JPH11178596A - 微生物検出用シート状物、それを含む微生物検出キットおよびそれを用いた微生物検出方法 - Google Patents

微生物検出用シート状物、それを含む微生物検出キットおよびそれを用いた微生物検出方法

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JPH11178596A
JPH11178596A JP35577897A JP35577897A JPH11178596A JP H11178596 A JPH11178596 A JP H11178596A JP 35577897 A JP35577897 A JP 35577897A JP 35577897 A JP35577897 A JP 35577897A JP H11178596 A JPH11178596 A JP H11178596A
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sheet
microorganism
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reagent
detecting
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JP35577897A
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English (en)
Inventor
Takeshi Saiga
健 雜賀
Shuji Senda
修治 千田
Masakazu Tsuchiya
正和 土谷
Masao Nasu
正夫 那須
Katsuharu Tani
佳津治 谷
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Nitto Denko Corp
Fujifilm Wako Pure Chemical Corp
Original Assignee
Wako Pure Chemical Industries Ltd
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細菌などの微生物の検出や計測において、リ
アルタイムでのモニタリングが可能となるような微生物
検出用シート状物、それを含む微生物検出キットおよび
それを用いた微生物検出方法に関する。 【解決手段】 実質的に微生物フリーの凹部が設けられ
たシート状物であって、当該凹部を密閉するように剥離
可能なシートが当該シート状物に接着され、かつ当該凹
部に検出用試薬が保持されてなることを特徴とする微生
物検出用シート状物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検物の表面上の
微生物を検出し、あるいはその数を計測するための微生
物検出用シート状物、それを含む微生物検出キットおよ
びそれを用いた微生物検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、被検物表面に存在する、肉眼
では観察することのできない細菌等の微生物を観察する
には、一個の微生物からコロニーを形成する微生物の培
養法が応用されている。即ち、寒天等で賦形した固形の
平板培地を被検物表面に押し当てることにより、被検物
表面上の微生物を寒天平板培地上に転写した後、そのま
ま微生物を至適環境下で培養し、寒天平板培地上に生育
したコロニーを肉眼で見定めながら計測する。例えば、
日水製薬(株)が販売するアガースタンプを使用したフ
ードスタンプ法等がある。
【0003】また、微生物捕獲能力のある市販のメンブ
レンフィルタ等を用いるメンブレンフィルタ法は、被検
物表面を生理食塩水やリン酸緩衝液等を用いて十分拭き
取りながら集積することにより微生物を洗い出し、この
洗い出した集積水溶液をメンブレンフィルタ等で濾過す
ることによって、メンブレンフィルタ上に微生物を捕獲
し、集積した後、微生物と液体培地とを十分に接触させ
てフィルタ上にコロニーを形成させ、これを計測する方
法である。
【0004】さらに、医学検査、第41巻、第3号、p
352(1992)には、フィルム上に培地をコートし
たフィルムコート培地を作製し、これを被検物表面に接
触させた後、培養することにより、検出対象の微生物を
採取するフィルムコート法が培養法の例として報告され
ている。
【0005】しかしながら、フードスタンプ法等では、
被検物表面に押しつけて表面上の微生物を転写する際
に、粘着力が弱いために転写・捕集効率が低く、また寒
天培地の含水率によって捕集効率が変化し、再現性に劣
る等、微生物の捕集効率において不都合を来すことが多
かった。また、培養法の共通の課題として、培地上での
微生物間の相互作用により純粋培養ができないために、
その後の同定判定に不都合を来すことが多かった。加え
て、培養法では当然のことながら、培地で適度に生育し
コロニーを形成できる微生物が限定され、通常の培地で
は培養できない微生物もあり、しかも生菌のみの検出に
限定されるという制約があり、検出もれが起こるという
大きな問題があった。そして重大な制約として、培養法
では、1〜2日またはそれ以上の培養時間を必要とする
ので、リアルタイムでの微生物検出モニタリングが不可
能なことが挙げられる。
【0006】また、メンブレンフィルタ法では、水溶液
等の液状の被検物であればそのまま濾過できるが、水溶
液以外の非液状の被検物では、綿棒でのサンプリング、
洗い出し液の調製等を含め微生物の集積に多大な労力が
かかる。しかも、フィルタ上での培養により、コロニー
を形成させてカウントするので、上記の培養法の欠点を
そのまま引き継ぐことになる。さらに、フィルムコート
法も培養法のひとつとしての諸欠点を有する。
【0007】最近では、微生物細胞内のATP(アデノ
シン三リン酸)を検出する技術も開発されているが、こ
れも水に分散した微生物に対象が限られており、やはり
集菌法がネックとなっていた。以上のように、簡便な微
生物の試験方法が従来技術では考えられていなかったの
が現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来法
の諸欠点を解消することを目的とするもので、その目的
は、細菌等の微生物の検出や計測において、リアルタイ
ムでのモニタリングが可能となるような微生物検出用シ
ート状物、それを含む微生物検出キットおよびそれを用
いた微生物検出方法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の特徴を
有する。 (1) 実質的に微生物フリーの凹部が設けられたシート状
物であって、当該凹部を密閉するように剥離可能なシー
トが当該シート状物に接着され、かつ当該凹部に検出用
試薬が保持されてなることを特徴とする微生物検出用シ
ート状物。 (2) 検出用試薬が、発色試薬、蛍光試薬または発光試薬
である上記(1) に記載の微生物検出用シート状物。 (3) 検出用試薬が、節足動物の体液由来の物質を含んで
なる上記(1) に記載の微生物試験用検出シート状物。 (4) 節足動物が、昆虫またはカブトガニである上記(3)
に記載の微生物検出用シート状物。 (5) 検出用試薬が、エンドトキシン、ペプチドグリカン
およびβ−1,3−グルカンのいずれかと反応して発
色、発蛍光または発光する試薬である上記(1) に記載の
微生物検出用シート状物。 (6) 発色試薬が、酵素前駆体および発色性基質を含んで
なる上記(2) に記載の微生物検出用シート状物。 (7) 酵素前駆体が、昆虫の体液由来のプロフェノール酸
化酵素カスケードの不活性型因子である上記(6) に記載
の微生物検出用シート状物。 (8) 少なくとも凹部の形成部分が透明または半透明であ
る上記(1) に記載の微生物検出用シート状物。 (9) 少なくとも凹部の形成部分が水蒸気不透過性である
上記(1) または(8) に記載の微生物検出用シート状物。 (10)凹部が、シート部材に対するエンボス加工またはブ
リスター加工によって形成されてなるものである上記
(1) に記載の微生物検出用シート状物。 (11)上記(1) 〜(10)のいずれかに記載の微生物検出用シ
ート状物と、支持体と粘着層とが積層された微生物捕集
用粘着シートとを含んでなることを特徴とする微生物検
出キット。 (12)さらに、容器に密封封入された、検出用試薬を溶解
し得る溶解液を含む上記 (11)に記載の微生物検出キット。 (13)粘着シートの粘着面の水濡れ接触角が90°以下で
ある上記(11)に記載の微生物検出キット。 (14)粘着シートが透明または半透明である上記(11)に記
載の微生物検出キット。 (15)上記(1) 〜(10)のいずれかに記載の微生物検出用シ
ート状物に接着された剥離可能なシートを剥離し、凹部
に検出用試薬を溶解し得る溶解液を添加して検出用試液
を調製し、検査対象物を当該検出用試液と接触させ、当
該検出用試液の変化の有無を観察することを特徴とする
微生物検出方法。 (16)検査対象物が、被検物表面に粘着シートの粘着面を
接触させて転写・捕集したものである上記(15)に記載の
微生物検出方法。 (17)粘着シートの粘着面を検出用試液を保持した凹部を
覆うように接着させた後、当該粘着面と検出用試液とを
接触させる上記(16)に記載の微生物検出方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明する。例えば、図1〜4に示されるように、本発明の
微生物検出用シート状物1には実質的に微生物フリーの
凹部2が設けられており、その凹部2を密閉するように
剥離可能なシート4が接着されている。この検出用シー
ト状物1は、検査対象物と検出用試薬との間の反応によ
り生じる発色等の変化を観察することができるよう、例
えば図2、4で示されるように、検出用シート状物1の
少なくとも凹部2の形成部分(A)は透明または半透明
であることが好ましい。また、凹部2に保持される検出
用試薬3は一般に水滴の存在下や高湿度環境においてそ
の活性を消失しやすいため、その長期保存安定性を確保
すべく、検出用シート状物1の少なくとも凹部2の形成
部分は水蒸気不透過性であることが好ましい。
【0011】なお、本発明において、透明または半透明
とは、検査対象物と検出用試薬との間の反応により生じ
る発色等の変化の度合や有無を観察できる程度に透明で
あることをいう。透明または半透明でない場合、この変
化の度合や有無を検出用シート状物1側から観察するこ
とができない。また、本発明において、水蒸気不透過性
とは、水蒸気透過度が50g/m2 ・24hr以下、好
ましくは5g/m2 ・24hr以下であることをいう。
水蒸気不透過性でない場合、凹部2に保持される検出用
試薬3は一般に水滴の存在下や高湿度環境においてその
活性を消失しやすく、その長期保存安定性を確保できな
い。
【0012】検出用シート状物1の材質は上記の特性を
満足するものであれば特に限定されない。例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリス
ルホン、ポリ塩化ビニル等からなるプラスチックシート
やガラス等が使用される。
【0013】検出用シート状物1が図1、2に示される
ような形状の場合、材質がガラスであれば溶融成形で、
プラスチックであればシート部材をエンボス加工または
ブリスター加工により作成される。
【0014】検出用シート状物1が図3、4に示される
ような形状、即ち、当該シート状物1の凹部が設けられ
ていない面側が平面であるような形状であってもよい。
この場合、材質がガラスであれば溶融成形で、プラスチ
ックであれば切削や溶融成形等により作成される。
【0015】また、凹部2の材質とその他の部分の材質
とが異なっていてもよい。さらに、検査対象物を、後述
するような粘着テープのような粘着性を有するものによ
って転写・捕集する以外の場合には、少なくとも凹部2
の周囲の密着面側(剥離可能なシート4が接着している
面側)は粘着性を有していることが好ましい。検出用シ
ート状物1の厚みは(凹部2の形成部分も含めて)、好
ましくは10〜1000μmである。
【0016】凹部2は複数個設けられていてもよい。ま
た凹部2の密着面側の断面形状は、特に限定されず、円
形であっても、多角形であってもよい。その断面の大き
さは特に制限はないが、例えば、検査対象物を粘着面に
転写・捕集した粘着シートを凹部2を密封するように密
着させて検査を行う場合には、少なくとも当該粘着シー
トよりも小さく設計される。即ち、例えば、検査対象物
が、後述するような被検物表面に付着した微生物であっ
て、これを粘着面に転写・捕集した粘着シートで凹部2
を密封することにより検出を行う場合、凹部2の密着面
側の断面形状が円形である時は、例えば、凹部2の直径
が10mm径に設計するならば、粘着シートは少なくと
も15mm直径の円を含むことができる大きさ(面積)
を、好ましくは20mm直径の円を含むことのできる大
きさ(面積)を確保して、凹部2を覆って十分余りある
ように設計されることが好ましい。
【0017】また凹部2の深さは0.02〜4mmの範
囲、好ましくは0.05〜1mmの範囲で設定するのが
よい。0.02mm未満の深さでは、例えば発色の判定
が難しくなり、また4mm以上の深さでは凹部2を満た
すべき溶解液の量が多くなりすぎて好ましくない。
【0018】検出用試薬3はこの凹部2に予め保持され
ている。この検出用試薬3は、検査対象物である微生物
を検出するための試薬であり、一回の検出反応に必要な
量が保持され、好ましくは固形微粒子状のものが使用さ
れる。検出用試薬3が固形微粒子状のものである場合、
通常はこれに溶解液を添加して検出用試液としてから検
査対象物との反応(検出試験)に供される。検出用試薬
3が2種以上の物質からなる場合(例えば、後述するよ
うな酵素前駆体と発色性基質を含んでなる発色試薬であ
る場合)は、互いに直接接触しないように隔離して凹部
2に保持されていることが好ましい。
【0019】本発明においては、検出用試薬3中に、検
出試験の際に必要な試薬類を全て含有させておかなくと
もよい。例えば、検出を発色試薬を用いて行う場合であ
って、発色試薬が酵素前駆体と発色性基質とを含んでな
る場合、当該酵素前駆体と発色性基質とを検出用試薬3
中に含有させておく必要はなく、酵素前駆体と発色性基
質の何れかを検出用試薬3中に含有させておき、他方を
検出用試薬3の溶解液中に含有させておいてもよい。ま
た、検査対象物が、後述するような、被検物表面に付着
した微生物であって、これを粘着シートで転写・捕集す
る場合、当該粘着シートの粘着層表面あるいは粘着層中
に発色性基質を含ませておき、酵素前駆体を検出用試薬
3中に含有させるようにしても良い。
【0020】また、検出用シート状物1は、図1〜4に
示されるように、少なくとも凹部2が剥離可能なシート
4(以下、セパレーター4という。)により密封されて
いる。セパレーター4としてはフィルムまたは金属箔が
使用される。検出用試薬3は一般に水滴の存在下や高湿
度環境においてその活性を消失しやすく、その長期保存
安定性を確保するために、セパレーター4は水蒸気不透
過性であることが好ましい。ここで、水蒸気不透過性と
は、水蒸気透過度が50g/m2 ・24hr以下、好ま
しくは5g/m2 ・24hr以下であることをいう。検
出用シート状物1の使用時にはこのセパレーター4は剥
離されるので、容易に剥離できるように、熱融解シール
または接着シールによって凹部2のまわりの密着面側に
セパレーター4が密着されていることが好ましい。この
時、必要であれば、検出用試薬3の長期安定性を充分に
確保するために、凹部2内は窒素等の不活性ガスで置換
されていてもよい。
【0021】セパレーター4としては、熱融解シールま
たは接着シールで、剥離可能なものであれば特に限定さ
れず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンと
アルミ箔、ポリエステル、ポリプロピレン、滅菌紙との
積層体等が例示される。
【0022】本発明の微生物検出方法を、粘着シートを
用いて被検物表面に付着している微生物を当該粘着シー
トの粘着面に転写・捕集して検査する場合を例にして説
明する。例えば、図1〜4に示すような検出用シート状
物1を使用し、先ずセパレーター4を剥離し、次いで一
回の検出反応に必要な量の検出用試薬3が保持された凹
部2に、当該検出用試薬3を溶解し得る、一回の検出反
応に必要な量の溶解液を添加する。この場合、図5に示
すように、一回の検出反応に必要な量の溶解液6を容器
5に密封封入したものを使用し、使用直前にこれを開封
してこの溶解液6を検出用シート状物1の凹部2内に全
量を移入する方法を採用してもよい。この溶解液6とし
ては、例えば、無菌水、緩衝液等が使用される。また、
この容器5は、溶出性のないガラスまたはポリエチレン
やポリプロピレンやPET樹脂等から製造された容器で
あり、溶融密封されている(例えば、アンプル)か、溶
出性のない栓等で密封されていることが望ましい。
【0023】凹部2に溶解液6を添加した後、この凹部
2を密閉するように、検出用シート状物1の密着面側と
粘着シート(被検物表面に付着している微生物を転写・
捕集したもの)とを液濡れが起こらないようぴったりと
密着させる。次いでこれらをよく振とうして、凹部2中
の検出用試薬3を溶解液6に充分に溶解させて検出用試
液を調製しながら、同時に当該粘着シートに付着してい
る検査対象物、即ち、細菌等の微生物に当該検出用試液
を接触させる。なお、ここでは、上述したように、凹部
2の密着面側の断面は、当該粘着シートの断面よりも小
さいものが使用される。振とうは、手で振り動かしなが
ら振とうしてもよいし、あるいは振とう機にセットして
振とうしてもよいが、通常10秒から15分の間で適宜
に選んでよく振とうする。
【0024】この時、微生物が有する微量成分と検出用
試液とが充分に接触すると生化学的特異反応が生じる。
検出用試薬3が酵素前駆体と発色性基質を含んでなる発
色試薬である場合、微生物が有する微量成分と酵素前駆
体との生化学的特異反応により生じる産物が発色性基質
を発色させる。発色状態や発色量の観察は、そのまま肉
眼によって目視判定してもよく、また光学顕微鏡、蛍光
顕微鏡、レーザー顕微鏡等の顕微鏡もしくは他の適当な
光学機械を用いて光学画像を形成させ、この画像を統計
的に解析することにより行ってもよい。尚、検出用試液
と接触させる検査対象物には、粘着シートを用いて転写
・捕集されたものだけでなく、例えば脱脂綿、カーゼ等
により被検物表面から拭い取ったものや、例えば集塵機
を用いて被検物表面から捕集されたもの等も含まれる。
【0025】検出用シート状物1の少なくとも凹部2の
形成部分が透明または半透明であれば、検出用シート状
物1側から観察できる。検査対象物が、後述するよう
な、被検物表面に付着した微生物であって、これを粘着
シートの粘着層表面に転写・捕集し、当該粘着シートで
凹部2を密封して検出を行う場合には、この粘着シート
が透明または半透明であると、当該粘着シート側からで
も観察できる。このようにして、微生物の検出・定量が
行われる。
【0026】ここで検査対象となる微生物には、細菌や
放線菌等の原核微生物、酵母やかび等の真菌類、下等藻
類、ウイルス、動植物の培養細胞等が含まれる。
【0027】本発明で使用される検出用試薬3として
は、発色試薬、蛍光試薬または発光試薬が挙げられる。
このうち、蛍光試薬としては、例えば、特公昭61−5
4400号公報に記載の蛍光試薬が挙げられる。
【0028】本発明で使用される発色試薬としては、微
生物の存在により発色する試薬であれば特に制限はない
が、例えば、各種微生物の構成成分の存在下で発色する
系に関与する試薬が挙げられる。各種微生物の構成成分
としては、β−1,3−グルカン、ペプチドグリカン等
の各種微生物の細胞壁構成成分や、エンドトキシン等の
細胞表層中に存在する成分等がある。β−1,3−グル
カンには免疫賦活作用があり、ペプチドグリカンには体
液性免疫応答の増強効果、腫瘍壊死因子(TNF)誘導
物質の効果を高める作用、細菌内毒素等の生物への影響
を高める作用等があることも知られている。エンドトキ
シンは、主にグラム陰性菌の細胞表層中に存在するリポ
多糖類の一種であり、発熱性物質(Pyrogen)として一般
的によく知られている物質である。
【0029】検出において、標準物質として用いるβ−
1,3−グルカンとしては、β−1,3結合を有するグ
ルコースポリマーやその誘導体、例えば、ザイモサン、
カードラン、パキマン、スクレロタン、レンチナン、ジ
ソフィラン、コリオラン、ラミナラン、リケナンおよび
その誘導体が例示される。ペプチドグリカンとしては、
特に限定されないが、例えば、各種細菌類(例えばMicr
ococcus 属、Streptococcus 属、Aaureobacterium 属、
Bacillus属、Agrobacterium 属等)の細菌壁細胞成分等
が例示される。エンドトキシンとしては各種グラム陰性
菌、例えばEscherichia 、Salmonella、Klebsiella、Se
rratia、Shigella、Pseudomonas 等のリポ多糖が例示さ
れる。
【0030】このような各種微生物の構成成分の存在下
で発色する系に関与する試薬としては、各種微生物の
構成成分と反応する試薬と当該反応による産物の作用
により発色する発色性基質との組み合わせがある。
【0031】各種微生物の構成成分と反応する試薬と
しては、節足動物(例えば昆虫、カブトガニ)の体液由
来の物質が挙げられる。このうち、エンドトキシンと反
応する物質としては、自体公知のエンドトキシン測定
法、例えば、リムルステスト法等に用いられる試薬(例
えばカブトガニの血球成分抽出液(以下、AL溶液とも
いう))等が挙げられる。当該AL溶液としては、例え
ば、リムルス属(Limulus) 、タキプレウス属(Tachypleu
s)あるいはカルシノスコピウス属(Carcinoscorpius) に
属するカブトガニの血球から抽出されたもので、エンド
トキシンまたはβ−1,3−グルカンと反応する試薬で
あれば特に限定されない(例えば、特開昭54−611
28号公報、特開昭54−15797号公報、特開昭5
7−176940号公報に記載のものが例示される。ま
た、例えばACC(Associates of Cape Cod)社、バイオ
ウィタカー(BioWhittaker Inc.)社、エンドセイフ(Cha
rlesRiver Endosafe, Inc.)社、生化学工業(株)社お
よび和光純薬工業(株)社等から市販されているAL溶
液の凍結乾燥品をもとに調製したものも当然のことなが
ら使用可能である。エンドトキシンをリムルステスト法
を用いて検出する場合の手法は、通常採用される方法で
あれば特に限定はされない。
【0032】ペプチドグリカンおよび/またはβ−1,
3−グルカンと反応する試薬としては、例えば、昆虫の
体液成分から調製されたペプチドグリカンおよび/また
はβ−1,3−グルカンと特異的に反応する試薬(例え
ば、SLP試薬セット、SLPシングル試薬セット(和
光純薬工業(株)製))が挙げられる。
【0033】ペプチドグリカンと反応する試薬として
は、例えば、昆虫の体液成分から調製されたペプチドグ
リカンと特異的に反応する試薬が挙げられる。
【0034】β−1,3−グルカンと反応する試薬とし
ては、例えば、昆虫の体液成分から調製されたβ−1,
3−グルカンと特異的に反応する試薬や、例えばリムル
ス属(Limulus) 、タキプレウス属(Tachypleus)あるいは
カルシノスコピウス属(Carcinoscorpius) に属するカブ
トガニの血球から抽出されたもののうち、β−1,3−
グルカンと反応するがエンドトキシンとは反応しない試
薬が挙げられる。
【0035】これらの試薬は、市販品を使用してもよい
し、また公知の方法により自製したものを使用してもよ
い。昆虫の体液成分から、ペプチドグリカンおよび/ま
たはβ−1,3−グルカンと反応する試薬を調製する方
法としては、例えばペプチドグリカンと反応する試薬に
ついては特開昭63−141599号公報、β−1,3
−グルカンと反応する試薬については特開昭63−14
1598号公報に開示の以下の方法が採用され得る。
【0036】即ち、当該試薬を調製するための昆虫とし
ては特に制限はないが、なるべく大型のもので飼育方法
が確立しているものが望ましく、例えばタバコスズメ
ガ、カイロガ等の鱗翅類;センチニクバエ、イエバエ等
の双翅類;トノサマバッタ、エンマコオロギ等の直翅
類;センノキカミキリ等の甲虫類等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。体液としては体腔から
得られるヘモリンパ(hemolymph) が最も得られやすくよ
り一般的である。なお、昆虫類には、幼生、成体を問わ
ず全ての態様のものが含まれる。鱗翅目、双翅目および
鞘翅目等の完全変態類に属する昆虫については、取得の
容易性から成虫よりも幼虫が好ましい。
【0037】上記の昆虫から体液を得る方法としては、
例えば、昆虫を氷上に置いて動きを止めた後、トウキビ
因子(サトウキビに含まれるグルコース、アミノ酸等か
らなる高分子物質)を不純物として含む蔗糖、またはト
ウキビ因子そのものを含む生理食塩水を体腔に注射し、
その後しばらく放置して体腔よりヘモリンパを集めると
いった方法等が挙げられる。得られたヘモリンパを遠心
分離処理して血球を除き、その後透析して血漿を得る。
この血漿中には、エンドトキシンとは反応しないがβ−
1,3−グルカンと特異的に反応して酵素活性を発現す
る物質(或いは発現を誘因する物質)と、ペプチドグリ
カンと特異的に反応して酵素活性を発現する物質(或い
は発現を誘因する物質)とが共存している。そのため、
これはこのままβ−1,3−グルカンおよび/またはペ
プチドグリカンと反応して発色する試薬として使用する
ことができる。
【0038】また、この血漿からβ−1,3−グルカン
と特異的に反応して酵素活性を発現する試薬を得る場合
には、当該血漿中よりペプチドグリカンと反応して酵素
活性を発現する物質(或いは発現を誘因する物質)を除
去すればよい。反対にこの血漿からペプチドグリカンと
特異的に反応して酵素活性を発現する試薬を得る場合に
は、当該血漿中よりβ−1,3−グルカンと反応して酵
素活性を発現する物質(或いは発現を誘因する物質)を
除去すればよい。
【0039】上記血漿中から、β−1,3−グルカンま
たはペプチドグリカンと反応して酵素活性を発現する物
質(或いは発現を誘因する物質)を除去する方法として
は、一般に生化学の分野で用いられている分離精製法が
採用され得る。ペプチドグリカンと反応して酵素活性を
発現する物質(或いは発現を誘因する物質)を除去する
場合には、当該血漿にペプチドグリカンを結合させた担
体をアフィニティークロマトグラフィーにより処理し、
β−1,3−グルカンと反応して酵素活性を発現する物
質(或いは発現を誘因する物質)を除去する場合には、
当該血漿にβ−1,3−グルカンを結合させた担体をア
フィニティークロマトグラフィーにより処理することに
より、それぞれ極めて容易にかつ効率より行うことがで
きる。
【0040】上記の除去方法で使用されるβ−1,3−
グルカン、ペプチドグリカンとしては上記で例示したも
のが使用され得る。
【0041】本発明においては、各種微生物の構成成分
と反応する試薬のうち、各種微生物の構成成分と反応し
て酵素活性を発現する物質あるいは酵素活性の発現を誘
因する物質は、酵素前駆体カスケード中の物質である。
酵素前駆体カスケードとしては、例えば、プロフェノー
ル酸化酵素カスケード、プロ凝固酵素カスケードが例示
される。中でも、好ましくは節足動物(例えば昆虫、カ
ブトガニ)の体液由来のプロフェノール酸化酵素カスケ
ードまたはプロ凝固酵素カスケードであり、より好まし
くは昆虫(例えばカイコ)の体液由来のプロフェノール
酸化酵素カスケードである。各種微生物の構成成分と酵
素前駆体カスケード中の物質とが反応すると、結果とし
て、当該カスケード中に存在する不活性型因子である酵
素前駆体が活性化されて酵素となり、そしてこの酵素の
作用により発色性基質が発色する。
【0042】カイコの体液(Silkworm Larvae Plasma)
中には、微生物細胞壁構成成分のペプチドグリカンおよ
び/またはβ−1,3−グルカンと反応してプロフェノ
ール酸化酵素を活性化させてフェノール酸化酵素を生成
させるカスケード系が存在するので、当該フェノール酸
化酵素の作用により発色する発色性基質と併用すると、
フェノール酸化酵素活性が測定されて微生物を検出、計
数することができる。具体的な試薬としては、カイコの
体液を無菌的に採取調製した凍結乾燥品であるSLP試
薬(和光純薬工業(株)製)がある。プロフェノール酸
化酵素カスケード中の物質を用いる場合、発色性基質と
しては3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)アラニン
(以下、DOPAという。)等が使用され得る。
【0043】SLP試薬中には、カイコ体液由来のヘモ
リンパ(完全な上記プロフェノール酸化酵素カスケード
系を含む)が含まれており、プロフェノール酸化酵素カ
スケード中の物質とペプチドグリカンやβ−1,3−グ
ルカンと微量高感度に反応し、結果としてプロフェノー
ル酸化酵素が活性化されてフェノール酸化酵素となる。
このフェノール酸化酵素が、発色性基質として加えられ
たDOPAを微量高感度に酸化してメラニン色素を形成
させ、黒紫色に発色させる。従って、検査対象物である
微生物量に応じて、SLP水溶液中のプロフェノール酸
化酵素が活性化されてフェノール酸化酵素となり、その
結果、その量に応じた濃度の黒紫色に発色することにな
る。
【0044】SLP試薬や発色性基質DOPAの量(濃
度)は、検査対象物である微生物の量に応じて適宜決め
られるが、当然のことながら微生物の量が多い(濃度が
高い)ほど黒紫色への発色時間が短くなるし、微生物の
量が少ない(濃度が低い)ほど発色時間が長くなる。ま
た当然のことながら、検査対象物である微生物の量が多
いと生成されたフェノール酸化酵素の量が多くなるの
で、黒紫色への発色時間を測定することにより、ほぼ正
確に検査対象物である微生物の量を定量的に観測するこ
とができる。微生物の種類にもよるが、皮膚常在菌の表
皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)では、細
菌量が多い場合(104 個/cm2 以上)では2〜20
分で、細菌量が少ない場合(103 個cm2 以下)では
30分以上で発色する。このとき、目視判定すれば細菌
量のオーダーレベルでの存在を判断できる。また生成さ
れるメラニン色素量を光学器械を用いて、検査対象物上
を高速高感度スキャニングし、予め求められた検量線と
対比させることにより、細菌量の定量測定もできる。
【0045】本発明の微生物検出方法によれば、コロニ
ー形成のための培養等の手順を必要としないリアルタイ
ムの試験が可能となる。しかもひとつの被検物表面につ
いての微生物検出の手順を本発明の検出方法で行えば、
必要ならば30分以内で観測、判定できる。
【0046】本発明の微生物検出方法は、被検物そのも
のをそのまま検出試験に供してもよいし、被検物表面に
付着した微生物を例えば粘着シートの粘着面に転写・捕
集し、当該粘着シートの粘着面を検出試験に供してもよ
い。この場合、粘着シートとしては、例えば、図6に示
されるような、粘着層8が支持体9上に積層された粘着
シート7等が挙げられる。このような粘着シートの使用
方法としては、被検物表面に粘着シート7の粘着層8を
圧着させて剥離することによりあるいはこの操作を数回
繰り返すことにより、当該被検物表面に付着している微
生物を粘着層8表面に転写・捕集する方法等が挙げられ
る。
【0047】具体的には、例えば、直接、手操作で床、
壁、着衣、ベッドシーツ等の被検物に粘着シート7を圧
着させるか、あるいは粘着シート7が巻かれたローラ
を、床、壁等の被検物に圧着して微生物を転写・捕集す
る。比較的微生物の少ないと考えられる被検物に圧着す
る場合は、粘着シート7の同一粘着層8表面で複数回圧
着してもよい。このような転写・捕集方法によれば、多
重に微生物を集積できる。
【0048】このように、被検物表面に付着した微生物
が転写・捕集された粘着シートの粘着層8表面を使用し
て本発明の微生物検出方法を行えば、アガースタンプ法
とは異なり培養をする必要がないので、培養時における
菌相の変化を懸念することなく、また、メンブレンフィ
ルタ法のように、水に分散した微生物を濃縮するような
手間がなく、圧着回数を増やすことにより、容易に多く
の微生物を捕集することができることになる。
【0049】検出に際しては、この粘着シート7は、必
要に応じて、所定の大きさに、即ち、検出用シート状物
1の凹部2の密着面側の断面よりも大きくなるように切
断される。そして、上述と同様に、凹部2を覆うよう
に、検出用シート状物1の密着面とこの粘着シートの粘
着層8表面とを液濡れが起こらないようぴったりと密着
させ、次いでこれらをよく振とうして、凹部2中の検出
用試薬3を溶解液6に充分に溶解させて検出用試液を調
製しながら、同時に粘着層8表面に付着している細菌等
の微生物に当該検出用試液を接触させる。
【0050】粘着シート7は、粘着層8表面に転写・捕
集された微生物の検出反応を観察することができるよう
に透明または半透明であることが好ましい。ここで、透
明または半透明とは、粘着層表面の転写・捕集された微
生物の検出反応を観察できる程度に透明であることをい
う。透明または半透明でない場合、この検出反応を支持
体9側から観察することができない。
【0051】粘着シート7の支持体9は、折り曲げに対
して破壊しない十分な強度を持ち、粘着シート7として
曲面や狭所表面にも自在に圧着適用できる柔軟な支持体
であり、粘着シート7が透明または半透明となるように
自身も透明または半透明であることが好ましい。その材
質は、このような条件を満足するものであれば特に限定
されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、
ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、ニトロセルロ
ース等からなるプラスチックフィルムが好適に用いられ
る。支持体の厚みは、好ましくは50〜20000μm
である。
【0052】粘着層8は、粘着性を有するとともに、粘
着シート7が透明または半透明となるように自身も透明
または半透明であることが好ましい。さらに、粘着層8
表面の水濡れ接触角が90°以下であり、水に対して十
分濡れ性が良いことが好ましい。本発明において水濡れ
接触角とは、粘着層8表面と液滴とのなす角のうち液滴
を含む側の角度をいう。この水濡れ接触角が90°を超
えると水に対して十分濡れ性が劣り、この粘着層8表面
に検出用試液を十分に接触させることができず、微量高
感度に微生物と検出用試薬との生化学的特異反応を十分
に起こさせることができない。この水濡れ接触角は、好
ましくは30°以下、より好ましくは10°以下、特に
好ましくは実質的に0°である。水濡れ接触角が実質的
に0°であれば、粘着層8表面の水に対する濡れ性は完
全であり、この粘着層8表面に検出用試液を充分に接触
させることができ、微量高感度に微生物と検出用試薬と
の生化学的特異反応を十分起こさせることができる。
【0053】本発明において、水濡れ接触角はFACE
自動接触角計CA−X型(協和界面科学(株)製)にて
測定したものである。その測定条件は次の通りである。 液滴調整器:液滴法で液滴量を約0.9μlに調整す
る。 温度:25℃ 測定時:液滴の滴下の30秒後
【0054】粘着層8に用いられる粘着剤としては、上
述したような透明または半透明でかつ90°以下の水濡
れ接触角を有する層を形成し得るものであれば、特に限
定されないが、好ましくは水溶性高分子が挙げられる。
水溶性高分子としては、寒天、カラゲニン、アラビアゴ
ム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース等の水溶性
天然高分子;ビニルピロリドン、ビニルアルコール、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−メトキシエチル
アクリレート、ビニルエーテル、アクリル酸等の水溶性
モノマーを一種もしくは二種以上重合してなる重合体が
例示される。粘着層の水濡れ接触角が90°以下の範囲
を逸脱しなければ、アクリル酸ブチルやアクリル酸−2
−エチルヘキシル等の疎水性モノマーを共重合成分とし
て使用した粘着性高分子や、親水性ポリエーテル系ウレ
タンポリマー、スチルバゾリウム化ポリビニルアルコー
ル、キサンタンガム等の多糖類ポリマーも例示される。
【0055】好ましい水溶性高分子として、アルコキシ
アルキルアクリレートとN−ビニルラクタムとのアクリ
ル系共重合体が挙げられる。アルコキシアルキルアクリ
レートとしては、炭素数1〜4のアルコキシ基、および
炭素数2〜4のアルキル基あるいはアルキレングリコー
ル基とを有するアクリレートが好適に使用される。具体
的には、例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2
−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルア
クリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−
メトキシブチルアクリレート、3−エトキシプロピルア
クリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ブトキ
シトリエチレングリコールアクリレート、2−(2−エ
トキシエチル)エチルアクリレート、メトキシトリエチ
レンアクリレート等、メトキシジプロピレングリコール
アクリレート等の、アルコキシアルキルアクリレート類
やアルコキシアルキルグリコールアクリレート類が挙げ
られ、親水性が高い等の点から、2−メトキシエチルア
クリレート、2−エトキシエチルアクリレートが好まし
い。
【0056】もう一方のモノマー成分であるN−ビニル
ラクタムとしては、5〜7員環のN−ビニルラクタムが
好適に使用される。例えば、N−ビニル−2−ピロリド
ン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カ
プロラクタム等が挙げられるが、安全性、汎用性の面か
らN−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。
【0057】アルコキシアルキルアクリレートの配合割
合は、アクリル系共重合体中、好ましくは60〜80重
量%、より好ましくは65〜75重量%である。アルコ
キシアルキルアクリレートの配合割合が60重量%未満
になると、粘着層は柔軟性が低く、またアクリル系共重
合体が水分に溶解して流れが生じる場合があり、逆に8
0重量%を超えると粘着層は粘着性が亢進し、また粘着
層の強度および吸水能力が低くなる場合がある。
【0058】また、N−ビニルラクタムの配合割合は、
アクリル系共重合体中、好ましくは20〜40重量%、
より好ましくは25〜35重量%である。N−ビニルラ
クタムの配合割合が20重量%未満になると、粘着層は
粘着性が亢進し、また粘着層の強度および吸水能力が低
くなる場合があり、逆に40重量%を超えると粘着層の
柔軟性が低く、またアクリル系共重合体が水分に溶解し
て流れが生じる場合がある。
【0059】上記の水溶性高分子の製造は、それ自体既
知の方法で行うことができる。例えば、アクリル系共重
合体は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、光
重合等のいずれの共重合方法で製造してもよい。
【0060】粘着層8には、さらに適度な粘着性を付与
するために、親水性または水溶性の低分子物質を添加し
てもよい。親水性または水溶性の低分子物質としては、
沸点が100〜400℃、好ましくは200〜350℃
の高沸点液状化合物が挙げられる。その具体例として、
多価アルコール、糖アルコール等が挙げられ、多価アル
コールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、液状ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール、1,1,1−トリヒドロキシプロパン、グリセリ
ン等が挙げられ、糖アルコールとしてはソルビトールや
ソルビタン等が挙げられる。
【0061】グリセリンとエチレングリコールやプロピ
レングリコールとのエーテル型付加体であるポリオキシ
エチレングリセリルエーテルやポリオキシプロピレング
リセリルエーテルでもよい。またソルビトールやソルビ
タンとエチレングリコールやプロピレングリコールとの
エーテル型付加体であるポリオキシエチレンソルビタン
エーテルやポリオキシプロピレンソルビトールエーテル
でもよい。これらの親水性または水溶性の低分子物質の
配合量は、粘着剤に対して好ましくは5〜90重量%で
ある。
【0062】また、粘着層8は、粘着層表面の水濡れ接
触角が損なわれない範囲内で、粘着層全体が架橋されて
いて、該粘着層を構成する成分のうち好ましくは5〜7
5重量%が水によって溶解、溶出されないゲル状不溶体
を構成していてもよい。架橋されていないと、使用する
水溶性高分子の種類によっては、被検物に粘着シート7
の粘着層8を圧着させて剥離する際に、粘着層8が凝集
破壊して正確な微生物の転写・捕集等を行えない場合が
ある。
【0063】粘着層8の架橋方法としては、架橋剤の添
加による方法が挙げられる。架橋剤としては、エチレン
グリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリ
シジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等の
多価エポキシ化合物、コロネートLやコロネートHL
(日本ポリウレタン社製)等の多価イソシアネート化合
物が用いられる。これらの架橋剤の添加量は、粘着剤1
00重量部に対して通常0.01〜5重量部の範囲で選
ばれる。
【0064】粘着層8の他の架橋方法としては、例え
ば、電子線またはγ線等の放射線照射架橋による不溶化
が挙げられる。この場合の放射線の照射線量は、例え
ば、粘着剤がアクリル系共重合体であれば、1kGy以
上、特に25kGy〜50kGyが好ましい。照射線量
が25kGy以上の場合には、医療関連法規の定める滅
菌を兼ねることができる。50kGyを超えると、粘着
層8の劣化変化が著しく、好ましくない。
【0065】粘着層8は、ベークライト板に対して好ま
しくは30〜600g/12mm幅、より好ましくは8
0〜400g/12mm幅の剥離粘着力を有するように
設計される。粘着力が30g/12mm幅未満では、被
検物に粘着シート7の粘着層8を圧着させて微生物を転
写・捕集する場合に、十分な微生物の回収率が得られ
ず、逆に600g/12mm幅を超える場合には、被検
物に粘着シート7の粘着層8を圧着させて剥離する際
に、粘着層8が凝集破壊してしまって正確な転写・捕集
等を行えない場合がある。
【0066】粘着層8の厚さは、10〜100μm、好
ましくは20〜80μm、より好ましくは30〜60μ
mに設計する。厚さが10μm未満では、所要の剥離粘
着力が得られなく、100μmを超えると、剥離する際
に粘着層8が凝集破壊し易くなるからである。
【0067】検出用試薬が例えば酵素前駆体と発色性基
質とから構成される場合、粘着層8中には発色性基質が
含有されていてもよく、この場合には、検出用シート状
物1の凹部2には発色性基質を保持させる必要はない。
【0068】粘着シート7は自体既知の方法で製造され
る。例えば、水溶性高分子および親水性または水溶性の
低分子物質とを含有する水溶液を、透明または半透明の
支持体9上に塗布し、10℃〜20℃で乾燥させること
によって製造される。
【0069】粘着剤がアクリル系共重合体の場合は、優
れた熱可塑性を有するために、押出し成形によりシート
状またはフィルム状に加工することができる。この押出
し成形は、インフレーション成形、Tダイ成形、ラミネ
ーション成形等の従来公知の方法を採用することができ
る。尚、押出し機は単軸押出し機および二軸押出し機の
いずれを用いてもよい。成形温度、ダイリップ幅、押出
し速度、引取り速度等の成形条件を適宜に制御すること
により、フィルムあるいはシートの厚さを調製すること
ができる。この場合、成形温度は140℃〜180℃が
好ましく、より好ましくは150℃〜170℃である。
成形法として、カレンダー法、キャスティング法等の方
法を用いることもできる。このように加工された粘着層
8は支持体9上に積層される。
【0070】このようにして得られた粘着シート7は、
電子線またはγ線等の放射線を照射することにより、架
橋を施すこともできる。特に、粘着剤がアクリル系共重
合体である場合はこの放射線架橋が有効である。架橋処
理は前述と同様の条件で行うことができる。また、架橋
剤を使用する場合には、加熱処理等により架橋反応をさ
せる。
【0071】また粘着シート7は、滅菌した状態で微生
物遮断性包材に封入する等により、無菌状態を保持した
形態をとることができる。なお滅菌法はEOG(エチレ
ンオキサイドガス)法、電子線法、γ線法を用いるのが
好ましい。この場合、電子線またはγ線等の放射線の照
射量はポリマーの親水度によって異なるが、架橋処理と
同様の条件で行うことができる。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0073】実施例1 撹拌機付き密閉型反応器に2−メトキシエチルアクリレ
ート70重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量
部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.
175重量部および蒸留水:メタノール:イソプロパノ
ール混合溶剤(重量比16:23:1)250重量部を
仕込み、反応器内を窒素置換した後、反応器内の温度を
60℃〜62℃に維持しながら1.5時間攪拌した。続
いて、75℃で2時間攪拌することにより反応を完結さ
せた後、室温まで冷却して、アクリル系共重合体の溶液
を得た。
【0074】このアクリル系共重合体の溶液に、アクリ
ル系共重合体の固形分100重量部に対してポリオキシ
プロピレングリセリルエーテル(平均分子量400)2
0重量部を添加した。このアクリル系共重合体を含む溶
液を、支持体9である、無色透明で、かつ折り曲げに強
く柔軟なポリエステルフィルム(厚さ20μm)上に一
定の厚さで塗布した後、130℃で10分間乾燥させ
て、粘着層8の厚さが50μmの無色透明の粘着シート
7を2枚作成した。得られた粘着シート7の粘着層8表
面に、蒸留水の水滴(0.9μl)を滴下して30秒後
25℃における初期接触角を測定したところ実質的に0
度であり、水に対して粘着面は完全濡れ性であることを
確認した。なお、接触角の測定には、FACE自動接触
角計CA−X型(協和界面科学(株)製)を用いた。ま
たこの粘着シート7のベークライト板に対する粘着力は
180g/12mm幅であった。
【0075】これとは別に、水蒸気不透過性の無色透明
のポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ0.1m
m)に、深さ0.2mmで直径12mmの円形板にブリ
スター加工して凹部2を有する検出用シート状物1を作
成した。この凹部2に、検出用試薬3として、固形微粒
子状のSLP試薬1.1mg(3m1用の百分の一量相
当)と固形微粒子状のDOPA0.2mg(3m1用の
百分の一量相当)をそれぞれ精秤して窒素気流下で封入
した。このとき凹部2を覆うセパレーター4として、剥
離可能で、水蒸気不透過性のPET製フィルムにポリエ
チレンフィルムを積層したシートを用い、凹部2のまわ
りの密着面を熱溶融シールにて密着させた。
【0076】またこれとは別に、ガラス製の細管アンプ
ル5に検出用試薬3の溶解液である無菌水6を30μl
を精秤して溶解封入した。上記の粘着シート7を直径2
5mmの円形に切り抜いたものを2枚用意し、そのうち
の1枚についてヒトの顔面皮膚の同一部位に粘着層8表
面を3回圧着させて微生物検出用サンプルを作成した。
一方、同時に上記の検出用試薬3の封入された凹部2の
セパレーター4を剥がして、細管アンプル5の溶解液6
を移入したのち、上記の粘着層8表面を内側にして凹部
2を完全に覆う形で、検出用シート状物1の密着面に、
振とう際に液漏れがおこらぬように密着させてデバイス
を作成した。このデバイスを室温下で45秒間よく振と
うした後、室温空気環境下で保存しながら、検出用シー
ト状物1側および/または粘着シート7側から凹部2を
観察したところ、約7分で黒紫色の発色が見られた。
【0077】一方、ブランク試験用サンプルとして、直
径25mmの円形に切り抜いたもう1枚の粘着シート7
について、ヒトの顔面皮膚に圧着させなかったことを除
いた以外は、上記とまったく同様にして、試験をおこな
った。その結果、このサンプルにおいては約50分後に
黒紫色に発色するのを確認した。
【0078】防菌防黴、Vol.22(No.3), 13-18(1994) に
よれば、ヒトの顔面皮膚には表皮ブドウ球菌を含めて1
4 〜105 個/cm2 レベルの細菌や微生物が存在す
ることがわかっている。
【0079】実施例2 実施例1において、ポリオキシプロピレングリセリンエ
ーテルの添加量を30重量部としたこと以外は、実施例
1と全く同様にしてアクリル系共重合体を含む溶液を得
た。このアクリル系共重合体の溶液を、支持体9として
の無色透明のPETフィルム(厚さ10μm)上に一定
の厚さで塗布した後、130℃で10分間乾燥すること
により、厚さが40μmの粘着層8が片面に形成された
粘着シート7を得た。この粘着シート7を滅菌状態が維
持できる適当な袋に入れて、35kGy量のγ線に曝す
ことにより完全滅菌すると同時に、粘着層8にγ線架橋
を起こさせた。この粘着シート7のベークライト板に対
する粘着力は110g/12mm幅であった。
【0080】得られた粘着シート7を直径25mmの円
形に打ち抜いたものを、十分な量の蒸留水に2時間浸漬
することにより、粘着層8の架橋度合を水に不溶化した
ゲル分率として測定した。この結果、粘着層のゲル分率
は52%であることが確認できた。また、この粘着シー
ト7の粘着層8表面の蒸留水に対する初期接触角は、実
施例1と同様に測定したところ実質的に0度であり、水
に対して粘着面は完全濡れ性であることを確認した。
【0081】この粘着シート7について、実施例1と全
く同様の操作で、その粘着層8表面をヒト顔面皮膚に3
回圧着させて微生物検出用サンプルを作成した。このサ
ンプルの粘着層8表面と、顔面皮膚に圧着していないそ
のままの粘着層8表面(ブランク試験用サンプル)と
を、実施例1と全く同様の操作手順でそれぞれ発色させ
た。次いで、それぞれ光学機器を用いて、予め別に定量
して得られた検量線と比較することにより、ヒト皮膚の
表皮ブドウ球菌としての微生物量を測定した。その結
果、ブランク用サンプルは7.6×100 個/cm2
ヒト顔面皮膚に圧着させた方のサンプルは1.2×10
5 個/cm2 と測定された。
【0082】実施例3 市販のポリアクリル酸重合体水溶液(固形分濃度20
%、日本純薬(株)製、商品名ジュリマーAC10H)
100.5gを水84gに溶解し、この溶解液に、平均
分子量の異なるポリアクリル酸粉末(日本純薬(株)
製、商品名ジュリマーAC−10LP)86gとグリセ
リン217gを加熱しつつ加えて溶解させた。次いでN
aOH35gを添加混合し、約60gモル%のケン化度
のポリアクリル酸ソーダ/グリセリン混合水溶液を得
た。
【0083】このポリアクリル酸ソーダ/グリセリン混
合水溶液100重量部に対して、反応型架橋剤としてト
リグリシジルイソシアヌレート0.34重量部を水に溶
解して添加し、ポリアクリル酸ソーダの濃度が20重量
%の粘性のある水溶液を得た。支持体9として、厚さ3
0μmの透明ポリプロピレンフィルムを用い、この片面
に、粘着層8の固着性を向上させるようにコロナ放電処
理した。この処理面側に、上記の粘性のある水溶液をフ
ァウンテンコータを用いて一定の厚さに塗布した。10
0℃で10分間乾燥炉にて乾燥させて連続的に巻き取っ
た後、50℃で10時間加熱、成熟することにより無色
透明の粘着シート7を得た。粘着層8の厚さは50μm
であり、ベークライト板に対する粘着力は200g/1
2mm幅であった。
【0084】得られた粘着シート7を直径25mmの円
形に打ち抜き、実施例2と同様の手順で粘着層8の架橋
度合いを水不溶化ゲル分率として測定したところ、48
%であることが確認できた。また、この粘着シート2の
粘着層8表面の蒸留水に対する初期接触角は、実施例1
と同様に測定したところ実質的に0度であり、水に対し
て粘着層8表面は完全濡れ性であることを確認した。
【0085】これとは別に、PETフィルム上に大腸菌
1×108 個/cm2 の表面濃度で叢を形成させた標本
を作成した。またブランク標本として大腸菌叢を形成さ
せていないPETフィルムを用意した。上述の粘着シー
ト7の粘着層8表面を上記の大腸菌叢の形成されている
標本の同一部位に2回圧着させて微生物検出用サンプル
を作成した。他方、上述の粘着シート7の粘着層8表面
を上記の大腸菌叢の形成されていない標本の同一部位に
2回圧着させて微生物検出用サンプルを作成した。この
2つのサンプルについて、実施例1と全く同様の操作を
行い、発色を観察した。
【0086】大腸菌叢を形成させた標本の面に圧着させ
たサンプルについては約8分後に、またブランク標本の
面に圧着させたサンプルについては約1時間後に、それ
ぞれ黒紫色の発色を観察した。
【0087】この結果から容易に判断できるように、肉
眼による目視判定で黒紫色の発色時間を観察することに
より、細菌叢の存否を判定することができる。なお、本
実施例の結果からも分かるように、この場合ブランク標
本においても時間の経過に伴い、黒紫色の発色が観察さ
れたことから、常態環境下におけるブランク標本におい
て、細菌叢こそないものの、細菌等の微生物の数はゼロ
ではなかった。
【0088】実施例4 攪拌機付き密閉型反応器にブチルアクリレート95重量
部、アクリル酸5重量部、重合開始剤としてアゾビスイ
ソブチロニトリル0.175重量部および酢酸エチル2
50重量部を仕込み、反応器内を窒素置換した後、反応
器内の温度を60℃〜62℃に維持しながら1.5時間
攪拌した。続いて、75℃で2時間攪拌することにより
反応を完結させた後、室温まで冷却して、アクリル系共
重合体の粘度稠な溶液を得た。
【0089】この粘稠な溶液100重量部に対して、ベ
ンゾイルパーオキサイド0.2重量部を加えて25℃で
15分間よく攪拌して溶解させた。支持体9として、厚
さ10μmの透明PETフィルムの片面をコロナ電気放
電処理したフィルムを使用した。このフィルムのコロナ
処理側に上記の粘稠な溶液をファウンテンコーターを用
いて一定の厚さに塗布した後、110℃で10分間乾燥
炉にて乾燥させて、粘着層8の厚さが50μmの無色透
明の粘着シート7を得た。なおベークライト板に対する
粘着層の粘着力は450g/12mm幅であった。得ら
れた粘着シートを直径25mmの円形に打ち抜いたもの
を十分な量のトルエンに2時間浸漬することにより、粘
着層8の架橋度合いをトルエンに不溶化したゲル分率と
して測定した。この結果、粘着層8のゲル分率は58%
であることが確認できた。また、この粘着シート7の粘
着層8表面の蒸留水に対する初期接触角は、実施例1と
同様に測定したところ83°であり、水に対して粘着層
8表面は中程度の濡れ性であることを確認した。
【0090】これとは別に、PETフィルム上に大腸菌
1×106 個/cm2 の表面濃度で叢を形成させた標本
を作成した。またブランク標本として無菌状態のPET
フィルムを用意した。上述の粘着シート7の粘着層8表
面を上記の大腸菌叢の形成されている標本の同一部位に
1回圧着させて微生物検出用サンプルを作成した。他
方、上述の粘着シート7の粘着層8表面を上記の大腸菌
叢の形成されていない標本の同一部位に1回圧着させて
微生物検出用サンプルを作成した。この2つのサンプル
について、実施例1と全く同様の操作を行い、発色を観
察した。
【0091】大腸菌叢を形成させた標本に圧着させたサ
ンプルについては、9分後に黒紫色の発色を観察した。
一方、ブランク検体に圧着させたサンプルについては約
3時間後においても黒紫色の発色は観察されなかった。
【0092】この結果から容易に判断できるように、肉
眼による目視判定で黒紫色の発色時間を観察することに
より、細菌叢の存否を判定することができる。
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、酵素前駆体と微生物の
構成成分との生化学的特異反応と酵素反応とを組み合わ
せた、微生物の高感度かつ高精度の検出または計測を行
うことができる。当該方法は、微生物培養を伴わずに、
簡便に、リアルタイムでの微生物試験が可能となる。ま
た、検出対象が生菌のみに限定されない。また、粘着テ
ープを使用して、被検物表面に付着する微生物を容易に
より多く集積することができる。また、酵素前駆体を適
宜選択することにより、特定の微生物のみを検出、計数
できる。従って、医療、食品等の現場での環境調査に適
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検出用シート状物の一例の横断面図で
ある。
【図2】本発明の検出用シート状物の一例の横断面図で
ある。
【図3】本発明の検出用シート状物の一例の横断面図で
ある。
【図4】本発明の検出用シート状物の一例の横断面図で
ある。
【図5】本発明で使用される溶解液を密封封入した容器
の一例である。
【図6】本発明で使用される粘着シートの一例の横断面
図である。
【符号の説明】
1 検出用シート状物 2 凹部 3 検出用試薬 4 セパレーター 5 容器 6 溶解液 7 粘着シート 8 粘着層 9 支持体 A 透明または半透明
フロントページの続き (72)発明者 土谷 正和 兵庫県尼崎市高田町6番1号 和光純薬工 業株式会社大阪研究所内 (72)発明者 那須 正夫 大阪府吹田市山田丘1−6 大阪大学薬学 部内 (72)発明者 谷 佳津治 大阪府吹田市山田丘1−6 大阪大学薬学 部内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に微生物フリーの凹部が設けられ
    たシート状物であって、当該凹部を密閉するように剥離
    可能なシートが当該シート状物に接着され、かつ当該凹
    部に検出用試薬が保持されてなることを特徴とする微生
    物検出用シート状物。
  2. 【請求項2】 検出用試薬が、発色試薬、蛍光試薬また
    は発光試薬である請求項1に記載の微生物検出用シート
    状物。
  3. 【請求項3】 検出用試薬が、節足動物の体液由来の物
    質を含んでなる請求項1に記載の微生物試験用検出シー
    ト状物。
  4. 【請求項4】 節足動物が、昆虫またはカブトガニであ
    る請求項3に記載の微生物検出用シート状物。
  5. 【請求項5】 検出用試薬が、エンドトキシン、ペプチ
    ドグリカンおよびβ−1,3−グルカンのいずれかと反
    応して発色、発蛍光または発光する試薬である請求項1
    に記載の微生物検出用シート状物。
  6. 【請求項6】 発色試薬が、酵素前駆体および発色性基
    質を含んでなる請求項2に記載の微生物検出用シート状
    物。
  7. 【請求項7】 酵素前駆体が、昆虫の体液由来のプロフ
    ェノール酸化酵素カスケードの不活性型因子である請求
    項6に記載の微生物検出用シート状物。
  8. 【請求項8】 少なくとも凹部の形成部分が透明または
    半透明である請求項1に記載の微生物検出用シート状
    物。
  9. 【請求項9】 少なくとも凹部の形成部分が水蒸気不透
    過性である請求項1または8に記載の微生物検出用シー
    ト状物。
  10. 【請求項10】 凹部が、シート部材に対するエンボス
    加工またはブリスター加工によって形成されてなるもの
    である請求項1に記載の微生物検出用シート状物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の微
    生物検出用シート状物と、支持体と粘着層とが積層され
    た微生物捕集用粘着シートとを含んでなることを特徴と
    する微生物検出キット。
  12. 【請求項12】 さらに、容器に密封封入された、検出
    用試薬を溶解し得る溶解液を含む請求項11に記載の微
    生物検出キット。
  13. 【請求項13】 粘着シートの粘着面の水濡れ接触角が
    90°以下である請求項11に記載の微生物検出キッ
    ト。
  14. 【請求項14】 粘着シートが透明または半透明である
    請求項11に記載の微生物検出キット。
  15. 【請求項15】 請求項1〜10のいずれかに記載の微
    生物検出用シート状物に接着された剥離可能なシートを
    剥離し、凹部に検出用試薬を溶解し得る溶解液を添加し
    て検出用試液を調製し、検査対象物を当該検出用試液と
    接触させ、当該検出用試液の変化の有無を観察すること
    を特徴とする微生物検出方法。
  16. 【請求項16】 検査対象物が、被検物表面に粘着シー
    トの粘着面を接触させて転写・捕集したものであること
    を特徴とする請求項15に記載の微生物検出方法。
  17. 【請求項17】 粘着シートの粘着面を検出用試液を保
    持した凹部を覆うように接着させた後、当該粘着面と検
    出用試液とを接触させることを特徴とする請求項16に
    記載の微生物検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001057180A1 (fr) * 2000-01-31 2001-08-09 Matsushita Seiko Co., Ltd. Trousse de detection de micro-organismes, appareil et procede de quantification de micro-organismes
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