JP2021067302A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体への潤滑剤の補充を確実に行うことにより、従来よりも寿命の長い転がり軸受を提供することを目的とする。【解決手段】転がり軸受10は、外周面111に第1内軌道面112を有する内輪11と、内周面121に第1外軌道面122を有する外輪12と、第1内軌道面112と第1外軌道面122との間に設けられる複数の転動体13と、内輪11と外輪12との間の環状空間S1の軸方向一方側の開口部30に設けられる第1密封装置16と、第1密封装置16と転動体13の間に設けられ、潤滑剤を保持する第1保持部材18と、第1保持部材18と転動体13の間に設けられる第1グリースG1とを備える。【選択図】 図2
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
転がり軸受では、長寿命化の要求に応えるべく、軸受の各部を潤滑するグリースが用いられることがある。グリースは、基油へ増ちょう剤とその他の添加剤を混合させて得られる。特許文献1に開示される転がり軸受では、多孔質体に潤滑剤(例えば、グリースの基油)を含浸させた保持部材を外輪に設け、外輪の外軌道面と保持部材との間にグリースが塗布される。そして、常用運転の状態では、保持部材から潤滑剤が外軌道面及び内軌道面に補充され、外軌道面及び内軌道面における潤滑性が維持されることで、転がり軸受の長寿命化が可能となっている。
例えば、特許文献1の転がり軸受を、軸方向一方を鉛直方向上方にして使用する場合、保持部材よりも軸方向一方側の転動体は、保持部材よりも上方に位置する。このため、通路P(特許文献1の図2参照)を通じて行われる潤滑剤の補充が、重力によって阻害されるおそれがある。その結果、経年使用に伴い、保持部材の鉛直方向上方に位置する転動体の潤滑性が、保持部材の鉛直方向下方に位置する転動体の潤滑性よりも低くなり、転がり軸受の寿命が制限されるおそれがある。
そこで、本発明は、転動体への潤滑剤の補充をより確実に行うことで、従来よりも寿命の長い転がり軸受を提供することを目的とする。
(1) 本発明の転がり軸受は、外周に内軌道面を有する内輪と、内周に外軌道面を有する外輪と、前記内軌道面と前記外軌道面との間に設けられる複数の転動体と、前記内輪と前記外輪との間の環状空間の軸方向一方側の開口部に設けられる密封装置と、前記密封装置と前記転動体の間に設けられ、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部材と、前記潤滑剤保持部材と前記転動体の間に設けられるグリースと、を備える。
この転がり軸受によれば、軸方向一方側を鉛直方向の上側にして使用する場合に、潤滑剤保持部材及びグリースが転動体よりも上方に位置する。そして、潤滑剤及びグリースは、重力により転動体へ流れるため、グリース及び潤滑剤の供給が確実に行われ、内軌道面及び外軌道面における潤滑性を維持することができる。これにより、転がり軸受の長寿命化が可能となる。
(2) 好ましくは、前記内輪又は前記外輪は、軸方向一方側の端部に環状溝を有し、前記密封装置は、前記環状溝に固定され、前記潤滑剤保持部材は、前記密封装置に固定されるように構成しても良い。このように構成することで、密封装置に潤滑剤保持部材を固定した状態で、密封装置を環状溝に固定することができ、転がり軸受の組立時の生産性を向上させることができる。
(3) 好ましくは、前記環状溝は、軸方向一方側に開口し、前記潤滑剤保持部材の少なくとも一部は、前記環状溝のうち軸方向一方側に向いた第1面と前記密封装置との間に設けられ、前記グリースは、前記第1面に設けられるように構成しても良い。
第1面は、前記密封装置の取り付け前は、軸方向一方側に開放されているため、グリースを比較的容易に第1面へ付与することができ、転がり軸受の組立時の生産性を向上させることができる。
(4) 好ましくは、前記グリースは、前記環状溝と前記転動体の間に、さらに設けられるように構成しても良い。このように構成することで、軌道面とグリースとの距離が近くなるため、軌道面へグリース及び潤滑剤が供給される経路が形成されやすくなり、潤滑性をより確実に高めることができる。
本発明によれば、転がり軸受の寿命を従来よりも長くすることができる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
<1.転がり軸受の説明>
図1は、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受10を示す断面図である。転がり軸受10は、内輪11と、外輪12と、複数の転動体13、14と、保持器15と、第1密封装置16と、第2密封装置17と、第1保持部材18と、第2保持部材19と、第1グリースG1と、第2グリースG2と、を備える。
図1は、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受10を示す断面図である。転がり軸受10は、内輪11と、外輪12と、複数の転動体13、14と、保持器15と、第1密封装置16と、第2密封装置17と、第1保持部材18と、第2保持部材19と、第1グリースG1と、第2グリースG2と、を備える。
本開示において、転がり軸受10の中心線C(以下、「軸受中心線C」と称する)に沿った方向が、転がり軸受10の軸方向であり、単に「軸方向」と称する。この軸方向には、軸受中心線Cに平行な方向も含まれる。図1の上方を軸方向一方と定義し、図1の下方を軸方向他方と定義する。軸受中心線Cに直行する方向が、転がり軸受10の径方向であり、単に「径方向」と称する。軸受中心線Cを中心として転がり軸受10(第1実施形態では内輪11)が回転する方向が、転がり軸受10の周方向であり、単に「周方向」と称する。
また、転がり軸受10は、軸方向一方を鉛直方向上方に向け、軸方向他方側を鉛直方向下方に向けた状態で、使用する。すなわち、転がり軸受10は図1に示す姿勢で用いられる。
図2は、図1に示す転がり軸受10の軸方向一方側を拡大して示す断面図である。図2は、図1と同様に、転がり軸受10の軸方向一方を上方に、軸方向他方を下方に向けた状態で示す。以下、図1及び図2を参照しながら、転がり軸受10の構成について説明する。
図1を参照する。内輪11は、環状の回転輪であり、内輪11の内周面内に回転軸(図示省略)を保持する。内輪11は、外周面111と、軸方向一方側の端面114と、軸方向他方側の端面115とを有する。内輪11は、外周面111に2つの内軌道面112、113を有する。2つの内軌道面112、113は、外周面111から軸受中心線C側に凹んで設けられる。軸方向一方側の内軌道面を第1内軌道面112と称し、軸方向他方側の内軌道面を第2内軌道面113と称する。
外輪12は、環状の固定輪であり、外輪12の外周面側はハウジング(図示省略)に固定される。外輪12は、内周面121と、軸方向一方側の端面124と、軸方向他方側の端面125とを有する。外輪12は、内周面121に2つの外軌道面122、123を有する。2つの外軌道面122、123は、内周面121から軸受中心線Cと反対側に凹んで設けられる。軸方向一方側の外軌道面を第1外軌道面122と称し、軸方向他方側の外軌道面を第2外軌道面123と称する。外輪12は、端面124に環状溝20を有する。
内輪11と外輪12との間には、環状空間S1が形成される。環状空間S1のうち軸方向一方側には、開口部30が形成される。より具体的には、開口部30は、端面114と外周面111との境界を含む部分と、端面124と内周面121との境界を含む部分とにより、形成される。
環状空間S1のうち軸方向他方側には、開口部31が形成される。より具体的には、開口部31は、内輪11の端面115に外周面111が接続する部分と、外輪12の端面125に内周面121が接続する部分とにより、形成される。
環状空間S1のうち、第1内軌道面112と第1外軌道面122との間には、複数の転動体13が設けられる。転動体13は、玉である。複数の転動体13によって第1転動体列が構成される。複数の転動体13は、保持器15により周方向に間隔を空けて保持される。
環状空間S1のうち、第2内軌道面113と第2外軌道面123との間には、複数の転動体14が設けられる。転動体14は、玉である。複数の転動体14によって第2転動体列が構成される。複数の転動体14は、保持器15により周方向に間隔を空けて保持される。
保持器15は、軸方向一方側と軸方向他方側の2箇所に設けられる。軸方向一方側の保持器15は、転動体13を保持し、軸方向他方側の保持器15は、転動体14を保持する。
図2を参照する。軸方向一方側の保持器15は、転動体13の軸方向一方側に設けられる円環部15aと、円環部15aから軸方向他方に延びて設けられる複数のつめ15bとを有する。複数のつめ15bは、周方向に沿って、等間隔に設けられる。周方向に隣り合うつめ15b,15bの間が、転動体13を収容するポケットとなる。保持器15は、当該ポケットに転動体13を収容して保持する。軸方向他方側の保持器15は、軸方向一方側の保持器15と同様の構成を、軸方向に対称に有する。すなわち、軸方向他方側の保持器15は、転動体14の軸方向他方側に設けられる円環部15aと、円環部15aから軸方向一方に延びて設けられる複数のつめ15bとを有する。
環状溝20は、外輪12の軸方向一方側に設けられ、軸方向一方側と軸受中心線側に開口する環状の溝である。環状溝20は、軸方向一方側に向いた第1面21と、軸受中心線C側に向いた第2面22とを有する。第1面21の軸受中心線C側の一端は、外輪12の内周面121と接続し、他端は第2面22と接続する。第2面22の軸方向一方側の一端は、外輪12の端面124と接続し、他端は第1面21と接続する。
第1密封装置16は、環状の金属部材であり、環状溝20に固定された状態で開口部30に設けられる。第1密封装置16は、回転輪(本実施形態では内輪11)と僅かに隙間を空けた状態で、開口部30を塞ぐ。これにより、環状空間S1内の第1グリースG1が転がり軸受10の外部へ流出するのを防ぐとともに、転がり軸受10の外部から異物が環状空間S1に侵入するのを防ぐ。
第1密封装置16は、環状の本体161と、本体161の径方向の内周端及び外周端からそれぞれ軸方向他方に延びる2つの壁部162とを有する。本体161の軸方向他方側の面163と、2つの壁部162とにより、凹部164が形成される。第1密封装置16は、金属部材(例えば、ステンレス鋼)である。壁部162は、例えばプレス等の曲げ加工により本体161に設けられる。第1密封装置16は、外周側の壁部162の外周面を環状溝20の第2面22に接触させた状態で、環状溝20に圧入されることにより、固定される。
第1保持部材18は、環状の形状を有し、第1密封装置16と転動体13との間に設けられる。より具体的には、第1保持部材18の軸方向一方側の面181が、本体161の軸方向他方側の面163に接する状態で、凹部164に嵌め込まれることで、第1密封装置16に固定される。第1密封装置16に固定された第1保持部材18の一部は、第1面21と第1密封装置16の間に設けられる。換言すれば、第1密封装置16に固定された第1保持部材18の一部は、第1面21に面する。
第1保持部材18は、樹脂製(例えば、ポリエチレン)の多孔質体であり、互いに連通した微小な空孔を複数有する。第1保持部材18は、複数の空孔内に潤滑剤を含浸させることで、潤滑剤を保持する。第1保持部材18に保持される潤滑剤は、第1グリースG1の基油と同じ成分を有する。
第1グリースG1は、第1保持部材18と転動体13との間に設けられる。より具体的には、第1グリースG1は、第1面21に周方向に沿って塗布される。第1グリースG1は、軸方向一方側で第1保持部材18と接触する。第1グリースG1は、第1面21の全面に塗布されてもよいし、第1面21の周方向に間隔を空けて塗布されてもよい。第1グリースG1は、基油と増ちょう剤を含む。
図1を参照する。第2保持部材19は、外輪12の内周面121に固定して設けられる。より具体的には、内周面121のうち、第1外軌道面122と第2外軌道面123との間に設けられる。第2保持部材19は、樹脂製(例えば、ポリエチレン)の多孔質体であり、互いに連通した微小な空孔を複数有する。第2保持部材19は、複数の空孔内に潤滑剤を含浸させることで、潤滑剤を保持する。第2保持部材19に保持される潤滑剤は、第2グリースG2の基油と同じ成分を有する。
第2グリースG2は、外輪12の内周面121のうち、第2保持部材19と転動体14との間に設けられる。第2グリースG2は、基油と増ちょう剤を含む。
第2密封装置17は、環状の金属部材であり、外輪12の内周面121に固定された状態で、開口部31に設けられる。第2密封装置17は、回転輪(本実施形態では内輪11)と僅かに隙間を空けた状態で、開口部31を塞ぐ。これにより、環状空間S1内の第2グリースG2が転がり軸受10の外部へ流出するのを防ぐとともに、転がり軸受10の外部から異物が環状空間S1に侵入するのを防ぐ。
以上より、転がり軸受10は、内輪11が回転輪であり、外輪12が固定輪であり、内輪と外輪との間に第1および第2転動体列を設ける複列玉軸受である。そして、転がり軸受10は、環状溝20が設けられる軸方向一方側を鉛直方向の上側にした姿勢で、用いられる。
また、転がり軸受10は、外周面111に第1内軌道面112を有する内輪11と、内周面121に第1外軌道面122を有する外輪12と、第1内軌道面112と第1外軌道面122との間に設けられる複数の転動体13と、内輪11と外輪12との間の環状空間S1の軸方向一方側の開口部30に設けられる第1密封装置16と、第1密封装置16と転動体13の間に設けられ、潤滑剤を保持する第1保持部材18と、第1保持部材18と転動体13の間に設けられる第1グリースG1とを備える。
<2.転がり軸受の組付け>
次に、第1実施形態に係る転がり軸受10の外輪12への第1密封装置16及び第1保持部材18の組付け順序について、図2を参照しながら、説明する。
次に、第1実施形態に係る転がり軸受10の外輪12への第1密封装置16及び第1保持部材18の組付け順序について、図2を参照しながら、説明する。
まず、第1密封装置16が固定されていない外輪12の環状溝20の第1面21へ、第1グリースG1を塗布する。第1面21は、第1密封装置16の取り付け前は軸方向一方に開放しているため、第1グリースG1を比較的容易に塗布することができる。
続いて、潤滑剤を含浸させた第1保持部材18を、第1密封装置16の凹部164に嵌め込む。最後に、第1保持部材18が固定された第1密封装置16を、第2面22に嵌め込む。第1密封装置16と第1保持部材18とを組合せてユニット化した状態で、第1密封装置16を環状溝20へ固定することができるため、転がり軸受10の組立時の生産性を向上させることができる。
<3.転がり軸受の潤滑>
第1実施形態に係る転がり軸受10の潤滑について説明する。まず、第1グリースG1と第1保持部材18による転動体13の潤滑について、図2を参照しながら、説明する。
第1実施形態に係る転がり軸受10の潤滑について説明する。まず、第1グリースG1と第1保持部材18による転動体13の潤滑について、図2を参照しながら、説明する。
前述のとおり、転がり軸受10は、軸方向一方を鉛直方向上方にした状態で用いられる。図2で示すように、第1グリースG1は、転動体13よりも軸方向一方側(すなわち、鉛直方向上方側)に位置する。したがって、第1グリースG1に含まれる基油は、第1グリースG1から染み出し、重力により第1面21から外輪12の内周面121に沿って流れる。これにより、第1グリースG1の基油が流れる通路Pが形成される。
そして、通路Pを通った第1グリースG1の基油は、転動体13及び第1外軌道面122のうち、一部に付着する。その後、転がり軸受10が回転し、転動体13が転動すると、転動体13及び第1外軌道面122の一部に付着した第1グリースG1の基油は、転動体13及び第1外軌道面122のより広い範囲に供給され、また第1内軌道面112にも供給される。第1グリースG1の基油が、転動体13、第1内軌道面112及び第1外軌道面122に供給されることにより、第1内軌道面112及び第1外軌道面122と転動体13との間の潤滑性を得ることができる。
転がり軸受10が回転を続けると、第1面21に設けられた第1グリースG1から、基油が通路Pを通じて転動体13側へ供給されることで、第1グリースG1中に含まれる基油が次第に消費される。第1グリースG1への基油の補充がないまま、第1グリースG1中の基油が消費されると、第1内軌道面112、第1外軌道面122及び転動体13の表面において油膜切れが発生して、転がり軸受10の寿命が制限されるおそれがある。
本実施形態では、第1保持部材18は、第1面21上の第1グリースG1よりも軸方向一方側(すなわち、鉛直方向上方側)に位置する。これにより、第1保持部材18に保持された潤滑剤が、第1保持部材18から染み出し、重力に従って流れることで、第1面21に設けられた第1グリースG1へ潤滑剤が継続的に補充される。第1保持部材18が保持する潤滑剤は、第1グリースG1の基油と同じ成分であるため、消費した第1グリースG1に潤滑剤が供給されることで、第1内軌道面112及び第1外軌道面122と転動体13との間の油膜切れの発生を抑制し、潤滑性を維持することができる。これにより、軸方向一方側を鉛直方向上方側にして使用する転がり軸受10の長寿命化が可能となる。
また、第1グリースG1は、環状溝20のうち軸方向一方側に向いた第1面21に設けられる。第1面21は、軸方向一方側に向いた面、すなわち、軸方向(鉛直方向)と交差する面である。したがって、第1グリースG1は、第1面21により保持される。そして、第1グリースG1が第1面21に保持された状態で第1グリースG1から基油が染み出し、第1グリースG1の基油は、通路Pを通じて徐々に供給されるため、潤滑性を長期にわたって維持することができ、転がり軸受10の長寿命化が可能となる。
以上より、本実施形態の転がり軸受10によれば、第1保持部材18の潤滑剤が、重力に従って効率よく継続的に第1内軌道面112、第1外軌道面122及び転動体13に供給される。これにより、第1内軌道面112、第1外軌道面122及び転動体13の表面において油膜切れが発生するのを抑制し、転がり軸受10を長寿命化することができる。
次に、第2グリースG2と第2保持部材19による転動体14の潤滑について、図1を参照しながら、説明する。
第2グリースG2は、転動体14よりも軸方向一方側(すなわち、鉛直方向上方側)に位置する。第2グリースG2から染み出した基油は、重力により外輪12の内周面121に沿って流れ、転動体14及び第2外軌道面123のうち、一部に付着する。その後、転がり軸受10が回転し、転動体14が転動すると、転動体14及び第2外軌道面123の一部に付着した第2グリースG2の基油は、転動体14及び第2外軌道面123のより広い範囲に供給され、また第2内軌道面113にも供給される。第2グリースG2の基油が、転動体14、第2内軌道面113及び第2外軌道面123に供給されることにより、第2内軌道面113及び第2外軌道面123と転動体14との間の潤滑性を得ることができる。
転がり軸受10が回転を続けると、外周面121に設けられた第2グリースG2から、基油が転動体14側へ供給されることで、第2グリースG2の基油が次第に消費される。第2グリースG2の基油が消費されると、第2保持部材19に保持された潤滑剤が、第2保持部材19から染み出して第2グリースG2へ供給される。第2保持部材19が保持する潤滑剤は、第2グリースG2の基油と同じ成分であるため、基油を消費した第2グリースG2に潤滑剤が供給されることで、第2内軌道面113、第2外軌道面123及び転動体14への第2グリースG2の基油の供給も継続的に行なうことができる。これにより、第2内軌道面113及び第2外軌道面123と転動体14との間の潤滑性を維持することができ、転がり軸受10の長寿命化が可能となる。
また、第2保持部材19は、第2グリースG2よりも軸方向一方側(すなわち、鉛直方向上方側)に位置するため、潤滑剤は重力に従って流れることで第2グリースG2に供給される。このため、軸方向一方側を鉛直方向上方側にして使用する転がり軸受10において、潤滑性を確実に維持することができ、転がり軸受10の長寿命化が可能となる。
以上より、本実施形態の転がり軸受10によれば、第2保持部材19の潤滑剤が、第2グリースG2を介して第2内軌道面113、第2外軌道面123及び転動体14に重力に従って継続的に供給される。これにより、第2内軌道面113、第2外軌道面123及び転動体14の表面において油膜切れが発生するのを抑制し、転がり軸受10を長寿命化することができる。
<4.変形例>
以上、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受10を説明した。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、種々の変形を行うことができる。以下、本発明の第1実施形態についての変形例について、説明する。図3及び図4は、それぞれ第1実施形態についての変形例に係る転がり軸受を示す断面図である。なお、以下の説明において、第1実施形態から変更のない部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
以上、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受10を説明した。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、種々の変形を行うことができる。以下、本発明の第1実施形態についての変形例について、説明する。図3及び図4は、それぞれ第1実施形態についての変形例に係る転がり軸受を示す断面図である。なお、以下の説明において、第1実施形態から変更のない部分については同じ符号を付し、説明を省略する。
<4.1 第1グリースG1の供給位置の変形例>
第1実施形態では、第1グリースG1を環状溝20の第1面21に塗布して設けた。しかしながら、図3の転がり軸受10aに示すように、第1面21への塗布に加えて、外輪12の内周面121のうち、環状溝20と転動体13の間に、第1グリースG1が設けられてもよい。
第1実施形態では、第1グリースG1を環状溝20の第1面21に塗布して設けた。しかしながら、図3の転がり軸受10aに示すように、第1面21への塗布に加えて、外輪12の内周面121のうち、環状溝20と転動体13の間に、第1グリースG1が設けられてもよい。
図3のように構成することで、第1内軌道面122及び転動体13と第1グリースG1との距離が、第1実施形態よりも近くなる。これにより、第1内軌道面122及び転動体13へ第1グリースG1の基油が供給される通路Pが形成されやすくなり、潤滑性をより確実に高めることができる。
また、転動体13をより確実に潤滑させるために、第1グリースG1に加えて、外輪12の内周面121のうち、第1外軌道面122と第2保持部材19との間に、転動体13と接触又は近接させた状態で、第3グリースをさらに設けてもよい。第3グリースは、転動体13よりも鉛直方向下方に位置するため、第3グリースから染み出した基油が転動体13に供給されるには、第3グリースの基油が重力に逆らう方向に流動する必要がある。しかしながら、転動体13の転動により、転動体13と接触又は近接する第3グリースの基油が転動体13に巻き込まれることで、第1内軌道面112及び第1外軌道面122と転動体13との間に第3グリースの基油が供給される。
第3グリースの基油の流動は重力に逆らう方向であるため、経年使用に伴い、第3グリースの基油の供給は重力により阻害されるおそれがある。このため、第3グリースは、第1グリースG1の補助として、第1グリースG1と併せて用いることが好ましい。
<4.2 転がり軸受の変形例>
第1実施形態では、環状溝20を外輪12の端面124に設けた。しかしながら、図4の転がり軸受10bに示すように、環状溝20aが、内輪11の端面114に設けられてもよい。
第1実施形態では、環状溝20を外輪12の端面124に設けた。しかしながら、図4の転がり軸受10bに示すように、環状溝20aが、内輪11の端面114に設けられてもよい。
第1実施形態に係る転がり軸受10では、内輪11を回転輪とし、外輪12を固定輪とした。そして、環状溝20は、固定輪である外輪12に設けられた。これに対し、転がり軸受10bは、内輪11を固定輪とし、外輪12を回転輪とする。そして、環状溝20aは、固定輪である内輪11に設けられる。
環状溝20aは、軸方向一方側に向いた第1面21aと、軸受中心線C側と反対側に向いた第2面22aとを有する。第1面21aの軸受中心線C側と反対側の一端は、内輪11の外周面111と接続し、他端は第2面22aと接続する。第2面22aの軸方向一方側の一端は、内輪11の端面114と接続し、他端は第1面21aと接続する。
第1密封装置16は、径方向のうち軸受中心線C側に位置する壁部162側の内周面を、環状溝20aの第2面22aに接触させた状態で、環状溝20aに嵌め込まれることにより、固定される。
第1保持部材18は、環状の形状を有し、凹部164に嵌め込まれることで、第1密封装置16に固定される。第1密封装置16に固定された第1保持部材18の一部は、第1面21aと第1密封装置16の間に設けられる。換言すれば、第1密封装置16に固定された第1保持部材18の一部は、第1面21aに面する。
第1グリースG1は、第1面21aに環状に塗布されて設けられる。第1グリースG1は、軸方向一方側で第1保持部材18と接触する。第1グリースG1は、第1面21aの全面に塗布されてもよいし、第1面21aの周方向に間隔を空けて塗布されてもよい。第1面21aの周方向に間隔を空けて塗布する場合、第1面21aのうち転動体13の軸方向一方側に位置する領域に塗布してもよい。
本変形例において、第1グリースG1の基油は、第1面21aから外周面111に沿って流れ落ち、第1内軌道面112及び転動体13の少なくとも一方へ供給される。そして、転がり軸受10bの回転に伴って、第1グリースG1の付着範囲は第1内軌道面112、第1外軌道面122及び転動体13に広げられる。
以上より、第1実施形態及び本変形例ともに、環状溝20(20a)は固定輪側に設けられる。これにより、第1グリースG1及び第1保持部材18が転がり軸受10(10b)の回転に伴う影響を受けるのを防止しつつ、安定的に第1グリースG1の基油及び第1保持部材18の潤滑剤を転動体13へ供給することができる。したがって、第1内軌道面112及び第1外軌道面122と転動体13との間の潤滑性をより安定的に維持することができる。
<4.3 保持部材の変形例>
第1実施形態の第1保持部材18及び第2保持部材19は、樹脂製の多孔質体であった。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、第1保持部材18及び第2保持部材19は、金属製の多孔質体であってもよい。
第1実施形態の第1保持部材18及び第2保持部材19は、樹脂製の多孔質体であった。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、第1保持部材18及び第2保持部材19は、金属製の多孔質体であってもよい。
また、第1実施形態では、第1保持部材18に含浸させる潤滑剤は第1グリースG1の基油と同じ成分を有し、第2保持部材19に含浸させる潤滑剤は第2グリースG2の基油と同じ成分を有する。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、第1保持部材18及び第2保持部材19に含浸させる潤滑剤は、第1グリースG1及び第2グリースG2そのものと同じ成分であってもよい。
また、第1実施形態では、第1保持部材18は、軸方向一方側の面181が第1密封装置16の軸方向他方側の面163に接する状態で、第1密封装置16に固定された。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、第1保持部材18は、面163に接さず、第1密封装置16の2つの壁部162に第1保持部材18の径方向の両端がはさまれる状態で、第1密封装置16に固定されてもよい。
また、第1保持部材18は、第1密封装置16に嵌め込まれることで固定されてもよいし、第1保持部材18と第1密封装置16の間に接着剤を用いることで固定されてもよい。
<4.4 グリースの変形例>
第1グリースG1及び第2グリースG2は、同一成分のグリースであってもよいし、異なる成分のグリースであってもよい。第1グリースG1及び第2グリースG2は、半固体状のグリース、固体状のグリースまたは液体状グリースであってもよい。また、第1グリースG1及び第2グリースG2に代えて、潤滑油を用いてもよい。
第1グリースG1及び第2グリースG2は、同一成分のグリースであってもよいし、異なる成分のグリースであってもよい。第1グリースG1及び第2グリースG2は、半固体状のグリース、固体状のグリースまたは液体状グリースであってもよい。また、第1グリースG1及び第2グリースG2に代えて、潤滑油を用いてもよい。
<4.5 その他>
第1実施形態に係る転がり軸受10は複列玉軸受であった。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、単列の玉軸受であってもよい。また、転動体13、14は、ころであってもよい。つまり、転がり軸受10はころ軸受であってもよい。
第1実施形態に係る転がり軸受10は複列玉軸受であった。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、単列の玉軸受であってもよい。また、転動体13、14は、ころであってもよい。つまり、転がり軸受10はころ軸受であってもよい。
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の転がり軸受は、図示する形態に限られず、本発明の範囲内において他の形態であってもよい。
10:転がり軸受 11:内輪 12:外輪
13、14:転動体 112:第1内軌道面 122:第1外軌道面
16:第1密封装置 18:第1保持部材 20:環状溝
21:第1面 30:開口部 G1:第1グリース
S1:環状空間
13、14:転動体 112:第1内軌道面 122:第1外軌道面
16:第1密封装置 18:第1保持部材 20:環状溝
21:第1面 30:開口部 G1:第1グリース
S1:環状空間
Claims (4)
- 外周に内軌道面を有する内輪と、
内周に外軌道面を有する外輪と、
前記内軌道面と前記外軌道面との間に設けられる複数の転動体と、
前記内輪と前記外輪との間の環状空間の軸方向一方側の開口部に設けられる密封装置と、
前記密封装置と前記転動体の間に設けられ、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部材と、
前記潤滑剤保持部材と前記転動体の間に設けられるグリースと、
を備える転がり軸受。 - 前記内輪又は前記外輪は、軸方向一方側の端部に環状溝を有し、
前記密封装置は、前記環状溝に固定され、
前記潤滑剤保持部材は、前記密封装置に固定される、
請求項1の転がり軸受。 - 前記環状溝は、軸方向一方側に開口し、
前記潤滑剤保持部材の少なくとも一部は、前記環状溝のうち軸方向一方側に向いた第1面と前記密封装置との間に設けられ、
前記グリースは、前記第1面に設けられる、
請求項2の転がり軸受。 - 前記グリースは、前記環状溝と前記転動体の間に、さらに設けられる、
請求項3の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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-
2019
- 2019-10-21 JP JP2019191833A patent/JP2021067302A/ja active Pending
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