JP2005068219A - 半導電性樹脂組成物およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、体積抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御することが可能であり、また体積抵抗率の再現性が良好である半導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 SO3 -基を有する陰イオンから形成される有機塩化合物を含有し、体積抵抗率が105〜1013Ω・cmであることを特徴とする、半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、有機塩化合物を形成する陽イオンが、ピリジン系、脂環式アミン系から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする半導電性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 SO3 -基を有する陰イオンから形成される有機塩化合物を含有し、体積抵抗率が105〜1013Ω・cmであることを特徴とする、半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、有機塩化合物を形成する陽イオンが、ピリジン系、脂環式アミン系から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする半導電性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、体積抵抗率が半導電性領域にある半導電性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、半導電性領域内で体積抵抗率を所望の値に厳密に制御することが可能であり、体積抵抗率の再現性が良好で、また、溶融成形条件による体積抵抗率の変動が少ない半導電性樹脂組成物に関する。本発明の半導電性樹脂組成物は、静電気の制御、帯電防止、電磁波シールド、塵埃吸着防止などの機能が要求される広範な分野において、各種成形品、部品、部材などとして好適に使用することができる。
105〜1013Ω・cmの体積抵抗率を持つ樹脂材料は、体積抵抗率が絶縁体と金属導体との中間に位置するため、一般に半導電性樹脂と呼ばれている。半導電性樹脂は、帯電防止性、塵埃吸着防止性、電磁波シールド性などの機能を生かして、例えば、電子部品包装用フィルム、OA機器外装材などとして広範な分野に適用されている。また、半導電性樹脂は、静電気の制御が要求される分野、例えば、電子写真装置の中間転写ベルト、帯電ロール、定着ベルトなどの帯電部材用樹脂材料として使用されている。
半導電性樹脂の多くは、絶縁体である樹脂に導電性カーボンブラックや金属粉末、金属繊維、炭素繊維などの導電性充填材を配合することにより、体積抵抗率を半導電性領域に調整した半導電性樹脂組成物である。しかしながら、樹脂に汎用の導電性充填材を配合した半導電性樹脂組成物は、(1)導電性充填材の充填量の僅かな変化でも、体積抵抗率が大幅に変化する、(2)体積抵抗率の分布が均一ではなく、場所による体積抵抗率のバラツキが大きい、(3)半導電性樹脂組成物を溶融成形すると、射出速度などの成形条件の変化によって、得られる成形品の体積抵抗率が大きく変動する、等の問題が顕在化していた。
このような問題が生じる主たる原因としては、樹脂に比べて汎用の導電性充填材の体積抵抗率が極めて小さいこと、並びに半導電性の発現が樹脂組成物中での導電性充填材の分散状態に大きく依存していることを挙げることができる。体積抵抗率が大きい樹脂中に導電性充填材がバラバラに独立した状態で分散していると、樹脂組成物の体積抵抗率が所望の程度にまで小さくならない。これに対して、樹脂中に導電性充填材の多くが連結状態で分散していると、樹脂組成物の体積抵抗率が著しく小さくなる。また、樹脂中に導電性充填材が均一に分散していないと、樹脂組成物の場所による体積抵抗率のバラツキが大きくなる。その一方で、導電性充填材は一般に凝集しやすいことが知られており、導電性充填剤を樹脂中に均一に分散させることは極めて困難である。界面活性剤などの分散剤を導入することで分散性を向上させる手段も知られているが、当該分散剤により、樹脂が元来有する特性が低下する問題があった。更には、上記導電性充填材の分散状態は、樹脂に対する導電性充填材の充填量や樹脂組成物の成形条件などにも大きく依存し、それ故、汎用の導電性充填材を用いた場合、105〜1013Ω・cmの体積抵抗率を持つ半導電性樹脂組成物を安定的に再現性よく製造することは、非常に困難であった。
上記問題を回避する方法として、樹脂中にLiClなどの無機塩を含有せしめることで抵抗値制御を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、無機塩は一般に水に溶解し易いという特徴を有する。従って、無機塩を含有せしめることにより抵抗値制御を行った樹脂組成物、特にポリイミド樹脂組成物は、外気湿度の影響により、その抵抗値が大きく変化するという問題があった。
特開2001−354782号公報
本発明は、体積抵抗率を半導電性領域内の所望の値に厳密に制御することが可能であり、また体積抵抗率の再現性が良好な半導電性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の導電性付与剤を含有してなる樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、SO3 -基を有する陰イオンから形成される有機塩化合物を含有し、体積抵抗率が105〜1013Ω・cmであることを特徴とする、半導電性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、有機塩化合物を形成する陽イオンが、ピリジン系、脂環式アミン系から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、前記の半導電性樹脂組成物に関する。
更に好ましい実施態様は、有機塩化合物を形成する陽イオンが、N−アルキルピリジニウム、N−アルキルイミダゾリウム、ジアルキルイミダゾリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、上記何れかに記載の半導電性樹脂組成物に関する。
更に好ましい実施態様は、有機塩化合物を形成する陽イオンが、N−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、N−エチルイミダゾリウム、N−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、上記何れかに記載の半導電性樹脂組成物に関する。
更に好ましい実施態様は、樹脂100重量部に対し、有機塩化合物が0.1〜80重量部含有されていることを特徴とする、上記何れかに記載の半導電性樹脂組成物に関する。
更に好ましい実施態様は、ポリイミドを含有することを特徴とする、上記何れかに記載の半導電性樹脂組成物に関する。
更に好ましい実施態様は、中間転写ベルト、帯電ロール、若しくは定着ベルトとして用いられることを特徴とする、上記何れかに記載の半導電性樹脂組成物に関する。
本発明によれば、半導電性領域内で体積抵抗率を所望の値に厳密に制御することが可能であり、また体積抵抗率の再現性が良好な半導電性樹脂組成物が提供される。本発明の半導電性樹脂組成物は、静電気の制御、帯電防止、電磁波シールド、塵埃吸着防止などの機能が要求される広範な分野において、各種成形品、部品、部材などとして好適に使用することができる。
本発明に係る半導電性樹脂組成物の実施の形態をより詳しく説明する。
本発明に係る有機塩化合物とは、それを構成する陽イオン若しくは陰イオンの少なくとも何れか一方が、有機イオンであることを特徴とする塩である。有機塩化合物は一般に高い導電性を有するため、それを樹脂中に含有せしめることで、半導電性領域での抵抗値制御が可能となる。有機塩化合物の多くが、有機溶媒に可溶であることから推測されるように、有機塩化合物はそれを分子分散せしめることが極めて容易である。従って、有機塩化合物はカーボンブラックなどの導電性微粉末のような凝集体は形成せず、それゆえ、有機塩化合物を含有せしめることで半導電性を付与した樹脂組成物は、有機塩化合物の凝集体に起因する、抵抗値のバラツキが抑制される。また、有機塩化合物は一般に水に不溶であるため、有機塩化合物を含有するポリイミド樹脂組成物は、外気湿度によるその抵抗値の変動が極めて小さい利点を有する。
本発明に係る有機塩化合物は、それを形成する陰イオンの少なくとも一部がp−CH3C6H4SO3 -、C6H5SO3 -などの、SO3 -基を有するスルホン酸系陰イオンであることが重要である。有機塩化合物を形成する陰イオンは、スルホン酸系の他に、BF4 -、PF6 -、(CF3SO2)2N-、CF3COO-等のフッ素系や、Cl-、Br-等の非フッ素ハロゲン系などが知られている。しかしながら、フッ素系陰イオンを有する有機塩化合物は樹脂との相容性が低いことから、当該有機塩化合物のみを配合した樹脂組成物は、その抵抗値の場所によるバラツキが大きいという問題がある。さらには、非フッ素ハロゲン系陰イオンを有する有機塩化合物は、導電性付与能力、即ち、樹脂中に配合した際の樹脂抵抗を下げる能力が低く、樹脂組成物に半導電性を付与できない場合があるという問題がある。一方で、SO3 -基を有する陰イオンから形成される有機塩化合物は、樹脂との相容性が極めて高く、また、樹脂への導電性付与能力も極めて高いことから、当該有機イオンを含有する半導電性樹脂組成物は、その抵抗値の厳密な制御、抵抗値の再現性の良さを提供できる。
SO3 -基を有する陰イオンとしては、具体的にはベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタスルホン酸、アルキルスルホン酸などを例示することができる。中でも、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸が、高い導電性付与能力を有する有機塩化合物を与えることから、本目的により好ましく用いられる。
本発明に係る有機塩化合物は、陰イオンがSO3 -基を有すれば、その他の構造は特に制限されず、公知のあらゆる化合物を好適に使用可能である。またさらに、同一分子内に陽イオンと陰イオンの両方を固定した双イオン型の有機塩化合物、側鎖に陽イオン部位及び/または陰イオン部位を有する有機塩高分子であってもよい。
有機塩化合物を形成する陽イオンとして、具体的には、N−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウムなどのピリジン系、N−エチルイミダゾリウム、N−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム、N−メチルピラゾリウムなどの脂環式アミン系、ヘキシルトリメチルアンモニウムなどの脂肪族アミン系等が例示されうる。なお、ここでいうピリジン系とは、分子構造内にピリジン骨格を有するものを指し、脂環式アミン系とは、分子構造内にイミダゾール骨格若しくはピラゾール骨格を有するものを指す。
上記の中でも、有機塩化合物の熱安定性、導電性、ポリイミド樹脂との相容性を考慮すると、有機塩化合物を形成する陽イオンは、ピリジン系、脂環式アミン系から選ばれる少なくとも1種以上を含むことが特に好ましい。具体的には、ピリジン系ではN−アルキルピリジニウム、脂環式アミン系ではN−アルキルイミダゾリウム、ジアルキルイミダゾリウムを含むことが好ましい。ここで、上記アルキルとは、炭素数6以下のアルキル鎖であることが好ましい。なお、ジアルキルイミダゾリウムイオンに配位するアルキル鎖長は、必ずしも同一でなくても良い。さらに、より具体的には、例えば、ピリジン系ではN−メチルピリジニウム若しくはN−ブチルピリジニウムが、また、脂環式アミン系ではN−エチルイミダゾリウム、N−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、若しくは1,3−ジメチルイミダゾリウムを含むことがより好ましい。
有機塩化合物の具体例としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・p−CH3C6H4SO3 -塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・C6H5SO3 -塩等が挙げられる。
樹脂に含有せしめる有機塩化合物の量が少ない場合、その効果を十分に発揮できない場合があり、逆に多すぎる場合は、樹脂が本来有する力学特性を著しく低下せしめる場合がある。従って、樹脂100重量部に対し、有機塩化合物が0.1〜80重量部含有されていることで、より好ましく目的が達成されうる。更には、樹脂100重量部に対し、有機塩化合物が3〜60重量部含有されることがより好ましい。
本発明に係る半導電性樹脂組成物は、成形後の体積抵抗率が、半導電領域にあることが重要である。該樹脂組成物に求められる体積抵抗率の範囲は、該樹脂組成物の用途によって大きく異なるが、105〜1013Ω・cmであることで、本発明の目的が好ましく達成され得る。本発明に係る体積抵抗率とは、JIS K6911に準拠し、印加電圧100V、電圧印加時間10sで測定した値であり、例えば、アドバンテスト社製抵抗測定装置R8302を用いて測定できる。
本発明で使用する樹脂は特に限定されず、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン)、ポリイソプレン、ポリ−p−キシレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ABS樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルニトリル、全芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイド、トリジアン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、またはこれらの変性物などが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、導電性充填材の添加による抵抗制御が極めて困難であり、本発明の効果を最も効果的に発揮できる点から、ポリイミドを含有する場合が最も好ましい。ここで、ポリイミドは、ポリアミック酸の硬化反応により得られるものであり、ポリアミック酸は、酸二無水物成分、好ましくは芳香族テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機極性溶媒中で重合反応させて得られるものである。
上記酸二無水物成分としては特に制限はなく、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3′,4,4′−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4′−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4′−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。単独で用いる場合には、ピロメリット酸二無水物若しくはビフェニルテトラカルボン酸類二無水物が機械強度を好適な範囲に制御しやすいので好ましく、2種以上組み合わせて用いる場合においても、全酸二無水物成分を基準として50モル%以上のピロメリット酸二無水物若しくは50モル%以上のビフェニルテトラカルボン酸類二無水物を用いることが好ましい。上記ビフェニルテトラカルボン酸類二無水物は、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、若しくは、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
次に用いられるジアミン成分は、ジアミンであれば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4′−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4′−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3′−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4′−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノ−5,5′−ジメトキシビフェニル、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノ−2,2′−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3′−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4′−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4′−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2′−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン等を挙げることができる。これらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。単独で用いる場合には、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル若しくはフェニレンジアミン類が機械強度を好適な範囲に制御しやすいので好ましく、2種以上組み合わせて用いる場合においても、全ジアミン成分を基準として50モル%以上の4,4′−ジアミノジフェニルエーテル若しくは50モル%以上のフェニレンジアミン類を用いることが好ましい。上記フェニレンジアミン類は、p−フェニレンジアミン、若しくは、m−フェニレンジアミンが特に好ましい。
ここで該ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独または混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。また、水は、ポリアミック酸の分解を促進するため、可能な限り除去されねばならない。
ポリアミック酸の硬化反応は、熱による方法、ポリアミック酸を含む原料溶液中に触媒及び硬化剤を導入する方法、光による方法など、従来既知の方法を好適に用いることができる。しかしながら、生産性向上や、弾性率などのその他物性を好適に制御できることから、ポリアミック酸を含む原料溶液中に触媒及び硬化剤を導入する方法を、硬化反応の少なくとも一部に導入することが好ましい。触媒及び硬化剤を、ポリアミック酸を含む原料溶液中に導入する方法は特に限定されず、原料溶液中に触媒及び硬化剤を混練する方法、原料溶液中に触媒のみを混練した後、硬化剤若しくは硬化剤を含む溶液を噴霧、塗布、浸漬などの方法で原料溶液に接触させる方法、原料溶液に触媒と硬化剤を含む溶液を接触させる方法などが挙げられる。
ここでいう硬化剤とは、ポリアミック酸に対する脱水閉環剤であれば制限無く用いることが可能で、例えばその主成分として、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族酸無水物、アリールスルホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種類以上の混合物が、好ましく用いうる。その中でも特に、脂肪族酸無水物及び芳香族酸無水物が良好に作用する点から好ましい。
また、ここでいう触媒とは硬化剤のポリアミック酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分であり、その主成分として、脂肪族3級アミン、芳香族3級アミン、複素環式3級アミンが好ましく例示されうる。そのうち、イミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、キノリン、またはβ−ピコリンなどの置換もしくは非置換の含窒素複素環化合物であることが好ましい。
さらに、硬化剤及び触媒を含有する溶液中に、有機極性溶媒を導入することも適宜選択され得る。
本発明に係る半導電性樹脂組成物には、半導電性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて、有機塩化合物以外の各種充填材を配合することができる。その他の充填材としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などからなる高融点有機質繊維状物質などの繊維状充填剤、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状(粉末状や板状を含む)充填剤を挙げることができる。これらの充填材は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
その他の充填材は、半導電性樹脂組成物中、通常、0〜56重量%、好ましくは0〜50重量%の割合で使用される。その他の充填材の配合は任意であるが、配合する場合には、通常、0.1〜50重量%の割合で配合することが、機械的物性や耐熱性等の改善のために好ましい。
本発明の半導電性樹脂組成物を成形して得られる成形物は、静電気の制御、帯電防止、電磁波シールド、塵埃吸着防止などが要求される広範な分野に好適に適用することができる。本発明によれば、体積抵抗率が半導電性領域に厳密に制御され、また、体積抵抗率の場所によるバラツキが小さな成形物を得ることができる。
本発明の半導電性樹脂組成物から得られる成形物は、その形状を限定されず、その用途に応じて公知のあらゆる形状をとることができる。しかしながら、例えば、後述するように電子写真装置の中間転写ベルトとして用いる場合を考慮すると、フィルム状に成形した後、端部を接合処理することにより管状にしたものや、シームレスの管状成形体などであることが好ましく、さらには、接合処理部の微細な段差が画質の低下等を引き起こす可能性が物理的に皆無であることから、シームレスの管状成形体であることが特に好ましい。ここでいう管状とは、中空状成形体を意味し、その径や厚みの大小を問わない。従ってベルトと呼ばれる事の多い大径のものにも、チューブと呼ばれる事の多い小径のものも含有される。
本発明の半導電性樹脂組成物の具体的な用途としては、電気電子分野では、ウエハキャリア、ウエハカセット、トートビン、ウエハボート、ICチップトレー、ICチップキャリア、IC搬送チューブ、ICカード、テープ及びリールパッキング、液晶カセット、各種ケース、保存用トレー、保存用ビン、搬送装置部品、磁気カードリーダー、コネクター、コンピュータスロット、HDキャリア、MRヘッドキャリア、GMRヘッドキャリア、HSAキャリア、HDDのVCM、液晶パネルキャリアなどが挙げられる。
OA機器分野では、電子写真装置の中間転写ベルト、帯電ロール、定着ベルト、転写ロール、現像ロールなどの帯電部材;記録装置用転写ドラム、プリント回路基板カセット、ブッシュ、紙及び紙幣搬送部品、紙送りレール、フォントカートリッジ、インクリボンキャニスター、ガイドピン、トレー、ローラー、ギア、スプロケット、コンピュータ用ハウジング、モデムハウジング、モニターハウジング、CD−ROMハウジング、プリンタハウジング、コネクター、コンピュータスロットなどが挙げられる。
通信機分野では、携帯電話部品、ペーガー、各種摺動材などが挙げられる。
自動車分野では、内装材、アンダーフード、電子電気機器ハウジング、ガスタンクキャップ、燃料フィルタ、燃料ラインコネクタ、燃料ラインクリップ、燃料タンク、機器ビージル、ドアハンドル、各種部品などが挙げられる。
その他の分野では、電線及び電力ケーブル被覆材、電線支持体、電波吸収体、床材、カーペット、防虫シート、パレット、靴底、テープ、ブラシ、送風ファン、面状発熱体、ポリスイッチなどが挙げられる。
上記の用途の中でも、体積抵抗率の厳密な制御と、体積抵抗率の再現性を特に必要とすることから、電子写真装置の中間転写ベルトが、本発明の効果を最も好ましく発揮できる。
次に、本発明に係る半導電性樹脂組成物を実施例により詳しく説明する。
(実施例1)
攪拌翼がついた容器に、モレキュラーシーブにて十分に脱水したジメチルホルムアミド(DMF)を1500g入れ、4、4′−ジアミノジフェニルエーテル200gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。この系を約0℃に冷却し、ピロメリット酸二無水物218gを徐々に加え、よく攪拌した。系の粘度が約3×102Pa・sになったところで攪拌を停止し、ポリアミック酸溶液を得た。
攪拌翼がついた容器に、モレキュラーシーブにて十分に脱水したジメチルホルムアミド(DMF)を1500g入れ、4、4′−ジアミノジフェニルエーテル200gを加え、完全に溶解するまで攪拌した。この系を約0℃に冷却し、ピロメリット酸二無水物218gを徐々に加え、よく攪拌した。系の粘度が約3×102Pa・sになったところで攪拌を停止し、ポリアミック酸溶液を得た。
次に、脂環式アミン系陽イオンである1−エチル−3−メチルイミダゾリウムと、p−CH3C6H4SO3 -から形成される有機塩化合物を、ビーカーに32.0g採取した。当該有機塩化合物は、Solvent Innovation社製のものである。このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して有機塩化合物を約50重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
更に、上記溶液に、触媒であるイソキノリンを20g、硬化剤である無水酢酸を32g混練した。
上記で得られた触媒及び硬化剤を含有する半導電性樹脂組成物を、内径82mm、外径83.5mm、長さ450mmの筒状空間中に均一に注入し、塗布膜に自己支持性が発現するまで23℃・55%RHの雰囲気中に10分間静置した。前記筒状空間は、外径82mm、長さ450mmのSUS製内筒を、内径83.5mm、長さ450mmのSUS製外筒に挿入することで形成されるものである。次いで、該塗布膜を前記内筒及び外筒から取り外し、外径80mmのSUS製円筒焼成型に装着し、100℃から380℃まで、約30分かけて昇温した。最後に系を室温まで冷却し、ポリイミド成形体を得た。
得られたポリイミド成形体に対し、体積抵抗率測定と、中間転写体として用いた場合の画像評価を行った。
体積抵抗率測定は、以下の手順で行った。得られたポリイミド成形体から、10cm×10cmの試験片を切り出し、当該試験片の体積抵抗率を、アドバンテスト社製抵抗測定装置R8302を用いて印加電圧100V、電圧印加時間10sで測定した。
画像評価は、以下の手順で行った。得られたポリイミド成形体を、複写機である(株)リコー製フルカラー複写機プリテールに搭載し、中間転写体として用い、15℃、10%RHの大気中で、A4サイズの画像を10000枚形成せしめた。その後、さらに1枚の画像を形成せしめ、その画像の評価を行った。次いで、23℃、55%RHの大気中及び28℃、85%RHの大気中においても、上記と同様の画像評価を行った。画像評価は、白抜け、転写チリ、転写ずれ、ボソツキがない良好な画像を○、それ以外を×とした。
上記の評価を行った結果、体積抵抗率は5.4×109Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(実施例2)
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
次に、脂環式アミン系陽イオンである1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムと、CH3SO3 -から形成される有機塩化合物を、ビーカーに25.6g採取した。当該有機塩化合物は、Solvent Innovation社製のものである。このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して有機塩化合物を約40重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
上述の手段で得られた半導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を作成した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は3.4×108Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(実施例3)
触媒及び硬化剤を含まないことを除いて、実施例1と同様の手順で得られた半導電性樹脂組成物を、内径82mm、長さ450mmのガラス管の内壁に均一に流延塗布し、100℃の熱風に40分間晒すことで溶媒を揮散させた。次いで、塗布膜を該ガラス管から取り外し、外径80mmのSUS製金型に装着し、100℃から380℃まで、約30分間かけて昇温した。最後に系を室温まで冷却し、ポリイミド成形体を得た。
触媒及び硬化剤を含まないことを除いて、実施例1と同様の手順で得られた半導電性樹脂組成物を、内径82mm、長さ450mmのガラス管の内壁に均一に流延塗布し、100℃の熱風に40分間晒すことで溶媒を揮散させた。次いで、塗布膜を該ガラス管から取り外し、外径80mmのSUS製金型に装着し、100℃から380℃まで、約30分間かけて昇温した。最後に系を室温まで冷却し、ポリイミド成形体を得た。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は8.2×107Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(実施例4)
実施例1と同様の半導電性樹脂組成物をフィルム状に成形した後、端部接合により管状成形体とすることを除いて、実施例1と同様にポリイミド成形体を作成した。
実施例1と同様の半導電性樹脂組成物をフィルム状に成形した後、端部接合により管状成形体とすることを除いて、実施例1と同様にポリイミド成形体を作成した。
フィルム状への成形は、以下の手順で行った。実施例1の方法に従いイソキノリンと無水酢酸を混練して得られた半導電性樹脂組成物を、焼成後のフィルム厚が80μm、フィルム面積が40cm×30cmとなるようアルミ箔上にバーコーターを用いて均一に塗布し、塗布膜に自己支持性が発現するまで10分間23℃の雰囲気中に静置した。次いで、塗布膜をアルミ箔から剥がし取り、塗布膜の四辺を金属製治具で固定した状態で、100℃から380℃まで、約30分かけて昇温した。最後に系を室温まで冷却し、目的のポリイミドフィルム状成形体を得た。
その後、上記で得られたポリイミドフィルム状成形体から30cm×25.6cmの長方形のフィルムを切り出し、当該フィルム長辺の両端部を5mm重ね合わせ、該重ね合わせ部分をシリコーン系接着剤で接着することで、ポリイミド管状成形体を得た。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は5.8×109Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(実施例5)
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
次に、ピリジン系陽イオンであるN−ブチルピリジニウムと、ベンゼンスルホン酸から形成される有機塩化合物を、ビーカーに25.6g採取した。当該有機塩化合物は、等モルのピリジンとベンゼンスルホン酸ブチルエステルを、氷冷したDMF中で24時間攪拌・混合することにより得た。このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して有機塩化合物を約40重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
上述の手段で得られた半導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を作成した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は7.6×109Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(実施例6)
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
次に、脂環式アミン系陽イオンであるN−エチルイミダゾリウムと、ベンゼンスルホン酸から形成される有機塩化合物を、ビーカーに38.4g採取した。当該有機塩化合物は、等モルのN−エチルイミダゾールとベンゼンスルホン酸を、氷冷したエタノール中で24時間攪拌・混合することにより得た。このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して有機塩化合物を約60重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
上述の手段で得られた半導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を作成した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は1.2×1010Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても良好な画像が得られたため、画像評価は○であった。
(比較例1)
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
実施例1と同様の手段でポリアミック酸溶液を作成した。
次に、脂環式アミン系陽イオンである1−エチル−3−メチルイミダゾリウムと、PF6 -から形成される有機塩化合物を、ビーカーに32g採取した。当該有機塩化合物は、Solvent Innovation社製のものである。このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して有機塩化合物を約50重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
上述の手段で得られた半導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を作成した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は7.2×1011Ω・cmであり、何れの温湿度条件で行った画像評価においても、一部に体積抵抗率の場所によるバラツキに起因すると考えられる画像不良が見られたため、画像評価は×であった。
(比較例2)
ライオン社製カーボンブラックEC−600JDを10gとDMF600gを容器に入れよく攪拌し、さらに超音波分散機にかけることで分散液中のカーボンブラックを均一に分散させた。
ライオン社製カーボンブラックEC−600JDを10gとDMF600gを容器に入れよく攪拌し、さらに超音波分散機にかけることで分散液中のカーボンブラックを均一に分散させた。
上記で得られたカーボンブラック分散液を、ビーカーに598g採取した。このビーカー中に、実施例1と同様の手順で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対してカーボンブラックを約15重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
更に、上記半導電性樹脂組成物に、触媒であるイソキノリンを20g、硬化剤である無水酢酸を32g混練し、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を調製した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は3.4×1010Ω・cmであり、15℃、10%RHで行った画像評価において白抜けが発生したため、画像評価は×であった。
(比較例3)
無機塩化合物LiClを10gとDMF90gを容器に入れよく攪拌した。次いで、上記LiCl溶液19gを、ビーカー中に採取した。このビーカー中に、実施例1と同様の手順で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して無機塩化合物を約3重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
無機塩化合物LiClを10gとDMF90gを容器に入れよく攪拌した。次いで、上記LiCl溶液19gを、ビーカー中に採取した。このビーカー中に、実施例1と同様の手順で得られたポリアミック酸溶液300gを溶かし入れた。このようにして、硬化後のポリイミド樹脂100重量部に対して無機塩化合物を約3重量部含有する、半導電性樹脂組成物を調製した。
上記手順で得られた半導電性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の手順でポリイミド成形体を調製した。
得られたポリイミド成形体に対し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、体積抵抗率は4.2×109Ω・cmであり、28℃、85%RHで行った画像評価においてボソツキが発生したため、画像評価は×であった。
上記の如く、実施例の半導電性樹脂組成物は、電子写真記録装置の中間転写体材料として用いた場合にも、安定して良好な画像を提供可能である。これに対して、比較例の半導電性樹脂組成物を用いた場合では、画像不良が発生していた。
以上、本発明に係る半導電性樹脂組成物について説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。例示するまでもなく記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。
Claims (7)
- SO3 -基を有する陰イオンから形成される有機塩化合物を含有し、体積抵抗率が105〜1013Ω・cmであることを特徴とする、半導電性樹脂組成物。
- 有機塩化合物を形成する陽イオンが、ピリジン系、脂環式アミン系から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導電性樹脂組成物。
- 有機塩化合物を形成する陽イオンが、N−アルキルピリジニウム、N−アルキルイミダゾリウム、ジアルキルイミダゾリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の半導電性樹脂組成物。
- 有機塩化合物を形成する陽イオンが、N−メチルピリジニウム、N−ブチルピリジニウム、N−エチルイミダゾリウム、N−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウムから選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、請求項1乃至3に記載の半導電性樹脂組成物。
- 樹脂100重量部に対し、有機塩化合物が0.1〜80重量部含有されていることを特徴とする、請求項1乃至4に記載の半導電性樹脂組成物。
- ポリイミドを含有することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の半導電性樹脂組成物。
- 中間転写ベルト、帯電ロール、若しくは定着ベルトとして用いられることを特徴とする、請求項1乃至6に記載の半導電性樹脂組成物。
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2003
- 2003-08-20 JP JP2003296686A patent/JP2005068219A/ja active Pending
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