JP4306705B2 - 光ディスク及び光ディスクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えば青色レーザ光によって情報を読み出す情報層と例えば赤色レーザ光によって情報を読み出す情報層の複数層から構成される光ディスク及び光ディスクの製造方法に関する。
光ディスクは記録容量が大きく、非接触で再生できることから、CD、DVD(Digital Versatile Disc)−Video等のROM型ディスク、またはCD−R、DVD−R等の追記型ディスク、さらに、CD−RW、DVD−RAM、DVD−RW等の書換型ディスク等に広く利用されている。
ところで、現在はDVD-Read Only Memory規格(以下、DVD−ROM規格)に準拠した光ディスク(DVD)が一般的に普及しており、次世代の高密度ディスクであるブルーレイディスク(Blu-ray Disc Read-Only Format)規格(以下、BD−ROM規格)に準拠した光ディスク(BD)がこれから普及していくであろうという状況である。そして、おそらく今後は、DVDとBDが共存する時期がしばらく続くことが予想される。
このような状況においては、光ディスクの製造会社は一つの映画等のコンテンツに対して、DVDとBDの2種類のディスクを製造しなければならず、コスト的に非効率的である。また消費者にとっても、例えば、見たい映画のDVDソフトを今購入すべきか、あるいはBDプレーヤを購入し、BDソフトとして発売されるまで待つべきか、というような心理的な迷いを引き起こすことになる。
このような問題は、DVD規格に準拠するDVD記録層とBD規格に準拠するBD記録層とを有する光ディスクがあれば解決できる。また、現在発売されているDVDのほとんどが記録層を2層有する記録容量の大きいタイプ(いわゆる、デュアルレイヤディスク)であることから、このような光ディスクにおいてもDVD記録層を2層有することが望ましい。
光ディスクは、レーザ光が入射する入射面である光透過層上に、BD記録層を有するBD層、DVD記録層を2層有するDVD層をこの順に積層すればよい。従って、それぞれの層を構成する記録層に記録されている情報は、光透過層を通じてBD層側から照射されるレーザ光によって読み取られる。
上記のような光ディスクの場合、DVDプレーヤで再生すればDVD品質の映像が再生され、BDプレーヤではBD品質(ハイビジョンレベル)の映像が再生されなければならないので、当然ながらDVD規格とBD規格の両方を満たすように製造しなければならない。
例えば、DVD層を構成するDVD記録層に記録されている情報を読み取る場合、レーザ光はBD層を透過してDVD記録層に照射されるので、光透過層とBD記録層との間に形成されてBD記録層と共にBD層を構成するBD反射膜は、DVD規格とBD規格の反射率の規格を同時に満たすことが必要となる。双方の規格を満たすことは非常に難しい。BD層のBD反射膜の反射率を上げすぎるとDVD記録層からの反射率が小さくなりすぎてDVD記録層の再生に支障をきたし、DVD記録層を読み取り易くするためにBD反射膜の反射率を下げすぎると、BD記録層が再生できなくなる。
国際公開第00/65584号パンフレット(特許文献1)には、反射膜の膜厚が8nm以上、20nm以下であるBDについて記載されているが、これは記録層が単層のBDにおける反射膜の適切な膜厚であり、当然ながらDVD記録層からの反射率などを考慮したものではない。
国際公開第00/65584号パンフレット
上記したように、少なくとも2層のDVD記録層と単層のBD記録層とを有する光ディスクにおいて、読み取り用レーザ光が入射する光透過層とBD記録層との間に形成された反射膜(BD反射膜)は、DVD規格及びBD規格の反射率を同時に満たすことが必要である。
そこで本発明は、第1と第2の異なる規格に準拠した記録層を有する光ディスクにおいて、第1の規格及び第2の規格の反射率を同時に満たし、それぞれの映像品質にて再生が可能となる、光ディスク及び光ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
(a)一方の面に、第1の規格に準拠した第1の情報が予め記録されているか、前記第1の情報を記録するための第1の記録層(11)を有する第1の基板(12)と、前記第1の記録層上に形成された第1の反射膜(11a)と、一方の面に、前記第1の規格に準拠した第2の情報が予め記録されているか、前記第2の情報を記録するための第2の記録層(13)を有し、他方の面に、第2の規格に準拠した第3の情報が予め記録されているか、前記第3の情報を記録するための第3の記録層(14)を有する第2の基板(15)と、前記第2の記録層上に形成された半透過性で厚さが5nm〜15nmの第2の反射膜(13a)と、前記第3の記録層上に形成された半透過性で、SiCを主成分とした材料で形成され、前記材料は窒素と酸素と水素の少なくとも1つの元素を含んでなる副成分を前記材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有し、膜厚が13nm以上21nm以下の第3の反射膜(14a)と、前記第1の反射膜と第2の反射膜とを対向させて貼り合わせる接着層(16)と、前記第3の反射膜上に形成された厚さ100μm±3μmの光透過層(17)とを備え、前記光透過層における前記第3の反射膜と接する面に対向する面は、前記第1の記録層、第2の記録層及び第3の記録層に記録されている情報を再生する再生用レーザ光(L)が入射する入射面であることを特徴とする光ディスク。
(b)前記第1の規格の波長を有する第1の再生用レーザ光(L1)における前記第3の反射膜の反射率は、前記第1の再生用レーザ光における前記光透過層の反射率よりも小さいことを特徴とする(a)記載の光ディスク。
(c)第1の基板(12)に、第1の規格に準拠した第1の情報が予め記録されているか、前記第1の情報を記録するための第1の記録層(11)を形成する工程と、前記第1の記録層に第1の反射膜(11a)を積層する工程と、第2の基板(15)の一方の面に、前記第1の規格に準拠した第2の情報が予め記録されているか、前記第2の情報を記録するための第2の記録層(13)を形成し、前記第2の基板の他方の面に、第2の規格に準拠した第3の情報が予め記録されているか、前記第3の情報を記録するための第3の記録層(14)を形成する工程と、前記第2の記録層に半透過性で厚さが5nm〜15nmの第2の反射膜(13a)を積層する工程と、前記第3の記録層に、SiCを主成分とする材料であり、窒素と酸素と水素の少なくとも1つの元素を含んでなる副成分を前記材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有する前記材料を用い、13nm以上21nm以下の膜厚の半透過性の第3の反射膜(14a)を積層する工程と、前記第1の反射膜と第2の反射膜とを対向させて接着層(16)で貼り合わせる工程と、前記第3の反射膜に厚さが100μm±3μmの光透過層(17)を形成する工程とを含むことを特徴とする光ディスク製造方法。
(d)前記第1の規格の波長を有する第1の再生用レーザ光(L1)における前記第3の反射膜の反射率は、前記第1の再生用レーザ光における前記光透過層の反射率よりも小さくなるよう形成することを特徴とする(c)記載の光ディスク製造方法。

本発明によれば、第1と第2の異なる規格に準拠した記録層を有する光ディスクにおいて、第1の規格及び第2の規格の反射率規格を同時に満たし、それぞれの映像品質にて再生が可能である。それゆえ、例えば第1の規格がDVD−ROM規格で、第2の規格がBD−ROM規格である場合には、一つの映像コンテンツをDVD−ROM及びBD−ROMそれぞれの規格に合わせて2種類の光ディスクを製造する必要がなくなるので、省資源、省エネルギーにも貢献できる効果がある。また、消費者にとっても利便性が大きい。
図1は、本発明の一実施形態である光ディスクDの積層構造を示す図である。
光ディスクDは、第1の基板12と第2の基板15とを有する。第1の基板12は、一方の面に第1の記録層11が形成され、第1の記録層11の上には第1の反射膜11aが積層されている。第1の基板12の他方の面には、タイトルレーベル面が設けられている。
第2の基板15は、一方の面に第2の記録層13が形成され、第2の記録層13の上には第2の反射膜13aが積層されている。第2の基板15の他方の面には第3の記録層14が形成され、第3の記録層14の上には第3の反射膜14aと光透過性カバー層(光透過層)17がこの順に積層されている。
第1の反射膜11aと第2の反射膜13aとを対向させ、接着層16で貼り合わせると、図1に示した光ディスクDの積層構造となる。
従って、光ディスクDを構成する第1の基板12の一方の面には、第1の記録層11、第1の反射膜11a、接着層16、第2の反射膜13a、第2の記録層13、第2の基板15、第3の記録層14、第3の反射膜14a、光透過性カバー層17の順序で各層が積層形成されている。光透過性カバー層17は、第1の記録層11及び第2の記録層13に記録されている情報を再生する第1の再生用レーザ光L1及び、第3の記録層14に記録されている情報を再生する第2の再生用レーザ光L2の入射面である。
なお本実施形態では、第1の再生用レーザ光L1の波長は630nm〜650nm、第2の再生用レーザ光L2の波長は360nm〜440nmであり、第1の再生用レーザ光L1及び第2の再生用レーザ光L2を総称して、再生用レーザ光Lという。
本実施形態において第1の基板12の厚さは0.6mm±30μmで、一方の面に、記録する情報に基づいて、第1の規格(DVD−ROM規格)に準拠した第1の情報ピット列(情報ピットパターン)が第1の記録層11として形成されている。
第2の基板15の厚さは0.5mm±30μmで、一方の面に記録する情報に基づいて、第1の規格(DVD−ROM規格)に準拠した第2の情報ピット列が第2の記録層13として形成されている。第2の基板15の他方の面には、第2の規格(BD−ROM規格)に準拠した第3の情報ピット列が第3の記録層14として形成されている。本実施形態の光ディスクDにおいて、第1の規格はDVD−ROM規格を、第2の規格はBD−ROM規格を用いた。
更に、光透過性カバー層17の厚さは0.1mm±3μmとしたため、図1に示す光ディスクDの厚さは約1.2mmとなり、DVD−ROM規格及びBD−ROM規格、双方の規格を満たす。なお、第1の基板12と第2の基板15と光透過性カバー層17以外の光ディスクDを構成する各膜は極めて薄いため、厚さは無視できるものとする。
本実施形態において、再生用レーザ光Lは光透過性カバー層17側から照射される。従って、光ディスクDが有する記録層11、記録層13、記録層14に記録された情報は、光透過性カバー層17側から照射された再生用レーザLによって読み出される。
波長630nm〜650nmの第1の再生用レーザ光L1が、記録層11上または記録層13上にそれぞれ照射されると、DVD−ROM規格に準拠して形成された第1及び第2の情報ピット列から、記録された情報が読み出し可能となる。波長360nm〜440nmの第2の再生用レーザ光L2が記録層14上に照射されると、BD−ROM規格に準拠して形成された第3の情報ピット列から、記録された情報が読み出し可能となる。
なお、本実施形態の光ディスクDにおいて、記録層11と反射膜11aをDVD−L1層、記録層13と反射膜13aをDVD−L0層、記録層14と反射膜14aをBD層とする。
次に、本実施形態の光ディスクDを製造する方法の一実施例を述べる。図2(a)〜(p)に示すのは、光ディスクの作製工程の概略である。
まず、DVDスタンパ及びBDスタンパの作製方法について図2(a)〜(h)を用いて説明する。
図2(a)において、表面を研磨洗浄したガラス基盤18にスピンコート法等によりフォトレジスト層19を形成し、ブランクマスタを作製する。
次に図2(b)に示すように、記録する情報を示すピットをDVD−ROM規格あるいはBD−ROM規格に準拠したサイズに形成するのに適当な波長を有するレーザービーム20を対物レンズ21によって集光し、微小スポットをフォトレジスト層19の形成されたガラス基盤18に照射する。DVDスタンパを作成する場合は波長350nm〜450nmの紫外レーザを主に用いる。紫外レーザの光源には、Ar、Kr、He−Cd等を用いる。BDスタンパを作成する場合は、波長200nm〜300nmの遠紫外レーザを主に用いる。
ガラス基盤18を回転させ、かつ一定速度で移動させながらレーザービーム20の照射をオンまたはオフさせたり、あるいは連続的に照射する。このようにして、DVD−ROM規格あるいはBD−ROM規格に従った変調信号のピットを示す潜像22を同心円状またはスパイラル状に形成する。
次に、アルカリ溶液による現像処理を施すことにより、図2(c)に示すようなピット列23の形成されたガラス原盤を作製する。
以上のようにして作製したガラス原盤の表面に、スパッタあるいは無電解メッキ等の方法により、図2(d)に示すようなニッケル等の導電性膜24を成膜する。
導電性膜24を陰極とするとともに陽極側にニッケルを配置し、スルファミン酸ニッケル溶液中で通電させることによって、図2(e)に示すようにガラス原盤上にニッケル25を析出させる。
そして、析出させたニッケル25を図2(f)に示すようにガラス原盤から剥離することにより、記録する情報信号に基づいた凹凸パターンの形成された金属原盤、すなわちスタンパ26が作製される。
以上がスタンパ及びスタンパ作製用ガラス原盤の作製工程の概略であり、作製されたスタンパ26を利用して、続くディスク化工程で光ディスクの量産が行われる。スタンパ26は内外径加工あるいは裏面研磨等の後処理が施された後、成形機に設置される成形金型に組み込まれる。
そして、図2(g)に示すようにスタンパ26を雌型とし、光透過性を有するアクリル、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂を材料として、雄型のモールド基板27を作製する。作製には、コンプレッション(圧縮成形)法、インジェクション(射出成形)法あるいはフォトポリマー(2P)法等を用いる。図2(g)において、作製するモールド基板27の厚みを光ディスクの種類に応じて変更する。
2P法を用いる場合、モールド基板27は液状の紫外線硬化樹脂等の光重合性高分子を材料とする。また、2P法に用いるスタンパ26は、一般的なスタンパとして用いられるNi等の金属スタンパの他に、モールド基板27と同様な透明樹脂などから成るソフトスタンパ(樹脂スタンパ)と呼ばれるものがある。金属スタンパを使用する場合、モールド基板27を形成する樹脂を硬化させるUV光は樹脂(モールド基板27)側から照射する必要があるが、ソフトスタンパを使用する場合はUV光がソフトスタンパ及び樹脂のいずれからも透過するので、UV光の照射方向を選ばない。
ソフトスタンパは、モールド基板27と似た材質の樹脂を用いることが好ましい。しかしその場合、図2(g)と同様に樹脂を硬化させ、ソフトスタンパの凹凸パターンに基づいた情報ピット列が形成されたモールド基板27をソフトスタンパより剥離する際には、モールド基板27とソフトスタンパとの密着性が均衡しているので、ピットの欠損などの問題が生じることが考えられる。このため、ソフトスタンパは剥離性の良い樹脂を材料として選ぶことや、スタンパ信号面の表面に剥離性の良い材料からなる薄膜を形成することなどが好ましい。
剥離性の良い樹脂材料としては、ポリオレフィン系の樹脂がある。また、剥離性を高めるための薄膜としては、ポリオレフィン系の樹脂を有機溶媒に溶解して薄くスピンコートしたものや、Si、Auなどの金属をスパッタリング等の真空成膜法によって1nm〜100nm程度の厚さに成膜したものなどを使用する。
2P法の概要を説明する。DVD−ROM規格、あるいはBD−ROM規格に準拠した凹凸パターンが形成されたスタンパ26を回転させながら液状のUV硬化性樹脂(紫外線硬化樹脂)を塗布し、その上から平滑な面を有する樹脂製基板を接着させて機械的に圧力をかけ、UV硬化性樹脂と樹脂製基板とが接着する接着層を均一な厚さにする。その後UV光を照射し、UV硬化性樹脂を硬化させてからスタンパ26を剥離する。従って、スタンパ26の凹凸パターンに応じた情報ピット列が樹脂基板上に形成され、これがモールド基板27となる。
更に2P法は、スタンパ26と樹脂製基板の両面に液状のUV硬化性樹脂を塗布し、スタンパ26と樹脂製基板とを貼り合せ加圧した後、UV硬化性樹脂を硬化させ、スタンパ26を剥離する方法や、樹脂製基板に液状のUV硬化性樹脂を塗布してスタンパ26を貼り合せて加圧し、UV光を照射してスタンパ26を剥離し、樹脂製基板上に情報ピット列を形成する方法がある。
続いて、本実施形態における基板12の詳細な作製方法について述べる。上述のようにして作製したスタンパ26を使い、図2(i)に示すようにポリカーボネート等の光ディスク基板材料として用いられる樹脂を射出成型する。スタンパ26はDVD−ROM規格に準拠した凹凸パターンを有する。
従って、片面にDVD−ROM規格に準拠した第1の情報ピット列からなる記録層11を有する基板12が形成される。第1の情報ピット列は、DVD−ROM規格に準拠して記録された情報を示す。基板12の厚さはDVD−ROM規格に基づいて0.6mm(±30μm)とする。
次に図2(j)に示すように記録層11に、信号再生のために反射膜11aを形成する。反射膜11aは、Al、Ag、Au等のいずれかの金属や、いずれかの金属を主成分とする合金を材料として用い、スパッタリングや蒸着などの真空成膜法によって形成される。なお、本実施形態において主成分とは、最も多く含まれる成分をさす。
ここで、図1に示す光ディスクDにおいて記録層11は、再生用レーザ光Lの入射面となる光透過性カバー層17から見て最も奥に形成された記録層である。このため、反射膜11aの膜厚は再生光の透過を考慮することなく、最大の反射率が得られる膜厚とすればよい。従って、通常は50nm〜100nmの膜厚として形成する。
次に基板15の作製方法を述べる。本実施形態において基板15は、両面に情報ピット列を形成する必要がある。このため基板15の作製方法は以下の二通りが考えられる。
一つは、DVD−ROM規格に準拠した凹凸パターンを形成したスタンパとBD−ROM規格に準拠した凹凸パターンを形成したスタンパとを、図2(a)〜(f)に示した手順のようにそれぞれ作製し、これらのスタンパを用いて射出成型法によって両面に情報ピット列を有する樹脂基板(基板15)を一度に形成する方法である。もう一つは、基板15の一方の情報ピット列形成面を金属スタンパを用いた射出成型法で形成した後、他方の平滑な盤面上に紫外線硬化型樹脂を用いたフォトポリマー法(2P法)にて情報ピット列を形成する方法である。
いずれかの方法によって作製された基板15の厚みは、光ディスクDの形態で、光ディスクDの最表面である再生用レーザ光Lが照射される光透過性カバー層17から、それぞれの記録層(記録層11、記録層13、記録層14)までの光路長が各種ディスク(DVD、BD)の規格に基づいた値に合致させるために、0.5mm(±30μm)となるようにする。
また、2P法にて情報ピット列を形成する場合、情報ピット列が形成されたUV硬化性樹脂層の厚さが10μm〜25μmとなるため、樹脂製基板とUV硬化性樹脂層とを合わせた厚みが0.5mm(±30μm)となるように、樹脂製基板の厚みを調整する。
本実施形態では、射出成型法及び2P法を用いて以下のように基板15を作製した。
まず、上述したように作製したBD−ROM規格に基づいた凹凸パターンを有するスタンパ26を用いて、ポリカーボネート等の光ディスク基板材料として用いられる樹脂を射出成型する。図2(k)に示すように、基板15の片面にBD−ROM規格に準拠した第3の情報ピット列からなる記録層14が形成される。第3の情報ピット列はBD−ROM規格に準拠して記録された情報を示す。
続いて図2(l)に示すように、記録層14に反射膜14aを形成する。反射膜14aは、レーザ光やUV光を透過させることが望ましい。
反射膜14aの材料としてはSiC(シリコンカーバイド)を主成分とし、N(窒素)、O(酸素)、H(水素)いずれかの元素を含有したものが適している。例えば、SiCにNを含有した材料を用いて反射膜14aを形成する場合には、真空チャンバー内でSiCをスパッタリングする際にArガスと同時にN2ガスを微量導入し、記録層14上にSiCにNを含有した組成の反射膜14aを形成する。反射膜の膜厚は13〜21nm程度が好ましい。なお、SiCにOまたはHを含有させる場合には、スパッタリングの際にO2ガスあるいはH2ガスを用いればよい。
また、SiCを主成分としてN、O、Hのうち少なくとも2つの元素からなる副成分を含有したものや、Siを主成分とし、N、O、Hのうち少なくとも1つの元素からなる副成分を含有したものを材料として用いてもよい。本実施形態において主成分とは、最も多く含まれる成分をさす。
次に図2(m)に示すように、反射膜14aの上にBD−ROM規格に基づいた光透過性カバー層17を形成する。光透過性カバー層17は、100μm±3μmの精度で形成する。光透過性カバー層17は、フィルム状のポリカーボネート製基板をUV硬化性樹脂の接着剤やシート状の粘着接着剤を用いて貼り合せたものか、UV硬化性樹脂のみで所望の厚さに形成したものとする。
次に図2(n)に示すように、BD−ROM規格に準拠した記録層14と反射膜14aと光透過性カバー層17とを形成した基板15の一方の面と反対の面に紫外線硬化樹脂を積層し、ソフトスタンパを用いた2P法によってDVD−ROM規格(二層型)に準拠した第2の情報ピット列からなる記録層13を形成する。UV光はソフトスタンパ側から照射される。
続けて図2(o)に示すように、記録層13に反射膜13aを形成する。反射膜13aは半透明で、Au、Ag、Alなどの金属やこれらを主成分とする合金を材料として用い、非常に薄い膜厚で形成する。具体的な膜厚としては5nm〜15nm程度が好ましい。また、Si(アモルファスシリコン)、SiC、SiHなども用いることができる。更に、先に述べた金属の他、再生用レーザ光Lに対し高屈折率で透明な特性を有する誘電体、例えばZnS、TiO2、SiN、GeNなども材料として好適である。
最後に、図2(p)に示すように、反射膜13aと基板12上の反射膜11aとを対向させて接着層16を挟んで積層し、接着して光ディスクDを作製する。
接着は、アクリル系樹脂などのUV硬化性樹脂を用い、一方の基板に硬化前の液状樹脂を塗布し、もう一方の基板を重ね合わせた後スピンコートして所望の厚さに調整し、その後UV光を照射して樹脂を硬化させる方法がある。本実施形態の場合は、基板12側からはUV光が透過しないので、基板15の光透過性カバー層17側から照射する。
もう一つの接着方法として、シート状になった接着剤を用い、基板12と基板15を圧着する方法がある。
いずれの方法でも、接着層16は二層型のDVD−ROM規格に基づき、層間を分けるギャップ層として機能させるので、その厚みは35μm〜65μmに制御することが好ましい。
なお、本実施形態では、基板15上に射出成型によりBD−ROM規格に準拠した記録層14を形成し、2P法によりDVD−ROM規格に準拠した記録層13を形成したが、製造方法はこれに限るものではない。2P法(ソフトスタンパ使用)によりBD−ROM規格に準拠した記録層14を形成し、射出成型によりDVD−ROM規格に準拠した記録層13を形成してもよい。
また、基板15の両面、すなわち記録層13及び記録層14を射出成型により形成してもよい。両面の記録層を射出成型により形成すると、形成にかかるコストが最も小さく抑えられる。
なお、いずれの基板15の製造方法を採用した場合も、続く各反射膜の形成、基板12との接着、光透過性カバー層17の形成は上記した順序に限定されず、どのような順序で行ってもよい。
さて、本実施形態の光ディスクDにおいて反射膜14aは、BD−ROM規格に準拠した波長を有する第2の再生用レーザ光L2を反射し、DVD−ROM規格に準拠した波長を有する第1の再生用レーザ光L1を透過させる。このため反射膜14aは、DVD−ROM規格における反射率の規格とBD−ROM規格における反射率の規格とを同時に満たす必要がある。
各反射率の規格値は、記録層を2層有する2層DVDでは反射率18%〜30%、記録層を1層有する単層のBDでは低反射率であれば12%〜28%、高反射率であれば35%〜70%である。
本実施形態の光ディスクDは、2層のDVD−ROM規格に準拠した記録層と、1層のBD−ROM規格に準拠した記録層とを有するため、少なくとも、上述した単層BDの低反射率と2層DVDの反射率の規格値を満たす必要がある。
また反射膜13aは、反射膜14aを介して記録層13を対象として照射された、DVD−ROM規格に準拠した波長を有する第1の再生用レーザ光L1を反射する。更に、反射膜14aを介して記録層11を対象として照射された、第1の再生用レーザ光L1を透過し、記録層11からの反射光を透過する。従って反射膜13aは、記録層13に記録された情報(信号)を再生するのに必要な反射率と、記録層11に記録された情報(信号)を再生するのに十分なレーザ光が透過するような透過率との両方を満たす必要がある。
反射膜11aは、反射膜14a及び反射膜13aを透過して照射される第1の再生用レーザ光L1を、所定の反射率範囲で反射する。
そこで、本実施形態の光ディスクDにおいて、BD層の反射膜である反射膜14aの膜厚が、DVD−ROMあるいはBD−ROM規格に準拠した記録層である第1の記録層11〜第3の記録層14(DVD記録層及びBD記録層)の読み取り(再生)に影響を与えると推測し、後述する表1〜表7に基づいてDVD記録層及びBD記録層の読み取りを良好にする反射膜13aの最適な膜厚、反射膜14aの最適な膜厚及び材料組成を検討した。
初めに、上記したように作製した本実施形態の光ディスクDにおいて、反射膜13aの膜厚とディスク特性の関係を調べた結果を表1に示す。表1において用いた光ディスクDを構成するBD層の反射膜14aは、SiCにNを2原子%含有させたSiC−Nを用いて15nmの膜厚で形成した。本実施形態の2原子%とは、NをSiC−Nからなる材料に対して2原子%含有させたことを意味する。反射率は14%となる。
表1〜表7中、反射率のBD層の欄における値は、記録層14に第2の再生用レーザ光L2をフォーカスした際の反射膜14aの反射率を示す。同様に、DVD−L0層の欄における値は記録層13に第1の再生用レーザ光L1をフォーカスした際の反射膜13aの反射率、DVD−L1層の欄における値は記録層12に第1の再生用レーザ光L1をフォーカスした際の反射膜12aの反射率をそれぞれ示す。なお、それぞれの記録層にフォーカスした再生用レーザ光Lは、記録層に隣接するそれぞれの反射膜から反射されるだけでなく、光ディスクDを構成する他の膜からも反射される。しかし、光ディスクDを構成する他の膜からの反射は非常に小さくその影響も少ないため、記録層に再生用レーザ光Lをフォーカスした際の反射率は、隣接する反射膜の反射率とする。
また、表1〜表7の判定欄において、上述した単層BDの低反射率規格12%〜28%と、2層DVDの反射率規格18%〜30%とを満たし、更にBDのジッタが規格値である6.5%以下となる条件には「可」を、いずれかを満たさないものについては「不可」を記した。なお、BDのジッタの数値はリミットイコライザを用いて測定した。
表1より、反射膜13aの膜厚が5nm〜15nmの範囲において、2層DVDの反射率規格及びBDのジッタを満たしていることが分かる。従って本実施形態の光ディスクDにおいて、反射膜13aは5nm以上15nm以下の膜厚で形成することが好ましい。
次に、反射膜14aに用いたSiC−NにおけるNの含有率を変化させた場合の、Nの含有率とディスク特性の関係を調べた結果を表2に示す。表2において用いた光ディスクDは、反射膜14aの膜厚を15nm、反射膜13aの膜厚を9nmとして形成した。
表2より、反射膜14aの材料としてSiC−Nを用いた場合、材料(SiC−N)に対してNの含有率が1原子%〜10原子%であるときに、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って、本実施形態の光ディスクDにおいて、SiCを主成分とした材料に対してNの含有率が1原子%以上10原子%以下であるSiC−Nを用いて反射膜14aを形成することが好ましい。また、Nの含有率が5原子%以下であると各特性の良好な値が得られて更に好ましい。
次に、反射膜14aの膜厚とディスク特性の関係を調べた結果を表3に示す。表3において用いた光ディスクDは、反射膜14aをNが2原子%含有されたSiC−Nを用いて形成し、反射膜13aを9nmの膜厚で形成した。
表3より、反射膜14aの膜厚が13nm〜21nmの範囲において、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って本実施形態の光ディスクDにおいて、SiC−Nを用いた反射膜14aは13nm以上21nm以下の膜厚で形成することが好ましい。
次に、反射膜14aに用いたSiC−OにおけるOの含有率を変化させた場合の、Oの含有率とディスク特性の関係を調べた結果を表4に示す。表4において用いた光ディスクDは、反射膜14aの膜厚を15nm、反射膜13aの膜厚を9nmとして形成した。
表4より、反射膜14aの材料としてSiC−Oを用いた場合、材料(SiC−O)に対してOの含有率が1原子%〜10原子%であるときに、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って、本実施形態の光ディスクDにおいて、SiCを主成分とした材料に対してOの含有率が1原子%以上10原子%以下であるSiC−Oを用いて反射膜14aを形成することが好ましい。また、Oの含有率が5原子%以下であると各特性の良好な値が得られて更に好ましい。
次に、反射膜14aの膜厚とディスク特性の関係を調べた結果を表5に示す。表5において用いた光ディスクDは、反射膜14aをOが2原子%含有されたSiC−Oを用いて形成し、反射膜13aを9nmの膜厚で形成した。
表5より、反射膜14aの膜厚が13nm〜21nmの範囲において、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って本実施形態の光ディスクDにおいて、SiC−Oを用いた反射膜14aは13nm以上21nm以下の膜厚で形成することが好ましい。
次に、反射膜14aに用いたSiC−HにおけるHの含有率を変化させた場合の、Hの含有率とディスク特性の関係を調べた結果を表6に示す。表6において用いた光ディスクDは、反射膜14aの膜厚を15nm、反射膜13aの膜厚を9nmとして形成した。
表6より、反射膜14aの材料としてSiC−Hを用いた場合、材料(SiC−H)に対してHの含有率が1原子%〜10原子%であるときに、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って、本実施形態の光ディスクDにおいて、SiCを主成分とした材料に対してHの含有率が1原子%以上10原子%以下であるSiC−Hを用いて反射膜14aを形成することが好ましい。また、Hの含有率が5原子%以下であると各特性の良好な値が得られて更に好ましい。
次に、反射膜14aの膜厚とディスク特性の関係を調べた結果を表7に示す。表7において用いた光ディスクDは、反射膜14aをHが2原子%含有されたSiC−Hを用いて形成し、反射膜13aを9nmの膜厚で形成した。
表7より、反射膜14aの膜厚が13nm〜21nmの範囲において、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタをいずれも満たしていることが分かる。従って本実施形態の光ディスクDにおいて、SiC−Hを用いた反射膜14aは13nm以上21nm以下の膜厚で形成することが好ましい。
以上の表1〜表7より、本実施形態の光ディスクDにおいて反射膜14aに、SiCを主成分としてNまたはOまたはHのいずれの元素を副成分として含有させた材料を使用しても、NまたはOまたはHの含有率が材料に対して1原子%以上10原子%以下であり、反射膜14aの膜厚が13nm以上21nm以下であれば、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格、BDのジッタを全て満たすことができた。これは、SiCを主成分としN、O、Hのいずれか一種を含有させた材料を用いることにより、反射膜14aの光学的な減衰係数が小さくなり、第2の再生用レーザ光L2の波長における反射率の増加と、第1の再生用レーザ光L1のレーザ波長における透過率の増加を同時に達成できたためである。ここで減衰係数とは、光を吸収する物質に光がどれくらい吸収されるかを示す係数である。
従って反射膜14aを、SiCを主成分とした材料を使用して形成し、N、O、Hのいずれか1つの元素からなる副成分を材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有させることが好ましく、副成分の含有率が5原子%以下であると更に好ましい。またその膜厚は、13nm以上21nm以下で形成することが好ましい。
更に、反射膜14aを、SiCを主成分とした材料で、N、O、Hのうち少なくとも2つの元素からなる副成分を材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有させたものや、Siを主成分とした材料で、N、O、Hのうち少なくとも1つの元素からなる副成分を材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有させたものを用いても、反射率規格及びジッタを満たす良好な結果が得られた。
なお、反射膜14aの材料にAlやその合金、あるいはAgやその合金を用いて、5nm〜9nm程度の膜厚で反射膜14aを形成した場合は、BD−ROM規格の反射率を満たすことはできるが、DVD−ROM規格の反射率を同時に満足することはできない。
ところで、光ディスクの記録層に記録されている情報を読み取り再生する場合、光ディスク記録再生装置は光ディスクの種類を判別するために光ピックアップのアクチュエータを動作させて対物レンズを光ディスクに近づけたり遠ざけたりすることで、対物レンズの焦点を光ディスクを構成する記録層に合わせるフォーカスサーチを行う。光ディスクから反射された反射光に基づいて生成されるフォーカスサーチ信号には、焦点が合っていないことを示すフォーカスエラー信号部分(S字カーブ)が含まれる。なお、S字カーブの振幅は照射された再生用レーザ光Lが各膜によって反射される反射光量、すなわち各膜の反射率に依存する。
図3にDVD規格に準拠した記録層のみを有する光ディスク(DVD)を用いた場合のフォーカスサーチ信号波形を簡略化して示す。図3は、記録層にDVD規格に準拠した波長のレーザ光を用いてフォーカスサーチした場合に、光ディスクに入射するレーザ光に最も近い入射表面と、入射表面と記録層との間であり記録層上に形成された反射膜とから得られるそれぞれのS字カーブを示す。
入射表面によって得られるS字カーブと、反射膜によって得られるS字カーブの振幅は異なり、入射表面における振幅が反射膜における振幅より小さい。このことは、入射表面の反射率が反射膜の反射率より小さいことを示す。
従ってDVDにおいては、入射表面と、記録層上に形成された反射膜との反射率の違いに基づくフォーカスエラー信号部分(S字カーブ)の振幅差が、入射表面における振幅より反射膜における振幅が大きくなる関係(入射表面における振幅<反射膜における振幅)を満たすことによって、記録層へフォーカスサーボが安定的にかけられる。
しかしながら、本実施形態の光ディスクDにおいてDVD−ROM規格に準拠した記録層11あるいは記録層13(DVD記録層)へフォーカスサーチを行う場合、図1に示すようにBD層が光ディスクDの表面であり光ディスクDに入射するレーザ光に最も近い光透過カバー層17とDVD記録層との間に存在する。このため第1の再生用レーザ光L1の波長においてDVD記録層へフォーカスサーチする場合、BD層(反射膜14a)からの反射光量によっては、所望のDVD記録層へフォーカスサーボがかかりにくくなり、更には誤ってBD記録層(記録層14)にフォーカスサーボがかかり、再生誤動作を生じて光ディスクを認識しない不具合が発生するおそれがある。
以上より、本実施形態の光ディスクDにおいて第1の再生用レーザ光L1を用いて記録層14へフォーカスサーチした場合に、再生用レーザ光L1の波長において光透過性カバー層17と反射膜14aと反射膜13aのそれぞれから得られるS字カーブの振幅が、反射膜13aの振幅S13a>光透過性カバー層17の振幅S17>反射膜14aの振幅S14a、となる関係を満たせば、誤って記録層13にフォーカスサーボがかかることも防げ、DVD−ROMあるいはBD−ROM規格に準拠した記録層である記録層11〜記録層14(DVD記録層及びBD記録層)の読み取り(再生)を良好に行えると推測した。
従って、光透過性カバー層17の振幅S17>反射膜14aの振幅S14aを満たすような反射膜14aの最適な材料及びその反射率を、後述する表8、表9に基づいて検討した。
上記したように作製した本実施形態の光ディスクDにおいて、反射膜14aの材料とディスク特性の関係を調べた結果を表8に示す。表8で調べたディスク特性は、第1の再生用レーザ光L1の波長における反射膜14aの反射率に基づくS字カーブの振幅(反射膜14aの振幅)S14aと、光透過性カバー層17の反射率に基づくS字カーブの振幅(カバー層17の振幅)S17の大小を比較したものと、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格である。
表8において用いた光ディスクDは、反射膜14aをそれぞれSi、SiにHを2原子%含有したSiH、SiCにHを2原子%含有したSiC−H、AgとAlを用いて形成した。それぞれの材料を使用した際の反射膜14aの膜厚は表8に示したとおりである。
表8の単層BDの反射率欄では、上述した単層BDの低反射率規格12%〜28%を満たすものには「良」、満たさないものについては「不良」を記した。同様に、表8の2層DVD層の反射率欄及び表9の2層DVD層の反射率欄では、上述した2層DVDの反射率規格18%〜30%を満たすものには「良」、満たさないものについては「不良」を記した。
反射膜14aの材料にSiを用いて膜厚を24nmとした場合、S17<S14aの関係であった。このとき、単層BDの低反射率規格は満たすことができたが2層DVDの反射率規格は満たせなかった。一方でSiを用いて膜厚を12nmとした場合、S17>S14aの関係を満たし2層DVDの反射率規格は満たせたものの、単層BDの低反射率規格は満たせなかった。
反射膜14aの材料にSiH、SiC−Hを用いた場合、いずれの場合もS17>S14aという関係を満たした。更に、単層BDの低反射率規格と2層DVDの反射率規格のいずれの規格も満たした。
反射膜14aの材料にAg、Alを用いた場合、いずれの場合もS17<S14aという関係であった。更に、単層BDの低反射率規格は満たすことができたが2層DVDの反射率規格は満たせなかった。
従って、反射膜14aの材料にSiHやSiC−HのようなSi化合物を用いると、光透過性カバー層17の振幅S17>反射膜14aの振幅S14aを満たすことができる。すなわち、光透過性カバー層17の反射率より反射膜14aの反射率を小さくでき、DVD記録層及びBD記録層の再生を良好に行える。
次に、本実施形態の光ディスクDにおいて、反射膜14aの材料にSi単体あるいはSi化合物を用いて反射率を変化させた場合の、それぞれのディスク特性を調べた結果を表9に示す。反射率は、第2の再生用レーザ光L2の波長における値である。表9で調べたディスク特性は、第1の再生用レーザ光L1における反射膜14aの振幅S14aとカバー層17の振幅S17の大小を比較したものと2層DVDの反射率規格である。更に、表9の判定欄では、第1の再生用レーザ光L1を用いてDVD記録層の再生が行えたものには「安定」、できなかったものには「不安定」を記した。
反射膜14aの材料にSiを用いて膜厚を16nmとし、反射率を12%とした場合、S17<S14aという関係であった。また、2層DVDの反射率規格は満たさず、DVD記録層の再生は不安定だった。一方で反射膜14aの材料にSiを用いて膜厚を12nmとし、反射率を10%とした場合、S17>S14aという関係を満たした。更に、2層DVDの反射率規格を満たし、DVD記録層を安定に再生することができた。しかしながら、反射膜14aの第2の再生用レーザ光L2の波長における反射率が10%であるため単層BDの低反射率規格を満たさず、記録層14の再生が良好に行えない。
反射膜14aの材料にHを2原子%含有したSiHを用いて、膜厚を13nmとし反射率を12%とした場合、S17>S14aという関係を満たし、2層DVDの反射率規格も満たした。DVD記録層の再生は安定していた。Hを2原子%含有したSiHを用いて、膜厚を17nmとし反射率を19%とした場合も同様に全ての条件を満たすことができた。
一方で、反射膜14aの材料にHを6原子%含有したSiHを用いて、膜厚を18nmとし反射率を20%とした場合、S17<S14aという関係であり、2層DVDの反射率規格は満たしたものの、DVD記録層の再生はやや不安定であった。Hを8原子%含有したSiHを用いて、膜厚を20nmとし反射率を23%とした場合も、同様の結果となった。
反射膜14aの材料にHを2原子%含有したSiC−Hを用いて、膜厚を14nmとし反射率を12%とした場合、S17>S14aという関係を満たし、2層DVDの反射率規格も満たした。DVD記録層の再生は安定していた。Hを2原子%含有したSiC−Hを用いて、膜厚を18nmとし反射率を19%とした場合も、同様に全ての条件を満たすことができた。
一方で、反射膜14aの材料にHを6原子%含有したSiC−Hを用いて、膜厚を19nmとし反射率を20%とした場合、S17<S14aという関係であり、2層DVDの反射率規格は満たしたものの、DVD記録層の再生はやや不安定であった。Hを8原子%含有したSiC−Hを用いて、膜厚を21nmとし反射率を23%とした場合も、同様の結果となった。
従って、本実施形態の光ディスクDにおいて反射膜14aの材料にSiC−HあるいはSiHのようなSi化合物を用いて、反射率が12%以上19%以下となるように反射膜14aを形成した場合に、光透過性カバー層17の振幅S17>反射膜14aの振幅S14aの関係を満たすことができ、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格も満たす。更に、DVD記録層及びBD記録層の再生を安定に行える。
また、反射膜14aの材料にSi化合物を用いて反射率が19%より大きくなるように本実施形態の光ディスクDを形成した場合は、光透過性カバー層17の振幅S17>反射膜14aの振幅S14aとなる関係を満たさないため、DVD記録層の再生がやや不安定ではある。しかし、Si化合物におけるHの含有率は1原子%以上10原子%以下であり、膜厚は13nm以上21nm以下であるため単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格は満たすことができる。
なお、SiCあるいはSiを主成分とし、N、Oのいずれか1つの元素からなる副成分を含有した材料、またはSiCあるいはSiを主成分とし、N、O、Hのうち少なくとも2つの元素からなる副成分を含有した材料を用いて反射膜14aを形成しても、同様にDVD記録層及びBD記録層の再生を良好に行える。
以上のことより、本実施形態の光ディスクDにおいてSiCあるいはSiを主成分とした材料で、N、O、Hの少なくとも1つの元素を含んでなる副成分を材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有する材料(Si化合物)を用い、膜厚は13nm以上21nm以下であり、反射率が12%以上19%以下であるような反射膜14aを形成すると、単層BDの低反射率規格及び2層DVDの反射率規格を満たし、更にDVD記録層及びBD記録層の再生を最も良好に行える。
なお、以上の実施形態では、記録層11、記録層13、記録層14が再生専用の記録層の場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されず、色素材料を使用して形成する追記型の記録層や、相変化材料を使用して形成する書換型の記録層の場合にも適用することができる。また本実施形態の光ディスクDでは、記録層11、記録層13をDVD−ROM規格に準拠させ、記録層14をBD−ROM規格に準拠させて形成したが、これらの規格に限定されるものではない。
本発明の一実施形態である光ディスクDの積層構造を示す図である。 本実施形態の光ディスクDの作製工程の概略を示す図である。 DVDを用いた場合のフォーカスサーチ信号波形を簡略化して示す図である。
符号の説明
11 第1の記録層
11a 第1の反射膜
12 第1の基板
13 第2の記録層
13a 第2の反射膜
14 第3の記録層
14a 第3の反射膜
15 第2の基板
16 接着層
17 光透過層(光透過性カバー層)

Claims (4)

  1. 一方の面に、第1の規格に準拠した第1の情報が予め記録されているか、前記第1の情報を記録するための第1の記録層を有する第1の基板と、
    前記第1の記録層上に形成された第1の反射膜と、
    一方の面に、前記第1の規格に準拠した第2の情報が予め記録されているか、前記第2の情報を記録するための第2の記録層を有し、他方の面に、第2の規格に準拠した第3の情報が予め記録されているか、前記第3の情報を記録するための第3の記録層を有する第2の基板と、
    前記第2の記録層上に形成された半透過性で厚さが5nm〜15nmの第2の反射膜と、
    前記第3の記録層上に形成された半透過性で、SiCを主成分とした材料で形成され、前記材料は窒素と酸素と水素の少なくとも1つの元素を含んでなる副成分を前記材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有し、膜厚が13nm以上21nm以下の第3の反射膜と、
    前記第1の反射膜と第2の反射膜とを対向させて貼り合わせる接着層と、
    前記第3の反射膜上に形成された厚さ100μm±3μmの光透過層とを備え、
    前記光透過層における前記第3の反射膜と接する面に対向する面は、前記第1の記録層、第2の記録層及び第3の記録層に記録されている情報を再生する再生用レーザ光が入射する入射面であることを特徴とする光ディスク。
  2. 前記第1の規格の波長を有する第1の再生用レーザ光における前記第3の反射膜の反射率は、前記第1の再生用レーザ光における前記光透過層の反射率よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 第1の基板に、第1の規格に準拠した第1の情報が予め記録されているか、前記第1の情報を記録するための第1の記録層を形成する工程と、
    前記第1の記録層に第1の反射膜を積層する工程と、
    第2の基板の一方の面に、前記第1の規格に準拠した第2の情報が予め記録されているか、前記第2の情報を記録するための第2の記録層を形成し、前記第2の基板の他方の面に、第2の規格に準拠した第3の情報が予め記録されているか、前記第3の情報を記録するための第3の記録層を形成する工程と、
    前記第2の記録層に半透過性で厚さが5nm〜15nmの第2の反射膜を積層する工程と、
    前記第3の記録層に、SiCを主成分とする材料であり、窒素と酸素と水素の少なくとも1つの元素を含んでなる副成分を前記材料に対して1原子%以上10原子%以下の含有率で含有する前記材料を用い、13nm以上21nm以下の膜厚の半透過性の第3の反射膜を積層する工程と、
    前記第1の反射膜と第2の反射膜とを対向させて接着層で貼り合わせる工程と、
    前記第3の反射膜に厚さが100μm±3μmの光透過層を形成する工程とを含むことを特徴とする光ディスク製造方法。
  4. 前記第1の規格の波長を有する第1の再生用レーザ光における前記第3の反射膜の反射率は、前記第1の再生用レーザ光における前記光透過層の反射率よりも小さくなるよう形成することを特徴とする請求項3記載の光ディスク製造方法。
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