JP2005069439A - 転がり軸受、及び軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑剤を補給することなく、如何なる環境下においても長期に亘って使用することのできる転がり軸受、及び軸受装置を提供する。
【解決手段】 外輪1と内輪2との間に転動体3が介装された転がり軸受であって、前記転動体3が転動する外輪1の内周に形成された外輪軌道面11、及び内輪2の外周に形成された内輪軌道面21に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜12,22が形成されたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、工作機械、産業機械、搬送装置、ロボット、各種測定装置等に用いられる転がり軸受、及び軸受装置の改良に関するものである。
転がり軸受は、単列深玉軸受、単列アンギュラ玉軸受、円筒コロ軸受、円錐コロ軸受等の種類があり、使用目的、使用環境に合った種類のものが選択されて使用されている。
これらの転がり軸受は、外輪と内輪との間に複数のボールやコロ等の転動体が介装されており、該転動体を円滑に転動させるべく、外輪と内輪との間であって、各転動体間にグリス等の潤滑剤が充填されているのが一般的であり、屋外使用、水中、或いは水がかかる環境下で使用される転がり軸受は、充填した潤滑剤が流れ出ないように、耐水用のシールドが設けられている。
そして、クリーンルーム、真空中等の環境下においては潤滑剤を使用することが嫌われるため、該環境下で使用される転がり軸受は、潤滑剤を充填することなく、転動体が接触する部位にPTFE樹脂が塗布され、これにより転動体の円滑な転動を図るようにしている。
また、軸受箱に穿設された軸受挿入穴に前記転がり軸受が挿入され、軸受挿入穴を形成する内周面に、転がり軸受の外周面を摺接させた軸受装置(例えば、自動調心軸受装置)がある。
該軸受装置は、外輪の外周面を軸受挿入穴を形成する内周面に摺接させるようにしているため、外輪と軸受挿入穴の内周面との間にも潤滑剤を充填するなどして、外輪と軸受箱(軸受挿入穴を形成する内周面)との潤滑を行うようにしている。
ところが、上述の如く、外輪と内輪との間に潤滑剤を充填する転がり軸受は、潤滑剤が経年によって劣化を起こしたり、消耗したりするため、潤滑剤を定期的に再充填する作業を要した。
また、水の付着する環境下において使用される転がり軸受(シールドの設けられた転がり軸受)は、潤滑剤の急激な流出を阻止すべく、シールドが設けられているため、上述の如く、潤滑剤が消耗、或いは劣化しても、新たな潤滑剤を補給することが困難であるため、当該転がり軸受の寿命が一般的な転がり軸受よりも短命である。それに加え、製造時においてシールドを組み付ける作業を要してコストの高騰を招くといった問題があった。
また、PTFE樹脂を塗布することで転動体の円滑な転動を図るようにした転がり軸受においては、塗布したPTFE樹脂が摩耗したり、剥離したりしてしまうため、この転がり軸受においても、寿命が一般的な転がり軸受よりも短命であるといった問題があった。
また、上記何れかの転がり軸受を備えた軸受装置は、軸受挿入穴の内周面と転がり軸受の外輪との間にも潤滑が必要とされるため、上述の如く、転がり軸受に、シールドを設けものを採用したり、PTFE樹脂を塗布することで転動体の円滑な転動を図るようにしたものを採用したりしても、軸受箱との関連により、使用環境に制限があるといった問題があった。
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、潤滑剤を補給することなく、如何なる環境下においても長期に亘って使用することのできる転がり軸受、及び軸受装置を提供することを課題とする。
本発明にかかる転がり軸受は、上記課題を解決すべくなされたものであり、外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴とする。
上記構成の転がり軸受によれば、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に形成された潤滑被膜が含有する固体潤滑剤が作用し、転動体の転動抵抗や、摺動抵抗等が低減され、該転動体が円滑に転動する。これにより、外輪と内輪とが円滑に相対的に回転することになり、前記外輪軌道面、及び内輪軌道面に接触状態で転動する転動体の作動音が低減される。その上、前記潤滑被膜が固体潤滑剤を含有しているので、外輪と内輪との間に潤滑剤を充填する必要がなく、当該転がり軸受を長期に亘って使用することができる。また、固体潤滑剤によって転動体を潤滑させるようにしているので、水のかかる環境下や、クリーンルーム、真空状態の環境下などで使用しても、当該潤滑剤が流動して流れ出る等といった事態にならない。
また、本発明の一態様として、前記外輪軌道面、及び内輪軌道面に接触する前記転動体の外周面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されることが好ましい。このようにすれば、当該転がり軸受が保有する潤滑剤の量が増量することになるので、該転がり軸受の寿命を更に長期化することができる。その上、転動体にステンレス鋼や、炭素鋼を採用し、当該転がり軸受を水中で使用したときに起こる電食(金属間電池作用)をも防ぐことができる。この転動体の外周面に形成する潤滑被膜は、上述した外輪の外輪軌道面、及び内輪の内輪軌道面に形成したものと同様であればよい。
さらに、本発明の一態様として、前記転動体に形成された潤滑被膜が表面粗さ1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨されれば、外輪軌道面及び内輪軌道面と転動体との接触抵抗が小さく、且つ潤滑被膜に含有させた固体潤滑剤での潤滑が可能となり、円滑な回転を実現することができる。
また、本発明にかかる軸受装置は、外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受と、該転がり軸受の外輪が挿入される軸受挿入穴の穿設された軸受箱とを備え、前記外輪の外周面が、前記軸受挿入穴を形成する内周面に摺接した軸受装置であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されるとともに、外輪の外周面、及び軸受挿入穴を形成する内周面の少なくとも何れか一方に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴とする。
かかる軸受装置によれば、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に形成された潤滑被膜が含有する固体潤滑剤が作用し、転動体の転動抵抗や、摺動抵抗等が低減され、該転動体が円滑に転動する。これにより、外輪と内輪とが円滑に相対的に回転することになり、前記外輪軌道面、及び内輪軌道面に接触状態で転動する転動体の作動音が低減される。その上、前記潤滑被膜が固体潤滑剤を含有しているので、外輪と内輪との間に潤滑剤を充填する必要がなく、当該転がり軸受を長期に亘って使用することができる。また、軸受挿入穴を形成する内周面に形成した潤滑被膜が含有する固体潤滑剤の作用により、潤滑剤を充填することなく、外輪の外周面と軸受挿入穴を形成する内周面とを潤滑することができる。
本発明に係る転がり軸受によれば、外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴としているので、潤滑剤を補給することなく、如何なる環境下においても長期に亘って使用することができる。
また、本発明にかかる軸受装置によれば、外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受と、該転がり軸受の外輪が挿入される軸受挿入穴の穿設された軸受箱とを備え、前記外輪の外周面が、前記軸受挿入穴を形成する内周面に摺接した軸受装置であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されるとともに、外輪の外周面、及び軸受挿入穴を形成する内周面の少なくとも何れか一方に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴としているので、潤滑剤を補給することなく、如何なる環境下においても長期に亘って使用することができる。
以下、本発明の第一実施形態にかかる転がり軸受について、添付図面を参酌しつつ説明する。なお、本実施形態において、転がり軸受の一例として単列深玉軸受を挙げて説明する。
かかる転がり軸受は、図1に示す如く、円環状の外輪1と、該外輪1に内挿される円環状に内輪2と、前記外輪1と内輪2との間に介装される複数の転動体であるボール3とで構成されている。
前記外輪1は、クロム系、クロム・ニッケル系、マルテンサイト系、オーステナイト系、析出硬化系、二相系等のステンレス鋼や、炭素鋼等が材料として採用されている。
前記外輪1の内周には、全周に亘って内周溝10が形成されている。該内周溝10は、外輪1の軸線方向の凹状の円弧面(以下、外輪軌道面11という)が外輪1の周方向に連続した態様となることで形成されている。該外輪軌道面11は、前記ボール3が、外周面を接触させた状態で外輪1の周方向で転動できるように寸法設定されている。また、該外輪軌道面11には、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜12(以下、この潤滑被膜を外輪潤滑被膜という)が形成されている。
前記外輪潤滑被膜12は、固体潤滑剤と添加物とを含有したエポキシ系、ポリアミド・イミド系等の熱硬化性樹脂溶液を、少なくとも外輪1の外輪軌道面11に塗布(スプレー塗装)し、それを150℃〜350℃で10分〜60分間焼成することによって形成されている。なお、固体潤滑剤としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、二硫化モリプデン、黒鉛等を採用することができる。
前記内輪2は、外輪1と同様に、クロム系、クロム・ニッケル系、マルテンサイト系、オーステナイト系、析出硬化系、二相系等のステンレス鋼や、炭素鋼等が材料として採用されている。
該内輪2の外周には、全周に亘って外周溝20が形成されている。該外周溝20は、内輪2の軸線方向に凹状の円弧面21(以下、内輪軌道面という)が内輪2の周方向に連続した態様となることで形成されている。該内輪軌道面21は、前記外輪軌道面11に略接触状態にある前記ボール3が、外周面を接触させた状態で内輪2の周方向で転動できるように寸法設定されている。また、該内輪軌道面21には、外輪軌道面11と同様に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜22(以下、この潤滑被膜を内輪潤滑被膜という)が形成されている。なお、内輪潤滑被膜22は、外輪潤滑被膜12と同一成分で、且つ同一製法により形成されたものであるので、説明を割愛する。
前記ボール3は、炭素鋼により構成されている。該ボール3の外周面には、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜30(以下、この潤滑被膜を転動側潤滑被膜という)が形成されている。なお、該転動側潤滑被膜30についても、外輪潤滑被膜12、及び内輪潤滑被膜22と同様に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、二硫化モリプデン、黒鉛等の固体潤滑剤と添加物とを含有したエポキシ系、ポリアミド・イミド系等の熱硬化性樹脂溶液を、少なくとも外輪1の外輪軌道面11に塗布(スプレー塗装)し、それを150℃〜350℃で10分〜60分間焼成することによって形成されている。
また、該ボール3は、外輪軌道面11(外輪潤滑被膜12)、及び内輪軌道面21(内輪潤滑被膜22)との接触抵抗を低減させるべく、転動側潤滑被膜30の表面粗さが1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨されている。
本実施形態にかかる転がり軸受は、以上の構成からなり、内輪2に軸体(図示しない)が挿通された状態で、該軸体を軸心回りで回転させると、ボール3が内輪2と外輪1との間で、外輪潤滑被膜12及び内輪潤滑被膜22に接触しながら、外輪1及び内輪2の周方向に転動することになる。この際、外輪潤滑被膜12、内輪潤滑被膜22、及び転動側潤滑被膜30の作用により、ボール3は、外輪1及び内輪2に対して潤滑された状態となっており、円滑な転動を実現している。また、該軸体に作用するラジアル荷重、スラスト荷重は、ボール3を介して外輪1の外輪軌道面11(外輪潤滑被膜12)、及び内輪2の内輪軌道面21(内輪潤滑被膜22)によって受けられた態様になっている。
以上のように、外輪1の外輪軌道面11、及び内輪2の内輪軌道面21に、固体潤滑剤を含有した潤滑被膜(外輪潤滑被膜12、内輪潤滑被膜22)を形成したので、外輪1と内輪2との間にグリス等の潤滑剤を充填させることなく、該潤滑被膜12,22に含有させた固体潤滑剤の作用によって、潤滑剤を充填したのと同等、或いはそれ以上の転動効率でボール3を円滑に転動させることができ、摺動音も小さく良好に維持できる。
その上、潤滑被膜12,22に含有させた固体潤滑剤により、外輪1、内輪2、及びボール3を潤滑させるようにしたので、従来のようなグリス等の潤滑剤のように外部に流れ出てしまう等といった事態になるのを確実に防止することができる。これにより、固体潤滑剤の潤滑を長期に亘って作用させることができるとともに、潤滑剤の使用を嫌うクリーンルームや、真空中、屋外、水中、水のかかる環境(水の付着する環境)下等の如何なる環境下であっても使用することができる。
また、潤滑剤の流れ止めを阻止するシールドを設ける必要がないので、構造が複雑化することなく、部品点数を少なくすることができ、しかも組付けが容易であることから、該転がり軸受を小型・軽量化できると共に廉価に製作することができるという効果もある。
また、外輪1の外輪軌道面11、及び内輪2の内輪軌道面21に、固体潤滑剤を含有した潤滑被膜12,22を形成することで、水中において使用する場合に電食による錆び発生等を防止する効果もある。
さらに、ボール3の外周面にも固体潤滑剤を含有した潤滑被膜(転動側潤滑被膜30)を形成したので、外輪1の外輪軌道面11、及び内輪2の内輪軌道面21のみに潤滑被膜12,22を形成した場合に比して、固体潤滑剤の作用する期間を長期化させることができる。
さらに、ボール3に形成した転動側潤滑被膜30の表面粗さを1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨したので、ボール3を効率よく転動させることができる。
なお、本発明にかかる転がり軸受は、上記第一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
すなわち、上記実施形態において、ボール3(転動体)の外周面に転動側潤滑被膜30(潤滑被膜)を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、外輪1の外輪軌道面11、及び内輪2の内輪軌道面21にのみ潤滑被膜12,22を形成するようにしてもよい。この場合、ボール3をステンレス鋼、ガラス、セラミックス等で構成することが好ましい。ただし、転がり軸受の潤滑寿命をよりいっそう長期化させるには、上記第一実施形態と同様に、転動体(ボール3)の外周面(少なくとも外輪軌道面11(外輪潤滑被膜12)、及び内輪軌道面21(内輪潤滑被膜22)に接触する面)に潤滑被膜(転動側潤滑被膜30)を形成することが好ましい。
上記実施形態において、ボール3の外周面に形成した転動側潤滑被膜30を仕上げ研磨するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、転動側潤滑被膜30を形成した際に、所定の表面粗さ(1.6〜3.2Rmax)となる場合には、仕上げ研磨することなく、そのまま該ボール3を使用するようにしてもよい。
上記実施形態において、単列深玉軸受について説明したが、本発明にかかる転がり軸受は、これに限定されるものではなく、例えば、単列アンギュラ玉軸受、円筒コロ軸受、円錐コロ軸受等であってもよい。このような転がり軸受にした場合、上記実施形態と同様に、コロ等の転動体が接触状態で転動する外輪1の外輪軌道面11、及び内輪軌道面21に上記構成の潤滑被膜を形成すればよい。また、ボール3やコロ等の転動体の外周面に潤滑被膜を形成する場合においても、上記構成の潤滑被膜を形成すればよい。
上記実施形態において、外輪潤滑被膜12、及び内輪潤滑被膜22に仕上げ研磨を施すことなく使用するようにしたが、これに限定されるものではなく、各潤滑被膜12,22を所定の表面粗さに仕上げ研磨するようにしても勿論よい。
次に、本発明の第二実施形態にかかる軸受装置について、添付図面を参酌しつつ説明する。
本実施形態にかかる軸受装置は、図2に示す如く、自動調心機能を備えたピロー型の軸受装置であり、転がり軸受5と、該転がり軸受5が装着される軸受箱であるピロー本体6とで構成されている。
前記転がり軸受5は、円環状の外輪50と、該外輪50に内挿される円環状に内輪51と、前記外輪50と内輪51との間に介装される転動体であるボール52とで構成されている。
前記外輪50は、図3に示す如く、外周面500が軸心上に位置する一点を中心とした凸状の球形面により構成されている。
前記外輪50の内周には、全周に亘って内周溝501が形成されている。該内周溝501は、外輪50の軸線方向に凹状の円弧面502(以下、外輪軌道面という)が外輪50の周方向に連続した態様となることで形成されている。該外輪軌道面502は、前記ボール52が外周面を接触させた状態で外輪の周方向で転動できるように寸法設定されている。また、該外輪軌道面502には、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜503(以下、この潤滑被膜を外輪潤滑被膜という)が形成されている。なお、外輪潤滑被膜503、後述する内輪潤滑被膜512、転動側潤滑被膜520、及び軸受箱側潤滑被膜602の材質、及びこれらの形成方法については第一実施形態と同様であるので、説明を割愛する。また、外輪50、内輪51、及びボール52の材質についても、第一実施形態と同様であるので、説明を割愛する。
前記内輪51の外周には、第一実施形態と同様に、全周に亘って外周溝510が形成されている。該外周溝510は、内輪51の軸線方向に凹状の円弧面511(以下、内輪軌道面という)が内輪51の周方向に連続した態様となることで形成されている。該内輪軌道面511は、前記外輪軌道面502に略接触状態にある前記ボール52が、外周面を接触させた状態で内輪の周方向で転動できるように寸法設定されている。また、該内輪軌道面511には、外輪軌道面502と同様に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜512(以下、この潤滑被膜を内輪潤滑被膜という)が形成されている。
前記ボール52の外周面には、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜520(以下、この潤滑被膜を転動側潤滑被膜という)が形成されており、該転動側潤滑被膜520は、外輪軌道面502(外輪潤滑被膜503)、及び内輪軌道面511(内輪潤滑被膜512)との接触抵抗を低減させるべく、表面粗さが1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨されている。
前記ピロー本体6は、鋳鋼により構成されており、前記転がり軸受5が装着される本体部60と、該本体部60に連設されたベース部61とで構成されている(図2参照)。
前記本体部60には、前記転がり軸受5を挿入するための貫通した軸受挿入穴600が穿設されている。該軸受挿入穴600を形成する内周面601(以下、この内周面を穴内周面という)は、穴中心線上に中心を有する凹状の球形面により構成されており、前記転がり軸受5の外輪50を軸受挿入穴600に挿入した状態で、外輪50の外周面500と穴内周面601(軸受箱側潤滑被膜602)とが摺接するように内径が設定されている。また、該穴内周面601には、略全領域に亘って固体潤滑剤を含有した潤滑被膜602(以下、この潤滑被膜を軸受箱側潤滑被膜という)が形成されている。該軸受箱側潤滑被膜602は、上述の如く、第一実施形態にかかる外輪潤滑被膜12、及び内輪潤滑被膜22と、同材質のものが採用されている。
本実施形態にかかる軸受装置は、以上の構成からなり、該軸受装置の転がり軸受5に軸体(図示しない)を連結させるに際し、内輪51に挿通した軸体の軸心が、軸受挿入穴600の穴心と一致しない場合には、穴内周面601に外輪50の外周面500が摺接して転がり軸受5自身が傾動し、該転がり軸受5(内輪51)の穴心と一致した態様になる。この際、穴内周面601に形成した軸受箱側潤滑被膜602に含有させた固体潤滑剤が作用し、外輪50の外周面500が前記穴内周面601上を円滑に摺動する。
そして、内輪51に軸線を一致させて軸体が挿通された状態で、該軸体を軸心回りで回転させると、ボール52が内輪51と外輪50との間で、外輪潤滑被膜503、及び内輪潤滑被膜512に接触しながら、外輪50及び内輪51の周方向に転動することになる。この際、外輪潤滑被膜503、内輪潤滑被膜512、及び転動側潤滑被膜520の作用により、ボール52は、外輪50及び内輪51に対して潤滑された状態となっており、円滑な転動を実現している。また、該軸体に作用するラジアル荷重、スラスト荷重は、転がり軸受5を介して、穴内周面601で受けた態様となる。
以上のように、上記構成の軸受装置によれば、外輪50の外輪軌道面502、及び内輪51の内輪軌道面511に、固体潤滑剤を含有した潤滑被膜503,512を形成したので、外輪50と内輪51との間にグリス等の潤滑剤を充填させることなく、該潤滑被膜503,512に含有させた固体潤滑剤の作用によって、潤滑剤を充填したのと同等、或いはそれ以上の転動効率でボール52を円滑に転動させることができ、摺動音も小さく良好に維持できる。
その上、固体潤滑剤を含有した潤滑被膜503,512,520を形成することで、外輪50、内輪51、及びボール52を潤滑させるようにしたので、従来のようなグリス等の潤滑剤のように外部に流れ出てしまう等といった事態になるのを確実に防止することができる。
また、外輪50の外周面500が摺接する穴内周面601に、固体潤滑剤を含有した軸受箱側潤滑被膜602を形成したので、固体潤滑剤の作用によって、潤滑剤を充填したのと同等、或いはそれ以上の潤滑を得ることができ、転がり軸受5の調心を円滑に行うことができる。
これにより、固体潤滑剤の潤滑を長期に亘って作用させることができるとともに、潤滑剤の使用を嫌うクリーンルームや、真空中、屋外、水中、水のかかる環境(水の付着する環境)下等の如何なる環境下であっても使用することができる。
また、潤滑剤の流れ止めを阻止するシールドを設ける必要がないので、構造が複雑化することなく、部品点数を少なくすることができ、しかも組付けが容易であることから、該転がり軸受を小型・軽量化できると共に廉価に製作することができるという効果もある。
さらに、ボール52の外周面にも固体潤滑剤を含有した転動側潤滑被膜520を形成したので、外輪50の外輪軌道面502、及び内輪51の内輪軌道面511のみに潤滑被膜503,512を形成した場合に比して、固体潤滑剤の作用する期間を長期化させることができる。
さらに、ボール52に形成した転動側潤滑被膜520の表面粗さを1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨したので、ボール52を効率よく転動させることができる。
なお、本発明にかかる転受装置は、上記第二実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
すなわち、上記第二実施形態において、転がり軸受5を挿入する軸受挿入穴600を構成する穴内周面601に、固体潤滑剤を含有した軸受箱側潤滑被膜602を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、転がり軸受5の外輪50の外周面500に固体潤滑剤を含有した潤滑被膜を形成するようにしたり、外輪50の外周面500、及び穴内周面601の両方に潤滑被膜を形成するようにしたりしてもよい。
上記実施形態において、自動調心可能なピロー式の軸受装置について説明したが、これに限定されるものではなく、軸受装置は、例えば一般的な自動調心軸受等であってもよい。
また、上記実施形態において、穴内周面601を凹状の球形面で構成するとともに、外輪50の外周面500を凸状の球形面で構成して自動調心できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、軸受箱に形成した真円状の軸受挿入穴に転がり軸受の外輪を挿入し、外輪が軸受挿入穴を構成する内周面に対して周方向に摺接するように構成された軸受装置であってもよい。つまり、軸受装置は、自動調心できるものに限定されず、転がり軸受が軸受挿入穴に摺接状態で挿入されるものであればよい。
上記実施形態において、ボール52(転動体)の外周面に転動側潤滑被膜520を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、外輪50の外輪軌道面502、及び内輪51の内輪軌道面511にのみ潤滑被膜503,512を形成するようにしてもよい。この場合、ボールをステンレス鋼、ガラス、セラミックス等で構成することが好ましい。ただし、転がり軸受5の潤滑寿命をよりいっそう長期化させるには、上記第二実施形態と同様に、転動体(ボール52)の外周面(少なくとも外輪軌道面502、及び内輪軌道面511に接触する面)に潤滑被膜520を形成することが好ましい。
上記実施形態において、ボール52の外周面に形成した転動側潤滑被膜520を仕上げ研磨するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、転動側潤滑被膜520を形成した際に、所定の表面粗さ(1.6〜3.2Rmax)となる場合には、仕上げ研磨することなく、そのまま該ボール52を使用するようにしてもよい。
上記実施形態において、外輪潤滑被膜503、内輪潤滑被膜512、及び軸受箱側潤滑被膜602に仕上げ研磨を施すことなく使用するようにしたが、これに限定されるものではなく、各潤滑被膜503,512,602を所定の表面粗さに仕上げ研磨するようにしても勿論よい。
本発明の第一実施形態にかかる転がり軸受の断面図を示す。 本発明の第二実施形態にかかる軸受装置の正面図を示す。 第二実施形態にかかる軸受装置の部分断面であって、図2のA−A断面図を示す。
符号の説明
1,50…外輪、2,51…内輪、3、52…ボール(転動体)、5…転がり軸受、6…ピロー本体、10,501…内周溝、11,502…外輪軌道面、12,503…外輪潤滑被膜(潤滑被膜)、20,510…外周溝、21,511…内輪軌道面、22,512…内輪潤滑被膜(潤滑被膜)、30,520…転動側潤滑被膜(潤滑被膜)、60…本体部、61…ベース部、500…外周面、600…軸受挿入穴、601…穴内周面、602…軸受箱側潤滑被膜(潤滑被膜)

Claims (4)

  1. 外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記外輪軌道面、及び内輪軌道面に接触する前記転動体の外周面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されてなる請求項1記載の転がり軸受。
  3. 前記転動体に形成された潤滑被膜が表面粗さ1.6〜3.2Rmaxに仕上げ研磨されてなる請求項2記載の転がり軸受。
  4. 外輪と内輪との間に転動体が介装された転がり軸受と、該転がり軸受の外輪が挿入される軸受挿入穴の穿設された軸受箱とを備え、前記外輪の外周面が、前記軸受挿入穴を形成する内周面に摺接した軸受装置であって、前記転動体が転動する外輪の内周に形成された外輪軌道面、及び内輪の外周に形成された内輪軌道面に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されるとともに、外輪の外周面、及び軸受挿入穴を形成する内周面の少なくとも何れか一方に、固体潤滑剤を含有する潤滑被膜が形成されたことを特徴とする軸受装置。
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