しかしながら、上記の手法では、配線基板2の完成後に、別途チップコンデンサ3を搭載する必要があるため、工数がかかりコストアップとなる。また、チップコンデンサの接続の良否により配線基板全体の良否に影響が出るなどチップコンデンサ3の接続信頼性に依存して配線基板の信頼性が低下する場合がある。また、チップコンデンサ3を搭載する領域を予め確保しておく必要があり、他の電子部品の搭載や配線基板の補強のための補強部材の固着の自由度を低下させる。さらに、他の配線等に制限されて、ICチップ1とチップコンデンサ3とを結ぶコンデンサ接続配線4の長さが長く、また細くなりやすいため、コンデンサ接続配線4自身の持つ抵抗やインダクタンスが大きくなりがちで、低抵抗、低インダクタンスの要請に十分に応えられない。
そこで、配線基板のうち、コア基板の上下に形成する樹脂絶縁層及び配線層の一部を、樹脂絶縁層を誘電体層として対向する配線層(電極層)で挟んだコンデンサ構造に形成し、コンデンサを内蔵させることが考えられる。しかし、コンデンサがショートや絶縁抵抗不良などにより不具合となった場合に、付加価値の付いた配線基板全体を廃棄することになるため、損失金額が大きくなって、結局配線基板を安価に製造することが困難である。また、樹脂絶縁層の比誘電率は、高誘電率セラミック粉末等を混入したとしても、一般に高々40〜50程度と見込まれるので、内蔵させるコンデンサの静電容量を十分大きくすることも困難である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、コンデンサを内蔵することにより、ノイズを確実に除去でき、しかも、コンデンサに接続される配線の抵抗やインダクタンスを低くできる配線基板、さらには、コンデンサに不具合を生じても損失金額が少なく、安価で、大きな静電容量のコンデンサを内蔵可能な配線基板を提供することを目的とする。また、このようなコンデンサを内蔵した配線基板を製造するためのコンデンサ内蔵コア基板、コンデンサを内蔵するためのコア基板本体を提供することを目的とする。
そしてその解決手段は、配線基板上面と配線基板下面とを有し、上記配線基板上面にICチップと接続するための複数のIC接続端子を、上記配線基板下面に複数の下面接続端子を備え、コンデンサを内蔵する配線基板であって、コア基板本体上面、コア基板本体下面、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通するコンデンサ内蔵用貫通孔、及び、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通して形成された複数のコアスルーホール導体、を備えるコア基板本体と、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備え、上記コア基板本体のコンデンサ内蔵用貫通孔内に内蔵、固定された上記コンデンサと、上記コア基板本体上面及び上記コンデンサ上面の上方に積層された1または複数の上部樹脂絶縁層と、上記コア基板本体下面及び上記コンデンサ下面の下方に積層された1または複数の下部樹脂絶縁層と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応する上記コンデンサの複数の上面接続パッドとをそれぞれ接続する複数の上部コンデンサ接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コンデンサの複数の下面接続パッドとこれに対応する上記配線基板下面の複数の下面接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コンデンサ接続配線と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応する上記コア基板本体上面の複数のコアスルーホール導体とをそれぞれ接続する複数の上部コア接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コア基板本体下面のコアスルーホール導体とこれに対応する上記配線基板下面の複数の下面接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コア接続配線と、を備えることを特徴とする配線基板である。
本発明の配線基板は、コア基板本体にコンデンサ内蔵用貫通孔を形成し、その中にコンデンサを内蔵し、上部樹脂絶縁層及び下部樹脂絶縁層を形成し、フリップチップパッド等のIC接続端子と上面接続パッドとを上部コンデンサ接続配線で、下面接続パッドと下面接続端子とを下部コンデンサ接続配線で結んでいる。さらに、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通するようにしている。また下面接続パッドも同様にされている。このため、コンデンサの両極をコンデンサの上方及び下方に取り出すことができる。したがって、上面接続パッドから上部コンデンサ接続配線を通じてIC接続端子、さらにはICチップに、コンデンサの両極を接続することができる。同様に、下面接続パッドから下部コンデンサ接続配線を通じて下面接続端子にコンデンサの両極を接続することができる。このため、ICチップと接続するIC接続端子、あるいはマザーボード等の他の配線基板の電源配線や接地配線と接続させる下面接続端子等からごく近い距離にコンデンサを配置することができる。したがって、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線もごく短く形成することができる。
さらに、通常ICチップにおいて、電源電位や接地電位は各所に必要となるので、ときにはICチップに形成される接続端子(接続パッドや接続バンプ)群の半数近くの数とされるほど電源端子や接地端子はそれぞれ多数形成される。これに対し、このコンデンサ上面及びコンデンサ下面には、複数の上面接続パッド及び下面接続パッドを備える。したがって、ICチップの電源端子や接地端子に対応させて多数の上面接続パッドを形成し、これらをそれぞれ結ぶように上部コンデンサ接続配線を多数並列に形成すれば、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができることになる。同様に、下面接続パッドに対応する下面接続パッドと配線基板下面の各接続端子とを並列に接続する下部コンデンサ接続配線に関しても、同様にインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。つまり、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線も、その長さを短くできしかもその本数を多くできるため、抵抗やインダクタンスを低くすることができ、コンデンサによってノイズを有効、確実に除去することができる。
しかも、配線基板内にコンデンサを内蔵しているので、後からコンデンサを取り付ける必要が無く、チップコンデンサ搭載のための費用が不要となるため、安価な配線基板とすることができる。また、他の電子部品等の搭載や補強板の固着などの自由度も高い。さらに、コア基板本体に形成したコンデンサ内蔵用貫通孔内にコンデンサを内蔵しているので、上部樹脂絶縁層や下部樹脂絶縁層あるいは上部コンデンサ接続配線、下部コンデンサ接続配線、上部コア接続配線、及び下部コア接続配線は、いずれも公知の樹脂絶縁層や配線層の製法を用いて形成することができる点でも安価にできる。また、内蔵させるコンデンサの静電容量を自由に選択できるので、高誘電率セラミックを用いた静電容量の大きなコンデンサを内蔵させることができ、ノイズ除去能力を一層向上させることができる。
なお特に、前記複数のIC接続端子のうち少なくとも一部が、前記コンデンサの上方に位置することを特徴とする配線基板とするのが好ましい。フリップチップパッド等のIC接続端子がコンデンサの上方に位置すると、IC接続端子とコンデンサの上面接続パッドとを結ぶ上部コンデンサ接続配線の長さを特に短くすることができる。したがって、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗をさらに低く抑えることができるので、ノイズ除去能力をさらに向上させることができる。
さらに、上記の配線基板であって、前記コア基板本体は、前記コンデンサ内蔵用貫通孔のうち両端部のいずれかにおいて、径方向内側に向けて突出するコンデンサ受け部を備え、前記コンデンサは、上記コンデンサ受け部の内向き面に当接していることを特徴とする配線基板とすると良い。
本発明の配線基板では、径方向(平面方向)内側に向けて突出するコンデンサ受け部を形成し、コア基板本体のコンデンサ受け部の内向き面に、つまりコンデンサ受け部をコンデンサ内蔵用貫通孔の上端部に形成したときにはその下面に、また、コンデンサ受け部をコンデンサ内蔵用貫通孔の下端部に形成したときにはその上面に、コンデンサを当接させる。これにより、コンデンサ内蔵用貫通孔内において、コンデンサの上下方向の位置決めが容易かつ確実にできる。したがって、コンデンサの上下方向の位置ズレ不良に起因して、上面接続パッドと上部コンデンサ接続配線との接続不良や下面接続パッドと下部コンデンサ接続配線との接続不良等を生じない信頼性の高い配線基板とすることができる。
さらに上記の配線基板であって、前記コンデンサは、前記コンデンサ上面及びコンデンサ下面のうち、前記コンデンサ受け部と当接する側の面の周縁に、切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかが形成され、上記切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかにより、上記コンデンサが前記コンデンサ受け部に嵌合していることを特徴とする配線基板とすると良い。
本発明の配線基板では、コンデンサ上面及びコンデンサ下面のうち、コア基板本体のコンデンサ受け部と当接する側の面の周縁に切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかを有し、コンデンサが、コンデンサ受け部の内向き面に当接し、さらに切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかにより、コンデンサ受け部と嵌合する。したがって、コンデンサは、コンデンサ受け部と当接して上下方向の位置決めがされるほか、コンデンサ受け部と嵌合して上下方向に直交するコンデンサ内蔵用貫通孔の径方向(平面方向)にも位置決めされる。このため、コンデンサ内蔵用貫通孔内でのコンデンサの上下方向のみならず平面方向の位置決めも容易かつ確実にできる。従って、コンデンサの上下方向や平面方向の位置ズレ不良に起因して、上面接続パッドと上部コンデンサ接続配線との接続不良や下面接続パッドと下部コンデンサ接続配線との接続不良等を生じない、さらに信頼性の高い配線基板とすることができる。
また他の解決手段は、コア基板本体上面、コア基板本体下面、及び、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通するコンデンサ内蔵用貫通孔、を備えるコア基板本体と、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備え、上記コア基板本体のコンデンサ内蔵用貫通孔内に内蔵、固定されたコンデンサと、を備えるコンデンサ内蔵コア基板である。
本発明のコンデンサ内蔵コア基板では、コア基板本体にコンデンサ内蔵用貫通孔を形成し、その中にコンデンサを内蔵している。さらに、このコンデンサは、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通するようにしている。また下面接続パッドも同様にされている。このため、コンデンサの両極を、コンデンサ上面の上面接続パッド及びコンデンサ下面の下面接続パッドを通じて、コア基板の上方及び下方に取り出すことができる。 したがって、このコンデンサ内蔵コア基板を用いれば、公知の樹脂絶縁層や配線層の形成手法を用いて、容易にコンデンサを内蔵した配線基板を形成することができる。また、このようにして配線基板を形成した場合には、配線基板の搭載するICチップやマザーボード等の他の配線基板とごく近い距離にコンデンサを配置し、互いにごく短い配線で結ぶことができる。したがって、内蔵コンデンサの特性を十分発揮させて、ノイズを確実に除去することができるようになる。
さらに、上述したように、通常ICチップにおいては、電源端子や接地端子はそれぞれ多数形成される。これに対し、本発明のコンデンサ内蔵コア基板のコンデンサでは、コンデンサ上面及びコンデンサ下面に、複数の上面接続パッド及び下面接続パッドを備える。したがって、ICチップの電源端子や接地端子に対応させて多数の上面接続パッド(あるいは上下反転させて使用する場合には下面接続パッド)を形成し、これらをそれぞれ結ぶように配線を多数並列に形成すれば、これらの配線の持つインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。同様に、下面接続パッド(あるいは上下反転させて使用する場合には上面接続パッド)と他の配線基板とを並列に接続する配線に関しても、同様にインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。つまり、コンデンサ内蔵コア基板の上下に形成する配線の長さを短くでき、しかもその本数を多くできるため、抵抗やインダクタンスを低くすることができ、コンデンサによってノイズを有効、確実に除去することができる。また、内蔵させるコンデンサの静電容量を自由に選択できるので、高誘電率セラミックを用いた静電容量の大きなコンデンサを内蔵させることができ、ノイズ除去能力を一層向上させることができる。
しかも、コア基板内にコンデンサを内蔵しているので、樹脂絶縁層や配線層を形成した後に別途コンデンサを取り付ける必要が無く、チップコンデンサ搭載のための費用が不要となるため、配線基板を安価に製造することができる。
また、上面接続パッドあるいは下面接続パッドを通じて、内蔵したコンデンサの良否を判断できるので、ショート等の不具合を有するコンデンサが内蔵されたコア基板は、樹脂絶縁層等を形成する前に除去することができる。このため、工数が掛かる樹脂絶縁層や配線層が形成され、付加価値の高い配線基板を廃棄する危険性を少なくでき、全体としてコンデンサの不具合による損失金額も抑制して、安価な配線基板とすることができる。
さらに、上記のコンデンサ内蔵コア基板であって、前記コンデンサ内蔵用貫通孔内に充填した充填樹脂で前記コンデンサを上記コンデンサ内蔵用貫通孔内に固定してなることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板とすると良い。
本発明のコンデンサ内蔵コア基板では、充填樹脂でコンデンサをコンデンサ内蔵用貫通孔内に固定しているので、容易にかつ確実にコンデンサを固定することができる。また、コアスルーホール導体用の貫通孔穿孔時等に生じる振動などにより、内蔵したコンデンサが位置ズレを生じたり、脱落するなど等の不具合も抑制され、信頼性の高いコンデンサ内蔵コア基板とすることができる。
さらに上記いずれかに記載のコンデンサ内蔵コア基板であって、前記コンデンサ上面に、または前記コア基板本体上面及び前記コンデンサ上面に上部充填樹脂層を、前記コンデンサ下面に、または前記コア基板本体下面及び前記コンデンサ下面に下部充填樹脂層を備え、上記コンデンサ上面上の上部充填樹脂層と上記コア基板本体上面またはコア基板本体上面上の上部充填樹脂層とは、略面一に整面され、前記複数の上面接続パッドがそれぞれ略面一に露出しており、上記コンデンサ下面上の下部充填樹脂層と上記コア基板本体下面またはコア基板本体下面上の下部充填樹脂層とは、略面一に整面され、前記複数の下面接続パッドがそれぞれ略面一に露出していることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板とすると良い。
このコンデンサ内蔵コア基板では、コンデンサ上面の上部充填樹脂層と、コア基板本体上面またはコア基板本体上面の上部充填樹脂層とは、略面一に整面され、しかも、複数の上面接続パッドが略面一に露出している。また、コンデンサ下面の下部充填樹脂層と、コア基板本体下面またはコア基板本体下面の下部充填樹脂層とも、略面一に整面され、しかも、複数の下面接続パッドが略面一に露出している。
このため、このコア基板の上下に樹脂絶縁層や配線層を積層して配線基板を形成する際に、コンデンサ内蔵用貫通孔を形成したことによる段差、コア基板本体上面とコンデンサ上面との高さの違い、あるいは、コア基板本体下面とコンデンサ下面との高さの違いに起因して、これらの上方や下方に形成する樹脂絶縁層や配線層に段差が発生することが防止できる。したがって、樹脂絶縁層や配線層を容易に形成でき、しかも、配線層の断線やショート等の不具合も生じない。また、配線基板の上面や下面に形成するIC接続端子や下面接続端子のコプラナリティを向上させ、ICチップや他の配線基板との接続性を向上させることができる。
さらに、上記いずれかに記載のコンデンサ内蔵コア基板であって、前記コア基板本体は、前記コンデンサ内蔵用貫通孔のうち、前記コア基板本体下面側端部において径方向内側に向けて突出するコンデンサ受け部を備え、前記コンデンサは、上記コンデンサ受け部の上面に当接していることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板とすると良い。
本発明の配線基板では、コア基板本体にコンデンサ受け部を形成し、この上面にコンデンサを当接させている。これにより、コンデンサ内蔵用貫通孔内において、コンデンサの上下方向の位置決めが容易かつ確実にできる。したがって、コンデンサの上下方向の位置ズレ不良に起因して、上面接続パッドの高さが変動したり、上面接続パッド上に充填樹脂の残渣が残り、これと接続するビア導体等を形成したときに、上面接続パッドとビア導体等との導通不良が生じるなどの不具合を生じることがない。また、下面接続パッドについても同様である。従って、上下に樹脂絶縁層、配線層やビア導体を形成する場合などにおいて、配線やビア導体との接続不良等を生じない信頼性の高いコンデンサ内蔵コア基板とすることができる。
さらに、上記コンデンサ内蔵コア基板であって、前記コンデンサは、前記コンデンサ下面の周縁に、切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかが形成され、上記切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかにより、上記コンデンサが前記コンデンサ受け部に嵌合していることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板とすると良い。
本発明のコンデンサ内蔵コア基板では、コンデンサがコンデンサ受け部に当接し、しかも、コンデンサに形成した切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかにより、コンデンサがコンデンサ受け部に嵌合している。したがって、コンデンサは、コンデンサ受け部と当接して上下方向の位置決めがされるほか、コンデンサ受け部と嵌合して上下方向に直交するコンデンサ内蔵用貫通孔の径方向(平面方向)にも位置決めされる。このため、コンデンサ内蔵用貫通孔内でのコンデンサの上下方向のみならず平面方向の位置決めも容易かつ確実にできる。従って、上面接続パッドの高さや平面方向の位置が変動したり、上面接続パッド上に充填樹脂の残渣が残りこれと接続するビア導体等を形成したときに、上面接続パッドとビア導体等との導通不良が生じるなどの不具合を生じることがない。また、下面接続パッドについても同様である。従って、上下に樹脂絶縁層、配線層やビア導体を形成する場合などにおいて、配線やビア導体との接続不良等を生じない、さらに信頼性の高いコンデンサ内蔵コア基板とすることができる。
さらに他の解決手段は、コア基板本体上面と、コア基板本体下面と、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通するコンデンサ内蔵用貫通孔と、を備え、上記コンデンサ内蔵用貫通孔は、そのコア基板本体下面側端部において径方向内側に向けて突出し、内蔵させるコンデンサの当接面と少なくともその上面で当接可能なコンデンサ受け部を備えることを特徴とするコア基板本体である。
本発明のコア基板本体では、上下面間を貫通するコンデンサ内蔵用貫通孔を備えるので、この貫通孔内にコンデンサを内蔵させることで、コンデンサを内蔵した配線基板を容易に形成することができる。また、この貫通孔内に内蔵させたコンデンサと、コア基板本体上面及びコア基板本体下面のいずれからも容易かつ短距離で接続させることができる。
さらに、コンデンサ受け部を有するので、コンデンサを内蔵させたときに、このコンデンサ受け部の上面でコンデンサと当接する。このため、コンデンサ内蔵用貫通孔内におけるコンデンサの上下方向の位置決めを確実にすることができるようになる。
さらに、上記コア基板本体であって、前記コンデンサ受け部は、前記内蔵させるコンデンサの当接側の面に形成した切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかと嵌合可能な形状であることを特徴とするコア基板本体とすると良い。
本発明のコア基板本体では、コンデンサを内蔵させた際に、コンデンサ受け部が、その上面で当接し、さらに、コンデンサの当接側の面に形成した切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかと嵌合するので、コンデンサを上下方向のみならずこれに直交する平面方向(コンデンサ内蔵用貫通孔の径方向)にも確実に位置決めできる。
さらに、コンデンサ上面と、コンデンサ下面と、互いに絶縁された一対の電極または電極群と、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッドと、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッドと、上記コンデンサ下面の周縁に形成され、コア基板本体のコンデンサ内蔵用貫通孔内において径方向内側に向けて突出するコンデンサ受け部と当接して嵌合可能な切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかと、を備えるコンデンサとすると良い。
このコンデンサは、コンデンサ上面に複数の上面接続パッドを、コンデンサ下面に複数の下面接続パッドを備え、しかも、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通し、また、一対の電極または電極群のいずれも複数の下面接続パッドの少なくともいずれかと導通する。このため、コンデンサ上面から、コンデンサの両極を取り出すことができる。同様に、コンデンサ下面からも、コンデンサの両極を取り出すことができる。
したがって、コンデンサ上面及びコンデンサ下面のいずれにおいても、パッドやバンプを形成したICチップや配線基板、その他の電子部品の接続面との間での接続が可能となる。
また、コンデンサ上面とコンデンサ下面の両面から、コンデンサの両極を取り出すことができる。このため、例えば、配線基板とICチップとの間に介在させることにより、配線基板からICチップへ電力を供給する電源配線及び接地配線の一部としての役割を果たさせると共に、電源配線と接地配線との間をこのコンデンサで結び、これらの配線の重畳されるノイズを除去する役割をも果たさせることができる。
さらに、上記コンデンサ内蔵用貫通孔を備えたコア基板本体のコンデンサ内蔵用貫通孔に内蔵、固定することで、コンデンサ内蔵コア基板とし、さらに樹脂絶縁層や配線層を形成して、コンデンサを内蔵した配線基板とすることができる。特に、このコンデンサ内蔵用貫通孔内に径方向内側に向けて突出するコンデンサ受け部と当接させ、コンデンサの切り欠き部や凸部と嵌合させれば、コンデンサの貫通孔内での位置決めも容易にできる。
なお、上面接続パッドや下面接続パッドは、接続するICチップ等の端子や配線層に対応した位置及び数で形成すればよいが、並列に接続する端子や配線層の数が多いほど、コンデンサとICチップ等との間に生じる抵抗やインダクタンスを全体として抑制できるので、上面接続パッドや下面接続パッドは多数形成するのが好ましい。
さらに、コンデンサ下面の周縁に、切り欠き部及び凸部の少なくともいずれかを設けたので、コア基板本体のコンデンサ内蔵用貫通孔内にコンデンサを内蔵させた際、コンデンサ受け部と当接、及び嵌合させることができ、コンデンサ内蔵用貫通孔内で、コンデンサを上下方向にもこれに直交する平面方向にも確実に位置決めすることができる。
さらに、壁部用コア基板本体上面と壁部用コア基板本体下面とを有し、これらの間を貫通する壁部用貫通孔を備える壁部用コア基板本体の上記壁部用コア基板本体下面と、受け部用コア基板本体上面と受け部用コア基板本体下面とを有し、これらの間を貫通する受け部用貫通孔を備える受け部用コア基板本体の上記受け部用コア基板本体上面とを、上記壁部用貫通孔内に上記受け部用コア基板のうち上記受け部用貫通孔の周縁の少なくとも一部を露出させて、接着する接着工程を備えることを特徴とするコア基板本体の製造方法とすると良い。
このコア基板本体の製造方法では、壁部用貫通孔を備える壁部用コア基板本体と受け部用貫通孔を備える受け部用コア基板本体とを、壁部用貫通孔内に受け部用コア基板のうち受け部用貫通孔の周縁の少なくとも一部を露出させて接着して、コア基板本体を製造する。このように壁部用コア基板本体と受け部用コア基板本体とに分けて製作し、その後両者を接着すると、容易に、壁部用貫通孔と受け部用貫通孔によってコンデンサ内蔵用貫通孔が構成でき、しかも、受け部用コア基板本体の一部をコンデンサ内蔵用貫通孔の端部において径方向内側に突出したコンデンサ受け部とすることができる。
また、コア基板本体上面、コア基板本体下面、及び、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通するコンデンサ内蔵用貫通孔、を備えるコア基板本体の、上記コンデンサ内蔵用貫通孔内に、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備えるコンデンサを配置するコンデンサ配置工程と、少なくとも上記コンデンサ内蔵用貫通孔内に充填樹脂を注入し、上記充填樹脂を硬化させて、充填樹脂で上記コンデンサを上記コンデンサ内蔵用貫通孔内に固定するコンデンサ固定工程と、少なくとも上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通するコアスルーホール導体を形成するコアスルーホール形成工程と、を備えるコンデンサ内蔵コア基板の製造方法とすると良い。
このコンデンサ内蔵コア基板の製造方法では、コンデンサ内蔵用貫通孔内にコンデンサを配置し、コンデンサ内蔵用貫通孔内に充填樹脂を注入し硬化させてコンデンサを固定する。このため、容易に固定できる上、コアスルーホール導体用の貫通孔穿孔時等に生じる振動などによりコンデンサの位置ズレを生じたり、脱落するなど等の不具合が抑制され、コンデンサ内蔵コア基板の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記コンデンサ内蔵コア基板の製造方法であって、前記コンデンサ固定工程は、前記コンデンサ内蔵用貫通孔内の他、前記コンデンサ上面、コンデンサ下面、コア基板本体上面、及び、コア基板本体下面のうち、少なくともコンデンサ上面及びコンデンサ下面にも充填樹脂を塗布し硬化させるコンデンサ固定−充填樹脂塗布硬化工程であり、前記コアスルーホール形成工程に先だって、上記コンデンサ上面上の、または、上記コンデンサ上面上及び前記コア基板本体上面上の、上記充填樹脂を研磨して上記複数の上面接続パッドを略面一に露出させるとともに、上記コンデンサ上面上の充填樹脂層と上記コア基板本体上面とを、または、上記コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面し、上記コンデンサ下面上の、または、上記コンデンサ下面上及び前記コア基板本体下面上の、上記充填樹脂を研磨して上記複数の下面接続パッドを略面一に露出させるとともに、上記コンデンサ下面上の充填樹脂層と上記コア基板本体下面とを、または、上記コンデンサ下面上の充填樹脂層とコア基板本体下面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面する研磨整面工程を備えることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板の製造方法とすると良い。
このコンデンサ内蔵コア基板の製造方法では、コンデンサをコンデンサ内蔵用貫通孔内に内蔵し、さらに充填樹脂で固定するほか、少なくともコンデンサ上面及びコンデンサ下面にも充填樹脂を塗布し硬化させる。さらに、研磨により複数の上面接続パッドを略面一に露出させ、しかも、コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面とを、または、コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面する。また、研磨により複数の下面接続パッドを略面一に露出させ、しかも、コンデンサ下面上の充填樹脂層とコア基板本体上面とを、または、コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面する。その後にコアスルーホール導体を形成する。
このため、コア基板本体上面及びコンデンサ上面の上方に1または複数の樹脂絶縁層や配線層を形成する際に、コア基板本体上面の上方とコンデンサ上面の上方との間で段差を生じない。また同様に、コア基板本体下面及びコンデンサ下面の下方に1または複数の樹脂絶縁層や配線層を形成する際に、コア基板本体下面の下方とコンデンサ下面の下方との間で段差を生じない。このため、樹脂絶縁層や配線層などを容易に形成することができ、あるいは、各配線層の断線やショート等の不具合の発生を抑制することができる。さらに、IC接続端子や下面接続端子のコプラナリティを小さく抑えることができ、ICチップや他の配線基板との接続性も良好にできる。
(実施形態1)
本発明の配線基板等の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に示す本発明のコンデンサを内蔵した配線基板100は、略正方形板状で、その上面(配線基板上面)100Aに、破線で示すICチップ1と接続するためのIC接続端子であるフリップチップパッド101が多数形成され、各フリップチップパッド101には、高温ハンダからなる略半球状のフリップチップバンプ102が形成されている。一方、配線基板下面100Bには、マザーボードなどの他の配線基板と接続するための下面接続端子であるLGAパッド103が多数形成されている。さらにこの配線基板100は、コンデンサ20を内蔵するコア基板本体10、これらの上下に積層された樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53、さらに、これらの層間に及びこれらの樹脂絶縁層を貫通して形成された各配線層60,70,80,90を備える。
このうち、コア基板本体10は、略正方形板状で、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、その略中央にはコア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通する平面視略正方形状のコンデンサ内蔵用貫通孔(以下、単に貫通孔ともいう)11を備える。このコンデンサ内蔵用貫通孔11のうち、コア基板本体下面10B側に端部には、貫通孔11の軸方向(図中上下方向)に直交する貫通孔11の径方向(平面方向、図中左右方向)に、貫通孔11内に向けて突出するコンデンサ受け部(以下、単に受け部ともいう)12が貫通孔11の周囲にわたって形成されている。また、この貫通孔11内には、コンデンサ20が内蔵されている。さらに、このコア基板本体10の周縁部には、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体33が多数形成されている。
コンデンサ20は、図2(a)の平面図、及び図2(b)の下面側から見た斜視図に示すように、高誘電体セラミック、具体的には、BaTiO3 を主成分とする誘電体層24とPdを主成分とする電極層25とを交互に積層した略正方形板状の積層セラミックコンデンサである。ただし、図2(b)から判るように、コンデンサ下面20Bの周囲は、中央に正方形状の領域を残して、切り欠き部20Pにより階段状に1段低位とされて、後述するようにコア基板本体10のコンデンサ受け部12との当接面20Cが形成されている。つまり、コンデンサ20は、その下面20Bにおいて、略凸字状の形状とされている。また、このコンデンサ20は、チップコンデンサなどに用いられ、積層された誘電体層及び電極層の側面からコンデンサの両極をなす2つの電極(共通電極)を取り出す通常の積層セラミックコンデンサとは、接続のための電極の取り出し方が異なる。即ち、図2(c)に示すように、コンデンサ上面20A及びコンデンサ下面20Bに、それぞれ多数の上面接続パッド21(図2(c)では、21A,21B,21C)及び下面接続パッド22(図2(c)では、22A,22B,22C)を備えており、これらのパッド21,22によって、コンデンサ上面20A及びコンデンサ下面20B内で、図図2(c)中上方あるいは下方に接続可能になっている。
コンデンサ20の電極層25は、図2(c)にその内部構造の概要を示すように、ビア導体26E、26Fでそれぞれ1層おきに導通された1対の電極層の群25E,25Fに分けられている。しかも、電極層の群25E,25Fは互いに絶縁されている。したがって、各誘電体層24を挟んで対向する2つの電極群25E,25Fは、コンデンサ20の2つの電極をなす。また、上面接続パッド21の一部(図中右及び左のパッド21A,21C)は、この電極層25のうち最も上方に位置し一方の電極群25Eに属するトップ電極層25ETと、誘電体層24のうち最も上方に位置するトップ誘電体層24Tを貫通するビア導体27Eによって接続している。また、上面接続パッド21の他の一部(図中中央のパッド21B)は、上記トップ電極層25ETより下層に位置し他方の電極群25Fに属する電極層25と、ビア導体27F及び26Fによって接続している。このように、多数の上面接続パッド21は、コンデンサの2つの電極をなす一対の電極群25E,25Fのいずれかに接続しており、しかも、この一対の電極群25E,25Fのいずれも複数の上面接続パッド21のうちの少なくとも1つと接続している。つまり、多数の上面接続パッド21のうちある上面接続パッド21(例えば、21A)は、一方の電極群25Eに接続している。またある上面接続パッド21(例えば、21B)は、他方の電極群25Fと接続している。このため、コンデンサ20の上方から、上面接続パッド21を通じて、一対の電極群25E,25Fのいずれとも導通することができる。
同様に、下面接続パッド22の一部(図中右及び左のパッド22A,22C)は、電極層25のうち最も下方のボトム電極層25FDより上層に位置し、一方の電極群25Eに属する電極層25と、誘電体層24のうち最も下方に位置するボトム誘電体層24Dを貫通するビア導体28F及び26Fによって接続している。また、下面接続パッド22の他の一部(図中中央のパッド22B)は、他方の電極群25Fに属する上記ボトム電極層25FDと、ビア導体28Fによって接続している。このように、多数の下面接続パッド22は、コンデンサの2つの電極をなす一対の電極群25E,25Fのいずれかに接続しており、しかも、この一対の電極群25E,25Fのどちらもが下面接続パッド22の少なくともいずれかと接続している。つまり、多数の下面接続パッド22のうちある下面接続パッド22(例えば、22A)は、一方の電極群25Eに接続している。またある下面接続パッド22(例えば、22B)は、他方の電極群25Fと接続している。このため、コンデンサ20の下方から、下面接続パッド22を通じて、一対の電極群25E,25Fのいずれとも導通することができる。なお、図2(b)に示して上述したように、下面接続パッド22が形成されるボトム誘電体層24Dは、他の誘電体層24よりも平面方向(図中左右方向)の大きさが小さくされることにより、切り欠き部20Pが構成され、これによってその周囲には、1層上方の誘電体層24が露出して上述の当接面20Cが形成される。また、ボトム電極層25FDもボトム誘電体層24Dの形状に合わせ、電極群25Fに属する他の電極層よりも平面方向に小さな寸法とされている。
そして、図1に示すように、コンデンサ20の切り欠かれて凸字状となったコンデンサ下面20B近傍が、コンデンサ受け部12の内周縁12Hに嵌合している。このため、当接面20Cと受け部12の内向き面12S(図中上面)とが当接することで、コンデンサ20の図中上下方向の位置決めが、また、受け部貫通孔12Hが切り欠き部20Pと嵌合することで、径方向(平面方向、図中左右方向)の位置決めが行われる。さらに、このコンデンサ20は、エポキシ樹脂からなる充填樹脂32によってコンデンサ内蔵用貫通孔11内に固定されて、コア基板本体10と一体となっている。これにより、コア基板本体10に内蔵されたコンデンサ20は、図中上方には上面接続パッド21で、図中下方には下面接続パッド22ででそれぞれ接続可能になっている。
さらに、コア基板本体上面10A及びコンデンサ上面20Aの上方には、エポキシ樹脂を主成分とする3層の上部樹脂絶縁層41,42,43を備える。一方、コア基板本体下面10B及びコンデンサ下面20Bの下方には、同じく3層の下部樹脂絶縁層51,52,53を備える。さらに上部樹脂絶縁層41と42の層間及び上部樹脂配線層42と43の層間には、それぞれ上部樹脂絶縁層41,42をも貫通し、Cuメッキからなる配線層45,46が形成されている。同様に、下部樹脂絶縁層51と52の層間及び下部樹脂配線層52と53の層間には、それぞれ下部樹脂絶縁層51,52をも貫通し、Cuメッキからなる配線層55,56が形成されている。
このうち、上部樹脂絶縁層41,42,43の層間、及び上部樹脂絶縁層41,42をそれぞれ貫通して、フリップチップパッド101とこれに対応するコンデンサ20の上面接続パッド21とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コンデンサ接続配線60を構成する。また、上部樹脂絶縁層41,42,43の層間、及上部樹脂絶縁層41,42をそれぞれ貫通して、フリップチップパッド101とこれに対応するコアスルーホール導体33とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コア接続配線80を構成する。一方、下部樹脂絶縁層51,52,53の層間、及び上部樹脂絶縁層51,52をそれぞれ貫通して、下面接続パッド22とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コンデンサ接続配線70を構成する。また、下部樹脂絶縁層51,52,53の層間、及び下部樹脂絶縁層51,52をそれぞれ貫通して、コアスルーホール導体33とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コア接続配線90を構成する。
これにより、フリップチップバンプ102に接続されたICチップ1は、フリップチップパッド101、上部コンデンサ接続配線60、上面接続パッド21を通じて、コンデンサ20の一対の電極群25E,25Fとそれぞれ接続することになる。
さらに、LGAパッド103は、下部コンデンサ接続配線70、下面接続パッド22を通じて、コンデンサ20の一対の電極群25E,25Fとそれぞれ接続している。
したがって、図2(d)に示すように、フリップチップパッド101とLGAパッド103との間を結び、一方の電極群25Eと接続する上部コンデンサ接続配線60及び下部コンデンサ接続配線70と、同じく他方の電極群25Fと接続する上部コンデンサ接続配線60及び下部コンデンサ接続配線70との間に、コンデンサ20が挿入された状態となる。
このため、LGAパッド103に接続したマザーボードなどから供給される電源電位及び接地電位は、LGAパッド103から、下部コンデンサ接続配線70、コンデンサ20、上部コンデンサ接続配線60、フリップチップパッド101、フリップチップバンプ102を通じて、ICチップ1に供給することができるようになる。さらに、コンデンサ20により電源電位や接地電位に重畳されるノイズを除去することができる。
しかも、コンデンサ20は、コア基板本体10に内蔵されているので、ICチップ1のごく近くに配置することができるため、上部コンデンサ接続配線60の長さを短くできる。したがって、コンデンサ20によるノイズ除去能力をより高めることができる。特に、本実施形態では、コンデンサ20を、ICチップ1の直下に、したがって、フリップチップパッド101の直下に配置する構造としたので、上部コンデンサ接続配線60の長さをごく短くすることができる。したがって、ICチップ1とコンデンサ20との距離をごく短くすることができるから、この間でノイズが重畳されることが少なく、特にノイズ除去に有効となる。
また、上部コンデンサ接続配線60は多数形成され、多数のフリップチップパッド101と多数の上面接続パッド21との間を並列に接続している。したがって、多数の上部コンデンサ接続配線60が形成されることにより、全体として、ICチップ1(フリップチップパッド101)とコンデンサ20とを結ぶ上部コンデンサ接続配線60の持つ抵抗やインダクタンスも、小さくなり、この点からも、ノイズ除去に有利となる。同様に、下部コンデンサ接続配線70も多数形成され、多数のLGAパッド103と多数の下面接続パッド22との間を並列に接続している。したがって、多数の下部コンデンサ接続配線70が形成されることにより、全体として、LGAパッド103とコンデンサ20とを結ぶ下部コンデンサ接続配線70の持つ抵抗やインダクタンスも、小さくなり、この点からも、ノイズ除去に有利となる。
一方、信号線などコンデンサ20に接続しないで、ICチップ1とマザーボード等とを結ぶ配線は、フリップチップパッド101から上部コア接続配線80を通じて、コアスルーホール導体33に接続し、コア基板本体10を貫通して、下部コア接続配線90からLGAパッド103に接続する。この構造は、スルーホール導体を形成したコア基板を用いた通常のビルドアップ配線基板と同様である。
このように、本実施形態の配線基板100では、ICチップ1のごく近くにコンデンサ20を内蔵して、有効にノイズを除去すると共に、信号線等については、従来と同様の構造にすることができる。
なお、上記では、コンデンサ20として、ボトム誘電体層24Dを1層のみの平面寸法を小さくしたことにより切り欠き部20Pを設けたものを示したが、コンデンサ下面20B側の複数層の誘電体層について平面寸法を小さくすることにより、切り欠き部20Pの段差を大きくすることができる。また、ボトム誘電体層24Dの厚さを他の誘電体層24より厚くすることにより、あるいは複数の誘電体層について厚さを変えることによっても切り欠き部20Pの段差を大きくすることができる。
次いで、上記配線基板100の製造方法について、個別の部材であるコンデンサ20、コア基板本体10の製造方法を含めて説明する。まず、コンデンサ20の製造方法について、図3を参照しつつ説明する。まず、図3(a)に示すように、公知のグリーンシート製造技術により、BaTiO3 粉末を主成分とする高誘電体セラミックグリーンシート(以下、単にシートともいう)124を多数製造する。次いで、図3(b)に示すように、このシート124の所定位置に、その表裏面124A,124B間を貫通するビア孔124Hをパンチングにより形成する。
さらに、図3(c)に示すように、各シート124のビア孔124H内に、Pdペーストを充填して未焼成ビア導体126,127,128を形成し、さらに、各シート124の上面124A側に、Pdペーストからなる所定形状の未焼成電極層125E,125Fを形成する。このうち、一方の未焼成電極層125Eは、図3(c)において3つ形成した未焼成ビア導体126,127のうち、左右2つと接続し、中央の未焼成ビア導体126,127とは接続しないパターンに形成されている。他方の未焼成電極層125Fは、これとは逆に、3つ形成した未焼成ビア導体126のうち、中央の未焼成ビア導体126と接続し、左右のものとは接続しないパターンに形成されている。
なお、未焼成ビアパッド125Eあるいは125Fと接続しないビア126,127については、後述する積層時に確実に上下方向にビア導体同士を接触、導通させるため、各未焼成ビア導体126,127の上方に、未焼成電極層125E,125Fと同時にカバーパッド129を形成しておくと良い。
また、次述する積層時に最も上に積層する未焼成誘電体層124Dは、他の未焼成誘電体層124よりもやや小さな寸法に形成しておき、未焼成電極層125E,125Fのいずれも形成せず、各未焼成ビア導体128の上方に、カバーパッド122のみを形成するようにしている。
さらに、次述するようにこの未焼成誘電体層124Dと圧着される未焼成電極層についても、他の未焼成電極層125Fよりも外形をやや小さくした未焼成電極層125FDとしておく。
次いで、図3(d)に示すように、未焼成電極層125Eが積層されたシート124と、125F(125FD)が積層されたシート124とを、交互に積み重ねるようにして積層する。そして、最も上には、未焼成電極層125E,125Fのいずれも形成せず、カバーパッド122のみを形成したシート124Dを積層し、これらを圧着して積層体120を形成する。これにより、未焼成誘電体層124と未焼成電極層125E,125Fとは、交互に積層され、しかも、未焼成電極層125Eと125Fとは互いに1層おきに配置された状態となる。また、未焼成電極層125E,125Eはそれぞれ未焼成ビア導体126,127を介して、互いに接続され、同様に、未焼成電極層125F,125Fもそれぞれ未焼成ビア導体126,127を介して、互いに接続される。その上、未焼成電極層125Eの群と125Fの群とは、接触することはなく、互いに絶縁された状態となる。
さらに、未焼成誘電体層124Dの平面寸法のみを他の未焼成誘電体層124より小さくしたことにより、この積層体120の図中上面周囲には、階段状の切り欠き部120Pが形成される。
その後、この積層体120を上下反転させて、未焼成ビア導体127が露出する積層体120の上面にカバーパッドを形成した上で、この積層体120を焼成(同時焼成)して、図2に示すコンデンサ20を形成する。コンデンサ20をこのようにして形成したので、例えば、焼成後に誘電体層24の側面に電極層25E、あるいは25Fと接続するための共通電極を形成する必要はなく、焼成後、直ちにコンデンサとして使用することができる。なお、ビア導体26,27,28(未焼成ビア導体126,127,128)は、上層や下層のビア導体の位置や隣り合うビア導体24との間隔等を考慮すれば、誘電体層24の面内いずれの位置にも形成できる。
したがって、上部コンデンサ接続配線60や下部コンデンサ接続配線70の引き回しの容易さ、上部コンデンサ接続配線60に接続するフリップチップパッド101の数や、下部コンデンサ接続配線70に接続するLGAパッド103の数などに応じて、上面接続パッド21および下面接続パッド22の位置や数も任意に選択して形成することができる。なお、Pdからなる上面接続パッド21あるいは下面接続パッド22は、Cuからなる配線層45との接続性あるいはハンダ付け性等を考慮して、Ni−Auメッキや、Cuメッキ等を施しておくこともできる。また、上面接続パッド21、及び/または、下面接続パッド22の周囲には、公知の手法により、セラミックや樹脂などからなるソルダーレジスト層を形成しておくこともできる。
完成したコンデンサ20は、ショートの有無、静電容量値、電極群25Eと25Fとの間の絶縁抵抗値、各上面接続パッド21及び各下面接続パッド22と、電極群25E,25Fとの導通あるいは絶縁のチェック等、各種のチェックを行い、不具合のあるコンデンサ20は廃棄する。これにより、後述する工程で不具合のあるコンデンサ20を使用する危険性を減少させることができる。
次いで、コア基板本体10およびその製造方法について説明する。コア基板本体10は、まず、コンデンサ20を内蔵する前に、図4に示す状態にする。即ち、図4(a)(b)に示すコア基板本体10は、平面視略正方形板状で、略中央に略正方形状の貫通孔11を有する。この貫通孔11は、その下端近傍でやや径小にされていることにより、コア基板上面10A側から平面視すると、貫通孔11内には、これよりやや小さな略正方形状の貫通孔(内周縁)12Hを持つコンデンサ受け部12が露出している。このコア基板本体10は、図4(b)に示すように、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとを有し、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなる受け部用コア基板本体13と、同じくガラス−エポキシ樹脂複合材料からなる壁部用コア基板本体16とが、接着層17で接着されて形成されている。コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間には、壁部用コア基板本体16を貫通する貫通孔16Hと、受け用コア基板本体13を貫通し、上記貫通孔16Hよりもやや径方向寸法の小さな貫通孔13Hとで、コンデンサ内蔵用貫通孔11が形成されている。
このため、貫通孔11の図中下端側では、貫通孔13Hの周縁近傍が貫通孔16Hよりも平面方向(図中左右方向)内側に向けて突出して、内周縁12H(貫通孔13H)を有するコンデンサ受け部12を構成している。コンデンサ受け部12の内向き面(図中上面)12Sは、上記したコンデンサ20を内蔵させた際に、コンデンサ20の当接面20Cと当接することで、コンデンサ20の貫通孔11内での軸方向(上下方向)の位置決めをすることができる。また、コンデンサ受け部12、さらにいえばその内周縁12Hは、コンデンサ20の切り欠き部20Pと嵌合することで、コンデンサ20の貫通孔11内での平面方向(左右方向)の位置決めをすることができる。一方、コンデンサ受け部12の外向き面(図中下面)12Tは、コア基板本体下面10Bと一致する。
なお、このコア基板本体10には、そのコア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体33は形成されていない。コアスルーホール導体33は、コア基板本体10の貫通孔11内に、上述のコンデンサ20を内蔵、固定してから形成するからである。
このコア基板本体10は、以下のようにして製造する。即ち、まず図5(a)に示すように、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、その受け部用コア基板本体上面13Aと受け部用コア基板本体下面13Bとを有し、中央に略正方形状の貫通孔13Hを有する受け部用コア基板本体13を用意する。なお、貫通孔13Hは、次述する貫通孔16Hよりやや小さな寸法にしておく。この貫通孔13は、公知の手法によって形成すれば良く、例えば、ドリル、パンチング、レーザ等が挙げられる。
一方、図5(b)に示すように、同じくガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、上記受け部用コア基板本体13より厚さの厚い壁用コア基板本体16を用意する。この壁部用コア基板本体16にも、予め上記貫通孔11に対応した中央の位置に、略正方形状の貫通孔16Hをパンチング等により形成しておく。
次いで、図5(c)に示すように、受け部用コア基板本体上面13Aと、壁部用コア基板本体下面16Bとを、半硬化のエポキシ樹脂からなり、貫通孔16Hに適合させて略ロ字状に成型した接着シート17Rを介して挟み、加熱、圧着する。これにより、両者13,16は、接着層17を介して接着され、図4に示すコア基板本体10が作成できる。
本実施形態のように、受け部12を有する貫通孔11を備えたコア基板本体10を作成するのに、予め貫通孔13Hの内周近傍が受け部12となる受け部用コア基板本体13と、受け部12以外の径大部、つまり貫通孔11の大半を構成する壁部用コア基板本体16とに分けて製作し、その後貼り合わせるようにすると、受け部12を有する貫通孔11を公知の手法によって容易かつ正確な寸法で形成できる。したがって安価にコア基板本体10を形成することができる。
次いで、このコア基板本体10にコンデンサ20を内蔵させ、コアスルーホール導体33を形成する工程を説明する。まず、図6(a)に示すように、コア基板本体10の貫通孔11内に、上述のコンデンサ20をコンデンサ下面20Bを下にして配置する。すると上記したように、コンデンサ20の当接面20Cが受け部12の内向き面12Sに当接し、さらに、受け部12と、さらにいえばその内周縁12Hと切り欠き部20Pとが嵌合して、コンデンサ20の貫通孔11内での上下方向及び平面方向の位置決めができる。
その後、図6(b)に示すように、貫通孔11内の他、コア基板本体上面10A及びコンデンサ上面20A上、コア基板本体下面10B及びコンデンサ下面20B上(図中下方)に、エポキシ樹脂を主成分とする充填樹脂32を注入及び塗布し硬化させる。これにより、コンデンサ20が受け部12に当接、嵌合しつつ、貫通孔11内において充填樹脂32(32A)で固定されて、コア基板本体10に内蔵され、熱や振動等が掛かった場合にも、コア基板本体10とコンデンサ20との間の位置ズレが生じる等の不具合が防止される。
さらに、図6(c)に示すように、コア基板本体上面10A上及びコンデンサ上面20A上の充填樹脂層32B,32Cを平面に研磨して、上面接続パッド21を露出させると共に、この上面接続パッド21と、コンデンサ上面20A上及びコア基板本体上面10A上に残した充填樹脂層32B,32Cとを略面一に整面する。同様に、コア基板本体下面10B上及びコンデンサ下面20B上の充填樹脂層32D,32Eを平面に研磨して、下面接続パッド22を露出させると共に、この下面接続パッド22と、コンデンサ下面20B上及びコア基板本体下面10B上に残した充填樹脂層32D,32Eとを略面一に整面する。このようにして製作したコンデンサ内蔵コア基板では、コア基板本体10に貫通孔11を形成し、その中にコンデンサ20を内蔵させたことによる段差の発生は吸収され、以降に形成する樹脂絶縁層41,51等や配線層45,55等が段差によって歪み、断線やショート等の不具合を生じることはなくなる。また、フリップチップパッド101(あるいはフリップチップバンプ102)やLGAパッド103への段差の影響もなくなるため、フリップチップパッド101やLGAパッド103等のコプラナリティも良好にできる。
さらに、図7に示すように、このコア基板本体10の貫通孔11の周縁に、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間、さらには、充填樹脂層32Cの上面32CUと充填樹脂層32Eの下面32EDとの間を貫通するコアスルーホール孔30Hをドリルによって形成する。なお、孔径や間隔を小さくしたい場合などでは、レーザ(CO2,YAG等)で穿孔すると良い。
次いで、公知のスルーホール導体形成手法によって、このコアスルーホール孔30H内及びその周縁にCuからなるコアスルーホール導体33を形成する。なお、充填樹脂層上面32CU及び充填樹脂層下面32EDには、コアスルーホール導体33から延在して配線層45,55と接続するための接続配線34,35も形成する。また、充填樹脂層32Bと面一にした上面接続パッド21、及び充填樹脂層32Dと面一にした下面接続パッド22も、Cuメッキによってその厚さを増して充填樹脂層32Bより上方、または充填樹脂層32Dより下方に突出した状態とする。このようにして、コンデンサ内蔵コア基板(以下、単にコア基板ともいう)30を作成する。
このコア基板30は、コア基板本体10の他、コンデンサ20をその貫通孔11に内蔵している。しかし、コア基板上面30A(充填樹脂層上面32CU)やコア基板30B(充填樹脂層下面32ED)には、所定部位にこれらの間を貫通するコアスルーホール導体33、あるいは、上面接続端子21や下面接続端子22、接続配線34,35が形成されており、コア基板上面30A及びコア基板下面30Bは平坦にされている。したがって、コンデンサを内蔵しない通常の配線基板に用いるコア基板と同様に用いることができる。
コアスルーホール導体33の具体的な製造方法は、例えば以下のようである。即ち、まずコア基板本体10(図6(c)参照)にスルーホール孔30Hを穿孔後、その全面に無電解Cuメッキを施して、スルーホール孔30H内、充填樹脂層上面32CU、及び充填樹脂層下面32EDに無電解Cuメッキ層を形成する。その後、充填樹脂層上面32CU上、及び充填樹脂層下面32ED上(図中下方)に、ドライフィルムを貼り、露光現像してコアスルーホール孔の周縁など電解メッキ形成部分を開口させる。さらに、無電解Cuメッキ層を共通電極として電流を流して電解Cuメッキを施し、ドライフィルムを除去した後、不要な無電解Cuメッキ層をソフトエッチングで除去してコアスルーホール導体33、接続配線34,35等を形成する。なお、上面接続パッド21及び下面接続パッド22にも無電解Cuメッキ及び電解Cuメッキを施す。
その他、本実施形態では、コアスルーホール導体33をコアスルーホール孔30Hの内周及び周縁に形成された略円筒形状に形成したが、その内部に充填用樹脂を充填しその上下をメッキ層で閉塞するようにしても良い。このようにすれば、接続配線34,35を介さず、配線層45,55とコアスルーホール導体33とを直接接続することができるので、コアスルーホール導体33の間隔を高密度に形成することができる。
なお、この状態、即ち、後述するようにこのコンデンサ20を内蔵したコア基板30に樹脂絶縁層や配線層を形成する前に、内蔵したコンデンサ20の特性検査を行うと良い。コア基板30に内蔵された状態で、コンデンサ20の、ショートの有無、静電容量値、一対の電極群25Eと25Fと間の絶縁抵抗値、各上面接続パッド21及び各底面スルーホール導体12と、各電極群25E,25Fとの導通あるいは絶縁のチェック等、各種の検査を行い、不具合のあるコンデンサ20が内蔵されたコア基板30は廃棄する。これにより、後述するように工数の掛かる樹脂絶縁層や配線層を形成した後に、コンデンサ20に不具合があることが判明することで、付加価値の高い配線基板100全体を廃棄せざるを得なくなる危険性を減少させることができる。
その後は、このコア基板30を用いて、公知の樹脂絶縁層形成技術、配線層形成技術を用いて樹脂絶縁層や配線層を形成し、配線基板100を形成すればよい。
なお、本実施形態では、樹脂絶縁層を形成する前に、以下の処理を行う。即ち、図8(a)に示すように、コアスルーホール導体33の内部の他、充填樹脂層32B,32Cの上方や上面接続パッド21、接続配線34の上方、また、充填樹脂層32D,32Eの下方や下面接続パッド22、接続配線35の下方にエポキシ樹脂を主成分とする平坦化樹脂36,37,38を、充填塗布し、硬化させる。あるいは、まずコアスルーホール導体33の内部に平坦化樹脂36を充填し硬化させた後に、平坦化樹脂37,38を塗布して硬化させても良い。
さらに、図8(b)に示すように、平坦化樹脂37,38の上面あるいは下面を研磨して平坦にする。それと共に、上面接続パッド21、コアスルーホール導体33及び接続配線34を平坦化樹脂層37と略面一に露出させる。また、下面接続パッド22、コアスルーホール導体33及び接続配線35を平坦化樹脂層38と略面一に露出させる。これにより、上面接続パッド21や下面接続パッド22、コアスルーホール導体33、接続配線34,35等が、コア基板上面30Aあるいはコア基板下面30Bから突出して形成されているために、その上下に形成する樹脂絶縁層41,51等あるいは配線層45,55等が受ける影響を無くすことができる。したがって、配線層45等の断線やショートの防止、あるいは、フリップチップパッド101やLGAパッド103等のコプラナリティの向上を図ることができる。
以降は、平坦化樹脂層37の上面37U及び平坦化樹脂層38の下面38Dに、エポキシ樹脂を主成分とする感光性フィルムを貼り付ける。さらに、露光現像して、底面にそれぞれ上面接続パッド21、下面接続パッド22、接続配線34,35等が露出するビアホール41VH,51VHを形成し、感光性フィルムを硬化させて、図9(a)に示すように、樹脂絶縁層41,51をそれぞれ形成する。なお、樹脂絶縁層41,51を感光性のない樹脂で形成した後に、レーザ(CO2 ,YAG等)を用いてビアホール41VH,51VHを穿孔するようにしても良い。
さらに、無電解Cuメッキを施し、ドライフィルムを貼り付け露光現像して電解メッキ層形成部分のみ開口させ、無電解Cuメッキ層を共通電極として開口内に電解Cuメッキ層を形成し、ドライフィルムを除去した後、不要な無電解Cuメッキ層をソフトエッチングにより除去する。これにより、図9(b)に示すように、ビアホール41VH、51VH内に樹脂絶縁層41,51をそれぞれ貫通し、上面接続パッド21や下面接続パッド22等とそれぞれ接続するビア部45V,55Vを有する配線層45,55が、互いに絶縁されて形成される。なお、この配線層45,55は、さらに上部に樹脂絶縁層42,52が形成されると樹脂絶縁層41と42、あるいは樹脂絶縁層51と52の層間に配置されることになる。
以降は、同様にして樹脂絶縁層42,52、配線層46,56及びフリップチップパッド101、樹脂絶縁層(ソルダレジスト層)43,53を順に形成し、さらに、樹脂絶縁層43から露出するフリップチップパッド101にハンダペーストを塗布しリフローすることで、ハンダからなるフリップチップバンプ102を形成する。このようにして、図1に示す配線基板100が完成する。なお、LGAパッド103の表面には、酸化防止のため、Ni−Auメッキ層を形成しても良い。
本実施形態においては、コア基板本体10の貫通孔11内にコンデンサ20を内蔵させ充填樹脂32で固定した後に、充填樹脂層32B,32C,32D,32Eの上面または下面を研磨し整面した。さらに、コアスルーホール導体33等を形成した後にも、平坦化樹脂層37,38の上面または下面を研磨して整面した。このため、コンデンサ20を貫通孔11内に内蔵させたことによって生じる段差を解消し、さらには、コアスルーホール導体33や上面接続パッド21等の突出による段差も解消したので、配線層45,55等の断線やショート、さらには、フリップチップパッド101やフリップチップバンプ102、LGAパッド103のコプラナリティも向上させることができる。
また本実施形態では、上述のように樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53を、感光性樹脂フィルムを用いたフォトリソグラフィ技術によって形成し、また、配線層45,55を、いわゆるセミアディティブ法によって形成した。しかし、樹脂絶縁層41等を樹脂ペーストを塗布するなど他の手法で、また、配線層45等も、サブトラクティブ法、フルアディティブ法、その他の手法で形成しても良い。即ち、公知のいずれの手法によって、樹脂絶縁層41等及び配線層45等を形成しても良い。
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態にかかる配線基板200ついて、図10を参照しつつ説明する。前記実施形態1の配線基板100では、コンデンサ20を内蔵するコア基板本体10の貫通孔11に形成された受け部12が、貫通孔11の図中下方端部に形成されていた。これに対して、本実施形態の配線基板200では、コンデンサ220を内蔵するコア基板本体210のコンデンサ内蔵用貫通孔211のうち、図中上方端部にコンデンサ受け部212が形成されている点で異なる。また、コンデンサ220の上面220A側に当接面220C及び切り欠き部220Pが形成され、受け部212の内向き面(図中下面)212Sと当接面220Cとが当接し、受け部212に切り欠き部220Pが嵌合している点で異なる。さらに、コア基板本体上面210Aのうち受け部212の外向き面(図中上面)212Tにまで接続配線234が延設されている点で異なるが、その他は同様であるので、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
配線基板200は、その配線基板上面200Aに、破線で示すICチップ1との接続用のフリップチップパッド101及びフリップチップバンプ102が多数形成されている。一方、配線基板下面200Bには、LGAパッド103が多数形成されている。さらにこの配線基板200は、コンデンサ220を内蔵するコア基板本体210、これらの上下に積層された樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53及びこれらの層間に及び樹脂絶縁層を貫通して形成された各配線層60,70,80,90を備える。
このうち、コア基板本体210は、平面視略正方形板状で、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、その略中央にはその上下を貫通する平面視略正方形のコンデンサ内蔵用貫通孔211を備える。この貫通孔211の図中上方端部には、貫通孔211の径方向内側に向けて突出し、その内周縁212Hが略正方形状とされたコンデンサ受け部212が形成されている。また、この貫通孔211内には、コンデンサ220が内蔵されている。また、このコア基板本体210の周縁部には、コア基板本体上面210Aとコア基板本体下面210Bとの間を貫通するコアスルーホール導体233が多数形成されている。また、コア基板本体上面210Aには、コアスルーホール導体233から受け部212の上面212Tまで延びる接続配線234が形成されている。一方、コア基板本体赤面210Bには、コアスルーホール導体233から延びる接続配線235が形成されている。
コンデンサ220は、実施形態1で説明したコンデンサ20と同様の材質、構造を有する、但し、コンデンサ20とちょうど上下反転させた形状、即ち、当接面220Cおよび切り欠き部220Pがコンデンサ上面220A側に形成された積層セラミックコンデンサである(図2(a)(b)(c)参照)。つまり、コンデンサ上面220Aの周囲は、階段状の切り欠き部220Pとされ、一段低位にされて当接面220Cを構成する。なお、コンデンサ20と同様に、コンデンサ上面220A及びコンデンサ下面220Bには、それぞれ多数の上面接続パッド221及び下面接続パッド222を備えており、これらのパッド221,222によって、コンデンサ上面220A及びコンデンサ下面220B内で、図中上方あるいは下方に接続可能になっている。
これにより、コア基板本体210に内蔵されたコンデンサ220は、図中上方には上面接続パッド221で、図中下方には下面接続パッド222で、それぞれ接続可能になっている。さらに、このコンデンサ220は、エポキシ樹脂からなる充填樹脂232によって貫通孔211内に固定されて、コア基板本体210と一体となっている。
さらに、実施形態1と同様に、コア基板本体上面210A及びコンデンサ上面220Aの上方には、エポキシ樹脂を主成分とする3層の上部樹脂絶縁層41,42,43を備える。一方、コア基板本体下面210B及びコンデンサ下面220Bの下方にも、同じく3層の下部樹脂絶縁層51,52,53を備える。さらに上部樹脂絶縁層41と42の層間及び上部樹脂配線層42と43の層間には、それぞれ上部樹脂絶縁層41,42をも貫通し、Cuメッキからなる配線層45,46が形成されている。同様に、下部樹脂絶縁層51と52の層間及び下部樹脂配線層52と53の層間には、それぞれ下部樹脂絶縁層51,52をも貫通し、Cuメッキからなる配線層55,56が形成されている。
このうち、フリップチップパッド101とこれに対応する上面接続パッド221とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コンデンサ接続配線60を構成し、フリップチップパッド101とこれに対応するコアスルーホール導体33とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コア接続配線80を構成する。一方、コンデンサ20の下面接続パッド222とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コンデンサ接続配線70を構成し、コアスルーホール導体33とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コア接続配線90を構成する。
これにより、フリップチップバンプ102に接続されたICチップ1は、コンデンサ220の一対の電極群とそれぞれ接続することになる。さらに、LGAパッド103は、コンデンサ220の一対の電極群とそれぞれ接続している。
このため、LGAパッド103に接続したマザーボードなどから供給される電源電位及び接地電位は、LGAパッド103から、下部コンデンサ接続配線70、コンデンサ220、上部コンデンサ接続配線60、フリップチップパッド101、フリップチップバンプ102を通じて、ICチップ1に供給することができるようになる。さらに、コンデンサ220により電源電位や接地電位に重畳されるノイズを除去することができる。
しかも、コンデンサ220は、コア基板本体210に内蔵されているので、ICチップ1のごく近くに配置することができるため、上部コンデンサ接続配線60の長さを短くできる。したがって、コンデンサ220によるノイズ除去能力をより高めることができる。特に、本実施形態では、コンデンサ220を、ICチップ1の直下に、したがって、フリップチップパッド101の直下に配置する構造としたので、上部コンデンサ接続配線60の長さをごく短くすることができる。したがって、ICチップ1とコンデンサ220との距離をごく短くすることができるから、この間でノイズが重畳されることが少なく、特にノイズ除去に有効となる。
また、上部コンデンサ接続配線60は並列に多数形成されている。また同様に、下部コンデンサ接続配線70も多数形成されている。このため、全体として、上部コンデンサ接続配線60や下部コンデンサ接続配線70の持つ抵抗やインダクタンスも小さくなり、この点からもノイズ除去に有利となる。
一方、信号線などコンデンサ220に接続しないで、ICチップ1とマザーボード等とを結ぶ配線は、フリップチップパッド101から上部コア接続配線80、接続配線234を通じて、コアスルーホール導体33に接続し、コア基板本体210を貫通して、下部コア接続配線90からLGAパッド103に接続する。この構造は、スルーホール導体を形成したコア基板を用いた通常のビルドアップ配線基板と同様である。
このように、本実施形態の配線基板200でも、ICチップ1のごく近くにコンデンサ220を内蔵して、有効にノイズを除去すると共に、信号線等については、従来と同様の構造にすることができる。
しかも、本実施形態では、接続配線234が受け部212の外向き面(図中上面)212Tまで延在しているものもある。このような接続配線234を形成すると、上面接続パッド221の近傍でも上部コア接続配線80と接続ができるようになり、配線の自由度をさらに向上させることができる。
なお、この配線基板200は、実施形態1のコンデンサ20や配線基板本体10と同様のコンデンサ220やコア基板本体210を製作し、コア基板本体210にコンデンサ220を内蔵させ、上下反転させた上で実施形態1と同様に樹脂絶縁層41等や配線層45等を形成すれば製作できるので、その詳細な説明を省略する。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、コア基板本体10、さらにいえば、受け部用コア基板本体13及び壁部用コア基板本体16の材質として、ガラス−エポキシ樹脂複合材料を用いたが、コア基板本体としては、耐熱性、機械的強度、可撓性、加工の容易さ等を考慮して選択すればよい。したがって、例えば、ガラス織布、ガラス不織布などのガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂等の樹脂とのガラス繊維−樹脂複合材料や、ポリアミド繊維などの有機繊維と樹脂との複合材料、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料などを用いることができる。
また、樹脂絶縁層41等として、エポキシ樹脂を主成分とするものを用いたが、耐熱性、パターン成形性等を考慮して適宜選択すれば良く、例えば、ポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等が挙げられる。
同様に、配線層45等を、無電解Cuメッキ及び電解Cuメッキによって形成したが、その他の材質、例えば、Ni、Ni−Au等によって形成しても良く、さらには、メッキによらず、導電性樹脂を塗布する等の手法によって配線層45等を形成しても良い。
上記実施形態では、ICチップ1との接続のために、配線基板上面100A,200Aにフリップチップパッド101及びフリップチップバンプ102を多数設けた。しかし、IC接続端子としては、接続するICチップに形成され端子に応じて、適切な形態のものを選択すれば良く、フリップチップバンプを形成したものの他、フリップチップパッドのみのもの、あるいは、ワイヤボンディングパッドやTAB接続用のパッドを形成したものなどが挙げられる。
上記実施形態では、コア基板本体の略中央に貫通孔を1つ設けたものを示したが、略中央に形成する必要はなく、また、必要に応じて貫通孔を複数設けてコンデンサを内蔵するようにしても良い。また逆に、複数の電源電位に対応するなどのため、1つの貫通孔内に、複数のコンデンサを内蔵するようにしても良い。
また、コンデンサ20として、コンデンサ上面20Aやコンデンサ下面20Bに略平行に誘電体層24及び電極層25を積層した積層セラミックコンデンサを示した。しかし、内蔵させるコンデンサは、コンデンサ上面20Aやコンデンサ下面20Bに上面接続パッド21や下面接続パッド22が形成されたもので有ればよく、例えば、誘電体層や電極層がコンデンサ上面と略直交する方向に積層されているなど、コンデンサの積層方向や内部構造は適宜変更することができる。また、上記実施形態1では、コンデンサ内に形成したビア導体26,27,28は、いずれも他のビア導体と上下方向に重なった位置に形成されたものを示したが(図2(c)参照)、他のビア導体が上方あるいは下方にある位置に限定する必要はなく、各ビア導体26等の配置あるいはその数は、適宜選択することができる。
さらに、上記実施形態では、誘電体層24にBaTiO3 を主成分とする高誘電体セラミックを用いたが、誘電体層の材質はこれに限定されず、例えば、PbTiO3,PbZrO3,TiO2,SrTiO3,CaTiO3,MgTiO3,KNbO3,NaTiO3,KTaO3,RbTaO3,(Na1/2Bi1/2)TiO3 ,Pb(Mg1/2W1/2)O3,(K1/2Bi1/2)TiO3などが挙げられ、要求されるコンデンサの静電容量その他に応じて適宜選択すればよい。
また、電極層25やビア導体26等には、Pdを用いたが、誘電体層の材質等との適合性を考慮して選択すれば良く、例えば、Pt,Ag,Ag−Pt,Ag−Pd,Cu,Au,Ni等が挙げられる。
さらに、高誘電体セラミックを主成分とする誘電体層やAg−Pd等からなる電極層と、樹脂層やCuメッキ,Niメッキ等からなるビア導体や配線層とを複合させてコンデンサとしたものを用いることもできる。
また、上記実施形態では、貫通孔11内にコンデンサ20を内蔵した後、貫通孔11内に充填樹脂32(32A)を充填したほか、コンデンサ上面20A上及びコア基板本体上面10A上や、コンデンサ下面20B上及びコア基板本体下面10B上(図中下方)にも、充填樹脂層32B,32C,32D,32Eを形成した(図6参照)。しかし、少なくとも充填樹脂32(32A)でコンデンサ20を貫通孔11内に固定できれば良い。したがって、貫通孔11内にのみ充填樹脂32を注入しても良い。
あるいは、充填樹脂32(32A)の他にコンデンサ上面20A上やコンデンサ下面20B上の充填樹脂層32B,32Dのみ形成するようにすることもできる。即ち、貫通孔11(受け部12)やコンデンサ20の寸法を調整しておき、コンデンサ20を貫通孔11内で位置決めした状態で、コンデンサ上面20Aがコア基板本体上面10Aよりも低位(図中下方)となり、かつ、上面接続パッド21がコア基板本体上面10Aよりも上位(図中上方)となるようにする。また、コンデンサ下面20Bがコア基板本体下面10Bよりも上位(図中上方)となり、かつ、下面接続パッド22がコア基板本体下面10Bよりも低位(図中上方)となるようにする。次いで、貫通孔11内に充填樹脂32を注入するほか、コンデンサ上面20A、コンデンサ下面20B上にもそれぞれ充填樹脂層32B,32Dを形成する。その後、この充填樹脂層32Bの上面に上面接続パッド21が露出し、この上面がコア基板本体上面10Aと面一になるように、また、この充填樹脂層32Dの上面に下面接続パッド22が露出し、この下面がコア基板本体下面10Bと面一になるように整面しても良い。このようにしても、貫通孔11の存在やコンデンサ20を内蔵したために生じる段差が解消でき、さらに上層に上部樹脂絶縁層41等や配線層45等を形成する際に、配線層45等の断線やショートを防止し、あるいはフリップチップパッド101等のコプラナリティ低下を防止できる。
また、上記実施形態では、コンデンサ20を内蔵させた後に、コア基板本体10にコアスルーホール導体33を形成したが、予めコア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体を形成しておき、その後コンデンサ20を貫通孔11内に内蔵させることもできる。即ち、受け部用コア基板本体13と壁部用コア基板本体16とを接着した後(図4,図5参照)、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通する貫通孔を形成し、公知の手法によりコアスルーホール導体を形成する。その後、上記と同様にして、貫通孔11内にコンデンサ20を内蔵させる。このようにすると、コンデンサ20を内蔵した後、コアスルーホール孔30Hの形成の際に発生する振動や衝撃等で、コンデンサ20や充填樹脂32にクラック等の不具合を生じさせる危険を回避することができる。
さらに、上記実施形態においては、コアスルーホール導体33や接続導体34,35を形成した後に、平坦化樹脂36,37,38を形成して、コア基板30の上下を平坦にした。しかし、上記平坦化樹脂を用いないで、即ち、図7に示す状態から、コアスルーホール導体33内を樹脂で埋めた上で、樹脂絶縁層41,51を形成するようにしても良い。このようにすれば、配線基板をより安価に形成することができる。
さらに、上記実施形態では、貫通孔11,211にコンデンサ受け部12,212をそれぞれ形成し、当接部20C,220C、及び切り欠き部20P,220Pが形成されたコンデンサ20,220が、この受け部12等に当接し、かつ、嵌合するようにした。
しかし、受け部12等に当接するのみでも、コンデンサ20等の図中上下方向の位置決めをすることができる。例えば、図11の変形例1に示す配線基板300のようなものが挙げられる。この配線基板300について説明すると、内蔵するコンデンサ320には、実施形態1のコンデンサ20と異なり、切り欠き部が形成されておらず、その厚さがコンデンサ20よりやや薄くされ、その代わりに、コンデンサ下面320Bに形成された下面接続パッド322の厚さが厚くされている。一方、コア基板本体10その他については、実施形態1の配線基板100とほぼ同様とされている。この配線基板300では、受け部12の内向き面12Sとコンデンサ下面(当接面)320Bとが当接することで、コンデンサ320の図中上下方向の位置決めがなされている。これにより、容易にコンデンサ320の上下方向の位置ズレに起因する上方コンデンサ接続配線60(配線層45)や下方コンデンサ接続配線70(配線層55)との接続不良を防止でき、これらと確実に接続できる。また、配線基板300では、切り欠き部を形成しない略直方体形状のコンデンサ320を用いることができ、コンデンサ320の製造が容易で安価になるため、配線基板300も安価にできる。なお、コンデンサ320の平面方向(図中左右方向)の位置決めは、適宜治工具を用いて行い、充填樹脂332によってコンデンサ320を貫通孔11内に固定すればよい。
さらには、例えば、図12の変形例2に示す配線基板400のように、受け部12等を形成しないものもとすることができる。この配線基板400では、コア基板本体410の上面410Aと下面410Bとの間に形成した平面視略正方形状の貫通孔411の径(平面方向寸法)は、上端から下端にわたって変わらず、受け部が形成されていない。また、この貫通孔411内に内蔵されたコンデンサ420は、その厚さはコア基板本体410のそれとほぼ同じであり、実施形態1のコンデンサ20と異なり、切り欠き部が形成されていない略直方体形状とされている。本配線基板400では、コア基板本体410に受け部を形成しないため、実施形態1で説明したように、受け部用コア基板本体13と壁部用コア基板本体16とを貼り合わせる必要が無く、コア基板本体410に公知の手法で貫通孔411を形成すれば足りる。また、コンデンサ420も、切り欠き部を形成しない略直方体形状のものを用いることができ、コンデンサ420の製造が容易で安価になる。従って、配線基板400は、さらに安価にできる。なお、コンデンサ420の上下方向、及び平面方向(図中左右方向)の位置決めは、適宜治工具を用いて行い、充填樹脂432によってコンデンサ420を貫通孔411内に固定すればよい。
さらに、実施形態1においてコア基板本体10の受け部12の形状は、図4(a)に示したように、コア基板本体上面10Aから平面視すると、貫通孔11の全周にわたって、略一定の幅を持つ略ロ字形状とされているが、他の形状であっても良い。
例えば、図13(a)に示すコア基板本体510のように、略正方形の貫通孔11の4つの角部からそれぞれ略「く」の字状に突出するコンデンサ受け部512A,512B,512C,512Dが形成されたもの、図13(b)に示すコア基板本体520のように、略正方形の貫通孔11のうちの対向する2辺(本例では、左右の2辺)に沿って突出する2本の帯状のコンデンサ受け部522A,522Bが形成されたものが挙げられる。また、図13(c)に示すコア基板本体530のように、略正方形の貫通孔11の4つの辺にそれぞれ略台形状に突出するコンデンサ受け部532A,532B,532C,532Dが形成されたものなども挙げられる。これらコンデンサ受け部512,522,532の内向き面512S,522S,532Sもコンデンサ20を内蔵させた際に、コンデンサ20の当接面20Cと当接し、かつ、コンデンサ受け部512,522,532、つまりその内周縁512H,522H,532Hが切り欠き部20Pと嵌合するので、コンデンサ20の貫通孔11内の上下方向及び平面方向の位置決めをすることができる。
さらに、上記実施形態1では、切り欠き部20Pをコンデンサ下面20Bの周縁にロ字状に設けた(図2(b)参照)が、切り欠き部はコンデンサ受け部(例えば実施形態1における受け部12(図4参照))に嵌合する形状であれば、他の形状としても良い。
例えば、上記コア基板本体520(図13(b)参照)の受け部522に嵌合するコンデンサとして、例えば、図14(a)に示すコンデンサ540が挙げられる。このコンデンサ540では、平面視正方形状のコンデンサ下面540Bの周縁のうち、対向する二辺に沿う部分のみ階段状に切り欠き部540Pが設けられ、当接面540Cが形成されている。これにより、上記コア基板本体520の貫通孔11内で、コンデンサ540の当接面540Cと受け部522の内向き面522Sとが当接し、その内周縁522Hと切り欠き部540Pとが嵌合する。このようにしても、コンデンサ540の貫通孔11内における軸方向及び径方向の位置決めを容易にすることができる。
また、コンデンサには、切り欠き部ではなく、コンデンサ下面から突出する凸部を設けて、コンデンサ受け部と嵌合するようにしても良い。例えば、上記コア基板本体510(図13(a)参照)の受け部512に嵌合するコンデンサとして、例えば、図14(b)に示すコンデンサ550が挙げられる。このコンデンサ550では、平面視正方形状のコンデンサ下面550Bの周縁のうち、各辺中央部近傍にそれぞれ略矩形状の凸部550TA,550TB,550TC,550TDが設けられている。これにより、上記コア基板本体510の貫通孔11内で、コンデンサ550のコンデンサ下面(当接面)550Bと受け部512の内向き面512Sとが当接し、その内周縁512Hと各凸部550TA等とが嵌合する。このようにしても、コンデンサ550の貫通孔11内における軸方向及び径方向の位置決めを容易にすることができる。
また同様に、上記コア基板本体530(図13(c)参照)の受け部532に嵌合するコンデンサとして、例えば、図14(c)に示すコンデンサ560が挙げられる。このコンデンサ560では、平面視正方形状のコンデンサ下面560Bの周縁のうち、各角部近傍にそれぞれ略家型状の凸部560TA,560TB,560TC,560TDが設けられている。これにより、上記コア基板本体530の貫通孔11内で、コンデンサ560のコンデンサ下面(当接面)560Bと受け部532のそれぞれの内向き面532Sとが当接し、その内周縁512Hと各凸部560TA等とが嵌合する。このようにしても、コンデンサ560の貫通孔11内における軸方向及び径方向の位置決めを容易にすることができる。
また、コンデンサとコア基板本体の受け部の形状としては、上記各例に限定されるものではなく、切り欠き部と凸部のいずれも形成したものなど、互いに当接し嵌合する形状に形成すればよい。
上記から説明から容易に理解できるように、コンデンサ受け部とコンデンサとは、受け部の内向き面とコンデンサの当接面とが互いに当接する形状にされていれば、貫通孔内におけるコンデンサの上下方向の位置決めをすることができる。またさらに、コンデンサ受け部とコンデンサとは、受け部(受け部の内周縁)とコンデンサの切り欠きとが互いに嵌合する形状とされていれば、貫通孔内におけるコンデンサの平面方向の位置決めをすることができる。