しかしながら、上記の手法では、配線基板2の完成後に、別途チップコンデンサ3を搭載する必要があるため、工数がかかりコストアップとなる。また、チップコンデンサの接続の良否により配線基板全体の良否に影響が出るなどチップコンデンサ3の接続信頼性に依存して配線基板の信頼性が低下する場合がある。また、チップコンデンサ3を搭載する領域を予め確保しておく必要があり、他の電子部品の搭載や配線基板の補強のための補強部材の固着の自由度を低下させる。さらに、他の配線等に制限されて、ICチップ1とチップコンデンサ3とを結ぶコンデンサ接続配線4の長さが長く、また細くなりやすいため、コンデンサ接続配線4自身の持つ抵抗やインダクタンスが大きくなりがちで、低抵抗、低インダクタンスの要請に十分に応えられない。
そこで、配線基板のうち、コア基板の上下に形成する樹脂絶縁層及び配線層の一部を、樹脂絶縁層を誘電体層として対向する配線層(電極層)で挟んだコンデンサ構造に形成し、コンデンサを内蔵させることが考えられる。しかし、コンデンサがショートや絶縁抵抗不良などにより不具合となった場合に、付加価値の付いた配線基板全体を廃棄することになるため、損失金額が大きくなって、結局配線基板を安価に製造することが困難である。また、樹脂絶縁層の比誘電率は、高誘電率セラミック粉末等を混入したとしても、一般に高々40〜50程度と見込まれるので、内蔵させるコンデンサの静電容量を十分大きくすることも困難である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、コンデンサを内蔵する配線基板などにも用いることができ、ICチップや配線基板、その他の電子部品の接続面との間での接続が可能なコンデンサ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、コンデンサ上面と、コンデンサ下面と、互いに絶縁された一対の電極または電極群と、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッドと、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッドと、を備えるコンデンサである。
本発明のコンデンサは、コンデンサ上面に複数の上面接続パッドを、コンデンサ下面に複数の下面接続パッドを備え、しかも、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通し、また、一対の電極または電極群のどちらもが複数の下面接続パッドの少なくともいずれかと導通する。このため、コンデンサ上面から、コンデンサの両極を取り出すことができる。同様に、コンデンサ下面からも、コンデンサの両極を取り出すことができる。
したがって、コンデンサ上面及びコンデンサ下面のいずれにおいても、パッドやバンプを形成したICチップや配線基板、その他の電子部品の接続面との間での接続が可能となる。
また、コンデンサ上面とコンデンサ下面の両面から、コンデンサの両極を取り出すことができる。このため、例えば、配線基板とICチップとの間に介在させることにより、配線基板からICチップへ電力を供給する電源配線及び接地配線をそれぞれ接続する配線の一部としての役割を果たさせると共に、電源配線と接地配線との間をこのコンデンサで結び、これらの配線の重畳されるノイズを除去する役割をも果たさせることができる。
さらに、上記コンデンサ内蔵用凹部を備えたコア基板本体のコンデンサ内蔵用凹部に内蔵、固定することで、コンデンサ内蔵コア基板とし、さらに樹脂絶縁層や配線層を形成して、コンデンサを内蔵した配線基板とすることができる。
なお、上面接続パッドや下面接続パッドは、接続するICチップ等の端子や配線層に対応した位置及び数で形成すればよいが、並列に接続する端子や配線層の数が多いほど、コンデンサとICチップ等との間に生じる抵抗やインダクタンスを全体として抑制できるので、上面接続パッドや下面接続パッドは多数形成するのが好ましい。
さらに、上記のコンデンサであって、前記コンデンサ上面及びコンデンサ下面に略平行に誘電体層と電極層とが交互に積層され、上記電極層は、上記誘電体層を貫通するビア導体によりそれぞれ1層おきに導通されて、互いに絶縁された前記一対の電極群をなし、前記複数の上面接続パッドは、上記誘電体層のうち最上に位置し前記コンデンサ上面をなすトップ誘電体層の上記コンデンサ上面に形成され、上記トップ誘電体層またはトップ誘電体層及びこの下層に位置する上記誘電体層を貫通するビア導体により、上記一対の電極群のいずれかに属する上記電極層と導通されてなり、前記複数の下面接続パッドは、上記誘電体層のうち最下に位置し前記コンデンサ下面をなすボトム誘電体層の上記コンデンサ下面に形成され、上記ボトム誘電体層またはボトム誘電体層及びこの上層に位置する上記誘電体層を貫通するビア導体により、上記一対の電極群のいずれかに属する上記電極層と導通されてなることを特徴とするコンデンサとすると良い。
本発明のコンデンサは、各電極層が互いにビア導体で導通された一対の電極群を有し、複数の上面接続パッド及び複数の下面接続パッドは、いずれもビア導体によりいずれかの電極群に属する電極層と導通している。このため、積層コンデンサに通常用いられているように、誘電体層と電極層を積層した後に、誘電体層の側面に電極層同士を1層おきに結ぶ共通電極を別途設ける必要もなく、安価に形成できる。
また、上面接続パッドや下面接続パッドはビア導体でいずれかの電極層と導通しているので、各上面接続パッドや下面接続パッドを任意の位置に形成して電極層と導通させることができる。つまり、各パッドの位置選択の自由度を高くすることができる。
さらに、上記コンデンサであって、前記誘電体層は高誘電体セラミックからなり、前記電極層、ビア導体、上部接続パッド及び下部接続パッドは金属からなり、これらはいずれも同時焼成によって形成されていることを特徴とするコンデンサとすると良い。
高誘電体セラミックは、比誘電率εrが高いものでは数万となり、組成に応じて所望の静電容量を容易に得られ、また、小型でも静電容量の大きなコンデンサを構成することができる。したがって、本発明のコンデンサでは、高誘電率セラミックからなる誘電体層を用いることで、コンデンサの静電容量を十分大きなものとすることができる。さらに、このコンデンサは同時焼成によって形成されているので、焼成によって一挙に形成できるから、安価なコンデンサとすることができる。
さらに、他の解決手段は、上記コンデンサの製造方法であって、高誘電率セラミックを主成分とする高誘電率セラミックグリーンシートの所定位置に複数の貫通孔を形成する穿孔工程と、穿孔された上記複数の貫通孔に金属ペーストを充填して複数の未焼成ビア導体を形成する未焼成ビア導体充填工程と、上記未焼成ビア導体を形成した上記高誘電率セラミックグリーンシートの上面に、上記複数の未焼成ビア導体のうちのいずれかと接触する所定形状に金属ペーストを塗布して未焼成電極層を形成する未焼成電極層塗布工程と、上記未焼成ビア導体と未焼成電極層とが形成された高誘電率セラミックグリーンシートを所定順序に積層し、最上層に上記未焼成電極層は形成せず上記未焼成ビア導体は形成した高誘電率セラミックグリーンシートを積層し、圧着して積層体を形成する積層圧着工程と、上記積層体を焼成する焼成工程と、を備えることを特徴とするコンデンサの製造方法である。
本発明のコンデンサの製造方法では、高誘電率セラミックグリーンシートの穿孔し、金属ペーストを充填して未焼成ビア導体を形成し、金属ペーストを所定形状に塗布して未焼成電極層を形成し、その後、高誘電率セラミックグリーンシートを積層し、焼成して上記コンデンサを形成する。このようにすると、通常の積層コンデンサのように側面に共通電極を形成する必要が無く、安価に形成することができる。
また、配線基板上面と配線基板下面とを有し、上記配線基板上面にICチップを接続するための複数のIC接続端子を、上記配線基板下面に複数の接続端子を備え、コンデンサを内蔵する配線基板であって、コア基板本体上面、コア基板本体下面、上記コア基板本体上面側に開口する有底のコンデンサ内蔵用凹部、上記凹部の底部を底面から上記コア基板本体下面まで貫通してコア基板本体下面に延出する複数の底部スルーホール導体、及び、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通して形成された複数のコアスルーホール導体、を備えるコア基板本体と、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備え、上記コア基板本体のコンデンサ内蔵用凹部内に内蔵、固定され、上記複数の下面接続パッドが対応する上記複数の底部スルーホール導体にそれぞれ導通された上記コンデンサと、上記コア基板本体上面及び上記コンデンサ上面の上方に積層された1または複数の上部樹脂絶縁層と、上記コア基板本体下面の下方に積層された1または複数の下部樹脂絶縁層と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応する上記コンデンサの複数の上面接続パッドとをそれぞれ接続する複数の上部コンデンサ接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コア基板本体下面に延出した底部スルーホール導体とこれに対応する上記配線基板下面の複数の接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コンデンサ接続配線と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応する上記コア基板本体上面の複数のコアスルーホール導体とをそれぞれ接続する複数の上部コア接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コア基板本体下面のコアスルーホール導体とこれに対応する上記配線基板下面の複数の接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コア接続配線と、を備えることを特徴とする配線基板とするのが好ましい。
この配線基板は、コア基板本体にコンデンサ内蔵用凹部を形成し、その中にコンデンサを内蔵し、上部樹脂絶縁層及び下部樹脂絶縁層を形成し、フリップチップパッド等のIC接続端子と上面接続パッドとを上部コンデンサ接続配線で、底部スルーホール導体と接続端子とを下部コンデンサ接続配線で結んでいる。さらに、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通するようにしている。また下面接続パッドも同様にされている。このため、コンデンサの両極をコンデンサの上方及び下方に取り出すことができる。したがって、上面接続パッドから上部コンデンサ接続配線を通じてIC接続端子、さらにはICチップに、コンデンサの両極を接続することができる。同様に、下面接続パッドから底部スルーホール導体、下部コンデンサ接続配線を通じて接続端子にコンデンサの両極を接続することができる。このため、ICチップと接続するIC接続端子、あるいはマザーボード等の他の配線基板の電源配線や接地配線と接続させる接続端子等からごく近い距離にコンデンサを配置することができる。したがって、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線もごく短く形成することができる。
さらに、通常ICチップにおいて、電源電位や接地電位は各所に必要となるので、ときにはICチップに形成される接続端子(接続パッドや接続バンプ)群の半数近くの数とされるほど電源端子や接地端子はそれぞれ多数形成される。これに対し、このコンデンサ上面及びコンデンサ下面には、複数の上面接続パッド及び下面接続パッドを備える。したがって、ICチップの電源端子や接地端子に対応させて多数の上面接続パッドを形成し、これらをそれぞれ結ぶように上部コンデンサ接続配線を多数並列に形成すれば、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができることになる。同様に、下面接続パッドに対応する底部スルーホール導体と配線基板下面の各接続端子とを並列に接続する下部コンデンサ接続配線に関しても、同様にインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。つまり、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線も、その長さを短くできしかもその本数を多くできるため、抵抗やインダクタンスを低くすることができ、コンデンサによってノイズを有効、確実に除去することができる。
しかも、配線基板内にコンデンサを内蔵しているので、後からコンデンサを取り付ける必要が無く、チップコンデンサ搭載のための費用が不要となるため、安価な配線基板とすることができる。また、他の電子部品等の搭載や補強板の固着などの自由度も高い。さらに、コア基板本体に形成したコンデンサ内蔵用凹部にコンデンサを内蔵しているので、上部樹脂絶縁層や下部樹脂絶縁層あるいは上部コンデンサ接続配線、下部コンデンサ接続配線、上部コア接続配線、及び下部コア接続配線は、いずれも公知の樹脂絶縁層や配線層の製法を用いて形成することができる点でも安価にできる。また、内蔵させるコンデンサの静電容量を自由に選択できるので、高誘電率セラミックを用いた静電容量の大きなコンデンサを内蔵させることができ、ノイズ除去能力を一層向上させることができる。
なお特に、前記複数のIC接続端子のうち少なくとも一部が、前記コンデンサの上方に位置することを特徴とする配線基板とするのが好ましい。フリップチップパッド等のIC接続端子がコンデンサの上方に位置すると、IC接続端子とコンデンサの上面接続パッドとを結ぶ上部コンデンサ接続配線の長さを特に短くすることができる。したがって、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗をさらに低く抑えることができるので、ノイズ除去能力をさらに向上させることができる。
また他には、配線基板上面と配線基板下面とを有し、上記配線基板上面にICチップを接続するための複数のIC接続端子を、上記配線基板下面に複数の接続端子を備え、コンデンサを内蔵する配線基板であって、コア基板本体上面、コア基板本体下面、上記コア基板本体下面側に開口する有底のコンデンサ内蔵用凹部、上記凹部の底部を底面から上記コア基板本体上面まで貫通してコア基板本体上面に延出する複数の底部スルーホール導体、及び、上記コア基板本体上面とコア基板本体下面との間を貫通して形成されたコアスルーホール導体、を備えるコア基板本体と、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備え、上記コア基板本体のコンデンサ内蔵用凹部内に内蔵、固定され、上記複数の上面接続パッドが対応する上記複数の底部スルーホール導体にそれぞれ導通された上記コンデンサと、上記コア基板本体上面の上方に積層された1または複数の上部樹脂絶縁層と、上記コア基板本体下面及び上記コンデンサ下面の下方に積層された1または複数の下部樹脂絶縁層と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応し上記コア基板本体上面に延出した複数の底部スルーホール導体とをそれぞれ接続する複数の上部コンデンサ接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コンデンサの下面接続パッドとこれに対応する上記配線基板下面の複数の接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コンデンサ接続配線と、上記上部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記配線基板上面の複数のIC接続端子とこれに対応する上記コア基板本体上面の複数のコアスルーホール導体とをそれぞれ接続する複数の上部コア接続配線と、上記下部樹脂絶縁層を貫通あるいはその層間を通って、上記コア基板本体下面のコアスルーホール導体と対応する上記配線基板下面の複数の接続端子とをそれぞれ接続する複数の下部コア接続配線と、を備えることを特徴とする配線基板とするのが好ましい。
この配線基板は、コア基板本体にコンデンサ内蔵用凹部を形成し、その中にコンデンサを内蔵し、上部樹脂絶縁層及び下部樹脂絶縁層を形成し、フリップチップパッド等のIC接続端子と底面スルーホール導体とを上部コンデンサ接続配線で、下面接続パッドと接続端子とを下部コンデンサ接続配線で結んでいる。さらに、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通するようにしている。また下面接続パッドも同様にされている。このため、コンデンサの両極をコンデンサの上方及び下方に取り出すことができる。したがって、上面接続パッドから底部スルーホール導体、上部コンデンサ接続配線を通じてIC接続端子、さらにはICチップに、コンデンサの両極を接続することができる。同様に、下面接続パッドから下部コンデンサ接続配線を通じて接続端子にコンデンサの両極を接続することができる。このため、ICチップと接続するIC接続端子、あるいはマザーボード等の他の配線基板の電源配線や接地配線と接続させる接続端子等からごく近い距離にコンデンサを配置することができる。したがって、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線もごく短く形成することができる。
さらに、上述したように、通常ICチップにおいては、電源端子や接地端子はそれぞれ多数形成される。これに対し、このコンデンサ上面及びコンデンサ下面には、複数の上面接続パッド及び下面接続パッドを備える。したがって、ICチップの電源端子や接地端子に対応させて多数の底面スルーホール導体及び上面接続パッドを形成し、これらをそれぞれ結ぶように上部コンデンサ接続配線を多数並列に形成すれば、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。同様に、下面接続パッドと配線基板下面の各接続端子とを並列に接続する下部コンデンサ接続配線に関しても、同様にインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。つまり、上部コンデンサ接続配線も下部コンデンサ接続配線も、その長さを短くできしかもその本数を多くできるため、抵抗やインダクタンスを低くすることができ、コンデンサによってノイズを有効、確実に除去することができる。
しかも、配線基板内にコンデンサを内蔵しているので、後からコンデンサを取り付ける必要が無く、チップコンデンサ搭載のための費用が不要となるため、安価な配線基板とすることができる。また、他の電子部品等の搭載や補強板の固着などの自由度も高い。さらに、コア基板本体に形成したコンデンサ内蔵用凹部にコンデンサを内蔵しているので、上部樹脂絶縁層や下部樹脂絶縁層あるいは上部コンデンサ接続配線、下部コンデンサ接続配線、上部コア接続配線、及び下部コア接続配線は、いずれも公知の樹脂絶縁層や配線層の製法を用いて形成することができる点でも安価にできる。また、内蔵させるコンデンサの静電容量を自由に選択できるので、高誘電率セラミックを用いた静電容量の大きなコンデンサを内蔵させることができ、ノイズ除去能力を一層向上させることができる。
その上、この配線基板では、コンデンサ内蔵用凹部の底部が上方、即ち、IC接続端子側となるので、コンデンサ内蔵用凹部が開口しないコア基板本体上面上に上部樹脂絶縁層が形成され、さらにIC接続端子が形成される。したがって、上部樹脂絶縁層を平坦にしやすく、さらにはIC接続端子のコプラナリティを向上させることができ、ICチップとの接続信頼性をより高くすることができる。
なお特に、前記複数のIC接続端子のうち少なくとも一部が、前記コンデンサの上方に位置することを特徴とする配線基板とするのが好ましい。このようにすると、フリップチップパッド等のIC接続端子がコンデンサの上方に位置するので、IC接続端子と底部スルーホール導体とを結ぶ上部コンデンサ接続配線の長さを特に短くすることができる。したがって、上部コンデンサ接続配線の持つインダクタンスや抵抗をさらに低く抑えることができるので、ノイズ除去能力をさらに向上させることができる。
さらに他には、コア基板本体上面、コア基板本体下面、上記コア基板本体上面側に開口する有底のコンデンサ内蔵用凹部、及び、上記凹部の底部を底面から上記コア基板本体下面まで貫通してコア基板本体下面に延出する複数の底部スルーホール導体、を備えるコア基板本体と、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備え、上記コア基板本体のコンデンサ内蔵用凹部内に内蔵・固定され、上記複数の下面接続パッドが対応する上記複数の底部スルーホール導体にそれぞれ導通されたコンデンサと、を備えるコンデンサ内蔵コア基板とするのが好ましい。
このコンデンサ内蔵コア基板では、コア基板本体にコンデンサ内蔵用凹部を形成し、その中にコンデンサを内蔵している。さらに、一対の電極または電極群のいずれも複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通するようにしている。また下面接続パッドも同様にされている。このため、コンデンサの両極を、コンデンサ上面の上面接続パッド及びコア基板本体下面の底部スルーホール導体を通じて、コア基板の上方及び下方に取り出すことができる。
したがって、このコンデンサ内蔵コア基板を用いれば、公知の樹脂絶縁層や配線層の形成手法を用いて、容易にコンデンサを内蔵した配線基板を形成することができる。また、このようにして配線基板を形成した場合には、配線基板の搭載するICチップやマザーボード等の他の配線基板とごく近い距離にコンデンサを配置し、互いにごく短い配線で結ぶことができる。したがって、内蔵コンデンサの特性を十分発揮させて、ノイズを確実に除去することができるようになる。
さらに、上述したように、通常ICチップにおいては、電源端子や接地端子はそれぞれ多数形成される。これに対し、本発明のコンデンサ内蔵コア基板のコンデンサでは、コンデンサ上面及びコンデンサ下面に、複数の上面接続パッド及び下面接続パッドを備える。したがって、ICチップの電源端子や接地端子に対応させて多数の底面スルーホール導体及び上面接続パッドを形成し、これらをそれぞれ結ぶように配線層を多数並列に形成すれば、これらの配線層の持つインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。同様に、下面接続パッドと他の配線基板とを並列に接続する配線に関しても、同様にインダクタンスや抵抗を全体としてさらに低下させることができる。つまり、コンデンサ内蔵コア基板の上下に形成する配線の長さを短くできしかもその本数を多くできるため、抵抗やインダクタンスを低くすることができ、コンデンサによってノイズを有効、確実に除去することができる。また、内蔵させるコンデンサの静電容量を自由に選択できるので、高誘電率セラミックを用いた静電容量の大きなコンデンサを内蔵させることができ、ノイズ除去能力を一層向上させることができる。
しかも、コア基板内にコンデンサを内蔵しているので、樹脂絶縁層や配線層を形成した後に別途コンデンサを取り付ける必要が無く、チップコンデンサ搭載のための費用が不要となるため、配線基板を安価に製造することができる。
また、上面接続パッドあるいは底部スルーホール導体を通じて、内蔵したコンデンサの良否を判断できるので、ショート等の不具合を有するコンデンサが内蔵されたコア基板は、樹脂絶縁層等を形成する前に除去することができる。このため、工数が掛かる樹脂絶縁層や配線層が形成され、付加価値の高い配線基板を廃棄する危険性を少なくでき、全体としてコンデンサの不具合による損失金額も抑制して、安価な配線基板とすることができる。
ここで、上記コンデンサ内蔵コア基板であって、前記コンデンサ上面に、または前記コア基板本体上面及び前記コンデンサ上面に充填樹脂層を備え、上記コンデンサ上面上の充填樹脂層と、上記コア基板本体上面またはコア基板本体上面上の充填樹脂層とは略面一に整面され、前記複数の上面接続パッドがそれぞれ略面一に露出していることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板とすると良い。
このコンデンサ内蔵コア基板では、コンデンサ上面の充填樹脂層と、コア基板本体上面またはコア基板本体上面の充填樹脂層とは、略面一に整面され、しかも、複数の上面接続パッドが略面一に露出している。このため、このコア基板の上下に樹脂絶縁層や配線層を積層して配線基板を形成する際に、コンデンサ内蔵用凹部の段差や、コア基板本体上面とコンデンサ上面との高さの違いに起因して、これらの上に形成する樹脂絶縁層や配線層に段差が発生することが防止できる。したがって、樹脂絶縁層や配線層を容易に形成でき、しかも、配線層の断線やショート等の不具合も生じない。また、配線基板の上面や下面に形成するIC接続端子や接続端子のコプラナリティを向上させ、ICチップや他の配線基板との接続性を向上させることができる。
さらに他には、コア基板本体上面と、コア基板本体下面と、上記コア基板本体上面側に開口する有底のコンデンサ内蔵用凹部と、上記凹部の底部を底面から上記コア基板本体下面まで貫通してコア基板本体下面に延出する複数の底部スルーホール導体と、を備えるコア基板本体とするのが好ましい。
このコア基板本体では、コンデンサ内蔵用凹部を備えるので、この凹部内にコンデンサを内蔵させることで、コンデンサを内蔵した配線基板を容易に形成することができる。また、このコンデンサ内蔵用凹部の底部には、複数の底部スルーホール導体を有するため、この底部スルーホール導体を通じて、コア基板本体下面側にも、コンデンサの電極を引き出すことができ、コア基板本体下面側からも容易にかつ短距離でコンデンサと接続することができる。
さらに他には、底部用コア基板本体上面と底部用コア基板本体下面とを有する底部用コア基板本体のうち、凹部形成領域内に、底部用コア基板本体上面と底部用コア基板本体下面との間を貫通する複数の底部スルーホール導体を形成する底部スルーホール導体形成工程と、壁部用コア基板本体上面と壁部用コア基板本体下面とを有し、上記壁部用コア基板本体上面と壁部用コア基板本体下面との間を貫通する凹部用貫通孔を備える壁部用コア基板本体の上記壁部用コア基板本体下面と、上記底部用コア基板本体の上記底部用コア基板本体上面とを、上記凹部用貫通孔内に上記複数の底部スルーホール導体を露出させて、接着する接着工程と、を備えることを特徴とするコア基板本体の製造方法とするのが好ましい。
このコア基板本体の製造方法では、底部用コア基板本体に底部スルーホール導体を形成し、その後、凹部用貫通孔を備える壁部用コア基板本体と底部用コア基板本体とを接着してコア基板本体を製造する。このように底部用コア基板本体と壁部用コア基板本体とに分けて製作し、その後両者を接着すると、容易に有底の凹部を有するコア基板本体を形成することができる。また、凹部の底部に位置する底部スルーホール導体を、公知の技術によって容易に製造することができる。
さらに他には、コア基板本体上面、コア基板本体下面、上記コア基板本体上面側に開口する有底のコンデンサ内蔵用凹部、及び、上記凹部の底部を底面から上記コア基板本体下面まで貫通してコア基板本体下面に延出する複数の底部スルーホール導体、を備えるコア基板本体の、上記コンデンサ内蔵用凹部内に、コンデンサ上面、コンデンサ下面、互いに絶縁された一対の電極または電極群、上記コンデンサ上面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の上面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の上面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の上面接続パッド、及び、上記コンデンサ下面に形成され、上記一対の電極または電極群のうちのいずれかの電極または電極群とそれぞれ導通する複数の下面接続パッドであって、上記一対の電極または電極群のいずれも上記複数の下面接続パッドのうちの少なくとも1つと導通する複数の下面接続パッド、を備えるコンデンサを配置し、上記複数の下面接続パッドとこれに対応する上記複数の底部スルーホール導体とを接続する凹部内コンデンサ接続工程と、上記コンデンサ内蔵用凹部内に充填樹脂を注入し、上記充填樹脂を硬化させて、充填樹脂で上記コンデンサを上記コンデンサ内蔵用凹部内に固定するコンデンサ固定工程と、上記コア基板本体上面またはコア基板本体上面上の充填樹脂層とコア基板本体下面との間を貫通するコアスルーホール導体を形成するコアスルーホール形成工程と、を備えるコンデンサ内蔵コア基板の製造方法とするのが好ましい。
このコンデンサ内蔵コア基板の製造方法では、コンデンサ内蔵用凹部に接続したコンデンサを、コンデンサ内蔵用凹部に充填樹脂を充填して固定する。このため、コンデンサの下面接続パッドと底部スルーホール導体との接続が振動により破断する等の不具合が抑制され、コンデンサ内蔵コア基板の信頼性を向上させることができる。
さらに、上記コンデンサ内蔵コア基板の製造方法であって、前記コンデンサ固定工程は、前記コンデンサ内蔵用凹部内の他、前記コンデンサ上面及びコア基板本体上面のうち、少なくともコンデンサ上面にも充填樹脂を塗布し硬化させるコンデンサ固定−充填樹脂塗布硬化工程であり、前記コアスルーホール形成工程に先だって、上記コンデンサ上面上の、または、上記コンデンサ上面上及び前記コア基板本体上面上の、上記充填樹脂を研磨して上記複数の上面接続パッドを略面一に露出させるとともに、上記コンデンサ上面上の充填樹脂層と上記コア基板本体上面とを、または、上記コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面する研磨整面工程を備えることを特徴とするコンデンサ内蔵コア基板の製造方法とすると良い。
このコンデンサ内蔵コア基板の製造方法では、コンデンサをコンデンサ内蔵用凹部内で接続し、さらに充填樹脂で固定するほか、複数の上面接続パッドを略面一に露出させ、しかも、コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面とを、または、コンデンサ上面上の充填樹脂層とコア基板本体上面上の充填樹脂層とを、略面一の平坦面に整面してからコアスルーホールを形成する。このため、コア基板本体上面及びコンデンサ上面の上方に1または複数の樹脂絶縁層や配線層を形成する際に、コア基板本体上面の上方とコンデンサ上面の上方との間で段差を生じないため、樹脂絶縁層や配線層などを容易に形成することができ、あるいは、各配線層の断線やショートの不具合の発生を抑制することができる。さらに、IC接続端子や接続端子のコプラナリティを小さく抑えることができ、ICチップや他の配線基板との接続性も良好にできる。
さらに他には、コンデンサを内蔵するコンデンサ内蔵コア基板の上記コンデンサの特性を検査し、規格外のコンデンサ内蔵コア基板を除去する特性検査工程と、規格内の上記コンデンサ内蔵コア基板の上下面に、樹脂絶縁層及び配線層を形成する絶縁層配線層形成工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法とするのが好ましい。
樹脂絶縁層や配線層が形成された配線基板の状態で、コンデンサの不具合が発見されると、配線基板を廃棄せざるを得ない。しかし、一般に、コア基板に樹脂絶縁層や配線層を形成するのは、多数の工程と時間がかかるため、樹脂絶縁層や配線層が形成された配線基板は、付加価値が高くなり、配線基板を廃棄すると損失金額が大きくなる。これに対し、本発明の配線基板の製造方法では、コンデンサの内蔵されたコア基板を用い、予めコア基板に内蔵されたコンデンサの特性を検査し、規格内のものだけ用いて樹脂絶縁層及び配線層を形成するので、配線基板製造後にコンデンサの不具合によって配線基板を廃棄する危険性を少なくし、廃棄に伴う損失金額を抑制することができる。このため、結局コンデンサを内蔵した配線基板を安価に製造することができる。
(実施形態1)
本発明の配線基板等の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1に示す本発明のコンデンサを内蔵した配線基板100は、略正方形板状で、その上面(配線基板上面)100Aに、破線で示すICチップ1と接続するためのIC接続端子であるフリップチップパッド101が多数形成され、各フリップチップパッド101には、高温ハンダからなる略半球状のフリップチップバンプ102が形成されている。一方、配線基板下面100Bには、マザーボードなどの他の配線基板と接続するための接続端子であるLGAパッド103が多数形成されている。さらにこの配線基板100は、コンデンサ20を内蔵するコア基板本体10、これらの上下に積層された樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53及びこれらの層間に及び樹脂絶縁層を貫通して形成された各配線層60,70,80,90を備える。
このうち、コア基板本体10は、略正方形板状で、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、その略中央にはコア基板本体上面10A側に開口する平面視略正方形状で有底のコンデンサ内蔵用凹部(以下単に凹部ともいう)11を備える。このコンデンサ内蔵用凹部11の底部11T、即ち、底面11Bとコア基板本体下面10Bとの間には、この間を貫通する底部スルーホール導体12が複数形成されている。また、この凹部11内には、コンデンサ20が内蔵されている。また、このコア基板本体10の周縁部には、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体33が多数形成されている。
コンデンサ20は、図2(a)(b)に示すように、高誘電体セラミック、具体的には、BaTiO3を主成分とする誘電体層24とPdを主成分とする電極層25とを交互に積層した略正方形板状の積層セラミックコンデンサである。ただし、チップコンデンサなどに用いられ、積層された誘電体層及び電極層の側面からコンデンサの両極をなす2つの電極(共通電極)を取り出す通常の積層セラミックコンデンサとは、接続のための電極の取り出し方が異なる。即ち、図2(c)に示すように、コンデンサ上面20A及びコンデンサ下面20Bに、それぞれ多数の上面接続パッド21(図2(c)では、21A,21B,21C)及び下面接続パッド22(図2(c)では、22A,22B,22C)を備えており、これらのパッド21,22によって、コンデンサ上面20A及びコンデンサ下面20B内で、図中上方あるいは下方に接続可能になっている。
コンデンサ20の電極層25は、図2(c)にその内部構造の概要を示すように、ビア導体26E、26Fでそれぞれ1層おきに導通された1対の電極層の群25E,25Fに分けられている。しかも、電極層の群25E,25Fは互いに絶縁されている。したがって、各誘電体層24を挟んで対向する2つの電極群25E,25Fは、コンデンサ20の2つの電極をなす。また、上面接続パッド21の一部(図中右及び左のパッド21A,21C)は、この電極層25のうち最も上方に位置し一方の電極群25Eに属するトップ電極層25ETと、誘電体層24のうち最も上方に位置するトップ誘電体層24Tを貫通するビア導体27Eによって接続している。また、上面接続パッド21の他の一部(図中中央のパッド21B)は、上記トップ電極層25ETより下層に位置し他方の電極群25Fに属する電極層25と、ビア導体27F及び26Fによって接続している。このように、多数の上面接続パッド21は、コンデンサの2つの電極をなす一対の電極群25E,25Fのいずれかに接続しており、しかも、この一対の電極群25E,25Fのいずれも複数の上面接続パッド21のうちの少なくとも1つと接続している。つまり、多数の上面接続パッド21のうちある上面接続パッド21(例えば、21A)は、一方の電極群25Eに接続している。またある上面接続パッド21(例えば、21B)は、他方の電極群25Fと接続している。このため、コンデンサ20の上方から、上面接続パッド21を通じて、一対の電極群25E,25Fのいずれとも導通することができる。
同様に、下面接続パッド22の一部(図中右及び左のパッド22A,22C)は、電極層25のうち最も下方のボトム電極層25FDより上層に位置し、一方の電極群25Eに属する電極層25と、誘電体層24のうち最も下方に位置するボトム誘電体層24Dを貫通するビア導体28F及び26Fによって接続している。また、下面接続パッド22の他の一部(図中中央のパッド22B)は、他方の電極群25Fに属する上記ボトム電極層25FDと、ビア導体28Fによって接続している。このように、多数の下面接続パッド22は、コンデンサの2つの電極をなす一対の電極群25E,25Fのいずれかに接続しており、しかも、この一対の電極群25E,25Fのどちらもが下面接続パッド22の少なくともいずれかと接続している。つまり、多数の下面接続パッド22のうちある下面接続パッド22(例えば、22A)は、一方の電極群25Eに接続している。またある下面接続パッド22(例えば、22B)は、他方の電極群25Fと接続している。このため、コンデンサ20の下方から、下面接続パッド22を通じて、一対の電極群25E,25Fのいずれとも導通することができる。
さらに、コンデンサ20は、図1に示すように、コンデンサ下面20Bにおいて、下面接続パッド22とこれに対応する底部スルーホール導体12とが、それぞれAg−Snハンダからなるハンダ層23によって導通、接続されている。これにより、コア基板本体10に内蔵されたコンデンサ20は、図中上方には上面接続パッド21で、図中下方には下面接続パッド22に接続する底部スルーホール導体12でそれぞれ接続可能になっている。さらに、このコンデンサ20は、エポキシ樹脂からなる充填樹脂32によってコンデンサ内蔵用凹部11内に固定されて、コア基板本体10と一体となっている。
さらに、コア基板本体上面10A及びコンデンサ上面20Aの上方には、エポキシ樹脂を主成分とする3層の上部樹脂絶縁層41,42,43を備える。一方、コア基板本体下面10Bの下方には、同じく3層の下部樹脂絶縁層51,52,53を備える。さらに上部樹脂絶縁層41と42の層間及び上部樹脂配線層42と43の層間には、それぞれ上部樹脂絶縁層41,42をも貫通し、Cuメッキからなる配線層45,46が形成されている。同様に、下部樹脂絶縁層51と52の層間及び下部樹脂配線層52と53の層間には、それぞれ下部樹脂絶縁層51,52をも貫通し、Cuメッキからなる配線層55,56が形成されている。
このうち、上部樹脂絶縁層41,42,43の層間、及び上部樹脂絶縁層41,42をそれぞれ貫通して、フリップチップパッド101とこれに対応するコンデンサ20の上面接続パッド21とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コンデンサ接続配線60を構成する。また、上部樹脂絶縁層41,42,43の層間、及上部樹脂絶縁層41,42をそれぞれ貫通して、フリップチップパッド101とこれに対応するコアスルーホール導体33とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コア接続配線80を構成する。一方、下部樹脂絶縁層51,52,53の層間、及び上部樹脂絶縁層51,52をそれぞれ貫通して、底面スルーホール導体12とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コンデンサ接続配線70を構成する。また、下部樹脂絶縁層51,52,53の層間、及び下部樹脂絶縁層51,52をそれぞれ貫通して、コアスルーホール導体33とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コア接続配線90を構成する。
これにより、フリップチップバンプ102に接続されたICチップ1は、フリップチップパッド101、上部コンデンサ接続配線60、上面接続パッド21を通じて、コンデンサ20の一対の電極群25E,25Fとそれぞれ接続することになる。
さらに、LGAパッド103は、下部コンデンサ接続配線70、底部スルーホール導体12、下面接続パッド22を通じて、コンデンサ20の一対の電極群25E,25Fとそれぞれ接続している。
したがって、図2(d)に示すように、フリップチップパッド101とLGAパッド103との間を結び、一方の電極群25Eと接続する上部コンデンサ接続配線60及び下部コンデンサ接続配線70と、同じく他方の電極群25Fと接続する上部コンデンサ接続配線60及び下部コンデンサ接続配線70との間に、コンデンサ20が挿入された状態となる。
このため、LGAパッド103に接続したマザーボードなどから供給される電源電位及び接地電位は、LGAパッド103から、下部コンデンサ接続配線70、底部スルーホール導体12、コンデンサ20、上部コンデンサ接続配線60、フリップチップパッド101、フリップチップバンプ102を通じて、ICチップ1に供給することができるようになる。さらに、コンデンサ20により電源電位や接地電位に重畳されるノイズを除去することができる。
しかも、コンデンサ20は、コア基板本体10に内蔵されているので、ICチップ1のごく近くに配置することができるため、上部コンデンサ接続配線60の長さを短くできる。したがって、コンデンサ20によるノイズ除去能力をより高めることができる。特に、本実施形態では、コンデンサ20を、ICチップ1の直下に、したがって、フリップチップパッド101の直下に配置する構造としたので、上部コンデンサ接続配線60の長さをごく短くすることができる。したがって、ICチップ1とコンデンサ20との距離をごく短くすることができるから、この間でノイズが重畳されることが少なく、特にノイズ除去に有効となる。
また、上部コンデンサ接続配線60は多数形成され、多数のフリップチップパッド101と多数の上面接続パッド21との間を並列に接続している。したがって、多数の上部コンデンサ接続配線60が形成されることにより、全体として、ICチップ1(フリップチップパッド101)とコンデンサ20とを結ぶ上部コンデンサ接続配線60の持つ抵抗やインダクタンスも、小さくなり、この点からも、ノイズ除去に有利となる。同様に、下部コンデンサ接続配線70も多数形成され、多数のLGAパッド103と多数の底部スルーホール導体12との間を並列に接続している。したがって、多数の下部コンデンサ接続配線70が形成されることにより、全体として、LGAパッド103とコンデンサ20とを結ぶ下部コンデンサ接続配線70及び底部スルーホール導体12の持つ抵抗やインダクタンスも、小さくなり、この点からも、ノイズ除去に有利となる。
一方、信号線などコンデンサ20に接続しないで、ICチップ1とマザーボード等とを結ぶ配線は、フリップチップパッド101から上部コア接続配線80を通じて、コアスルーホール導体33に接続し、コア基板本体10を貫通して、下部コア接続配線90からLGAパッド103に接続する。この構造は、スルーホール導体を形成したコア基板を用いた通常のビルドアップ配線基板と同様である。
このように、本実施形態の配線基板100では、ICチップ1のごく近くにコンデンサ20を内蔵して、有効にノイズを除去すると共に、信号線等については、従来と同様の構造にすることができる。
次いで、上記配線基板100の製造方法について、個別の部材であるコンデンサ20、コア基板本体10の製造方法を含めて説明する。まず、コンデンサ20の製造方法について、図3を参照しつつ説明する。まず、図3(a)に示すように、公知のグリーンシート製造技術により、BaTiO3粉末を主成分とする高誘電体セラミックグリーンシート(以下、単にシートともいう)124を多数製造する。次いで、図3(b)に示すように、このシート124の所定位置に、その表裏面124A,124B間を貫通するビア孔124Hをパンチングにより形成する。
さらに、図3(c)に示すように、各シート124のビア孔124H内に、Pdペーストを充填して未焼成ビア導体126,127,128を形成し、さらに、各シート124の上面124A側に、Ag−Pdペーストからなる所定形状の未焼成電極層125E,125Fを形成する。このうち、一方の未焼成電極層125Eは、図3(c)において3つ形成した未焼成ビア導体126,127のうち、左右2つと接続し、中央の未焼成ビア導体126,127とは接続しないパターンに形成されている。他方の未焼成電極層125Fは、これとは逆に、3つ形成した未焼成ビア導体126,127のうち、中央の未焼成ビア導体126,127と接続し、左右のものとは接続しないパターンに形成されている。
なお、未焼成ビアパッド125Eあるいは125Fと接続しないビア126,127については、後述する積層時に確実に上下方向にビア導体同士を接触、導通させるため、各未焼成ビア導体126,127の上方に、未焼成電極層125E,125Fと同時にカバーパッド129を形成しておくと良い。
また、次述する積層時に最も上に積層する未焼成誘電体層124Dには、未焼成電極層125E,125Fのいずれも形成せず、各未焼成ビア導体128の上方に、カバーパッド122のみを形成するようにしている。
次いで、図3(d)に示すように、未焼成電極層125Eが積層されたシート124と、125Fが積層されたシート124とを、交互に積み重ねるようにして積層する。そして、最も上には、未焼成電極層125E,125Fのいずれも形成せず、カバーパッド122のみを形成したシート124Dを積層し、これらを圧着して積層体120を形成する。これにより、未焼成誘電体層124と未焼成電極層125E,125Fとは、交互に積層され、しかも、未焼成電極層125Eと125Fとは互いに1層おきに配置された状態となる。また、未焼成電極層125E,125Eはそれぞれ未焼成ビア導体126,127を介して、互いに接続され、同様に、未焼成電極層125F,125Fもそれぞれ未焼成ビア導体126,127を介して、互いに接続される。その上、未焼成電極層125Eの群と125Fの群とは、接触することはなく、互いに絶縁された状態となる。
その後、この積層体120を上下反転させて、未焼成ビア導体127が露出する積層体120の上面にカバーパッドを形成した上で、この積層体120を焼成(同時焼成)して、図2に示すコンデンサ20を形成する。コンデンサ20をこのようにして形成したので、例えば、焼成後に誘電体層24の側面に電極層25E、あるいは25Fと接続するための共通電極を形成する必要はなく、焼成後、直ちにコンデンサとして使用することができる。なお、ビア導体26,27,28(未焼成ビア導体126,127,128)は、上層や下層のビア導体の位置や隣り合うビア導体24との間隔等を考慮すれば、誘電体層24の面内いずれの位置にも形成できる。
したがって、上部コンデンサ接続配線60や下部コンデンサ接続配線70の引き回しの容易さ、上部コンデンサ接続配線60に接続するフリップチップパッド101の数や、下部コンデンサ接続配線70に接続するLGAパッド103の数などに応じて、上面接続パッド21および下面接続パッド22の位置や数も任意に選択して形成することができる。さらには、コンデンサ20を配線基板100に内蔵させない場合においても、上下に接続させるICチップ等の電子部品の端子配置に応じて、上面接続パッド21および下面接続パッド22の位置や数も任意に選択して形成することができる。なお、Pdからなる上面接続パッド21あるいは下面接続パッド22は、ハンダ付け性やCuからなる配線層45との接続性を考慮して、Ni−Auメッキや、Cuメッキ等を施しておくこともできる。また、上面接続パッド21、及び/または、下面接続パッド22の周囲には、公知の手法により、セラミックや樹脂などからなるソルダーレジスト層を形成しておくこともできる。
完成したコンデンサ20は、ショートの有無、静電容量値、電極群25Eと25Fとの間の絶縁抵抗値、各上面接続パッド21及び各下面接続パッド22と、電極群25E,25Fとの導通あるいは絶縁のチェック等、各種のチェックを行い、不具合のあるコンデンサ20は廃棄する。これにより、後述する工程で不具合のあるコンデンサ20を使用する危険性を減少させることができる。
次いで、コア基板本体10およびその製造方法について説明する。コア基板本体10は、まず、コンデンサ20を内蔵する前に、図4に示す状態にする。即ち、図4に示すコア基板本体10は、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとを有し、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなる底部用コア基板本体13と、同じくガラス−エポキシ樹脂複合材料からなる壁部用コア基板本体16とが、接着層17で接着されて形成されている。さらに、コア基板本体上面10Aには、壁部用コア基板本体16を貫通する有底の凹部11が開口しており、その底部11Tには、凹部11の底面11Bとコア基板本体下面10Bとの間を貫通し、Cuメッキからなる底部スルーホール導体12が、上記コンデンサ20の下面接続パッド22に対応した位置に形成されている。
なお、このコア基板本体10は、そのコア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体33は形成されていない。コアスルーホール導体33は、コア基板本体10の凹部11内に、上述のコンデンサ20を内蔵してから形成するからである。
さらに、このコア基板本体下面10Bには、底部スルーホール導体12から延在する接続配線15も形成されている。また、底面スルーホール導体12は、Cuメッキからなる筒状のスルーホール導体内部にCu粉末を含有する充填用樹脂14が充填され、その上下もCuメッキで閉塞された形状となっている。したがって、この底部スルーホール導体12は、図1に示すように、直接ハンダ(例えばハンダ23)を溶着してハンダ付けを行ったり、その直上あるいは直下にメッキ等によって配線層(例えば配線層55など)を形成することができる。
このように、底部スルーホール導体12の内部を導電性樹脂や絶縁性樹脂等で充填し、さらには蓋状にメッキを施すと、隣り合う底部スルーホール導体12同士の間隔を狭くすることができ、高密度実装に適するので、狭い間隔で底部スルーホール導体12を形成したい場合、あるいは、より多くの下面接続パッド22や下部コンデンサ接続配線70を、形成したい場合に好都合である。一方、底部スルーホール導体12同士の間隔に余裕がある場合には、凹部11の底面11Bに、底部スルーホール導体12から延在するパッドを形成して、このパッドと下面接続パッド22とを接続させることもできる。また、コア基板本体下面10Bに、底部スルーホール導体12から延在する接続配線を形成して、この接続配線と下部コンデンサ接続配線60(具体的には配線層55)とを接続させることもできる。
このコア基板本体10は、以下のようにして製造する。即ち、まず図5(a)に示すように、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなる底部用コア基板本体13の上下両面に銅箔13AC,13BCを備えた両面銅張り基板13Pを用意する。次いで、図5(b)に破線で示すように、凹部11(図4参照)を形成する凹部形成領域13RAに、この両面銅張り基板13Pを厚さ方向に貫通するスルーホール孔13Hをドリルで形成する。なお、スルーホール孔13Hの間隔や径を小さくしたい場合には、レーザ(CO2,YAG等)で穿孔すると良い。
その後、公知のスルーホール導体形成手法により、スルーホール孔13H内にスルーホール導体12を形成する(図5(c)参照)。例えば具体的には、無電解Cuメッキ及び電解Cuメッキを施して、スルーホール孔13H内に円筒状のCuメッキ層を形成する。その後、スルーホール孔内の円筒状Cuメッキ内部に、Cu粉末を含有する充填用樹脂14を充填し硬化させる。その後、銅箔13ACの上面及び13BCの下面を研磨して整面した後に、この上下面に電解Cuメッキを施し、充填用樹脂14の上下に電解メッキ層で蓋をする。その後、上下面にレジスト層を形成し、露光現像して不要部分を開口させ、エッチングによって不要な銅メッキ層及び銅箔を除去することで、スルーホール孔13H内及びその周縁にCuからなる底部スルーホール導体12、及びこれから延在する接続配線15を形成する。
一方、図5(d)に示すように、同じくガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、上記底部用コア基板本体13より厚さの厚い壁部用コア基板本体16を用意する。この壁部用コア基板本体16には、予め上記凹部11に対応した位置に、凹部用貫通孔16Hをパンチングにより形成しておく。
次いで、図5(e)に示すように、底部用コア基板本体上面13Aと、壁部用コア基板本体下面16Bとを、半硬化のエポキシ樹脂からなり、凹部用貫通孔16Hに適合させて略ロ字状に成型した接着シート17Rを介して挟み、加熱、圧着する。これにより、両者13,16は、接着層17を介して接着され、図4に示すコア基板本体10が作成できる。
本実施形態のように、凹部11を有するコア基板本体10を作成するのに、予め凹部11の底部を構成する底部用コア基板本体13と、凹部11の壁部を構成する壁部用コア基板本体16とに分けて製作し、その後貼り合わせるようにすると、有底の凹部11を容易かつ正確な寸法で形成できる。さらに、底部の底部スルーホール導体12も公知の手法を用いて容易に形成することができる。したがって安価にコア基板本体10を形成することができる。
次いで、このコア基板本体10にコンデンサ20を内蔵させ、コアスルーホール導体33を形成する工程を説明する。まず、図6(a)に示すように、コア基板本体10の凹部11内に、上述のコンデンサ20をコンデンサ下面20Bを下にして配置し、下面接続パッド22と対応する底部スルーホール導体12とをAg−Snからなるハンダ23でハンダ付け接続する。具体的には、予め下面接続パッド22にハンダペーストを印刷しておき、底部スルーホール導体12と重ねた後に、リフロー炉を通過させてハンダペーストを溶融させてハンダ付けする。
凹部11内のフラックスを洗浄除去した後、図6(b)に示すように、凹部11内の他、コア基板本体上面10A及びコンデンサ上面20A上に、エポキシ樹脂を主成分とする充填樹脂32を注入及び塗布し硬化させる。これにより、コンデンサ20が底部スルーホール導体12に接続されつつ、凹部11内において充填樹脂32(32A)で固定されて、コア基板本体10に内蔵され、熱や振動等が掛かった場合に、下面接続パッド22と底部スルーホール導体12との間が破断する不具合が防止される。
さらに、図6(c)に示すように、コア基板本体上面10A上及びコンデンサ上面20A上の充填樹脂層32B,32Cを平面に研磨して、上面接続パッド21を露出させると共に、この上面接続パッド21と、コンデンサ上面20A上及びコア基板本体上面10A上に残した充填樹脂層32B,32Cとを略面一に整面する。このようにして製作したコンデンサ内蔵コア基板では、コア基板本体10に凹部11を形成し、その中にコンデンサ20を内蔵させたことによる段差の発生は吸収され、以降に形成する上部樹脂絶縁層41等や配線層45等が段差によって歪み、断線やショート等の不具合を生じることはなくなる。また、フリップチップパッド101(あるいはフリップチップバンプ102)への段差の影響もなくなるため、フリップチップパッド101等のコプラナリティも良好にできる。
さらに、図7に示すように、このコア基板本体10の凹部11の周縁に、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間、さらには、充填樹脂層32Cの上面32CUとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール孔30Hをドリルによって形成する。なお、孔径や間隔を小さくしたい場合などでは、レーザ(CO2,YAG等)で穿孔すると良い。
次いで、公知のスルーホール導体形成手法によって、このコアスルーホール孔30H内及びその周縁にCuからなるコアスルーホール導体33を形成する。なお、充填樹脂層上面32CU及びコア基板本体下面10Bには、コアスルーホール導体33から延在して配線層45、55と接続するための接続配線34,35も形成する。また、充填樹脂層32Bと面一にした上面接続パッド21も、Cuメッキによってその厚さを増して充填樹脂層32Bより上方の突出した状態とする。このようにして、コンデンサ内蔵コア基板(以下単にコア基板ともいう)30を作成する。
このコア基板30は、コア基板本体10の他、コンデンサ20をその凹部11に内蔵している。しかし、コア基板上面30A(充填樹脂層上面32CU)やコア基板30B(コア基板本体下面10B)には、所定部位にこれらの間を貫通するコアスルーホール導体33、あるいは、上面接続端子21や底部スルーホール導体12、接続配線15,34,35が形成されており、コア基板上面30A(充填樹脂層上面32CU)は平坦にされている。したがって、コンデンサを内蔵しない通常の配線基板に用いるコア基板と同様に用いることができる。
コアスルーホール導体33の具体的な製造方法は、例えば以下のようである。即ち、まずコア基板本体10の全面に無電解Cuメッキを施して、スルーホール孔30H内、充填樹脂層上面32CU、及びコア基板本体下面10Bに無電解Cuメッキ層を形成する。その後、充填樹脂層32Cの上面32CU及びコア基板本体下面10B上にドライフィルムを貼り、露光現像してコアスルーホール孔の周縁など電解メッキ形成部分を開口させる。さらに、無電解Cuメッキ層を共通電極として電流を流して電解Cuメッキを施し、ドライフィルムを除去した後、不要な無電解Cuメッキ層をソフトエッチングで除去してコアスルーホール導体33、接続配線34,35等を形成する。なお、上面接続パッド21にも無電解Cuメッキ及び電解Cuメッキを施す。一方、コア基板本体下面10Bの露出する底部スルーホール導体12及び接続配線15は、メッキされないように予め保護フィルムを貼り付けておく。ただし、本実施形態では、コアスルーホール孔30Hを形成する前に、コンデンサ20を凹部11内に内蔵しているので、凹部11内の露出する底部スルーホール導体12にメッキやエッチングが施されないように、保護フィルム等を形成しておく必要がない。あるいは、上記保護フィルムを用いずに、底部スルーホール導体及び接続配線15上にも無電解Cuメッキを施す。その後、ドライフィルムによって、底部スルーホール導体12及び接続配線をカバーして、電解メッキがこれらの上に形成されるのを防止する。電解メッキ後、ドライフィルムを剥がし、形成された無電解Cuメッキ層をソフトエッチングによって除去するようにしても良い。このようにすると、保護フィルムを貼り付ける工程が不要になる。
その他、本実施形態では、コアスルーホール導体33をコアスルーホール孔30Hの内周及び周縁に形成された略円筒形状に形成したが、上記した底部スルーホール導体12と同様に、内部に充填用樹脂を充填しその上下をメッキ層で閉塞するようにしても良い。このようにすれば、接続配線34,35を介さず、配線層45,55とコアスルーホール導体33とを直接接続することができるので、コアスルーホール導体33の間隔を高密度に形成することができる。
後述するように、このコンデンサ20を内蔵したコア基板30に樹脂絶縁層や配線層を形成する前に、内蔵したコンデンサ20の特性検査を行うと良い。即ち、コア基板30に内蔵された状態で、コンデンサ20の、ショートの有無、静電容量値、一対の電極群25Eと25Fと間の絶縁抵抗値、各上面接続パッド21及び各底面スルーホール導体12と、各電極群25E,25Fとの導通あるいは絶縁のチェック等、各種の検査を行い、不具合のあるコンデンサ20が内蔵されたコア基板30は廃棄する。これにより、後述するように工数の掛かる樹脂絶縁層や配線層を形成した後に、コンデンサ20に不具合があることが判明することで、付加価値の高い配線基板100全体を廃棄せざるを得なくなる危険性を減少させることができる。
その後は、このコア基板30を用いて、公知の樹脂絶縁層形成技術、配線層形成技術を用いて樹脂絶縁層や配線層を形成し、配線基板100を形成すればよい。 なお本実施形態では、樹脂絶縁層を形成する前に、以下の処理を行う。即ち、図8(a)に示すように、コアスルーホール導体33の内部の他、充填樹脂層32B、32Cの上方や上面接続パッド21、接続配線34の上方、コア基板本体下面10Bや底部スルーホール導体12,接続配線15,35の上(図中下方)にエポキシ樹脂を主成分とする平坦化樹脂36,37,38を、充填塗布し、硬化させる。あるいは、まずコアスルーホール導体33の内部に平坦化樹脂36を充填し硬化させた後に、平坦化樹脂37,38を塗布して硬化させても良い。
さらに、図8(b)に示すように、平坦化樹脂37,38の上面あるいは下面を研磨して平坦にする。それと共に、上面接続パッド21、コアスルーホール導体33及び接続配線34を平坦化樹脂層37と略面一に露出させる。また、底部スルーホール導体12,接続配線15,35及びコアスルーホール導体33を平坦化樹脂層38と略面一に露出させる。これにより、上面接続パッド21やコアスルーホール導体33、接続配線15,34,35、底部スルーホール導体12等が、コア基板上面30Aあるいはコア基板下面30Bから突出して形成されているために、その上下に形成する樹脂絶縁層41,51等あるいは配線層45,55等が受ける影響を無くすことができる。したがって、配線層45等の断線やショートの防止、あるいは、フリップチップパッド101等のコプラナリティの向上を図ることができる。
以降は、平坦化樹脂層37の上面37U及び平坦化樹脂層38の下面38Dに、エポキシ樹脂を主成分とする感光性フィルムを貼り付ける。さらに、露光現像して、底面にそれぞれ上面接続パッド21、接続配線15,34,35、底部スルーホール導体12等が露出する位置にビアホール41VH,51VHを形成し、感光性フィルムを硬化させて、図9(a)に示すように、樹脂絶縁層41,51をそれぞれ形成する。なお、樹脂絶縁層41,51を感光性のない樹脂で形成した後に、レーザ(CO2,YAG等)を用いてビアホール41VH,51VHを穿孔するようにしても良い。
さらに、無電解Cuメッキを施し、ドライフィルムを貼り付け露光現像して電解メッキ層形成部分のみ開口させ、無電解Cuメッキ層を共通電極として開口内に電解Cuメッキ層を形成し、ドライフィルムを除去した後、不要な無電解Cuメッキ層をソフトエッチングにより除去する。これにより、ビアホール41VH、51VH内に樹脂絶縁層41,51をそれぞれ貫通し、上面接続パッド21等とそれぞれ接続するビア部45V,55Vを有する配線層45,55が、互いに絶縁されて形成される。なお、この配線層45,55は、さらに上部に樹脂絶縁層42,52が形成されると樹脂絶縁層41と42、あるいは樹脂絶縁層51と52の層間に配置されることになる。
以降は、同様にして樹脂絶縁層42,52、配線層46,56及びフリップチップパッド101、樹脂絶縁層(ソルダレジスト層)43,53を順に形成し、さらに、樹脂絶縁層43から露出するフリップチップパッド101にハンダペーストを塗布しリフローすることで、ハンダからなるフリップチップバンプ102を形成する。このようにして、図1に示す配線基板100が完成する。なお、LGAパッド103の表面には、酸化防止のため、Ni−Auメッキ層を形成しても良い。
本実施形態においては、コア基板本体10の凹部11内にコンデンサ20を内蔵させ充填樹脂32で固定した後に、充填樹脂層32B,32Cの上面を研磨し整面した。さらに、コアスルーホール導体33等を形成した後にも、平坦化樹脂層37,38の上面を研磨して整面した。このため、コンデンサ20を凹部11内に内蔵させたことによって生じる段差を解消し、さらには、コアスルーホール導体33や上面接続パッド21等の突出による段差も解消したので、配線層45,55等の断線やショート、さらには、フリップチップパッド101やフリップチップバンプ102のコプラナリティも向上させることができる。
また本実施形態では、上述のように樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53を、感光性樹脂フィルムを用いたフォトリソグラフィ技術によって形成し、また、配線層45,55を、いわゆるセミアディティブ法によって形成した。しかし、樹脂絶縁層41等を樹脂ペーストを塗布するなど他の手法で、また、配線層45等も、サブトラクティブ法、フルアディティブ法、その他の手法で形成しても良い。即ち、公知のいずれの手法によって、樹脂絶縁層41等及び配線層45等を形成しても良い。
(実施形態2)
次いで、第2の実施の形態にかかる配線基板200ついて、図10を参照しつつ説明する。前記実施形態1の配線基板100では、コンデンサ20を内蔵するコア基板本体10の凹部11が、図中上方に向かって開口していた。これに対して、本実施形態の配線基板200では、コンデンサ220を内蔵するコア基板本体210の凹部211が、図中下方に向かって開口している点で異なり、その他は同様であるので、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
配線基板200は、その配線基板上面200Aに、破線で示すICチップ1との接続用のフリップチップパッド101及びフリップチップバンプ102が多数形成されている。一方、配線基板下面200Bには、LGAパッド103が多数形成されている。さらにこの配線基板200は、コンデンサ220を内蔵するコア基板本体210、これらの上下に積層された樹脂絶縁層41,42,43,51,52,53及びこれらの層間に及び樹脂絶縁層を貫通して形成された各配線層60,70,80,90を備える。
このうち、コア基板本体210は、平面視略正方形板状で、ガラス−エポキシ樹脂複合材料からなり、その略中央にはコア基板本体下面210B側に開口する有底の凹部211を備える。この凹部211の図中上方に位置する底部211T、即ち、底面211Bとコア基板本体上面10Aとの間には、この間を貫通する底部スルーホール導体212が複数形成されている。また、この凹部211内には、コンデンサ220が内蔵されている。また、このコア基板本体210の周縁部には、コア基板本体上面210Aとコア基板本体下面210Bとの間を貫通するコアスルーホール導体233が多数形成されている。
コンデンサ220は、実施形態1で説明したコンデンサ20と同様の材質、構造を有する積層セラミックコンデンサである(図2(a)(b)(c)参照)。コンデンサ上面220A及びコンデンサ下面220Bには、それぞれ多数の上面接続パッド221及び下面接続パッド222を備えており、これらのパッド221,222によって、コンデンサ上面220A及びコンデンサ下面220B内で、図中上方あるいは下方に接続可能になっている。
このコンデンサ220の上面接続パッド221とこれに対応する底部スルーホール導体212とが、それぞれAg−Snハンダからなるハンダ層223によって導通、接続されている。これにより、コア基板本体210に内蔵されたコンデンサ220は、図中上方には上面接続パッド221に接続する底部スルーホール導体212で、図中下方には下面接続パッド222で、それぞれ接続可能になっている。さらに、このコンデンサ220は、エポキシ樹脂からなる充填樹脂232によって凹部211内に固定されて、コア基板本体210と一体となっている。
さらに、実施形態1と同様に、コア基板本体上面210Aの上方には、エポキシ樹脂を主成分とする3層の上部樹脂絶縁層41,42,43を備える。一方、コア基板本体下面210B及びコンデンサ下面220Bにも、同じく3層の下部樹脂絶縁層51,52,53を備える。さらに上部樹脂絶縁層41と42の層間及び上部樹脂配線層42と43の層間には、それぞれ上部樹脂絶縁層41,42をも貫通し、Cuメッキからなる配線層45,46が形成されている。同様に、下部樹脂絶縁層51と52の層間及び下部樹脂配線層52と53の層間には、それぞれ下部樹脂絶縁層51,52をも貫通し、Cuメッキからなる配線層55,56が形成されている。
このうち、フリップチップパッド101とこれに対応する底部スルーホール導体212とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コンデンサ接続配線60を構成し、フリップチップパッド101とこれに対応するコアスルーホール導体33とをそれぞれ結ぶ配線層45,46は、上部コア接続配線80を構成する。一方、コンデンサ20の下面接続パッド222とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コンデンサ接続配線70を構成し、コアスルーホール導体33とこれに対応するLGAパッド103とをそれぞれ結ぶ配線層55,56は、下部コア接続配線90を構成する。
これにより、フリップチップバンプ102に接続されたICチップ1は、コンデンサ220の一対の電極群とそれぞれ接続することになる。さらに、LGAパッド103は、コンデンサ220の一対の電極群とそれぞれ接続している。
このため、LGAパッド103に接続したマザーボードなどから供給される電源電位及び接地電位は、LGAパッド103から、下部コンデンサ接続配線70、コンデンサ220、底部スルーホール導体212、上部コンデンサ接続配線60、フリップチップパッド101、フリップチップバンプ102を通じて、ICチップ1に供給することができるようになる。さらに、コンデンサ220により電源電位や接地電位に重畳されるノイズを除去することができる。
しかも、コンデンサ220は、コア基板本体210に内蔵されているので、ICチップ1のごく近くに配置することができるため、上部コンデンサ接続配線60の長さを短くできる。したがって、コンデンサ220によるノイズ除去能力をより高めることができる。特に、本実施形態では、コンデンサ220を、ICチップ1の直下に、したがって、フリップチップパッド101の直下に配置する構造としたので、上部コンデンサ接続配線60の長さをごく短くすることができる。したがって、ICチップ1とコンデンサ220との距離をごく短くすることができるから、この間でノイズが重畳されることが少なく、特にノイズ除去に有効となる。
また、上部コンデンサ接続配線60は並列に多数形成されている。また同様に、下部コンデンサ接続配線70も多数形成されている。このため、全体として、上部コンデンサ接続配線60や下部コンデンサ接続配線70及び底部スルーホール導体12の持つ抵抗やインダクタンスも小さくなり、この点からもノイズ除去に有利となる。
一方、信号線などコンデンサ220に接続しないで、ICチップ1とマザーボード等とを結ぶ配線は、フリップチップパッド101から上部コア接続配線80を通じて、コアスルーホール導体33に接続し、コア基板本体210を貫通して、下部コア接続配線90からLGAパッド103に接続する。この構造は、スルーホール導体を形成したコア基板を用いた通常のビルドアップ配線基板と同様である。
このように、本実施形態の配線基板200でも、ICチップ1のごく近くにコンデンサ220を内蔵して、有効にノイズを除去すると共に、信号線等については、従来と同様の構造にすることができる。
さらに、本実施形態の配線基板200では、凹部211が下方に開口し、その底部211Tが図中上方に位置しているため、樹脂絶縁層41,42,43及び配線層45,46、さらには、フリップチップパッド101やフリップチップバンプ102は、凹部211の影響を受けることなく形成することができる。したがって、凹部211やコンデンサ220によって段差が生じることに起因して、フリップチップパッド101等のコプラナリティの低下が生じることが無いから、ICチップ1との安定した接続性を得ることができる。
なお、この配線基板200は、実施形態1のコンデンサ20や配線基板本体10と同様のコンデンサ220やコア基板本体210を製作し、コア基板本体210にコンデンサ220を内蔵させ、上下反転させた上で実施形態1と同様に樹脂絶縁層41等や配線層45等を形成すれば製作できるので、その詳細な説明を省略する。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、コア基板本体10、さらにいえば、底部用コア基板本体13及び壁部用コア基板本体16の材質として、ガラス−エポキシ樹脂複合材料を用いたが、コア基板本体としては、耐熱性、機械的強度、可撓性、加工の容易さ等を考慮して選択すればよい。したがって、例えば、ガラス織布、ガラス不織布などのガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂等の樹脂とのガラス繊維−樹脂複合材料や、ポリアミド繊維などの有機繊維と樹脂との複合材料、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料などを用いることができる。
また、樹脂絶縁層41等として、エポキシ樹脂を主成分とするものを用いたが、耐熱性、パターン成形性等を考慮して適宜選択すれば良く、例えば、ポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等が挙げられる。
同様に、配線層45等を、無電解Cuメッキ及び電解Cuメッキによって形成したが、その他の材質、例えば、Ni、Ni−Au等によって形成しても良く、さらには、メッキによらず、導電性樹脂を塗布する等の手法によって配線層45等を形成しても良い。
上記実施形態では、ICチップ1との接続のために、配線基板上面100A,200Aにフリップチップパッド101及びフリップチップバンプ102を多数設けた。しかし、IC接続端子としては、接続するICチップに形成され端子に応じて、適切な形態のものを選択すれば良く、フリップチップバンプを形成したものの他、フリップチップパッドのみのもの、あるいは、ワイヤボンディングパッドやTAB接続用のパッドを形成したものなどが挙げられる。
上記実施形態では、コア基板本体の略中央に凹部を1つ設けたものを示したが、略中央に形成する必要はなく、また、必要に応じて凹部を複数設けてコンデンサを内蔵するようにしても良い。また逆に、複数の電源電位に対応するなどのため、1つの凹部内に、複数のコンデンサを内蔵するようにしても良い。
また、コンデンサ20として、コンデンサ上面20Aやコンデンサ下面20Bに略平行に誘電体層24及び電極層25を積層した積層セラミックコンデンサを示した。しかし、内蔵させるコンデンサは、コンデンサ上面20Aやコンデンサ下面20Bに上面接続パッド21や下面接続パッド22が形成されたもので有ればよく、例えば、誘電体層や電極層がコンデンサ上面と略直交する方向に積層されているなど、コンデンサの積層方向や内部構造は適宜変更することができる。また、上記実施形態1では、コンデンサ内に形成したビア導体26,27,28は、いずれも他のビア導体と上下方向に重なった位置に形成されたものを示したが(図2(c)参照)、他のビア導体が上方あるいは下方にある位置に限定する必要はなく、各ビア導体26等の配置あるいはその数は、適宜選択することができる。
さらに、上記実施形態では、誘電体層24にBaTiO3を主成分とする高誘電体セラミックを用いたが、誘電体層の材質はこれに限定されず、例えば、PbTiO3,PbZrO3,TiO2,SrTiO3,CaTiO3,MgTiO3,KNbO3,NaTiO3,KTaO3,RbTaO3,(Na1/2Bi1/2)TiO3,Pb(Mg1/2W1/2)O3,(K1/2Bi1/2)TiO3などが挙げられ、要求されるコンデンサの静電容量その他に応じて適宜選択すればよい。
また、電極層25やビア導体26等には、Pdを用いたが、誘電体層の材質等との適合性を考慮して選択すれば良く、例えば、Pt,Ag,Ag−Pt,Ag−Pd,Cu,Au,Ni等が挙げられる。
さらに、高誘電体セラミックを主成分とする誘電体層やAg−Pd等からなる電極層と、樹脂層やCuメッキ,Niメッキ等からなるビア導体や配線層とを複合させてコンデンサとしたものを用いることもできる。
上記実施形態では、下面接続パッド22または上面接続パッド221と底部スルーホール導体12,212とをAg−Snハンダで接続したが、ハンダ付けの容易さやハンダ付け温度等を考慮し、適宜ハンダの材質を選択すれば良い。例えば、Pb−Sn系高温ハンダや、Au−Si,Sn−Ag,Sn−Cu,Sn−Bi,Sn−Zn,Sn−Au,Sn−Ag−Bi,Sn−Zn−Bi,Sn−Ag−Cuなど各種のハンダが挙げられる。また、さらに、例えば、下面接続パッド22と底部スルーホール導体12とに挟まれた部分のみ上下方向に導通する異方性導電性樹脂シートを用い、これをコンデンサ20(下面接続パッド22)と底部スルーホール導体12との間に介在させて、両者を接続しても良い。
また、上記実施形態では、凹部11内にコンデンサ20を内蔵した後、凹部11内に充填樹脂32(32A)を充填したほか、コンデンサ上面20A上及びコア基板本体上面10A上にも、充填樹脂層32B,32Cを形成した(図6参照)。しかし、少なくとも充填樹脂32(32A)でコンデンサ20を凹部11内に固定できれば良い。したがって、凹部11内にのみ充填樹脂32を注入しても良い。
あるいは、充填樹脂32(32A)の他に充填樹脂層32Bのみ形成するようにすることもできる。即ち、凹部11やコンデンサ20の寸法を調整しておき、コンデンサ20を凹部11内で接続させた状態で、コンデンサ上面20Aがコア基板本体上面10Aよりも低位となり、かつ、上面接続パッド21がコア基板本体上面10Aよりも上位となるようにする。次いで、凹部11内に充填樹脂32を注入するほか、コンデンサ上面20Aにも充填樹脂層32Bを形成する。その後、この充填樹脂層の上面に上面接続パッド21が露出し、この上面がコア基板本体上面10Aと面一になるように整面しても良い。このようにしても、凹部11やコンデンサ20を内蔵したために生じる段差が解消でき、さらに上層に上部樹脂絶縁層41等や配線層45等を形成する際に、配線層45等の断線やショートを防止し、あるいはフリップチップパッド101等のコプラナリティ低下を防止できる。
また、上記実施形態では、コンデンサ20を内蔵させた後に、コア基板本体10にコアスルーホール導体33を形成したが、予めコア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通するコアスルーホール導体を形成しておき、その後コンデンサ20を凹部11内に内蔵させることもできる。即ち、底部用コア基板本体13と壁部用コア基板本体16とを接着した後(図4、図5参照)、コア基板本体上面10Aとコア基板本体下面10Bとの間を貫通する貫通孔を形成し、公知の手法によりコアスルーホール導体を形成する。なおその際、底部スルーホール導体12及び接続配線15は、保護フィルムによってメッキやエッチングがされないように保護しておく。その後、上記と同様にして、凹部11内にコンデンサ20を内蔵させる。このようにすると、コンデンサ20を内蔵した後、コアスルーホール孔30Hの形成の際に発生する振動や衝撃等で、コンデンサ20や充填樹脂32にクラック等の不具合を生じさせる危険を回避することができる。
さらに、上記実施形態においては、コアスルーホール導体33や接続導体34,35を形成した後に、平坦化樹脂36,37,38を形成して、コア基板30の上下を平坦にした。しかし、上記平坦化樹脂を用いないで、即ち、図7に示す状態から、コアスルーホール導体33内を樹脂で埋めた上で、樹脂絶縁層41,51を形成するようにしても良い。このようにすれば、配線基板をより安価に形成することができる。