JP2005069686A - 干渉計、ステージ装置、及び露光装置 - Google Patents

干渉計、ステージ装置、及び露光装置 Download PDF

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JP2005069686A JP2003208225A JP2003208225A JP2005069686A JP 2005069686 A JP2005069686 A JP 2005069686A JP 2003208225 A JP2003208225 A JP 2003208225A JP 2003208225 A JP2003208225 A JP 2003208225A JP 2005069686 A JP2005069686 A JP 2005069686A
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Yasuhiro Hidaka
康弘 日高
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Abstract

【課題】小型・軽量化を図ることができるとともに、測定誤差の発生を極力抑えることができる干渉計等を提供する。
【解決手段】干渉計10は、レーザ光源11、光分割部材12、1/4波長板13、移動鏡14、及び検出器15を含んで構成される。レーザ光源11は、偏光方向が異なる測長光(実線)と参照光(破線)とを射出する。光分割部材12は、レーザ光源11からの測長光及び参照光を受光して、測長光を1/4波長板13を介して移動鏡14に向かわせ、参照光を検出器15に向かわせるとともに、移動鏡14で反射されて1/4波長板13を介した測長光を検出器15に向かわせる。上記参照光の光路は全経路が測長光の光路に含まれるよう設定される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コヒーレンシーの高い測長光を測長対象物に照射して得られる反射光を検出する干渉計、当該干渉計の検出結果に基づいて移動可能に構成されたステージに取り付けられた測長対象物の位置情報を測定するステージ装置、及び当該ステージ装置を備える露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他の微細なデバイスを製造するため、マスク又はレチクル(以下、これらを総称する場合は、マスクという)に形成されたパターンをウェハ又はガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられる。従来から各種の露光装置が案出されているが、近年においては、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(ステッパ)及びステップ・アンド・スキャン方式の露光装置が用いられることが多くなっている。
【0003】
上記のステッパは、基板を二次元的に移動自在な基板ステージ上に載置し、この基板ステージにより基板を歩進(ステッピング)させて、マスクのパターンの縮小像を基板上の各ショット領域に一括露光する動作を順次繰り返す露光装置である。また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、スリット状のパルス露光光をマスクに照射している状態で、マスクを載置したマスクステージと基板を載置した基板ステージとを投影光学系に対して互いに同期走査させつつマスクに形成されたパターンの一部を基板のショット領域に逐次転写し、1つのショット領域に対するパターンの転写が終了すると基板をステッピングさせて他のショット領域にパターンの転写を行う露光装置である。
【0004】
上記のステッパ及びステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、何れも基板ステージを精確に移動させる必要があるため、基板ステージの位置情報を高い精度で検出するレーザ干渉計が設けられる。また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、基板ステージに同期させてマスクステージを移動させているため、マスクステージの位置情報を検出するレーザ干渉計も設けられている。ここで、従来のレーザ干渉計について簡単に説明する。図10は、従来のレーザ干渉計の構成を示す図である。
【0005】
図10に示すレーザ干渉計100は、レーザ光源101、偏光ビームスプリッタ102、λ/4波長板103,104、コーナーキューブ105、移動鏡106、固定鏡107、及び検出器108を含んで構成される。レーザ光源101は偏光方向が異なる(例えば、偏光方向が直交する)少なくとも2つのレーザ光を射出する。偏光ビームスプリッタ102は偏光方向に応じて入射する光を透過又は反射する。尚、図10に示した例においては、偏光ビームスプリッタ102は偏光方向が紙面に直交する方向であるレーザ光(以下、透過光成分という)を透過し、偏光方向が紙面内の方向であるレーザ光(以下、反射光成分という)を反射するものとする。
【0006】
λ/4波長板103,104は、入射する直線偏光を円偏光に変換するとともに、入射する円偏光を直線偏光に変換する。移動鏡106は、例えば不図示の移動体に取り付けらた反射鏡であり、図中の符号D10を付した方向に移動する。
固定鏡107は、位置が固定された反射鏡である。検出器108は、移動鏡106及び固定鏡107で反射されたレーザ光から得られる干渉光を検出し、移動鏡106の位置を測定する。
【0007】
上記構成において、レーザ光源101から射出されたレーザ光の内の透過光成分は偏光ビームスプリッタ102を透過し、λ/4波長板103を介して円偏光に変換され、移動鏡106に入射する。移動鏡106で反射された円偏光のレーザ光は再度λ/4波長板103を通過することで反射光成分に変換されて偏光ビームスプリッタ102に再度入射する。この反射光成分は偏光ビームスプリッタ102で反射されてコーナーキューブ105に入射し、コーナーキューブ105で2回反射された後、偏光ビームスプリッタ102に入射して反射される。偏光ビームスプリッタ102で反射された反射光成分はλ/4波長板103を介して円偏光に変換されて移動鏡106に再度入射する。移動鏡106で反射された円偏光のレーザ光は再度λ/4波長板103を通過することで透過光成分に変換され、偏光ビームスプリッタ102を透過して検出器108に入射する。
【0008】
一方、レーザ光源101から射出されたレーザ光の内の反射光成分は偏光ビームスプリッタ102で反射され、λ/4波長板104を介して円偏光に変換された後に固定鏡107に入射する。固定鏡107で反射された円偏光のレーザ光は再度λ/4波長板104を通過することで透過光成分に変換されて偏光ビームスプリッタ102に再度入射する。この透過光成分は偏光ビームスプリッタ102を透過してコーナーキューブ105に入射し、コーナーキューブ105で2回反射された後、偏光ビームスプリッタ102を透過する。偏光ビームスプリッタ102を透過した透過光成分はλ/4波長板104を介して円偏光に変換されて固定鏡107に再度入射する。固定鏡107で反射された円偏光のレーザ光は再度λ/4波長板104を通過することで反射光成分に変換され、偏光ビームスプリッタ102で反射されて検出器108に入射する。
【0009】
このようにして、移動鏡106が配置された光路LP1を介したレーザ光と、固定鏡107が配置された光路LP2を介したレーザ光との干渉光が検出器108に入射する。ここで、偏光ビームスプリッタ102と固定鏡107との間の距離は不変である。一方、偏光ビームスプリッタ102と移動鏡106との間の距離は変化する。このため、検出器108に入射する干渉光の干渉状態は光路LP1の変化を反映したものとなり、検出器108は干渉縞の変化から移動鏡106の位置情報を測定する。
【0010】
以上説明した従来の干渉計は、レーザ光源101、偏光ビームスプリッタ102、λ/4波長板103,104、コーナーキューブ105、固定鏡107、及び検出器108を位置が変動しない箇所へ設置し、移動鏡106を移動体に取り付けて、移動体の移動により生ずる光路LP1の変化を検出することで移動体の位置情報を検出することが殆どであった。しかしながら、移動体が符号D10を付した方向と直交する方向へ移動する場合には、この方向における移動鏡106の長さを長くする必要があり、移動鏡106の重量が増大して移動体に取り付けるには不具合が生ずる。このため、近年においては、コーナーキューブ105等を移動体に設置するとともに移動鏡106の位置を固定して配置し、移動体の移動に伴って生ずる光路LP1の変化を検出することで、移動体の位置情報を検出する干渉計も案出されている。かかる干渉計の詳細については、例えば以下の特許文献1,2を参照されたい。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−307983号公報
【特許文献2】
特開平5−217837号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したコーナーキューブ105等が移動体に設置される干渉計を露光装置に適用する場合、コーナーキューブ105等は基板ステージ又はマスクステージ上に設置される訳であるが、これらのステージを極めて精密に、且つ高速に駆動されるため重量を極力抑える必要がある。また、重量を抑える観点から、これらのステージ上は極力余分なスペースが生じないように設計される傾向がある。従って、コーナーキューブ105等を基板ステージ上、又はマスクステージ上に設置するときには、移動鏡106を除く干渉計の軽量化及び小型化を図る必要がある。
【0013】
また、前述したように、干渉計は長さが不変の光路LP2基準として光路LP1の長さの変化を検出しているため、干渉計の軽量化及び小型化を図ったときに基準となる光路の長さが変化するのであれば測定誤差を招いてしまう。このため、図10に示す光路LP2に相当する基準の光路の長さが極力変化しないように、干渉計を設計する必要もある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、小型・軽量化を図ることができるとともに、測定誤差の発生を極力抑えることができる干渉計、当該干渉計の検出結果に基づいて移動可能に構成されたステージに取り付けられた測長対象物の位置情報を測定するステージ装置、及び当該ステージ装置を備える露光装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点による干渉計は、測長光と参照光との干渉に基づいて測長対象物(14)の位置に関する情報を検出する干渉計(10、20)であって、前記測長光用の第1の光路と、前記参照光用の第2の光路とを有し、前記第2の光路は全経路が前記第1の光路に含まれていることを特徴としている。
この発明によれば、参照光用の第2の光路の全経路を測長光用の第1の光路に含ませるようにしたため、仮に参照光用の第2の光路の光路長が変化しても測長用の第1の光路の光路長が同一の長さだけ変化して第1の光路と第2の光路との相対的な光路長の変化は生じず、その結果として測定誤差の発生を極力抑えることができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点による干渉計は、測長光と参照光とを射出する光源(11)と、参照光及び測長対象物(14)で反射した測長光とを受光する受光装置(15)とを備えた干渉計(10、20)であって、前記光源から射出された前記測長光と前記参照光とを受光して、前記測長光を前記測長対象物に向かわせ、前記参照光を前記受光装置に向かわせるとともに、前記測長対象物で反射された前記測長光を前記受光装置に向かわせる分割手段(12、22)を備えることを特徴としている。
この発明によれば、光源から射出されて受光した測長光及び参照光の内、測長光を測長対象物に向かわせ、参照光を受光装置に向かわせるとともに、測長対象物で反射された測長光を受光装置に向かわせるようにしており、従来のように参照光を位置が固定された固定鏡に向かわせる必要がないため部材を省略することができ、その結果として小型・軽量化を図ることができる。
また、本発明の第2の観点による干渉計は、前記分割手段が、前記測長光及び前記参照光がともに通過する第1プリズム(12a)と、該第1プリズムに接合され、前記測長光のみが通過する第2プリズム(12b、21)と、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの境界面に形成された偏光膜(12c)とを有することを特徴としている。
ここで、前記第2プリズムは、屈折率の温度係数が負であることを特徴としている。
この発明によれば、測長光のみが通過する第2プリズムは屈折率の温度係数が負である材料を用いているため、例えば温度上昇により第2プリズムが膨張して光路長が長くなったとしても屈折率が低下するため、光路長の変化を相殺することができ、その結果として測定誤差の発生を極力抑えることができる。
本発明のステージ装置は、所定の方向に移動可能なステージ(32)を備えたステージ装置(30)であって、前記測長対象物として前記ステージに設けられた移動鏡(39a、39b)を備え、前記測長光を前記移動鏡に導くことで前記ステージの位置を測定する上記の何れかに記載の干渉計を備えることを特徴としている。
また、本発明のステージ装置は、所定の方向に移動可能なステージ(32)を備えたステージ装置(30)であって、前記測長対象物として位置が固定された固定鏡(42)を備えるとともに、前記分割手段がステージに設置されており、前記測長光を前記固定鏡に導くことで前記ステージの位置を測定する上記の何れかに記載の干渉計を備えることを特徴としている。
本発明の露光装置は、マスク(R)を保持するマスクステージ(81)と、基板(W)を保持する基板ステージ(87)とを備え、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光装置(EX)であって、前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方が上記のステージ装置であることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による干渉計、ステージ装置、及び露光装置について詳細に説明する。
【0017】
〔干渉計〕
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による干渉計の構成を示す図である。図1に示す干渉計10は、レーザ光源11、光分割部材12、1/4波長板13、移動鏡14、及び検出器15を含んで構成される。レーザ光源11は偏光方向が異なる(例えば、偏光方向が直交する)少なくとも2つのレーザ光を射出する。尚、本実施形態においては、レーザ光源11は1つの波長のレーザ光のみを射出するものとする。尚、レーザ光源は、本発明にいう光源に相当するものである。
【0018】
また、以下の説明では、レーザ光源11から射出されるレーザ光の内、偏光方向が紙面に直交する方向であるレーザ光を測長光といい、その光路(第1の光路)を実線で示す。また、レーザ光源11から射出されるレーザ光の内、偏光方向が紙面内の方向であるレーザ光を参照光といい、その光路(第2の光路)を破線で示す。尚、図1においては、発明の理解を容易にするため、測長光の光路と参照光の光路とを明確に分けて図示しているが、実際には参照光の光路の全体が測長光の光路の一部とほぼ合致しており、参照光の光路は全経路が測長光の光路に含まれている。
【0019】
光分割部材12は、本発明にいう分割手段に相当するものであり、レーザ光源11から射出されたレーザ光を偏光状態に応じて分割するものである。本実施形態においては、偏光方向が紙面に直交する方向であるレーザ光を透過させ、偏光方向が紙面内の方向であるレーザ光を反射するものとする。光分割部材12は、第1プリズムとしての直角プリズム12aと、直角プリズム12aに接合された第2プリズムとしての直角プリズム12bとを備えており、これらの何れか一方に偏光膜としての偏光ビームスプリッタ膜12cを蒸着してから張り合わせたものである。つまり、偏光ビームスプリッタ膜12cは直角プリズム12aと直角プリズム12bとの境界面に形成されている。
【0020】
具体的には、偏光ビームスプリッタ膜12cは、例えば直角プリズム12aの角度が90°である頂角を形成する2つの面の内の一方の面に蒸着されており、直角プリズム12a,12bは角度が90°である頂角同士が隣り合い、且つ偏光ビームスプリッタ膜12cが直角プリズム12a,12b間に位置するように張り合わされている。図1に示す通り、レーザ光源11は測長光及び参照光の射出方向が直角プリズム12aの底面(角度が45°である底角に挟まれる面)に対して垂直になるよう配置されており、検出器15は直角プリズム12aの底面から垂直に射出される測長光及び参照光を受光することができるように配置されている。
【0021】
直角プリズム12aは温度の上昇に伴って屈折率が高くなる光学材料を用いて形成されており、直角プリズム12bは温度が上昇した際に屈折率が低下する光学材料を用いて形成されている。温度の上昇に伴って屈折率が高くなる光学材料としては、光学材料のパラメータの一つである(dn/dT)(屈折率の温度依存性:相対屈折率の温度変化率)の値が正であるガラスを用いることができ、温度が上昇した際に屈折率が低下する光学材料としては、(dn/dT)の値が負であるガラスを用いることができる。
【0022】
これは、以下の理由による。つまり、図1を参照すると分かるように、直角プリズム12a中においては参照光と測長光との両方が同じ光路上を通過するため、例えば温度上昇により直角プリズム12aが膨張するとともに直角プリズム12bの屈折率が高くなっても、直角プリズム12a中における参照光と測長光との相対的な光路長の変化は生じない。
【0023】
これに対して、直角プリズム12b中は測長光のみが通過する。このため、仮に直角プリズム12bの光学材料として屈折率の温度依存性(dn/dT)が正の光学材料を用いると、例えば温度上昇により直角プリズム12bが膨張して直角プリズム12b中における測長光の光路長が長くなるとともに屈折率が高くなり、直角プリズム12b中における測長光の光路長が長くなる。その結果、測長光と参照光と相対的な光路長が変化して測定誤差が生じてしまう。かかる不具合を防止するため、本実施形態では、直角プリズム12bの光学材料として屈折率の温度依存性(dn/dT)が負の光学材料を用いている。このような構成にすることで、例えば温度上昇により直角プリズム12bが膨張して光路長が長くなったとしても屈折率が低下するため、光路長の変化を相殺することができる。
【0024】
直角プリズム12aを形成する具体的なガラスとしては、例えば石英ガラスを用いることができる。また、直角プリズム12bを形成する具体的なガラスとしては、例えばSCHOTT GLAS社の商品名FK51、FK52、FK54、若しくはPK51で特定されるガラス、又は株式会社オハラの商品名S−FPL51、S−FPL52、若しくはS−FPL53で特定されるガラス、又は株式会社ニコンが製造している商品名F+PC102で特製されるガラスを用いることができる。上記の石英ガラスの相対屈折率の温度変化率は1×10−5程度であるのに対し、上記商品名FK52で特定されるガラスは相対屈折率の温度変化率は−6.5×10−6程度である。
【0025】
1/4波長板13は入射する直線偏光を円偏光に変換するとともに、入射する円偏光を直線偏光に変換するものであり、入射面が直角プリズム12bの底面と平行になるように配置されている。移動鏡14は紙面に対して直交する反射面を有し、この反射面が直角プリズム12bの底面と平行になるように配置されている。移動鏡14は、例えば不図示の移動体に取り付けられて図中の符号D1を付した方向に移動する。尚、移動鏡14は、本発明にいう測長対象物に相当するものである。検出器15は、本発明にいう受光装置に相当するものであり、光分割部材12をなす直角プリズム12aの底面から垂直に射出される参照光及び測長光を干渉させて得られる干渉光を検出し、移動鏡14の位置情報を測定する。
【0026】
図1に示した本発明の第1実施形態による干渉計10と図10に示した従来のレーザ干渉計100とを比較すると、従来のレーザ干渉計100は固定鏡107を必須の構成としているのに対し、本実施形態の干渉計10は固定鏡107に相当する構成が省略されている点が大きく相違する。また、本実施形態の干渉計10は従来のレーザ干渉計100に設けられていた1/4波長板104及びコーナーキューブ105が省略されている。
【0027】
上記構成において、レーザ光源11から射出された測長光及び参照光は、直角プリズム12aの底面から光分割部材12内に入射し、直角プリズム12aで90°だけ反射された後、ビームスプリッタ膜12cに入射する。ビームスプリッタ膜12cに入射した参照光はビームスプリッタ膜12cで反射されて直角プリズム12aの底面から垂直に射出されて検出器15に入射する。
【0028】
一方、ビームスプリッタ膜12cに入射した測長光はビームスプリッタ膜12cを透過し、1/4波長板13を介して円偏光に変換された後、移動鏡14に入射する。移動鏡14に入射した測長光(円偏光)は移動鏡14で反射されて、再度1/4波長板13を通過することで偏光方向が紙面に平行な方向となる。この測長光が直角プリズム12bの底面から光分割部材12に入射すると、ビームスプリッタ膜12cで反射される。
【0029】
ビームスプリッタ膜12cで反射された測長光は直角プリズム12aで90°だけ反射され、1/4波長板13を介して円偏光に変換された後、再び移動鏡14に入射する。移動鏡14に入射した測長光(円偏光)は移動鏡14で反射されて、再度1/4波長板13を通過することで偏光方向が紙面に対して直交する方向となる。この測長光が直角プリズム12bの底面から光分割部材12に入射すると、ビームスプリッタ膜12cを透過して直角プリズム12aの底面から垂直に射出されて検出器15に入射する。
【0030】
このようにして、直角プリズム12aで反射された参照光と移動鏡14で反射された測長光とが検出器15に入射し、これらを干渉させて得られる干渉光が検出される。ここで、温度等の変化が無いと仮定すると、レーザ光源11から直角プリズム12aを介して検出器15までの距離、即ち参照光の光路の距離は不変である。従って、この参照光の光路を、従来のレーザ干渉計100に設けられた固定鏡107を介する光路LP2のような基準の光路として用いることができる。
【0031】
一方、光分割部材12と移動鏡14との間の距離は変化する。このため、検出器15で得られる干渉光の干渉状態は光分割部材12と移動鏡14との間の距離の変化を反映したものとなり、検出器15は干渉縞の変化から移動鏡14の位置情報を測定することができる。このように、本実施形態の干渉計10は、従来のレーザ干渉計100が備える固定鏡107に相当する構成が省略されていても、移動鏡14の位置情報を測定することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の干渉計10は、図10に示す従来のレーザ干渉計100と比較すると、1/4波長板104、コーナーキューブ105、及び固定鏡107が省略された構成であるため、小型・軽量化を図ることができる。また、従来の固定鏡107に相当する構成が省略されているが、本実施形態においては参照光の光路が従来の固定鏡107を介する光路に相当する光路となっているため移動鏡14の位置情報を測定することができる。
【0033】
更に、参照光の光路の全てを測長光の光路に含めた構成としたため、参照光の光路長が変化しても測長光の光路長も同じだけ変化する。これにより測定誤差の発生を極力抑えることができる。また更に、プリズム12bの光学材料として屈折率の温度依存性(dn/dT)が負の光学材料を用いているため、例えば温度上昇により直角プリズム12bが膨張して測長光の光路長が長くなったとしても屈折率が低下するため、測長光の光路長の変化を相殺することができる。これにより、測定誤差の発生を極力抑えることができる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に干渉計について説明する。図2は、本発明の第2実施形態による干渉計の構成を示す図である。尚、図2に示す本発明の第2実施形態による干渉計20を構成する部材の内、図1に示した本発明の第1実施形態による干渉計10に設けられた構成と同様の部材には同一の符号を付してある。
【0035】
図2に示す干渉計20と図1に示す干渉計10とが異なる点は、光分割部材12に代えて光分割部材22を設けた点である。光分割部材22は、本発明にいう分割手段に相当するものであり、図1に示した光分割部材12と同様に、レーザ光源11から射出されたレーザ光を偏光状態に応じて分割するものであり、例えば偏光方向が紙面に直交する方向であるレーザ光を透過させ、偏光方向が紙面内の方向であるレーザ光を反射する。
【0036】
光分割部材22は、光分割部材12と同様に直角プリズム12aを備えており、偏光ビームスプリッタ膜12cが形成されている。しかしながら、直角プリズム12bに代えてコーナーキューブプリズム21を備える点が異なる。コーナーキューブプリズム21は、周知の通り、外形形状が立方体の1つの頂点と隣接する3本の稜線で定められる四角体の形状であり、どの方向から光束を入射させても必ず光束の入射方向へ入射した光束を反射させるものである。尚、このコーナーキューブプリズム21は本発明にいう第2プリズムに相当するものである。
【0037】
また、第1実施形態と同様の理由から、コーナーキューブプリズム21は温度が上昇した際に屈折率が低下する光学材料を用いて形成されている。このコーナーキューブプリズム21についても、温度が上昇した際に屈折率が低下する光学材料としては、(dn/dT)の値が負であるガラスを用いることができ、具体的には第1実施形態で挙げた商品名で特定されるガラスを用いることができる。
【0038】
コーナーキューブプリズム21を備えることで、移動鏡14の反射面がコーナーキューブプリズム21の底面(1/4波長板13に対向する面)に平行でなく傾いていたとしても、この傾きの影響を受けずに移動鏡14の位置情報を測定することができる。図3は、コーナーキューブプリズム21の機能を説明するための図である。尚、図3においては、レーザ光源11及び検出器15並びに光分割部材12内部での測長光及び参照光の光路の図示は省略している。
【0039】
図3に示す通り、移動鏡14がコーナーキューブプリズム21の底面に対して傾いて配置されている場合を考える。この場合、偏光ビームスプリッタ膜12cを通過した測長光は、コーナーキューブプリズム21の底面から垂直に射出され、1/4波長板13を介して光路P1を進み、移動鏡14に入射する。ここで、移動鏡14が傾いているため、移動鏡14で反射された測長光は入射した光路P1とは異なる光路P2を進み、1/4波長板13を介してコーナーキューブプリズム21に入射する。尚、コーナーキューブプリズム21への入射角は移動鏡14の傾きに等しい角度である。
【0040】
コーナーキューブプリズム21に入射した測長光は、コーナーキューブプリズム21の頂角を形成する3つの面のそれぞれで反射されて(計3回反射されて)、入射角と同じ角度をもってコーナーキューブプリズム21から射出される。コーナーキューブプリズム21から射出された測長光は1/4波長板13を介して光路P1を進み、移動鏡14に入射する。
【0041】
このとき、測長光は測長光が光路P1を進んで入射したときの反射角と同じ角度を有する入射角で移動鏡14に入射するため、移動鏡14に反射されたときの反射角は、移動鏡14に対する光路P1の入射角と等しくなる。つまり、移動鏡14で反射された測長光は光路P1と平行な光路P4を進むことになる。この光路P4を進んだ測長光は、1/4波長板13を介してコーナーキューブプリズム21に垂直に入射する。
【0042】
このように、本実施形態では、どの方向から光束を入射させても必ず光束の入射方向へ入射した光束を反射させるというコーナーキューブ21の性質を利用し、測長光を移動鏡14で2回反射させることで、移動鏡14の傾きの影響を受けることなく移動鏡14の位置情報を精確に測定している。尚、図3においては、理解を容易にするため、移動鏡14が紙面に垂直な軸の周りに傾いている場合を例に挙げて説明したが、紙面に水平で光路P2,P4に平行な軸の周りに傾いている場合、及び紙面に水平で光路P2,P4に垂直な軸の周りに傾いている場合の何れの場合でも移動鏡14の傾きの影響を排除することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態による干渉計について説明したが、本発明の干渉計は上記実施形態に限られず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、レーザ光源11から射出される測長光と参照光とは波長が同一で偏光方向が互いに直交するレーザ光であったが、測長光と参照光との波長は必ずしも同一である必要はなく異なっていても良い。また、上記実施形態では偏光方向の違いを利用して、測長光と参照光とを光分割部材12,22で分割していた。しかしながら、測長光の波長と参照光の波長とを予め異ならせておき、光分割部材12,22に代えて異なる波長を分割するビームスプリッタを設けて、測長光と参照光とを分割するようにしても良い。尚、光分割部材12,22のビームスプリッタ膜12cが形成されていない面に、誘電体膜や金属膜等からなる反射膜を形成しておいてもよい。
【0044】
〔ステージ装置〕
次に、本発明の一実施形態によるステージ装置について説明する。図4は、本発明の一実施形態によるステージ装置の構成を示す上面図である。尚、以下の説明においては、図4中に示したようにXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Z軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
【0045】
図4に示すステージ装置30は1つの大きな定盤31を備えており、この定盤31上にステージとしてのスライダ32とカウンタマス33とが定盤31に沿って2次元的に移動可能に、且つZ軸回りで回転自在に支持されている。尚、定盤31の材料として金属やセラミックスを用いることができる。スライダ32及びカウンタマス33の底面には不図示の複数のエアベアリング(エアパッド)が固定されており、これらのエアベアリングによってスライダ32及びカウンタマス33が定盤31上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0046】
カウンタマス33はスライダ32の移動方向と反対方向に移動することで、運動量保存則によりスライダ32の移動に伴って生ずる反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐためのものである。カウンタマス33は、中央部が中空にされた矩形形状であり、スライダ32に対する重量比が所定の比(例えば1対10の重量比)になるよう設定されている。
【0047】
定盤31をなす4つの辺の内のY軸に沿った1つの辺には、カウンタマス33をX方向に駆動するための一対のトリムモータ34a,34bが設けられており、X軸に沿った1つの辺には、カウンタマス33をY方向に駆動するための一対のトリムモータ35a,35bが設けられている。同一の駆動量でトリムモータ34a,34bを駆動するとカウンタマス33がX方向に平行移動し、同一の駆動量でトリムモータ35a,35bを駆動するとカウンタマス33がY方向に平行移動する。また、トリムモータ34a,34b,35a,35bの駆動量を変えて駆動することで、カウンタマス33がZ軸回りに回転する。尚、図4ではカウンタマス33の姿勢を誇張して表しているが、通常はほぼXY軸に沿うように位置している。
【0048】
カウンタマス33の中央部に形成された中空部には、スライダ32をY方向に移動させるための一対のリニアモータ36,37の固定子36a,37aがそれぞれ取り付けられているとともに、スライダ32をX方向に微動させるためのXボイスコイルモータ38の固定子38aが取り付けられている。これらの固定子36a,37b,38aは、Y方向に延在して互いに平行となるようにカウンタマス33に取り付けられている。
【0049】
一方、リニアモータ36,37の可動子36b,37bは、スライダ32の両端部に固定されており、Xボイスコイルモータ38の固定子38bは、リニアモータ37の固定子37bに固定されている。以上の構造により、リニアモータ36,37及びXボイスコイルモータ38は、定盤31上に非接触ベアリングである不図示の複数のエアベアリング(エアパッド)によって浮上支持されている。
【0050】
リニアモータ36,37及びXボイスコイルモータ38は、何れも永久磁石ユニットが可動子36b,37b,38bに固定され、コイルユニットが固定子36a,37a,38aに固定されるMM型(ムービングマグネット型)で構成される。しかしながら、かかる構成は必ずしも必須の構成ではなく、場合によっては3個の全て又は一部について磁石ユニットとコイルユニットの配置を逆にしたMC(ムービングコイル)型にしてもよい。
【0051】
スライダ32は、バキュームチャックBCに加え、不図示のメカニカルクランプを介してレチクル等の載置物を吸着保持するようになっている。また、スライダ32の+Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対の移動鏡39a,39bが固定されている。この移動鏡39a,39bに対向する位置には、例えば図1に示した干渉計10がそれぞれ設けられ、移動鏡39a,39bは干渉計10が備える移動鏡14として用いられ、1/4波長板13を介した測長光が照射される。移動鏡39a,39bで反射された測長光を用いてスライダ32のY方向の位置方向が高精度に測定される。
【0052】
尚、図10に示した従来のレーザ干渉計100を移動鏡39a,39bに対向する位置に設け、移動鏡39a,39bをレーザ干渉計100が備える移動鏡106として用いるようにしても良い。但し、この場合には、移動鏡39a,39b各々に対して設けられたレーザ干渉計100に対して所定の位置に固定された固定鏡107がそれぞれ設けられることが条件となる。また、これら2つの干渉計10で得られたスライダ32のそれぞれのY方向に関する位置情報を用いて両者の差を求めることで、スライダ32のZ軸回りの回転θZに関する情報を精度良く得ることができる。
【0053】
また、スライダ32の−X方向の端部(リニアモータ36の可動子36b)には、レーザ光源40から射出される測長光及び参照光の内、測長光を固定バーミラー42に照射する一対の光照射部41a,41bが取り付けられている。固定バーミラー42は、Y方向に延びるミラーであり、光照射部41a,41bに対向する位置(光照射部41a,41bに対して−X方向の位置)にあって、定盤31上に固定されている。尚、固定バーミラー42は、本発明にいう固定鏡に相当するものである。更に、定盤31上には測長光照射部41a,41bを介した測長光及び参照光を受光する検出器43a,43bが取り付けられている。これらのレーザ光源40、光照射部41a,41b、固定バーミラー42、及び検出器43a,43bは、スライダ32のX方向の位置情報を高精度に測定する。また、前述の干渉計10と同様に検出器43a,43bで得られた情報を用いてスライダ32のZ軸回りの回転θZに関する情報を精度良く求めることができる。
【0054】
ここで、レーザ光源40、光照射部41a,41b、固定バーミラー42、及び検出器43a,43bの構成について詳細に説明する。図5は、本発明の一実施形態によるステージ装置に設けられるレーザ光源40、光照射部41a,41b、固定バーミラー42、及び検出器43a,43bの構成を示す上面図である。尚、図5において、図4中に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。また、図1〜図3と同様に、レーザ光源40から射出されるレーザ光の内、偏光方向が紙面に直交する方向であるレーザ光を測長光といい、その光路を実線で示す。また、レーザ光源40から射出されるレーザ光の内、偏光方向が紙面内の方向であるレーザ光を参照光といい、その光路を破線で示す。更に、図5においては、発明の理解を容易にするため、測長光の光路と参照光の光路とを明確に分けて図示しているが、実際には参照光の光路の全体が測長光の光路の一部とほぼ合致しており、参照光の光路は全経路が測長光の光路に含まれている。
【0055】
図5に示すレーザ光源40は図1及び図2に示すレーザ光源11に相当する構成であり、光照射部41a,41bは図1に示す光分割部材12又は図2に示す光分割部材22と1/4波長板13とに相当する構成である。また、固定バーミラー42は図1及び図2に示す移動鏡14に相当する構成であり、検出器43a,43bは、図1及び図2に示す検出器15に相当する構成である。
【0056】
光照射部41aは、ハーフプリズム43、直角プリズム44、偏光ビームスプリッタ膜45、及び1/4波長板46から構成される。ハーフプリズム43は、2つの直角プリズムを張り合わせて形成され、レーザ光源40から射出される測長光及び参照光を強度比で1対1に分割する。このハーフプリズム43は、図1及び図2に示す直角プリズム12aに相当するものであるが、レーザ光源40から射出される測長光及び参照光の一部を光照射部41bにも導く必要があるため、直角プリズム12aに代えてハーフプリズム43を設けている。
【0057】
ハーフプリズム43は、レーザ光源40から射出される測長光及び参照光を強度比で1対1に分割する点を除けば図1及び図2に示す直角プリズム12aと同様の機能を有する。直角プリズム44、偏光ビームスプリッタ膜45、及び1/4波長板46は、それぞれ、図1に示す直角プリズム12b、偏光ビームスプリッタ膜12c、及び1/4波長板13と同じ機能を有するものである。
【0058】
光照射部41bは、菱形プリズム47、直角プリズム48、偏光ビームスプリッタ膜49、及び1/4波長板50から構成される。菱形プリズム47は光照射部41aに設けられたハーフプリズム43で分割された一部の測長光及び参照光を受けるために設けられる。この菱形プリズム47は、図1及び図2に示す直角プリズム12aに相当するものであるが、レーザ光源40と検出器43bとの位置関係が図1及び図2に示すレーザ光源11と検出器15との位置関係とは逆であるため、直角プリズム12aに代えて菱形プリズム47を設けている。直角プリズム48、偏光ビームスプリッタ膜49、及び1/4波長板50は、それぞれ、図1に示す直角プリズム12b、偏光ビームスプリッタ膜12c、及び1/4波長板13と同じ機能を有するものである。
【0059】
ここで、図1〜図3を用いて説明した干渉計10,20はレーザ光源11、光分割部材12,22、1/4波長板13、及び検出器15の位置が固定されており、移動鏡14が不図示の移動体に取り付けられて移動体の移動に伴って移動鏡14が移動するものとして説明した。しかしながら、図4及び図5に示すステージ装置に設けられた干渉計は、図1〜図3に示す干渉計10,20とは逆の構成である。つまり、固定バーミラー42及び検出器43a,43bが定盤31上に位置を固定して取り付けられており、光照射部41a,41bがスライダ32(リニアモータ36の可動子36b)に取り付けられて、スライダ32の移動に伴って光照射部41a,41bも移動する構成である。
【0060】
上記構成において、レーザ光源40から−Y方向に射出された測長光及び参照光は、光照射部41aに設けられたハーフプリズム43において所定の強度比で分割される。ハーフプリズム43で分割されて−X方向に進む参照光は偏光ビームスプリッタ膜45で+Y方向に反射されて検出器43aに入射する。一方、ハーフプリズム43で分割されて−X方向に進む測長光は偏光ビームスプリッタ膜45を透過して1/4波長板46を介して円偏光に変換された後、固定バーミラー42に入射する。
【0061】
この測長光(円偏光)は固定バーミラー42で反射されて再度1/4波長板46を通過することで偏光方向が紙面に平行な方向となり、直角プリズム44に入射する。直角プリズム44に入射した測長光は、偏光ビームスプリッタ膜45で−Y方向に反射されて直角プリズム44で−X方向に反射され、1/4波長板46を介して円偏光に変換された後、再び固定バーミラー42に入射する。この測長光(円偏光)は固定バーミラー42で反射されて再度1/4波長板46を通過することで偏光方向が紙面に対して直交する方向となる。この測長光が直角プリズム44に入射して+Y方向に反射されると、偏光ビームスプリッタ膜45を透過して検出器43aに入射する。
【0062】
一方、光照射部41aに設けられたハーフプリズム43で分割されて−Y方向に進む測長光及び参照光は、光照射部41bに設けられた菱形プリズム47に入射して−X方向に反射されて偏光ビームスプリッタ膜49に入射する。偏光ビームスプリッタ膜49に入射した参照光は−Y方向に反射されて検出器43bに入射し、偏光ビームスプリッタ膜49に入射した測長光は偏光ビームスプリッタ膜49を透過して1/4波長板50を介して円偏光に変換された後、固定バーミラー42に入射する。
【0063】
この測長光(円偏光)は固定バーミラー42で反射されて再度1/4波長板50を通過することで偏光方向が紙面に平行な方向となり、直角プリズム48に入射する。直角プリズム48に入射した測長光は、偏光ビームスプリッタ膜49で+Y方向に反射されて直角プリズム48で−X方向に反射され、1/4波長板50を介して円偏光に変換された後、再び固定バーミラー42に入射する。この測長光(円偏光)は固定バーミラー42で反射されて再度1/4波長板50を通過することで偏光方向が紙面に対して直交する方向となる。この測長光が直角プリズム48に入射して−Y方向に反射されると、偏光ビームスプリッタ膜49を透過して検出器43bに入射する。
【0064】
ここで、スライダ32がX方向に移動し、又はZ軸回りに回転すると、固定バーミラー42と光照射部41a,41bとの相対的な距離が変化するため、測長光の光路長が変化する。しかしながら、スライダ32がX方向に移動しても参照光の光路長は変化しない。このため、検出器43aで得られる干渉光の干渉状態は固定バーミラー42と光照射部41aとの間の距離の変化を反映したものとなり、検出器43bで得られる干渉光の干渉状態は固定バーミラー42と光照射部41bとの間の距離の変化を反映したものとなる。このようにして、検出器43a,43bは干渉縞の変化からスライダ32のX方向における位置情報を測定することができ、検出器43a,43bの測定結果の差からスライダ32のZ軸回りの回転量を求めることができる。
【0065】
一方、スライダ32がY方向に移動すると、スライダ32の移動に伴って光照射部41a,41bもY方向移動する。このときは、固定バーミラー42はY方向に延びるよう配置されているため、固定バーミラー42と光照射部41a,41bとの相対的な距離は変化しないが、スライダ32の移動に伴って測長光及び参照光の光路長が変化してしまう。
【0066】
しかしながら、図5を参照すると、参照光の光路の全てが測長光の光路に含まれているため、スライダ32の移動に伴って生じる測長光の光路長の変化と参照光の光路長の変化とは等しくなる。このため、スライダ32がY方向に移動しても、固定バーミラー42と光照射部41a,41bとのX方向の相対的な位置変化が生じない限り(測長光のみの光路長の変化が生じない限り)はスライダ32がY方向に移動しても、検出器43a,43bで得られる干渉光の干渉状態は変化しないため、検出誤差が生ずることはない。
【0067】
以上説明したように、図4に示すステージ装置30においては、スライダ32のX方向の位置情報はスライダ32に取り付けられた移動鏡39a,39bに測長光を照射して得られる反射光を用いて測定されている。一方、スライダ32のX方向の位置情報等は、スライダ32の端部(リニアモータ36の可動子36b)に取り付けられた光照射部41a,41bから測長光を定盤31上に固定された固定バーミラー42に照射して得られる反射光を用いて測定されている。
【0068】
かかる構成にするのは、以下の理由による。つまり、図4に示すステージ装置30が備えるスライダ32はY方向の移動可能範囲(ストローク)が大きく、X方向のストロークが小さく設定されている。ここで、仮にスライダ32に取り付けられた移動鏡を用いてX方向の位置情報とY方向の位置情報とを共に測定しようとすると、X方向の位置情報を測定するためにはY方向に延びた移動鏡をスライダ32に取り付ける必要があり、スライダ32が大型化するとともに、スライダ32の重量が重くなる。
【0069】
このため、図4に示すステージ装置30は、Y方向に延びた固定バーミラー42が定盤31上に取り付けられるとともに、光照射部41a,41bがスライダ32の端部(リニアモータ36の可動子36b)に取り付けられた構成の干渉計を用いてスライダ32のX方向の位置情報を測定することで、スライダ32の小型化及び軽量化を図っている。
【0070】
以上、本発明の一実施形態によるステージ装置30について説明したが、図4に示すステージ装置30はスライダ32のY方向のストロークが大きく、X方向のストロークが小さいものであった。前述した干渉計10,20をX方向及びY方向のストロークが共に大きなステージ装置に適用する場合には、例えば前述した特許文献2又は特開平10−261694号公報に開示された技術を用いることができる。以下、本発明の実施形態による干渉計を前述した特許文献2に開示された技術に適用したステージ装置について説明する。
【0071】
図6は、本発明の実施形態による干渉計を備えるステージ装置の他の構成例の概略を示す上面図である。図6に示すステージ装置70は、Y方向に平行に延びる一対のレール51に沿ってY方向に移動自在に構成された矩形状のYテーブル52と、Yテーブル52上にX方向に平行に敷設された一対のレール53に沿ってX方向に移動自在に構成された矩形状のXテーブル54とを備えている。
【0072】
Yテーブル52の端部にはレーザ光源55から射出される−Y方向に進む測長光及び参照光を+X方向に偏向させる反射プリズム56が取り付けられている。尚、レーザ光源55は図1,図2に示したレーザ光源11又は図4,図5に示したレーザ光源40と同様のものであり、互いに偏光方向が異なる測長光及び参照光を射出する。また、Xテーブル54の端部にはY方向の位置が反射プリズム56のY座標と等しく設定されたビームスプリッタ57が取り付けられている。このビームスプリッタ57は、反射プリズム56から+X方向に進む測長光及び参照光を所定の強度比(例えば1対1)に分割する。
【0073】
また、Xテーブル54上には、X方向の位置がビームスプリッタ57のX座標とほぼ等しく設定された一対の受光部58a,58bが取り付けられているとともに、Y方向の位置がビームスプリッタ57のY座標とほぼ等しく設定された一対の受光部59a,59bが取り付けられている。また、受光部58a,58bの−X方向であって、Xテーブル54のストローク外の位置にはY方向に延びる固定バーミラー60が取り付けられており、受光部59a,59bの+Y方向であって、Yテーブル52のストローク外の位置にはX方向に延びる固定バーミラー61が取り付けられている。
【0074】
受光部58aは図5に示す光照射部41aと検出器43aとを合わせた構成に相当するものであり、受光部58bは光照射部41bと検出器43bとを合わせた構成に相当するものである。つまり、受光部58a,58bは、測長光を固定バーミラー60に照射して固定バーミラー60との相対的な距離の変化をそれぞれ検出する。同様に、受光部59aは図5に示す光照射部41aと検出器43aとを合わせた構成に相当するものであり、受光部59bは光照射部41bと検出器43bとを合わせた構成に相当するものである。つまり、受光部59a,59bは、測長光を固定バーミラー61に照射して固定バーミラー61との相対的な距離の変化をそれぞれ検出する。
【0075】
上記構成において、Yテーブル52はレール51に沿ってY方向に移動するため、Yテーブル52上に取り付けられた反射プリズム56はYテーブル52とともにY方向のみに移動する。このため、Yテーブル52がY方向に移動してY方向の位置が変化しても、レーザ光源55から射出される測長光及び参照光は、常に反射プリズム56に導かれる。
【0076】
また、Xテーブル54上に取り付けられたビームスプリッタ57はY方向の位置が反射プリズム56反射プリズム56のY座標と等しく設定されており、Xテーブル54はYテーブル52上に敷設されたレール53に沿ってX方向のみに移動する。このため、Xテーブル55がX方向に移動してX方向の位置が変化しても、反射プリズム56で+X方向に偏向された測長光及び参照光は、常にビームスプリッタ57に入射する。
【0077】
ビームスプリッタ57、受光部58a,58b、及び受光部59a,59bはXテーブル54上に取り付けられており相対的な位置関係が変化しない。よって、Yテーブル52の移動によってXテーブル54のY方向の位置が変化し、またXテーブル54の移動によってXテーブル54のX方向の位置が変化しても、レーザ光源55からの測長光及び参照光は、常に反射プリズム56及びビームスプリッタ57を介して受光部58a,58b及び受光部59a,59bに導かれる。このため、図6に示すステージ装置70は、Xテーブル54のX方向及びY方向のストロークが共に大きくてもXテーブル54のX方向及びY方向の位置情報を共に測定することができる。
【0078】
また、ビームスプリッタ57、受光部58a,58b、及び受光部59a,59bの相対位置は変化しないため、ビームスプリッタ57から受光部58a,58b、及び受光部59a,59bの各々に設けられた検出器(図示省略)までの参照光の光路は変化しない。一方、Xテーブル54又はYテーブル52の移動により、レーザ光源55から反射プリズム56を介してビームスプリッタ57に至るまでの参照光の光路の光路長は変化する。
【0079】
しかしながら、この光路は測長光と共通の光路であり、レーザ光源55から反射プリズム56を介してビームスプリッタ57に至るまでの間において、測長光と参照光との間には光路長の差は生じない。このため、図6に示す構成においては、Xテーブル54又はYテーブル52の移動により生ずる受光部58a,58bと固定バーミラー60との間の相対的な距離の変化、及び受光部59a,59bと固定バーミラー61との間の相対的な距離の変化を高い精度で測定することができる。
【0080】
〔露光装置〕
次に、本発明の一実施形態による露光装置について詳細に説明する。図7は、本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。図7に示した露光装置EXは、レチクルRとウェハWとを所定方向(図7ではY軸方向)に沿って同期移動させつつレチクルRに形成されたパターンの像を順次ウェハWに転写する所謂ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置である。図7において、照明光学系80は、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)を射出する超高圧水銀ランプ、又はKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、若しくはFエキシマレーザ(波長157nm)等の光源を含み、これらの光源から射出される光の光強度分布を一様にするとともに、所定の形状に整形した照明光ILを射出する。
【0081】
レチクルステージ81は、マスクとしてのレチクルRを載置するマスクステージとして機能し、レチクルベース82上において、投影光学系PLの光軸AXの方向に微動可能で、且つその光軸AXに垂直な面内で2次元移動及び微小回転可能に構成される。尚、このレチクルベース82は、図4に示す定盤31に相当するものであり、レチクルRが移動してもデバイスパターンDPを透過した光が遮光されないように、中央部には孔部が形成されている。レチクルベース82の一端には、図4に示す固定バーミラー42に相当する固定バーミラー83が取り付けられている。尚、固定バーミラー83は、実際には長手方向がY方向に延びるよう配置されるが、図示の関係上、図7においては簡略化して図示している。
【0082】
この固定バーミラー83の鏡面に対向した位置であって、レチクルステージ81上の一端にはレチクルステージ81のX方向の位置情報及びZ軸回りの回転θZを測定するためのレーザ干渉計84が配置されている。このレーザ干渉計84は、図4に示すレーザ光源40、光照射部41a,41b、及び検出器43a,43bに相当するものであり、その測定結果は主制御系85に供給されている。尚、ここでは、図示の簡略化のため及び説明の簡単化のために、図4に示すレーザ光源40、光照射部41a,41b、及び検出器43a,43bを含む構成をレーザ干渉計84としているが、図4に示すようにレーザ光源40及び検出器43a,43bをレチクルベース82上に配置して、光照射部41a,41bのみをレチクルステージ81上に配置することが好ましい。
【0083】
尚、図7では図示を省略しているが、レチクルステージ81上には図4に示す移動鏡39a,39bと同様の移動鏡が取り付けられており、これらの移動鏡の鏡面に対向する位置であって、レチクルベース82上にレチクルステージ81のY方向の位置情報及びZ軸回りの回転θZを測定する不図示のレーザ干渉計が設けられている。レーザ干渉計84及び不図示のレーザ干渉計によって検出されたレチクルステージ81のX座標、Y座標、及びZ軸回りの回転θZを示す位置情報は主制御系85に供給される。主制御系85は供給されたステージ位置情報をモニターしつつ駆動系86へ制御信号を出力し、レチクルステージ81の位置決め動作を制御する。
【0084】
レチクルステージ81上に載置されたレチクルRには透明なガラス基板表面にクロム等によって半導体素子、液晶表示素子等のデバイスパターンDPが形成されている。照明光学系80から射出された照明光ILによってレチクルRが照明されると、レチクルRに形成されたデバイスパターンDPの像が投影光学系PLを介してウェハW上に転写される。ウェハWは、ウェハステージ87上に載置されている。尚、レチクルRのデバイスパターンDPが形成された面(パターン面)とウェハWの表面とは、投影光学系PLに関して光学的に共役に設定される。
【0085】
ウェハステージ87はXY平面内においてウェハWを移動させるXYステージ、Z軸方向にウェハWを移動させるZステージ、ウェハWをXY平面内で微小回転させるステージ、及びZ軸に対する角度を変化させてXY平面に対するウェハWの傾きを調整するステージ等から構成される。ウェハステージ87の上面の一端にはウェハステージ87の移動可能範囲以上の長さを有する移動鏡88が取り付けられ、移動鏡88の鏡面に対向した位置にレーザ干渉計90が配置されている。また、前述した投影光学系PLには固定鏡89が取り付けられている。
【0086】
レーザ干渉計90は、移動鏡88及び固定鏡89にレーザ光を照射し、各々の反射光を干渉させて得られる干渉光を検出してウェハステージ87の位置情報を測定する。尚、図7では図示を簡略化しているが、移動鏡88はX軸に垂直な鏡面を有する移動鏡及びY軸に垂直な鏡面を有する移動鏡から構成されている。また、レーザ干渉計90は、Y軸に沿って移動鏡88にレーザビームを照射する2個のY軸用のレーザ干渉計及びX軸に沿って移動鏡88にレーザビームを照射するX軸用のレーザ干渉計より構成され、Y軸用の1個のレーザ干渉計及びX軸用の1個のレーザ干渉計によりウェハステージ87のX座標及びY座標が測定される。また、Y軸用の2個のレーザ干渉計の測定値の差により、ウェハステージ87の回転角θZが測定される。レーザ干渉計90によって測定されたウェハステージ87のX座標、Y座標、及びZ軸回りの回転を示す位置情報は主制御系85に供給される。主制御系85は供給されたステージ位置情報をモニターしつつ駆動系91へ制御信号を出力し、ウェハステージ87の位置決め動作を制御する。
【0087】
レチクルRに形成されたデバイスパターンDPの像をウェハW上に転写するときには、まず、主制御系85は図示せぬレチクルライメント系を用いてレチクルRの正確な位置情報を測定するとともに、ウェハアライメント系を用いてウェハWの正確な位置情報を測定した後、これらの測定結果とレーザ干渉計84、前述のY方向とZ軸回りの回転θZの位置情報を測定する干渉計、及びレーザ干渉計90の測定結果とに基づいてレチクルRとウェハWの相対的な位置を調整する。次に、駆動系86及び駆動系90へ制御信号を出力して、レチクルRとウェハWとの移動を開始させ、スリット状の照明光ILをレチクルRに照射する。その後は、レーザ干渉計84、前述のY方向とZ軸回りの回転θZの位置情報を測定する干渉計、及びレーザ干渉計90の検出結果をモニタしつつ、レチクルRとウェハWとを同期移動させてデバイスパターンDPを逐次ウェハW上に転写する。
【0088】
主制御系85は、前述のY方向とZ軸回りの回転θZの位置情報を示す干渉計で計測されるレチクルステージ81のY軸方向の2つの測定値の平均値が所定の露光終了位置(Y座標)と合致したときに、ウェハW上の一つのショット領域の露光が終了したと判断し、照明光学系80内の光源からの照明光の射出を停止する。こうしてウェハW上の複数のショット領域が順次露光される。尚、レーザ干渉計84(干渉計10)で計測されるレチクルステージ81のY軸方向の2つの測定値の何れもが所定の露光終了位置(Y座標)を通過したときに、ウェハW上の一つのショット領域の露光が終了したと判断して、照明光学系80内の光源からの照明光の射出を止めるようにしても良い。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記の露光装置においては、本実施形態の干渉計をレチクルステージ81のX方向の位置情報及びZ軸回りの回転θZを測定するためのレーザ干渉計84に適用した場合を例に挙げて説明したが、レチクルステージ81のY方向の位置情報を測定するレーザ干渉計に適用することもできる。更には、ウェハステージ87の位置情報等を計測するレーザ干渉計90にも適用することができる。
【0090】
尚、上述の実施形態で説明した干渉計は、測長対象物(ステージ)の1次元あるいは2次元の位置情報を測定するために用いられているが、特開平10−97982号公報、特開2000−49066号公報、及び特表2001−513267号等に開示されているように、測長対象物の位置情報、回転や傾き等を求めるために干渉計システムを用いる場合にも本発明を適用できる。
【0091】
また、上記実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明したが、本発明はステップ・アンド・リピート方式の露光装置にも適用可能である。また、本実施形態の露光装置の照明光学系80が備える光源は、超高圧水銀ランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、又はFレーザ(157nm)のみならず、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB)、タンタル(Ta)を用いることができる。
【0092】
更に、光源としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。例えば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μmの範囲内とすると、発生波長が189〜199nmの範囲内である8倍高調波、又は発生波長が151〜159nmの範囲内である10倍高調波が出力される。
【0093】
特に、発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、発生波長が193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちFレ−ザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。また、発振波長を1.03〜1.12μmの範囲内とすると、発生波長が147〜160nmの範囲内である7倍高調波が出力され、特に発振波長を1.099〜1.106μmの範囲内とすると、発生波長が157〜158μmの範囲内の7倍高調波、即ちFレーザ光とほぼ同一波長となる紫外光が得られる。この場合、単一波長発振レーザとしては例えばイットリビウム・ドープ・ファイバーレーザを用いることができる。
【0094】
また、本発明は半導体素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、液晶表示素子(LCD)等を含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられてデバイスパターンをセラミックウェハ上へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置等にも適用することができる。更には、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハなどが用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【0095】
また、本発明のステージは、露光装置に設けられるレチクルステージ及びウェハステージのみならず、物体を載置した状態で移動させる(1次元的な移動又は2次元的な移動に制限されない)ステージ装置を制御する場合一般について適用することが可能である。
【0096】
また、本発明が適用される露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。尚、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0097】
次に、上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図8は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図8に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0098】
次に、ステップS13(ウェハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0099】
図9は、半導体デバイスの場合における、図8のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図9において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
【0100】
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光ステップ)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。次に、ステップS27(現像ステップ)においては露光されたウェハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0101】
以上説明したマイクロデバイス製造方法においては、露光ステップ(ステップS26)において前述した信号処理方法を用いてマスク及びウェハの位置情報が高い精度をもって測定されるため、ウェハ上に既に形成されているパターンとウェハ上に転写するパターンとの重ね合わせ精度を向上させることができ、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く生産することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、参照光用の第2の光路の全経路を測長光用の第1の光路に含ませるようにしたため、仮に参照光用の第2の光路の光路長が変化しても測長用の第1の光路の光路長が同一の長さだけ変化して第1の光路と第2の光路との相対的な光路長の変化は生じず、その結果として測定誤差の発生を極力抑えることができるという効果がある。
また、本発明によれば、光源から射出されて受光した測長光及び参照光の内、測長光を測長対象物に向かわせ、参照光を受光装置に向かわせるとともに、測長対象物で反射された測長光を受光装置に向かわせるようにしており、従来のように参照光を位置が固定された固定鏡に向かわせる必要がないため部材を省略することができ、その結果として小型・軽量化を図ることができるという効果がある。
更に、本発明によれば、測長光のみが通過する第2プリズムは屈折率の温度係数が負である材料を用いているため、例えば温度上昇により第2プリズムが膨張して光路長が長くなったとしても屈折率が低下するため、光路長の変化を相殺することができ、その結果として測定誤差の発生を極力抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による干渉計の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態による干渉計の構成を示す図である。
【図3】コーナーキューブプリズム21の機能を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態によるステージ装置の構成を示す上面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるステージ装置に設けられるレーザ光源40、光照射部41a,41b、固定バーミラー42、及び検出器43a,43bの構成を示す上面図である。
【図6】本発明の実施形態による干渉計を備えるステージ装置の他の構成例の概略を示す上面図である。
【図7】本発明の一実施形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図8】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図9】半導体デバイスの場合における、図8のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
【図10】従来のレーザ干渉計の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 レーザ干渉計(干渉計)
11 レーザ光源(光源)
12 光分割部材(分割手段)
12a 直角プリズム(第1プリズム)
12b 直角プリズム(第2プリズム)
12c 偏光ビームスプリッタ膜
13 1/4波長板)
14 移動鏡(測長対象物)
15 検出器(受光装置)
20 レーザ干渉計(干渉計)
21 コーナーキューブプリズム(第2プリズム)
22 光分割部材(分割手段)
30 ステージ装置
32 スライダ(ステージ)
39a 移動鏡
39b 移動鏡
42 固定バーミラー
81 レチクルステージ(マスクステージ)
87 ウェハステージ(基板ステージ)
EX 露光装置
R レチクル(マスク)
W ウェハ(基板)

Claims (13)

  1. 測長光と参照光との干渉に基づいて測長対象物の位置に関する情報を検出する干渉計であって、
    前記測長光用の第1の光路と、前記参照光用の第2の光路とを有し、前記第2の光路は全経路が前記第1の光路に含まれていることを特徴とする干渉計。
  2. 測長光と参照光とを射出する光源と、参照光及び測長対象物で反射した測長光とを受光する受光装置とを備えた干渉計であって、
    前記光源から射出された前記測長光と前記参照光とを受光して、前記測長光を前記測長対象物に向かわせ、前記参照光を前記受光装置に向かわせるとともに、前記測長対象物で反射された前記測長光を前記受光装置に向かわせる分割手段を備えることを特徴とする干渉計。
  3. 前記測長光と前記参照光とは、前記光源から射出された時点で互いに異なる偏光状態であることを特徴とする請求項2記載の干渉計。
  4. 前記測長光と前記参照光とは、波長が異なることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の干渉計。
  5. 前記分割手段は、前記測長光及び前記参照光がともに通過する第1プリズムと、該第1プリズムに接合され、前記測長光のみが通過する第2プリズムと、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの境界面に形成された偏光膜とを有することを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載の干渉計。
  6. 前記分割手段と前記測長対象物との間における前記測長光の光路上に1/4波長板が配置されていることを特徴とする請求項5記載の干渉計。
  7. 前記第2プリズムは、屈折率の温度係数が負であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の干渉計。
  8. 前記第1プリズム及び前記第2プリズムは、直角プリズムであることを特徴とする請求項5から請求項7の何れか一項に記載の干渉計。
  9. 前記第1プリズムは直角プリズムであり、前記第2プリズムはコーナーキューブプリズムであることを特徴とする請求項5から請求項7の何れか一項に記載の干渉計。
  10. 前記測長光と前記参照光とは、波長が異なることを特徴とする請求項5から請求項9の何れか一項に記載の干渉計。
  11. 所定の方向に移動可能なステージを備えたステージ装置であって、
    前記測長対象物として前記ステージに設けられた移動鏡を備え、前記測長光を前記移動鏡に導くことで前記ステージの位置を測定する請求項1から請求項10の何れか一項に記載の干渉計を備えることを特徴とするステージ装置。
  12. 所定の方向に移動可能なステージを備えたステージ装置であって、
    前記測長対象物として位置が固定された固定鏡を備えるとともに、前記分割手段がステージに設置されており、前記測長光を前記固定鏡に導くことで前記ステージの位置を測定する請求項1から請求項10の何れか一項に記載の干渉計を備えることを特徴とするステージ装置。
  13. マスクを保持するマスクステージと、基板を保持する基板ステージとを備え、前記マスクに形成されたパターンを前記基板上に転写する露光装置であって、
    前記マスクステージと前記基板ステージとの少なくとも一方が請求項11又は請求項12記載のステージ装置であることを特徴とする露光装置。
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