JP2005071941A - ガス拡散部材、ガス拡散部材の製造方法、燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガス拡散部材は、厚み方向の一方側が触媒層に対向し、厚み方向の他方側がガス配流板に対向し、且つ、ガス配流板のガスを触媒層に送るガス透過性及び導電性をもつ。ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層8と、触媒層に対向すると共に密度が粗層8よりも相対的に高い密層9とを有する複層構造を備えており、少なくともガス下流領域において微小透過穴10が密層9に形成されている。
【選択図】図2
Description
ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層と、触媒層に対向すると共に密度が粗層よりも相対的に高い密層とを有する複層構造を有するシートを形成するシート成形工程と、高エネルギ密度ビームを密層に照射することにより、シートのうち少なくとも密層に複数の微小透過穴を形成する穴形成工程とを含むことを特徴とするものである。
ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層と、触媒層に対向すると共に密度が粗層よりも相対的に高い密層とを有する複層構造を有するシートを形成するシート成形工程と、針状部材を密層に差し込むことにより、シートのうち少なくとも密層に複数の微小透過穴を形成する穴形成工程とを含むことを特徴とするものである。針状部材の差し込みにより微小透過穴を形成するため、複数の微小透過穴をまとめて形成することができる。また針状部材の差し込み部分の尖り角度を変更すれば、微小透過穴の断面形状、微小透過穴の内壁面の傾斜角を変更することができる。
燃料極用ガス拡散部材及び酸化剤極用ガス拡散部材のうちの少なくとも一方は、前記した様相のいずれかに記載のガス拡散部材で形成されていることを特徴とするものである。
以下、本発明の実施形態1を図1〜図3を参照して説明する。燃料電池は、図1に示すように、高分子型の固体電解質を基材とする電界質膜1と、電界質膜1の厚み方向の一方側に配置された燃料極用の触媒層2と、燃料極用の触媒層2のうち電界質膜1と反対側に配置された燃料極用のガス拡散部材3と、燃料極用のガス拡散部材3のうち電界質膜1と反対側に配置された燃料極用のガス配流板4と、電界質膜1の厚み方向の他方側に配置された酸化剤極用の触媒層5と、酸化剤極用の触媒層5のうち電界質膜1と反対側に配置された酸化剤極用のガス拡散部材6と、酸化剤極用のガス拡散部材6のうち電界質膜1と反対側に配置された酸化剤極用のガス配流板7とを有する。酸化剤極用のガス配流板7は活物質である酸素を含む酸化剤ガスが流れるガス通路7aを有する。燃料極用のガス配流板4は、活物質である水素ガス、水素含有ガス等の燃料ガスが流れるガス通路4aを有する。触媒層2,5は白金等の触媒金属を担持している。
(1)触媒層5と酸化剤極用ガス拡散部材6との密着性を向上させることができる。
(2)密層9は密度が粗層8よりも相対的に高いため、粗層8を構成する硬いカーボン繊維が酸化剤極用の触媒層5に突き刺さることを抑え、触媒層5を傷めることを抑制することができる。
(3)密層9は粗層8よりも密度が高いため、固体電界質膜1の乾燥、特に固体電界質膜1の上流領域における乾燥を抑制することができる。
図3は適用した形態を示す。図3に示すガス配流板7は酸化剤極用のものであり、仕切壁7bを有する。仕切壁7bにより区画されたガス通路7aは、逆Sの字を形成するように曲走構造に設定されている。従って、酸化剤極用のガス配流板7のガス通路7aを流れる酸化剤ガスは、ガス入口からガス出口に向けて、つまりガス上流からガス下流にかけて、逆S字方向に曲走するように流れる。
図4は実施形態2を示す。実施形態2は基本的には実施形態1と同様の構成、作用効果を有する。以下、実施形態1と異なる部分を中心として説明する。図4に示すように、酸化剤極用のガス拡散部材6は、複層構造とされており、密度が相対的に低い粗層8と、密度が粗層8よりも相対的に高い密層9とを有する。図4に示すように、密層9においては、少なくともガス下流領域において微小透過穴10が形成されている。そして、密層9においては、ガス入口側であるガス下流領域から、ガス出口側であるガス上流領域に向かうにつれて、つまり、矢印X1方向に向かうにつれて、微小透過穴10の深さが増加するように形成されている。
図5は実施形態3を示す。実施形態3は基本的には実施形態1と同様の構成、作用効果を有する。以下、実施形態1と異なる部分を中心として説明する。図5は酸化剤極用のガス拡散部材6の断面を示す。酸化剤極用のガス拡散部材6は、複層構造とされており、密度が相対的に低い粗層8と、密度が粗層8よりも相対的に高い密層9とを有する。粗層8は、導電性を有するカーボン繊維の集積体と撥水性材料であるフッ素樹脂と導電物質であるカーボンブラックとを基材として形成されている。密層9はカーボン繊維を含まず、撥水性材料であるフッ素樹脂と導電物質であるカーボンブラックとを基材として形成されている。
図8は実施形態4を示す。実施形態4は実施形態3と同様な構成、作用効果を有する。以下、実施形態3と異なる部分を中心として説明する。図8に示すように、酸化剤極用のガス拡散部材6は、複層構造とされており、密度が相対的に低い粗層8と、密度が粗層8よりも相対的に高い密層9とを有する。図8に示すように、密層9においては、少なくともガス下流領域において微小透過穴10が形成されている。そして、密層9においては、ガス入口側であるガス下流領域から、ガス出口側であるガス上流領域に向かうにつれて、つまり、矢印X1方向に向かうにつれて、微小透過穴10の深さhが増加するように形成されている。この結果、ガス下流領域において、酸化剤極用の触媒層5と密層9との間の水を粗層8に排出させ易くなり、水の排出性が向上する。またガス中に含まれている活物質濃度が低下するガス下流領域において、粗層8から酸化剤極用の触媒層5に向かう活物質の供給性が向上する。
図9は実施形態5を示す。実施形態5は基本的には実施形態1と同様の構成、作用効果を有する。以下、実施形態1と異なる部分を中心として説明する。図9に示すように、密層9に形成した微小透過穴10の先端は粗層8まで到達している。微小透過穴10はレーザビームの照射または針状部材25の差し込みにより形成されている。
図10は実施形態6を示す。実施形態6は基本的には実施形態1と同様の構成、作用効果を有する。以下、実施形態3と異なる部分を中心として説明する。ガス配流板7のガス通路7aは、酸化剤ガスの流れが曲がるガス曲走領域74a,74bを有する。上記したガス曲走領域74a,74bは一般的には水が溜まり易い部位である。そこで、図10に示すように、曲走領域74a,74bにおいて、単位面積当たりの微小透過穴10の数は、他の部分(乾燥が起こりがちのガス上流領域、あるいは、ガスが真っ直ぐ流れるガス直走領域)よりも高くなるように設定されている。
実施例1によれば、導電繊維としてのカーボン繊維(平均径14μm,平均長さ3mm)と、焼失物質としてのパルプ繊維とから抄紙した抄紙シートを用いた。抄紙シートは、カーボン繊維及びパルプ繊維を主要成分とする液状物を用い、液状物から液体部分を取り除くことにより形成されており、カーボン繊維及びパルプ繊維の集積体である。そして、カーボンブラック(キャボット株式会社 バルカン XC−72)と撥水材料(PTFE分散液 ダイキン工業 D−1)を分散したペースト状の第1流動物をロールコートにより抄紙シートに含浸した。次に、その抄紙シートを乾燥させた後に、温度T1(380℃)にて焼成した。これによりパルプ繊維を焼失させて空洞化させると共に、厚さ300μm程度のガス拡散部材6の粗層8となるベースシートを形成した。
実施例2は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を奏する。実施例2によれば、実施例1で形成した酸化剤極用のガス拡散部材6を用い、直径0.64ミリメートルの縫い針を酸化剤極用のガス拡散部材6に密層9側から差し込むことにより、複数の微小透過穴10を形成した。単位面積あたりの微小透過穴10の穴数は、図7に示すガス上流領域UA2では、ガス下流領域DA2よりも相対的に少な目(300個/cm2)とされている。単位面積あたりの微小透過穴10の穴数は、ガス下流領域DA2では、ガス上流領域UA2よりも相対的に多め目(750個/cm2)とされている。
(試験例)
表1に示す条件に基づいて、粗層8(厚み260μm)及び密層9(厚み40μm)を有すると共に、レーザビームにより密層9に微小透過穴10を形成した試験片を用い、密層9における水の接触角の変化を試験した。この場合、重量%でエタノールを20%含む水溶液を用いた。水のみでは、接触角が大きすぎ、差が出ないためである。
一般的には、水の接触角は90度を超えると撥水性とされ、90度以下であれば、親水性とされる。試験片Tは微小透過穴10を形成していないものである。試験片Vは針の差し込みにより微小透過穴10を形成したものである。試験片2−1,試験片2−2,試験片2−3,試験片4−1,試験片4−2,試験片4−3,試験片4−4は、レーザビームで微小透過穴10を形成したものである。
上記した実施形態、実施例によれば、酸化剤極用のガス拡散部材6の密層9に微小透過穴10を形成しているが、これに限らず、燃料極用のガス拡散部材3を粗層と密層との複層構造とし、密層に微小透過穴10を形成しても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態、実施例のみに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更して実施できるものである。
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)厚み方向の一方側が触媒層に対向し、厚み方向の他方側がガス配流板に対向し、且つ、前記ガス配流板のガスを前記触媒層に送るガス透過性及び導電性をもつ燃料電池用のガス拡散部材において、
前記触媒層に対向するように複数の微小透過穴が形成されており、前記微小透過穴の周縁部は、微小透過穴が形成されていない部分よりも親水性が相対的に高いことを特徴とするガス拡散部材。微小透過穴の周縁部は、親水性が相対的に高いため、微小透過穴を介して過剰の水を排出させるのに有利である。酸化剤極用のガス拡散部材のうち微小透過穴が形成されていない部分は、撥水性が相対的に高いため、酸化剤極用のガス拡散部材のうちガスの通り道となる空隙部分が水で詰まりことを抑制するのに有利である。
(付記項2)各請求項において、微小透過穴の深さは、ガス上流領域よりもガス下流領域において深く設定されていることを特徴とするガス拡散部材。下流領域における水排出性、活物質の供給性を向上させることができる。
Claims (8)
- 厚み方向の一方側が触媒層に対向し、厚み方向の他方側がガス配流板に対向し、且つ、前記ガス配流板のガスを前記触媒層に送るガス透過性及び導電性をもつガス拡散部材において、
前記ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層と、前記触媒層に対向すると共に密度が粗層よりも相対的に高い密層とを有する複層構造を備えており、
少なくともガス下流領域において微小透過穴が前記密層に形成されていることを特徴とするガス拡散部材。 - 請求項1において、前記微小透過穴は、高エネルギ密度ビームの照射または針状部材の差し込みにより形成されていることを特徴とするガス拡散部材。
- 請求項1または請求項2において、単位面積あたりの前記微小透過穴の穴数は、ガスの上流領域よりもガスの下流領域において大きく設定されていることを特徴とするガス拡散部材。
- 請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項において、前記微小透過穴の深さは、ガス上流領域よりもガス下流領域において深く設定されていることを特徴とするガス拡散部材。
- 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記ガス配流板は、ガスの流れが曲がるガス曲走領域を有しており、前記ガス拡散部材のうち前記ガス配流板のガス曲走領域に対向する部分において、前記微小透過穴が形成されていることを特徴とするガス拡散部材。
- 厚み方向の一方側が触媒層に対向し、厚み方向の他方側がガス配流板に対向し、且つ、前記ガス配流板のガスを前記触媒層に送るガス透過性及び導電性をもつガス拡散部材の製造方法において、
前記ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層と、前記触媒層に対向すると共に密度が前記粗層よりも相対的に高い密層とを有する複層構造を備えたシートを形成するシート成形工程と、
高エネルギ密度ビームを前記密層に照射することにより、前記シートのうち少なくとも密層に複数の微小透過穴を形成する穴形成工程とを含むことを特徴とするガス拡散部材の製造方法。 - 厚み方向の一方側が触媒層に対向し、厚み方向の他方側がガス配流板に対向し、且つ、前記ガス配流板のガスを前記触媒層に送るガス透過性及び導電性をもつガス拡散部材を製造する製造方法において、
前記ガス配流板に対向すると共に密度が相対的に低い粗層と、前記触媒層に対向すると共に密度が前記粗層よりも相対的に高い密層とを有する複層構造を備えたシートを形成するシート成形工程と、
針状部材を前記密層に差し込むことにより、前記シートのうち少なくとも密層に複数の微小透過穴を形成する穴形成工程とを含むことを特徴とするガス拡散部材の製造方法。 - 電解質を基材とする電解質膜と、前記電解質膜の厚み方向の一方側に配置された燃料極用触媒層と、前記燃料極用触媒層のうち前記電解質膜と反対側に配置された燃料極用ガス拡散部材と、前記燃料極用ガス拡散部材のうち前記電解質膜と反対側に配置された燃料極用ガス配流板と、前記電解質膜の厚み方向の他方側に配置された酸化剤極用触媒層と、前記酸化剤極用触媒層のうち前記電解質膜と反対側に配置された酸化剤極用ガス拡散部材と、前記酸化剤極用ガス拡散部材のうち前記電解質膜と反対側に配置された酸化剤極用ガス配流板とを具備する燃料電池において、
前記燃料極用ガス拡散部材及び前記酸化剤極用ガス拡散部材のうちの少なくとも一方は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のガス拡散部材で形成されていることを特徴とする燃料電池。
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