JP2002151847A - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents

配線基板およびその製造方法

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JP2002151847A
JP2002151847A JP2001162968A JP2001162968A JP2002151847A JP 2002151847 A JP2002151847 A JP 2002151847A JP 2001162968 A JP2001162968 A JP 2001162968A JP 2001162968 A JP2001162968 A JP 2001162968A JP 2002151847 A JP2002151847 A JP 2002151847A
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resin
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JP2001162968A
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Eiji Kodera
英司 小寺
Yasutake Hotta
育丈 堀田
Koju Ogawa
幸樹 小川
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
  • Structures For Mounting Electric Components On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】内蔵される電子部品とこれを埋設する樹脂の密
着性を高め、かかる電子部品と内部の配線層や第1主面
上に搭載するICチップ間の接続が確実で安定した配線
基板およびかかる配線基板の製造方法を提供する。 【解決手段】表面4および裏面7を有する絶縁性の基板
2と、かかる絶縁性の基板2において裏面7側に開口す
る凹部8と、かかる凹部8に樹脂9を介して内蔵され且
つ表面にチタン系、アルミニウム系、シラン系、または
これらの混合物からなる有機化合物11が予め被覆され
ている電子部品10と、を含む、配線基板1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性の基板に電
子部品を内蔵する配線基板およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年における配線基板の小型化および配
線基板内における配線の高密度化に対応するため、配線
基板の第1主面上にICチップなどの電子部品を搭載す
るだけでなく、コア基板の内部に電子部品を内蔵する配
線基板が提案されている。例えば、図10(A)に示す配
線基板40は、絶縁基板41に穿孔された貫通孔42に
チップコンデンサ(電子部品)43を挿入し、その両端の
電極44,44をハンダ48,48を介して、上記絶縁
基板41およびこれに隣接する絶縁層46の間に形成し
たランド47,47と接続している。上記貫通孔42内
に樹脂49を充填することで、チップコンデンサ43を
固着して内蔵する。かかるコンデンサ43内には内部電
極45が内設されている。
【0003】また、図10(B)に示す配線基板50は、
絶縁基板51に穿孔した貫通孔52の一方の開口部を、
予め図示しない粘着性の仮固定膜により塞ぎ、この仮固
定膜に内部電極55を有するチップコンデンサ(電子部
品)53を貼り付けた状態で、貫通孔52内に樹脂59
を充填し固化させた後、上記仮固定膜を除去したもので
ある。かかる配線基板50は、上記チップコンデンサ5
3の両端に位置する電極54,54を、予め絶縁基板5
1およびこれに隣接する絶縁層56の間に設けたランド
57,57にハンダ58,58を介して接続している。
【0004】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、以上のような
配線基板40,50では内蔵するコンデンサ43,53
などの電子部品とこれを固着する樹脂49,59との密
着不良を生じ易く、これに起因してハンダ48,58が
割れたり剥離して、電子部品と内部の配線層間の接続不
良や断線などの不具合を招くことがある、という問題が
あった。本発明は、以上に説明した従来の技術における
問題点を解決し、内蔵される電子部品とこれを埋設する
樹脂の密着性を高め、かかる電子部品と内部の配線層や
第1主面上に搭載するICチップ間の接続が確実で安定
した配線基板、およびこの配線基板の製造方法を提供す
ることを課題とする。尚、上記課題は、基板内部にコン
デンサを内蔵する場合に限らず、インダクタ、抵抗、フ
ィルタ、またはトランジスタなどである受動または能動
の電子部品を内蔵する場合も適用される。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、内蔵する電子部品の表面に予め有機系化合
物(カップリング剤)の皮膜を被覆することに着想して成
されたものである。即ち、本発明の配線基板(請求項1)
は、表面および裏面を有する絶縁性の基板と、上記絶縁
性の基板において裏面側に開口する凹部と、かかる凹部
に樹脂を介して内蔵され且つ表面に有機化合物が予め被
覆されている電子部品と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、上記樹脂と電子部品とは、電子部品の表
面に被覆した有機系化合物と上記樹脂とのカップリング
作用により、無機物である電子部品の表面とこれを埋設
する有機物である樹脂との密着性が向上する。このた
め、絶縁性の基板の裏面側に開口する凹部に内蔵した電
子部品から内部の配線層に接続するためのハンダなどが
割れたり剥離せず、あるいは電子部品と配線層とを接続
する配線も断線せず安定した導通が得られる。
【0006】また、電子部品は、絶縁性の基板の裏面側
(第2主面側)に開口する凹部に樹脂を介して内蔵される
ため、その上端側の電極と第1主面に実装するICチッ
プとの距離が短くなり、電子部品とICチップとの接続
配線におけるループインダクタンスを低減できるので、
短い配線で安定した導通を得ることができる。従って、
小型化し且つ配線が高密度する配線基板において、絶縁
性の基板(例えば単一のコア基板や複数の絶縁層と配線
層とを交互に積層した多層基板など)の凹部に内蔵する
電子部品を安定して活用でき且つ耐久性に優れたものに
できる。
【0007】尚、上記電子部品の電極と絶縁性の基板の
上方に形成される配線層とをハンダよりも高融点の金属
でメッキすることにより接続することが望ましい。これ
により、第1主面上にICチップをハンダ付けで搭載す
る際も、かかるハンダを溶融するための加熱により溶出
して断線する事態を防ぐことが可能となる。上記メッキ
に用いる金属には、例えば銅、Au,Niやこれらの合
金が用いられる。また、前記絶縁性の基板は、単一の絶
縁層(コア基板)、または複数の絶縁層と配線層とを交互
に積層した多層基板の何れかである、配線基板も本発明
に含まれ得る。これによれば、単一の絶縁層からなるコ
ア基板はもとより、上記の多層基板における複数の絶縁
層に跨がり且つ裏面側に開口するように設けた凹部内
で、樹脂と電子部品との密着性を向上させ得る。特に、
多層基板の形態では、電子部品の電極と第1主面に搭載
するICチップとの導通経路を、凹部が位置する絶縁層
の厚み分だけ短くできるため、かかる経路におけるルー
プインダクタンス、スイッチングノイズ、クロストーク
ノイズなどが低減でき、配線基板内の電気的特性を向上
させることができる。更に、多層基板の絶縁性の基板
は、その内部の配線層と表面や裏面の配線層との間がス
ルーホール導体で接続されるため、これら配線層間にお
けるビア導体の形成を省略でき、製造コストも低減可能
となる。
【0008】また、本発明には、前記有機系化合物が、
チタン系、アルミニウム系、シラン系の何れかからなる
有機系化合物、またはこれら有機系化合物の混合物であ
る、配線基板(請求項2)も含まれる。これによれば、電
子部品および樹脂が一層確実に密着される。上記混合物
には、チタン系とアルミニウム系、チタン系とシラン
系、アルミニウム系とシラン系、チタン系とアルミニウ
ム系とシラン系、チタン系と別のチタン系、アルミニウ
ム系と別のアルミニウム系、シラン系と別のシラン系、
あるいはこれらの3種類以上の組合せによる混合物など
が含まれる。
【0009】尚、上記チタン系の有機系化合物(カップ
リング剤)には、γ−アミノプロピルトリメトキシチタ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、γ−アミ
ノプロピルジメトキシメチルチタン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシチタン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシチタン、γ−グリシドキシプロピルジメ
トキシメチルチタンなどが含まれるが、これらに限るも
のではない。また、前記アルミニウム系の有機系化合物
(カップリング剤)には、γ−アミノプロピルトリメトキ
シアルミニウム、γ−アミノプロピルトリエトキシアル
ミニウム、γ−アミノプロピルジメトキシメチルアルミ
ニウム、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシアルミ
ニウム、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシアルミ
ニウム、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルア
ルミニウムなどが含まれるが、これらに限るものではな
い。
【0010】更に、前記シラン系の有機系化合物(カッ
プリング剤)には、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、γ−
ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプ
ロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノ
エチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニルトリクロルシラン、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、γ−クロロプロピロル
トリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなど
が含まれるが、これらに限るものではない。
【0011】前記有機系化合物は、厚さ約0.5μm以
下(但し0は含まず)の皮膜にして被覆するのが望まし
い。また、電子部品の表面の他、凹部の内面と共に、絶
縁性の基板(コア基板または多層基板)の表面および裏面
にも被覆されていても良い。被膜の厚さを0.5μm以
下としたのは、これよりも厚くなると表面にゼリー状の
固まりが生じ、有機系化合物による密着性や防水作用が
低下するためである。更に望ましくは、前記有機系化合
物は、厚さ約0.2μm以下(但し0は含まず)の皮膜に
して被覆するのが望ましい。これにより、表面にゼリー
状の固まりが生じにくくなり、より一層の密着性が得ら
れるためである。尚、電子部品には、コンデンサ、イン
ダクタ、フィルタ、抵抗、ローノイズアンプ(LNA)、
トランジスタ、半導体素子、FET、SAWフィルタ、
LCフィルタ、アンテナスイッチモジュール、カプラ、
ダイプレクサ、デュプレクサなどが含まれる。また、こ
れらをチップ状にしたものや、かかるチップ状の電子部
品を複数個セットした電子部品ユニットも含まれる。更
に、ビルドアップ層は、絶縁性の基板における表面およ
び裏面の少なくとも一方に、複数の絶縁層と配線層とを
交互に積層する多層構造部分を指す。
【0012】更に、本発明には、前記有機系化合物また
はこれら有機系化合物の混合物のうち、親水基を有する
有機系化合物が、5wt%以下である、配線基板(請求項
3)も含まれる。これによれば、有機系化合物の被膜に
はポリイミドのような吸湿性の成分が少ないため、水分
が前記樹脂に一層浸透しにくくなる。このため、かかる
樹脂自体が加水分解してカルボン酸などに変質したり、
これに起因する剥離およびクラックの発生を確実に予防
することができる。しかも、被膜の吸水性が低い(防水
性が高い)ため、電子部品の電極の溶出(マイグレーショ
ン)を防止し、且つ電極同士間における短絡を防ぐこと
もできる。尚、親水基とは、例えばヒドロキシル基、エ
ポキシ基、カルボキシル基、無水カルボン酸、アミノ
基、スルホン基であり、これを有する化合物が5wt%を
越えると、水分が絶縁性の基板(単一のコア基板または
多層基板)から前記樹脂へ浸透する可能性があるため、
かかる範囲を除外したものである。
【0013】加えて、本発明には、前記有機系化合物ま
たはこれら有機系化合物の混合物のうち、疎水基を有す
る有機系化合物が、20wt%以上である、配線基板(請
求項4)も含まれる。これによっても、水分が前記樹脂
に一層浸透しにくくなるため、前記樹脂の変質やこれに
よる剥離およびクラックを確実に予防することができる
と共に、電子部品の電極の溶出(マイグレーション)を防
止し、且つ電極同士間における短絡を防ぐこともでき
る。尚、疎水基とは、例えばアルキル基やハロゲン化ア
ルキル基であり、これを含む化合物が20wt%未満にな
ると、やはり水分が絶縁性の基板などから前記樹脂へ浸
透する可能性があるため、かかる範囲を除外したもので
ある。
【0014】一方、本発明の配線基板の製造方法(請求
項5)は、表面および裏面を有する絶縁性の基板におい
て、その裏面側に開口する凹部内に予め有機系化合物を
表面に被覆した電子部品を挿入する工程と、上記凹部内
に樹脂を充填し且つ固化することにより、上記電子部品
を絶縁性の基板に内蔵する工程と、を含む、ことを特徴
とする。これによれば、絶縁性の基板の凹部内において
樹脂で固着した際、前記カップリング作用が働いて、電
子部品の表面とこれを埋設する樹脂との密着性が向上す
る。このため、上記電子部品を内部の配線層に接続する
ためのハンダなどに割れや剥離が生じず、あるいは電子
部品と配線層とを接続する配線も断線せず安定した導通
が得られる。従って、小型化し配線が高密度する配線基
板にて、絶縁性の基板(単一のコア基板または多層基板)
に内蔵した電子部品を安定して活用でき且つ耐久性にも
優れた配線基板を確実且つ安定して提供することができ
る。
【0015】尚、前記有機系化合物が、チタン系、アル
ミニウム系、シラン系の何れからなる有機系化合物、あ
るいはこれら有機系化合物の混合物である、配線基板の
製造方法とすることも可能である。これによる場合、前
記カップリング作用を一層確実に生じさせ、上記のよう
な配線基板を一層確実に提供することができる。加え
て、以上の有機系化合物(カップリング剤)を用いる場
合、これらに対し予め加水分解処理や更に進んで縮合反
応を生じさせておくことが望ましい。これらの処理によ
り、上記有機系化合物を、より短時間に反応させ得る。
このため、樹脂との密着力を一層向上させることができ
る。また、上記有機系化合物が高分子量化あるいは3次
元化するため、密着力の向上効果が長時間に渉って得ら
れる。尚、例えば上記有機系化合物を分散させための分
散触媒には、水、エタノール、メタノール、イソプロピ
ルアルコールなどのアルコール類を単独または混合して
用いる。また、上記有機系化合物は、カップリング処理
液中で、0.5〜10wt%、望ましくは1〜5wt%の濃
度とすることが良い。
【0016】付言すれば、本発明には、前記凹部を形成
する工程が、第1のコア基板と表面の中央部に平面視で
閉じた形状の凹溝を有する第2のコア基板とを貼り合わ
せて積層した後、第2のコア基板の裏面側から上記凹溝
に沿って第2のコア基板の中央部を切除するものであ
る、配線基板の製造方法を含めることも可能である。こ
れによる場合、第1のコア基板および第2のコア基板を
積層して得られた多層構造の絶縁性の基板であって、予
め第1のコア基板の裏面側に電子部品の電極と接続する
接続配線を形成し且つこれを損なうことなく第2のコア
基板と貼り合わせた後、かかる第2のコア基板の中央部
を切除することにより、凹部の形成とその底面(天井面)
における上記接続配線の露出とを同時に成すことができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1は、本発明の配線基
板1における主要部を示す断面図である。配線基板1
は、図1に示すように、絶縁性の基板2と、その表面4
の上方に形成した絶縁層24,30および配線層20,
28からなるビルドアップ層BU1と、裏面7の下方に
形成した絶縁層25,31および配線層23,29から
なるビルドアップ層BU2とを有する。絶縁性の基板2
は、全体の厚みが約0.8mmで、比較的薄肉の第1の
コア基板3と比較的厚肉の第2のコア基板6とを、プリ
プレグ(接着剤層:絶縁層)5を介して貼り合わせたもの
で、第1のコア基板3の裏面側と第2のコア基板6の表
面側にも、プリプレグ5を挟むように配線層21,22
が形成されている。尚、配線層21,22は、電源層ま
たはグランド層として使用しても良い。
【0018】上記コア基板3,6は、例えばガラス−エ
ポキシ樹脂の複合材からなり平面視で矩形を呈し、縦・
横約40mmずつでそれぞれ約0.25mm、0.5mm
の厚みの絶縁板で、図1に示すように、コア基板6のほ
ぼ中央に平面視でほぼ正方形で裏面7側に開口する凹部
8を有する。凹部8内には、複数のチップ状の電子部品
10が、エポキシ樹脂を主成分とし且つシリカフィラな
どの無機フィラを含有する電子部品内蔵用の樹脂9を介
して埋設され内蔵されている。電子部品10は、例えば
BaTiOを主成分とする高誘電体セラミックからな
る本体と、その上端または下端から突出しCuを主成分
とする電極12,13とからなり、内部にNiからなる
内部電極を多層で形成しているセラミックコンデンサで
ある。また、上記絶縁層24などの厚さは約30μm程
度であり、上記配線層20などの厚さは約15μm程度
である。このうち、最外層の絶縁層30,31は、ソル
ダーレジスト層として用いられる。
【0019】上記電子部品10の表面には、チタン系、
アルミニウム系、またはシラン系などの有機系化合物
(カップリング剤)やこれら有機系化合物の混合物(カッ
プリング剤)からなり、親水基を有する有機系化合物が
5wt%以下で且つ疎水基を有する有機系化合物が20wt
%以上である防水性を有する有機系化合物の皮膜11が
予め被覆されている。例えば、かかる有機系化合物にシ
ラン系化合物の混合物を用いる場合、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランとヘキシルトリメトキシシ
ランとの混合物(重量比1:20)を用いる。この場合、
親水基を有する化合物は約5wt%で、疎水基を有する化
合物は約95wt%となる。このため、樹脂9とのカップ
リング作用により、樹脂9と電子部品10との密着性を
高められ、且つ電子部品10の後述する電極12,12
間などの短絡も防ぐことができる。
【0020】図1に示すように、第1のコア基板3にお
ける凹部8の真上には、当該コア基板3を貫通する複数
のスルーホール17と、その内壁に沿って形成したスル
ーホール導体18、およびその内側に充填した充填樹脂
19とが形成されている。各スルーホール導体18の上
端は、前記配線層20と接続され、且つ各スルーホール
導体18の下端には、電子部品10の電極12と図示し
ないハンダを介して接続される電子部品用パッド(接続
配線)21が位置する。即ち、電子部品10は、電極1
2、電子部品用パッド21、およびスルーホール導体1
8を介して、絶縁性の基板2の表面4上の配線層20,
28と導通されている。
【0021】また、図1に示すように、電子部品10の
下端から突出する電極13は、絶縁性の基板2の裏面7
側に露出し且つ配線層23と直に接続されている。更
に、図1に示すように、凹部8の両側(周囲)には、絶縁
性の基板2における表面4と裏面7との間を貫通する直
径約250μmの複数のスルーホール14、それらの内
壁に沿って形成したスルーホール導体15、およびそれ
らの内側に充填した充填樹脂16が形成されている。各
スルーホール導体15は、その上端または下端で前記配
線層20または配線層23と接続されると共に、その中
間で前記配線層20,21とも接続されている。
【0022】絶縁性の基板2の表面4上と裏面7および
樹脂9の裏面下には、公知のサブトラクティブ法により
所定パターンを有する銅製の配線層20,23が形成さ
れ、これらは前記電子部品10の上端または下端の各電
極12,13と導通または接続されている。即ち、表面
4および裏面7の全面に無電解および電解銅メッキを施
して導体層を形成すると共に、かかる導体層の表面に所
定パターンのエッチングレジストを形成し、かかるレジ
ストに覆われていない部分をエッチングすることによ
り、配線層20,23が形成される。
【0023】また、配線層20の上には、エポキシ樹脂
にシリカフィラなどの無機フィラを含む絶縁材料からな
る絶縁層24と、その上の配線層28とが形成され、且
つ配線層20,28間を接続するビア導体(フィルドビ
ア)26が、ハンダよりも高融点の銅メッキにより絶縁
層24を貫通して形成される。配線層28上の所定の位
置には、最上層の絶縁層(ソルダーレジスト層)30を貫
通し且つ第1主面32よりも高く突出する複数のハンダ
バンプ34が形成されている。各バンプ34は、例えば
Sn−Ag系の低融点合金からなり、図1に示すよう
に、ICチップ36の底面に形成された接続端子38と
個別に接続される。尚、配線層20,28および絶縁層
24,30は、ビルドアップ層BU1を形成する。
【0024】同様にして、配線層23の下には、絶縁層
25,31、配線層29、およびビア導体(フィルドビ
ア)27が形成されている。図1に示すように、最下層
の絶縁層(ソルダーレジスト層)31に形成し且つ第2主
面33側に開口する開口部35には、配線層29から延
びた配線37が露出する。かかる配線37は、その表面
にAuおよびNiメッキ膜が被覆され、当該配線基板1
を搭載する図示しないマザーボードとの接続端子として
活用される。尚、配線層23,29および絶縁層25,
31は、ビルドアップ層BU2を形成する。尚また、上
記配線37には、Sn−Sb系合金からなるハンダを介
して、図示しない銅系または鉄系合金のピンを接合して
も良い。尚更に、配線層20,28,23,29やビア
導体26,27はサブトラクティブ法のほか、セミアデ
ィテイブ法やフルアディテイブ法などにより形成しても
良い。また、ビア導体形成前のビアホールの穴明けは、
絶縁層が感光性の材料である場合には、公知のフォトリ
ソグラフィ技術により行い、非感光性の材料である場合
にはレーザ(CO,YAG,エキシマなど)を照射する
ことにより行う。
【0025】以上のような配線基板1によれば、絶縁性
の基板2の凹部8内に樹脂9を介して内蔵される電子部
品10には、予めその表面に有機系化合物からなる皮膜
11が被覆されているので、これと上記樹脂9との間で
生じるカップリング作用により、電子部品10と樹脂9
との密着性を高められる。このため、電子部品10の各
電極12,13とパッド21または配線層23との接続
部分も断線しにくくなる。また、電子部品10は、第2
主面33側に開口する凹部8に樹脂9を介して内蔵され
るため、凹部8の厚み(深さ)分だけ上端の電極12とI
Cチップ36との距離が短くなる。このため、電子部品
10と第1主面32上に搭載したICチップ36との接
続配線におけるループインダクタンスを低減できるの
で、短い配線で安定した導通を得られる。しかも、防水
(撥水)性の皮膜11を用いた場合には、電子部品10に
おける電極12,12間および電極13,13間の短絡
も防止することができる。
【0026】上記防水性の皮膜11は、本明細書では防
水仕様という。即ち、防水仕様とは不飽和型超加速度寿
命(HAST)試験において、電極12,13のマイグレ
ーション(溶出)を生じない程度の仕様である。具体的に
は、配線基板1に対し、HAST試験(条件:温度13
1℃、相対湿度85%、気圧213kPa=2.1at
m、印加電圧1.8V、試験時間:100時間)を行った
場合、電極12,13付近における有機化合物の被膜1
1に水分が多く存在すると、電極12,13がマイグレ
ーションを生じるため、電極12,12間や電極13,
13間で短絡が生じる。しかし、本発明では、有機系化
合物の被膜11が存在することにより、かかる短絡のお
それがなくなる。ここで、電極12,12間や電極1
3,13間の短絡とは、仮に1個の電子部品10を樹脂
9でモールドする場合には、かかる1個の電子部品10
内の電極12,12間または電極13,13間の短絡を
指す。また、複数の電子部品10を樹脂9でモールドす
る形態では、1個の電子部品内の電極間または隣接する
各電子部品の電極間の短絡を指す。
【0027】また、電子部品10の電極13と第2主面
33側の配線(接続端子)37とも短い配線で安定した導
通が得られ、且つ配線基板1自体を搭載するマザーボー
ドなどとの接続も確実となる。従って、小型化し且つ配
線が高密度する配線基板において、その絶縁性の基板2
の凹部8に内蔵する電子部品10を安定して活用するこ
とができ、且つかかる電子部品10の耐久性を向上させ
ることができる。尚、電子部品10には、単一の電子部
品を用いても良く、その表面に有機系化合物の皮膜11
を被覆したものを用いても良い。尚また、ビルドアップ
層BU2を形成せず、ビルドアップ層BU1のみを絶縁
性の基板2に積層する片面積層の配線基板としても良
い。
【0028】ここで、以上のような配線基板1を得るた
めの本発明による配線基板の製造方法における主要な工
程を、図2乃至図9に基づいて説明する。図2(A)は、
表面4と裏面4aとに厚みが約16μmの銅箔3a,3
bを貼り付けた厚みが約250μmの第1のコア基板3
を示す。コア基板3の表面4側の中央部における所定の
位置にレーザを照射するか、細径のドリルで穿孔する。
その結果、図2(B)に示すように、第1のコア基板3の
中央部において、表面4と裏面4aとの間を貫通し且つ
内径が約100μmのスルーホール17が複数形成され
る。尚、スルーホール17は、第1のコア基板3の周辺
寄りの位置で且つ後述するスルーホール14と同軸心の
位置に併せて形成しても良い。
【0029】次に、複数のスルーホール17を有する第
1のコア基板3の全面に対し、無電解銅メッキおよび電
解銅メッキを施す。尚、各スルーホール17の内壁に
は、予めPdを含むメッキ触媒を塗布しておく。また、
上記スルーホール17の穿孔と銅メッキとは、複数のコ
ア基板3(製品単位)を含むパネル(多数個取りの基板)の
状態で行っても良い。その結果、図2(C)に示すよう
に、各スルーホール17の内壁に沿って厚みが約30μ
mのスルーホール導体18が形成される。また、銅箔3
a,3bは、銅メッキ層3c,3dとなるが、便宜上図
2(A),(B)の厚みと同じとする。
【0030】次いで、図2(D)に示すように、各スルー
ホール導体18の内側には、シリカフィラなどの無機フ
ィラ入りのエポキシ系樹脂からなる充填樹脂19が充填
する。尚、充填樹脂19に替えて、多量の金属粉末を含
む導電性樹脂、または金属粉末を含む非導電性樹脂を用
いても良い。更に、裏面4aの銅メッキ層3d上の全面
に図示しない銅メッキを行って、充填樹脂19の端面に
蓋メッキを行う。そして、公知のフォトリソグラフィ技
術により、所定のパターンを有する図示しないエッチン
グレジストを形成した後、このエッチングレジストのパ
ターン間の隙間から露出する銅メッキ層3dなどをエッ
チング(公知のサブトラクティブ法)する。その結果、図
2(E)に示すように、第1のコア基板3の裏面4aに
は、上記パターンに倣った周辺寄りの配線層21および
中央部の電子部品用パッド21が形成される。尚、充填
樹脂19の端面の真上や真下にビア導体を形成しない場
合には、上記蓋メッキを省いても良い。
【0031】図3(A)は、厚みが約500μmの第2の
コア基板6を示し、その表面7aと裏面7とには前記同
様の厚みの銅箔6a,6bを有する。図3(B),(b)に
示すように、第2のコア基板6の表面7aには、その中
央部において平面視でほぼ正方形を呈する凹溝6cが、
エンドミルによる座ぐり加工によって形成される。次
に、表面7a側の銅箔6aに対して、前記同様のフォト
リソグラフィ技術およびエッチングを施す。その結果、
図3(C)に示すように、第2のコア基板6の表面7aに
は、所定パターンの配線層22が凹溝6cの周囲に形成
される。
【0032】次に、図4(A)に示すように、裏面4aに
配線層21および電子部品用パッド21を有する第1の
コア基板3と、表面7aに凹溝6cおよび配線層22を
有する第2のコア基板6との間に、接着性を有し且つ厚
みが約50μmでガラスフィラまたはガラスクロス入り
のプリプレグ(接着剤層)5を配置する。そして、図4
(A)中の矢印方向に沿って、第1のコア基板3および第
2のコア基板6を加圧しつつ加熱する。その結果、図4
(B)に示すように、第1のコア基板3および第2のコア
基板6は、プリプレグ5を介して貼り合わせられ且つ積
層される。これにより、絶縁性の基板2が形成される。
同時に、第2のコア基板6の凹溝6cに囲まれた表面7
aと第1のコア基板3の裏面4aとの間には、偏平な空
間Sが形成される。尚、上記貼り合わせ時に、過剰なプ
リプレグ5がある場合には、凹溝6c内に収容される。
このため、第1のコア基板3の裏面4aの中央部に位置
する電子部品用パッド21は、空間S中に当初の形態の
ままで封じ込められる。
【0033】次いで、空間Sの真上を除いた図4(B)で
左右に位置する第1のコア基板3の表面4側から、当該
絶縁性の基板2に対し、前記同様のレーザの照射または
ドリルによる穿孔を行う。その結果、図5(A)に示すよ
うに、絶縁性の基板2の左右(周辺)にて、プリプレグ5
を含み且つ第1のコア基板3の表面4と第2のコア基板
6の裏面7との間を貫通する長いスルーホール14が穿
孔される。かかるスルーホール14は、その中間でプリ
プレグ5の上下に位置する配線層21,22を貫通して
いる。尚、スルーホール14は、予め第1のコア基板3
の同じ位置に穿孔しておいたスルーホール17の軸心に
沿って同軸心で形成することも可能である。かかる方法
による場合、各スルーホール14の位置決めが容易とな
る。
【0034】更に、各スルーホール14の内壁に、前記
同様のメッキ触媒を塗布した後、無電解銅メッキおよび
電解銅メッキを全面に施す。その結果、図5(B)に示す
ように、各スルーホール14の内壁に沿ったスルーホー
ル導体15が形成される。同時に、銅メッキ層3c,6
bは、一層厚くなるが便宜上同じ厚みとする。次に、各
スルーホール導体15の内側に前記同様の充填樹脂16
を個別に充填した後、全面銅メッキを行い充填樹脂16
の両端面に蓋メッキを行う。そして、第1のコア基板3
の表面4における銅メッキ層3cと、第2のコア基板6
の裏面7における銅メッキ層6bに対して、前記同様の
フォトリソグラフィ技術およびエッチングを施す。
【0035】その結果、図6(A)に示すように、絶縁性
の基板2において、第1のコア基板3の表面4および第
2のコア基板6の裏面7に、それぞれ所定パターンの配
線層20,23が形成される。尚、充填樹脂16の両端
面の真上にビア導体を形成しない場合には、上記蓋メッ
キを省いても良い。次いで、図6(B)に示すように、第
1のコア基板3および第2のコア基板6をプリプレグ5
を介して貼り併せて積層した一対の絶縁性の基板2,2
を、各基板2における第2のコア基板6の裏面7同士を
対向させ、それらの周辺部にプリプレグ(接着層)Pを配
置かつ挟持した状態で拘束する。これにより、一対の絶
縁性の基板2,2は、互いに対称に積層されて全体とし
て厚肉となり、且つ高い剛性を発揮するため、反りの発
生が防止される。
【0036】次に、図7に示すように、何れかの絶縁性
の基板2における第1のコア基板3の表面4の上方に、
絶縁層24を形成し且つ配線層20上の所定の位置にフ
ィルドビア導体26を形成する。これ以降は、ビルドア
ップ層BU1を絶縁層24など共に形成する絶縁層(ソ
ルダーレジスト層)30、および配線層28を、公知の
ビルドアップ工程(セミアディティブ法、フルアディテ
ィブ法、サブトラクティブ法、フィルム状樹脂材料のラ
ミネートによる絶縁層の形成、フォトリソグラフィ技術
など)により形成する。
【0037】また、図7に示すように、配線層28上に
おける所定の位置に、ソルダーレジスト層30を貫通す
る開口部34aをレーザ加工などにより形成する。更
に、残りの絶縁性の基板2における第1のコア基板3に
も、上記同様にしてビルドアップ層BU1などを形成す
る。その結果、これらのビルドアップ層BU1を一層平
坦に且つ精度良く形成することができる。尚、上記のよ
うなビルドアップ層BU1を形成する工程は、複数の絶
縁性の基板2(製品単位)を含む2枚のパネル(多数個取
りの基板)の状態で行っても良い。次に、プリプレグP
を除去し、ビルドアップ層BU1を有する第1のコア基
板3および第2のコア基板6からなる絶縁性の基板2,
2を分離する。
【0038】更に、図8(A)に示すように、ソルダーレ
ジスト層30を貫通する開口部34aの内側に、前記同
様の低融点合金を印刷・充填して、ソルダーレジスト層
30の表面(第1主面)32よりも高く突出するハンダバ
ンプ34を形成する。この際、隣接し合うハンダバンプ
34,34の軸心間距離(ピッチ)を約150μmにして
配置することが可能である。次いで、図8(A)中に一対
の破線k間で示す位置に、高速回転するエンドミルを挿
入し且つその先端を凹溝6cの底部付近に進入させると
共に、凹溝6cに沿った軌跡で移動させつつ切り込みを
入れる。その結果、図8(B)に示すように、第2のコア
基板6における凹溝6cに囲まれていた位置が切除され
ると共に、その裏面7側に開口する凹部8が形成され
る。凹部8の底面(天井面)には、第1のコア基板3の裏
面4aにおける電子部品用パッド21が露出すると共
に、その周囲にはプリプレグ5の側面が露出する。これ
により、第1のコア基板3、第2のコア基板6、および
ビルドアップ層BU1を含み且つ凹部8を有する絶縁性
の基板2が得られる。
【0039】以下において、前記凹部9に電子部品10
を内蔵する工程を説明する。図9(A)に示すように、ビ
ルドアップ層BU1を省略した絶縁性の基板2における
第1・第2のコア基板3,6を180度回転して上下逆
にした状態とし、上向きに開口した凹部8に電子部品
(チップコンデンサ)10を図示しないチップマウンタに
より挿入する。電子部品10の表面には、チタン系、ア
ルミニウム系、またはシラン系などの有機系化合物(カ
ップリング剤)やこれら有機系化合物の混合物(カップリ
ング剤)からなり、親水基を有する有機系化合物が5wt
%以下で且つ疎水基を有する有機系化合物が20wt%以
上である防水性を有する有機系化合物であり、厚さが約
0.2μm以下の皮膜11が予め被覆されている。この
際、予め凹部8内に位置する電子部品用パッド21の上
に、例えばSn−Sb系などのハンダhを形成してお
き、かかるハンダhを介して電子部品10の電極12と
上記電子部品用パッド21とを個別に接続し且つハンダ
リフローして実装する。
【0040】図9(B)に示すように、凹部8内に溶けた
埋込樹脂9を注入した後、脱泡処理および約100℃に
加熱して約60分保持する硬化処理を施す。次いで、固
化した埋込樹脂9の盛り上がった表面9aを、例えばバ
フ研磨などにより平坦に整面する。その結果、図9(C)
に示すように、各電子部品10の電極13が露出する平
坦な表面9bが形成される。尚、かかる電極13の上に
は追って配線層23がメッキにて直に形成される。即
ち、これ以降は、第2のコア基板6の裏面7および樹脂
9の表面9bの上に、前記配線層23,29および絶縁
層25,31からなるビルドアップ層BU2や、フィル
ドビア導体27などを、前記ビルドアップ層BU1と同
様にして形成することにより、前記図1に示した配線基
板1を得ることができる。尚、ビルドアップ層BU2を
形成せず、ビルドアップ層BU1のみを絶縁性の基板2
に積層する片面積層の配線基板を製造することもでき
る。
【0041】以上のような配線基板1の製造方法によれ
ば、樹脂9と電子部品10とは、電子部品10の表面に
被覆した有機系化合物11と上記樹脂9とのカップリン
グ作用により、無機物である電子部品10の表面とこれ
を埋設する有機物である樹脂9との密着性が向上する。
このため、絶縁性の基板2の裏面7側に開口する凹部8
に内蔵した電子部品10から内部の配線層に接続するた
めのハンダhなどが割れたり剥離せず、あるいは電子部
品10と配線層23とを接続する配線も断線せず安定し
た導通が得られる。また、薄肉の第1のコア基板3の裏
面側4aに、プリプレグ5を介して厚肉の第2のコア基
板6を積層するので、第1のコア基板3の表面4上にビ
ルドアップ層BU1を形成しても、かかるビルドアップ
層BU1による反りを第2のコア基板6が抑制する。特
に、図7のように、一対の絶縁性の基板2,2を積層し
た状態で、ビルドアップ層BU1を形成する場合には、
ビルドアップ層BU1自体も確実に平坦に形成できる。
更に、ビルドアップ層BU1の表面32上に金属製の補
強材を接着する必要がなく、工数およびコストを低減す
ることができる。また、第2のコア基板6の表面7aに
形成する凹溝6cにより、過剰なプリプレグ5が吸収で
きるため、第1のコア基板3と第2のコア基板6とを精
度良く貼り合わせできる。
【0042】更に、第2のコア基板6の裏面7から図8
(A)中の破線kに沿って凹溝6cの底部付近に達する切
り込みを、上記凹溝6cに沿って入れることにより、第
2のコア基板6の裏面側7に開口する凹部8を形成して
いる。このため、第1のコア基板3の裏面4aの中央部
に形成した電子部品用パッド21を損なうことなく、こ
れらを底面(天井面)に位置させた凹部8を形成すること
ができる。また、ルータ(ざぐり)加工による加工面積
が、凹部8の全体を加工する場合に比べて少なくて済む
ため、加工時間や加工コストを低減することができる。
加えて、凹部8に埋込樹脂9を介して電子部品10を内
蔵した際、この電子部品10とビルドアップ層BU1の
表面32上に搭載するICチップ(半導体素子)36との
導通経路を短くできる。このため、かかる経路における
ループインダクタンスや抵抗を低減できるなど内部の電
気的特性の安定にも寄与し得る。
【0043】本発明は、以上において説明した各形態に
限定されるものではない。絶縁性の基板2における前記
第1・第2のコア基板3,6の材質は、前記ガラス−エ
ポキシ樹脂系の複合材料の他、ビスマレイミド・トリア
ジン(BT)樹脂、エポキシ樹脂、同様の耐熱性、機械強
度、可撓性、加工容易性などを有するガラス織布や、ガ
ラス織布などのガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド
樹脂、またはBT樹脂などの樹脂との複合材料であるガ
ラス繊維−樹脂系の複合材料を用いても良い。あるい
は、ポリイミド繊維などの有機繊維と樹脂との複合材料
や、連続気孔を有するPTFEなど3次元網目構造のフ
ッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂
−樹脂系の複合材料などを用いることも可能である。
【0044】また、前記凹部8に内蔵する電子部品は、
1つのみでも良い。逆に、多数の配線基板1を含む多数
個取りの基板(パネル)内における製品単位1個内に、複
数の凹部8を形成しても良い。更に、複数のチップ状電
子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、こ
れを前記凹部8内に内蔵することもできる。また、チッ
プ状電子部品には、前記チップコンデンサ10などの
他、チップ状のインダクタ、抵抗、フィルタなどの受動
部品や、トランジスタ、半導体素子、FET、ローノイ
ズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれると共に、互
いに異種の電子部品同士を配線基板1の同じ凹部8内に
併せて内蔵することも可能である。更に、本発明の配線
基板には、チップコンデンサ10などの電極がICチッ
プ36側のみで配線層と接続している配線基板、即ちマ
ザーボード側では電極と配線層とが接続されていない形
態の配線基板も含まれる。
【0045】また、前記配線層20,28、スルーホー
ル導体15などの材質は、前記Cuの他、Ag、Ni、
Ni−Au系などにしても良く、あるいは、これら金属
のメッキ層を用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法
により形成しても良い。更に、前記絶縁層24,30な
どの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするもののほ
か、同様の耐熱性、パターン成形性等を有するポリイミ
ド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を
有するPTFEなど3次元網目構造のフッ素系樹脂にエ
ポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合
材料などを用いることもできる。尚、絶縁層の形成に
は、絶縁性の樹脂フィルムを熱圧着する方法のほか、液
状の樹脂をロールコータにより塗布する方法を用いるこ
ともできる。尚また、絶縁層に混入するガラス布または
ガラスフィラの組成は、Eガラス、Dガラス、Qガラ
ス、Sガラスの何れか、またはこれらのうちの2種類以
上を併用したものとしても良い。また、ビア導体は、前
記フィルドビア導体26などでなく、完全に導体で埋ま
ってないコンフォーマルビア導体とすることもできる。
あるいは、各ビア導体の軸心をずらしつつ積み重ねるス
タッガードの形態でも良いし、途中で平面方向に延びる
配線層が介在する形態としても良い。
【0046】
【発明の効果】以上に説明した本発明の配線基板(請求
項1)によれば、前記樹脂と電子部品とは、電子部品の
表面に被覆した有機系化合物と上記樹脂とのカップリン
グ作用により、無機物である電子部品の表面とこれを埋
設する有機物である樹脂との密着性が向上する。また、
電子部品は、絶縁性の基板の裏面側(第2主面側)に開口
する凹部に樹脂を介して内蔵されるため、その電極と第
1主面に実装するICチップとの距離が短くなり、電子
部品とICチップとの接続配線におけるループインダク
タンスを低減できるため、短い配線で安定した導通が得
られる。また、請求項2〜4の配線基板によれば、上記
電子部品と樹脂との密着性が一層向上し且つ確実にな
る。
【0047】一方、本発明の配線基板の製造方法(請求
項5)によれば、予め表面に有機系化合物が被覆された
前記電子部品を凹部内に樹脂を介して内蔵した際、上記
カップリング作用が働き、電子部品の表面とこれを埋設
する上記樹脂との密着性が向上する。このため、上記電
子部品を内部の配線層(パッドを含む)に接続するハンダ
に割れや剥離が生じず、あるいは電子部品と配線層を接
続する配線も断線せず安定した導通が得られる。また、
防水仕様の皮膜を用いた場合、電子部品の電極同士間の
短絡も予防できる。従って、小型化し配線が高密度する
配線基板にて、絶縁性の基板(単一のコア基板または多
層基板)に内蔵した電子部品を安定して活用でき且つ耐
久性にも優れた配線基板を確実且つ安定して提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板における主要部を示す断面
図。
【図2】(A)〜(E)は本発明の製造方法のうち第1のコ
ア基板に関する主な製造工程を示す概略図。
【図3】(A)〜(C),(b)は本製造方法のうち第2のコ
ア基板に関する主な製造工程を示す概略図。
【図4】(A),(B)は図2,3に続く本発明の製造方法
の主な工程を示す概略図。
【図5】(A),(B)は図4(B)に続く本発明の製造方法
の主な工程を示す概略図。
【図6】(A),(B)は図5(B)に続く本発明の製造方法
の主な工程を示す概略図。
【図7】図6(B)に続く本発明の製造方法の主な工程を
示す概略図。
【図8】(A),(B)は図7に続く本発明の製造方法の主
な工程を示す概略図。
【図9】(A)〜(C)は図8(B)に続く製造方法における
主要な工程を示す概略図。
【図10】(A),(B)は従来の配線基板における主要部
を示す断面図。
【符号の説明】
1………配線基板 2………絶縁性の基板 4………表面 7………裏面 8………凹部 9………樹脂 10……電子部品 11……有機化合物の皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 幸樹 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 5E314 AA21 AA24 BB05 CC01 FF08 GG11 5E336 AA04 AA08 AA09 AA16 BB02 BB03 BC05 BC25 CC31 CC50 CC51 CC55 EE07 GG11 GG14 5E346 AA12 AA16 AA32 AA43 AA51 FF45 HH06 HH11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面および裏面を有する絶縁性の基板と、 上記絶縁性の基板において裏面側に開口する凹部と、 上記凹部に樹脂を介して内蔵され且つ表面に有機化合物
    が予め被覆されている電子部品と、を含む、ことを特徴
    とする配線基板。
  2. 【請求項2】前記有機系化合物が、チタン系、アルミニ
    ウム系、シラン系の何れかからなる有機系化合物、また
    はこれら有機系化合物の混合物である、 ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
  3. 【請求項3】前記有機系化合物またはこれら有機系化合
    物の混合物のうち、親水基を有する有機系化合物が、5
    wt%以下である、 ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。
  4. 【請求項4】前記有機系化合物またはこれら有機系化合
    物の混合物のうち、疎水基を有する有機系化合物が、2
    0wt%以上である、 ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の
    配線基板。
  5. 【請求項5】表面および裏面を有する絶縁性の基板にお
    いて、その裏面側に開口する凹部内に予め有機系化合物
    を表面に被覆した電子部品を挿入する工程と、 上記凹部内に樹脂を充填し且つ固化することにより、上
    記電子部品を絶縁性の基板に内蔵する工程と、を含む、
    ことを特徴とする配線基板の製造方法。
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