JP4717316B2 - 部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法 - Google Patents

部品内蔵配線板、部品内蔵配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品内蔵配線板およびその製造方法に係り、特に、さらなる部品実装密度向上に適する部品内蔵配線板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エレクトロニクス技術が進展し電子機器や通信機器が高機能化され、かつ小型化も進んでいる。このような状況で配線板への例えば半導体の実装では、実装密度を向上するためパッケージ実装によらないベアチップ実装法が実用化されてきている。また、コンデンサや抵抗などの受動部品では、チップ実装型のものが、0.6mm×0.3mm(0603)のサイズまで小型化している。
【0003】
配線板自体としては、配線層間の電気的接続(層間接続)が、スルーホールの内表面に形成された導電層によるものから、COレーザやUV−YAGレーザにより各層ごとにブラインドビアを形成しその内表面にめっきを形成するものや導電性ペーストを充填するものなどに移行している。また、配線パターン形成には、その微細化のため、エッチングによる方法(サブトラクティブ工法)に代えてめっきにより配線をメタライズ形成する方法(アディティブ工法)も使用されつつある。これにより、L/S(ライン/スペース)=20μm/20μm程度まで微細形成可能となっている。
【0004】
このような状況でさらに部品実装密度を向上し機器の小型化に資するには、例えば、配線板内に部品を内蔵する部品内蔵配線板を用いることができる。部品内蔵配線板には、例えば、実開平5−53269号公報に開示されたものがある。
【0005】
【特許文献1】
実開平5−53269号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示されたものでは、基板内に内蔵して実装される部品は、基板上に実装される場合と同様に、部品の端子それぞれに対応して設けられたランド(当然、板厚み方向とは垂直方向に形成されている)上に接続される。ここで、部品が基板内に内蔵される場合には、その部品の各周りは電気的接続部を除いて絶縁樹脂で覆われ密着されるのが好ましい。未充填部位が生じると信頼性を劣化させるからである。この点で、上記公報のものは、構造上、部品とこの部品が直接実装される基板との間に隙間が生じた場合、この隙間は非常に狭く樹脂の未充填が生じやすい。
【0007】
本発明は、上記した事情を考慮してなされたもので、部品内蔵配線板およびその製造方法において、信頼性を損なうことなくさらなる部品実装密度を向上することが可能な部品内蔵配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る部品内蔵配線板は、第1の半径の第1の円弧、該第1の円弧に連なる前記第1の半径より大きな第2の半径の第2の円弧、該第2の円弧に連なるほぼ前記第1の半径の第3の円弧、および該第3の円弧および前記第1の円弧に連なるほぼ前記第2の半径の第4の円弧で構成される縁部を有する開口の形成された第1の絶縁層と、前記開口の前記縁部の前記第1の円弧および前記第3の円弧の内壁面上それぞれに、前記部品内蔵配線板の板内方向に対してほぼ垂直に形成され、かつ前記部品内蔵配線板の上下面には表出せずに埋設されている第1、第2の導電層と、第1、第2の端子を有し、前記埋設された第1、第2の導電層それぞれに前記第1、第2の端子が対向するように前記部品内蔵配線板の板内埋設された、厚み方向にほぼ面対称の形状の電気/電子部品と、前記埋設された電気/電子部品の前記第1、第2の端子と前記第1、第2の導電層との間隙に設けられて前記第1、第2の端子と前記第1、第2の導電層とをそれぞれ電気的・機械的に接続する第1、第2の半田と、前記埋設された電気/電子部品の外表面のうち前記第1、第2の半田に接続される部位以外を覆いかつ前記電気/電子部品の板厚み方向上下にほぼ対称に密着するように設けられ、かつ前記第1、第2の導電層を前記部品内蔵配線板の板内埋設すべく該第1、第2の導電層の上下端面を上下から挟むように設けられた上下2つの第2、第3の絶縁層とを具備することを特徴とする。
【0009】
この部品内蔵配線板では、内蔵部品の端子に接続するための導電層が板厚み方向に形成されている。したがって、その部品の端子と導電層との接続は、例えば水平方向にブリッジした形状の導電部材によりなされる。よって、内蔵部品の周りに間隙を生じにくくした構造であり、内蔵部品の周りには上下2つの絶縁層が密着する。したがって、内蔵部品の周辺に空隙が発生せず信頼性を劣化させない。
【0010】
また、本発明に係る部品内蔵配線板の製造方法は、少なくとも上下両面に第1の導電層を有するコア配線板を製造する工程と、前記製造されたコア配線板に、面内方向に対してほぼ垂直かつほぼ円形の貫通孔を隣り合うように2つ形成する工程と、前記形成された2つの貫通孔の内壁面上に第2の導電層を形成する工程と、前記第1の導電層をパターニングする工程と、前記2つの貫通孔が4つの円弧を有する単一の貫通孔になり、かつ該2つの貫通孔の内壁面上に形成される前記第2の導電層が第3、第4の導電層に分断されるように、前記第2の導電層の形成されたコア配線板の前記2つの貫通孔が並ぶ方向に直交して向かい合う該コア配線板の位置に、前記2つの貫通孔がそれぞれ有する半径より大きな半径で2箇所のドリリングを行う工程と、前記ドリリングによる前記第2の導電層の分断により形成された前記第3、第4の導電層それぞれに対して第1、第2の端子のおのおのが向かい合うように、前記単一の貫通孔内に、厚み方向にほぼ面対称の形状を有する電気/電子部品を位置させる工程と、前記位置させられた電気/電子部品の前記第1、第2の端子と前記第3、第4の導電層とをそれぞれ半田で接続する工程と、前記半田により前記電気/電子部品が接続された前記コア配線板の上下両面それぞれに重ね前記分断された導電層の上下端面を上下から挟んでかつ前記電気/電子部品の周りを板厚み方向にほぼ対称に充填するように絶縁層を積層形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0011】
この製造方法では、内蔵部品の端子に接続するための導電層をコア配線板に設けた貫通孔に形成する。そして、貫通孔に形成された導電層は内蔵部品の端子の数に応じて分断され、かつ、内蔵すべき電気/電子部品を位置させるべき空間が生じるようにコア配線板が加工される。したがって、その部品の端子と導電層との接続は、例えば水平方向にブリッジした形状の導電部材によりなされ得る。よって、内蔵部品の周りに間隙を生じにくくした構造であり、内蔵部品の周りには積層のための絶縁層が充填・密着され得る。したがって、内蔵部品の周辺に空隙が発生せず信頼性を劣化させない配線板を製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様として、前記電気/電子部品は、チップコンデンサ、チップ抵抗、またはチップインダクタである。これらは、電気/電子部品として代表的なものである。ほかにも、ディスクリートの半導体素子(ダイオードなど)を使用することができる。
【0013】
また、実施態様として、前記導電層が横方向に電気的接続し得る配線層をさらに具備し、その数が4である。導電層は、上述のように、板上下面には表出せずに埋設されているが、この埋設された位置の横方向に配線層が4つ設けられているという態様である。配線層が4つの場合のその部分の厚さは、配線層間に位置する各絶縁層(例えば樹脂層)の厚さを選択することで、例えば0.2mmから0.6mm程度にすることが容易にできる。このような寸法は、チップ抵抗のような電気部品の厚さと同等またはやや大であり、したがって部品を内蔵する空間が容易に確保できる。
【0014】
また、実施態様として、前記配線層は、互いの間の電気的導通が導電性バンプによりなされている。導電性バンプによる層間接続により一層の高密度実装に適する。
【0015】
また、実施態様として、前記導電性バンプは、前記配線層をはさんで重畳的に位置している。導電性バンプが配線層をはさんで重畳的に位置することでさらに一層高密度実装に適する。
【0016】
また、実施態様として、前記上下2つの第2、第3の絶縁層の内側面それぞれに接触して設けられた2つの内層配線層と、前記上下2つの第2、第3の絶縁層の外側面それぞれに接触して設けられた2つの外層配線層とをさらに具備し、前記上下2つの第2、第3の絶縁層それぞれをはさむ前記内層配線層と前記外層配線層との電気的導通が導電性バンプによりなされている。内層配線層と外層配線層との層間接続が導電性バンプでなされることにより一層の高密度実装に適する。
【0018】
また、本発明の製造方法における実施態様として、少なくとも上下両面に第1の導電層を有するコア配線板を製造する前記工程は、配線層を4つ有するコア配線板を製造するものであり、かつ、これらの配線層同士の電気的接続が導電性バンプでなされるように製造される。配線層を4つとすることにより、その厚さを、部品内蔵空間が確保しやすい寸法とし、配線層同士の層間接続を導電性バンプで行なうことにより一層の高密度実装を実現する。
【0019】
また、実施態様として、前記形成された2つの貫通孔の内壁面上に第2の導電層を形成する前記工程は、無電解めっきにより下地となる導電層を形成する工程と、前記形成された下地を種に用いて電解めっきにより上層となる導電層を形成する工程とを有する。このような2段階のめっきを用いることで効率的なめっき形成を行なうことができる。
【0021】
また、実施態様として、前記ドリリングにより形成された前記第3、第4導電層それぞれに対して前記第1、第2の端子のおのおのが向かい合うように、前記単一の貫通孔内に、厚み方向にほぼ面対称の形状を有する電気/電子部品を位置させる前記工程は、前記単一の貫通孔からのぞく前記コア配線板の下位置に支持部材をあてがい、前記支持部材上に前記電気/電子部品を位置させてなされる。部品の実装位置は、コア配線板に形成された空間であるが、このように支持部材を利用することで、通常のマウンタなど既存の製造装置の利用を図ることができる。
【0023】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の模式的な構成を示す断面図(図1(a))および一部平面図(図1(b))である。
【0024】
この実施形態は、図1(a)に示すように、絶縁層11〜15を有し、これらの境界付近および上下面に配線層21〜26をそれぞれ有する6層配線板である。各隣り合う配線層間の電気的接続(層間接続)は導電性バンプ41〜45によりなされ、これらの導電性バンプ41〜45は、重畳的に配置され得るようになっている。このような導電性バンプ41〜45により、配線板主面の利用効率が向上し高密度実装に適する。なお、上下面の符号31、32は、半田レジストである。
【0025】
また、内側の配線層22、23、24、25の水平レベル内に含まれるように電気/電子部品33(例えばここではチップ抵抗)が内蔵される。部品33は、その両端子が接続部材としての半田36、37を介して、板厚み方向に形成された導電層34、35に向かい合いかつ電気的、機械的に接続されている。導電層34、35は、図示するように、内側の配線層22、23、24、25との直接的な電気的接続が可能となっている。
【0026】
部品33は、平面的に見ると図1(b)に示すように配設されている。すなわち、部品33を内蔵するため内側の絶縁層12、13、14には貫通空間が形成され、この貫通空間は、部品33および接続するための半田36、37ならびに上下両側の絶縁層11、15の内側へのはみ出し部により占められている。なお、部品33は、通常、図1(a)に示す厚さの方が図1(b)に示す幅より寸法が小さいが、図1では配線板の厚み方向を強調拡大して示すため部品33についても厚さの方が大きく表示されている。
【0027】
具体的な寸法は、部品33として0603のチップ抵抗を使用したとき、絶縁層12、13、14の合計厚が例えば0.2mm〜0.3mm程度となるように、これらの絶縁層12、13、14それぞれが0.06mmないし0.1mm程度の厚さである。
【0028】
なお、各部材料は、絶縁層11〜15には例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂など、配線層21〜26や導電層34、35には例えば銅など、導電性バンプ41〜45には、例えば微細な金属粒(銀、銅、金、半田など)を樹脂中に分散させた導電性樹脂などを用いることができる。また、半田36、37については、これに代えて導電性樹脂を用いることができる。
【0029】
この実施形態の構造の配線板では、内蔵された部品33の周りを絶縁層11、15が覆うように密着し、空隙の発生を防止するので信頼性向上に極めて好ましい。なお、以上の記述では、電気/電子部品33としてチップ抵抗を例にして説明したが、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップダイオードなど端子の配置構造がチップ抵抗とほぼ同じものでは同様な適用が可能である。
【0030】
チップ型ディスクリートトランジスタやパッケージに収められた半導体デバイスなどでも、例えばパッケージたるモールド樹脂の厚さ方向中間からリードピンを水平方向に突起させたものであれば、リードピンの数だけ配線板側に板厚み方向の導電層を分離して形成することで対応が可能である。ベアの半導体チップの場合では、その周縁のなるべく近くのパッド上に突起電極を形設することで、この突起電極を配線板側の導電層との電気的、機械的接続に使用することができる。
【0031】
次に、上記のような構造の部品内蔵配線板を製造するプロセスの例を図2ないし図6を参照して説明する。図2ないし図6は、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的に断面(または一部平面)にて示す図である。これらの図において、同一相当の部位には同一符号を付してある。また、図1に示す配線板と対応する部位にも同一符号を付してある。
【0032】
図2は、配線板のうちコア配線板(部品が内蔵されるべき層を含む配線板素材)の製造工程を示す断面図である。まず、図2(a)に示すように、銅箔(厚さは例えば18μm)22aを用意し、この銅箔22a上の必要な位置(特定の配線板のレイアウトに従う位置)にほぼ円錐形の導電性バンプ42aを形成する。これには、例えばスクリーン印刷を用いて導電性ペーストを銅箔22a上に印刷してなすことができる。
【0033】
この場合のスクリーン版には、例えば0.2mmの貫通孔(ピット)が穿設されたものを用いることができる。これにより、例えば底面径として0.15mm程度以上の導電性バンプを形成することができる。導電性ペーストとしては、例えばエポキシ樹脂のようなペースト状樹脂の中に金属粒(銀、金、銅、半田など)を分散させ、加えて揮発性の溶剤を混合させたもの用いることができる。印刷されたあと、例えばオーブンで乾燥し導電性ペーストを硬化させる。
【0034】
次に、専用機を用い、銅箔22aに絶縁層12とすべきプリプレグ(厚さは例えば0.06mm)に対向させて、図2(b)に示すように、導電性バンプ42aを半硬化状態のプリプレグに貫通させる。プリプレグは、例えば、エポキシ樹脂のような硬化性樹脂をガラス繊維のような補強材に含浸させたものである。また、硬化する前には半硬化状態にあり、熱可塑性(熱による流動性)および熱硬化性を有する。なお、図2(b)に示す状態のものを配線板素材1または1aもしくは1bとして後述で参照する(同様の構成を有するものが1aもしくは1b)。
【0035】
次に、図2(c)に示すように、銅箔(厚さは例えば18μm)23aを積層・一体化しプリプレグを硬化させる。このためには、真空積層熱プレス機を用いこれを所定の温度および圧力プロファイルに設定する。積層・一体化のとき、導電性バンプ42aは、頭部がつぶされて塑性変形し(=導電性バンプ42となる)、銅箔23aとの電気的接続が確立する。
【0036】
次に、図2(d)に示すように、片側の銅箔23aを回路パターニングし配線層23を形成する。このためには、例えば、まず、銅箔23aの表面を化学研磨してレジスト用のドライフィルムとの密着性を向上したうえで、レジスト用ドライフィルムを銅箔23aに積層する。そして、フォトマスクを介して例えば超高圧水銀灯を有するアライメント露光機でドライフィルムを露光し、さらに炭酸ナトリウムによってスプレー現像する。この現像パターンのドライフィルムを銅箔23a上に残すことにより、パターニングされたレジストが銅箔23a上に形成される。
【0037】
レジストが銅箔23a上に形成されたら、エッチャントとして塩化第2鉄をベースとする薬液を用いレジストの除去された位置する銅箔23aをスプレーエッチングする。これにより、銅箔23aから配線層23が形成される。形成された配線層23は、このあと積層される絶縁層との密着性を向上するために黒化還元処理を行なっておく。なお、図2(d)に示す状態のものを配線板素材2または2aとして後述で参照する(同様の構成を有するものが2a)。
【0038】
次に、図2(e)に示すように、パターンニング形成された配線層23上の必要な位置(特定の配線板のレイアウトに従う位置)にほぼ円錐形の導電性バンプ43aを形成する。導電性バンプ43aの形成は、例えば0.22mmのピットが穿設されたスクリーン版を用いて導電性バンプ42aの形成と同様に行なうことができる。スクリーン印刷により形成された導電性ペーストは、オーブンで乾燥し硬化させておく。なお、導電性バンプ43aは、導電性バンプ42と配線層23をはさんで重畳的に位置することが可能である。
【0039】
次に、専用機を用い、絶縁層12に、絶縁層13とすべきプリプレグ(厚さは例えば0.06mm)を対向させて、図2(f)に示すように、導電性バンプ43aを半硬化状態のプリプレグに貫通させる。プリプレグは、絶縁層12の場合と同様のものを用いることができる。なお、図2(f)に示す状態のものを配線板素材3として後述で参照する。
【0040】
図3は、図2(f)に示した配線板素材3と図2(d)に示した配線板素材2と同様の構成のもの2aとを用いてコア配線板(部品が内蔵されるべき層を含む配線板素材)を形成し、さらにこのコア配線板に部品内蔵用の貫通孔を形成する途中までの製造工程を示す断面図または一部平面図である。
【0041】
まず、図3(a)に示すように、配線板素材3と配線板素材2aとを積層・一体化し、かつ絶縁層13とすべきプリプレグを硬化させる。配線板素材2aは、図2(d)に示した配線板素材2と同様の構成を有するものであって、かつ導電性バンプ44と配線層24とが所定の位置またはパターン(特定の配線板のレイアウトに従う位置またはパターン)に形成されているものである。
【0042】
積層・一体化には、例えばレイアップ装置で位置合わせを行い配線板素材3と配線板素材2aとを重ねて配置し、かつ真空積層熱プレス機を用いこれを所定の温度および圧力プロファイルに設定する。この積層・一体化により導電性バンプ43aは、頭部がつぶされて塑性変形し(=導電性バンプ43となる)、配線層24との電気的接続が確立する。また、配線層24は、絶縁層13となるべきプリプレグの熱可塑性(熱による流動性)により絶縁層13側へ沈み込んで位置するようになる。
【0043】
以上によりコア配線板が形成されたことになる。この実施形態では、このように4つの配線層(または銅箔)22a、23、24、25aを有するコア配線板を形成したが、配線層数は4に限られることはない。例えば2、6、8、…のような偶数の配線層を有する場合や、3、5、7、…のような奇数の配線層を有する場合であってもよい。これらの配線層数の場合も、以上説明した工程を応用することにより形成することができる。
【0044】
例えば、6の場合であれば、図3(a)に示す4層配線板(ただし片面の銅箔をパターニング形成したもの)と図2(f)に示す配線板素材3の構成のものとを積層・一体化することにより得られる。また、3の場合であれば、図2(b)に示す配線板素材1に代えて図2(f)に示す配線板素材3の構成のものを用い、これに対して図2(c)に示す工程を行なうことにより得られる。同様に、適宜組み合わせればそのほかの層数のものも得られる。
【0045】
また、この実施形態では、プリプレグを貫通する高さに層間接続たる導電性バンプ42a、43a、44aが形成される必要があり、かつ、導電性バンプ42a、43a、44aの形成高さにはある程度制限があるので、コア配線板の配線層数は、これに内蔵する部品の厚さを考慮して好ましい数が存在する。上記の説明の場合では、絶縁層12、13、14をそれぞれ0.06mm厚とし、総厚を約0.2mm程度として0603または1005サイズのチップ抵抗が収まるように考えている。0.06mm厚の絶縁層12、13、14であれば、底面径が150μm程度以上である導電性バンプ42a、43a、44aの形成高さで、容易に十分な貫通ができる。これらの結果、配線層数が4となったものである。
【0046】
ただし、導電性バンプ42a、43a、44aの形成高さをより高くすればより厚いプリプレグを貫通させることが可能であり、この結果、同じ部品33を内蔵するとしてもコア配線板の配線層の数を少なくすることができる。逆に、導電性バンプ42a、43a、44aの形成高さをより低くすればより薄いプリプレグを用いることになり、この結果コア配線板の配線層の数を多くすることができる。
【0047】
さらに、この実施形態では、コア配線板の層間接続が導電性バンプ42、43、44で行なわれる構成としているが、これに限らず、配線板として高密度の実装性は劣るが例えば周知のスルーホールによるものであってもよい。
【0048】
プロセスの説明を続けるに、コア配線板が形成されたら、次に、図3(b1)、(b2)に示すように、コア配線板の必要な位置に貫通孔51を形成する。貫通孔51は、内蔵部品との接続に用いる、板厚み方向の導電層を形成するためのものであり、かつ内蔵部品を位置させる空間の一部となるものである。ここでは、貫通孔51として0.4mm径のNC(numerical control)ドリルを用いほぼ隣接するように内蔵部品1つについて2つ設ける。ドリルにより孔を明けたら、孔内を、例えば高圧水洗浄および所定の薬液を用いるデスミア処理で洗浄しておく。
【0049】
次に、図3(c1)、(c2)に示すように、貫通孔51の内壁面を含むように例えば銅のめっき層52を例えば20μm厚で形成する。めっき層52の形成には、例えば、まず、化学銅めっきのような無電解めっきにより連続面のシード層を形成し、そのあと、形成されたシード層を種に例えば硫酸銅めっき浴にて電解めっき処理することよりなすことができる。このような2段階のめっきにより効率的にめっき層52を形成することができる。なお、貫通孔51に形成されためっき層52は、図示するように、コア配線板の中間にある配線層23、24とも電気的接続され得る。
【0050】
図4は、コア配線板に部品内蔵用の貫通孔を形成する残りの製造工程を示す断面図または一部平面図である。
【0051】
図3(c1)、(c2)に示すようにめっき層52が形成されたら、次に、両面の銅箔22a、25a(、および両面に位置するめっき層52)にパターニング形成を施し配線層22、25を形成する。このパターニングは、それぞれ、図2(d)を参照した配線層23の形成工程と同様に行なうことができる。すなわち、化学研磨、レジスト用ドライフィルム積層、フォトマスクを介する露光、現像、エッチングという手順である。形成された配線層22、25は、図4(a2)に示すように、貫通孔51の内壁面に形成されためっき層52に対してのランド部分(その径は例えば0.8mm)を含む。
【0052】
次に、図4(b)に示すように、貫通孔51内壁面のめっき層52を分断し、かつ内蔵部品との接続部である導電層34、35を独立形成するようにコア配線板を加工する。ここでの加工方法は、NCドリルを用いた孔明けよる。すなわち、貫通孔51が並ぶ方向と垂直に交わるコア配線板上位置に、0.8mm径のめっき層分断貫通孔53を2つほぼ隣接して明ける。このようなドリルによるめっき層52の分断によれば、既存の装置を用いて容易に導電層34、35を分断形成することができる。
【0053】
また、ここでめっき層分断貫通孔53を図示のように貫通孔51に対して大きめに形成すると、このあとの部品実装工程において部品が正常に実装されなかった場合に、このめっき層分断貫通孔53を部品実装のリペアのための空間として機能させることができる利点がある。
【0054】
以上により、部品を内蔵するための空間(貫通孔51とめっき層分断貫通孔53とによる空間)が形成されたコア配線板を得ることができる。なお、上記でめっき層52の分断は、ドリリングによらなくてもなすことは可能である。例えば金型による打ち抜き(パンチング)や切削機を用いる方法が挙げられる。
【0055】
図5は、コア配線板に部品を内蔵するための部品実装工程を示す断面図または一部平面図である。まず、図5(a)に示すように、コア配線板の片側面を支持部材61にあてがい、この状態において、マウンタなどの実装機器により所定位置(内蔵するための空間)に部品33を位置させる。ここで、支持部材61の面上は、粘着層61aを設けるようにするとより好ましい。粘着層61aにより、マウントされた部品33がある程度固定されて次工程に供することができるからである。
【0056】
なお、このような粘着層61aを有する支持部材61に代えて、耐熱性の粘着テープ(または耐熱性の粘着シート)をコア配線板の片面に張り付けるようにしてもよい。
【0057】
次に、図5(b1)、(b2)に示すように、部品33の両端子付近の所定位置にクリーム半田36a、37a(半田は、例えばSn−3.0Ag−0.5Cuの鉛フリーのもの)を塗布する。このような塗布は、例えばスクリーン印刷またはディスペンサにより行なうことができる。ここでは、0.5mm径のピットを有するスクリーン版によるスクリーン印刷を用いた。なお、クリーム半田36a、37aは、これに代えて導電性ペーストを用いてもよい。
【0058】
図6は、部品の実装されたコア配線板を用いて完成品としての部品内蔵配線板を形成する工程を断面で示す図である。図5(b1)、(b2)に示すようにクリーム半田36a、37aをコア配線板上に塗布したら、次に、クリーム半田36a、37aをリフロー炉でリフローさせる。これにより、図6(a)に示すような状態となり、接続部材としての半田36、37が導電層34、35と部品33の端子との電気的・機械的接続を確立する。なお、クリーム半田36a、37aに代えて導電性ペーストを用いた場合には、これを例えばオーブンで乾燥させ硬化させて電気的・機械的接続を確立する。
【0059】
以上により得られた部品装着のコア配線板4は、その両面の配線層22、25についてこのあと積層される絶縁層との密着性を向上するため黒化還元処理を行なっておく。
【0060】
次に、図6(b)に示すように、コア配線板4の両側に配線板素材1a、1bを積層し、これらを一体化する。このとき絶縁層11、15とすべきプリプレグを硬化させる。配線板素材1a、1bは、図2(b)に示した配線板素材1と同様の構成を有するものであって、かつ導電性バンプ41または45が所定の位置(特定の配線板のレイアウトに従う位置)に形成されているものである。
【0061】
この積層・一体化には、例えばレイアップ装置で位置合わせを行いコア配線板4と配線板素材1a、1bとを重ねて配置し、かつ真空積層熱プレス機を用いこれを所定の温度および圧力プロファイルに設定する。この積層・一体化により導電性バンプ41、45は、頭部がつぶされて塑性変形し、配線層22または25との電気的接続が確立する。
【0062】
また、配線層22は、絶縁層11となるべきプリプレグの熱可塑性(熱による流動性)により絶縁層11側へ沈み込んで位置し、配線層25は、絶縁層15となるべきプリプレグの熱可塑性(熱による流動性)により絶縁層15側へ沈み込んで位置するようになる。さらに、絶縁層11、15となるべきプリプレグの熱可塑性(熱による流動性)により、内蔵された部品33を覆いかつ密着するようにその周辺にも絶縁層が絶縁層11、15と一体的に形成される。これにより部品33周りの穴埋め工程は不要であり工程の簡素化が実現するともに、間隙(ボイド)の発生を防止して信頼性を向上できる。
【0063】
なお、外側に積層する配線板素材は図2(b)に示す形態のものに代えて、さらに配線層数が多いものでもよい。例えば、図2(f)に示す2つの配線層を有するもの、同様に3以上の配線層を有するものでもよい。また、外側に積層する配線板素材は、必ずしも、図2(b)に示すように導電性バンプ42aを伴っていなくてもよい。この場合、導電性バンプ42aがないので、銅箔21a(26a)と配線層22(25)との層間接続は、導電性バンプによって行なうことはできないが、積層後の配線板にスルーホールを設けてこのスルーホールによりこれらの層間接続を行なうことができる。
【0064】
外側に位置すべき絶縁層をコア配線板と積層・一体化したら、次に、図6(c)に示すように、両外側の銅箔21a、25aに対してパターニング形成を施し配線層21、26を形成する。このパターニングは、それぞれ、図2(d)を参照した配線層23の形成工程と同様に行なうことができる。すなわち、化学研磨、レジスト用ドライフィルム積層、フォトマスクを介する露光、現像、エッチングという手順である。なお、以上の外側絶縁層11、15の形成のあと、さらにこの外側に同様の要領により絶縁層を積層・一体化(ビルドアップ)してもよい。
【0065】
次に、図6(c)に示すように、最外側面の所定の位置に半田レジスト31、32を形成する。さらに、配線層21または26の半田レジストの形成されない部位には腐蝕防止のため無電解めっき法によりニッケル/金(ニッケルが下地)の層(図示せず)を形成する。そして、配線板をルータ加工機により所定の外形となるように切り出す。以上により本実施形態に係る部品内蔵配線板を得ることができる。
【0066】
この実施形態では、製造設備として既存のものをほとんどそのまま使用することができ、配線板の製造コストの抑制につながる。また、層間接続に、重畳的位置への配置が可能な導電性バンプ41〜45を用いたので配線長を短くして効率的かつ電気的特性を向上して配線板としてレイアウトができる。特に、比較的実装点数が多くなるチップ抵抗、チップコンデンサを内蔵できるので、現行設計ルールの緩和および一層の高密度実装が可能である。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、内蔵部品の端子に接続するための導電層が板厚み方向に形成されており、したがって、その部品の端子と導電層との接続は、例えば水平方向にブリッジした形状の導電部材によりなされる。よって、内蔵部品の周りに間隙を生じにくくした構造となり、内蔵部品の周りには上下2つの絶縁層が密着し得る。ゆえに、内蔵部品の周辺に空隙が発生せず信頼性を劣化させない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板の構造を模式的に示す断面図および一部平面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的断面で示す図。
【図3】図2の続図であって、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的に断面または一部平面にて示す図。
【図4】図3の続図であって、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的に断面または一部平面にて示す図。
【図5】図4の続図であって、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的に断面または一部平面にて示す図。
【図6】図5の続図であって、本発明の一実施形態に係る部品内蔵配線板を製造するプロセスを模式的に断面にて示す図。
【符号の説明】
1、1a、1b…配線板素材 2、2a…配線板素材 3…配線板素材 4…配線板素材(コア配線板) 11、12、13、14、15…絶縁層 21、22、23、24、25、26…配線層 21a、22a、23a、25a、26a…銅箔 31、32…半田レジスト 33…電気/電子部品 34、35…導電層 36、37…半田 36a、37a…クリーム半田 41、42、43、44、45…導電性バンプ(接続形成後) 42a、43a…導電性バンプ(接続形成前) 51…貫通孔 52…めっき層 53…めっき層分断貫通孔 61…支持部材 61a…粘着層

Claims (10)

  1. 部品内蔵配線板であって、
    第1の半径の第1の円弧、該第1の円弧に連なる前記第1の半径より大きな第2の半径の第2の円弧、該第2の円弧に連なるほぼ前記第1の半径の第3の円弧、および該第3の円弧および前記第1の円弧に連なるほぼ前記第2の半径の第4の円弧で構成される縁部を有する開口の形成された第1の絶縁層と、
    前記開口の前記縁部の前記第1の円弧および前記第3の円弧の内壁面上それぞれに、前記部品内蔵配線板の板内方向に対してほぼ垂直に形成され、かつ前記部品内蔵配線板の上下面には表出せずに埋設されている第1、第2の導電層と、
    第1、第2の端子を有し、前記埋設された第1、第2の導電層それぞれに前記第1、第2の端子が対向するように前記部品内蔵配線板の板内埋設された、厚み方向にほぼ面対称の形状の電気/電子部品と、
    前記埋設された電気/電子部品の前記第1、第2の端子と前記第1、第2の導電層との間隙に設けられて前記第1、第2の端子と前記第1、第2の導電層とをそれぞれ電気的・機械的に接続する第1、第2の半田と、
    前記埋設された電気/電子部品の外表面のうち前記第1、第2の半田に接続される部位以外を覆いかつ前記電気/電子部品の板厚み方向上下にほぼ対称に密着するように設けられ、かつ前記第1、第2の導電層を前記部品内蔵配線板の板内埋設すべく該第1、第2の導電層の上下端面を上下から挟むように設けられた上下2つの第2、第3の絶縁層と
    を具備することを特徴とする部品内蔵配線板。
  2. 前記電気/電子部品は、チップコンデンサ、チップ抵抗、またはチップインダクタであることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  3. 前記第1、第2の導電層が横方向に電気的接続し得る配線層をさらに具備し、その数が4であることを特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  4. 前記配線層は、互いの間の電気的導通が導電性バンプによりなされていることを特徴とする請求項3記載の部品内蔵配線板。
  5. 前記導電性バンプは、前記配線層をはさんで重畳的に位置していることを特徴とする請求項4記載の部品内蔵配線板。
  6. 前記上下2つの第2、第3の絶縁層の内側面それぞれに接触して設けられた2つの内層配線層と、
    前記上下2つの第2、第3の絶縁層の外側面それぞれに接触して設けられた2つの外層配線層とをさらに具備し、
    前記上下2つの第2、第3の絶縁層それぞれをはさむ前記内層配線層と前記外層配線層との電気的導通が導電性バンプによりなされていること
    を特徴とする請求項1記載の部品内蔵配線板。
  7. 少なくとも上下両面に第1の導電層を有するコア配線板を製造する工程と、
    前記製造されたコア配線板に、面内方向に対してほぼ垂直かつほぼ円形の貫通孔を隣り合うように2つ形成する工程と、
    前記形成された2つの貫通孔の内壁面上に第2の導電層を形成する工程と、
    前記第1の導電層をパターニングする工程と、
    前記2つの貫通孔が4つの円弧を有する単一の貫通孔になり、かつ該2つの貫通孔の内壁面上に形成される前記第2の導電層が第3、第4の導電層に分断されるように、前記第2の導電層の形成されたコア配線板の前記2つの貫通孔が並ぶ方向に直交して向かい合う該コア配線板の位置に、前記2つの貫通孔がそれぞれ有する半径より大きな半径で2箇所のドリリングを行う工程と、
    前記ドリリングによる前記第2の導電層の分断により形成された前記第3、第4の導電層それぞれに対して第1、第2の端子のおのおのが向かい合うように、前記単一の貫通孔内に、厚み方向にほぼ面対称の形状を有する電気/電子部品を位置させる工程と、
    前記位置させられた電気/電子部品の前記第1、第2の端子と前記第3、第4の導電層とをそれぞれ半田で接続する工程と、
    前記半田により前記電気/電子部品が接続された前記コア配線板の上下両面それぞれに重ね前記分断された導電層の上下端面を上下から挟んでかつ前記電気/電子部品の周りを板厚み方向にほぼ対称に充填するように絶縁層を積層形成する工程と
    を具備することを特徴とする部品内蔵配線板の製造方法。
  8. 少なくとも上下両面に第1の導電層を有するコア配線板を製造する前記工程は、配線層を4つ有するコア配線板を製造するものであり、かつ、これらの配線層同士の電気的接続が導電性バンプでなされるように製造されることを特徴とする請求項7記載の部品内蔵配線板の製造方法。
  9. 前記形成された2つの貫通孔の内壁面上に第2の導電層を形成する前記工程は、無電解めっきにより下地となる導電層を形成する工程と、前記形成された下地を種に用いて電解めっきにより上層となる導電層を形成する工程とを有することを特徴とする請求項7記載の部品内蔵配線板の製造方法。
  10. 前記ドリリングにより形成された前記第3、第4導電層それぞれに対して前記第1、第2の端子のおのおのが向かい合うように、前記単一の貫通孔内に、厚み方向にほぼ面対称の形状を有する電気/電子部品を位置させる前記工程は、前記単一の貫通孔からのぞく前記コア配線板の下位置に支持部材をあてがい、前記支持部材上に前記電気/電子部品を位置させてなされることを特徴とする請求項7記載の部品内蔵配線板の製造方法。
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