JP7129927B2 - 絶縁型スイッチング電源 - Google Patents

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Description

本発明は、ワンコンバータ型の絶縁型スイッチング電源に関する。
交流を直流に電力変換するスイッチング電源として、力率改善回路としての非絶縁型昇圧コンバータ(例えば特許文献1、2)とその後段の絶縁型DC/DCコンバータとからなるツーコンバータ型の絶縁型スイッチング電源が知られている。後段の絶縁型DC/DCコンバータの代表的なタイプとして、フォワード方式とフライバック方式がある。大出力電源にはフォワード方式が適している。
一方、特許文献3、4のように、非絶縁型昇圧コンバータと後段の絶縁型DC/DCコンバータを1つに統合したワンコンバータ型のスイッチング電源も知られている。
また、絶縁型スイッチング電源の一次側のスイッチング素子は、原理的には1つでよいが、大出力化、スイッチング素子の耐圧特性の軽減、及び/又はトランスの効率的利用等のために、特許文献5のように複数のスイッチング素子からなるフルブリッジ回路やプッシュプル回路等が知られている。
特開2002-010632号公報 特開平07-031150号公報 特開平5-236749号公報 特開2002-300780号公報 特開2015-70716号公報
上述した従来のワンコンバータ型の絶縁型スイッチング電源には、幾つかの問題点がある。スイッチング電源の大出力化を図るためにフォワード方式では、スイッチング素子のオン時にトランスの二次コイルに生じる起電力が、出力端の平滑コンデンサの電圧を超えたときにのみ出力電流が流れる。従って、二次コイルの起電力が小さい範囲では電流が出力されず、このことが力率を悪化させる。
さらに、スイッチングにおいてフルブリッジ方式や同期整流等を採用した場合、デッドタイム制御や一次側と二次側のスイッチングタイミングの調整等の精密かつ煩雑な制御が必要である。また、一次側においてフルブリッジ方式のスイッチングを行う場合、二次側において正極と負極にそれぞれ対応する一対のリアクトルを設ける必要があり、構成が複雑となる。
以上の現状から、本発明は、ワンコンバータ方式の絶縁型スイッチング電源において、力率を良好とすると共に、回路構成を簡素化することを目的とする。
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。
本発明の態様は、同極性の一次コイルと二次コイルを具備するトランスと、前記一次コイルを含む電流路を導通又は遮断するべく互いに180°位相の異なる第1の制御信号及び第2の制御信号によりそれぞれオンオフ制御される少なくとも1つの第1のスイッチング素子及び少なくとも1つの第2のスイッチング素子と、二次側の出力端と接地端との間に接続された平滑コンデンサと、を有する絶縁型スイッチング電源において、
コアと、前記コアに同極性で巻かれ互いに疎結合である第1のコイル及び第2のコイルとを具備し、前記第1のコイルの始端が前記トランスの二次コイルの始端に接続されかつ前記第2のコイルの終端が前記トランスの二次コイルの終端に接続されたチョークトランスと、
前記チョークトランスの第1のコイルの終端と前記二次側の接地端の間の電流路を導通又は遮断するべく前記第1のスイッチング素子と同じタイミングでオンオフ制御される第3のスイッチング素子と、
前記チョークトランスの第2のコイルの始端と前記二次側の接地端の間の電流路を導通又は遮断するべく前記第2のスイッチング素子と同じタイミングでオンオフ制御される第4のスイッチング素子と、
前記二次側の接地端から前記チョークトランスの第1のコイルの始端へ流れる電流を導通可能とする第1の整流要素と、
前記チョークトランスの第1のコイルの終端から前記二次側の出力端へ流れる電流を導通可能とする第2の整流要素と、
前記二次側の接地端から前記チョークトランスの第2のコイルの終端へ流れる電流を導通可能とする第3の整流要素と、
前記チョークトランスの第2のコイルの始端から前記二次側の出力端へ流れる電流を導通可能とする第4の整流要素と、を有することを特徴とする。
本発明により、ワンコンバータ方式の絶縁型スイッチング電源において力率を良好とすることができ、かつ、簡易な構成とすることができる。
図1は、本発明の絶縁型スイッチング電源の第1の実施形態の回路構成の一例を概略的に示した図である。 図2は、図1の回路におけるモードI及びIIの電流の流れを示している。 図3は、図1の回路におけるモードIII及びIVの電流の流れを示している。 図4は、図1の回路におけるモードV及びVIの電流の流れを示している。 図5は、図1の回路におけるモードVII及びVIIIの電流の流れを示している。 図6は、図1の回路におけるタイミング図である。
以下、例示した図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明の絶縁型スイッチング電源は、1つのコンバータで力率改善と絶縁の双方の機能を有するワンコンバータ方式を採用している。従って、好適例ではAC/DCコンバータである。典型的な入力電圧は、正弦波の交流電圧を整流したものである。しかしながら、本発明のスイッチング電源は、入力電圧が、正弦波以外の方形波若しくは三角波の電圧、又は一定電圧のときも、同様に機能することができる。
(1)回路構成
図1は、本発明の絶縁型スイッチング電源の回路構成の一例を概略的に示した図である。図1の回路は、入力端1、2と出力端p、nとを有する。入力側と出力側は、トランスTにより絶縁されている。ここでは、入力端2をトランスTの一次側の基準電位(接地端)とし、出力端nをトランスTの二次側の基準電位(接地端)とする。入力端1、2には、典型的には交流電圧を整流した正の電圧が入力される。出力端p、nには、正の直流電圧が出力される。
(1-1)トランスTの一次側の構成
入力される交流電圧は、例えば、系統電源又は各種の発電装置で生成される数Hz~数十Hz程度の周波数を有する正弦波を全波整流した電圧である。
トランスTは、一次コイルN1と二次コイルN2が同極性に巻かれたいわゆるフォワードトランスである(コイルの巻き始端を黒丸で示す)。トランスTの一次側には、入力電圧により一次コイルN1に流れる電流を導通又は遮断するべくそれぞれオンオフ制御される複数のスイッチング素子を含むスイッチング部が設けられている。
図1の回路のスイッチング部は、フルブリッジ回路を構成している。このフルブリッジ回路は、4個のスイッチング素子A1、A2、B1、B2を有し、ここでは一例としてNチャネルMOSFETである。スイッチング素子A1、A2が、同時にオンオフ制御される第1のグループ(以下「グループA」と称する)を構成し、スイッチング素子B1、B2が、同時にオンオフ制御される第2のグループ(以下「グループB」と称する)を構成する。各スイッチング素子は、制御端(ここではゲート)に印加される所定の制御信号(ここでは制御電圧)によりオンオフ制御される。
グループAの各スイッチング素子は制御電圧Vによりオンオフ制御され、グループBの各スイッチング素子は制御電圧Vによりオンオフ制御される。制御電圧V、Vは、好適にはPWM信号である。PWM信号の周波数は、入力交流の周波数よりも高い数十kH~数百kHである。図示しないが、所定の制御電圧V、Vを生成し、出力する制御部が別途設けられている。
好適例では、一次コイルN1を含む電流路に逆流防止ダイオードDA、DBがそれぞれ直列接続されている。逆流防止ダイオードDAの極性は、グループAのスイッチング素子A1、A2のボディダイオードとは逆方向であり、逆流防止ダイオードDBの極性は、グループBのスイッチング素子B1、B2のボディダイオードとは逆方向である。
逆流防止ダイオードDA、DBは、図1に示した位置以外に入力端子1と入力端子2の間の電流路上のいずれかの位置に直列に挿入することができる。なお、ダイオードDA、DBは、必須ではない。
(1-2)トランスTの二次側の構成
トランスTの二次側には、1つのチョークトランスTcが設けられている。チョークトランスTcは、1つのコアと、コアに同極性で巻かれた2つのコイルL1、L2とを有する(各コイルの巻き始端を黒丸で示す)。コイルL1とコイルL2とは疎結合(コアを点線で示す)とする。2つのコイルを互いに疎結合とするためには、例えば2つのコイルの間の距離を離してコアに巻く。これにより、一方のコイルを通る磁束の全てが他方のコイルを通過せず、その一部が漏れ磁束となる疎結合を実現できる。疎結合とすることにより2つのコイルの相互作用を緩慢とすることができる。
トランスTの二次コイルN2の始端が、チョークトランスTcのコイルL1の始端に接続されている。また、トランスTの二次コイルN2の終端が、チョークトランスTcのコイルL2の終端に接続されている。
チョークトランスTcのコイルL1の終端と接地端nとの間の電流路には、スイッチング素子A3が接続されている。スイッチング素子A3は、一例としてnチャネルMOSFETであり、ドレインがコイルL1の終端に、ソースが接地端nに接続されている。スイッチング素子A3は、一次側のAグループのスイッチング素子と同じタイミングで、制御電圧Vによりオンオフ制御される。それによりスイッチング素子A3は、コイルL1の終端と接地端nとの間の電流路を導通又は遮断する。
さらに、トランスTの二次コイルN2の始端とチョークトランスTcのコイルL1の始端との接続点にダイオードD1のカソードが接続され、ダイオードD1のアノードが接地端nに接続されている。ダイオードD1は、接地端nからコイルL1の始端に向かう電流を導通させ、逆方向の電流を遮断する。
さらに、チョークトランスTcのコイルL1の終端にダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードが出力端pに接続されている。ダイオードD2は、コイルL1の終端から出力端pに向かう電流を導通させ、逆方向の電流を遮断する。
一方、チョークトランスTcのコイルL2の始端と接地端nとの間の電流路には、スイッチング素子B3が接続されている。スイッチング素子B3は、一例としてnチャネルMOSFETであり、ドレインがコイルL2の始端に、ソースが接地端nに接続されている。スイッチング素子B3は、一次側のBグループのスイッチング素子と同じタイミングで、制御電圧Vによりオンオフ制御される。それによりスイッチング素子B3は、コイルL2の始端と接地端nとの間の電流路を導通又は遮断する。
さらに、トランスTの二次コイルN2の終端とチョークトランスTcのコイルL2の終端との接続点にダイオードD3のカソードが接続され、ダイオードD3のアノードが接地端nに接続されている。ダイオードD3は、接地端nからコイルL2の終端に向かう電流を導通させ、逆方向の電流を遮断する。
さらに、チョークトランスTcのコイルL2の始端にダイオードD4のアノードが接続され、ダイオードD4のカソードが出力端pに接続されている。ダイオードD4は、コイルL2の始端から出力端pに向かう電流を導通させ、逆方向の電流を遮断する。
出力端pと接地端nの間には平滑コンデンサCが接続されている。接地端nは、二次側の基準電位端である。
図1の回路は、降圧コンバータである。出力電圧は、主としてトランスTの一次コイルN1と二次コイルN2の巻数比により設定可能である。対称的動作を確保するために、チョークトランスTcにおけるコイルL1とコイルL2の巻数は同じとする。
また、図1の回路は、一次側のフルブリッジ回路により双方向駆動されるにも関わらず、二次側の外付けトランスは、1つのチョークトランスTcのみで足りるので、構成を簡素化できる。また、チョークトランスTcのコイルL1とコイルL2は接続されていないため、コイルに中間タップを設ける必要がなく、製作が容易である。
二次側のスイッチング素子A3、B3は、一次側のAグループ、Bグループのスイッチング素子と同じタイミングでオンオフ制御することができる。すなわち、同じ制御電圧V、Vを用いて制御することができる。従って、一次側と二次側のスイッチング素子のスイッチングのタイミングを繊細に制御する必要がない。
(2)回路動作
図2~図6を参照して、図1の回路の動作を説明する。図2~図5は、各動作モードにおいて回路に流れる電流を概略的に示している。
図6は、8つの動作モードI~VIIIにおける各構成要素の波形を概略的に示したタイミング図である。図6(a)は、グループAのスイッチング素子の制御電圧Vを、図6(b)は、グループBのスイッチング素子の制御電圧Vをそれぞれ示している。制御電圧VとVは、同じ長さのオン期間とオフ期間を有しかつ位相が互いに180°異なるPWM信号である。オン期間とオフ期間の長さは、所定のデューティ比となるように制御部により決定される。なお、グループAとグループBのスイッチング素子が同時にオンとならないようにデッドタイム(双方のグループがオフとなる期間)が設けられている。
図1の回路における平滑コンデンサCは、定常状態においてリップル変動を除いてほぼ一定の電圧で充電されている。一般的なフォワード方式の電源では、トランスTの二次コイルN2の起電力が平滑コンデンサCの電圧を超えたときにのみ、出力端pに電流が出力される。入力端1、2に、例えば正弦波の入力電圧が印加される場合、一般的なフォワード方式の電源では、入力電圧の小さい範囲では二次コイルN2の起電力も小さいため、出力端pに電流が出力されない。それに対して図1の回路では、入力電圧の小さい範囲でも出力端pに電流を出力することができる。これにより力率が改善される。
図6に示したモードI~IVは、入力電圧が比較的大きいときの動作に対応し、モードV~VIIIは入力電圧が比較的小さいときの動作に対応する。なお、モードI~IVの動作と、モードV~VIIIの動作との間の切替は、入力電圧の大きさに応じて自動的に行われるので、所定の制御により切り替える必要はない。
図6(c)(d)(e)(f)では、一例として、各構成要素に流れる電流を不連続モードで示しているが、負荷の軽重に応じて電流が臨界モード又は連続モードとなることも有り得る。
(2-1)モードIの動作
図2の上側の図は、モードIの電流の流れを示している。一次側において、スイッチング素子B1、B2がオフのときにスイッチング素子A1、A2がオフからオンになると、一次コイルN1の始端から終端に電流1aが流れる(図6(c)参照)。二次側において、スイッチング素子A3もオフからオンになり、スイッチング素子B3はオフのままである。
一次コイルN1に電流1aが流れると、相互誘導により二次コイルN2において始端が正、終端が負の起電力を生じる。ダイオードD1は逆バイアスに、ダイオードD3は順バイアスとなる。よって、二次コイルN2の起電力により、ダイオードD3→二次コイルN2→コイルL1→スイッチング素子A3→接地端nの経路でフォワード電流2aが流れる(図6(d)(e)参照)。フォワード電流2aが流れることによりコイルL1に磁気エネルギーが蓄積される。
この場合、フォワード電流2aは出力端pへ出力されないが、コイルL1にフォワード電流2aが流れることにより、コイルL2に相互誘導による起電力が生じる。コイルL2の起電力は、始端が正、終端が負である。モードIでは、コイルL2の始端の電位Yが、平滑コンデンサCの正側の電位を超える(ダイオードD4の電圧降下は無視する)。よって、ダイオードD4が順バイアスとなる。従って、コイルL2の起電力により、ダイオードD3→コイルL2→ダイオードD4→出力端pへ誘導電流3aが流れる(図6(f)参照)。従って、モードIでは、誘導電流3aが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。コイルL1とコイルL2は疎結合であるので、誘導電流3aが突入電流のように流れることが回避される。
チョークトランスTcにおいては、コイルL1のフォワード電流2aに対してコイルL2の誘導電流3aが逆方向に流れてコアの磁束の増加を抑制できるのでコアが磁気飽和し難くなり、大電流を流しやすくなる。
(2-2)モードIIの動作
図2の下側の図は、モードIIの電流の流れを示している。一次側のスイッチング素子A1、A2がオンからオフになると、一次コイルN1の電流1aが遮断される(図6(c)参照)。これにより、トランスTの一次コイルN1及び二次コイルN2に逆起電力が生じる。一次コイルN1に生じる逆起電力による入力端1への還流はダイオードDBにより阻止される。これによりモードIにおいてトランスTに蓄積された磁気エネルギーがトランスTに留まる。トランスTに留まった磁気エネルギーは、次に二次コイルN2に電流が流れるときに放出される。
さらに、チョークトランスTcのコイルL1、L2にも逆起電力が生じる。ダイオードD1は順バイアスに、ダイオードD3は逆バイアスとなる。また、ダイオードD2は順バイアスに、ダイオードD4は逆バイアスとなる。これによりモードIIでは、ダイオードD1→コイルL1→ダイオードD2→出力端pの経路でフライバック電流4aが流れる(図6(e)参照)。従って、モードIIでは、フライバック電流4aが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。これによりチョークトランスTcに蓄積された磁気エネルギーが放出される。
(2-3)モードIIIの動作
モードIIIの動作は、モードIの動作と対称的である。
図3の上側の図は、モードIIIの電流の流れを示している。一次側において、スイッチング素子A1、A2がオフのときにスイッチング素子B1、B2がオフからオンになると、一次コイルN1の終端から始端に電流1bが流れる(図6(c)参照)。二次側において、スイッチング素子B3もオフからオンになり、スイッチング素子A3はオフのままである。
一次コイルN1に電流1bが流れると、相互誘導により二次コイルN2において終端が正、始端が負の起電力を生じる。ダイオードD1は順バイアスに、ダイオードD3は逆バイアスとなる。従って、二次コイルN2の起電力により、ダイオードD1→二次コイルN2→コイルL2→スイッチング素子B3→接地端nの経路でフォワード電流2bが流れる(図6(d)(e)参照)。フォワード電流2bが流れることによりコイルL2に磁気エネルギーが蓄積される。
この場合、コイルL2にフォワード電流2bが流れることにより、コイルL1に相互誘導による起電力が生じる。モードIIIでは、コイルL1の終端の電位Xが、平滑コンデンサCの正側の電位を超える(ダイオードD2の電圧降下は無視する)。従って、コイルL1の起電力により、ダイオードD1→コイルL1→ダイオードD2→出力端pへ誘導電流3bが流れる(図6(f)参照)。従って、モードIIIでは、誘導電流3bが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。コイルL1とコイルL2は疎結合であるので、誘導電流3bが突入電流のように流れることが回避される。
(2-4)モードIVの動作
モードIVの動作は、モードIIの動作と対称的である。
図3の下側の図は、モードIVの電流の流れを示している。一次側のスイッチング素子B1、B2がオンからオフになると、一次コイルN1の電流1bが遮断される(図6(c)参照)。これにより、トランスTの一次コイルN1及び二次コイルN2に逆起電力が生じる。一次コイルN1に生じる逆起電力による入力端1への還流はダイオードDAにより阻止される。これによりモードIIIにおいてトランスTに蓄積された磁気エネルギーがトランスTに留まる。トランスTに留まった磁気エネルギーは、次に二次コイルN2にフォワード電流が流れるときに放出される。
さらに、チョークトランスTcのコイルL1、L2にも逆起電力が生じる。ダイオードD1は逆バイアスに、ダイオードD3は順バイアスとなる。また、ダイオードD2は逆バイアスに、ダイオードD4は順バイアスとなる。これによりモードIVでは、ダイオードD3→コイルL2→ダイオードD4→出力端pの経路でフライバック電流4bが流れる(図6(e)参照)。従って、モードIVでは、フライバック電流4bが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。これによりチョークトランスTcに蓄積された磁気エネルギーが放出される。
(2-5)モードVの動作
図4の上側の図は、モードVの電流の流れを示している。一次側において、スイッチング素子B1、B2がオフのときにスイッチング素子A1、A2がオフからオンになると、一次コイルN1の始端から終端に電流1aが流れる(図6(c)参照)。二次側において、スイッチング素子A3もオフからオンになり、スイッチング素子B3はオフのままである。
一次コイルN1に電流1aが流れると、相互誘導により二次コイルN2において始端が正、終端が負の起電力を生じる。ダイオードD1は逆バイアスに、ダイオードD3は順バイアスとなる。従って、二次コイルN2の起電力により、ダイオードD3→二次コイルN2→コイルL1→スイッチング素子A3→接地端nの経路でフォワード電流2aが流れる(図6(d)(e)参照)。フォワード電流2aが流れることによりコイルL1に磁気エネルギーが蓄積される。
モードVでも、コイルL1のフォワード電流2aによる相互誘導によりコイルL2に起電力が生じる。しかしながら、モードVでは、コイルL2の始端の電位Yが、平滑コンデンサCの正側の電位を超えないので、ダイオードD4は逆バイアスとなる。よって、コイルL2に誘導電流は流れない。
(2-6)モードVIの動作
図4の下側の図は、モードVIの電流の流れを示している。一次側のスイッチング素子A1、A2がオンからオフになると、一次コイルN1の電流1aが遮断される(図6(c)参照)。これにより、トランスTの一次コイルN1及び二次コイルN2に逆起電力が生じる。電流1aが遮断されたときの一次側の動作は、上述したモードIIと同様である。
さらに、チョークトランスTcのコイルL1、L2にも逆起電力が生じる。ダイオードD1は順バイアスに、ダイオードD3は逆バイアスとなる。また、ダイオードD2は順バイアスに、ダイオードD4は逆バイアスとなる。これによりモードVIでは、ダイオードD1→コイルL1→ダイオードD2→出力端pの経路でフライバック電流4aが流れる(図6(e)参照)。従って、モードVIでは、フライバック電流4aが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。これによりチョークトランスTcに蓄積された磁気エネルギーが放出される。モードVIの動作は、上述したモードIIの動作と同じである。
(2-7)モードVIIの動作
モードVIIの動作は、モードVの動作と対称的である。
図5の上側の図は、モードVIIの電流の流れを示している。一次側において、スイッチング素子A1、A2がオフのときにスイッチング素子B1、B2がオフからオンになると、一次コイルN1の終端から始端に電流1bが流れる(図6(c)参照)。二次側において、スイッチング素子B3もオフからオンになり、スイッチング素子A3はオフのままである。
一次コイルN1に電流1bが流れると、相互誘導により二次コイルN2において終端が正、始端が負の起電力を生じる。ダイオードD1は順バイアスに、ダイオードD3は逆バイアスとなる。従って、二次コイルN2の起電力により、ダイオードD1→二次コイルN2→コイルL2→スイッチング素子B3→接地端nの経路でフォワード電流2bが流れる(図6(d)(e)参照)。フォワード電流2bが流れることによりコイルL2に磁気エネルギーが蓄積される。
モードVIIでも、コイルL2のフォワード電流2bによる相互誘導によりコイルL1に起電力が生じる。しかしながら、モードVIIでは、コイルL1の終端の電位Xが、平滑コンデンサCの正側の電位を超えないので、ダイオードD2は逆バイアスとなる。よって、コイルL1に誘導電流は流れない。
(2-8)モードVIIIの動作
モードVIIIの動作は、モードVIの動作と対称的である。
図5の下側の図は、モードVIIIの電流の流れを示している。一次側のスイッチング素子B1、B2がオンからオフになると、一次コイルN1の電流1bが遮断される(図6(c)参照)。これにより、トランスTの一次コイルN1及び二次コイルN2に逆起電力が生じる。電流1bが遮断されたときの一次側の動作は、上述したモードIVと同様である。
さらに、チョークトランスTcのコイルL1、L2にも逆起電力が生じる。ダイオードD1は逆バイアスに、ダイオードD3は順バイアスとなる。また、ダイオードD2は逆バイアスに、ダイオードD4は順バイアスとなる。これによりモードVIIIでは、ダイオードD3→コイルL2→ダイオードD4→出力端pの経路でフライバック電流4bが流れる(図6(e)参照)。従って、モードVIIIでは、フライバック電流4bが出力され、負荷(図示せず)に供給され、接地端nへと流れる。これによりチョークトランスTcに蓄積された磁気エネルギーが放出される。モードVIIIの動作は、上述したモードIVの動作と同じである。
(3)まとめ
図1の回路では、一次側のスイッチング素子がオフからオンになったときの二次側の回路動作(モードI、III、V、VII)は、入力電圧が大きい場合と小さい場合で異なる。入力電圧が大きい場合(モードI、III)は誘導電流2a、2bが出力されるが、入力電圧が小さい場合(モードV、VII)は誘導電流は出力されない。
一方、一次側のスイッチング素子がオンからオフになったときの二次側の回路動作(モードII、IV、VI、VIII)は、入力電圧の大きさに関係なく同じであり、フライバック電流4a、4bが出力される。これにより力率が改善される。
(4)その他の実施形態
図示しないが、上述した第1又は第2の実施形態の回路における一次側のスイッチング部の別の構成として、プッシュプル回路又はハーフブリッジ回路を適用することができる。
上述した各実施形態おいて、一次側及び二次側のスイッチング素子は、MOSFET以外にIGBT又はバイポーラトランジスタでもよい。
上述した各実施形態おいて、各ダイオードは、一方向への電流を導通可能でありかつ逆方向の電流を遮断する整流要素の一例である。従って、同様の機能を有する他の整流素子又は整流回路に置き換えることができる。
以上に説明した本発明の絶縁型スイッチング電源は、図示の構成例に限られず、本発明の主旨に沿う範囲において多様な変形が可能である。
1、2 入力端
p、n 出力端
T トランス
N1 一次コイル
N2 二次コイル
Tc チョークトランス
L1、L2 コイル
A1、A2、A3、B1、B2、B3 スイッチング素子
D1、D2、D3、D4 ダイオード
C 平滑コンデンサ
1a、1b 一次コイルの電流
2a、2b フォワード電流
3a、3b 誘導電流
4a、4b フライバック電流

Claims (1)

  1. 同極性の一次コイルと二次コイルを具備するトランスと、前記一次コイルを含む電流路を導通又は遮断するべく互いに180°位相の異なる第1の制御信号及び第2の制御信号によりそれぞれオンオフ制御される少なくとも1つの第1のスイッチング素子及び少なくとも1つの第2のスイッチング素子と、二次側の出力端と接地端との間に接続された平滑コンデンサと、を有する絶縁型スイッチング電源において、
    コアと、前記コアに同極性で巻かれ互いに疎結合である第1のコイル及び第2のコイルとを具備し、前記第1のコイルの始端が前記トランスの二次コイルの始端に接続されかつ前記第2のコイルの終端が前記トランスの二次コイルの終端に接続されたチョークトランスと、
    前記チョークトランスの第1のコイルの終端と前記二次側の接地端の間の電流路を導通又は遮断するべく前記第1のスイッチング素子と同じタイミングでオンオフ制御される第3のスイッチング素子と、
    前記チョークトランスの第2のコイルの始端と前記二次側の接地端の間の電流路を導通又は遮断するべく前記第2のスイッチング素子と同じタイミングでオンオフ制御される第4のスイッチング素子と、
    前記二次側の接地端から前記チョークトランスの第1のコイルの始端へ流れる電流を導通可能とする第1の整流要素と、
    前記チョークトランスの第1のコイルの終端から前記二次側の出力端へ流れる電流を導通可能とする第2の整流要素と、
    前記二次側の接地端から前記チョークトランスの第2のコイルの終端へ流れる電流を導通可能とする第3の整流要素と、
    前記チョークトランスの第2のコイルの始端から前記二次側の出力端へ流れる電流を導通可能とする第4の整流要素と、を有することを特徴とする絶縁型スイッチング電源。
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