JP4695289B2 - 配線基板の製造方法 - Google Patents

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  • Structures For Mounting Electric Components On Printed Circuit Boards (AREA)
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  • Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コア基板に電子部品を内蔵している配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、配線基板に対する高密度化および高性能化の要請に伴って、コア基板に電子部品を内蔵した配線基板が提案されている。
例えば、図6に示す配線基板40は、絶縁層41の表裏面に図示しない配線層を介して絶縁層43,43を積層したものであり、第1主面上に電子部品45を実装している。また、厚さ方向の中央に位置する絶縁層41の貫通孔42や表面側に開口する凹部42aにも、電子部品44やチップコンデンサ(電子部品)46が挿入されると共に、これらをプリプレグ接着剤層47により埋設している。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
しかしながら、以上のような配線基板40では、凹部42aに内蔵されるチップコンデンサ46は、薄いプリプレグ接着剤層47によりモールドされ、埋設されている。このため、かかる接着剤層47を貫通する上記チップコンデンサ46の電極付近では、上記接着剤層47にクラックが生じ易い。かかるクラックが形成されると、その付近の絶縁性や気密性が低下すると共に、上記チップコンデンサ46の特性も不安定になる場合もある、という問題があった。
本発明は、以上にて説明した従来の技術における問題点を解決し、コア基板にクラックなどを生じにくくして電子部品を内蔵した配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、電子部品をモールドして埋設する樹脂に無機フィラを含ませたり、かかるフィラの粒径を電子部品の電極と関連付ける、ことに着目して成されたものである。
即ち、本発明による配線基板の製造方法(請求項1)は、表面および裏面を有するコア基板と、かかる表面および裏面を貫通する貫通孔内あるいは表面側または裏面側に開口する凹部内に樹脂を介して内蔵され且つ上端または下端が該樹脂と隣接する電子部品と、を備える配線基板の製造方法であって、上端または下端の少なくとも一方に突出する複数の電極を有する電子部品を貫通孔または凹部に挿入する工程と、粒径が25μm以下の無機フィラを含有している樹脂により上記電子部品を貫通孔または凹部に埋設して内蔵する工程と、上記樹脂の表面を研磨して整面することにより、該樹脂の表面に上記電極の端面を露出させ且つ上記電子部品の上端または下端に対する該電極の高さを50μm以上とする工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0005】
これによれば、電極が突出する電子部品の上端や下端に隣接する薄い樹脂部分またはコア基板の薄肉部分が強化され、クラックなどが生じにくい配線基板を確実に提供することができる。また、電子部品の上端または下端に隣接する薄肉の樹脂部分にも、無機フィラが確実に充填されるので、クラックなどが生じにくくなる。このため、電子部品をコア基板に内蔵した配線基板を確実に製造することが可能となる。
尚、本明細書において、「埋設する」とは、例えば前記樹脂により埋め込んで位置固定し設置することを指す。また、「整面する」とは、例えば樹脂の表面をほぼ平坦面とすることを指す。
【0006】
また、本発明には、前記樹脂がエポキシ樹脂であり、該樹脂中には、最大粒径が20〜25μmで且つ平均粒径が4μmのシリカフィラが含まれている、配線基板の製造方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、電極が突出する電子部品の上端や下端に隣接する薄肉の樹脂部分またはコア基板の薄肉部分が適正な状態で強化されているため、クラックや剥離の発生を確実に予防することが可能となる。ここで、粒径が25μm以下とは、粒度分布における最大粒径が25μmであることを指す(但し、0は含まず)。
尚、シリカフィラの粒径が25μmを越えると、却って上記薄肉の樹脂部分にクラックなどが発生し易くなるため、かかる範囲を除いたものであり、望ましい粒径は20μm以下(但し、0は含まず)である。但し、シリカフィラの粒径の下限値は樹脂の流動性を確保するため、0.1μmまたはこれ以上であり、望ましくは0.5μm以上である。本明細書において、粒径とは、レーザ回折粒度計により投影画像を円近似した場合の直径として測定したものである。
【0007】
また、前記電極の高さが50μm未満になると、上記と同様クラックなどが発生し易くなるため、かかる範囲を除いたものである。尚、電極の高さの上限値は、電極同士間の短絡を防ぐため、100μmまたはこれ以下(但し、0は含まず)とするのが好ましい。
更に、電子部品における電極の表面粗さは、十点平均粗度Rzで0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。この結果、前記樹脂が電極表面の凹凸に食い込むため、密着性を高めるアンカー効果が得られる。かかる表面粗さの制御は、特に制約されず、例えば化学的エッチングによる表面粗化処理、マイクロエッチング処理、黒化処理などの方法で行われる。
【0008】
尚、記電子部品には、コンデンサ、インダクタ、フィルタ、抵抗などの受動部品、ローノイズアンプ(LNA)、トランジスタ、半導体素子、FETなどの能動部品、あるいは、SAWフィルタ、LCフィルタ、アンテナスイッチモジュール、カプラ、ダイプレクサなどが含まれる。且つこれらをチップ状にしたものや、かかるチップ状の電子部品を複数個セットした電子部品ユニットも含まれる。これらのうち、異種の電子部品同士を同じ貫通孔または凹部に内蔵しても良い。
また、無機フィラには、結晶性シリカ、溶融シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
上記無機フィラを含有させることにより、前記樹脂の熱膨張係数を40ppm/℃以下(但し、0は含まず)、好ましくは30ppm/℃以下(但し、0は含まず)、より好ましくは25ppm/℃以下(但し、0は含まず)、更に好ましくは20ppm/℃以下(但し、0は含まず)とすることができる。これにより、内蔵された電子部品の熱膨張係数との差に基づく応力集中を低減できる。尚、上記何れの熱膨張係数の場合も、その下限値は10ppm/℃以上とするのが好ましい。
【0009】
、コア基板の上下にビルドアップ層として配線層を形成する場合、樹脂の粗化を酸化剤を用いて行うが、本発明の配線基板によれば、フィラが均一となるため、樹脂も均一に粗化することができる。このため、電子部品を埋め込む樹脂とその表面に形成された配線層との間における密着も確実にすることが可能となる。前記フィラの粒径は、当該フィラの粒度分布における最大粒径を指す。
【0010】
付言すれば、前記製造方法は、表面および裏面を有するコア基板と、該表面および裏面を貫通する貫通孔内あるいは表面側または裏面側に開口する凹部内に樹脂を介して内蔵される電子部品と、を備える配線基板の製造方法であって、上端および下端の少なくとも一方に突出する電極を有する電子部品を貫通孔または凹部に挿入する工程と、粒径が上記電極の高さの2分の1以下である無機フィラを含有する樹脂により上記電子部品を貫通孔または凹部に埋設して内蔵する工程と、上記樹脂の表面を研磨して整面することにより上記電極の端面を露出させる工程と、を含む、とすることもできる。尚、上記無機フィラの粒径は、電極の高さの3分の1以下が好ましい。但し、無機フィラの粒径は、研磨後の電極の高さに対して、常に2分の1以下になる。
【0011】
尚付言すると、本発明には、表面および裏面を有するコア基板と、かかる表面および裏面を貫通する貫通孔内あるいは表面側または裏面側に開口する凹部内に樹脂を介して内蔵される電子部品と、を備える配線基板の製造方法であって、上端および下端の少なくとも一方に50μm以上で且つ100μm未満の範囲の高さで突出する電極を有する電子部品を貫通孔または凹部に挿入する工程と、粒径が25μm以下の無機フィラを含有する樹脂により上記電子部品を貫通孔または凹部に埋設して内蔵する工程と、上記樹脂の表面を研磨して整面することにより上記電極の端面を露出させる工程と、を含む、配線基板の製造方法を含むことも可能である。これによる場合、電子部品の上端または下端に隣接する薄肉の樹脂部分にも無機フィラが確実に充填されるため、クラックなどが一層生じにくく、電子部品をコア基板に内蔵した配線基板を確実に製造することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、本発明により得られる配線基板1における主要部の断面を示す。
配線基板1は、図1(A)に示すように、コア基板2と、その表面3上と裏面4下とに形成した配線層14,20,26,15,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29からなるビルドアップ層とを有する多層基板である。
コア基板2は、平面視が略正方形で厚さ約0.8mmのビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂からなり、その中央部をパンチングすることにより、図1(A)に示すように、平面視がほぼ正方形で一辺が12mmの貫通孔5が穿孔されている。また、貫通孔5の両側(周囲)には、表・裏面3,4間を貫通するスルーホール6と、その内部にスルーホール導体8および充填樹脂9が形成されている。
【0013】
コア基板2の貫通孔5内には、エポキシ系の樹脂13を介して、複数のチップコンデンサ(電子部品)10が内蔵されている。各チップコンデンサ10は、その上端および下端に複数の電極12を突設しており、例えばチタン酸バリウムを主成分とする誘電体層とNi層とを交互に積層したセラミックスコンデンサである。かかるチップコンデンサ10は、3.2mm×1.6mm×0.7mmのサイズを有する。
図1(B)に示すように、チップコンデンサ10を埋設する樹脂13中には、最大粒径d約20〜25μmで且つ平均粒径4μmのシリカフィラ(無機フィラ)fが互いに接することなくほぼ均一に分散して包含されている。チップコンデンサ10の上(下)端から突出する電極12の高さhは75μmであり、その表面にはバレルメッキによる銅メッキ層が被覆されている。また、シリカフィラfの最大粒径dは、電極12の高さhの2分の1以下、好ましくは3分の1以下である。
【0014】
このため、チップコンデンサ10の上端または下端と樹脂13の表面に挟まれた薄い樹脂部分においても、シリカフィラfが入り込み易い。このため、シリカフィラfは過少にならず、骨材として樹脂13を強化すると共に、樹脂13の熱膨張率の低下(熱膨張係数30ppm/℃以下)を図ることができる。従って、樹脂13を貫通する各電極12の付近であっも、かかる樹脂13の薄肉部分にクラックが生じにくくなり、チップコンデンサ10を絶縁しつつ気密性を保ってコア基板2に内蔵することができる。
【0015】
図1(A)に示すように、コア基板2の表面3上には、銅メッキからなる配線層14と、エポキシ樹脂からなる絶縁層16とが形成され、且つスルーホール導体8の上端にも配線層14が形成されている。絶縁層16の所定の位置には、配線層14に接続するフィルドビア導体18が形成され、且つその上端と絶縁層16の上には配線層20が形成される。同様にして配線層20の上には絶縁層22とフィルドビア導体24が形成され、且つその上端と絶縁層22上には配線層26が形成される。配線層26の上には、ソルダーレジスト層(絶縁層)28が形成され、且つこれを貫通し且つ第1主面30よりも高く突出する複数のハンダバンプ(IC接続端子)32が形成される。各バンプ32は、追って第1主面30上に搭載されるICチップ34の底面に突設された接続端子36と個別に接続される。
尚、ハンダバンプ32と接続端子36との周囲には、これらを埋設するようにICチップ34の底面側に図示しないアンダーフィル材が充填される。
【0016】
図1(A)に示すように、コア基板2の裏面4下にも、銅メッキからなる配線層15と、エポキシ樹脂からなる絶縁層17とが形成され、且つスルーホール導体8の下端にも配線層15が形成されている。絶縁層17の所定の位置には、配線層15に接続するフィルドビア導体19が形成され、且つその下端と絶縁層17の下には配線層21が形成される。同様にして配線層21の下には絶縁層23とフィルドビア導体25とが形成され、且つその下端と絶縁層23の下には配線層27が形成される。配線層27の下には、ソルダーレジスト層(絶縁層)29が形成されると共に、その開口部31内に露出する配線層27内の配線33は、表面にAuおよびNiメッキ膜が被覆され、配線基板1自体を搭載する図示しないプリント基板などのマザーボードとの接続端子となる。
【0017】
尚、配線33の表面には、Sn−Sb系のハンダ(低融点合金)などを介して、鉄系または銅系合金製の図示しないピンを接続しても良い。尚また、配線層14,20,26,15,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、ビア導体18,24,19,25は、公知のビルドアップ技術(セミアディテイブ法、フルアディテイブ法、サブトラクティブ法、フォトリソグラフィ技術、レーザ加工によるビアホールの孔明けなど)によって形成される。
尚更に、図1(A)に示すように、各チップコンデンサ10の下端にも、前記同様の高さhで突設する複数の電極12が貫通孔5内に充填された樹脂13を貫通し、且つこの樹脂13に含まれるシリカフィラfの最大粒径dは、上記高さhの2分の1以下、好ましくは3分の1以下とされている。
【0018】
以上のような配線基板1によれば、コア基板2の貫通孔5内にチップコンデンサ10を、シリカフィラfを含む樹脂13を介して内蔵し、且つシリカフィラfの最大粒径dがチップコンデンサ10の電極12の高さhの2分の1以下とされている。このため、電極12付近の樹脂13におけるクラックの発生やかかる樹脂13自体の剥離が生じにくくなる。従って、チップコンデンサ10を絶縁性および気密性をもって内蔵できるため、かかるチップコンデンサ10の機能を確実に発揮させ得ると共に、その電極12を介して配線層14,15などやICチップ34との導通も安定して確保できる。
【0019】
尚、前記形態において、コア基板2は、単層の絶縁板を用いたがこれに限るものではなく、複数の絶縁層を積層した形態や、複数の絶縁層を積層し且つこれらの間に配線層を形成した形態も含まれる。また、上述した複数の絶縁層は、1種類または複数種類の材料を用いても良い。更に、コア基板2に内蔵するチップコンデンサ10は、その上端側のみに電極12を突設したものとしても良い。かかる形態とした場合、コア基板2を貫通するスルーホール導体8を介して、各チップコンデンサ10と裏面4下方の配線層15などとが導通される。
【0020】
図2は、前記配線基板1を得るための本発明の製造方法の主要な工程に関する。
図2(A)は、コア基板2をパンチングすることにより、表・裏面3,4間を貫通する平面視がほぼ正方形で一辺が12mmの貫通孔5を形成した状態を示すと共に、コア基板2の裏面4に当該コア基板2を含む多数個取り用のパネルにおける多数のコア基板2に跨って、テープTを貼り付けた状態を示す。このテープTの粘着面は、貫通孔5側に向いている。次に、図2(B)に示すように、貫通孔5内に上端および下端の電極12がそれぞれ75μmずつ突出する複数のチップコンデンサ10を図示しないチップマウンタにより挿入し、且つ各コンデンサ10の下端側の各電極12を上記テープTの粘着面に接着する。
【0021】
次いで、図2(C)に示すように、コア基板2の表面3側から貫通孔5内に、液状のエポキシ樹脂13aを図示しないディスペンサを用いて充填する。このエポキシ樹脂13aには、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂が用いられる。かかる樹脂13a中には、最大粒径が約20〜25μmで且つ平均粒径が4μmの前記シリカフィラfが含有されている。また、シリカフィラfの表面は、上記樹脂13aとの濡れ性を高めると共に、当該樹脂13aの流動性を高めるため、シラン系、チタネート系、アルミネート系などのカップリング剤による表面処理が施されている。更に、液状のエポキシ樹脂13aには、イミダール系、アミン系、ノボラック系、または酸無水物系の液状硬化剤が添加され、当該樹脂13aの低粘度化を図ると共に、シリカフィラfの添加を容易にしている。
【0022】
尚、貫通孔5内へ液状のエポキシ樹脂13aを充填し、且つチップコンデンサ10との隙間を埋めるには、上記ディスペンサによる注入法の他、スクリーン印刷法、ロールコート法などの公知の注入法や塗布法を用いることも可能である。
上記樹脂13aを貫通孔5内に充填した後、コア基板2を80〜180℃に加熱して、かかる樹脂13aを硬化する。この硬化は、80〜120℃に加熱する1次加熱工程と、120〜180℃に加熱する2次加熱工程との2段階に分けて行われる。即ち、1次加熱によりチップコンデンサ10と貫通孔5との隙間や電極12同士間の上記樹脂13a中に形成された気泡を効果的に脱泡でき、2次加熱により気泡のない状態でキュア処理を施すことができるためである。
【0023】
更に、硬化した樹脂13の盛り上がった表面に対し、ベルトサンダによる研磨とラップ研磨による仕上げ研磨とを施して平坦に整面する。この結果、図2(D)に示すように、コア基板2の表面3側に平坦面13bを有し、且つ各チップコンデンサ10における上端側の電極12の上端面が露出した樹脂13が形成される。尚、前記テープTを剥離した後、コア基板2の裏面4側の樹脂13も上記同様に整面した平坦面13cとしておくと、各チップコンデンサ10における下端側の電極12の下端面を確実に露出させ得る。また、研磨後における各電極12の高さhは、75μmとなる。
この後は、コア基板2の表面3上や裏面4下に、これらの電極12に接続する配線層14,15をフォトリソグラフィー技術により形成し、更に配線層20,26,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、フィルドビア導体18,24,19,25を公知のビルドアップ技術(ここでは、サブトラクティブ法など)により形成する。これにより、前記図1(A)に主要部の断面を示した配線基板1を得ることができる。
【0024】
【実施例】
ここで本発明の配線基板1の具体的な実施例を比較例と共に説明する。
表1に示すように、樹脂13に粒度分布による最大粒径dが20μmで且つ平均粒径が4μmのシリカフィラfを73wt%含むものを用い、電極の高さh1が75μmのチップコンデンサ10をコア基板2の貫通孔5内に内蔵した後、樹脂13の表裏面を研磨して整面することにより、電極の高さh2が60μmとなった実施例1の配線基板1を得た。また、シリカフィラfの最大粒径を25μmとし、その他の条件を実施例1と同じくして得た配線基板1を実施例2とした。
一方、表1に示すように、樹脂13に最大粒径dが35μmであって平均粒径20μmのシリカフィラfを80wt%含むものを用い、電極の高さh1が75μmのチップコンデンサ10を上記と同じコア基板2の貫通孔5内に内蔵し且つ整面して、電極の高さh2が60μmになった比較例1の配線基板を得た。
【0025】
【表1】
Figure 0004695289
【0026】
各例の配線基板(1)について、チップコンデンサ10の上端および下端に隣接する電極12付近の樹脂13を検査した結果、実施例1,2ではクラックや剥離がなかったのに対し、比較例1ではクラックが発生していた。この結果によれば、実施例1,2ではシリカフィラfが電極12付近の樹脂13でも均一に分布したのに対し、比較例1ではシリカフィラfの分布が不均一になり、特に前記テープT側の樹脂13の薄肉部分で不均一になったものと思われる。従って、シリカフィラfの最大粒径dと研磨後の電極12の高さh2との比d/h2を、2分の1(0.5)以下にすることの優位性が裏付けられた。
また、シリカフィラfの最大粒径dと当初の電極12の高さh1との比d/h1を、比較例1の0.466よりも小さくする、即ちシリカフィラfの最大粒径dを電極12の高さh1の20分の9(0.45)以下にすると、樹脂13の薄肉部分へのシリカフィラfの回り込みも容易に確保することが可能となる。
【0027】
次に、表2に示すように、樹脂13は最大粒径dが20μmのシリカフィラfを含むものを共通して用い、研磨後における電極の高さh2が15μm、50μm、80μm、100μm、120μmとなる複数のチップコンデンサ10を用いて、これらを個別に同じコア基板2の貫通孔5内に樹脂13を介して個別に内蔵した。その後、樹脂13の表裏面を研磨して整面することにより、複数の配線基板(1)を得た。
【0028】
【表2】
Figure 0004695289
【0029】
これらを検査した結果、電極の高さh2が50〜120μmの実施例3〜6の各配線基板1では、何れにも整面後において樹脂13にクラックが生じず、その後の表面粗化を含むメッキ工程の後にて樹脂13の浮きや脱落を生じなかった。
一方、電極の高さh2が15μmの比較例2の配線基板は、整面後に樹脂13にクラックが発生しチップコンデンサ10の本体が露出すると共に、メッキ工程後で樹脂13の浮きや脱落を生じた。但し、電極の高さhが120μmの実施例6の配線基板では、メッキ工程後において、電極12間の短絡が生じていた。
従って、シリカフィラfの最大粒径dと研磨後の電極12の高さh2との比d/h2を、2分の1(0.5)以下にすることの優位性が裏付けられた。
以上の実施例1〜6の配線基板1により、シリカフィラfの最大粒径を25μm以下とし、且つ内蔵するチップコンデンサ10の電極12の高さhを50μm以上(但し100μm以下が好ましい)とする範囲の優位性が容易に理解できる。
【0030】
図3(A)は、前記配線基板1の変形形態の配線基板1aにおける主要部の断面を示す。尚、以下において前記形態と同じ部分や要素には共通の符号を用いる。
配線基板1aのコア基板2には、その表面3側に開口し且つ平面視がほぼ正方形で一辺が12mmの凹部5aがルータ加工により形成されている。また、凹部5aの底面5bとコア基板2の裏面4との間には、スルーホール37が穿孔され、その内部にスルーホール導体38および充填樹脂39が形成されている。スルーホール導体38の上端で且つ凹部5aの底面5b上には、パッド38aが形成され、ハンダ38bを介して、チップコンデンサ10の下端側の電極12と個別に接続されている。尚、スルーホール導体38の下端で且つコア基板2の裏面4下には、前記同様の配線層15が位置している。
【0031】
凹部5a内には、複数のチップコンデンサ10を下端側の電極12を、予め上記パッド38aにハンダ38bを介して接続した状態で、前記同様のシリカフィラfを含む液状エポキシ樹脂13aが充填され、加熱による硬化処理を施して樹脂13とした後、前記同様に整面される。その後は、図3(A)に示すように、前記同様の配線層14,20,26,15,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、フィルドビア導体18,24,19,25が、公知のビルドアップ技術によって形成され、配線基板1aが得られる。
図3(B)に示すように、チップコンデンサ10を埋設する樹脂13中には、最大粒径dが約25μmのシリカフィラfがほぼ均一に分散して包含されている。チップコンデンサ10の上端から突出する電極12の高さhは、80μmであり、且つシリカフィラfの最大粒径dはその3分の1以下である。
【0032】
このため、チップコンデンサ10の上端と樹脂13の表面に挟まれた薄い樹脂部分においても、シリカフィラfは過少にならず、骨材として樹脂13を強化し且つ熱膨張率の低下を図ることが可能である。従って、各電極12の付近の樹脂13でも、クラックが生じにくく且つ当該樹脂13が剥離しにくくなり、チップコンデンサ10を絶縁しつつ気密性を保ってコア基板2に内蔵することができる。尚、チップコンデンサ10の下端側の電極12も上記同様の高さhで突出している。このため、下端側の電極12およびハンダ38bにより、チップコンデンサ10と凹部5aの底面5bとの隙間が十分となり、かかる隙間にシリカフィラfが入り込み易くなる。尚、図3(A)においては、下端側の電極12およびパッド38aは、ハンダ38bを介して接続されるが、かかる形態に限らない。例えば、下端側の電極12とパッド38aとを直に接するように接続しても良い。
【0033】
図4(A)は、前記配線基板1aの変形形態の配線基板1bにおける主要部の断面を示す。配線基板1bのコア基板2は、その裏面4側に開口し且つ平面視がほぼ正方形で一辺が12mmの凹部5cがルータ加工で形成されている。凹部5cの底面(天井面)5dとコア基板2の表面3との間には、スルーホール37が穿孔され、その内部にスルーホール導体38および充填樹脂39が形成される。スルーホール導体38の下端で且つ凹部5cの底面5dには、パッド38aが形成され、ハンダ38bを介してチップコンデンサ10の上端側(ICチップ34側)の電極12と個別に接続されている。尚、スルーホール導体38の上端で且つコア基板2の表面3上には、前記同様の配線層14が形成されている。
【0034】
図4(A)に示すように、凹部5c内には、複数のチップコンデンサ10を上端側の電極12を、予め上記パッド38aにハンダ38bを介して接続した状態で、前記同様のシリカフィラfを含む液状エポキシ樹脂13aが充填され、前記同様の硬化処理を施し樹脂13とした後、その表面が前記同様に整面される。
その後は、図4(A)に示すように、前記同様の配線層14,20,26,15,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、フィルドビア導体18,24,19,25が公知のビルドアップ技術により形成され、コア基板2にチップコンデンサ10を内蔵した配線基板1bが得られる。
図4(B)に示すように、チップコンデンサ10を埋設する樹脂13中には、最大粒径dが約25μmのシリカフィラfがほぼ均一に分散して包含されている。チップコンデンサ10の下端から突出する電極12の高さhは、50〜100μmであり、且つシリカフィラfの最大粒径dは、上記高さhの2分の1以下、好ましくは3分の1以下である。
【0035】
図4(A)に示すように、チップコンデンサ10の上端側の電極12も前記同様の高さhで突出している。このため、上端側の電極12およびハンダ38bにより、チップコンデンサ10と凹部5cの底面5dとの隙間が十分となり、かかる隙間にシリカフィラfが入り込み易くなる。尚、図4(A)にては、上端側の電極12とパッド38aとは、ハンダ38bを介して接続されるが、かかる形態に限らない。例えば、上端側の電極12とパッド38aとを直に接するように接続しても良い。
また、配線基板1bでは、コア基板2に内蔵するチップコンデンサ10は、その上端側(ICチップ34側)のみに電極12を突設したものとしても良い。かかる形態とした場合、コア基板2を貫通するスルーホール導体8を介して、各チップコンデンサ10と表面3上方の配線層14などとが導通される。
【0036】
尚、上記配線基板1a,1bの形態において、コア基板2は、単層の絶縁板を用いたがこれに限るものではなく、複数の絶縁層を積層した形態や、複数の絶縁層を積層し且つこれらの間に配線層を形成した形態も含まれる。また、上記複数の絶縁層の一部に貫通孔を予め穿孔しておき、他の絶縁層と積層した際に、前記凹部5a,5cを形成するようにしても良い。更に、上述した複数の絶縁層は、1種類または複数種類の材料を用いても良い。
尚また、上記配線基板1bにて、コア基板2の裏面4の下方に、絶縁層17,23,29、配線層21,27、およびフィルドビア導体19,25からなるビルドアップ層を形成したが、かかる形態に限らない。即ち、コア基板2の裏面4の下方には、絶縁層29と配線層15(配線33を含む)のみを形成した形態のように、コア基板2の表面3上方にのみビルドアップ層を形成する図示しない片面積層の配線基板とすることもできる。
【0037】
図5は、異なる形態の配線基板1cを得るための参考形態の製造方法の主要な工程に関する。
図5(A)は、複数のチップコンデンサ10の上下に、BT樹脂からなり且つ最大粒径が約25μmの前記シリカフィラfを含有する樹脂シート2a,2bを配置した状態を示す。各チップコンデンサ10の上端または下端から突出する電極12の高さhは75μmで、シリカフィラfの最大粒径は、該高さhの2分の1以下、好ましくは3分の1以下である。樹脂シート2a,2bは、チップコンデンサ10全体の高さの約半分の厚みを有する。図5(A)中の矢印で示すように、樹脂シート2a,2bを加熱しつつ垂直方向に沿って互いに接近するように加圧する。その結果、図5(B)に示すように、樹脂シート2a,2bは溶融し合うと共に、チップコンデンサ10,10間に入り込み一体化したコア基板2となる。
【0038】
この際、前記図1(B)や図3(B)に示したように、チップコンデンサ10の上端および下端とコア基板2の表面3および裏面4に挟まれた薄い樹脂部分においても、シリカフィラfは過少にならず、骨材としてコア基板2の強化と熱膨張率の低下を図ることが可能となる。従って、図5(B)に示すように、コア基板2の薄い樹脂部分を貫通する各電極12の付近でも、コア基板2自体にクラックが生じにくくなり、チップコンデンサ10を絶縁し且つ気密性を保ちつつコア基板2に内蔵することができる。
次いで、図5(C)に示すように、コア基板2の所定の位置にスルーホール6,6を穿設した後、各ホール6内およびコア基板2の表面3上や裏面4下に銅メッキ層を形成し、且つフォトリソグラフィー技術を施す。これによって、図5(D)に示すように、スルーホール導体8,8および配線層14,15を形成した配線基板1cが得られる。
【0039】
以上の配線基板1cによれば、コア基板2に貫通孔5や凹部5a,5cを形成したり、これらに液状の樹脂13aを充填する必要がなくなる。しかも、複数のチップコンデンサ10を挟んで前記シリカフィラfを含有する樹脂シート2a,2bを配置し、これらを加熱しつつ加圧することにより、一体化したコア基板2自体にチップコンデンサ10を内蔵することができる。従って、均一なコア基板2によりチップコンデンサ10を絶縁し且つ気密性を保って当該コア基板2に内蔵できる。尚、前記配線層20,26,21,27、絶縁層16,22,28,17,23,29、および、フィルドビア導体18,24,19,25を、公知のビルドアップ技術によって形成することにより、前記図1(A)に示した配線基板1と同様な多層構造の配線基板が得られることも明らかである。
【0040】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記貫通孔5や凹部5a,5c内、あるいはコア基板2に内蔵する電子部品は、1つのみでも良い。逆に、多数のコア基板2を含むパネル内における製品単位1個内に、複数の貫通孔5や凹部5a,5cを形成しても良い。
また、前記コア基板2の貫通孔5内に上端(ICチップ34)側のみに電極12を有する前記コンデンサ10のような電子部品を内蔵することも可能である。
更に、複数のチップ状電子部品を互いの側面間で予め接着したユニットとし、これを前記貫通孔5または凹部5a,5c内に挿入し内蔵することもできる。
また、チップ状電子部品には、前記チップコンデンサ10の他、チップ状にしたインダクタ、抵抗、フィルタなどの受動部品や、トランジスタ、メモリ、ローノイズアンプ(LNA)などの能動部品も含まれ、且つ互いに異種の電子部品同士を、同じ貫通孔や凹部内またはコア基板に併設して内蔵することも可能である。
尚、コア基板2の表・裏面3,4の両面において、電子部品の電極と配線層とを接続する他、表面および裏面のうちの一方でのみ接続しても良い。
【0041】
更に、コア基板2の材質は、前記BT樹脂の他、同様の耐熱性、機械強度、可撓性、加工容易性などを有するガラス織布やガラス織布などのガラス繊維とエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、またはBT樹脂などの樹脂との複合材料であるガラス繊維−樹脂系の複合材料を用いても良い。あるいは、ポリイミド繊維などの有機繊維と樹脂との複合材料や、連続気孔を有するPTFEなどの3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることも可能である。
また、配線層14,15などの材質は、前記銅メッキの他、Niや、Ni−Auなどにしても良く、あるいは、金属メッキを用いず、導電性樹脂を塗布するなどの方法によって形成することも可能である。
更に、前記ビア導体18などは、ビアホール内を埋め尽くす前記フィルドビアの形態に限らず、ビアホールの形状に倣った円錐形状の形態としても良い。
【0042】
また、絶縁層16,17などの材質は、前記エポキシ樹脂を主成分とするものの他、同様の耐熱性、パターン成形性などを有するポリイミド樹脂、BT樹脂、PPE樹脂、あるいは、連続気孔を有するPTFEなどの3次元網目構造のフッ素系樹脂にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた樹脂−樹脂系の複合材料などを用いることもできる。且つ絶縁層の形成には、液状樹脂をロールコータにより塗布する方法の他、絶縁性のフィルムを熱圧着する方法を用いることもできる。
更に、前記チップコンデンサ10には、BaTiOなどを主成分とする高誘電体セラミックを用いたが、PbTiO,PbZrO,TiO,SrTiO,CaTiO,MgTiO,KNbO,NaTiO,KTaO,PbTaO,(Na1/2Bi1/2)TiO,Pb(Mg1/21/2)O,(K1/2Bi1/2)TiOなどを主成分とするものを用いても良い。
【0043】
また、前記コンデンサ10の電極12の材質には、Cuを主成分としたが、電子部品との適合性を有するPt,Ag,Ag−Pt,Ag−Pd,Pd,Au,Niなどを用いることができる。
加えて、前記電子部品のコンデンサ10は、高誘電体セラミックを主成分とする誘電体層やAg−Pdなどからなる電極層と、樹脂やCuメッキ、Niメッキなどからなるビア導体や配線層とを複合させたコンデンサとしても良い。
尚、前記配線基板1,1a,1bの第1主面30において複数の搭載エリアを形成し、複数のICチップ34を各エリアに個別に搭載することも可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上において説明した本発明による配線基板の製造方法(請求項1)によれば、電極が突出する電子部品の上端や下端に隣接する薄い樹脂部分またはコア基板の薄肉部分が強化されるため、クラックなどが生じにくい配線基板を確実に提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明により得られる一形態の配線基板における主要部の断面図、(B)は(A)中の一点鎖線部分Bの拡大図。
【図2】(A)〜(D)は図1(A)の配線基板を製造するための本発明による製造方法の主な工程を示す概略図。
【図3】(A)は図1(A)の配線基板の変形形態における主要部の断面図、(B)は(A)中の一点鎖線部分Bの拡大図。
【図4】(A)は図3(A)の配線基板の変形形態における主要部の断面図、(B)は(A)中の一点鎖線部分Bの拡大図。
【図5】(A)〜(D)は異なる形態の配線基板を製造する参考形態の製造方法の主な工程を示す概略図。
【図6】従来の配線基板を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a〜1c…配線基板
2…………………コア基板
3…………………表面
4…………………裏面
5…………………貫通孔
5a,5c………凹部
10………………チップコンデンサ(電子部品)
12………………電極
13………………樹脂
f…………………シリカフィラ(無機フィラ)
d…………………シリカフィラの最大粒径(粒径)
h,h1,h2……電極の高さ

Claims (2)

  1. 表面および裏面を有するコア基板と、かかる表面および裏面を貫通する貫通孔内あるいは表面側または裏面側に開口する凹部内に樹脂を介して内蔵され且つ上端または下端が該樹脂と隣接する電子部品と、を備える配線基板の製造方法であって、
    上端または下端の少なくとも一方に突出する複数の電極を有する電子部品を貫通孔または凹部に挿入する工程と、
    粒径が25μm以下の無機フィラを含有している樹脂により上記電子部品を貫通孔または凹部に埋設して内蔵する工程と、
    上記樹脂の表面を研磨して整面することにより、該樹脂の表面に上記電極の端面を露出させ且つ上記電子部品の上端または下端に対する該電極の高さを50μm以上とする工程と、を含む、
    ことを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. 前記樹脂がエポキシ樹脂であり、該樹脂中には、最大粒径が20〜25μmで且つ平均粒径が4μmのシリカフィラが含まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
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