JP3830138B2 - 多層構造型光記録媒体および該光記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光や熱を用いて、信号を記録・再生する層を複数有する多層構造型光記録媒体とその製造方法に関する。特に、高密度・高容量記録を可能とする光記録媒体およびその製造方法に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体への記録密度向上に伴い、光学ピックアップの対物レンズの開口数(NA)を大きくして、再生光スポットの小径化する方法が提案されている。
対物レンズのNAを大きくするとスポット径が小さくなる反面、光学ピックアップの光軸に対してディスクの傾き(チルト)の許容量が小さくなり、従って光透過層の厚さを薄くしてチルトに対する影響をなるべく小さくするようにする方法が提案されている。例えば、特開平8−235638号に記載の光記録媒体は上記の提案の一つであり、紫外線硬化型樹脂を用いて光透過層を薄く(0.1mm)構成したものであり、該光透過層の厚さとその均一性が重要である。
この多層情報記録媒体の製造方法において、前記第一基板の信号面に半透明反射膜を形成する際、半透明反射膜のみであれば問題が生じないが、書き換え型の光記録媒体(例えば、DVD+RW/−RW/RAM)の製造においては、半透明反射膜の他、記録膜や該記録膜の保護膜をスパッタ等により製膜あるいは形成する際、第一基板が0.1mmと薄く熱容量が小さいため、プラズマの熱、ターゲットからの輻射熱、および膜の応力により変形(カール)、あるいは溶解する。あまり変形(カール)が大きいと、第一基板を打ち抜き後、前記第二基板に貼り合わせる際気泡やしわが生じ、また、均一な厚さの光透過層(第一基板)が形成し難い。種々の手段により、変形を小さくすることが可能となったとしても、該透過層の厚さは0.1mmと薄いため、取り扱いが非常に困難であるばかりか、透明接着層の厚さムラを±数μm以内に抑えるのが難しい。
また、一方でDVD+R/−Rの様に記録膜として、液体状の有機色素を塗布する際は、該光透過層(第一基板)が0.1mmと薄いため、その取り扱いが非常に困難となることが予想される。
【0003】
また、一方で熱可塑性フィルム転写成形を用いた製造方法が提案されている。例えば、特開2001−273676号がこれにあたる。特開2001−273676号記載の製造方法は、図3に示すように光ディスク基板131は、樹脂基板本体132を形成する樹脂と、その表面に記録信号部133を形成する樹脂とが、異なる物性の樹脂、特に融点が異なる樹脂を一体に融合させて形成している。
記録信号部133を形成する樹脂は樹脂基板本体132を形成する樹脂の融点より低い融点の樹脂を形成すると、樹脂温度や金型温度を上げることなく粘度の低い状態となり、樹脂形成により記録信号部を構成する微細な凹凸形状が正確に転写されるものである。しかし、特開2001−273676号記載の製造方法では、図2に示したような多層構造型の光記録媒体製造方法としては不向きである。何故ならば、射出成形用の金型に一度インサートしたものを成膜プロセス(例えば、スパッタや蒸着などの真空成膜プロセス)に入れなければ成らないため、コンタミなどの管理が非常に厳しくなる。更に、一般的な射出成形と熱転写成形(金型温度〜百数十℃)を用いているため、溝の転写性が低いと予想される。
【0004】
前記転写性を向上させるため、特開2001−310385号公報では、成形品のガラス転移温度以下に保持された下型141と、この下型141に垂直方向に移動可能で、成形品のガラス転移温度以上に保持された上型143と、この下型141と上型143の中間に同様な移動可能な中間板146を有し、中間板146を上型143で昇温後、被成形品に押付け、転写後に上型のみを上昇することにより、微細形状を転写した薄板状の樹脂成形品を容易に得る方法が提案されている(図4)。
しかし、特開2001−310385号公報に記載の製造方法も、転写性は向上するが、上述同様、図2のような多層構造型光記録媒体の製造方法には不向きであると容易に予想される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、光や熱を用いて信号を記録および/または再生する多層構造型光記録媒体において、前記光透過層の厚さが均一であり、また、気泡やしわの発生が全く無く、ピットや溝などの転写性が良く、更に生産効率の良い多層構造型光記録媒体の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の本発明により解決される。
(1)「光または熱により信号を記録・再生する記録層と光透過層との組が一つ以上基板上に積層されてなる多層構造型光記録媒体の製造方法であって、赤外線吸収剤を含有する光透過層形成用熱可塑性樹脂に赤外線を照射して加熱し、溝及びピットを有するスタンパを該加熱された熱可塑性樹脂の1方の面に押圧して該溝及びピット形状を該熱可塑性樹脂の該面に転写すると共に、基板に該熱可塑性樹脂の反対側面を熱融着して光透過層を形成する工程を有することを特徴とする多層構造型光記録媒体の製造方法」、
(2)「前記赤外線吸収剤は、常温・常圧において固体粉末状であり、且つ融点が該光透過層に使用する前記熱可塑生樹脂の成形温度より低いものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法」、
(3)「前記赤外線吸収剤は、その分解温度が、前記光透過層に使用する熱可塑生樹脂の成形温度より高いものであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法」、
(4)「前記熱熔が、熱融着装置として近赤外線装置を用いるものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の多層構造型光記録媒体の製造方法」、
(5)「前記近赤外線装置として、電源と、温度調整のための変圧器と、近赤外線ランプと、ランプを保護するためのハウジングと、該ハウジングを冷却するための冷却回路と、近赤外線ランプから発生する近赤外光を反射させるための反射板とを具備し、かつ前記反射板が近赤外ランプからの近赤外光を平行、あるいは集光出来る近赤外線装置を用いることを特徴とする前記第(4)項に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法」。
すなわち、本発明は前記多層構造型光記録媒体において、光透過層に近赤外吸収剤を含有させ、近赤外光で該光透過層の表層部を瞬時に加熱出来、ピットや溝などの高い転写性を得ることができる。以下、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図5に基づき、本発明における多層構造型光記録媒体の構成を説明する。
本発明の多層構造型光記録媒体01は、少なくともどちらか一方の面に溝形状(以下、第一の溝)を有するディスク状プラスチック基板02(以下、基板)に、少なくとも一層以上の反射膜と記録膜(以下、第一の記録・再生する層)04を形成した後、20〜40μmの光透過性の熱可塑性樹脂〔以下、第一の光透過層05(中間層)〕を該基板02上に、融着して貼り合わせてなる。第一の光透過層05における基板02との対向面には、スタンパにより溝(以下、第二の溝)が転写されている。
本実施の形態において、第一の光透過層05の厚さを20〜40μmに設定したが、厚さの規定は特にない。また、該第二の溝上には、少なくとも一層以上の反射膜と記録膜07(以下、第二の記録・再生する層)が形成されている。更に、該第二の記録・再生する層07上に、光透過性の熱可塑性樹脂(以下、第二の光透過層)08が融着して貼り合わされている。第二の光透過層08の厚さは70〜120μmに設定したが、これに限るものではない。光ピックアップの記録波長、NA等の光学設計により、この厚さは変わる。また、これら記録・再生する層と光透過層の積層回数に規定はない。単に、ある特定の記録波長の光で記録・再生が出来れば何ら問題はない。また、本実施の形態においては、記録・再生する層二層の例を示したが、一層、三層でも何ら問題はない。更に、本実施の形態においては、一回書き込みあるいは書き換え可能な光記録媒体を例に示したが、読み込み専用のROMでも良い。その際は、前記溝の変わりにピットが形成される。
【0008】
前記基板02の材質には、金属、ガラス、プラスチック等挙げられるが、これらに限られるものではなく、単に信号を記録・再生するための案内溝が形成されていれば何ら問題はない。しかし、作り易さ、価格ならびに可搬性の観点から、プラスチックが使用されるのがもっとも適当である。
プラスチックの中でも、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、その材質に限定はない。単に、一般の射出成形で成形可能な樹脂であれば良い。前記光透過層と同材質のポリカーボネイト(弾性率2〜3GPa)、あるいは、高弾性率化のために直径数十μm以下のガラスビーズ、ガラスフィラー、無機物を添加したポリカーボネイト(弾性率≧5GPa)が用いられている。更に、該基板02の厚さは0.3mm以上であることが望ましい。0.3mm以下であると、記録・再生する層の成膜時に、熱容量が小さいため変形(カール)が生じる。あるいは、該基板02の融点(例えば、ポリカーボネイトなら220〜230℃)を越え、溶融する可能性が高くなる。本実施の形態では、直径φ120mm、厚さ1.1mmの基板を用いた。
前記反射膜の材質には、Au、Pt、Ag、Alやそれら元素を含む合金が挙げられるがこれに限る物ではない。本発明においては、価格や機能の面から、Al、あるいはAgを主体とする無機化合物を用いた。
【0009】
前記第一と第二の記録・再生する層の記録方式には、光や熱によって屈折率や色相変化が生じる相変化型が挙げられるが、これらに限られるものではなく、単に、熱や光によって変化が生じる、穴あけ型、バブル型、テキスチャ型でも問題はない。
本発明において、記録・再生する層中の記録膜には、SbTe化合物を主体とした材料に、数種の元素を添加した材料を用いている。また、該記録膜を保護するために、ZnS−SiO2膜を該記録膜の上下に積層した記録・再生する層を用いている。また、記録膜に有機色素を用いても何ら問題はない。
【0010】
前記第一および第二の光透過層には、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、あるいはポレオレフィン系の熱可塑性樹脂が挙げられるがこれに限るものではない。単に、レーザ光の波長を透過する物であり、且つ、光透過性の熱可塑性樹脂であれば何ら問題はない。本実施の形態では、キャスティング法で作製したポリカーボネイトを使用している。
【0011】
次に、前記光透過層に含有された、赤外線吸収剤について説明する。
前記第一および第二の光透過層(ポリカーボネイトやアクリル樹脂)の中には、数ppm以上の近赤外線吸収剤が含有されている。近赤外線吸収剤を含有した光透過層の3種類の光学物性を図6に示す。
3種の透過層には全て、金属(Cu2+)錯体(キレート)化合物を含む近赤外線吸収剤が含有されている。AならびにBの近赤外吸収剤は、1070nm付近に最大吸収波長があり、Cは910nm付近に最大吸収波長を有する。また、どの光透過層とも400〜780nmにおいて、吸収率が20%以下、すなわち、透過率80%以上の性質を有する。従って、既に発売されている光記録媒体、例えば、CD−R/RW(レーザ波長780nm)や、DVD+R/RW(レーザ波長635〜650nm)と異なった規格の光記録媒体でも互換性が取り易くなる。
本実施の形態においては、銅イオンを主体とする金属錯体を用いたが、最大吸収波長が900〜2000nm(近赤外領域)であり、400〜780nmの光を80%以上透過し、且つ光透過層の材質に対し相溶性が高いものであれば、特に材料の限定はない。例えば、CaClO4、SbF6、PF6、BF4等のアメニウム塩やジモニウム塩が挙げられる。
【0012】
実施の形態2
下記表1に基づき、本発明における実施の形態2を説明する。表1は第一、および第二の光透過層に使用した熱可塑性樹脂(ポリカーボネイトとアクリル樹脂)と、赤外線吸収剤A〜Cの熱的物性をまとめたものである。A〜Cの赤外線吸収剤は全て、常温・常圧において固体粉末状であり、且つ融点(179〜219℃)が前記熱可塑性樹脂の成形温度より低い。すなわち、第一および第二の光透過層を一般的な押出し成形やキャスティング法で成形(200〜350℃)する際、ペレット状の熱可塑性樹脂に分散混合して、同時に成形することが可能である。更に、該赤外線吸収剤の分解温度(420〜550℃)は、該熱可塑性樹脂の成形温度(200〜350℃)より高いため、押出し成形中に分解することが無い。本実施の形態においては、押出し成形を例に示したが、第一および第二の光透過層を射出成形でも良い。但し、現段階では、第一の光透過層厚さは20〜40μm、第二の光透過層厚さは70〜120μmと比較的薄いため、一般的な射出成形、射出成形+真空成形や射出圧縮+真空成形では成形できないとされている。
【0013】
【表1】
【0014】
実施の形態3
図7〜9に基づき、本発明における実施の形態3を説明する。図7は多層構造型光記録媒体の製造プロセスを示している。そのプロセスは、(1)インサート工程、(2)第一の光透過層加熱工程、(3)第一の光透過層融着・転写工程、(4)第二の記録・再生する層製膜工程、(5)第二の光透過層加熱工程、(6)第二の光透過層融着・打ち抜き工程から成る。
【0015】
(1)インサート工程
一般的な射出成形により、少なくともどちらか一面に第一の溝を転写した厚さ1.1mm基板を作成した後、該第一の溝上に第一の記録膜をスパッタ等により成膜する。第一の記録・再生する層を備えた基板を下型21に挿入(インサート)する。下型21には基板の中心出しと打ち抜き機能を有したコアピン22、バネ23ならびにスライドコア24が具備されている。
【0016】
(2)第一の光透過層加熱工程
第一の光透過層加熱工程では、第一の光透過層が近赤外線ランプ31により加熱される。また同時に、第二の溝を形成するためのスタンパ25を具備した上型1(26)が、第一の光透過層05上に配置される。
【0017】
(3)第一の光透過層融着・転写工程
第一の光透過層が所定の温度に達した後、下型、第一の光透過層と上型1が合わさると同時に、スライドコアが閉まる。この際上型1と下型は図示していないロッキングブロックにより数μmオーダで同軸を合わせられるような機構を備えているため、第一と第二の溝の同軸精度を数μmオーダで調整可能である。この動作により、基板と第一の光透過層が融着されると同時に、対向面側に第二の溝をスタンパにより転写する。更に、第一の光透過層の内径部をコアピン22で打ち抜く。
【0018】
(4)第二の記録・再生する層製膜工程
第二の記録・再生する層が成膜される。本実施の形態においては、製膜方法として、図示しないスパッタ製膜を行ったがこれに限るものではなく、蒸着、CVD、PVDやスプレー法など何でも良い。特開2000−36135号記載の多層情報記録媒体の製造方法と異なり、基板の熱容量が比較的大きいため、一般のスパッタ装置で製膜しても、基板が変形(カール)しない。
【0019】
(5)第二の光透過層加熱工程
第二の光透過層08を近赤外線ランプ31で加熱する。また同時に、第一ならびに第二の光透過層の外径部を打ち抜き機能を具備した上型2が、第二の光透過層上に配置される。
【0020】
(6)第二の光透過層融着・打ち抜き工程
第一および第二の光透過層08の内・外径を打ち抜き、完成品01を得る。上型2と下型も、上型1と同様のロッキングブロックを備えている。
上述した上型1、2と、下型と、スライドコアには全て温度調整可能な機構、あるいは回路を具備し、且つ、上型と下型の型締力は最大100トンまで可能なため、確実に融着ならびに溝の転写が出来る。
【0021】
図8に示すように、第二の光透過層08に第二の溝を形成し、第一の光透過層05を近赤外線で加熱し融着しても良い。
また、図9に示すように、第一の光透過層05の両面に第一の溝と第二の溝を形成し、基板02と第二の光透過層08を近赤外線で加熱し融着しても良い。
【0022】
実施の形態4
図10、11に基づき、本発明における実施の形態4を説明する。図10は近赤外線装置の概略を示している。本実施の形態の近赤外線装置は、電源と、温度調整のための変圧器と、3本の近赤外線ランプ31と、ランプを保護するためのハウジングと、該ハウジングを冷却するための冷却回路と、近赤外ランプ31から発生する近赤外光を反射させるための反射板32から構成されている(電源、変圧器、ハウジング、ならびに冷却回路は図示せず)。該近赤外線装置において、該反射板32が近赤外ランプからの近赤外光を平行、あるいは集光出来ることを特徴としている。近赤外線ランプ31は、石英管の中に不活性ガスが封入され、タングステン線が入っているものであり、一般的には、赤外線ヒータとか赤外線ラジエータ等と呼ばれているものである。
【0023】
図11に各種ランプと反射板条件の相違による、前記光透過層の加熱温度変化を示す(厚さ100μmの光透過層を近赤外線装置で加熱した際の該光透過層の温度経時変化を示す。)。図11に示すように、(イ)ランプ一本で且つ集光が無い場合、光透過層は所定の温度に到達しない。一方、(ロ)反射板形状を最適化するとランプ一本でも所定温度に達する。しかし、光透過層面内温度分布が生じる。更に、全体が所定温度に達するのに5secほどかかっていた。本実施の形態は、(ハ)を採用している。(ハ)はランプを三本にし、且つ反射板で近赤外光を集光している。この効果により、約1secで所定の温度に達し、且つ面内温度分布も生じないので、直ぐに融着する事が出来る。本実施の形態においては、所定温度を200℃に設定しているが、これに限るものではない。単に、融着や転写が確実に出来る温度であれば何ら問題はない。また、本実施の形態においては、ランプの本数と反射板の形状を工夫し、該光透過層が所定の温度に1secで到達するようにしたがこれに限るものではない。例えば、ランプを渦巻き状にしたり、ランプを一直線にし且つ線上に集光し被加熱物を平行に移動させたり、あるいは被加熱物とランプの距離を工夫しても良い。とにかく融着するための所定の温度に短時間で到達し、且つ面内温度分布が小さければどんな方法でも良い。
【0024】
前記反射板には金(Au)が表面に施されている。一般的に反射板として使用されるアルミニウム(Al)より、金のほうが被加熱物への放射率が高くなり、より効率的な加熱が得られる。また、アルミニウムと比較して、工場内での粉塵による汚れに対しても有利である(汚れにくい)。
【0025】
【発明の効果】
(イ)板厚が数〜数百μmと比較的薄い光透過層に、反射膜や記録膜等を汎用のスパッタ装置で形成すると、熱容量が小さいため、プラズマの熱、ターゲットからの輻射熱、および膜の応力により、光透過層が変形(カール)、あるいは溶解するが、本発明においては、光透過層に近赤外吸収剤を含有させ、近赤外光で該光透過層の表層部を瞬時に加熱出来、ピットや溝などの高い転写性を得ることができる。また、融着と同時に第二の溝を形成し、第二の記録膜を形成することができるため、前記光透過層が数〜数百μm程度と薄くても、あるいは第二の記録・再生する層の製膜応力が比較的大きくても、該光透過層の厚さが均一であり、更に、気泡やしわの発生が無い多層構造型光記録媒体を提供できる。更に、該光透過層が数〜数百μmと比較的薄くても、ロール状で供給出来るため、取り扱いが比較的容易となる(=装置コストを低く出来る)。従って、多層構造型光記録媒体を作り易い。
(ロ)前記の効果に加えて、本発明の多層構造型光記録媒体は光透過層部が900〜2000nmで最大吸収波長を有するため、一般的な赤外線ランプで、容易に且つ短時間で軟化あるいは溶融し、基板に融着(接着)することが出来る。
(ハ)前記の効果に加えて、本発明の多層構造型光記録媒体は、400〜780nmの光を透過、特に400〜780nmの光を80%以上透過する性質を有するため、既に発売されている光記録媒体、例えば、CD−R/RW(レーザ波長780nm)や、DVD+R/RW(レーザ波長635〜650nm)と異なった規格の光記録媒体でも互換性が取り易くなる。
(ニ)前記の効果に加えて、本発明の光記録媒体で用いる赤外線吸収剤は、常温・常圧において固体粉末状であり、またその融点が前記熱可塑性樹脂の成形温度より低いため、第一および第二の光透過層を一般的な押出し成形で形成する際、ペレット状の熱可塑性樹脂に分散混合して、同時に成形することが可能である。更に、該赤外線吸収剤の分解温度は、該熱可塑性樹脂の成形温度より高いため、押出し成形中に分解することが無い。
(ホ)本発明の光記録媒体の製造方法は、第一あるいは第二の光透過層中に赤外線吸収剤が含有されており、一般的な赤外線装置で短時間に加熱・溶融できる製造方法であるため、前記本発明の多層構造型光記録媒体の製造に適している。また、金型を用いて、第一の光透過層と基板を融着すると同時に、その対向面に第二の溝を形成できる。また、金型の上型と下型の同軸度を数μmオーダで調整可能な機構を具備しているため、第一と第二の溝の同軸度、ならびに光記録媒体の中心穴と各溝との同軸度を極力小さく出来、さらに調整可能である。
(ヘ)本発明の赤外線装置は、赤外線ランプからの光を集光出来る反射板を備えているので、被加熱物の距離などによっても温度を調整することが簡単に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる光記録媒体の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係わる多層構造型光記録媒体の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係わる光記録媒体の構造を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明に係わる光記録媒体の製造方法を説明する図である。
【図5】実施の形態1に関する多層構造型光記録媒体の構造断面図である。
【図6】光透過層の光学物性データを示す図である。
【図7】実施の形態3の多層構造型光記録媒体の製造プロセス図である。
【図8】図7の製造プロセスにおいて、第二の光透過層に第二の溝を形成し、第一の光透過層を近赤外線で加熱融着する製造プロセス図である。
【図9】図7の製造プロセスにおいて、第一の光透過層の両面に第一の溝と第二の溝を形成し、基板と第二の光透過層を近赤外線で加熱融着する製造プロセス図である。
【図10】実施の形態4に関する近赤外線装置の模式的な断面図である。
【図11】実施の形態4における、光透過層の表面温度経時変化を記録した図である。
【符号の説明】
101 光記録媒体
102 対物レンズ
103 レーザ光
104 光透過層
105 反射膜
106 基板
107 センター穴
111 多層構造型光記録媒体
112 対物レンズ
113 レーザ光
114 シート(光透過層)
115 半透明膜
116 第一の基板
117 反射膜
118 射出成形基板
119 第二の基板
120 透明接着層
131 光ディスク基板
132 樹脂基板本体
133 記録信号部
134 樹脂フィルム
141 下型
142 温調回路
143 上型
144 ガイド
145 温調回路
146 中間板
147 スタンパ面
148 被成形品
01 多層構造型光記録媒体
02 基板
03 第一の溝
04 第一の記録・再生する層
05 第一の光透過層(中間層)
06 第二の溝
07 第二の記録・再生する層
08 第二の光透過層
09 対物レンズ
10 レーザ光
11 センター穴
21 下型
22 コアピン
23 バネ
24 スライドコア
25 スタンパ
26 上型1
27 上型2
31 近赤外線ランプ
32 反射板
33 反射板表面(Au)
Claims (5)
- 光または熱により信号を記録・再生する記録層と光透過層との組が一つ以上基板上に積層されてなる多層構造型光記録媒体の製造方法であって、赤外線吸収剤を含有する光透過層形成用熱可塑性樹脂に赤外線を照射して加熱し、溝及びピットを有するスタンパを該加熱された熱可塑性樹脂の1方の面に押圧して該溝及びピット形状を該熱可塑性樹脂の該面に転写すると共に、基板に該熱可塑性樹脂の反対側面を熱融着して光透過層を形成する工程を有することを特徴とする多層構造型光記録媒体の製造方法。
- 前記赤外線吸収剤は、常温・常圧において固体粉末状であり、且つ融点が該光透過層に使用する前記熱可塑生樹脂の成形温度より低いものであることを特徴とする請求項1に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法。
- 前記赤外線吸収剤は、その分解温度が、前記光透過層に使用する熱可塑生樹脂の成形温度より高いものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法。
- 前記熱熔が、熱融着装置として近赤外線装置を用いるものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多層構造型光記録媒体の製造方法。
- 前記近赤外線装置として、電源と、温度調整のための変圧器と、近赤外線ランプと、ランプを保護するためのハウジングと、該ハウジングを冷却するための冷却回路と、近赤外線ランプから発生する近赤外光を反射させるための反射板とを具備し、かつ前記反射板が近赤外ランプからの近赤外光を平行、あるいは集光出来る近赤外線装置を用いることを特徴とする請求項4に記載の多層構造型光記録媒体の製造方法。
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