JP2005068874A - ストッパ付き転がり支承および建物の減震システム - Google Patents

ストッパ付き転がり支承および建物の減震システム Download PDF

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信二 北垣
Hisao Kaihara
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Abstract

【課題】 小型かつ安価で、戸建住宅等の小規模住宅に好適なストッパ付き転がり支承を提供する。
【解決手段】 ストッパ付き転がり支承1は、上から順に、架台側部材11、硬球体21および基礎側部材31から構成されている。架台側部材11は、上部板12、緩衝部材13および柔軟部材14から構成されている。また、基礎側部材31は、下部板32、緩衝部材33および柔軟部材34から構成されている。架台側部材11は建物の架台に、基礎側部材31は建物の基礎に、それぞれ取り付けられる。上部板12は、本体部12aと、ストッパ部12bとを有している。下部板32は、本体部32aと、ストッパ部32bとを有している。各ストッパ部12b,32bは、硬球体21を挟み込むことにより架台側部材11と基礎側部材31との相対的な水平移動量を規制・制限するものである。硬球体21の表面には、潤滑剤が塗布されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建物の転がり支承に関し、特にストッパを備えたストッパ付き転がり支承に関する。また、このストッパ付き転がり支承を用いた建物の減震システムに関する。
従来、建物の転がり支承が開発・使用されている(例えば特許文献1、特許文献2参照。)。
まず、特許文献1に記載の免震装置について説明する。図8は、特許文献1に記載の免震装置を示す概略縦断面図である。免震装置101は、受台102,103、球体104、減衰要素105および復元要素106から構成されている。
受台102,103は、それぞれサイクロイド曲線面102a,103aを有している。球体104は、サイクロイド曲線面102a,103aの間に設けられている。減衰要素105は、水平方向の揺れを減衰させるものであり、例えば、空圧ダンパー、油圧ダンパー、弾塑性ダンパー、粘弾性ダンパー、高減衰性ゴム等である。復元要素106は、上下の受台102,103を中立位置に復元させるものであり、例えば、コイルばね、積層ゴム、ゴム状弾性体である。
免震装置101は、球体104によって、建物の土台と基礎とを絶縁しつつ建物の荷重を受ける。地震時には、減衰要素105の減衰力や復元要素106の復元力が作用する。
続いて、特許文献2に記載の通気式免震復元装置について説明する。図9は、特許文献2に記載の通気式免震復元装置を示す概略縦断面図であり、(a)は通常の状態を示す図、(b)は地震時の状態を示す図である。通気式免震復元装置201は、免震復元器211および連結材221から構成されている。免震復元器211は、上部取付板212、転がり球213、下部取付板214、復元用ゴム材215およびスポンジ材216を有している。スポンジ材216は、通常時に転がり球213を空間217の中央に位置決めするためのものである。免震復元器211および連結材221は、建物の土台A´と基礎Bとの間に設置されている。また、免震復元器211は、建物の柱Pの真下となる位置に設置されている。
免震復元器211は、転がり球213によって、建物の土台A´と基礎Bとを絶縁しつつ建物の荷重を受ける。地震時には、復元用ゴム材215の減衰力および復元力が作用する。なお、連結材221は、土台A´が基礎Bから飛び上がるのを防ぐためのものである。
特開平11−315886号公報(段落0010〜0017、図1) 特開2000−110403号公報(段落0005〜0040、図17、図18)
しかしながら、特許文献1に記載の免震装置101は、以下に示す問題点を有している。
(1−1) 受台102,103にサイクロイド曲線面102a,103aを形成するための手間やコストがかかる。
(1−2) 減衰要素105、復元要素106を設けているので、装置が大型かつ複雑で、高価である。
(1−3) 免震装置101は、数個で一棟の建物を支持する装置であるため、建物の重量バランスに応じて設置位置を厳密に決定する必要がある。そのため、家具配置の変更等によって建物の重量バランスが頻繁に変化する戸建住宅等の小規模建物には不向きである。
また、特許文献2に記載の通気式免震復元装置201は、前記問題点(1−1),(1−2),(1−3)が解消されているものの、なお以下に示す問題点を有している。
(2−1) 地震時に基礎Bが土台A´に対して大きくずれた場合には、転がり球213が復元用ゴム材215の上に乗り上げ、復元用ゴム材215を損傷させてしまう。損傷した復元用ゴム材215は、その減衰特性が劣化する。かかる事態を防ぐために復元用ゴム材215の内径を大きくすると、免震復元器211が大型化する。この場合には、免震復元器211にあわせて土台A´や基礎Bの断面幅を大きくする必要が生じる。よって戸建住宅等の小規模建物には不向きとなる。
(2−2) 土台A´と基礎Bとの水平移動は、連結材221によって規制される。土台A´と基礎Bとが限界までずれた場合には、連結材221に突然大きな張力が生じる。この張力は建物に衝撃となって伝わるので、建物の補強が必要となる。
そこで本発明は、小型かつ安価で、戸建住宅等の小規模住宅に好適なストッパ付き転がり支承を提供することを課題とする。さらには、小型かつ安価で、戸建住宅等の小規模住宅に好適な建物の減震システムを提供することを課題とする。
本発明は、前記した課題を解決すべく創案されたものであり、請求項1に記載のストッパ付き転がり支承は、建物の本体下部の架台に取り付けられる、水平板状の本体部と、この本体部から下向きに立設するストッパと、を有する架台側部材と、前記建物の基礎に取り付けられる、水平板状の本体部と、この本体部から上向きに立設するストッパと、を有する基礎側部材と、前記架台側部材と前記基礎側部材との間に水平方向に転がり運動可能に設けられ、かつ前記建物の本体の荷重を前記架台側部材から前記基礎側部材に伝える硬球体と、を備え、前記架台側部材と前記基礎側部材とは前記硬球体を介して水平方向に相対移動可能であり、前記架台側部材のストッパと前記基礎側部材のストッパとで前記硬球体を挟み込むことにより、前記架台側部材と前記基礎側部材との水平方向の相対移動を制限するストッパ付き転がり支承であって、前記各ストッパは、潤滑剤を介して前記硬球体を挟み込むよう形成してなる構成とした。
「架台」は、建物の本体の下側に、基礎と対向するように設けられた部材であり、例えば土台等である。
各「ストッパ」は、硬球体を挟み込むことにより、架台側部材と基礎側部材との水平方向の相対移動を制限するものである。その形状は、円筒状であることが望ましい。これは、水平のあらゆる方向に対し、方向特異性をなくすためである。また、その高さは、硬球体の半径よりやや小さい高さであることが望ましい。これは、ストッパ同士が接することなく、かつ硬球体を確実に挟み込むためである。
「潤滑剤」は、硬球体と各ストッパとの間に発生する摩擦を低減させるものであり、不揮発性の油等である。
架台側部材と基礎側部材との間に設けられた硬球体が水平方向に転がることができるので、架台側部材と基礎側部材とは水平方向に相対移動を行うことができる。そして架台側部材と基礎側部材とは水平方向に相対移動を行う際には、硬球体が水平方向に転がりつつ、建物の本体の荷重を架台側部材から基礎側部材へ伝えることができる。そして所定距離の相対移動を行うと、各ストッパが硬球体を左右から挟み込み、それ以上の距離の相対移動を行えないようになっている。
各ストッパは、潤滑剤を介して硬球体を挟み込むので、各ストッパが硬球体を挟み込んで水平方向の相対移動を制限した状態において、各ストッパと硬球体との間の摩擦力を小さくすることができる。よって、硬球体が各ストッパを乗り越えて外に出るおそれがなく、装置のさらなる小型化が可能となる。
また、請求項2に記載のストッパ付き転がり支承は、請求項1に記載のストッパ付き転がり支承であって、前記潤滑剤は、前記硬球体の表面に塗布されている構成とした。
また、請求項3に記載のストッパ付き転がり支承は、請求項1に記載のストッパ付き転がり支承であって、前記潤滑剤は、前記各ストッパの、前記硬球体と対向する面に塗布されている構成とした。
なお、硬球体との衝突時に発生する衝撃を和らげるため、各ストッパに緩衝部材が設けられている場合には、緩衝部材に潤滑剤を塗布または浸潤させる構成であってもよい。
また、請求項4に記載の建物の減震システムは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のストッパ付き転がり支承と、建物の架台と基礎との間の水平方向の揺れを減衰させ、前記架台と前記基礎とを元の相対位置に復帰させる減衰ダンパーと、を前記架台と前記基礎との間に介在させた構成とした。
「減衰ダンパー」は、水平方向の揺れを減衰させる機能と、架台と基礎とを元の相対位置に復帰させる機能と、を有するものである。これらの機能は、例えば減衰性ゴム部材により実現される。なお、減衰性ゴム部材は高減衰ゴムからなるものであることが望ましい。
かかる構成により、小型かつ安価な各装置(ストッパ付き転がり支承、減衰ダンパー)を組み合わせた建物の減震システムを提供することができる。大地震の後には、各装置を点検し、劣化した装置だけを取り換えればよく、メンテナンスの容易化、低コスト化が図られる。
本発明によれば、硬球体が外れるおそれがなく、小型化、低コスト化が可能なストッパ付き転がり支承を提供することができる。また、メンテナンスの低コスト化、容易化が可能で、小規模住宅に好適な建物の減震システムを提供することができる。
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。以下の説明において、位置・方向に関する表現(上下等)は、ストッパ付き転がり支承を設置した状態を基準とする。また、同様の部分については同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、地震の揺れを簡略化するため、建物本体側(架台側)が固定され、基礎側が揺れる(水平移動する)モデルを例にとって説明する。
〈ストッパ付き転がり支承の構成〉
図1は、本発明の実施形態に係るストッパ付き転がり支承を示す分解斜視図である。ストッパ付き転がり支承1は、上から順に、架台側部材11、硬球体21および基礎側部材31から構成されている。
架台側部材11は、上部板12、緩衝部材13および柔軟部材14から構成されている。また、基礎側部材31は、下部板32、緩衝部材33および柔軟部材34から構成されている。架台側部材11は建物の架台に、基礎側部材31は建物の基礎に、それぞれ取り付けられる。
上部板12は、本体部12aと、ストッパ部12bとを有している。本体部12aは水平板状の部材であり、その下面の一部は、円形の転動面12a1となっている。円筒状のストッパ部12bは、転動面12a1を囲むようにして、本体部12aから下向きに立設されている。また、本体部12aは、長手方向両極に穿設されたボルト挿入孔12a2,12a2を有している。
下部板32は、本体部32aと、ストッパ部32bとを有している。本体部32aは水平板状の部材であり、その上面の一部は、円形の転動面32a1となっている。円筒状のストッパ部32bは、転動面32a1を囲むようにして、本体部32aから上向きに立設されている。また、本体部32aは、長手方向両極に穿設されたボルト挿入孔32a2,32a2を有している。
これら上部板12および下部板32は、各本体部12a,32aの間で硬球体21が転動するための水平かつ剛な、同一径の転動面12a1,32a1を形成するものであり、ここでは互いに同一の形状・寸法のステンレス板からなっている。なお、本実施形態はストッパ部12b(32b)の内周面に緩衝部材13(33)を設置した構成であるため、転動面12a1(32a1)の径は、緩衝部材13(33)の本体部12a(32a)側内径に等しくなるよう形成されている。
各ストッパ部12b,32bは、硬球体21を挟み込むことにより架台Aと基礎Bとの相対的な水平移動量を規制・制限するものである。ストッパ部12b,32bは、それぞれ本体部12a,32aに溶接固定されており、それぞれの高さは硬球体21の半径よりもやや小さい。
かかる上部板12および下部板32は、サイクロイド曲線面の形成等、特殊な加工を施すことなく得られるので、安価である。
緩衝部材13(33)は、リング形状のゴムであり、ストッパ部12b(32b)の内周側部に嵌め込み固定されている。緩衝部材13(33)の高さは、ストッパ部12b(32b)の高さと等しい。また、緩衝部材13(33)の内周面には、下方(上方)にいくにしたがい壁厚が小さくなるようテーパ13a(33a)が形成されており、硬球体21の転動範囲が大きくなるよう処理されている。
以下、ストッパ部12bに緩衝部材13を固定したものをストッパS1(図3参照)と記載する。同様に、ストッパ部32bに緩衝部材33を固定したものをストッパS2(図3参照)と記載する。
柔軟部材14(34)は、中心孔14a(34a)を有する円筒形状の部材であり、緩衝部材13(33)の内側に位置するよう、転動面12a1(32a1)に取り付けられている。柔軟部材14(34)の高さは、ストッパ部12b(32b)の高さと等しい。柔軟部材14(34)の外径は、緩衝部材13(33)の内径の最小値と等しい。また、中心孔14a,34aの径は、硬球体21の径と等しい。
硬球体21は、通常時に柔軟部材14,34の中心孔14a,34aに内接するように収容される鋼製の球である。その強度は、上部構造(建物本体)の荷重を受けた状態で転動可能な強度であればよい。そして、硬球体21の表面には、潤滑剤が塗布されている。
〈ストッパ付き転がり支承の設置状態〉
続いて、ストッパ付き転がり支承の設置状態について、戸建住宅に設置する場合を例にとって説明する。図2は、本発明の実施形態に係るストッパ付き転がり支承の設置状態を説明する分解斜視図である。
まず、基礎側部材31の設置状態について説明する。基礎Bには、アンカーボルトBa,Baおよび長ナットBb,Bbが埋設固定されている。アンカーボルトBaの上部は長ナットBbの下部にねじ込まれており、長ナットBbの上端は、基礎Bの天端面と同じ高さとなっている。
アンカーボルトBa,Baは、U字形に連結されている。そのため、間隔が正確であり、基礎側部材31のボルト挿入孔32a2,32a2(図1参照)との位置合わせが容易となっている。この連結形状は、U字形に限定されず、H字形等であってもよい。また、間隔が正確であれば、アンカーボルトBa,Baは独立したものであってもよい。
そして、長ナットBbの上端と、基礎Bの天端面とを同じ高さとしたので、基礎Bの天端面は平らとなり、突出した障害物がない状態となる。よって、ストッパ付き転がり支承1の設置・交換作業が容易となっている。
基礎側部材31のボルト挿入孔32a2,32a2(図1参照)と、長ナットBb,Bbとを位置合わせする。そして、ボルトCa2,Ca2を上方からボルト挿入孔32a2,32a2を通して長ナットBb,Bbにねじ込む。こうして基礎側部材31を基礎Bに固定した後、硬球体21を基礎側部材31の柔軟部材34の中心孔34a内に置く。
続いて、架台側部材11の設置状態について説明する。架台Aは、その下面に座掘孔Aa,Aaを有している。また、その側面に先穴Ab,Ab,…を有している。
架台取付部材41は、底板部42、側板部43,43からなる断面コ字形状の鋼板と、底板部42の下面に取り付けられた座板44と、からなる部材である。座板44は、硬球体21からの長期の圧力負荷によって、底板部42や架台Aの下面が凹まないように設けられた補強部材である。底板部42および座板44の合計厚さは、側板部43の厚さよりも大きくなっている。なお、これら底板部42および座板44は一体に形成されていてもよい。底板部42は、ルーズホール42a,42aを有している。ルーズホール42a,42aの径は、ボルトCa1,Ca1の軸部外径よりも大きく形成されている。側板部43は、ラグスクリュー挿入孔43aを有している。座板44は、底板部42のルーズホール42a,42aと連通する同一径のルーズホール44a,44aを有している。
架台取付部材41のルーズホール42a,42aを結ぶ線分と、基礎Bの長ナットBb,Bbを結ぶ線分とは、20度傾いている。このようにすることで、架台A側のボルトCa1,Ca1と基礎B側のボルトCa2,Ca2の位置が平面視で互いにずれるようになり、容易に設置・交換可能となっている。
架台側部材11のボルト挿入孔12a2,12a2(図1参照)と、架台取付部材41のルーズホール44a(42a),44a(42a)とを位置合わせする。そして、ボルトCa1,Ca1を下方からボルト挿入孔12a2,12a2、ルーズホール44a,44a、ルーズホール42a,42aおよび座金Cb,Cbに通す。その後、ナットCc,Ccを上方からボルトCa1,Ca1に螺合させ、架台側部材11と架台取付部材41とを固定する。
続いて、架台取付部材41のラグスクリュー挿入孔43a,43a,…と、架台Aの先穴Ab,Abとを位置合わせする。このとき、ボルトCa1,Ca1の上部、座金Cb,CbおよびナットCc,Ccは座掘孔Aa,Aaに収容される。そして、ラグスクリューDa,Da,…をラグスクリュー挿入孔43a,43a,…を通して先穴Ab,Ab,…に挿入し、架台取付部材41と架台Aとを固定する。この際、架台側部材11の転動面12a1の中心と、硬球体21の中心と、基礎側部材31の転動面32a1の中心とが、同一鉛直軸上に並ぶように位置合わせを行う。
架台取付部材41のボルト挿入孔がルーズホール42a,44aとなっているため、各孔の形成位置精度が低くても、架台側部材11の転動面12a1の中心と、基礎側部材31の転動面32a1の中心の位置合わせが可能となり、設置作業が容易となる。
〈ストッパ付き転がり支承の動作〉
続いて、ストッパ付き転がり支承の動作について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るストッパ付き転がり支承の動作例を示す縦断面図である。
通常の状態では、図3(a)に示すように、硬球体21は、架台側部材11と基礎側部材31との間に、各柔軟部材14,34によって転動面12a1,32a1の中心に位置決めされている。
地震が起こると、図3(b)に示すように、図中矢印方向に基礎Bが移動し、架台Aと基礎Bとの相対位置にずれが生じる。
地震の揺れが大きい場合には、図3(c)に示すように、各ストッパS1,S2で硬球体21を挟み込む。この際、ストッパS1,S2は緩衝部材13,33を有するので、衝突時に生じる衝撃を和らげることができる。また、硬球体21の表面には潤滑剤が塗布されているので、硬球体21と各ストッパS1,S2との間に発生する摩擦力が小さくなっている。
潤滑剤が塗布されておらず、かつ大きい揺れが生じた場合には、硬球体21´がストッパS2´に乗り上げたり、ストッパS1´が硬球体21´に乗り上げたりするおそれがある(図4(a)参照)。そして、最悪の場合には、硬球体21´が架台側部材11´と基礎側部材31´とから外れてしまい、支承としての役割を果たさなくなる(図4(b)参照)。本発明では、硬球体21の表面には潤滑剤が塗布されているので、装置を大型化することなく、このような事態を回避することができる。
かかるストッパ付き転がり支承1は、後述する減衰ダンパー53(図6参照)等と併用される。減衰ダンパー53等の減衰力・復元力によって揺れの運動エネルギーが吸収され、元の状態(図3(a)参照)に戻る。
〈建物の減震システム〉
続いて、ストッパ付き転がり支承を用いた建物の減震システムについて説明する。図5は、本発明の実施形態に係る建物の減震システムを示す基礎伏図である。建物の減震システム51は、建物の架台A(図3参照)と基礎Bとの間に設けられるものであり、支承52および減衰ダンパー53から構成されている。
支承52は、架台A(図3参照)と基礎Bとの水平方向の相対移動を許容しつつ、建物本体の荷重を架台Aから基礎Bに伝える装置である。この支承52のうち、複数あるいは全部をストッパ付き転がり支承1とすることができる。
減衰ダンパー53は、架台A(図3参照)と基礎Bとの間の揺れを減衰させ、元の相対位置に復帰させるためのものである。以下、図6を参照して減衰ダンパーの一例について説明する。
図6は、図5の減衰ダンパーの動作例を示す縦断面図である。減衰ダンパー53は、上部板53a、下部板53b、減衰用ゴム部材53cおよび被覆部材53dから構成されている。
上部板53aは、架台取付部材41´を介して架台Aに取り付けられるものである。下部板53bは、基礎Bに取り付けられるものである。これら上部板53a、下部板53bは、互いに同一形状・寸法のステンレス板である。
減衰用ゴム部材53cは、それ自体が水平方向にせん断変形して揺れの運動エネルギーを吸収しながら、地震時や強風時における架台Aと基礎Bとの相対的な水平方向の揺れを減衰しつつ、架台Aと基礎Bとを元の相対位置に復帰させる機能を有している。その上下面は、それぞれ上部板53a、下部板53bに固着されている。減衰用ゴム部材53cは、その組成、形状、寸法等を適宜選択することにより、所望の減衰性能を得ることができる。ここでは、軸中心に孔を有する円柱形状であり、その高さを硬球体21(図3参照)と同じ高さとしている。この軸中心の孔は、減衰用ゴム部材53cの成形時にできるものであり、減衰用ゴム部材53cの機能には関係ない。なお、減衰用ゴム部材53cは、ストッパ付き転がり支承1が許容する水平方向の相対移動に耐えうる強度を有していればよい。
被覆部材53dは、減衰用ゴム部材53cの外周面を被覆する円筒状の部材であり、ここでは耐久性のあるゴム製である。このように、減衰用ゴム部材53cが外気に晒されないようになっているので、減衰用ゴム部材53cの劣化を防ぐことができる。
地震時には、減衰用ゴム部材53cは、水平せん断変形する。そして揺れの運動エネルギーを吸収することにより揺れを減衰させる。最終的には、架台Aと基礎Bとを元の相対位置に復帰させる。ここで図6(a)〜(c)は、それぞれ図3(a)〜(c)に対応している。減衰用ゴム部材53cの水平せん断変形は、ストッパ付き転がり支承1のストッパS1,S2のはたらきによって制限されるため、揺れによって減衰用ゴム部材53cが破壊されるおそれがない。
図5に戻り、建物の減震システム51についての説明を続ける。建物の減震システム51は、これら支承52(ストッパ付き転がり支承1)および減衰ダンパー53を架台A(図3参照)と基礎Bとの間に平面的にバランスよく分散配置したものである。在来木造軸組工法建物に適用する場合には、支承52(ストッパ付き転がり支承1)は、少なくとも各柱の直下等の鉛直集中荷重が作用する部位に配置される。また、枠組壁工法建物に適用する場合には、支承52(ストッパ付き転がり支承1)は、たて枠の直下およびそこから1820mm以内のピッチで配置される。これらの例のように、ほとんどの場合において、支承52(ストッパ付き転がり支承1)は、基礎Bのコーナー部、T字部、十字部等に配置される。
また、減衰ダンパー53は、隣り合う支承52,52間にバランスよく配置されている。
建物の減震システム51は、小型かつ安価である支承52および減衰ダンパー53を用いているので、以下に示す効果を奏する。
(1) 支承52が複数配置されているので、より多くの点で建物の荷重を受けることができ、支承52一基あたりの荷重負荷を小さくすることができる。また、家具の配置換え等による建物の荷重バランスの変化にも対応できる。
(2) 大地震後には、支承52および減衰ダンパー53を点検し、劣化した装置だけを取り換えればよい。したがって、メンテナンスの低コスト化、容易化につながる。
〈建物の減震システムの別の例〉
続いて、本発明の建物の減震システムの別の例(建物の減震システム61)について、前記した建物の減震システム51との相違点を中心に説明する。図7は、本発明の実施形態に係る建物の減震システムの別の例を示す基礎伏図である。建物の減震システム61は、支承52、減衰ダンパー53および補助用減衰ダンパー64から構成されている。
補助用減衰ダンパー64は、公知の空圧ダンパー、油圧ダンパー、弾塑性ダンパー、粘弾性ダンパーの中から一種または数種が選択されたものであって、地震時や強風時における架台A(図3参照)と基礎Bとの相対的な水平方向の揺れを減衰させるものである。補助用減衰ダンパー64は減衰ダンパー53と異なり、架台Aと基礎Bとを元の相対位置に復帰させる機能を有しているか否かを問わない。
建物の減震システム61は、図5に示した建物の減震システム51の各種装置のうち、外周基礎B1に配置された減衰ダンパー53を、補助用減衰ダンパー64に置き換えた構成となっている。つまり、外周基礎B1には補助用減衰ダンパー64が、内側基礎B2には減衰ダンパー53が、それぞれ配置された構成となっている。ここでいう「外周基礎B1」は、建物の基礎Bのうち、建物の外周にあたる部分の基礎のことである。またここでいう「内側基礎B2」は、建物の基礎Bのうち、建物の内側にあたる部分の基礎のことである。
減衰ダンパー53の減衰用ゴム部材53cは、温度等の条件によってその減衰能が変化する。減衰ダンパー53を外周基礎B1に配置した場合には、外気温や日射量の影響により、減衰ダンパー53間に性能のばらつきが発生するおそれがある。
例えば、建物の南北では外気温に差がある。減衰ダンパー53が、外周基礎B1のうち、南北部分に設置されている場合には、建物の南側と北側とで減衰能に差が生じる。よって地震時に、建物本体にねじれが発生してしまうおそれがある。減衰ダンパー53を内側基礎B2に配置し、補助用減衰ダンパー64を外周基礎B1に配置することにより、このような事態を防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態に係るストッパ付き転がり支承および建物の減震システムについて説明したが、これらは本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、本実施形態では、緩衝部材13,33、柔軟部材14,34を有する構成としたが、これらを有しない構成であってもよい。緩衝部材13,33を有しない場合には、ストッパ部12b,32bが特許請求の範囲における「ストッパ」として機能する。
また、上部板12、硬球体21および下部板32の素材は、転がり支承としての強度を有しているものであればよい。
また、架台側部材11の上部板12と、架台取付部材41との間(図3参照)に、電食防止のため、絶縁材を介在させる構成であってもよい。同様に、上部板53aと、架台取付部材41´との間(図6参照)に、絶縁材を介在させる構成であってもよい。
また、本実施形態は、硬球体21の表面に潤滑剤を塗布する構成としたが、緩衝部材13,33の内周面に潤滑剤を塗布したり、柔軟部材14,34に潤滑剤を浸潤させたりする構成であってもよい。また、ストッパ付き転がり支承1が緩衝部材13,33を有しない場合には、ストッパ部12b,32bの内周面に潤滑剤を塗布する構成であってもよい。なお、潤滑剤は、硬球体21と各ストッパS1,S2との間の摩擦力を低減させるものであれば、その種類を問わない。
また、本発明のストッパ付き転がり支承および建物の減震システムは、戸建住宅等の小規模住宅だけでなく、各種建物に設置可能である。
本発明の実施形態に係るストッパ付き転がり支承を示す分解斜視図である。 図1のストッパ付き転がり支承の設置状態を説明する分解斜視図である。 図1のストッパ付き転がり支承の動作例を示す縦断面図である。 参考例としてのストッパ付き転がり支承の動作例を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る建物の減震システムを示す基礎伏図である。 図5の減衰ダンパーの動作例を示す縦断面図である。 建物の減震システムの別の例を示す基礎伏図である。 特許文献1に記載の免震装置を示す概略縦断面図である。 特許文献2に記載の通気式免震復元装置を示す概略縦断面図であり、(a)は通常の状態を示す図、(b)は地震時の状態を示す図である。
符号の説明
1 ストッパ付き転がり支承
11 架台側部材
12 上部板
12a 本体部
12b ストッパ部
13 緩衝部材
14 柔軟部材
21 硬球体
31 基礎側部材
32 下部板
32a 本体部
32b ストッパ部
33 緩衝部材
34 柔軟部材
51、61 建物の減震システム
52 支承
53 減衰ダンパー
53c 減衰用ゴム部材
64 補助用減衰ダンパー
A 架台
B 基礎
S1、S2 ストッパ

Claims (4)

  1. 建物の本体下部の架台に取り付けられる、水平板状の本体部と、この本体部から下向きに立設するストッパと、を有する架台側部材と、
    前記建物の基礎に取り付けられる、水平板状の本体部と、この本体部から上向きに立設するストッパと、を有する基礎側部材と、
    前記架台側部材と前記基礎側部材との間に水平方向に転がり運動可能に設けられ、かつ前記建物の本体の荷重を前記架台側部材から前記基礎側部材に伝える硬球体と、を備え、
    前記架台側部材と前記基礎側部材とは、前記硬球体を介して水平方向に相対移動可能であり、
    前記架台側部材のストッパと前記基礎側部材のストッパとで前記硬球体を挟み込むことにより、前記架台側部材と前記基礎側部材との水平方向の相対移動を制限するストッパ付き転がり支承であって、
    前記各ストッパは、潤滑剤を介して前記硬球体を挟み込むように形成してなることを特徴とするストッパ付き転がり支承。
  2. 前記潤滑剤は、前記硬球体の表面に塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のストッパ付き転がり支承。
  3. 前記潤滑剤は、前記各ストッパの、前記硬球体と対向する面に塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のストッパ付き転がり支承。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のストッパ付き転がり支承と、
    建物の架台と基礎との間の水平方向の揺れを減衰させ、前記架台と前記基礎とを元の相対位置に復帰させる減衰ダンパーと、
    を前記架台と前記基礎との間に介在させたことを特徴とする建物の減震システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007262691A (ja) * 2006-03-27 2007-10-11 Jdc Corp すべり支承およびその取り付け方法ならびに免震構造物
JP2013245536A (ja) * 2012-05-29 2013-12-09 Sumitomo Rubber Ind Ltd ケーブル制振装置
CN106931066A (zh) * 2016-09-08 2017-07-07 中国地震局工程力学研究所 具有弧形轨道的三向隔震台座
JP2019039533A (ja) * 2017-08-28 2019-03-14 オイレス工業株式会社 滑り振子型免震装置

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