JP2005065624A - 微生物量の測定方法およびキット - Google Patents

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Abstract


【課題】 固体表面上の微生物量を迅速・簡便に、かつ測定の信頼性高くモニタリングできる微生物量測定方法及びそのためのキットの提供
【解決手段】 (1)粘着シートの粘着面5を被験面に圧着して、微生物を被験面から粘着シートに捕集し、粘着面5に蛍光性物質の溶液または懸濁液を適用して、微生物を染色し、次いで表面を透明シート6で覆い微生物量を計数する微生物量の測定方法。(2)微生物を捕集しうる粘着面5を有する粘着シート、および微生物を捕集した粘着面5を覆うための透明シート6、および微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キット。
【選択図】 図1

Description

本発明は微生物量の新規な測定方法およびそのためのキットに関する。より詳細には、本発明は、粘着面を用いて微生物を捕集し、該微生物を検出する微生物量の測定方法に関する。
種々の環境中における細菌等の微生物量を迅速かつ簡便に見積もることは、食品工業や医療の現場における衛生管理、また製薬工業における品質管理に重要である。
従来、被験面上に存在する肉眼では観察することのできない細菌等の微生物を観察および計数するには、培養法、すなわち寒天等で賦形した固形の平板培地を被験面に押し当てることにより、被験面上の微生物を寒天平板培地上に転写し、該微生物をそのまま平板培地上で適当な環境のもとで培養することにより出現するコロニーを肉眼で計測する方法が一般的に利用されている。例えば、フードスタンプ(日水製薬(株)製)を使用したアガースタンプ法等が挙げられる。
また、微生物捕捉能力のあるメンブレンフィルター等を用いるメンブレンフィルター法は、被験面を生理食塩水やリン酸緩衝液等を用いて十分に拭き取りながら集積することにより微生物を洗い出し、この洗い出した集積液をメンブレンフィルターで濾過することによって、メンブレンフィルター上に微生物を捕集した後、微生物と液体培地とを十分に接触させて該フィルター上にコロニーを形成させ、コロニーを測定する方法である。
これら培養を伴う方法は、培養そのものに1〜2日またはそれ以上の培養時間を必要とするので、リアルタイムでの微生物モニタリングができないという重大な制約があった。さらに天然の微生物の多くは、生きてはいるが培養することができない状態(非特許文献1参照)にあることが知られており、近年では培養せずに生きた微生物の量を見積もる手法に注目が集まっている。
こうした培養を伴わない微生物の検出法の中で、生理活性の有無を簡便に調べる方法としてカルボキシフルオレセインジアセテートを用いる方法(非特許文献2参照)が知られている。カルボキシフルオレセインジアセテートは非極性、非蛍光性の化学物質で、細胞膜を容易に透過する。そして細胞内でエステラーゼにより加水分解され、緑色蛍光を発するカルボキシフルオレセインを生成する。カルボキシフルオレセインは極性を有するため細胞内に蓄積され、青色光で励起すると緑色の蛍光を発する。カルボキシフルオレセイン由来の蛍光を発する細胞は、蛍光顕微鏡下の観察で容易に見分けられるので、細胞内エステラーゼ活性の有無を指標として、培養することなく微生物の生理状態を解析できる。
また近年、固体表面の微生物をサンプリングする手法として、粘着シートを用いる方法が示されている(特許文献1参照)。本方法では、非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する微生物捕集用粘着シートを被験体である固体の表面に圧着、剥離して微生物を集積した後、微生物を染色し得る1種以上の蛍光性物質を含有する水溶液を該粘着層の表面に接触させ、染色された菌体を観察・計数することにより、迅速かつ簡便に固体表面上の微生物を検出する方法である。
これらの微生物を培養することなく染色して測定する方法は、通常、微生物を含むサンプル溶液中で染色液と反応させるかまたはフィルター上に微生物を捕集した後、染色液を反応させるが、いずれの方法においても染色液はフィルターろ過除去され蛍光染色剤が染色面に残っていることはない。一方、特許文献1記載の粘着シート上で染色する場合においてはフィルター上の染色とは異なり、蛍光性物質を除去あるいは洗浄除去後乾燥させ計数している。この方法で、顕微鏡観察時に染色液残渣が残っていると析出し粒子になるためそれを数えることにより計数精度が低下する。特に、観察経験の少ない人や自動計測装置においては染色剤の析出したものと微生物を経験的に区別することができないため測定精度が低下する。また、洗浄を繰り返し染色液の除去を行うことは操作のばらつきを生じやすく、測定者による計数値の変動要因となる。
このように、従来の粘着シート上で捕集した微生物を染色する方法では、蛍光性物質の溶液を染色後、吸引除去し観察する場合、蛍光性物質が乾燥析出し、バックグラウンド発色が強くなり測定誤差を生じやすい。また、蛍光性物質の溶液を染色後、緩衝液あるいは水などで洗浄除去する場合、微生物を標識した蛍光性物質が褪色あるいは流出する場合があり測定誤差を生じる可能性がある。
特開2002−142797号公報 Roszak, D. B. et al. 1984. Canadian Journal of Bacteriology 30: 334-338 Yamaguchi, N. et al. 1997. Microbes and Environments 12: 1-8
本発明の目的は、上記従来法の諸欠点を解消した新規な微生物量測定方法、特に、固体表面上の微生物量を迅速・簡便に、かつ測定の信頼性高くモニタリングできる微生物量測定方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、当該方法に使用するための微生物量測定キットを提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、粘着面を有する(好ましくは非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する)微生物捕集用粘着シートを被験体である固体の表面に圧着、剥離して微生物を粘着シート面に集積した後、微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を適用し、蛍光性物質を吸引除去や洗浄除去することなく、透明シートを微生物捕集面に被覆した後、染色された菌体を観察・計数することにより、迅速かつ簡便に微生物を検出することに成功した。
本発明によれば、蛍光性物質の溶液または懸濁液を乾燥させることなく、また、洗浄除去することなく微生物量を測定できるので、蛍光性物質が乾燥析出することによるバックグラウンド発色による測定誤差や、洗浄による微生物を標識した蛍光性物質の褪色あるいは流出による測定誤差が回避でき、測定の信頼性が高い。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)粘着シートの粘着面を被験面に圧着することにより微生物を該被験面から捕集し、微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を微生物捕集後の粘着面に適用し、次いでその表面を透明シートで覆い微生物を計数することを特徴とする微生物量の測定方法。
(2)蛍光性物質がカルボキシフルオレセインジアセテートである上記(1)記載の微生物量の測定方法。
(3)微生物を捕集しうる粘着面を有する粘着シート、微生物を捕集した粘着面を覆うための透明シート、および微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キット。
(4)粘着シートの粘着面に剥離ライナーを積層し、該粘着面が部分的に露出し得るように該剥離ライナーの一部に剥離自在の剥離部を設け、該剥離部の上に透明シートを取外し自在に被覆した微生物捕集用粘着シート、および微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キット。
(5)蛍光性物質がカルボキシフルオレセインジアセテートである上記(3)または(4)記載の微生物量測定キット。
本発明は、粘着面を有する(好ましくは非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する)微生物捕集用粘着シートの該粘着面を被験体の表面に圧着、剥離して微生物を集積し、微生物を標識(染色)し得る1種以上の蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液(特に水溶液)を該粘着面に接触させた後、透明シートをかぶせ該染色液を平滑にして、そのままの状態で計数することを特徴とする。
本発明の方法は、粘着シートの粘着面上に捕獲、集積された微生物を、培養することなく該粘着面に保持したまま蛍光性物質により発色させるため、蛍光顕微鏡もしくは光学機器を用いて蛍光点を観察することにより、細菌、真菌、ウイルス等の微生物を、迅速に検出および/または計数することができる。
本発明はまた、本発明の微生物量の測定方法を簡便・迅速に、かつ測定の信頼性高く実施するのに適した微生物量測定キットを提供する。すなわち、微生物を捕集しうる粘着面を有する(好ましくは非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する)粘着シート、該微生物を捕集した粘着面を覆うための透明シート、および微生物を標識(染色)し得る1種以上の蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液(特に水溶液)を含む微生物量測定キットである。
本発明によれば、微生物を培養することなく微生物量を測定することができ、かつ、粘着シート上に捕集した微生物の蛍光染色操作において、蛍光染色剤の除去・乾燥等の工程を必要とせず、より迅速・簡便かつ容易に捕集した微生物量を計数することができる。また、本発明によれば、蛍光性物質が乾燥析出することによるバックグラウンド発色による測定誤差や、洗浄による微生物を標識した蛍光性物質の褪色あるいは流出による測定誤差が回避できるので、信頼性高く微生物量を測定することができる。
本発明に使用する微生物捕集用粘着シートは、少なくとも微生物を捕獲するに十分な粘着性を有する粘着面を有する粘着シートである。粘着シートの構造は特に限定されないが、図1に構成の一例を示すように、粘着層2(好ましくは非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層)が基材1上に積層された構造を有するものが好ましい。該粘着層2は、被験面上の微生物を捕獲するに十分な粘着性を有するとともに、微生物染色用の溶液または懸濁液(特に水溶液)に浸しても粘着剤が溶解しない、平滑な表面構造を有する層である。
当該粘着シートは、基材の粘着層と接する面とは反対面に、基材の強度を強めたり、光学的な散乱防止や蛍光性物質を用いて発色した微生物の視認性を向上させるバックグラウンド色を形成するために、さらにバッキング層を設けても良い。
微生物捕集用粘着シートの基材は、非水溶性で、粘着層表面に大きな凹凸を形成させず、また、曲面や狭所表面にも自在に圧着させ得る柔軟な材質であれば特に限定されないフィルムが使用でき、布、不織布、紙、ポリエステル、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリウレタンが基材として望ましい。また、基材の厚みは、支持体として十分な強度があれば特に制限はないが、約5〜200μm程度が好ましい。
粘着層は被験面上の微生物を捕獲するのに十分な捕集性を有するとともに、微生物染色用の溶液または懸濁液(特に水溶液)を適用しても粘着剤が溶解しない平滑な表面構造を有する層であれば特に限定されないが、微生物および細胞を蛍光標識する際、蛍光性物質が捕集層に含侵し難いことおよび捕集層が溶けて捕捉した微生物および細胞が移動し難いことから、捕集層の成分には非水溶性粘着剤を含むのが好ましい。非水溶性粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を用いることができ、蛍光画像取得に際して光学特性に影響が少ないという観点からより透明性の高いアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、モノマーとして例えば(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル(例えばイソノニルアクリレート等)、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを主成分とし、これに例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル(例えば2−メトキシエチルアクリレート等)、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール等の親水性のモノマーを一種もしくは二種以上共重合させたものが挙げられる。さらに、このような粘着層はその粘着特性をより良好にするために、イソシアネート化合物、有機過酸化物、エポキシ基含有化合物、金属キレート化合物といった熱架橋剤による処理や、紫外線、γ線、電子線等の処理を行って架橋を施すことが好適である。
ゴム系粘着剤としては、例えば天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブデン、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体等の主ポリマーに粘着付与樹脂としてロジン系樹脂やテルペン系樹脂、クロマン−インデン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、石油系樹脂等を配合したものを用いることができる。シリコーン系粘着剤としては、例えばジメチルポリシロキサン等を主成分とする粘着剤が例示される。
このような粘着層の厚みは、被験面上への接着性や追従性、微生物捕捉性の観点から5〜100μmとするのが好ましい。また捕集層表面の平滑度(凹凸差)は20μm以下であることが好ましい。平滑度が20μm以下であれば蛍光顕微鏡で観察する際に焦点の合致範囲が広くなり、より正確な観察ができる。平滑度は表面粗さ計あるいは電子顕微鏡等で粘着シートの断面を観察し、粘着剤表面の凸部の頂点から凹部の最低点までの高度差を測定して求めることができる。
本発明に使用する粘着シートは、既知の方法で製造できる。例えば、粘着層に用いる高分子化合物を含有する溶液を基材上に塗布し、室温から200℃で乾燥させることによって製造される。他に、カレンダー法、キャスティング法や押出し成形法等の方法を用いることもできる。かくして得られたシートは任意の形状に裁断して、使用することができる。
本発明においては、微生物捕集用粘着シートを電子線あるいはγ線等の放射線を照射することにより、滅菌することと同時に粘着層に用いる高分子化合物に架橋を施すこともできる。
また、エチレンオキサイド等のガスによる滅菌を施すこともでき、滅菌した状態で微生物遮断性包材に封入すること等により、無菌状態を保持した形態をとることができる。
微生物量の測定方法について説明する。
本発明の測定方法は、図2に測定方法の一例を模式図で示すように、まず、図2(a)に一例を示すような粘着シートの粘着面5を被験面に圧着することにより微生物を該被験面から捕集する。続いて、図2(a)に示すように、微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液(染色液)を微生物捕集後の粘着面5に適用する。次いで、図2(b)に示すように、その表面(粘着面5)を透明シート6で覆い、微生物を計数することを特徴とするものである。
試験対象となる微生物には、細菌や放線菌等の原核生物、酵母やカビ等の真核生物、下等藻類、ウイルス、動植物の培養細胞等が含まれる。
微生物捕集用粘着シートの粘着面を床、壁等の被験面に圧着して、被験面上に付着している微生物を粘着面に捕集する。比較的微生物が少ないと考えられる被験面を圧着する場合は、該粘着シートの同一面で複数回圧着しても良い。
本発明の方法は、アガースタンプ法のように培養を必要としないので、コロニーのコンタミネーションの心配がなく、培養時における菌相の変化を懸念することもないことから、多重に微生物を集積することができる。したがって、圧着回数を増やすことにより、メンブレンフィルター法において水に分散した微生物を濾過・濃縮するのと同様に、多くの微生物を捕集することができる。
次に、微生物を捕集した該粘着シートの粘着面に蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を適量滴下し、微生物を標識(染色)する。次に、該蛍光性物質溶液または懸濁液面に透明シートをかぶせ粘着面に圧着し、直接蛍光顕微鏡の励起光下で観察すること等により、微生物量を計数する。本発明は粘着面の染色液を洗浄除去したり乾燥させることなく微生物を計数するのが特徴であり、本発明によれば、微生物の培養操作を要さないので、数分以内に微生物が検出できる。
本発明において使用する透明シートは、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエチレン、セロハン、ポリプロピレン等の透明フィルムを使用することができる。厚さは5〜100μmが好ましい。透明性の高いほど好ましく、波長480nmの光の透過率が70%以上のものを使用できる。
本発明に用いられる蛍光性物質は、検査対象である微生物に含まれる細胞成分と作用して発色するものであれば特に限定されないが、その代表的なものとして、核酸やタンパク質を染色するカルボキシフルオレセインジアセテート、SYBR Green II、SYBR Green I、DAPI、アクリジンオレンジ、プロピジウム イオダイド、ローダミン等の蛍光染色液が挙げられる。特に、微生物の生死判定においてはエステラーゼ活性を持つ微生物を染色するカルボキシフルオレセインジアセテートが生細胞の検出のために好適に用いられる。
蛍光性物質は溶液または懸濁液として用いるが、水、リン酸緩衝液等の溶液または懸濁液とするのが好ましい。蛍光性物質の溶液の濃度は微生物を標識しうる濃度であれば特に限定されず、また蛍光性物質の種類によっても異なるが、例えばカルボキシフルオレセインジアセテートでは通常100〜500μg/mlであり、SYBR Green II(モレキュラープローブ社製試薬)では通常1万倍希釈して用いる。
微生物の検出または計数は、蛍光顕微鏡、レーザー顕微鏡等の顕微鏡もしくは他の適当な光学機器を用いて光学的画像を形成させ、この像を画像解析することにより行うことができる。他の光学機器としては、微生物をレーザー光で高速スキャンニングし、個々の微生物から得られたシグナルをグラフィカル表示するレーザースキャンニングサイトメーターが例示される。
本発明はまた、上記の微生物量の測定方法に使用するための微生物量測定用キットを提供する。
本発明の微生物量測定キットは、図1に一例を示すとおり、微生物を捕集しうる粘着面5を有する(好ましくは非水溶性高分子化合物を主成分としてなる粘着層を有する)粘着シート、および、該微生物を捕集した粘着面5を覆うための透明シート6を含み、さらに微生物を標識(染色)し得る1種以上の蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液(特に水溶液)を含む。
本発明の微生物量測定キットの好ましい態様は、図1に一例を示すとおり、粘着シートの粘着面に剥離ライナー3を積層し、該粘着面が部分的に露出し得るように該剥離ライナー3の一部に剥離自在の剥離部4を設け、該剥離部4の上に透明シート6を取外し自在に被覆した微生物捕集用粘着シートを含み、さらに微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キットである。
剥離ライナーは、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の塗布によって剥離処理を施した紙やプラスチックフィルム(例えば、ポリエステルフィルム等)等を使用することができる。厚さは50〜250μmが好ましい。剥離ライナー3の剥離部4とは、微生物を捕集する直前まで粘着面5を保護し、直前に剥離部4のみを剥離して、粘着面5を露出させる部分である。該剥離部4の形状としては、例えば四角形状、円形状等が挙げられるが、剥離させやすくするために凸形状等としてもよい。
透明シート6は、その一部が微生物捕集用粘着シートの剥離ライナー3の表面の一部と結合して剥離部4の上に該透明シート6を取外し自在に被覆しうるヒンジ構造等を形成していてもよく、また、該粘着シートと分離しているものであってもよいが、該ヒンジ構造とするのが取扱い性に優れる点で好ましい。
本発明の応用例の一例として、粘着面を被験面に貼付して、被験面上に存在する微生物を転写し、前培養なしで微生物を染色し、微生物をシングルセルのまま観察できるので、被験体の清浄度を迅速に測定する環境調査用等に利用できる。さらに、シングルセルレベルでの回収であるので、該粘着シートを被験面に複数回圧着して微生物を集積し、濃縮することも可能であり実用的である。応用分野として、医療、食品等の現場での環境の微生物検査等に適用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって本発明の範囲を何ら限定するものではない。
実施例1
1)粘着シートの作成
イソノニルアクリレート/2−メトキシエチルアクリレート/アクリル酸(65/30/5仕込み重量比)にアゾイソブチロニトリルを重合開始剤として得られたゲル分率40%(w/w)の共重合物トルエン溶液を得た。この溶液を、乾燥時の厚みが20 μmとなるように25 μm厚の透明ポリエステルフィルム(基材1)に塗布し130℃で5分乾燥し、図1に示すように粘着層2を形成させた。該粘着層2の粘着面に110 μm厚の剥離ライナー3を積層し、微生物捕集面(粘着面5)となる部分の剥離ライナーを剥離できるようにした剥離部4を設け、図1に示すような粘着シートを作成した。更に剥離ライナー面に設けた剥離部4に透明ポリエステルフィルム(透明シート6)を被覆した。本粘着シートは線量25 kグレイのγ線滅菌を行った。
2)微生物サンプルの調製
Escherichia Coli K-12を18時間LB培地にて培養した培養液を0.9%(w/v)の食塩水で1000倍希釈した液を微生物サンプルとした。
3)微生物の捕集
上記サンプル1 mLを、孔経0.4 μmのポリカーボネート膜でろ過した平膜上の微生物を検体とし、1)で作製した粘着シートの剥離部4を被覆した透明シート6を取外して粘着面5を露出させ、該粘着面5をろ過面に押し付け、微生物を捕集した。
4)染色
6−カルボキシフルオレセインジアセテート(シグマ製)を10 mg/mLとなるようアセトンに溶解し、この液をリン酸緩衝液で6−カルボキシフルオレセインジアセテートの終濃度が400 μg/mLとなるように希釈して染色液を得た。この染色液を3)で得た粘着シートの微生物捕集粘着面(粘着面5)に図2(a)の矢印で示すように滴下し、粘着面5全面が染色液と接するようにして染色を室温で3分間行い、その後、厚さ25 μmのポリエステルの透明シート6で被覆した。
5)観察
蛍光顕微鏡下、青色光で励起を行い、カルボキシフルオレセイン由来の緑色蛍光を400倍の倍率で、図2(b)の矢印で示すように観察した。
6)結果
蛍光点が明瞭に見え、そのまま蛍光顕微鏡で観察することが可能であった。また、実際に計数することも可能で計数値は430個/mm2であった。
実施例2
実施例1と同様にして、実施例1の1)で作成した粘着シートの粘着面5に微生物を捕集した。核酸染色蛍光試薬であるSYBR Green II(モレキュラープローブ製)をフィルタ濾過滅菌水を用いて1万倍に希釈して染色液を得た。この染色液を上記粘着シートの微生物捕集面(粘着面5)に図2(a)に示すように滴下し、粘着面5全面が染色液と接するようにして染色を室温で3分間行い、その後、厚さ25 μmのポリエステルの透明シート6で被覆した。
蛍光顕微鏡下、青色光で励起を行い、SYBR Green II由来の緑色蛍光を400倍の倍率で図2(b)に示すように観察した。蛍光点が明瞭に見え、微生物の数を計数することができ、計数値は690個/mmであった。
比較例1
微生物サンプルを、実施例1の1)で作成した粘着シートの粘着面5に捕集し、6−カルボキシフルオレセインジアセテートで染色するまでは、実施例1と同様に行い、その後粘着シートの染色液をピペットを用いて吸引除去し、乾燥させて、蛍光顕微鏡下、青色光で励起を行い、カルボキシフルオレセイン由来の緑色蛍光を400倍の倍率で観察した。バックグラウンドが高く蛍光点の観察が困難であった。6−カルボキシフルオレセインジアセテートの結晶が析出し、顕微鏡観察において計数できなかった。
SYBR Green IIでの染色も行なったが、この場合、大小さまざまな結晶が点在し菌との判別が難しく、測定が困難であった。
実施例1、2および比較例1の結果を表1に示す。
Figure 2005065624
図1は、本発明に用いる粘着シートの構成の一例を示す斜視図である。 図2は、実施例1および2の微生物量の測定方法を表した模式図である。図2(a)は、微生物を捕集した粘着シートの粘着面5に染色液を滴下し、微生物を染色する工程を表す図であり、図2(b)は、該粘着面5を透明シート6で被覆し顕微鏡観察する工程を表す図である。図2(a)中の矢印は染色液を滴下する方向を示し、図2(b)中の矢印は顕微鏡観察の方向を示す。
符号の説明
1 基材
2 粘着層
3 剥離ライナー
4 剥離部
5 粘着面
6 透明シート

Claims (5)

  1. 粘着シートの粘着面を被験面に圧着することにより微生物を該被験面から捕集し、微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を微生物捕集後の粘着面に適用し、次いでその表面を透明シートで覆い微生物を計数することを特徴とする微生物量の測定方法。
  2. 蛍光性物質がカルボキシフルオレセインジアセテートである請求項1記載の微生物量の測定方法。
  3. 微生物を捕集しうる粘着面を有する粘着シート、微生物を捕集した粘着面を覆うための透明シート、および微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キット。
  4. 粘着シートの粘着面に剥離ライナーを積層し、該粘着面が部分的に露出し得るように該剥離ライナーの一部に剥離自在の剥離部を設け、該剥離部の上に透明シートを取外し自在に被覆した微生物捕集用粘着シート、および微生物を標識しうる蛍光性物質を含有する溶液または懸濁液を含む微生物量測定キット。
  5. 蛍光性物質がカルボキシフルオレセインジアセテートである請求項3または4記載の微生物量測定キット。
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