JP2004087593A - ステージ装置および露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルダの粗さ精度に依存することなく基板表面の平面度を向上させる。
【解決手段】基板Pを保持して移動する保持体5を有し、基板Pの所定領域を処理領域に移動させて所定の処理を施す。保持体5とは独立して設けられ、ベアリング機構35を用いて処理領域と対向する基板Pの裏面を支持する基板支持装置30を備える。
【選択図】 図4
【解決手段】基板Pを保持して移動する保持体5を有し、基板Pの所定領域を処理領域に移動させて所定の処理を施す。保持体5とは独立して設けられ、ベアリング機構35を用いて処理領域と対向する基板Pの裏面を支持する基板支持装置30を備える。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスプレートやウエハ等の基板を保持して移動する保持体を有するステージ装置および保持された基板に対して露光処理を施す露光装置に関し、特に基板表面の平面度を向上させる際に用いて好適なステージ装置および露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスやLSI等の製造に使用される投影露光装置においては、転写されるパターンの微細化に伴って高解像度化の要求が高まっている。投影露光装置に搭載されている投影光学系の解像力は、Rayleighの式で良く知られているように、R=k×λ/NAの関係で表される。ここで、Rは投影光学系の解像力、λは露光用の光の波長、NAは投影光学系の開口数、kはレジストの解像力の他にプロセスによって決定される定数である。
【0003】
従来、投影光学系の解像力を向上させるには、投影光学系のNAを大きくする方法が採られてきたが、一方で焦点深度はNA2で浅くなり、充分な焦点深度が得られなくなってきている。そのため、近年の露光装置、例えば幅0.25μmの回路パターンを転写できる能力を有するような装置では、焦点深度が1μm以下となり、パターンが転写されるガラスプレート等の基板においては、露光領域をより正確、且つ確実に投影光学系の焦点位置(焦点深度)に位置させることが求められている。
【0004】
この種の投影露光装置では、ガラスプレートは投影光学系の光軸方向(Z方向)および光軸に垂直な二方向(X、Y方向)に移動可能なプレートステージ上にプレートホルダを介して載置される。そして、露光に先立ってガラスプレートをZ方向に位置決めする際に、プレートホルダ上のガラスプレートに対して垂直ではない任意の角度をもった斜め方向から焦点検出用の検出光をショット領域(露光領域)の一点(または数点)に入射させ、ガラスプレートからの反射光を受光部となる検出器に導く、いわゆる斜入射反射型のオートフォーカス系でガラスプレート表面にフォーカスを合わせて焦点位置を検出し、投影光学系に対する光軸方向のガラスプレートの高さ(位置情報)を求めている。
【0005】
図8に、露光装置の構造例を示す。
照明光学系からの露光光ILがレチクルRに照射され、投影光学系(投影レンズ)PLを介してプレートホルダ6上部に載置されたプレートPに照射され、プレートPの表面にレチクルRのパターンが露光される。プレートPは、プレートホルダ6の内部に組み込まれた負圧吸引機構により保持されている。
【0006】
プレートホルダ6は、ステージ5に設置されており、ステージ5がX、Y、Z方向へ移動するのに伴って移動することで、プレートPに対する露光位置(露光領域、処理領域)を変えることが可能である。ステージ5のX方向およびY方向の位置は、レーザ干渉計等の計測装置(不図示)により管理されており、その計測値に基づいてステージ5の移動と位置決めとを行うことができる。
【0007】
また、プレートPのZ方向(露光光の光軸方向)の位置は、露光面であるプレートPの表面にフォーカスを合わせるために設けられたオートフォーカス機構により検出できる。オートフォーカス機構は、送光部9と受光部10とから構成されており、送光部9の光源から射出されたビーム(検知光)は、プレートPの露光面上における投影光学系PLの中心軸(光軸)下部に照射される。プレートPに照射されたビームは、プレート上面で反射され、送光部9とは光軸を挟んで反対側に配置されている受光部10に入射する。受光部10にはビームを受光するセンサが配設されており、ビームの強度は露光面のZ方向の位置に応じて変動する。そのため、ビームの強度によって最適なフォーカス位置を検出することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置および露光装置には、以下のような問題が存在する。
プレートPは、裏面側において全面的にプレートホルダ6に吸着保持されているため、プレートホルダ6の表面に凹凸があった場合には、その凹凸がプレートPの表面にまで影響を及ぼし、露光領域内における露光面の平面度を著しく低下させる虞がある。プレートPの平面度は、プレートPに露光形成されたパターンの線幅誤差と密接な関係があるため、平面度の低下はパターンの線幅誤差が大きくなることを意味する。
【0009】
また、上記の問題を解消するために、プレートホルダの表面粗さを小さくすることが考えられるが、現状の機械加工では表面粗さ精度を数μm程度に抑えることは可能だが、大型基板に対応するサイズのプレートホルダの全面に対して高精度に仕上げることは極めて困難であり、現状利用している機械加工の精度に限界が来ていることを認めざるを得ない。しかも、液晶表示デバイス用製造装置の将来構想においては、高解像度化がさらに進むと想定されているが、光学系の観点からも焦点深度がさらに厳しくなるため、現状のプレートホルダの精度では高解像度化に対応できないことが明らかになっている。
【0010】
一方、プレート上に高精度にパターンを露光するために露光領域内のプレートの平面度を向上させるには、焦点深度が深い投影光学系を開発したり、露光領域を意図的に小さくして平面度の影響を極力減らす等の方法も考えられるが、前者は物理現象的に、後者はタクト的に現実的な対策とは言い難い。
【0011】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ホルダの粗さ精度に依存することなく基板表面の平面度を向上させることが可能なステージ装置および感光基板上に高精度にパターンを露光できる露光装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置は、基板(P)を保持して移動する保持体(5)を有し、基板(P)の所定領域を処理領域に移動させて所定の処理を施すステージ装置であって、保持体(5)とは独立して設けられ、ベアリング機構(35)を用いて処理領域と対向する基板(P)の裏面を支持する基板支持装置(30)を備えることを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、基板支持装置(30)が基板(P)の処理領域の裏面を支持するので、基板(P)の全面を支持する場合に比べて表面の平面度を向上させることが可能になる。また、基板支持装置(30)が保持体(5)とは独立して設けられているので、基板(P)上の処理領域においては、加工精度等、保持体(5)の粗さ精度に依存することなく支持されることになる。
そして、所定の処理のために保持体(5)が移動することにより、基板(P)と基板支持装置(30)とは相対移動するが、基板支持装置(30)がベアリング機構(35)を用いて基板(P)を支持するので、円滑に移動することができる。
【0014】
また、本発明の露光装置は、移動自在な基板ステージ(5)に保持された感光基板(P)に対して露光処理を施す露光装置(1)であって、基板ステージとして、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたステージ装置が用いられることを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、露光処理が施される感光基板(P)上の領域の平面度が向上するので、高解像度化が進み焦点深度が浅くなった場合でも、パターンの線幅誤差を小さくして高精度な露光処理が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置および露光装置の第1の実施形態を、図1ないし図6を参照して説明する。ここでは、本発明のステージ装置を、例えば感光基板として液晶表示パネル製造に用いられる角形のガラスプレートを用い、レチクルに形成された回路パターンをガラスプレート上に転写する露光装置に適用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をガラス基板を保持して移動する基板ステージに適用するものとする。これらの図において、従来例として示した図8と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
図1において、露光装置1は、光源からの露光光をレチクル(マスク)Rに照明する照明光学系2と、レチクルRの照明領域を設定するレチクルブラインド3と、レチクルRを保持して露光光の光軸に対して垂直な方向(X、Y方向)に移動可能なレチクルステージ4と、照明されたレチクルRのパターンをガラスプレート(基板、感光基板)P上に投影する投影光学系PLと、ガラスプレートPを保持して露光光の光軸方向に垂直な方向(X、Y方向)に移動可能なプレートステージ(基板ステージ)5を有するステージ装置と、斜入射反射型のオートフォーカス機構(検出部)7とから概略構成されている。
【0018】
レチクルステージ4は、駆動装置8の駆動により上記X、Y方向に移動自在とされており、レチクルステージ4上の端縁には、直交する方向に移動鏡(不図示)がそれぞれ設置されている。各移動鏡には、レーザー干渉計(不図示)が対向して配置されている。これらレーザー干渉計が、それぞれ移動鏡にレーザー光を射出して当該移動鏡との間の距離を計測することにより、レチクルステージ4(すなわちレチクルR)のX方向およびY方向の位置を検出することが可能になっている。そして、駆動装置8の駆動を制御する主制御系(不図示)が、レーザ干渉計の出力によってレチクルステージ4の位置をモニターし、上記駆動装置8をサーボ制御することでレチクルステージ4(すなわちレチクルR)を所望の位置へ移動することができるようになっている。
【0019】
オートフォーカス機構7は、ガラスプレートPの表面PSの法線に対して傾いた入射角で表面PSの複数カ所にビーム(検知光)Bを照射する送光部9と、各送光部9から照射されたビームBをそれぞれ受光する受光部10と、これら受光部10が受光したビーム信号を入力して演算する演算部12とから構成されている。
【0020】
送光部9は、ガラスプレートPの表面PSがZ方向に関して投影光学系PLの焦点位置(フォーカス位置)に位置決めされたときに、表面PSの投影光学系PL直下のほぼ同一箇所にビームBを照射するように配置されている。そして、受光部10は、表面PSが最適なフォーカス位置にある場合に、送光部9から照射されたビームBが表面PSで反射した反射光が適切に入射する位置にそれぞれ配置されている。
【0021】
図2に送光部9および受光部10の構造図を示す。
送光部9内には、ガラスプレートPに塗布されたレジスト(感光剤)を感光させない波長の光(例えば赤外光)を発する光源13と、光源13によって照明されるスリット板14と、このスリット板14に紙面と垂直な方向に伸張して形成されたスリット開口を通った光を平行光束にするレンズ15と、レンズ15からの平行光束を反射するミラー16と、ミラー16からの平行光束を集光して投影光学系PLの結像面P0内にスリット板14のスリット像を結像するレンズ17とが設けられている。なお、図2では、ガラスプレートPの表面PSと結像面P0とが一致した合焦状態を示している。
【0022】
一方、受光部10には、反射光BSを入射するレンズ18と、レンズ18を通過したビームを反射するミラー19と、レンズ18からのビームの結像位置に設けられたスリット板20と、そのスリット板20に紙面と垂直な方向に延設されたスリット20aを通過したビームを受光して光電信号を演算部12に出力する受光素子21とが設けられている。
【0023】
この図の構成において、合焦状態ではスリット板14のスリット像はガラスプレートPの表面PSに結像し、そのプレートP上のスリット像はレンズ18によって再びスリット板20上に結像する。このとき、スリット像とスリット板20上での中心はスリット20aと一致する。従って、ガラスプレートPの表面PSが投影光学系PLの結像面P0からずれると、それに応じてスリット像の中心もスリット板20のスリット20aに対して図中左右方向に変位する。ここで、スリット20aに対する変位の方向(左または右)は、ガラスプレートPの表面PSが結像面P0の上方に位置する、いわゆる前ピン状態か、またはその逆の後ピン状態を表す。
【0024】
そして、受光素子21においては、スリット像とスリット板20上での中心がスリット20aと一致する合焦状態で最大量のビームを受光する。一方、ガラスプレートPの表面PSが投影光学系PLの結像面P0からずれてスリット像の中心がスリット板20のスリット20aに対して変位すると、スリット像はスリット板20に遮光されるため、受光素子21は光量が低下したビームを受光することになる。受光素子21から出力されたビーム信号は、演算部12において演算処理され主制御系に出力される。主制御系は入力した演算結果に基づいて後述する駆動部34及びベアリング機構35の駆動を制御する。
【0025】
ステージ装置は、ガラスプレートPを保持して駆動装置11の駆動により定盤22上を上記X、Y方向に移動する保持体としてのプレートステージ5と、プレートステージ5とは独立して設けられ、ガラスプレートPの裏面(−Z側の面)を支持する支持装置(基板支持装置)30とを有している。
【0026】
図3(a)にプレートステージ5及び支持装置30の平面図を示し、図3(b)に同正面断面図を示す。プレートステージ5は、空洞の内部空間31を有する直方体の箱状に形成されており、その上面にはガラスプレートPの外形輪郭よりも小さく、ガラスプレートPに対する露光処理部分を含む位置に開口部32が形成されている。そして、開口部32の周囲は、非露光処理部分であるガラスプレートPの周辺部を真空吸着等により吸着保持する保持部33とされている。なお、本実施の形態では、プレートステージ5とプレートホルダとを一体的に構成しているが、それぞれ個別に設ける構成としてもよい。
【0027】
また、図示していないものの、プレートステージ5上の端縁には、直交する方向に移動鏡がそれぞれ設置されている。各移動鏡には、レーザー干渉計(不図示)が対向して配置されている。これらレーザー干渉計が、それぞれ移動鏡にレーザー光を射出して当該移動鏡との間の距離を計測することにより、プレートステージ5のX方向およびY方向の位置を検出することが可能になっている。そして、上述の主制御系は、レーザ干渉計の出力によってプレートステージ5(すなわち、ガラスプレートP)の位置をモニターし、駆動装置11をサーボ制御することでプレートステージ5(すなわちガラスプレートP)を所望の位置へ移動することができるようになっている。さらに、プレートステージ5上のガラスプレートPと干渉しない位置には、不図示のアライメントセンサによるレチクルRのアライメント及びレチクルRとガラスプレートPとのアライメントの際に用いられる指標マーク(フィディシャルマーク)を有する基準部材(不図示)が設けられている。
【0028】
支持装置30は、投影光学系PLの直下の位置に配置されており、エアシリンダ等の駆動部(進退駆動部)34の駆動により、定盤22内に没入する位置と、定盤22から突出する位置との間でZ方向に移動可能となっている。換言すると、支持装置30は、露光処理時に定盤22からプレートステージ5の内部空間31(開口部32内)に進出するとともに、非露光処理時にプレートステージ5の移動経路から退避するように、当該移動経路に対して進退可能な構成となっている。なお、支持装置30は、露光処理(ステップ・アンド・リピート)のためにプレートステージ5がガラスプレートPを保持して移動した場合でも内部空間31においてプレートステージ5と接触しない大きさに設定されている。
【0029】
また、この支持装置30には、ガラスプレートPにおける矩形の露光領域(処理領域)の四隅に位置させて(図3(a)参照)、ベアリング機構35が設けられている。そして、上述したオートフォーカス機構7においては、送光部9から照射されたビームBが、図4に示すように、各ベアリング機構35の位置の上方におけるガラスプレートPの表面で反射するよう設定されている。
【0030】
ベアリング機構35は、図5に示すように、露光領域と対向するガラスプレートPの裏面を支持するものであって、ガラスプレートPの裏面に接触状態で転動する球体35aを有する接触式剛体ベアリングを構成している。各ベアリング機構35は、主制御系の制御の下、それぞれZ方向(光軸方向)に独立して移動する構成となっている。また、このステージ装置には、内部空間31(開口部32内)に揚圧用のエア(流体)を供給するエア供給装置(供給装置)36が付設されている(図3(b)参照)。
【0031】
上記の構成の露光装置においてガラスプレートPを投影光学系PLの焦点位置に位置合わせする手順を説明する。
プレートステージ5上に露光処理対象となるガラスプレートPがロードされると、プレートステージ5の保持部33において当該ガラスプレートPの非露光処理部分を吸着保持する。このとき、ガラスプレートPには、周辺部のみを支持されることで中央部分に撓みが生じる。そのため、エア供給装置によりプレートステージ5の内部空間31に揚圧エアを供給し、ガラスプレートPの撓みを緩和する。具体的には、このときのエアの圧力を、ほぼ重力に相当する値に調整することで、ガラスプレートPの裏面と、四つの球体35aで形成されるガラスプレートPに対する支持面とをほぼ同じ高さにすることができる。
【0032】
次に、駆動装置11の駆動によりプレートステージ5を移動させて、ガラスプレートP上のショット領域(所定領域)を露光領域に位置決め(アライメント)する。プレートステージ5の移動時、支持装置30とガラスプレートPとはXY平面に沿って相対移動するが、ガラスプレートPはベアリング機構35により支持されているため、球体35aが裏面を転動することで円滑に位置決めされることになる。
【0033】
なお、ガラスプレートPの位置決めに当たっては、例えば投影光学系PLの近傍に設けられたオフアクシス方式のアライメントセンサによりガラスプレートP上のプレートマークを計測することで、レチクルR(投影光学系PL)とガラスプレートPとを位置決めするため、予めTTR(Through The Reticle)方式のアライメントセンサを用いてレチクルR上のレチクルマーク及びプレートステージ5上に設けられた基準部材の指標マークを計測して投影光学系PL(レチクルR)とオフアクシスのアライメントセンサとの距離、いわゆるベースラインを検出する。このベースライン計測時、指標マークを投影光学系PLの直下(TTRアライメントセンサの視野)に移動させる必要があるが、支持装置30を定盤22から突出させた状態でプレートステージ5を移動させた場合、支持装置30とプレートステージ5とが接触することになる。そのため、ベースライン計測等によりプレートステージ5の移動経路上に支持装置30が位置するときには、駆動部34の駆動により定盤22内に没入させて、プレートステージ5の移動経路から退避させておく。そして、プレートステージ5にガラスプレートPがロードされると支持装置30をプレートステージ5の内部空間31に進出させてガラスプレートPの裏面を支持させる。
【0034】
このように、ガラスプレートP上のショット領域が露光領域に位置決めされると、オートフォーカス機構7によりガラスプレートPの表面形状を検出する。具体的には、上述した送光部9から検出用ビームBをベアリング機構35の上方のショット領域(露光領域)内に照射して各反射光を受光部10で受光し、主制御系が各位置における投影光学系PLの最良結像面に対する誤差(前ピン状態や後ピン状態)を演算する。そして、主制御系は、演算結果と連動させて、この誤差を補正するようにベアリング機構35をそれぞれZ方向に個別に移動させてガラスプレートP表面の平面度を調整して当該表面を最良結像面に一致させる。
【0035】
このように、焦点方向の高さが位置決めされたガラスプレートPに対しては、レチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLを介して露光される。さらに、レーザ干渉計の検出結果に基づいてプレートステージ5を、ステップ・アンド・リピート方式で移動させることにより、ガラスプレートP上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ露光形成される。
【0036】
このように、本実施の形態では、支持装置30のベアリング機構35によりガラスプレートPのショット領域裏面を支持するので、プレートステージ5を用いてガラスプレートPの裏面を全面に亘って支持する場合に比べて表面の平面度を容易に向上させることが可能である。そして、この支持装置30がプレートステージ5とは独立して設けられているので、プレートステージ5の加工精度等、表面の粗さ精度(凹凸)に依存することなくガラスプレートPのショット領域を高平面度で支持することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、オートフォーカス機構7の検出結果に連動させて複数のベアリング機構35を光軸方向に独立して駆動しているので、ガラスプレートPの表面形状に応じた細かな補正が可能となり、ガラスプレートPの平面度をより容易に向上させることができる。特に、本実施の形態では、送光部9が照射するビームBの位置を複数のベアリング機構35の直上にそれぞれ設定しているので、より正確な平面度補正を実施することが可能になっている。
【0038】
また、本実施の形態では、支持装置30におけるガラスプレートPの支持にベアリング機構35を用いることで、接触状態で支持する場合でもガラスプレートPをスムーズに移動させることができる。しかも、本実施の形態では、エア供給装置36により内部空間31にエアを供給して揚圧を付与しているので、ガラスプレートPの自重による撓みを緩和することができ、ガラスプレートPの平面度補正を容易に実施できるとともに、ベアリング機構35の球体35aとガラスプレートPとの接触圧を低減させて、球体35aの転動に伴って生じる塵埃等を減少させることが可能になる。
【0039】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態を示す部分断面図である。この図において、図5に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第2の実施形態と上記第1の実施形態とが異なる点は、支持装置30の構成である。
【0040】
図6に示すように、支持装置30には、ガラスプレートPを浮揚させるための揚圧ケーブル41と、揚圧ケーブル41に隣接配置された負圧用ケーブル42とが対でそれぞれ複数引き込まれている。揚圧ケーブル41は、ガラスプレートPの裏面に向けて揚圧エアを供給するものであり、図3(a)に示したベアリング機構35と同様に、ガラスプレートPにおける矩形の露光領域内に複数配置されている。負圧用ケーブル42は、内部空間31に供給されたエアを吸引することで内部空間31の圧力(内圧)を一定に保持するものである。これら揚圧ケーブル41を用いた揚圧付与及び負圧用ケーブル42を用いた負圧付与は主制御系により制御される。他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0041】
上記の構成の支持装置30によりガラスプレートPを支持する際には、揚圧ケーブル41から揚圧エアを供給することで、ガラスプレートPを揚圧ケーブル41に対して浮揚させる。また、揚圧エアの供給を継続した場合、エアの逃げ場がなく、内部空間31の内圧が徐々に高くなってしまうため、負圧用ケーブル42からエアを吸引することで内部空間31の内圧を一定に保持する。これにより、揚圧ケーブル41及び負圧用ケーブル42は、非接触静圧気体ベアリングとして作用し、ガラスプレートPを揚圧ケーブル41に対して数ミクロン程度の一定のギャップを有した状態で浮揚させることができる。なお、両ケーブル41、42を含む支持装置30とガラスプレートPとが非接触状態でも、ガラスプレートPはプレートステージ5の保持部33に吸着保持されているため、プレートステージ5が移動する際にもガラスプレートPを安定して保持することができる。
【0042】
このように、本実施の形態では、上記第1の実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、支持装置30とガラスプレートPとが非接触状態で相対移動するので、摩擦等の影響を受けることがなく、より安定したガラスプレートPの移動が可能になる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、プレートステージ5の移動経路から退避させるために支持装置30を定盤22に没入させる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば支持装置30がプレートステージ5と同期してXY平面に沿って移動する構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、ベアリング機構35を露光領域内に4カ所配置する構成としたが、3カ所以下や5カ所以上配置する構成としてもよい。そして、上記実施の形態では、オートフォーカス機構7の検出結果から投影光学系PLの最良結像面に対する誤差を求め、この誤差を補正するようにベアリング機構35を駆動するものとして説明したが、例えばオートフォーカス機構7の検出結果から最小自乗平面を求め、この平面にガラスプレートPの表面を一致させるようにベアリング機構35を駆動するものとしてもよい。さらに、露光領域外にベアリング機構35を配置し、露光領域内における平面度を演算しながらベアリング機構35を駆動してもよい。この場合、ガラスプレートPに局所的な変形が生じることを避けることができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置を露光装置に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0046】
なお、本実施の形態の基板としては、液晶表示パネル製造用のガラスプレートPのみならず、半導体デバイス用の半導体ウエハや、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウェハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウェハ)等が適用される。
【0047】
露光装置1としては、レチクルRとガラス基板Pとを静止した状態でガラス基板Pのパターンを露光し、ガラス基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)の他に、レチクルRとガラス基板Pとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)にも適用することができる。
【0048】
走査型の露光装置に本発明を適用する場合、ガラスプレートPを同期移動させた際にショット領域が露光領域に到達する前に表面形状を検出することが望ましい。そのため、オートフォーカス機構7により、同期移動方向の露光領域の外側を計測し、計測した箇所が露光領域に達したときに、計測結果に基づいてベアリング機構を駆動すればよい。
【0049】
露光装置1の種類としては、ガラス基板Pに液晶表示パネルのパターンを露光する液晶用の露光装置に限られず、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクルRなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0050】
また、照明光学系2の光源としては、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。
【0051】
例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0052】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0053】
投影光学系PLは、縮小系、等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは屈折系、反射系、及び反射屈折系のいずれであってもよい。なお、露光光の波長が200nm程度以下であるときは、露光光が通過する光路を、露光光の吸収が少ない気体(窒素、ヘリウムなどの不活性ガス)でパージすることが望ましい。また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0054】
プレートステージ5やレチクルステージ4にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0055】
各ステージの駆動機構8、11としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ4、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ4、5の移動面側に設ければよい。
【0056】
プレートステージ5の移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
レチクルステージ4の移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP 6,020,710)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0057】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0058】
液晶表示デバイスや半導体デバイス等のデバイスは、図7に示すように、液晶表示デバイス等の機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたレチクルR(マスク)を製作するステップ202、石英等からガラスプレートP、またはシリコン材料からウエハを製作するステップ203、前述した実施の形態の露光装置1によりレチクルRのパターンをガラスプレートP(またはウエハ)に露光するステップ204、液晶表示デバイス等を組み立てるステップ(ウエハの場合、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ホルダ等の表面の粗さ精度に依存することなく、基板表面の平面度を向上させることができる。また、本発明では、基板の撓みを緩和させつつ、支持装置と基板とをスムーズに相対移動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、支持装置を備えた露光装置の概略構成図である。
【図2】オートフォーカス機構を構成する送光部および受光部の構成図である。
【図3】露光装置を構成するプレートステージの(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図4】オートフォーカス機構によるビームの進行経路を示す図である。
【図5】ガラスプレートの裏面を支持する接触式ベアリング機構の詳細図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図であって、ガラスプレートの裏面を支持する非接触式ベアリング機構の詳細図である。
【図7】液晶表示パネルの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図8】従来の露光装置の構造例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
P ガラスプレート(感光基板、基板)
R レチクル(マスク)
1 露光装置
5 プレートステージ(基板ステージ、保持体)
7 オートフォーカス機構(検出部)
30 支持装置(基板支持装置)
32 開口部
33 保持部
34 駆動部(進退駆動部)
35 ベアリング機構(接触式剛体ベアリング)
36 エア供給装置(供給装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスプレートやウエハ等の基板を保持して移動する保持体を有するステージ装置および保持された基板に対して露光処理を施す露光装置に関し、特に基板表面の平面度を向上させる際に用いて好適なステージ装置および露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスやLSI等の製造に使用される投影露光装置においては、転写されるパターンの微細化に伴って高解像度化の要求が高まっている。投影露光装置に搭載されている投影光学系の解像力は、Rayleighの式で良く知られているように、R=k×λ/NAの関係で表される。ここで、Rは投影光学系の解像力、λは露光用の光の波長、NAは投影光学系の開口数、kはレジストの解像力の他にプロセスによって決定される定数である。
【0003】
従来、投影光学系の解像力を向上させるには、投影光学系のNAを大きくする方法が採られてきたが、一方で焦点深度はNA2で浅くなり、充分な焦点深度が得られなくなってきている。そのため、近年の露光装置、例えば幅0.25μmの回路パターンを転写できる能力を有するような装置では、焦点深度が1μm以下となり、パターンが転写されるガラスプレート等の基板においては、露光領域をより正確、且つ確実に投影光学系の焦点位置(焦点深度)に位置させることが求められている。
【0004】
この種の投影露光装置では、ガラスプレートは投影光学系の光軸方向(Z方向)および光軸に垂直な二方向(X、Y方向)に移動可能なプレートステージ上にプレートホルダを介して載置される。そして、露光に先立ってガラスプレートをZ方向に位置決めする際に、プレートホルダ上のガラスプレートに対して垂直ではない任意の角度をもった斜め方向から焦点検出用の検出光をショット領域(露光領域)の一点(または数点)に入射させ、ガラスプレートからの反射光を受光部となる検出器に導く、いわゆる斜入射反射型のオートフォーカス系でガラスプレート表面にフォーカスを合わせて焦点位置を検出し、投影光学系に対する光軸方向のガラスプレートの高さ(位置情報)を求めている。
【0005】
図8に、露光装置の構造例を示す。
照明光学系からの露光光ILがレチクルRに照射され、投影光学系(投影レンズ)PLを介してプレートホルダ6上部に載置されたプレートPに照射され、プレートPの表面にレチクルRのパターンが露光される。プレートPは、プレートホルダ6の内部に組み込まれた負圧吸引機構により保持されている。
【0006】
プレートホルダ6は、ステージ5に設置されており、ステージ5がX、Y、Z方向へ移動するのに伴って移動することで、プレートPに対する露光位置(露光領域、処理領域)を変えることが可能である。ステージ5のX方向およびY方向の位置は、レーザ干渉計等の計測装置(不図示)により管理されており、その計測値に基づいてステージ5の移動と位置決めとを行うことができる。
【0007】
また、プレートPのZ方向(露光光の光軸方向)の位置は、露光面であるプレートPの表面にフォーカスを合わせるために設けられたオートフォーカス機構により検出できる。オートフォーカス機構は、送光部9と受光部10とから構成されており、送光部9の光源から射出されたビーム(検知光)は、プレートPの露光面上における投影光学系PLの中心軸(光軸)下部に照射される。プレートPに照射されたビームは、プレート上面で反射され、送光部9とは光軸を挟んで反対側に配置されている受光部10に入射する。受光部10にはビームを受光するセンサが配設されており、ビームの強度は露光面のZ方向の位置に応じて変動する。そのため、ビームの強度によって最適なフォーカス位置を検出することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のステージ装置および露光装置には、以下のような問題が存在する。
プレートPは、裏面側において全面的にプレートホルダ6に吸着保持されているため、プレートホルダ6の表面に凹凸があった場合には、その凹凸がプレートPの表面にまで影響を及ぼし、露光領域内における露光面の平面度を著しく低下させる虞がある。プレートPの平面度は、プレートPに露光形成されたパターンの線幅誤差と密接な関係があるため、平面度の低下はパターンの線幅誤差が大きくなることを意味する。
【0009】
また、上記の問題を解消するために、プレートホルダの表面粗さを小さくすることが考えられるが、現状の機械加工では表面粗さ精度を数μm程度に抑えることは可能だが、大型基板に対応するサイズのプレートホルダの全面に対して高精度に仕上げることは極めて困難であり、現状利用している機械加工の精度に限界が来ていることを認めざるを得ない。しかも、液晶表示デバイス用製造装置の将来構想においては、高解像度化がさらに進むと想定されているが、光学系の観点からも焦点深度がさらに厳しくなるため、現状のプレートホルダの精度では高解像度化に対応できないことが明らかになっている。
【0010】
一方、プレート上に高精度にパターンを露光するために露光領域内のプレートの平面度を向上させるには、焦点深度が深い投影光学系を開発したり、露光領域を意図的に小さくして平面度の影響を極力減らす等の方法も考えられるが、前者は物理現象的に、後者はタクト的に現実的な対策とは言い難い。
【0011】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ホルダの粗さ精度に依存することなく基板表面の平面度を向上させることが可能なステージ装置および感光基板上に高精度にパターンを露光できる露光装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明のステージ装置は、基板(P)を保持して移動する保持体(5)を有し、基板(P)の所定領域を処理領域に移動させて所定の処理を施すステージ装置であって、保持体(5)とは独立して設けられ、ベアリング機構(35)を用いて処理領域と対向する基板(P)の裏面を支持する基板支持装置(30)を備えることを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、基板支持装置(30)が基板(P)の処理領域の裏面を支持するので、基板(P)の全面を支持する場合に比べて表面の平面度を向上させることが可能になる。また、基板支持装置(30)が保持体(5)とは独立して設けられているので、基板(P)上の処理領域においては、加工精度等、保持体(5)の粗さ精度に依存することなく支持されることになる。
そして、所定の処理のために保持体(5)が移動することにより、基板(P)と基板支持装置(30)とは相対移動するが、基板支持装置(30)がベアリング機構(35)を用いて基板(P)を支持するので、円滑に移動することができる。
【0014】
また、本発明の露光装置は、移動自在な基板ステージ(5)に保持された感光基板(P)に対して露光処理を施す露光装置(1)であって、基板ステージとして、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたステージ装置が用いられることを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、露光処理が施される感光基板(P)上の領域の平面度が向上するので、高解像度化が進み焦点深度が浅くなった場合でも、パターンの線幅誤差を小さくして高精度な露光処理が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のステージ装置および露光装置の第1の実施形態を、図1ないし図6を参照して説明する。ここでは、本発明のステージ装置を、例えば感光基板として液晶表示パネル製造に用いられる角形のガラスプレートを用い、レチクルに形成された回路パターンをガラスプレート上に転写する露光装置に適用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をガラス基板を保持して移動する基板ステージに適用するものとする。これらの図において、従来例として示した図8と同一の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0017】
図1において、露光装置1は、光源からの露光光をレチクル(マスク)Rに照明する照明光学系2と、レチクルRの照明領域を設定するレチクルブラインド3と、レチクルRを保持して露光光の光軸に対して垂直な方向(X、Y方向)に移動可能なレチクルステージ4と、照明されたレチクルRのパターンをガラスプレート(基板、感光基板)P上に投影する投影光学系PLと、ガラスプレートPを保持して露光光の光軸方向に垂直な方向(X、Y方向)に移動可能なプレートステージ(基板ステージ)5を有するステージ装置と、斜入射反射型のオートフォーカス機構(検出部)7とから概略構成されている。
【0018】
レチクルステージ4は、駆動装置8の駆動により上記X、Y方向に移動自在とされており、レチクルステージ4上の端縁には、直交する方向に移動鏡(不図示)がそれぞれ設置されている。各移動鏡には、レーザー干渉計(不図示)が対向して配置されている。これらレーザー干渉計が、それぞれ移動鏡にレーザー光を射出して当該移動鏡との間の距離を計測することにより、レチクルステージ4(すなわちレチクルR)のX方向およびY方向の位置を検出することが可能になっている。そして、駆動装置8の駆動を制御する主制御系(不図示)が、レーザ干渉計の出力によってレチクルステージ4の位置をモニターし、上記駆動装置8をサーボ制御することでレチクルステージ4(すなわちレチクルR)を所望の位置へ移動することができるようになっている。
【0019】
オートフォーカス機構7は、ガラスプレートPの表面PSの法線に対して傾いた入射角で表面PSの複数カ所にビーム(検知光)Bを照射する送光部9と、各送光部9から照射されたビームBをそれぞれ受光する受光部10と、これら受光部10が受光したビーム信号を入力して演算する演算部12とから構成されている。
【0020】
送光部9は、ガラスプレートPの表面PSがZ方向に関して投影光学系PLの焦点位置(フォーカス位置)に位置決めされたときに、表面PSの投影光学系PL直下のほぼ同一箇所にビームBを照射するように配置されている。そして、受光部10は、表面PSが最適なフォーカス位置にある場合に、送光部9から照射されたビームBが表面PSで反射した反射光が適切に入射する位置にそれぞれ配置されている。
【0021】
図2に送光部9および受光部10の構造図を示す。
送光部9内には、ガラスプレートPに塗布されたレジスト(感光剤)を感光させない波長の光(例えば赤外光)を発する光源13と、光源13によって照明されるスリット板14と、このスリット板14に紙面と垂直な方向に伸張して形成されたスリット開口を通った光を平行光束にするレンズ15と、レンズ15からの平行光束を反射するミラー16と、ミラー16からの平行光束を集光して投影光学系PLの結像面P0内にスリット板14のスリット像を結像するレンズ17とが設けられている。なお、図2では、ガラスプレートPの表面PSと結像面P0とが一致した合焦状態を示している。
【0022】
一方、受光部10には、反射光BSを入射するレンズ18と、レンズ18を通過したビームを反射するミラー19と、レンズ18からのビームの結像位置に設けられたスリット板20と、そのスリット板20に紙面と垂直な方向に延設されたスリット20aを通過したビームを受光して光電信号を演算部12に出力する受光素子21とが設けられている。
【0023】
この図の構成において、合焦状態ではスリット板14のスリット像はガラスプレートPの表面PSに結像し、そのプレートP上のスリット像はレンズ18によって再びスリット板20上に結像する。このとき、スリット像とスリット板20上での中心はスリット20aと一致する。従って、ガラスプレートPの表面PSが投影光学系PLの結像面P0からずれると、それに応じてスリット像の中心もスリット板20のスリット20aに対して図中左右方向に変位する。ここで、スリット20aに対する変位の方向(左または右)は、ガラスプレートPの表面PSが結像面P0の上方に位置する、いわゆる前ピン状態か、またはその逆の後ピン状態を表す。
【0024】
そして、受光素子21においては、スリット像とスリット板20上での中心がスリット20aと一致する合焦状態で最大量のビームを受光する。一方、ガラスプレートPの表面PSが投影光学系PLの結像面P0からずれてスリット像の中心がスリット板20のスリット20aに対して変位すると、スリット像はスリット板20に遮光されるため、受光素子21は光量が低下したビームを受光することになる。受光素子21から出力されたビーム信号は、演算部12において演算処理され主制御系に出力される。主制御系は入力した演算結果に基づいて後述する駆動部34及びベアリング機構35の駆動を制御する。
【0025】
ステージ装置は、ガラスプレートPを保持して駆動装置11の駆動により定盤22上を上記X、Y方向に移動する保持体としてのプレートステージ5と、プレートステージ5とは独立して設けられ、ガラスプレートPの裏面(−Z側の面)を支持する支持装置(基板支持装置)30とを有している。
【0026】
図3(a)にプレートステージ5及び支持装置30の平面図を示し、図3(b)に同正面断面図を示す。プレートステージ5は、空洞の内部空間31を有する直方体の箱状に形成されており、その上面にはガラスプレートPの外形輪郭よりも小さく、ガラスプレートPに対する露光処理部分を含む位置に開口部32が形成されている。そして、開口部32の周囲は、非露光処理部分であるガラスプレートPの周辺部を真空吸着等により吸着保持する保持部33とされている。なお、本実施の形態では、プレートステージ5とプレートホルダとを一体的に構成しているが、それぞれ個別に設ける構成としてもよい。
【0027】
また、図示していないものの、プレートステージ5上の端縁には、直交する方向に移動鏡がそれぞれ設置されている。各移動鏡には、レーザー干渉計(不図示)が対向して配置されている。これらレーザー干渉計が、それぞれ移動鏡にレーザー光を射出して当該移動鏡との間の距離を計測することにより、プレートステージ5のX方向およびY方向の位置を検出することが可能になっている。そして、上述の主制御系は、レーザ干渉計の出力によってプレートステージ5(すなわち、ガラスプレートP)の位置をモニターし、駆動装置11をサーボ制御することでプレートステージ5(すなわちガラスプレートP)を所望の位置へ移動することができるようになっている。さらに、プレートステージ5上のガラスプレートPと干渉しない位置には、不図示のアライメントセンサによるレチクルRのアライメント及びレチクルRとガラスプレートPとのアライメントの際に用いられる指標マーク(フィディシャルマーク)を有する基準部材(不図示)が設けられている。
【0028】
支持装置30は、投影光学系PLの直下の位置に配置されており、エアシリンダ等の駆動部(進退駆動部)34の駆動により、定盤22内に没入する位置と、定盤22から突出する位置との間でZ方向に移動可能となっている。換言すると、支持装置30は、露光処理時に定盤22からプレートステージ5の内部空間31(開口部32内)に進出するとともに、非露光処理時にプレートステージ5の移動経路から退避するように、当該移動経路に対して進退可能な構成となっている。なお、支持装置30は、露光処理(ステップ・アンド・リピート)のためにプレートステージ5がガラスプレートPを保持して移動した場合でも内部空間31においてプレートステージ5と接触しない大きさに設定されている。
【0029】
また、この支持装置30には、ガラスプレートPにおける矩形の露光領域(処理領域)の四隅に位置させて(図3(a)参照)、ベアリング機構35が設けられている。そして、上述したオートフォーカス機構7においては、送光部9から照射されたビームBが、図4に示すように、各ベアリング機構35の位置の上方におけるガラスプレートPの表面で反射するよう設定されている。
【0030】
ベアリング機構35は、図5に示すように、露光領域と対向するガラスプレートPの裏面を支持するものであって、ガラスプレートPの裏面に接触状態で転動する球体35aを有する接触式剛体ベアリングを構成している。各ベアリング機構35は、主制御系の制御の下、それぞれZ方向(光軸方向)に独立して移動する構成となっている。また、このステージ装置には、内部空間31(開口部32内)に揚圧用のエア(流体)を供給するエア供給装置(供給装置)36が付設されている(図3(b)参照)。
【0031】
上記の構成の露光装置においてガラスプレートPを投影光学系PLの焦点位置に位置合わせする手順を説明する。
プレートステージ5上に露光処理対象となるガラスプレートPがロードされると、プレートステージ5の保持部33において当該ガラスプレートPの非露光処理部分を吸着保持する。このとき、ガラスプレートPには、周辺部のみを支持されることで中央部分に撓みが生じる。そのため、エア供給装置によりプレートステージ5の内部空間31に揚圧エアを供給し、ガラスプレートPの撓みを緩和する。具体的には、このときのエアの圧力を、ほぼ重力に相当する値に調整することで、ガラスプレートPの裏面と、四つの球体35aで形成されるガラスプレートPに対する支持面とをほぼ同じ高さにすることができる。
【0032】
次に、駆動装置11の駆動によりプレートステージ5を移動させて、ガラスプレートP上のショット領域(所定領域)を露光領域に位置決め(アライメント)する。プレートステージ5の移動時、支持装置30とガラスプレートPとはXY平面に沿って相対移動するが、ガラスプレートPはベアリング機構35により支持されているため、球体35aが裏面を転動することで円滑に位置決めされることになる。
【0033】
なお、ガラスプレートPの位置決めに当たっては、例えば投影光学系PLの近傍に設けられたオフアクシス方式のアライメントセンサによりガラスプレートP上のプレートマークを計測することで、レチクルR(投影光学系PL)とガラスプレートPとを位置決めするため、予めTTR(Through The Reticle)方式のアライメントセンサを用いてレチクルR上のレチクルマーク及びプレートステージ5上に設けられた基準部材の指標マークを計測して投影光学系PL(レチクルR)とオフアクシスのアライメントセンサとの距離、いわゆるベースラインを検出する。このベースライン計測時、指標マークを投影光学系PLの直下(TTRアライメントセンサの視野)に移動させる必要があるが、支持装置30を定盤22から突出させた状態でプレートステージ5を移動させた場合、支持装置30とプレートステージ5とが接触することになる。そのため、ベースライン計測等によりプレートステージ5の移動経路上に支持装置30が位置するときには、駆動部34の駆動により定盤22内に没入させて、プレートステージ5の移動経路から退避させておく。そして、プレートステージ5にガラスプレートPがロードされると支持装置30をプレートステージ5の内部空間31に進出させてガラスプレートPの裏面を支持させる。
【0034】
このように、ガラスプレートP上のショット領域が露光領域に位置決めされると、オートフォーカス機構7によりガラスプレートPの表面形状を検出する。具体的には、上述した送光部9から検出用ビームBをベアリング機構35の上方のショット領域(露光領域)内に照射して各反射光を受光部10で受光し、主制御系が各位置における投影光学系PLの最良結像面に対する誤差(前ピン状態や後ピン状態)を演算する。そして、主制御系は、演算結果と連動させて、この誤差を補正するようにベアリング機構35をそれぞれZ方向に個別に移動させてガラスプレートP表面の平面度を調整して当該表面を最良結像面に一致させる。
【0035】
このように、焦点方向の高さが位置決めされたガラスプレートPに対しては、レチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLを介して露光される。さらに、レーザ干渉計の検出結果に基づいてプレートステージ5を、ステップ・アンド・リピート方式で移動させることにより、ガラスプレートP上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ露光形成される。
【0036】
このように、本実施の形態では、支持装置30のベアリング機構35によりガラスプレートPのショット領域裏面を支持するので、プレートステージ5を用いてガラスプレートPの裏面を全面に亘って支持する場合に比べて表面の平面度を容易に向上させることが可能である。そして、この支持装置30がプレートステージ5とは独立して設けられているので、プレートステージ5の加工精度等、表面の粗さ精度(凹凸)に依存することなくガラスプレートPのショット領域を高平面度で支持することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、オートフォーカス機構7の検出結果に連動させて複数のベアリング機構35を光軸方向に独立して駆動しているので、ガラスプレートPの表面形状に応じた細かな補正が可能となり、ガラスプレートPの平面度をより容易に向上させることができる。特に、本実施の形態では、送光部9が照射するビームBの位置を複数のベアリング機構35の直上にそれぞれ設定しているので、より正確な平面度補正を実施することが可能になっている。
【0038】
また、本実施の形態では、支持装置30におけるガラスプレートPの支持にベアリング機構35を用いることで、接触状態で支持する場合でもガラスプレートPをスムーズに移動させることができる。しかも、本実施の形態では、エア供給装置36により内部空間31にエアを供給して揚圧を付与しているので、ガラスプレートPの自重による撓みを緩和することができ、ガラスプレートPの平面度補正を容易に実施できるとともに、ベアリング機構35の球体35aとガラスプレートPとの接触圧を低減させて、球体35aの転動に伴って生じる塵埃等を減少させることが可能になる。
【0039】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態を示す部分断面図である。この図において、図5に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。第2の実施形態と上記第1の実施形態とが異なる点は、支持装置30の構成である。
【0040】
図6に示すように、支持装置30には、ガラスプレートPを浮揚させるための揚圧ケーブル41と、揚圧ケーブル41に隣接配置された負圧用ケーブル42とが対でそれぞれ複数引き込まれている。揚圧ケーブル41は、ガラスプレートPの裏面に向けて揚圧エアを供給するものであり、図3(a)に示したベアリング機構35と同様に、ガラスプレートPにおける矩形の露光領域内に複数配置されている。負圧用ケーブル42は、内部空間31に供給されたエアを吸引することで内部空間31の圧力(内圧)を一定に保持するものである。これら揚圧ケーブル41を用いた揚圧付与及び負圧用ケーブル42を用いた負圧付与は主制御系により制御される。他の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
【0041】
上記の構成の支持装置30によりガラスプレートPを支持する際には、揚圧ケーブル41から揚圧エアを供給することで、ガラスプレートPを揚圧ケーブル41に対して浮揚させる。また、揚圧エアの供給を継続した場合、エアの逃げ場がなく、内部空間31の内圧が徐々に高くなってしまうため、負圧用ケーブル42からエアを吸引することで内部空間31の内圧を一定に保持する。これにより、揚圧ケーブル41及び負圧用ケーブル42は、非接触静圧気体ベアリングとして作用し、ガラスプレートPを揚圧ケーブル41に対して数ミクロン程度の一定のギャップを有した状態で浮揚させることができる。なお、両ケーブル41、42を含む支持装置30とガラスプレートPとが非接触状態でも、ガラスプレートPはプレートステージ5の保持部33に吸着保持されているため、プレートステージ5が移動する際にもガラスプレートPを安定して保持することができる。
【0042】
このように、本実施の形態では、上記第1の実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、支持装置30とガラスプレートPとが非接触状態で相対移動するので、摩擦等の影響を受けることがなく、より安定したガラスプレートPの移動が可能になる。
【0043】
なお、上記実施の形態では、プレートステージ5の移動経路から退避させるために支持装置30を定盤22に没入させる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば支持装置30がプレートステージ5と同期してXY平面に沿って移動する構成としてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、ベアリング機構35を露光領域内に4カ所配置する構成としたが、3カ所以下や5カ所以上配置する構成としてもよい。そして、上記実施の形態では、オートフォーカス機構7の検出結果から投影光学系PLの最良結像面に対する誤差を求め、この誤差を補正するようにベアリング機構35を駆動するものとして説明したが、例えばオートフォーカス機構7の検出結果から最小自乗平面を求め、この平面にガラスプレートPの表面を一致させるようにベアリング機構35を駆動するものとしてもよい。さらに、露光領域外にベアリング機構35を配置し、露光領域内における平面度を演算しながらベアリング機構35を駆動してもよい。この場合、ガラスプレートPに局所的な変形が生じることを避けることができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置を露光装置に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0046】
なお、本実施の形態の基板としては、液晶表示パネル製造用のガラスプレートPのみならず、半導体デバイス用の半導体ウエハや、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウェハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウェハ)等が適用される。
【0047】
露光装置1としては、レチクルRとガラス基板Pとを静止した状態でガラス基板Pのパターンを露光し、ガラス基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)の他に、レチクルRとガラス基板Pとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)にも適用することができる。
【0048】
走査型の露光装置に本発明を適用する場合、ガラスプレートPを同期移動させた際にショット領域が露光領域に到達する前に表面形状を検出することが望ましい。そのため、オートフォーカス機構7により、同期移動方向の露光領域の外側を計測し、計測した箇所が露光領域に達したときに、計測結果に基づいてベアリング機構を駆動すればよい。
【0049】
露光装置1の種類としては、ガラス基板Pに液晶表示パネルのパターンを露光する液晶用の露光装置に限られず、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクルRなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0050】
また、照明光学系2の光源としては、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。
【0051】
例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0052】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0053】
投影光学系PLは、縮小系、等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLは屈折系、反射系、及び反射屈折系のいずれであってもよい。なお、露光光の波長が200nm程度以下であるときは、露光光が通過する光路を、露光光の吸収が少ない気体(窒素、ヘリウムなどの不活性ガス)でパージすることが望ましい。また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0054】
プレートステージ5やレチクルステージ4にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0055】
各ステージの駆動機構8、11としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ4、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ4、5の移動面側に設ければよい。
【0056】
プレートステージ5の移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
レチクルステージ4の移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(USP 6,020,710)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
【0057】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0058】
液晶表示デバイスや半導体デバイス等のデバイスは、図7に示すように、液晶表示デバイス等の機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたレチクルR(マスク)を製作するステップ202、石英等からガラスプレートP、またはシリコン材料からウエハを製作するステップ203、前述した実施の形態の露光装置1によりレチクルRのパターンをガラスプレートP(またはウエハ)に露光するステップ204、液晶表示デバイス等を組み立てるステップ(ウエハの場合、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、ホルダ等の表面の粗さ精度に依存することなく、基板表面の平面度を向上させることができる。また、本発明では、基板の撓みを緩和させつつ、支持装置と基板とをスムーズに相対移動させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、支持装置を備えた露光装置の概略構成図である。
【図2】オートフォーカス機構を構成する送光部および受光部の構成図である。
【図3】露光装置を構成するプレートステージの(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図4】オートフォーカス機構によるビームの進行経路を示す図である。
【図5】ガラスプレートの裏面を支持する接触式ベアリング機構の詳細図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図であって、ガラスプレートの裏面を支持する非接触式ベアリング機構の詳細図である。
【図7】液晶表示パネルの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図8】従来の露光装置の構造例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
P ガラスプレート(感光基板、基板)
R レチクル(マスク)
1 露光装置
5 プレートステージ(基板ステージ、保持体)
7 オートフォーカス機構(検出部)
30 支持装置(基板支持装置)
32 開口部
33 保持部
34 駆動部(進退駆動部)
35 ベアリング機構(接触式剛体ベアリング)
36 エア供給装置(供給装置)
Claims (9)
- 基板を保持して移動する保持体を有し、前記基板の所定領域を処理領域に移動させて所定の処理を施すステージ装置であって、
前記保持体とは独立して設けられ、ベアリング機構を用いて前記処理領域と対向する前記基板の裏面を支持する基板支持装置を備えることを特徴とするステージ装置。 - 請求項1記載のステージ装置において、
前記保持体は、前記基板の非処理部を保持する保持部と、前記基板の処理部分を含む位置に設けられた開口部とを有し、
前記基板支持装置は、前記開口部内に配置されることを特徴とするステージ装置。 - 請求項2記載のステージ装置において、
前記開口部内に流体を供給する供給装置を備えることを特徴とするステージ装置。 - 請求項3記載のステージ装置において、
前記供給装置は、前記開口部に位置する前記基板の裏面と前記基板支持装置が支持する支持面とがほぼ同じ高さになるように前記流体の圧力を調整することを特徴とするステージ装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載のステージ装置において、前記基板支持装置は、前記保持体の移動経路に対して、進退可能とする進退駆動部を備えることを特徴とするステージ装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載のステージ装置において、前記基板支持装置の前記ベアリング機構は、接触式剛体ベアリングもしくは、非接触静圧気体ベアリングであることを特徴とするステージ装置。
- 請求項1から6のいずれかに記載のステージ装置において、前記基板支持装置は、前記基板の裏面と対向する部分が複数の部分に分割され、該複数の部分をそれぞれ独立に駆動するとともに、前記裏面と直交する方向に駆動する複数の駆動部を備えることを特徴とするステージ装置。
- 請求項7記載のステージ装置において、
前記基板の処理部の表面形状を検出する検出部を備え、
該検出部と前記複数の駆動部とを連動させて前記基板の処理部の表面形状を所定の形状とすることを特徴とするステージ装置。 - 移動自在な基板ステージに保持された感光基板に対して露光処理を施す露光装置であって、
前記基板ステージとして、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたステージ装置が用いられることを特徴とする露光装置。
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