JP2005071574A - 光ディスク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 厚い基板の上に反射層及び光透過層が順次積層され、その光透過層を介して反射層にレーザ光を照射する光ディスクにおいて、反射層の凹凸の作製精度が悪く信号がばらついていた。
【解決手段】 基板1上に、又はその上に形成された熱変形する樹脂層2の上に、反射層を含む薄膜3を形成する。そして、信号情報に相当する凹凸を有するスタンパ4を薄膜3に直接押し付けることにより、薄膜3に凹凸を転写させる。基板1上に直接薄膜3を設けた場合には、薄膜3の塑性変形のみを利用する。また、熱変形する樹脂層の上に薄膜3を設けた場合には、さらにスタンパ4を加熱することで、より小さな圧力で凹凸を転写させることが可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スタンパに形成された凹凸を転写させることにより製造される光ディスクの製造方法及びその方法を用いて作製された光ディスクに関する。
近年、文字情報だけではなく、静止画像情報、さらには動画情報を媒体に記録させることが行われるようになってきている。その中で、ディスク表面にレーザ光を照射し、その反射光を検出してデータを読み出す光ディスクが、大容量性と長期保存性の点から広く用いられるに至っている。
大容量の光ディスクであるDVD(Digital Versatile Disc)に関しては規格化が行われ、直径120mmで片面4.7GBの容量のものが市販されている。これに対して、例えば、非特許文献1には、一層高密度にするための提案がなされている。そこでは、光透過するカバー層の厚みは0.1mmとされている。そして、ディスクとしての剛性を獲得するために、厚い基板と貼り合わせる構成となっている。
記録容量の増加を実現するには、レーザ光の短波長化と対物レンズの開口数の増大がある。対物レンズの開口数を大きくすると、照射されるレーザ光のスポットが小さくなり、高密度化が可能となる。しかし、対物レンズの開口数を大きくすると、焦点距離が短くなり、かつ光軸とディスク入射面の傾き(チルト)の影響を大きく受けるようになる。そのため、レーザ光が入射する側の光透過層(カバー層)を薄くする必要がある。
しかし、射出成形による基板の薄型化には限界があるため、この方法による記録容量増加は困難である。そこで基板上にレーザ光を透過する光透過層を形成し、この光透過層を介して金属薄膜(反射層)にレーザ光を照射する方式の光ディスクが開発されている。現在、次世代光ディスクであるブルーレイディスクに関しては、片面23GBから27GBの規格がある。
光ディスクを作製する他の方法としては、例えば、特許文献1に、樹脂平板に熱可塑性樹脂層を設け、その熱可塑性樹脂層を凹凸が形成されたスタンパと加熱圧接する方法が開示されている。また、特許文献2において、薄いフィルム上に紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂のいずれかを設けた後で、スタンパと圧接する方法が開示されている。
図8に、特許文献1の方法に係る光ディスク作製の工程の概略を示す。図8(a)において、基板101上には熱可塑性樹脂層102が設けられている。この熱可塑性樹脂層102の表面に、凹凸が形成されたスタンパ103と加熱圧接されると、図8(b)に示すように熱可塑性樹脂層102にスタンパ103の凹凸が転写される。その後で、図8(c)に示すように、熱可塑性樹脂層102の上に反射層としての金属薄膜104等が、例えば、真空成膜装置で形成される。そして最後に、図8(d)に示すように、金属薄膜104の上にカバー層105が設けられて光ディスクとなる。
山本、「片面12Gbyteの大容量光ディスク」, O plus E, 20 (No.2), p.183 - 186 (1998). 特開平8−124224号公報 特開平1−138636号公報
光ディスクの記録密度を上げるためには、前述のようにカバー層105を薄くする必要がある。そして、剛性を獲得するために厚い基板101と貼り合わせる構成が要求される。
特許文献1に示されている方法では、基板101上に設けられた熱可塑性樹脂層102を、凹凸が形成されたスタンパ103と加熱圧接し、その後で金属薄膜104を設けている。このように、熱可塑性樹脂層102上に凹凸を形成した後で金属薄膜104を設けると、図8(d)に示すように、反射層104の上面と下面の凹凸の形状に違いが生ずる。つまり、金属薄膜104の下面は、熱可塑性樹脂層102上に形成された凹凸の形状を良く反映しているのに対し、金属薄膜104の上面の凹凸は、それに比べて角の取れた、鈍った形状となる。そのため、レーザ光が図8(d)の上方から、この金属薄膜104に入射すると、凹凸の角が鈍っている分、不必要な乱反射が生ずることとなる。記録密度が低い場合には、この影響は無視できる。しかし、記録密度が高くなると、この乱反射が信号に悪影響を及ぼし、読み取り誤差が生じ易くなる。
これに対処する方法として、例えば、レーザ光が入射するカバー層105に凹凸が形成された後に、その凹凸が形成された面に金属薄膜104を設けることが考えられる。しかし、基板101を作製する際に用いられているような射出成形で、凹凸が形成された0.1mmの厚さのカバー層105を作製することは現状ほぼ不可能である。そこで、特許文献1の技術に基づいて、薄いシートの上に熱可塑性樹脂を設けて、合わせて0.1mm程度の厚さにし、スタンパと加熱圧接することが考えられる。しかし、このように薄くすると、剛性が低いため、加熱時の温度むらによって、場所ごとに熱収縮の度合いが変わってしまう。その結果、全体にしわが発生するという不具合が生ずる。同様に、シート上に紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、又は熱硬化樹脂のいずれかからなる層を設けて、スタンパと圧接する特許文献2の方法によっても、収縮に起因するしわが発生する。さらには、シートと樹脂との密着性が弱いという課題もある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、信号が金属薄膜の厚さ等の影響を受けず、さらにしわや層剥離が発生しないで生産性に優れた光ディスクの製造方法、及びそれを用いて作製された光ディスクを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、情報読み取り時に基板と反対側からレーザ光が照射される光ディスクの製造方法であって、前記基板上に、少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写される光ディスクの製造方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜は、熱可塑性樹脂からなる平坦な面を有する基板上又は前記基板上に形成された熱可塑性樹脂からなる平坦な面を有する樹脂層上に形成されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の光ディスクの製造方法において、前記スタンパは、前記熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜は、その厚さがスタンパの凸部の高さの略3倍以上となるように前記基板上に形成されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜として、前記金属反射層及び他の層を含む多層膜が、前記金属反射層が前記スタンパと反対側に位置するように形成されることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜と前記スタンパとが圧接される際、前記薄膜が前記スタンパ側に真空吸引されることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜上に熱可塑性樹脂層が形成され、前記熱可塑性樹脂層上に少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接加熱圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写されることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記薄膜上に透明シート又は紫外線硬化樹脂からなる光透過層が設けられることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、情報読み取り時に基板と反対側からレーザ光が照射される光ディスクの製造方法であって、金型内に固定され且つ凹凸を有するスタンパの表面に少なくとも金属反射層を含むシート部材の金属反射層側を直接密着させた後に、前記金型内に溶融樹脂を射出することにより基板が形成される光ディスクの製造方法である。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の光ディスクの製造方法において、前記シート部材の少なくとも中央近傍が溶融樹脂の射出中にスタンパ側に真空吸引されることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9または10に記載の光ディスクの製造方法において、前記シート部材は樹脂層上に少なくとも金属反射層が形成された樹脂シートを含み、前記樹脂層は全面が連続した面であり、溶融樹脂を充填した後に前記樹脂層の中央部に孔が形成されることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項11記載の光ディスクの製造方法において、前記樹脂シートの中央部以外に前記金属反射層が設けられることを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項11または12に記載の光ディスクの製造方法において、前記樹脂シートの樹脂層と同種の樹脂からなる溶融樹脂が前記金型内に射出されることにより基板が形成されることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項9乃至13のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記シート部材の外径が金型のキャビティ内径より小さいことを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項9乃至14のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記スタンパは、前記金型の溶融樹脂が射出される孔を有する面と対向する面に配置されることを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項1乃至15のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記金属反射層として、Au、Ag、Cu、Pt、Alのうち少なくとも1種を95wt%以上含む金属膜が形成されることを特徴とする。
請求項17記載の発明は、請求項9乃至16のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記金属反射層が前記スタンパと反対側に位置するように、前記金属反射層及び他の層を含む薄膜が形成されることを特徴とする。
請求項18記載の発明は、請求項9乃至17のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記シート部材上に熱可塑性樹脂層が形成され、前記熱可塑性樹脂層上に少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接加熱圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写されることを特徴とする。
請求項19記載の発明は、請求項9乃至18のいずれかに記載の光ディスクの製造方法において、前記シート部材上に透明シート又は紫外線硬化樹脂からなる光透過層が設けられることを特徴とする。
請求項20記載の発明は、薄膜においてレーザ光が照射される面に形成された凹凸のエッジ部分の曲率半径が、前記薄膜の反対側の面に形成された凹凸のエッジ部分の曲率半径より小さい光ディスクである。
本発明の光ディスクの製造方法によれば、スタンパが、薄膜に直接圧接されるため、スタンパの凹凸が金属反射層に正確に転写される。そのため、正確な信号読み取りが可能となる。さらに、最適な凹凸の形状を、スタンパの凹凸の形状で決められるため、信号の最適化が容易である。
本発明の他の光ディスクの製造方法によれば、スタンパの凹凸を有する面と、少なくとも金属反射層を含むシート部材の金属反射層側が直接密着させられている。そして、金属反射層側の反対側のキャビティに溶融樹脂が射出され、基板が形成される。このとき、金型によって、スタンパ、金属反射層及び基板が圧接される。その結果、スタンパの凹凸を有する面と圧接されている金属反射層に、スタンパの凹凸が正確に転写される。
本発明の光ディスクによれば、薄膜において、レーザ光が照射される面に形成された凹凸のエッジと、その反対側の面に形成された凹凸のエッジとを比べると、前者の曲率半径の方が小さい、つまり角型性がよい。そのため、正確な信号読み取りが可能となる。
以下に、本発明に係る光ディスクの製造方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、光ディスクの形状及び大きさは、その光ディスクの用途によって適宜決定されるが、例えばDVDの場合、直径120mmで中心部に直径15mmの中心孔を有する円盤状である。そして、その厚さは通常、約1.2mmである。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。
まず、図1(a)に示す工程において、ポリカーボネート樹脂(軟化温度〜140℃)からなる厚さ1.1mmの基板1上に、厚さ50μmのアクリル樹脂(軟化温度〜90℃)フィルムからなる熱可塑性樹脂層2が接着剤で貼り合わせられる。そして、この熱可塑性樹脂層2の上に銀(Ag)の薄膜3が、スパッタ法により厚さ50nmで形成される。また、情報信号に相当するスタンパ4の凹凸は、トラックピッチ0.35μm、高さ70nmの凸ピット(凸部の高さが70nm)が形成されたものを用いた。このスタンパ4をプレス装置に取り付け、それと対向する側に、熱可塑性樹脂層2及び薄膜3が設けられた基板1が取り付けられる。そして、このスタンパ4が、熱可塑性樹脂層2を塑性変形させるのに必要な温度まで加熱される。上記の構成においては、基板1の軟化温度が約140℃であり、熱可塑性樹脂層2のそれが約90℃である。このため、スタンパ4の温度は、熱可塑性樹脂層2は変形させるが基板1は変形させない温度、つまり100〜130℃の間に設定されることが望ましい。本実施形態においては、スタンパ4の温度は、120℃に設定された。
ここで、基板1は、この温度において弾性変形させられるので、一旦変形しても元に戻る。それに対して、この温度では熱可塑性樹脂層2は塑性変形させられる。この状態で、スタンパ4を薄膜3に面圧50MPaで圧接させる。このとき、薄膜3とスタンパ4との間に気泡が入らないように、両者の間隙を真空に吸引することが望ましい。これによりガスの巻き込みが防げ、圧接が有効に行える。その結果、図1(b)に示す工程のように、スタンパ4の凹凸が薄膜3に正確に転写される。このとき、薄膜3だけではなく、熱可塑性樹脂層2も同時に塑性変形させられる。
引き続いて、図1(c)に示す工程のように、その薄膜3上にカバー層5が形成されて光ディスクが完成する。このカバー層5は、薄膜3に形成された凹凸を保護する役割を担う。また、カバー層5を介して凹凸の読み取りが行われるので、レーザ光の透過を妨げないことが必要である。ここでは、カバー層5として、紫外線硬化樹脂を塗布し、スピンコート後に紫外線を照射して硬化させたものを用いた。この結果得られたカバー層5の厚さは、約0.1mmである。また、このカバー層5として、ポリカーボネート樹脂等からなる透明シートを接着するように構成してもよい。
熱可塑性樹脂層2は、軟化温度以上で所定の力が加えられると塑性変形が引き起こされる樹脂であり、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を含む樹脂群から選ばれる。また、熱可塑性樹脂層2の厚さは20μm〜100μm、より好ましくは50μmである。
また、基板1と熱可塑性樹脂層2とを組み合わせるとき、熱可塑性樹脂層2の軟化温度の方が、基板1の軟化温度より低いことが望ましい。これは、スタンパ4と熱可塑性樹脂層2とを加熱圧接した場合に、基板1には塑性変形が生じず、熱可塑性樹脂層2に塑性変形させることで基板1の平坦性を保持できるためである。
薄膜3は、再生型(DVD−ROM)の場合は金属反射層のみであるが、追記型や書き換え型(DVD−RAM)の場合は、記録層と金属反射層を含めた構成の多層膜である。本実施形態において説明した再生型の場合には、この薄膜3に直接スタンパ4の凹凸が転写されるので、延性の高い金属であることが望ましい。例えば、本実施形態で用いた銀以外にも金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)が、このような特性を有する元素として例示される。さらに、上記の単体だけではなく、これらを含む合金でも構わない。本発明においては、薄膜3としては、金、銀、銅、白金、アルミニウムの内、少なくとも1種類を95wt%以上、好ましくは97wt%以上、さらに好ましくは98wt%以上含む材料であればよい。これは、5wt%以上他の材料が入ると、延性が大きく低下したり、剛性が大きく増加するためである。また、薄膜に要求される上記の条件は、本発明に係る他の実施形態においても同様である。
スタンパ4は、情報信号に相当する凹凸を有し、圧接されることで、その凹凸を薄膜3に転写させる役割を担う。そしてこのスタンパ4は、例えば、ニッケル(Ni)により作製されており、凹凸は通常のフォトレジスト法などにより形成される。
熱可塑性樹脂層2を基板1上に形成する方法としては、本実施形態で用いたように、基板1上に熱可塑性樹脂のシートを載せ、接着剤で貼り合わせる方法がある。それ以外にも、例えば、基板1上に熱可塑性樹脂のシートを載せ、共押出しラミネートによって作製する方法がある。いずれも、基板1と熱可塑性樹脂層2との間に気泡が巻き込まれたり、密着不良が生じたりすることが少ないので、望ましい方法である。また、薄膜3を熱可塑性樹脂層2上に形成する方法としては、スパッタ法以外の真空成膜法を用いてもよい。
続いて、上記と同じ条件で、スタンパ4の凹凸の壁面角度のみを変えて、転写特性を調べた。ここで、凹凸の壁面角度とは、図2に示すように、スタンパ4の凸部がないとした場合の平面を基準として、そこから凸部の壁面までの角度θ(0〜90度の範囲)で示す。つまり、上記の平面内がθ=0度であり、上記の平面に垂直な壁面を持つ場合がθ=90度である。その結果、凹凸の壁面角度θが70度以下の場合に、スタンパ4の凹凸の形状が薄膜3に正確に転写された。言い換えると、スタンパ4の凹凸の壁面角度θが70度以下の場合に、スタンパ4の凹凸の壁面角度θと、薄膜3に転写された凹凸の壁面角度とが良い一致を示した。つまり、スタンパ4の凹凸の壁面角度θが70度を越え、80度や90度の場合には、薄膜3への転写が不十分であった。それに対して、スタンパ4の凹凸の壁面角度θが小さく70度以下、50度や60度の場合には、転写が有効に行われ、スタンパ4と薄膜3の凹凸の壁面角度とが良い一致を示した。
さらに、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)を用いて、作製された光ディスクの断面観察を行った。その結果、まず、薄膜3の凹凸の壁面の膜厚は、径方向でも周方向でも略同一であった。つまり、圧接の際の圧力は略等方的にかかっている。
また、薄膜3において、スタンパ4と密着させられた面(図1の上面)の凹部のエッジと、熱可塑性樹脂層2と密着させられた面(図1の下面)の凸部のエッジとを調べた。その結果、スタンパ4と密着させられたエッジの曲率半径の方が小さく、良好なエッジが形成されていることがわかった。ここで、図1(b)に示したように、スタンパ4と密着させられたエッジの曲率半径をR1とし、熱可塑性樹脂層2と密着させられたエッジの曲率半径をR2とすると、R2/R1>1.0、好ましくはR2/R1>1.5、さらに好ましくはR2/R1>2.0である。
しかし、エッジは、実際は滑らかな曲面になっていることは少なく、多くの場合は凹凸を有する面となっている。これを説明するために、図1(b)の一部分を拡大した概略断面図を図3に示す。このようにエッジが滑らかに変化していない場合は、図3に点線で示したように、そのエッジを円弧で近似し、この円弧を有する円を考えればよい。例えば、エッジの凹凸を有する面が、薄膜3の上面における凹部の底面を延長した線から離れる点をP1、薄膜3の上面における凹部の壁面を延長した線から離れる点をQ1とする。そして、この2つの点を固定点として、最小2乗法等によりエッジの凹凸との差が所定値より小さくなるような、近似的な円弧を求める。この円弧を円の一部として有する円の半径が、曲率半径R1である。同様に、エッジの凹凸を有する面が、薄膜3の変形していない下面から離れる点をP2、薄膜3の下面における凸部の壁面を延長した線から離れる点をQ2とする。この2つの点を固定点として求められた近似的な円の半径が、曲率半径R2である。
以上のように、薄膜3に形成された凹凸の形状は、スタンパ4の形状を良く再現している。そのため、カバー層5側から入射したレーザ光に対して、不必要な乱反射が生じず、信号が正確に読み取られる。一般に、薄膜3が厚くなればそれだけ、その薄膜3の上面は下地の凹凸を反映しにくくなる。それに対して、本発明によれば、薄膜3が形成された後で凹凸を転写させるので、薄膜3の厚さのために凹凸のエッジ部分が鈍るなどの影響はない。そのため、最適な凹凸の形状をスタンパ4の凹凸の形状で決めることができ、信号の最適化が容易である。
本実施形態においては、熱可塑性樹脂層2が設けられた基板1がポリカーボネート樹脂であり、厚さを1.1mmとしているので剛性が高い。さらに、加熱されたスタンパ4と熱可塑性樹脂層2とを直接圧接するのではなく、熱可塑性樹脂層2より熱伝導率が高い薄膜3を介して圧接する。この基板1の高い剛性と、薄膜3の面方向の温度が均一であることにより、熱可塑性樹脂層2のしわの発生が抑制されている。
また、本実施形態においては、基板1上にさらに熱可塑性樹脂層2を形成したが、基板1そのものを熱可塑性樹脂で作製し、熱可塑性樹脂層2を省いても構わない。一般に、熱可塑性樹脂は熱伝導率が低いため、スタンパ4を基板1(熱可塑性樹脂)の軟化温度より高くして薄膜3に圧接しても、基板1(熱可塑性樹脂)におけるスタンパ4側の表面層しか軟化温度以上に上がらない。そのため、熱可塑性樹脂層2を省いても基板1全体の平坦性が失われることはない。
また、本実施形態においては、熱可塑性樹脂層2として、スタンパ4の加熱温度を低く抑えるためにアクリル系樹脂(軟化温度〜90℃)を用いた。しかし、本発明はこれに限られることなく、ポリカーボネート系樹脂(軟化温度〜140℃)でも、ポリオレフィン系樹脂(軟化温度〜120℃)等でも構わない。ただし、熱可塑性樹脂層2として用いた樹脂の軟化温度では、基板1は熱変形しないことが望ましい。そのような材質であれば、基板1は本実施形態で用いたポリカーボネート樹脂以外の樹脂、ガラス又は金属でも構わない。
さらに、本実施形態においては、スタンパ4の加熱温度は、熱可塑性樹脂層2の軟化温度以上、かつ基板1の軟化温度以下に設定された。しかし、本発明はこれに限られることなく、スタンパ4の加熱温度は、熱可塑性樹脂層2の軟化温度より低くても構わない。熱可塑性樹脂層2の塑性変形を司るのは、主に温度及び圧力である。したがって、軟化温度よりわずかに低い場合であっても、その分圧力を上げることにより、スタンパ4の凹凸の転写を有効に行わせることが可能となる。
本実施形態では、薄膜3として金属反射層のみの場合を示したが、本発明はこれに限られず、薄膜3が記録膜層と金属反射層を含めた構成の多層膜であっても構わない。この場合、金属反射層はスタンパ4と直接圧接されないが、熱伝導率が高い金属反射層とスタンパ4との距離は極めて近いので、金属反射層の面方向に熱が高速で伝わる。そのため、薄膜3の面方向の温度は均一であり、さらに基板1の高い剛性の効果もあり、熱可塑性樹脂層2のしわの発生は抑制される。
[第2の実施形態]
前述の第1の実施形態においては、熱可塑性樹脂層2の軟化温度以上に加熱されたスタンパ4を圧接することで、薄膜3のみならず熱可塑性樹脂層2をも塑性変形させて、スタンパ4の凹凸を薄膜3に転写していた。本実施形態においては、熱可塑性樹脂層2を省き、基板1上の薄膜3を直接塑性変形させる例について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。
まず、図4(a)に示す工程において、ポリカーボネート樹脂からなる厚さ1.1mmの基板1上に、銀の薄膜3が、スパッタ法により厚さ200nmで形成される。また、情報信号に相当するスタンパ4の凹凸は、トラックピッチ0.35μm、高さ70nmの凸ピットが形成されたものを用いた。このスタンパ4をプレス装置に取り付け、それと対向する側に、薄膜3を設けた基板1が取り付けられる。前述の第1の実施形態においては、スタンパ4は熱可塑性樹脂層2の軟化温度以上に加熱されたが、本実施形態においてはその必要がない。
ここでは、スタンパ4及び薄膜3が形成された基板1を25℃に保って実験を行った。この状態で、スタンパ4を薄膜3に面圧100MPaで圧接させる。このとき、薄膜3とスタンパ4との間に気泡が入らないように、両者の間隙を真空に吸引することが望ましい。これにより、ガスの巻き込みが防げ、圧接が有効に行える。その結果、図4(b)に示す工程のように、スタンパ4の凹凸が薄膜3に正確に転写される。引き続いて、図4(c)に示す工程のように、その薄膜3上にカバー層5が形成されて光ディスクが完成する。ここでは、カバー層5は、ポリカーボネート樹脂からなる透明シート6及び接着層7で構成されている。そして、接着層7により、透明シート6は薄膜3に接着されている。この接着層7は紫外線硬化樹脂でも粘着性樹脂でもよい。この結果得られたカバー層5の厚さは、約0.1mmである。
基板1及び薄膜3に要求される条件は、前述の第1の実施形態に示したものと同様である。また、この薄膜3は、銀に限られることなく、延性が高い材料であれば構わない。この薄膜3に要求される条件は、実施形態1に示したものと同様である。
また、本実施形態においては熱可塑性樹脂層2を省いているため、スタンパ4は、軟化温度以上に加熱させる必要がなく、転写特性を一定に保つために所定の温度に設定されていればよい。
続いて、上記と同じ構成において、銀の薄膜3の厚さを薄くした場合の転写特性を調べた。具体的には、薄膜3の厚さを50nm、100nm、150nmとし、上記と同じスタンパ4を用い、薄膜3と面圧100MPaで圧接させた。その結果、いずれの場合にも、スタンパ4の凹凸が薄膜3に正確に転写された。また、上記と同じ条件で、スタンパ4の凹凸の壁面角度のみを変えて、転写特性を調べた。その結果、スタンパ4の凹凸の壁面角度が70度以下の場合に、その角度と薄膜3に転写された凹凸の壁面角度とが良い一致を示した、つまり、正確に転写された。
さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、薄膜3の厚さを50nmとして作製された光ディスクの断面観察を行った。この場合は、図4には明示していないが、基板1の上面(及び薄膜3の下面)もわずかに塑性変形させられている。観察の結果、まず、薄膜3の凹凸の壁面の膜厚は、径方向でも周方向でも略同一であった。つまり、圧接の際の圧力は略等方的にかかっている。また、スタンパ4と密着させられたエッジの曲率半径の方が小さく、良好なエッジが形成されていることがわかった。ここで、図1(b)に示したように、スタンパ4と密着させられたエッジの曲率半径をR1とし、熱可塑性樹脂層2と密着させられたエッジの曲率半径をR2とすると、R2/R1>1.0、好ましくはR2/R1>1.5、さらに好ましくはR2/R1>2.0である。また、薄膜3の厚さが100nm以上になってくると、基板1の塑性変形は徐々に小さくなる。
続いて、上記と同じ構成において、基板1をガラスに変えた場合の転写特性を調べた。具体的には、銀の薄膜3の厚さを100nm、150nm及び200nmとし、上記と同じスタンパ4を用い、薄膜3と面圧100MPaで圧接させた。その結果、薄膜3の厚さが100nm及び150nmの場合はピットの転写が不十分であり、200nmの場合のみ十分な転写が得られた。これは基板1がガラスであるため剛性が高く、ほとんど変形しないためである。つまり、塑性変形は薄膜3のみで発生するため、スタンパ4の凸部の高さ70nmに対して薄膜3の変形が抑制されたためである。したがって、基板1の剛性が高い場合は、薄膜3の厚さはスタンパ4の凸部の高さの略3倍以上が必要である。
以上、基板1が熱可塑性樹脂及びガラスの場合について示したが、基板1はそれ以外の樹脂又は金属であっても構わない。基板1が金属の場合、銀の薄膜3の厚さを200nm以上とすれば、スタンパ4の凹凸が正確に転写される。
次に、薄膜3として、記録層と金属反射層を含めた構成の多層膜を用いた場合の転写特性を調べた。薄膜3の構成は、基板1側から順に、銀による反射層100nm、酸化ケイ素と硫化亜鉛による透明膜100nm、ゲルマニウム・テルル・アンチモンによる記録層20nm、酸化ケイ素と硫化亜鉛による透明膜50nmである。スタンパ4の凹凸は、上記と同様、トラックピッチ0.35μm、高さ70nmの凸ピットが形成されたものを用いた。また、スタンパ4及び薄膜3が形成された基板1を、25℃に保った。この状態で、スタンパ4を薄膜3に面圧150MPaで圧接させた。その結果、スタンパ4の凹凸の壁面角度が60度以下の場合に、その角度と薄膜3に転写された凹凸の壁面角度とが良い一致を示した、つまり、正確に転写された。
以上のように、薄膜3に形成された凹凸の形状は、スタンパ4の形状を良く再現している。そのため、カバー層5側から入射したレーザ光に対して、不必要な乱反射が生じず、信号が正確に読み取られる。一般に、薄膜3が厚くなればそれだけ、その薄膜3の上面は下地の凹凸を反映しにくくなる。それに対して、本発明によれば、薄膜3が形成された後で凹凸を転写させるので、薄膜3の厚さのために凹凸のエッジ部分が鈍るなどの影響はない。そのため、最適な凹凸の形状をスタンパ4の凹凸の形状で決めることができ、信号の最適化が容易である。
また、本実施形態においては、基板1上に直接薄膜3が形成され、凹凸を有するスタンパ4が圧接されることで転写が行われた。しかし、本発明はこれに限られることなく、基板1と薄膜3との間に、熱による変形を生じない、他の層が挿入されていても構わない。
[第3の実施形態]
前述の第1及び第2の実施形態においては、基板の上に順次積層された薄膜等にスタンパを圧接させることで、情報信号に相当する凹凸を転写させていた。本実施形態においては、射出成形により基板を作製し、同時に薄膜に凹凸を転写させる例について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法に用いられる金型の概略断面図である。ここで、金型は円筒形であり、図5はその中心軸を通る断面図である。図5において、金型全体は、固定金型8と可動金型9とからなっている。そして、固定金型8は、所定の方法により図略の成形機に固定されている。図5は、この固定金型8と可動金型9とがスプリング20を介して、嵌め込まれた状態を示している。
まず、固定金型8は、固定側基盤10及びそれと面した固定側鏡面盤11とを有する。この固定側基盤10は、図略の成形機に固定される際にねじ止め等される部位である。また、固定側鏡面盤11の固定側基盤10と面している面の反対側の面は、鏡面状に形成されている。これは、溶融樹脂が流れやすくするためである。しかし、基板側から光を入射させない場合は、必ずしも鏡面にする必要はない。
そして、これら固定側基盤10及び固定側鏡面盤11の中央には、溶融樹脂が射出される孔を有するスプルブッシュ12が形成されている。このスプルブッシュ12を通じて、溶融樹脂が金型内に射出される。さらに、固定側鏡面盤11の外には溶融樹脂が成形されて得られる成形基板の外径を規定する外周リング13があり、それは固定金型8から可動金型9へスプリング20により押し当てられている。また、この固定金型8では、スプルブッシュ12と固定側鏡面盤11との隙間からエアを吹き出す構造になっている(図5では、金型内の空洞部分、つまりキャビティに向けて矢印を示した)。
次に、可動金型9は、可動側基盤19及びそれと面した可動側鏡面盤17とを有する。この可動側基盤19は、図略の成形機に固定される際にねじ止め等される部位である。また、可動側鏡面盤17の可動側基盤19と面している面の反対側の面は、鏡面状に形成されている。そして、これら可動側基盤19及び可動側鏡面盤17の中央には、中心軸上から外に向かって順に、カットパンチ14、エジェクタ15及びスタンパホルダ16が形成されている。そして、スタンパホルダ16の外周は、可動側鏡面盤17と接している。また、可動側鏡面盤17の鏡面(金型の内部側)には、情報信号に相当する凹凸を有するスタンパ18が、その凹凸部を金型の内部空間(キャビティ)側に向けて密着されている。カットパンチ14は、樹脂充填後に突出されることでディスクに孔を形成するためのものであり、エジェクタ15は、樹脂充填後に突出されることで金型とディスクの剥離を行わせるものである。そして、スタンパホルダ16は、スタンパ18の内周を可動側鏡面盤17に固定する働きをしている。また、スタンパ18の外周は、外周リング13でガス逃げのクリアランスを有して固定されている。
さらに、可動金型9では、エジェクタ15とスタンパホルダ16との隙間からエアを吹き出す、又は吸引する構造になっている(図5では、キャビティに向けて、及びキャビティから金型外部に向けて矢印を示した)。また、固定側基盤10と可動側鏡面盤17には、図略の温調水路が設けられていて、一定の温度に保たれている。
さらに、スタンパ18の表面(金型内部側)には、キャビティ内径(図5における上下の外周リング13間の長さ)より小さい円形のシート31が密着させられ、エジェクタ15とスタンパホルダ16との隙間から真空吸引されている(図5では、キャビティから金型外部に向かう矢印の向き)。ここで、シート31の外径をキャビティ内径より小さくするのは、溶融樹脂を金型に充填する際にガス逃げが十分されて、外観不良が起こらなくするためである。
ここで、シート31は少なくとも樹脂層32と薄膜33とを有するものである。シート31の薄膜33は、再生型の場合は金属反射層のみであるが、追記型や書き換え型の場合は、記録層と金属反射層を含めた信号特性を満たす構成の多層膜である。
図6は、本発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法に用いられる樹脂シートの平面図(図6(a))及び側面図(図6(b))である。この図に示したように、樹脂層32の中央部には孔がないが、薄膜33には孔が設けてある。これは、中央部に薄膜33を形成しないことで、中央部において樹脂層32と後述するカバー層との密着性を向上させるためである。
以下、本実施形態においては、シート31の薄膜33側がスタンパ18に密着させられ、金型内に固定されているとする。スタンパ18上の凹凸は、トラックピッチ0.35μm、高さ70nmの凸ピットが形成されたものを用いた。また、シート31の厚さは10μmであり、樹脂層32はポリカーボネート樹脂からなり、薄膜33としてアルミニウム50nmが表面に形成されている。
このような構成のもとで、スプルブッシュ12を通じて、ポリカーボネート樹脂からなる溶融樹脂が金型内に射出される。条件は樹脂温度380℃、金型温度130℃、スクリュ径25mm、最大射出速度200mm/s、タクト10秒である。金型に充填後、0.1秒乃至0.2秒経過したときに、スタンパ4は最高温度に達する。したがって、その瞬間に、充填された樹脂とシート31とが押し付けられる圧力が最大になることが望ましい。以上の結果、スタンパ18とシート31とが押し付けられる圧力が150MPa以上の場合に、スタンパ18の凹凸が薄膜33に正確に転写された。
シート31の中央には孔がないが、樹脂充填後にカットパンチ14を突出することで樹脂の部分と同時に形成する。得られたディスク(成形品)は、内径15mm、外径120mm、厚さ1.1mmである。また、シート31の中央に孔がないのは、樹脂充填時に溶融樹脂がシート31とスタンパ18との間に入ることを防止するためである。
また、スタンパ18は、図5のように可動金型9側に位置させるのが望ましい。これは第1には溶融樹脂が固定金型8側のスプルブッシュ12から射出されるので、シート31をスタンパ18に押し付ける作用があるためである。また、第2に基板をスタンパ18から剥離した後の取り出しが、金型を開いた後に安定に行えるためである。
そして、シート31の真空吸引は、溶融樹脂の充填直後までで、その後成形基板の取り出し時にはエア吹き出しに切り替える。具体的な切り替えは、真空吸引回路とエアブロー回路を電磁弁まで導いて行えばよい。
また、本実施形態のように、射出される溶融樹脂とシート31の樹脂層32の材料は同じ種類であることが望ましい。その場合、アクリル系樹脂、ポリカーボネ−ト系樹脂又はポリオレフィン系樹脂等のどの樹脂でも良い。これは、同じ種類の樹脂であれば相分離等が起こらず、良好な界面が形成されるからである。これにより、薄膜の樹脂シート側における圧力分布が略均一となり、圧接が有効に行える。その結果、薄膜にはスタンパの凹凸が正確に転写される。
さらに、本実施形態では、シート31上の薄膜33が金属膜単層の場合を示したが、金属反射層と記録層を含む多層膜でも構わない。
また、上記と同じ条件で、スタンパ18の凹凸の壁面角度のみを変えて、転写特性を調べた。その結果、スタンパ18の凹凸の壁面角度が70度以下の場合に、その角度と薄膜33に転写された凹凸の壁面角度とが良い一致を示した、つまり、正確に転写された。
以上のように、薄膜33に形成された凹凸の形状は、スタンパ18の形状を良く再現している。そのため、カバー層側から入射したレーザ光に対して、不必要な乱反射が生じず、信号が正確に読み取られる。一般に、薄膜33が厚くなれば、その下地に形成されている凹凸等の形状は鈍ってしまう。それに対して、本発明によれば、薄膜33が形成された後で凹凸を転写させるので、薄膜33の厚さのために凹凸のエッジ部分が鈍るなどの影響はない。そのため、最適な凹凸の形状をスタンパ18の凹凸の形状で決めることができ、信号の最適化が容易である。
本実施形態においては、スタンパ18と密着される薄膜33と樹脂層32とを有するシート31を用い、薄膜33を反射層として形成した。しかし、本発明はこれに限られることなく、単体の金属元素からなる金属箔30を用いることもできる。
また、本実施形態においては、薄膜33としてアルミニウムを用いた。しかし、本発明はこれに限られることなく、金属箔30及び薄膜33は、延性が高い材料であれば構わない。この金属箔30及び薄膜33に要求される条件は、実施形態1に示した薄膜3に要求される条件と同様である。
[第4の実施形態]
以上の実施形態においては、薄膜3を1層だけ設ける場合について説明したが、実際には記録容量を上げるために、2層以上の薄膜3を設けることも行われている。そこで、本実施形態においては、薄膜3を2層設ける例について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。図7(a)に示す工程により、基板1の上に、(第1の)熱可塑性樹脂層2及び(第1の)薄膜3が順次積層される。ここまでの工程は、前述の第1の実施形態における図1(b)と同じものである。続いて、この(第1の)薄膜3の上に第2の熱可塑性樹脂層40が設けられる。ここで、熱可塑性樹脂層40はポリカーボネート樹脂からなる透明シートを接着することで形成する。引き続き、この第2の熱可塑性樹脂層40の上に、銀からなる第2の薄膜41がスパッタ法により厚さ50nmで形成される。そして、第2の薄膜41の上方には、情報信号に相当する凹凸(トラックピッチ0.35μm、高さ70nmの凸ピット)を有するスタンパ4が配置されている(図7(a))。
この状態において、120℃に加熱されたスタンパ4を、第2の薄膜41に面圧50MPaで圧接させる。このとき、第2の薄膜41とスタンパ4との間に気泡が入らないように、両者の間隙を真空に吸引することが望ましい。これにより、ガスの巻き込みが防げ、圧接が有効に行える。その結果、図7(b)の工程に示すように、スタンパ4の凹凸が第2の薄膜41にも正確に転写される。引き続いて、図7(c)の工程に示すように、その第2の薄膜41上に、第1の実施形態と同じカバー層5が形成されることで、2つの薄膜(反射層)を有する光ディスクが完成する。
本実施形態においては、第1の実施形態の方法で作製した基板の上に第2の薄膜41(反射層)を設けたが、第2又は第3の実施形態の方法で作製した基板の上に、第2の熱可塑性樹脂層40及び第2の薄膜41を設けてもよい。
第2の薄膜41の形成はスパッタ法で行ったが、それ以外の真空成膜法であっても構わない。また、第2の薄膜41は、再生型(DVD−ROM)の場合は金属反射層のみであるが、追記型や書き換え型(DVD−RAM)の場合は、記録層と金属反射層を含めた構成の多層膜である。以上説明した本実施形態の工程を繰り返すことで、3層以上の転写層を設けることができる。
以上のように、薄膜3及び第2の薄膜41に形成された凹凸の形状は、スタンパ4の形状を良く再現している。そのため、カバー層5側から入射したレーザ光に対して、不必要な乱反射が生じず、信号が正確に読み取られる。一般に、薄膜が厚くなれば、その下地に形成されている凹凸等の形状は鈍ってしまう。それに対して、本発明によれば、薄膜3及び第2の薄膜41が形成された後で凹凸を転写させるので、薄膜の厚さのために凹凸のエッジ部分が鈍るなどの影響はない。そのため、最適な凹凸の形状をスタンパ4の凹凸の形状で決めることができ、信号の最適化が容易である。
本実施形態においては、薄膜3及び第2の薄膜41として銀を用いた。しかし、本発明はこれに限られることなく、薄膜3及び第2の薄膜41は、延性が高い材料であれば構わない。この薄膜3及び第2の薄膜41に要求される条件は、実施形態1に示した薄膜3に要求される条件と同様である。
以上説明したように本発明によれば、光透過するカバー層の厚みが0.1mm程度で、反射層に形成されている凹凸が情報信号を忠実に再現している光ディスクが得られる。そのため、この光ディスクを用いれば、正確な信号読み取りが可能となる。また、最適な凹凸の形状を、スタンパの凹凸の形状で決められるため、信号の最適化が容易である。以上のように、本発明に係る製造方法を用いて作製された光ディスクは、今後の高記録密度化に非常に適したものである。
本発明の光ディスク及びその製造方法は、信号が金属薄膜の厚さ等の影響を受けず、さらにしわや層剥離が発生しないで生産性に優れた光ディスクを提供することを可能にするので産業上有用である。
本発明の第1の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。 本発明の第1の実施形態によるスタンパの凹凸の壁面角度を説明するための概略断面図である。 本発明の第1の実施形態による薄膜の上面および下面のエッジの曲率半径を説明するための概略断面図である。 本発明の第2の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。 本発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法に用いられる金型の概略断面図である。 本発明の第3の実施形態による光ディスクの製造方法に用いられる樹脂シートの平面図及び側面図である。 本発明の第4の実施形態による光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。 従来の光ディスクの製造方法を説明するための概略工程図である。
符号の説明
1 基板
2 熱可塑性樹脂層
3 薄膜
4 スタンパ
5 カバー層
6 透明シート
7 接着層

Claims (20)

  1. 情報読み取り時に基板と反対側からレーザ光が照射される光ディスクの製造方法であって、
    前記基板上に、少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写される光ディスクの製造方法。
  2. 前記薄膜は、熱可塑性樹脂からなる平坦な面を有する基板上又は前記基板上に形成された熱可塑性樹脂からなる平坦な面を有する樹脂層上に形成される請求項1記載の光ディスクの製造方法。
  3. 前記スタンパは、前記熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱される請求項1または2に記載の光ディスクの製造方法。
  4. 前記薄膜は、その厚さがスタンパの凸部の高さの略3倍以上となるように前記基板上に形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  5. 前記薄膜として、前記金属反射層及び他の層を含む多層膜が、前記金属反射層が前記スタンパと反対側に位置するように形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  6. 前記薄膜と前記スタンパとが圧接される際、前記薄膜が前記スタンパ側に真空吸引される請求項1乃至5のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  7. 前記薄膜上に熱可塑性樹脂層が形成され、前記熱可塑性樹脂層上に少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接加熱圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写される請求項1乃至6のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  8. 前記薄膜上に透明シート又は紫外線硬化樹脂からなる光透過層が設けられる請求項1乃至7のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  9. 情報読み取り時に基板と反対側からレーザ光が照射される光ディスクの製造方法であって、
    金型内に固定され且つ凹凸を有するスタンパの表面に少なくとも金属反射層を含むシート部材の金属反射層側を直接密着させた後に、前記金型内に溶融樹脂を射出することにより基板が形成される光ディスクの製造方法。
  10. 前記シート部材の少なくとも中央近傍が溶融樹脂の射出中にスタンパ側に真空吸引される請求項9記載の光ディスクの製造方法。
  11. 前記シート部材は樹脂層上に少なくとも金属反射層が形成された樹脂シートを含み、前記樹脂層は全面が連続した面であり、溶融樹脂を充填した後に前記樹脂層の中央部に孔が形成される請求項9または10に記載の光ディスクの製造方法。
  12. 前記樹脂シートの中央部以外に前記金属反射層が設けられる請求項11記載の光ディスクの製造方法。
  13. 前記樹脂シートの樹脂層と同種の樹脂からなる溶融樹脂が前記金型内に射出されることにより基板が形成される請求項11または12に記載の光ディスクの製造方法。
  14. 前記シート部材の外径が金型のキャビティ内径より小さい請求項9乃至13のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  15. 前記スタンパは、前記金型の溶融樹脂が射出される孔を有する面と対向する面に配置される請求項9乃至14のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  16. 前記金属反射層として、Au、Ag、Cu、Pt、Alのうち少なくとも1種を95wt%以上含む金属膜が形成される請求項1乃至15のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  17. 前記金属反射層が前記スタンパと反対側に位置するように、前記金属反射層及び他の層を含む薄膜が形成される請求項9乃至16のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  18. 前記シート部材上に熱可塑性樹脂層が形成され、前記熱可塑性樹脂層上に少なくとも金属反射層を含む薄膜が形成された後に、前記薄膜側に凹凸を有するスタンパが前記薄膜に直接加熱圧接されて、前記金属反射層に凹凸が転写される請求項9乃至17のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  19. 前記シート部材上に透明シート又は紫外線硬化樹脂からなる光透過層が設けられる請求項9乃至18のいずれかに記載の光ディスクの製造方法。
  20. 薄膜においてレーザ光が照射される面に形成された凹凸のエッジ部分の曲率半径が、前記薄膜の反対側の面に形成された凹凸のエッジ部分の曲率半径より小さい光ディスク。
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