JP2005073391A - 直流変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トランスの直流励磁の軽減によるトランスの小型化とゼロ電圧スイッチングを可能とし、小型、高効率、低ノイズ化する。
【解決手段】直流電源Vdc1の両端に接続され、リアクトルL2とトランスTの3次巻線5cと1次巻線5aとスイッチQ1とが直列に接続された第1直列回路と、3次巻線5cと1次巻線5aとの接続点と1次巻線5aとスイッチQ1との接続点との間に接続され、スイッチQ2とコンデンサC3とが直列に接続された第2直列回路と、3次巻線5cと1次巻線5aとの接続点と直流電源Vdc1の一端との間に接続された平滑コンデンサC4と、1次巻線5aとは逆相に巻回された2次巻線5bに発生した電圧を整流平滑する整流平滑回路D11,C11と、スイッチQ1とスイッチQ2とを交互にオン/オフさせる制御回路10とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高効率、小型、低ノイズな直流変換装置に関する。
図10に従来のこの種の直流変換装置の回路構成図を示す。図10に示す直流変換装置において、直流電源Vdc1にトランスTの1次巻線50a(巻数n1)を介してMOSFET等からなる主スイッチQ1が接続され、この主スイッチQ1の両端には、直列に接続された抵抗R13及びコンデンサC13が接続されている。また、1次巻線50aの両端には、直列に接続された抵抗R12及びダイオードD12が接続され、抵抗R12には並列にコンデンサC12が接続されている。主スイッチQ1は、制御回路100のPWM制御によりオン/オフするようになっている。
また、トランスTの1次巻線50aとトランスTの2次巻線50bとは互いに逆相電圧が発生するように巻回されており、トランスTの2次巻線50b(巻数n2)にはダイオードD11及び平滑コンデンサC11からなる整流平滑回路が接続されている。この整流平滑回路は、トランスTの2次巻線50bに誘起された電圧(オン/オフ制御されたパルス電圧)を整流平滑して直流出力を負荷RLに出力する。
制御回路100は、図示しない演算増幅器及びフォトカプラを有し、演算増幅器は、負荷RLの出力電圧と基準電圧とを比較し、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1に印加されるパルスのオン幅を狭くするように制御する。すなわち、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、主スイッチQ1のパルスのオン幅を狭くすることで、出力電圧を一定電圧に制御するようになっている。
次に、このように構成された直流変換装置の動作を図11に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図11では、主スイッチQ1の両端間の電圧Q1v、主スイッチQ1に流れる電流Q1i、主スイッチQ1をオン/オフ制御するQ1制御信号を示している。
まず、時刻t31において、Q1制御信号により主スイッチQ1がオンし、直流電源Vdc1からトランスTの1次巻線50aを介して主スイッチQ1に電流Q1iが流れる。この電流は、時刻t32まで時間の経過とともに直線的に増大していく。また、1次巻線50aを流れる電流n1iも電流Q1iと同様に時刻t32まで時間の経過とともに直線的に増大していく。
なお、時刻t31から時刻t32では、1次巻線50aの主スイッチQ1側が−側になり、且つ1次巻線50aと2次巻線50bとは逆相になっているので、ダイオードD11のアノード側が−側になるため、ダイオードD11には電流D1iは流れない。
次に、時刻t32において、主スイッチQ1は、Q1制御信号により、オン状態からオフ状態に変わる。このとき、トランスTの1次巻線50aに誘起された励磁エネルギーと、リーケージインダクタンスLg(2次巻線50bと結合していないインダクタンス)の励磁エネルギーは、コンデンサC13に蓄えられる。このため、トランスTの1次巻線50aのリーケージインダクタンスLgとコンデンサC13とにより電圧共振が形成される。
また、そのときの共振波形は、図12に示すように、ターンオフ時(オン状態からオフ状態に変わること)にリンギング波形RG(減衰振動波形)となる。なお、コンデンサC13の値と抵抗R13の値とを適当な値に調整すれば、このリンギング波形を非常に小さくすることができる。
そして、コンデンサC13の電圧とコンデンサC12の電圧とが等しくなったとき、ダイオードD12がオンし、励磁エネルギーは、コンデンサ12に蓄えられる。また、時刻t32〜時刻t33では、主スイッチQ1がオフであるため、電流Q1i及び電流n1iは零になる。
なお、時刻t32から時刻t33では、1次巻線50aの主スイッチQ1側が+側になり、且つ1次巻線50aと2次巻線50bとは逆相になっているので、ダイオードD11のアノード側が+側になるため、ダイオードD11に電流D1iが流れる。
このような直流変換装置によれば、主スイッチQ1の両端にスナバ回路(D12,C12,R12,C13,R13)を挿入し、主スイッチQ1の電圧の時間的な変化を緩やかにすることで、スイッチングノイズを低減できると共に、トランスTのリーケージインダクタンスLgによる主スイッチQ1へのサージ電圧を抑制することができる。
原田耕介著「スイッチング電源 ハンドブック」日刊工業新聞社出版、第2章スイッチング電源の基本回路と設計演習 p.27 図2.2 清水和男著「高速スイッチングレギュレータ」総合電子出版社、2.2.1他励型コンバータ p30 図2.5
しかしながら、図10に示す直流変換装置にあっては、コンデンサC13に充電された電荷を抵抗R13によって消費させ、コンデンサC12に充電された電荷を抵抗R12によって消費させるため、損失が増大した。この損失は、コンデンサ容量、変換周波数に比例するため、ノイズ抑制を目的としてコンデンサ容量を増やしたり、あるいは、小型化を目的として変換周波数を上昇させた場合には、損失が増大し、効率が低下する欠点があった。
また、図10に示す直流変換装置にあっては、主スイッチQ1をオンした時にトランスTにエネルギーを蓄え、主スイッチQ1をオフした時に2次巻線50bを介して負荷RLに電力を供給する構成となっている。このとき、トランスTが直流励磁(直流磁化)されるため、トランスTのB−H特性は図13に示すように直流励磁分にさらに交流分(磁束の動作範囲)が加わったものとなり、交流分の動作範囲が狭い。このため、図14に示すように、コの字型のコア110,111との間に比較的大きなギャップ113を設け、コアの飽和を回避していた。このため、ギャップ113の周辺の磁束により、巻線50a,50bに渦電流が生じ、効率低下の原因となっていた。
本発明は、トランスの直流励磁の軽減によるトランスの小型化とゼロ電圧スイッチングを可能とし、小型、高効率、低ノイズ化することができる直流変換装置を提供することにある。
本発明は前記課題を解決するために以下の構成とした。請求項1の発明は、直流電源の両端に接続され、第1リアクトルとトランスの3次巻線と前記トランスの1次巻線と主スイッチとが直列に接続された第1直列回路と、前記トランスの3次巻線と前記1次巻線との接続点と前記トランスの1次巻線と前記主スイッチとの接続点との間に接続され、補助スイッチとスナバコンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、前記トランスの3次巻線と前記1次巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された平滑コンデンサと、前記1次巻線とは逆相に巻回された前記トランスの2次巻線に発生した電圧を整流平滑する整流平滑回路と、前記主スイッチと前記補助スイッチとを交互にオン/オフさせる制御回路とを有することを特徴とする。
請求項2の発明において、前記主スイッチの両端に接続され、第1ダイオードと第1コンデンサとが並列に接続された第1並列回路と、前記補助スイッチの両端に接続され、第2ダイオードと第2コンデンサとが並列に接続された第2並列回路と、前記トランスの1次巻線と前記第2直列回路との間に接続された第2リアクトルとを有し、前記制御回路は、前記主スイッチの電圧がゼロ電圧になった後、前記第1ダイオードが導通期間中に前記主スイッチをオンさせ、前記補助スイッチの電圧がゼロ電圧になった後、前記第2ダイオードが導通期間中に前記補助スイッチをオンさせることを特徴とする。
請求項3の発明において、前記第1ダイオード及び前記第1コンデンサは、前記主スイッチの寄生ダイオード及び寄生容量であり、前記第2ダイオード及び前記第2コンデンサは、前記補助スイッチの寄生ダイオード及び寄生容量であることを特徴とする。
請求項4の発明において、前記第1リアクトル及び前記第2リアクトルは、前記トランスのリーケージインダクタンスであることを特徴とする。
請求項5の発明において、前記トランスは、磁気回路が形成された第1脚、第2脚及び第3脚を有するコアからなり、前記第1脚に前記1次巻線と前記2次巻線とを巻回し、前記第2脚に前記3次巻線を巻回し、前記第3脚にギャップを設けたことを特徴とする。
請求項6の発明において、前記3次巻線の巻数は、前記1次巻線の巻数以上であり、前記3次巻線は、前記1次巻線と同相に巻回されていることを特徴とする。
請求項7の発明において、前記直流電源は、交流電源と、この交流電源に接続されて交流電圧を整流する入力整流回路とからなり、前記入力整流回路の一方の出力端と他方の出力端との間に接続され、入力平滑コンデンサと前記交流電源がオンされたときに前記入力平滑コンデンサの突入電流を軽減する突入電流制限抵抗とが直列に接続された直列回路を有し、前記主スイッチは、前記入力整流回路の一方の出力端に前記突入電流制限抵抗を介して接続されたノーマリオンタイプのスイッチからなり、前記制御回路は、前記交流電源がオンされたときに前記突入電流制限抵抗に発生した電圧により前記主スイッチをオフさせ、前記入力平滑コンデンサが充電された後、前記主スイッチをオン/オフさせるスイッチング動作を開始させることを特徴とする。
請求項8の発明において、前記トランスは4次巻線をさらに備え、該トランスの4次巻線に発生する電圧を前記制御回路に供給する通常動作電源部を有することを特徴とする。
請求項9の発明は、前記突入電流制限抵抗に並列に接続された半導体スイッチを有し、前記制御回路は、前記主スイッチのスイッチング動作を開始させた後、前記半導体スイッチをオンさせることを特徴とする。
本発明によれば、一つのコアでトランスを構成でき、主スイッチがオン時及びオフ時ともに直流励磁をキャンセルできるため、小型、高効率、低ノイズの直流変換装置を提供することができる。
また、ゼロ電圧スイッチングを達成でき、共振作用により電圧の立ち上がり、立下りも緩やかとなり、低ノイズ、高効率な直流変換装置を提供することができる。
以下、本発明に係る直流変換装置の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
第1の実施の形態に係る直流変換装置は、フライバック方式のスイッチング電源装置であり、トランスの1次巻線に直列に3次巻線を接続し、3次巻線に直列にリアクトルを接続して、トランスの巻線に流れる電流の起磁力を常に相殺することにより、トランスの直流励磁を軽減させ、トランスの小型化を図ることを特徴とする。
また、主スイッチのオン時に3次巻線に接続されたリアクトルに電力を蓄え、主スイッチのオフ時に、2次巻線を介して負荷に電力を供給するとともに、平滑コンデンサを充電し、1次巻線に接続されたリアクトルに蓄えられた電力を、スナバコンデンサに蓄え、補助スイッチをオンすることにより、この電力を出力に還流するとともに、ゼロ電圧スイッチングを達成し、高効率、低ノイズ化することを特徴とする。
図1は第1の実施の形態に係る直流変換装置の回路構成図である。図1に示す直流変換装置において、直流電源Vdc1の両端には、リアクトルL2とトランスTの3次巻線5c(巻数n3)とリアクトルL3とトランスTの1次巻線5a(巻数n1)とMOSFET等からなるスイッチQ1(主スイッチ)との直列回路が接続されている。スイッチQ1の両端にはダイオードD1とコンデンサC1(共振用コンデンサ)とが並列に接続されている。
トランスTの1次巻線5aの一端とスイッチQ1の一端との接続点にはMOSFET等からなるスイッチQ2(補助スイッチ)の一端が接続され、スイッチQ2の他端はコンデンサC3(スナバコンデンサ)を介してトランスTの3次巻線5cとリアクトルL3との接続点に接続されている。
スイッチQ2の両端にはダイオードD2及びコンデンサC2が並列に接続されている。トランスTの3次巻線5cとリアクトルL3との接続点と、直流電源Vdc1の負極との間には平滑コンデンサC4が接続されている。スイッチQ1,Q2は、共にオフとなる期間(デッドタイム)を有し、制御回路10のPWM制御により交互にオン/オフする。
なお、ダイオードD1及びコンデンサC1は、スイッチQ1の寄生ダイオード及び寄生容量であってもよく、ダイオードD2及びコンデンサC2は、スイッチQ2の寄生ダイオード及び寄生容量であってもよい。また、リアクトルL2は、トランスTの巻線間のリーケージインダクタンスであってもよく、リアクトルL3は、トランスTの巻線間のリーケージインダクタンスであってもよい。
トランスTのコアには、1次巻線5aと密結合させてトランスTの2次巻線5b(n2)が巻回されており、また、トランスTのコアには、1次巻線5aと疎結合させてトランスTの3次巻線5c(n3)が巻回されている。2次巻線5bの両端には、ダイオードD11と平滑コンデンサC11とからなる整流平滑回路が接続されている。平滑コンデンサC11は直流出力を負荷RLに出力する。
また、トランスTの3次巻線5cの巻数は、トランスT1の1次巻線5aの巻数以上となっている。トランスTの2次巻線5bは、トランスTの1次巻線5aに対して逆相に巻回され、トランスTの3次巻線5cは、トランスTの1次巻線5aと同相に巻回されている。
制御回路10は、スイッチQ1とスイッチQ2とを交互にオン/オフ制御し、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、スイッチQ1に印加されるパルスのオン幅を狭くし、スイッチQ2に印加されるパルスのオン幅を広くするように制御する。すなわち、負荷RLの出力電圧が基準電圧以上となったときに、スイッチQ1のパルスのオン幅を狭くすることで、出力電圧を一定電圧に制御するようになっている。
また、制御回路10は、スイッチQ1をターンオンするときに、スイッチQ1の電圧がスイッチQ1と並列に接続されたコンデンサC1とトランスTの巻線間のリーケージインダクタンスとの共振によりゼロ電圧となった時から所定期間中にスイッチQ1をオンさせる。
次にこのように構成された第1の実施の形態に係る直流変換装置の動作を図2乃至図4に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図2は第1の実施の形態に係る直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。図3は第1の実施の形態に係る直流変換装置のスイッチQ1のターンオン時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。図4は第1の実施の形態に係る直流変換装置のスイッチQ1のターンオフ時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。
なお、図2乃至図4では、スイッチQ1の両端間の電圧Q1v、スイッチQ1に流れる電流Q1i、スイッチQ2の両端間の電圧Q2v、スイッチQ2に流れる電流Q2i、3次巻線5cに流れる入力電流Ii、ダイオードD11に流れる電流で且つ2次巻線5bに流れる電流I、スイッチQ1をオン/オフ制御するQ1制御信号(Q1g)、スイッチQ2をオン/オフ制御するQ2制御信号(Q2g)を示している。
また、図6は第1の実施の形態に係る直流変換装置のトランスの各巻線に流れる電流のタイミングチャートである。図6では、3次巻線5cに流れる入力電流Iで且つ入力電流Iiとは大きさが同じで正負の符号が逆の電流(−Ii)、1次巻線5aに流れる主巻線電流I、2次巻線5bに流れる出力電流Iを示している。また、図6では、1次巻線5a、2次巻線5b、3次巻線5cの巻数を同一巻数としたときの波形である。
まず、時刻t(時刻t11〜t14に対応)において、スイッチQ1をオンさせると、C4→L3→5a→Q1→C4で電流Q1iが流れて増加していく。また、これと同時に、1次巻線5aに疎結合したトランスTの3次巻線5cにも電圧が発生し、Vdc1→L2→5c→C4→Vdc1で入力電流Iiが流れて増加していく。入力電流Iは減少していく。このため、平滑コンデンサC4に電力を供給するとともに、リアクトルL2に電力を蓄える。
次に、時刻t(時刻t21〜t23に対応)において、スイッチQ1をオフさせると、リアクトルL2の電流は流れ続けるため、3次巻線5cの電圧が反転し、これと同時に1次巻線5aの電圧及び2次巻線5bの電圧も反転する。このため、
リアクトルL2に蓄えられたエネルギーはトランスTの3次巻線5cを介して2次巻線5bに伝達されるため、2次巻線5bに電流Iが流れ始めて、ダイオードD11が導通し、負荷RLに電力が供給されるとともに、平滑コンデンサC4が充電される。
また、トランスTの1次巻線5aの電圧が反転するとともに、リアクトルL3に蓄えられたエネルギーにより、時刻t23において、L3→5a→D2→C3→L3と電流D2iが流れて、コンデンサC1を充電するとともに、コンデンサC2を放電させる。コンデンサC2の放電が終了した(スイッチQ2の電圧Q2vがゼロ電圧になった)後、ダイオードD2を介してコンデンサC3を充電する。ダイオードD2が導通中の時刻t23に、スイッチQ2をオンさせると、スイッチQ2のゼロ電圧スイッチングを達成することができる。
コンデンサC3の充電が完了した後、コンデンサC3に充電された電荷は、スイッチQ2、1次巻線5aを介して、出力に放出される。このとき、スイッチQ2に電流Q2iが流れ、1次巻線5aに電流Iが流れるとともに、2次巻線5bに電流Iが流れる。また、1次巻線5aの電圧は、出力電圧によりクランプされるため、電流Iは、リアクトルL3とコンデンサC3との共振動作により、正弦波状に流れる(図6に示す例えば時刻t〜tの波形)。
このため、スイッチQ1のオフ期間を半周期とする周波数より低い周波数になるように、リアクトルL3とコンデンサC3との定数を設定すると、スイッチQ2のオフ時に電流Iが正であるため、電流Iは継続して、L3→C4→C1→5a→L3と流れる。このため、コンデンサC1が放電され、コンデンサC2が充電される。
コンデンサC1の放電が終了した(スイッチQ1の電圧Q1vがゼロ電圧になった)後、ダイオードD1が導通する。このダイオードD1が導通している期間中(図3に示す例えば時刻t13)に、スイッチQ1をオンさせると、スイッチQ1のゼロ電圧スイッチングを達成することができる。
出力電圧は、リアクトルL2のエネルギーに比例するため、スイッチQ1のオン/オフのデューティを制御回路10により制御することにより、出力電圧を制御することができる。
また、図6からもわかるように、主巻線電流Iと出力電流Iと入力電流Iとの電流の総和は、全てのタイミングにおいて、略ゼロとなっている。即ち、全体のトランスTとしては直流起磁力が減少し、つまり直流励磁分が略ゼロであることがわかる。従って、トランスTのギャップは少なくなり、インダクタンスの大きなトランスを容易に製作できる。また、直流励磁分は略ゼロとなるので、磁束の動作範囲が拡大することができる。これにより、トランスを小型化できる。
このように第1の実施の形態に係る直流変換装置によれば、トランスTの1次巻線5aに直列に3次巻線5cを接続し、3次巻線5cに直列にリアクトルL2を接続して、トランスTの巻線に流れる電流の起磁力を常に相殺することにより、トランスTの直流励磁を軽減させ、トランスTの小型化を図ることができる。
また、スイッチQ1をオンした時に3次巻線5cに接続されたリアクトルL2に電力を蓄え、スイッチQ1をオフした時に、2次巻線5bを介して負荷RLに電力を供給するとともに、平滑コンデンサC4を充電し、1次巻線5aに接続されたリアクトルL3に蓄えられた電力を、スナバコンデンサC3に蓄え、スイッチQ2をオンすることにより、この電力を出力に還流するとともに、ゼロ電圧スイッチングを達成でき、高効率、低ノイズ化することができる。
図5は第1の実施の形態に係る直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。図5に示すトランスは、日の字型のコア20を有し、コア20の中央脚20aには、1次巻線5aと、1次巻線5a上で1次巻線5aと密結合させた2次巻線5bとが巻回されている。即ち、1次巻線5aと2次巻線5bとを同一脚に巻回し、小さなリーケージインダクタンスを得ている。このリーケージインダクタンスをリアクトルL3の代用としている。
また、側脚20dには、3次巻線5cが巻回され、側脚20bには、ギャップ20cが形成されている。このギャップ20cにより大きなリーケージインダクタンスを3次巻線5c及び1次巻線5aに設け、このリーケージインダクタンスをリアクトルL2の代用している。
リアクトルL2,L3にリーケージインダクタンスを用いることにより、全ての巻線を1つのトランスTで構成できるので、トランスTを小型化できる。
また、トランスTのコアの中央脚にギャップを設ければ、トランスTの偏励磁による飽和を防止でき、基本的に動作は変わらない。また、大きなリーケージインダクタンスを持たせることもでき、入力電流が連続となり、その電流の実効値が低減するとともに、ノイズを低減できる。
次に第2の実施の形態に係る直流変換装置を説明する。第1の実施の形態に係る直流変換装置では、スイッチとして、ノーマリオフタイプのMOS FET等を用いた。このノーマリオフタイプのスイッチは、電源がオフ時にオフ状態となるスイッチである。
一方、SIT(static induction transistor、静電誘導トランジスタ)等のノーマリオンタイプのスイッチは、電源がオフ時にオン状態となるスイッチである。このノーマリオンタイプのスイッチは、スイッチングスピードが速く、オン抵抗も低くスイッチング電源等の電力変換装置に使用した場合、理想的な素子であり、スイッチング損失を減少させ高効率が期待できる。
しかし、ノーマリオンタイプのスイッチング素子にあっては、電源をオンすると、スイッチがオン状態であるため、スイッチが短絡する。このため、ノーマリオンタイプのスイッチを起動できず、特殊な用途以外には使用できない。
そこで、第2の実施の形態に係る直流変換装置は、第1の実施の形態に係る直流変換装置の構成を有すると共に、スイッチQ1nにノーマリオンタイプのスイッチを使用するために、交流電源オン時に、入力平滑コンデンサの突入電流を軽減する目的で挿入されている突入電流制限抵抗の電圧降下による電圧を、ノーマリオンタイプのスイッチの逆バイアス電圧に使用し、電源オン時の問題をなくす構成を追加したことを特徴とする。
図7は第2の実施の形態に係る直流変換装置を示す回路構成図である。図7に示す直流変換装置は、図1に示す第1の実施の形態に係る直流変換装置の構成を有すると共に、交流電源Vac1から入力される交流電圧を全波整流回路B1で整流して、得られた電圧を別の直流電圧に変換して出力するもので、全波整流回路B1の正極側出力端P1と負極側出力端P2との間には、入力平滑コンデンサC5と突入電流制限抵抗R1とからなる直列回路が接続されている。入力平滑コンデンサC5の容量は、平滑コンデンサC4の容量よりも大きいものとする。なお、交流電源Vac1及び全波整流回路B1は、図1に示す直流電源Vdc1に対応する。
全波整流回路B1の正極側出力端P1には、リアクトルL2、トランスTbの3次巻線5c、リアクトルL3、トランスTbの1次巻線5aを介してSIT等のノーマリオンタイプのスイッチQ1nが接続され、スイッチQ1nは、制御回路11のPWM制御によりオン/オフする。なお、スイッチQ2は、ノーマリオフタイプのスイッチである。
また、突入電流制限抵抗R1の両端にはスイッチS1が接続されている。このスイッチS1は、例えばノーマリオフタイプのMOSFET,BJT(バイポーラ接合トランジスタ)等の半導体スイッチであり、制御回路11からの短絡信号によりオン制御される。
突入電流制限抵抗R1の両端には、コンデンサC6と抵抗R2とダイオードD5とからなる起動電源部12が接続されている。この起動電源部12は、突入電流制限抵抗R1の両端に発生する電圧を取り出し、コンデンサC6の両端電圧をスイッチQ1nのゲートへの逆バイアス電圧として使用するために、制御回路11に出力する。また、平滑コンデンサC4に充電された充電電圧を制御回路11に供給する。
制御回路11は、交流電源Vac1をオンしたときに、コンデンサC6から供給された電圧により起動し、制御信号として端子bからスイッチQ1nのゲートに逆バイアス電圧を出力し、スイッチQ1nをオフさせる。この制御信号は、例えば、−15Vと0Vとのパルス信号からなり、−15Vの電圧によりスイッチQ1nがオフし、0Vの電圧によりスイッチQ1nがオンする。
制御回路11は、入力平滑コンデンサC5の充電が完了した後、端子bから制御信号として0Vと−15Vとのパルス信号をスイッチQ1nのゲートに出力し、スイッチQ1nをスイッチング動作させる。制御回路11は、スイッチQ1nをスイッチング動作させた後、所定時間経過後にスイッチS1のゲートに短絡信号を出力し、スイッチS1をオンさせる。
また、トランスTbに設けられた4次巻線5d(巻数n4)の一端は、スイッチQ1nの一端とコンデンサC7の一端と制御回路11とに接続され、4次巻線5dの他端は、ダイオードD7のカソードに接続され、ダイオードD7のアノードはコンデンサC7の他端及び制御回路11の端子cに接続されている。4次巻線5dとダイオードD7とコンデンサC7とは通常動作電源部13を構成し、この通常動作電源部13は、4次巻線5dで発生した電圧をダイオードD7及びコンデンサC7を介して制御回路11に供給する。
次にこのように構成された第2の実施の形態に係る直流変換装置の動作を図7乃至図9を参照しながら説明する。
なお、図9において、Vac1は、交流電源Vac1の交流電圧を示し、入力電流は、交流電源Vac1に流れる電流を示し、R1電圧は、突入電流制限抵抗R1に発生する電圧を示し、C5電圧は、入力平滑コンデンサC5の電圧を示し、C6電圧は、コンデンサC6の電圧を示し、出力電圧は、コンデンサC11の電圧を示し、制御信号は、制御回路11の端子bからスイッチQ1nのゲートへ出力される信号を示す。
まず、時刻tにおいて、交流電源Vac1を印加(オン)すると、交流電源Vac1の交流電圧は全波整流回路B1で全波整流される。このとき、ノーマリオンタイプのスイッチQ1nは、オン状態であり、スイッチS1は、オフ状態である。このため、全波整流回路B1からの電圧は、入力平滑コンデンサC5を介して突入電流制限抵抗R1に印加される(図8中の(1))。
この突入電流制限抵抗R1に発生した電圧は、ダイオードD5、抵抗R2を介してコンデンサC6に蓄えられる(図8中の(2))。ここで、コンデンサC6の端子f側が例えば零電位となり、コンデンサC6の端子g側が例えば負電位となる。このため、コンデンサC6の電圧は、図9に示すように、負電圧(逆バイアス電圧)となる。このコンデンサC6の負電圧が端子aを介して制御回路11に供給される。
そして、コンデンサC6の電圧が、スイッチQ1nのスレッシホールド電圧THLになった時点(図9の時刻t)で、制御回路11は、端子bから−15Vの制御信号をスイッチQ1nのゲートに出力する(図8中の(3))。このため、スイッチQ1nは、オフ状態となる。
すると、全波整流回路B1からの電圧により、入力平滑コンデンサC5は、充電されて(図8中の(4))、入力平滑コンデンサC5の電圧が上昇していき、入力平滑コンデンサC5の充電が完了する。
次に、時刻tにおいて、制御回路11は、スイッチング動作を開始させる。始めに、端子bから0Vの制御信号をスイッチQ1nのゲートに出力する(図8中の(5))。このため、スイッチQ1nは、オン状態となると、C4→L3→5a→Q1n→C4で電流Q1iが流れる(図8中の(6−1))。また、これと同時に、1次巻線5aに疎結合したトランスTbの3次巻線5cにも電圧が発生し、P1→L2→5c→C4→R1→P2で電流が流れて、平滑コンデンサC4に電力を供給するとともに(図8中の(6−2))、リアクトルL2に電力を蓄える。
また、トランスTbの1次巻線5aと電磁結合している4次巻線5dにも電圧が発生し、発生した電圧は、ダイオードD7及びコンデンサC7を介して制御回路11に供給される(図8中の(7))。このため、制御回路11が動作を継続することができるので、スイッチQ1nのスイッチング動作を継続して行うことができる。
次に、時刻tにおいて、端子bから−15Vの制御信号をスイッチQ1nのゲートに出力する。このため、時刻tにスイッチQ1nがオフすると、リアクトルL2の電流は流れ続けるため、3次巻線5cの電圧が反転し、これと同時に1次巻線5aの電圧及び2次巻線5bの電圧も反転する。このため、2次巻線5bに電流Iが流れ始めて、ダイオードD11が導通し、負荷RLに電力が供給されるとともに、平滑コンデンサC4が充電される。
また、時刻tに制御回路11から短絡信号をスイッチS1に出力すると、スイッチS1がオンして(図8中の(8))、突入電流制限抵抗R1の両端が短絡される。このため、突入電流制限抵抗R1の損失を減ずることができる。
なお、時刻tは、交流電源Vac1をオンしたとき(時刻t)からの経過時間として設定され、例えば入力平滑コンデンサC5と突入電流制限抵抗R1との時定数(τ=C5・R1)の約5倍以上の時間に設定される。以後、スイッチQ1nはオン/オフによるスイッチング動作を繰り返す。スイッチQ1nがスイッチング動作を開始した後には、スイッチQ1n及びスイッチQ2は、図1に示す第1の実施の形態に係る直流変換装置のスイッチQ1,Q2の動作、即ち、図2、図3、図4に示すタイミングチャートに従った動作と同様に動作する。
このように第2の実施の形態に係る直流変換装置によれば、制御回路11は、交流電源Vac1がオンされたときに突入電流制限抵抗R1に発生した電圧によりスイッチQ1nをオフさせ、入力平滑コンデンサC5が充電された後、スイッチQ1nをオン/オフさせるスイッチング動作を開始させるので、電源オン時における問題もなくなる。従って、ノーマリオンタイプの半導体スイッチが使用可能となり、損失の少ない、即ち、高効率な直流変換装置を提供することができる。
本発明の直流変換装置は、DC−DC変換型の電源回路やAC−DC変換型の電源回路に適用可能である。
第1の実施の形態に係る直流変換装置を示す回路構成図である。 第1の実施の形態に係る直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。 第1の実施の形態に係る直流変換装置のスイッチQ1のターンオン時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。 第1の実施の形態に係る直流変換装置のスイッチQ1のターンオフ時の各部における信号の詳細を示すタイミングチャートである。 第1の実施の形態に係る直流変換装置に設けられたトランスの構造図である。 第1の実施の形態に係る直流変換装置のトランスの各巻線に流れる電流のタイミングチャートである。 第2の実施の形態に係る直流変換装置を示す回路構成図である。 第2の実施の形態に係る直流変換装置の動作を説明するための図である。 第2の実施の形態に係る直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。 従来の直流変換装置を示す回路構成図である。 従来の直流変換装置の各部における信号のタイミングチャートである。 従来の直流変換装置における主スイッチのターンオフ時のリンギング波形を示すタイミングチャートである。 従来の直流変換装置に設けられたトランスのB−H特性を示す図である。 従来の直流変換装置に設けられたトランスを示す構造図である。
符号の説明
Vdc1 直流電源
Vac1 交流電源
B1 全波整流回路
10,11,100 制御回路
Q1,Q2,Q1n スイッチ
RL 負荷
R1,R2,R12,R13 抵抗
C1〜C3,C12,C13 コンデンサ
C4,C11 平滑コンデンサ
C5 入力平滑コンデンサ
S1 スイッチ
T,Tb トランス
5a 1次巻線(n1)
5b 2次巻線(n2)
5c 3次巻線(n3)
5d 4次巻線(n4)
12 起動電源部
13 通常動作電源部
D1,D2,D5,D6,D11,D12 ダイオード
L2,L3 リアクトル

Claims (9)

  1. 直流電源の両端に接続され、第1リアクトルとトランスの3次巻線と前記トランスの1次巻線と主スイッチとが直列に接続された第1直列回路と、
    前記トランスの3次巻線と前記1次巻線との接続点と前記トランスの1次巻線と前記主スイッチとの接続点との間に接続され、補助スイッチとスナバコンデンサとが直列に接続された第2直列回路と、
    前記トランスの3次巻線と前記1次巻線との接続点と前記直流電源の一端との間に接続された平滑コンデンサと、
    前記1次巻線とは逆相に巻回された前記トランスの2次巻線に発生した電圧を整流平滑する整流平滑回路と、
    前記主スイッチと前記補助スイッチとを交互にオン/オフさせる制御回路と、
    を有することを特徴とする直流変換装置。
  2. 前記主スイッチの両端に接続され、第1ダイオードと第1コンデンサとが並列に接続された第1並列回路と、
    前記補助スイッチの両端に接続され、第2ダイオードと第2コンデンサとが並列に接続された第2並列回路と、
    前記トランスの1次巻線と前記第2直列回路との間に接続された第2リアクトルとを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチの電圧がゼロ電圧になった後、前記第1ダイオードが導通期間中に前記主スイッチをオンさせ、前記補助スイッチの電圧がゼロ電圧になった後、前記第2ダイオードが導通期間中に前記補助スイッチをオンさせることを特徴とする請求項1記載の直流変換装置。
  3. 前記第1ダイオード及び前記第1コンデンサは、前記主スイッチの寄生ダイオード及び寄生容量であり、前記第2ダイオード及び前記第2コンデンサは、前記補助スイッチの寄生ダイオード及び寄生容量であることを特徴とする請求項2記載の直流変換装置。
  4. 前記第1リアクトル及び前記第2リアクトルは、前記トランスのリーケージインダクタンスであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の直流変換装置。
  5. 前記トランスは、磁気回路が形成された第1脚、第2脚及び第3脚を有するコアからなり、前記第1脚に前記1次巻線と前記2次巻線とを巻回し、前記第2脚に前記3次巻線を巻回し、前記第3脚にギャップを設けたことを特徴とする請求項4記載の直流変換装置。
  6. 前記3次巻線の巻数は、前記1次巻線の巻数以上であり、前記3次巻線は、前記1次巻線と同相に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の直流変換装置。
  7. 前記直流電源は、交流電源と、この交流電源に接続されて交流電圧を整流する入力整流回路とからなり、
    前記入力整流回路の一方の出力端と他方の出力端との間に接続され、入力平滑コンデンサと前記交流電源がオンされたときに前記入力平滑コンデンサの突入電流を軽減する突入電流制限抵抗とが直列に接続された直列回路を有し、
    前記主スイッチは、前記入力整流回路の一方の出力端に前記突入電流制限抵抗を介して接続されたノーマリオンタイプのスイッチからなり、
    前記制御回路は、前記交流電源がオンされたときに前記突入電流制限抵抗に発生した電圧により前記主スイッチをオフさせ、前記入力平滑コンデンサが充電された後、前記主スイッチをオン/オフさせるスイッチング動作を開始させることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の直流変換装置。
  8. 前記トランスは4次巻線をさらに備え、該トランスの4次巻線に発生する電圧を前記制御回路に供給する通常動作電源部を有することを特徴とする請求項7記載の直流変換装置。
  9. 前記突入電流制限抵抗に並列に接続された半導体スイッチを有し、
    前記制御回路は、前記主スイッチのスイッチング動作を開始させた後、前記半導体スイッチをオンさせることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の直流変換装置。
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