に比べ、わずかに赤くなっている
△:測定前に比べ、若干赤くなっている
×:測定前に比べ、かなり赤くなっている
[実施例1]
まず、下記立体編物1、2を作成した。
(立体編物1)
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間6.5mmのダブルラッシェル機を用い、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)から連結糸として140dtexのポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメント糸を供給し、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)から表編地用糸として、168dtex/48fのポリエステルマルチフィラメント糸を、編機背面に位置する二枚の筬(L5、L6)から裏編地用糸として、168dtex/48fのポリエステルマルチフィラメント糸をいずれもガイドに1イン1アウトの配列で供給して、打ち込み20コース/インチで、以下に示す編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。本立体編物を75℃で精練後、幅出し熱セット(180℃)し、厚みが4mm、圧縮弾性率が100N/mmの立体編物1を得た。
(編組織)
L1:1011/1211/1011/1211/1011/1222/
2322/2122/2322/2122/2322/2111/
L2:2322/2122/2322/2122/2322/2111/
1011/1211/1011/1211/1011/1222/
L3:1010/1212/1010/1212/1010/1212/
2323/2121/2323/2121/2323/2121/
L4:2323/2121/2323/2121/2323/2121/
1010/1212/1010/1212/1010/1212/
L5:1110/1112/1110/1112/1110/1112/
2223/2221/2223/2221/2223/2221/
L6:2223/2221/2223/2221/2223/2221/
1110/1112/1110/1112/1110/1112/
(立体編物2)
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッシェル機を用い、中間に位置する二枚の筬(L3、L4)から連結糸として56dtexのポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメント糸を供給し、編機前面に位置する二枚の筬(L1、L2)から表編地用糸として、110tex/60fのポリエステルマルチフィラメント糸を、編機背面に位置する1枚の筬(L5)から裏編地用糸として、168dtex/48fのポリエステルマルチフィラメント糸をL1、L2ガイドには3イン1アウト、L3、L4ガイドには1イン1アウト、L5ガイドにはオールインの配列で供給して、打ち込み22コース/インチで、以下に示す編組織の表裏メッシュの立体編物を得た。本立体編物を75℃で精練後、幅出し熱セット(180℃)し、厚みが3.1mm、圧縮弾性率が80N/mmの立体編物2を得た。
(編組織)
L1:1011/1211/1011/1222/3433/3233/
3433/3222/
L2:5655/5455/5655/5444/3233/3433/
3233/3444/
L3:3234/3234/3234/2310/1210/1210/
1210/2134/
L4:1210/1210/1210/2134/3234/3234/
3234/2310/
L5:1112/1110/
ついで、厚み8.5cmの一般的な表面の平滑な防水カバーで覆われたポリエステル固綿のマットレス上に、立体編物1を4層、さらにその上に立体編物2を1層積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、87%であり、十分に組織の血液量が確保されている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は10人中9人に測定前と差が見られず、1人だけ測定前に比べ、わずかに赤くなっているのが見られた。
[実施例2]
6枚筬を装備した14ゲージ、釜間20mmのダブルラッシェル編機を用い、表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)から500dtex/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸、3本引き揃え)をオールインの配列で供給し、連結糸を形成する筬(L3)から440dtex/1fのポリトリメチレンテレフタレート繊維モノフィラメント糸をオールインの配列で供給し、さらに、裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)から500dtex/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸(167dtex/48fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸、3本引き揃え)をオールインの配列で供給し、打ち込み14コース/2.54cmで、以下に示す編組織で連結糸が部分的にクロス構造(X構造)を形成する表裏が緻密な平坦な立体編物を編成した。この立体編物をピンテンターを用い、幅方向に5%、進行方向に−1%(オーバーフィード)となるような引張率で160℃×3分となるようにし、厚みが18mm、圧縮弾性率が40N/mmの立体編物3を得た。
(編組織)
L1:2322/1011/
L2:1011/2322/
L3:3410/4367/
L5:1110/0001/
L6:2210/2234/
ついで、実施例1と同様のポリエステル固綿マットレス上に、立体編物3を1層のみ積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、78%であり、ほぼ十分に組織の血液量が確保されている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は測定前に比べ、10人中6人に差が見られず、3人にわずかに赤くなっているのが見られ、残り1人に若干赤くなっているのが見られた。
[実施例3]
厚みが8.5cmで、JIS−K6400軟質ウレタンフォーム試験方法で測定した硬さが30Nの防水カバーで覆われた低反撥ウレタンフォームマットレス上に、実施例1と同様の立体編物1を4層、さらにその上に立体編物2を1層積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、88%であり、十分に組織の血液量が確保されている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は10人中9人に測定前と差が見られず、1人だけ測定前に比べ、わずかに赤くなっているのが見られた。
[実施例4]
実施例3の低反撥ウレタンフォームマットレス上に実施例2の立体編物を1層のみ積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、80%であり、ほぼ十分に組織の血液量が確保されている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は測定前に比べ、10人中7人に差が見られず、2人にわずかに赤くなっているのが見られ、残り1人に若干赤くなっているのが見られた。
しかし、測定後いずれの被験者の仙骨部周辺にも、少し汗でむれた状態が見られた。
[比較例1]
実施例1において、立体編物1の厚みを2mmに変更した立体編物5を作成した。圧縮弾性率は250N/mmであった。
そして、実施例1と同様のポリエステル固綿マットレス上に、立体編物5を1層のみ積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、65%であり、組織の血液循環阻害が起こっている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は測定前に比べ、10人中1人に差が見られず、2人にわずかに赤くなっているのが見られ、残り7人はかなり赤くなっているのが見られた。
[比較例2]
実施例1と同様のポリエステル固綿マットレス上に、立体編物の替わりに厚み5mmの綿パッドを1層積層し、本発明のクッション材とした。
そして、本発明により、人体仙骨部筋組織の総ヘモグロビン比率を測定した所、60%であり、組織の血液循環阻害が起こっている事が判った。さらに、測定検出器を取り外したが、仙骨部の発疹状態は測定前に比べ、10人中3人にわずかに赤くなっているのが見られ、残り7人はかなり赤くなっているのが見られた。
本発明の立体編物は、血液循環阻害が少ないため、長時間使用する老人用或いは病院用の床ずれ予防用寝具クッション材のみならず、血行障害に伴い大きな問題となっているエコノミー症候群予防用の航空機用クッション材、長距離運転時のうっ血予防用の自動車、鉄道車両の乗り物シート用クッション材及び家具、事務用等のシート用クッション材の用途に好適に利用できる。
本発明の圧縮弾性率を求める図である。

Claims (1)

  1. 厚みが2.5〜40mm、圧縮弾性率が20〜200N/mmである立体編物を少なくとも1枚、クッション性を有する他材料に積層したクッション材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013042829A (ja) * 2011-08-23 2013-03-04 Inoac Corp クッション体およびクッション体の評価方法
CN114786635A (zh) * 2019-12-19 2022-07-22 保罗·哈特曼股份公司 用于预防褥疮性溃疡的医用制品

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