JPH1070976A - 微生物試験用粘着性シート及び微生物試験方法 - Google Patents

微生物試験用粘着性シート及び微生物試験方法

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JPH1070976A
JPH1070976A JP12958697A JP12958697A JPH1070976A JP H1070976 A JPH1070976 A JP H1070976A JP 12958697 A JP12958697 A JP 12958697A JP 12958697 A JP12958697 A JP 12958697A JP H1070976 A JPH1070976 A JP H1070976A
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microorganisms
water
pressure
sensitive adhesive
adhesive sheet
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JP12958697A
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English (en)
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Shuji Senda
修治 千田
Takeshi Saiga
健 雜賀
Noritaka Kazuse
能孝 数瀬
Tetsuji Sugii
哲次 杉井
Masao Nasu
正夫 那須
Nobuyasu Yamaguchi
進康 山口
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 水溶性高分子を主成分としてなる粘着層
(2)と、微生物を透過させない透水性膜(3)とが積
層された微生物試験用粘着性シートを用いた微生物試験
方法の提供。被験体の表面に、粘着性シート(1)の粘
着層(2)の表面を圧着した後、ろ過フィルタのファン
ネルに設置する。発色性物質を含有する水溶液を満た
し、数分間保持し、吸引ろ過する。粘着面上の発色を顕
微鏡などを用いて観察することにより、微生物の存在の
判定やその計数観測を行う。 【効果】 微生物培養を伴わずに、リアルタイムでのモ
ニタリングが可能であり、検出対象が生菌のみに限定さ
れない。また、粘着性シートを被験面に接触させるだけ
で、微生物を集積することができるので、操作も簡便で
ある。従って、医療、食品などの現場での環境調査に適
用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被験体の表面(以
下、被験面ともいう。)上の微生物を検出し、あるいは
その数を計測するための微生物試験用粘着性シート、及
び粘着性シートを用いた微生物試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、被験面上に存在する、肉眼で
は観察することのできない細菌などの微生物を観察する
には、一個の微生物からコロニを形成する微生物の培養
法が応用されている。すなわち寒天などで賦形した固形
の平板培地を被験面に押し当てることにより、被験面上
の微生物を寒天平板培地上に転写した後、そのまま微生
物を至適環境下で培養し、寒天平板培地上に生育したコ
ロニを肉眼で見定めながら計測する。例えば、日水製薬
(株)社が販売するアガースタンプを使用したフードス
タンプ法などがある。
【0003】また、微生物捕獲能力のある市販のメンブ
レンフィルタなどを用いるメンブレンフィルタ法は、被
験面を生理食塩水やリン酸緩衝液などを用いて十分拭き
取りながら集積することにより微生物を洗い出し、この
洗い出した集積水溶液をメンブレンフィルタなどでろ過
することによって、メンブレンフィルタ上に微生物を捕
獲し、集積した後、微生物と液体培地とを十分に接触さ
せてフィルタ上にコロニを形成させ、これを計測する方
法である。
【0004】さらに、医学検査、第41巻、第3号、p
352(1992)には、フィルム上に培地をコートし
たフィルムコート培地を作製し、これを被験面に接触さ
せた後、培養することにより、検出対象の微生物を採取
するフィルムコート法が培養法の例として報告されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フード
スタンプ法などでは、通常、一つの被験面に対して一度
しか使用できないので、寒天培地の含水率によって捕集
効率が変化し、再現性に劣るなど、微生物の捕集効率に
おいて不都合を来すことが多かった。また、培養法の共
通の課題として、微生物間のコンタミネーションが起こ
り、培地上での微生物間の相互作用により純粋培養がで
きないために、その後の同定判定に不都合を来すことが
多かった。加えて、培養法では当然のことながら、培地
で適度に生育しコロニを形成できる微生物が限定され、
通常の培地では培養できない微生物もあり、しかも生菌
のみの検出に限定されるという制約があり、検出もれが
起こるという大きな問題があった。そして重大な制約と
して、培養法では、1〜2日又はそれ以上の培養時間を
必要とするので、リアルタイムでの微生物検出モニタリ
ングが不可能なことが挙げられる。
【0006】また、メンブレンフィルタ法では、水溶液
などの液状の被験体であればそのままろ過できるが、水
溶液以外の非液状の被験体では、綿棒でのサンプリン
グ、洗い出し液の調製などを含め微生物の集積に多大な
労力がかかる。しかも、フィルタ上での培養により、コ
ロニを形成させてカウントするので、上記の培養法の欠
点をそのまま引き継ぐことになる。さらに、フィルムコ
ート法も培養法のひとつとしての諸欠点を有する。
【0007】最近では、微生物細胞内のATP(アデノ
シン三リン酸)を検出する技術も開発されているが、こ
れも水に分散した微生物に対象が限られており、やはり
集菌法がネックとなっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来法の
諸欠点を解消することを目的とするもので、さらに細菌
などの微生物の検出や計測において、リアルタイムでの
モニタリングを可能にすることを目的とするものであ
る。
【0009】本発明は、水溶性高分子を主成分としてな
る粘着層と、微生物を透過させない透水性膜とが積層さ
れた微生物試験用粘着性シートに関するものである。
【0010】本発明の微生物試験用粘着性シートにおけ
る粘着層は、粘着性を有するとともに、必要に応じ適度
な水分と平滑な表面構造を有する層である。該粘着層の
粘着剤は、被験面上の微生物を捕獲し、かつ剥離後の被
験面上に目視できる程度ののり残りが生じないものを使
用することが必要である。粘着層は、水溶性高分子を主
成分としてなり、全体として水溶性、好ましくは水に完
全に溶解する易溶性のものであり、なおかつ粘着層の成
分が透水性膜の孔を速やかに通過するものである。
【0011】全体として水溶性であるとは、粘着剤0.
5gが30mlの蒸留水に室温下25分以内に完全に溶
ける状態を言う。
【0012】また、本発明は、本発明の粘着性シートの
粘着層の表面(以下、粘着面ともいう。)と、被験面と
を接触させた後、発色性物質を含有する水溶液と、粘着
層の表面とを接触させる工程を有する微生物試験方法で
あり、被験面上に存在する微生物を検出し、あるいはそ
の数を計測することを目的とする。
【0013】本発明方法によれば、粘着面上に捕獲、集
積された微生物が発色性物質により発色するとともに、
粘着層の主成分である水溶性高分子が発色性物質を含有
する水溶液により溶解し、透水性膜を透過する。従っ
て、透水性膜上には、発色した微生物のみが定着し、肉
眼による目視判定又は顕微鏡もしくは光学器械を用いて
発色状態や発色量を観察することにより、細菌、真菌、
ウイルスなどの微生物の存在又はその数を知ることがで
きる。また、コロニ形成のための培養などの手順を必要
としないリアルタイムの微生物の試験方法を提供でき
る。しかもひとつの被験面の微生物試験の手順を本発明
の方法で行えば、必要ならば30分以内で観測、判定で
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の粘着性シートの一実施態
様を図1に示す。図1において、(1)は微生物試験用
粘着性シートであり、粘着層(2)が透水性膜(3)上
に積層されて構成されている。
【0015】粘着層(2)は水溶性高分子を主成分とす
るものである。水溶性高分子としては、寒天、カラゲニ
ン、アラビアゴム、ゼラチン、カルボキシメチルセルロ
ースなどの水溶性天然高分子、ビニルピロリドン、ビニ
ルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−メトキシエチルアクリレート、ビニルエーテル、アク
リル酸などの水溶性モノマを重合してなるポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメトキシエチル
アクリレート、ポリアクリル酸などの重合体、あるいは
これらの水溶性モノマの二種以上の共重合体であっても
よい。
【0016】より好ましい水溶性高分子として、アルコ
キシアルキルアクリレート及びN−ビニルラクタムから
なるアクリル系共重合体が挙げられる。
【0017】アクリル系共重合体のモノマ成分であるア
ルコキシアルキルアクリレートとしては、炭素数1〜4
のアルコキシ基と炭素数2〜4のアルキル基あるいはア
ルキレングリコール基とをもつアクリレートが好まし
い。具体的には、例えば2−メトキシエチルアクリレー
ト、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエ
チルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレー
ト、3−メトキシブチルアクリレート、3−エトキシプ
ロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレー
ト、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、2
−(2−エトキシエチル)エチルアクリレート、メトキ
シトリエチレンアクリレート、メトキシジプロピレング
リコールアクリレート等の、アルコキシアルキルアクリ
レート類やアルコキシアルキレングリコールアクリレー
ト類等が挙げられ、親水性が高いなどの点から、2−メ
トキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリ
レートが好ましい。
【0018】もう一方のモノマ成分であるN−ビニルラ
クタムとしては、5〜7員環のN−ビニルラクタムが使
用される。例えばN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビ
ニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタ
ムなどが挙げられるが、安全性、汎用性の面からN−ビ
ニル−2−ピロリドンが好ましい。
【0019】アルコキシアルキルアクリレートの配合割
合は、好ましくはアクリル系共重合体全体の60〜80
重量%であり、さらに好ましくは65〜75重量%であ
る。アルコキシアルキルアクリレートの配合割合が、6
0重量%未満になると、得られた粘着層は柔軟性が低く
なる場合がある。一方、80重量%を超えると、粘着層
は粘着性が亢進し、強度が低くなる場合がある。
【0020】また、N−ビニルラクタムの配合割合は、
好ましくはアクリル系共重合体全体の20〜40重量%
であり、さらに好ましくは25〜35重量%である。N
−ビニルラクタムの配合割合が、20重量%未満になる
と、得られた粘着層の強度及び吸水能力が低くなる場合
がある。一方、40重量%を超えると、得られた粘着層
の柔軟性が低く、アクリル系共重合体が水分に溶解して
流れが生じる場合がある。
【0021】上記の水溶性高分子は、水溶性を逸脱しな
い範囲であれば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル
等の炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アル
キルエステル等を共重合してもよい。
【0022】水溶性高分子の製造は、それぞれ自体既知
の方法で行うことができる。例えば、アクリル系共重合
体は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、光重
合などのいずれの共重合方法で製造してもよい。
【0023】さらに、適度な粘着性を付与するために、
上記の組成物中に可塑剤として親水性低分子物質などを
添加するのが好ましい。親水性低分子物質としては、高
沸点液状物質、潮解性無機塩類などが挙げられる。高沸
点液状物質としては沸点が100〜400℃、好ましく
は200〜350℃の化合物が好ましい。その具体例と
して、多価アルコール、糖アルコールなどが使用でき、
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、グリセリンなどが、糖アルコールとしては
ソルビトール、ソルビタンなどが使用できる。
【0024】グリセリンとエチレングリコールやプロピ
レングリコールとのエーテル型付加体であるポリオキシ
エチレングリセリルエーテルやポリオキシプロピレング
リセリルエーテルでもよい。またソルビトールやソルビ
タンとエチレングリコールやプロピレングリコールとの
エーテル型付加体であるポリオキシプロピレンソルビト
ールエーテルやポリオキシエチレンソルビタンエーテル
でもよい。
【0025】潮解性無機塩類としては、硝酸リチウム、
塩化リチウムなどが使用できる。これら親水性低分子物
質の使用量は、粘着層(2)を形成する粘着剤組成物の
約5〜90重量%である。
【0026】粘着層(2)中には、後述する発色性物質
が含有されていてもよく、これにより微生物試験の際
に、発色性物質を含有する溶液を調製し、粘着面に接触
させる必要がなくなる。
【0027】透水性膜(3)は、発色の際に、溶解した
水溶性高分子を透過するが、粘着層表面に付着した微生
物を透過しない膜である。そのような透水性膜として
は、パルプ濾紙、酢酸セルロース膜、ナイロン膜、ポリ
カーボネイト膜、ポリテトラフルオロエチレン膜、ガラ
スフィルタ、ニトロセルロース膜、ポリフッ化ビニリデ
ン膜、銀フィルタ、酢酸セルロース/硝酸セルロースブ
レンド膜、エチレン酢酸ビニル共重合体膜、エチレン酢
酸ビニル共重合体の加水分解物からなる膜、ポリエーテ
ルスルホン膜、ポリビニルアセタール膜、ポリスルホン
膜、再生セルロース膜、ポリアクリロニトリル膜、ポリ
エチレンフィルタ、ポリプロピレンフィルタなどが挙げ
られる。
【0028】透水性膜(3)の孔径は、一般的な微生物
を膜の表面に捕捉するために微生物よりも小さいことが
要求される。微生物の代表例としては、かびなどの真菌
類、細菌、ウイルスなどが挙げられ、捕捉すべき微生物
にもよるが、透水性膜(3)の孔径は10μm以下、好
ましくは4μm以下、より好ましくは2μm以下であ
る。一方、十分な水透過性を付与し、溶解した水溶性高
分子を通過させるには、透水性膜(3)の孔径は0.0
1μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好まし
くは0.1μm以上である。
【0029】また、捕捉した微生物を顕微鏡などで計数
するに際しては、透水性膜(3)の、粘着層積層側の表
面は20μm以下の平滑度(凹凸差)であることが好ま
しい。平滑度は、電子顕微鏡などで透水性膜(3)の断
面を観察して、膜表面における凸部の頂点から凹部の最
低点までの高度差を測定して求められる。平滑度が20
μm以下であれば、顕微鏡の焦点が合うので計数が容易
となる。
【0030】本発明の粘着性シートは、図2に示すよう
に、透水性膜(3)を支持するための支持体(4)がさ
らに積層されていてもよい。支持体(4)は、折り曲げ
に対して破壊しない十分な強度を持ち、粘着性シート
(1)として曲面や狭所表面にも自在に圧着適用できる
柔軟な材質であれば、特に限定されることはない。後述
するように、微生物試験後の粘着性シートをろ過フィル
タのファンネルに設置し、吸引ろ過する場合には、吸引
が容易となるように透水性の支持体が好ましい。透水性
の支持体としては、例えば、それ自身が透水性である
紙、織布、不織布や多孔質フィルムなど、あるいは非透
水性の紙、織布、不織布、多孔質フィルムなどに貫通孔
を設けて水透過性としたものが使用される。例えば、ポ
リエチレンラミネート加工紙、ポリプロピレンをラミネ
ート処理したレーヨン、ポリエステル、綿などの不織
布、サイジング処理した紙あるいは親水処理したフィル
ムを、粘着層形成後に穿孔ローラーなどで支持体側から
孔を空けるなどの手段で最終的に透水性にしたものが使
用される。
【0031】本発明の粘着性シート(1)は、自体既知
の方法で製造される。例えば、水溶性高分子と親水性低
分子物質とを含有する水溶液を支持体上に塗布し、10
℃〜200℃で乾燥させることによって製造される。
【0032】特に、水溶性高分子がアクリル系共重合体
である場合は、優れた熱可塑性を有するために、押出し
成形によりシート状に加工することができる。この押出
し成形は、インフレーション成形、Tダイ成形、ラミネ
ーション成形などの一般に知られるあらゆる方法を用い
ることができる。尚、押出し機は単軸押出し機及び二軸
押出し機のいずれを用いてもよい。成形温度、ダイリッ
プ幅、押出し速度、引取り速度などの成形条件を適宜に
制御することにより、フィルムあるいはシートの厚みを
調節することができる。この場合、成形温度は140℃
以上180℃以下が好ましく、さらに好ましくは150
℃以上170℃以下である。
【0033】また、このフィルム及びシートの成形法と
して、カレンダー法、キャスティング法などの方法を用
いることもできる。かくして得られたフィルム及びシー
トは任意の形状に裁断して、粘着性シート(1)として
使用することができる。
【0034】本発明の粘着性シート(1)を用いて微生
物試験を行う方法について説明する。ここで試験対象と
なる微生物には、細菌や放線菌などの原核微生物、酵母
やかびなどの真菌類、下等藻類、ウイルス、動植物の培
養細胞などが含まれる。
【0035】例えば、本発明の粘着性シート(1)が巻
かれたローラを床、壁などの被験体に圧着して、被験面
上に付着している微生物をローラ上に効率的に転写、捕
集する。比較的微生物の少ないと考えられる被験面を圧
着する場合は、粘着性シート(1)の同一粘着面で複数
回圧着しても良い。本発明方法の大きな効果の一つは、
アガースタンプ法のように培養を伴わないで、コロニの
コンタミネーションも心配なく、培養時における菌相の
変化を懸念することなく、従って多重に微生物を集積で
きることである。これにより、メンブレンフィルタ法に
おいて、水に分散した微生物を濃縮するように、圧着回
数を増やすことにより、多くの微生物を捕集することが
できることになる。
【0036】微生物が付着した粘着性シート(1)を必
要に応じて所定の大きさに切断し、粘着性シート(1)
をろ過フィルタのファンネルに設置し、発色性物質を含
有する水溶液を満たし、数分間保持し、吸引ろ過する。
余剰の発色性物質を無菌水などの水で洗い流して透水性
膜(3)上に発色された微生物のみを残す。なお、粘着
層(2)中に予め発色性物質が含有されている場合に
は、ろ過時に無菌水などの水で洗い流すだけでよい。こ
れを顕微鏡観察することにより、特に発色性物質が蛍光
染料の場合には、励起光下で顕微鏡観察することによ
り、検出機能が付与され、微生物数を直接カウントする
ことができる。本発明方法によれば、培養操作を要さな
いので、数分以内に微生物を検出できる。
【0037】本発明に用いられる発色性物質は、検査対
象である微生物に含まれる細胞成分と作用して発色する
ものであれば特に限定されないが、その代表的なものと
して、核酸やタンパク質を染色する蛍光染色液が挙げら
れる。さらに具体的な発色性染料としては、微生物一般
を対象とする場合は、蛍光性核酸塩基類似体、核酸を染
色する蛍光染色剤、タンパク質を染色する染色液、タン
パク質などの構造解析に用いられる環境性蛍光プロー
ブ、細胞膜や膜電位の解析に用いられる染色液、蛍光抗
体の標識に用いられる染色液などが、好気性細菌を対象
とする場合は、細胞の呼吸によって発色する染色液など
が、真核微生物を対象とする場合は、ミトコンドリアを
染色する染色液、ゴルジ装置を染色する染色液、小胞体
を染色する染色液、細胞内エステラーゼと反応する染色
液及びその修飾化合物などが、高等動物細胞を対象とす
る場合は、骨組織の観察に用いられる染色液、神経細胞
トレーサである染色液などが挙げられ、これらは蛍光顕
微鏡で観察することができる。
【0038】これらの発色性物質の種類を選択すること
によって、全ての微生物を検出する全菌数測定、呼吸活
性を持つ微生物のみを染色し計数する検定、エステラー
ゼ活性を持つ微生物のみを染色し計数する検定、又は複
数の発色性物質を組み合わせた二重染色法を用いること
による特定の属や種の微生物を染色し計数する検定な
ど、幅広い分野への適用が可能である。
【0039】微生物の検出又は計測は、肉眼による目視
判定により、あるいは光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、レーザ
ー顕微鏡などの顕微鏡もしくは他の適当な光学器械を用
いて光学的画像を形成させ、この画像を統計的手法で解
析することにより、行うことができる。他の光学器械と
しては、微生物をレーザー光で高速スキャニングし、個
々の微生物から得られたシグナルをグラフィカル表示す
るレーザースキャニングサイトメータが例示される。本
発明方法は、培養操作を要さないので、実質的に粘着性
シート(1)の粘着面上の微生物は、数分〜数十分以内
に検出できる。
【0040】本発明の粘着性シートの応用の一例とし
て、粘着面を被験面に貼付して、被験面上に存在する微
生物を転写し、前培養なしで微生物を染色し、微生物を
シングルセルのまま観察できるので、被験体の清浄度を
迅速に測定する環境調査用などに利用できる。さらにシ
ングルセルレベルでの回収であるので、粘着性シートを
被験面に複数回圧着して微生物を集積し、濃縮すること
も可能であり実用的である。応用分野として、医療、食
品などの現場での環境の微生物検査などに適用できる。
【0041】
【実施例】次に実施例を示して本発明をさらに具体的に
説明する。 〔実施例1〕アクリル酸60重量部、アクリル酸2−メ
トキシエチル100重量部、アクリル酸ブチル40重量
部、過酸化ベンゾイル0.6重量部、トルエン240重
量部、及びイソプロピルアルコール60重量部を、攪拌
機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス吹き込みノズルを
備えた1L容量のフラスコ中で窒素気流下、59℃〜6
2℃で12時間重合した。得られた反応液100重量部
にイソプロピルアルコール37.5重量部及び水25重
量部を添加した後、水20重量部に水酸化ナトリウム
5.33重量部を溶解させた水溶液を徐々に滴下し、得
られた溶液を剥離紙上に塗工し、これを乾燥させる方式
で厚さが50μmの粘着性シートを得た。
【0042】該粘着性シートを平均孔径0.45μmの
酢酸セルロース膜上に積層した。得られた粘着性シート
の剥離紙を剥がした後、粘着性シートでベッドシーツの
同一面を5回圧着し、微生物を採取した。
【0043】該粘着性シートを粘着面を上にしてファン
ネルにセットし、1ppmの4,6−ジアミノ−2−フ
ェニル−インドール水溶液(染色液)3mlを添加し、
3分間保持して吸引ろ過した。
【0044】粘着性シートの粘着剤は染色液により溶解
するので、染色された微生物のみが酢酸セルロース膜上
に捕獲、集積される。これをそのまま蛍光顕微鏡により
観察し、染色された微生物を計数したところ、3×10
4 個/cm2 の微生物が観察された。
【0045】〔実施例2〕ポリオキシプロピレングリセ
リルエーテル(三洋化成社製、サンニックスSP−75
0)50重量部と、過硫酸カリウム1重量部とを水30
0重量部に溶解し、これにアクリル酸100重量部を加
えて、攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス吹き込
みノズルを備えた1L容量のフラスコに仕込んだ。次い
で、窒素気流中60℃に保持し、攪拌しながら8時間重
合反応を行った。得られた反応液100重量部に、水酸
化カリウム2.1重量部を水20重量部に溶解した水溶
液と、55重量部のサンニックスSP−750とを配合
した。
【0046】得られた溶液を厚さ80μmのポリエステ
ルフィルム上に塗工し、これを乾燥させる方式で厚さが
30μmの粘着性シートを得た。
【0047】該粘着性シートを平均孔径0.45μmの
ポリカーボネートフィルタ上に積層した。得られた粘着
性シートのポリエステルフィルムを剥がした後、粘着性
シートで合成樹脂製床の異なる表面を10回圧着し、微
生物を採取した。
【0048】該粘着性シートを粘着面を上にしてファン
ネルにセットし、1ppmの5−シアノ−2,3−ジト
リル−テトラゾリウムクロライド水溶液(染色液)3m
lを添加し、3分間保持して吸引ろ過した。
【0049】粘着性シートの粘着剤は染色液により溶解
するので、染色された微生物のみがポリカーボネートフ
ィルタ上に捕獲、集積される。これをそのまま蛍光顕微
鏡により観察し、染色された微生物を計数したところ、
5×105 個/cm2 の微生物が観察された。
【0050】〔実施例3〕攪拌機付き密閉型反応器に2
−メトキシエチルアクリレート70重量部、N−ビニル
−2−ピロリドン30重量部、重合開始剤としてアゾイ
ソブチロニトリル0.175重量部及び蒸留水:メタノ
ール:イソプロパノール混合溶剤(重量比16:23:
1)250重量部を仕込み、反応器内を窒素置換した
後、反応器内の温度を60℃〜62℃に維持しながら5
時間重合反応を行った。これを室温まで冷却して、アク
リル系共重合体の溶液を得た。
【0051】これにポリオキシプロピレングリセリルエ
ーテル(平均分子量400)20重量部を添加した。さ
らにこの溶液に4,6−ジアミノ−2−フェニル−イン
ドール水溶液(染色液)を添加して最終濃度が1ppm
になるように調製した。
【0052】このアクリル系共重合体を含む溶液を剥離
紙上に一定の塗布厚みで塗布した後、130℃で5分間
乾燥させることにより、厚さが50μmの粘着性シート
を得た。この粘着シートの粘着層上に、孔径が0.2μ
m、厚さが10μmのポリカーボネートフィルタを積層
した。さらに、孔径が20μm、厚さが200μmの補
強用の濾紙をポリカーボネートフィルタ上に積層して、
本発明の粘着性シートを得た。
【0053】硬質塩化ビニル板の上に1.6×108
/cm2 の大腸菌(E.coli)の懸濁液を10μL
塗布乾燥させた面に、複数の該粘着性シートの粘着面を
回数を変化させて圧着し、微生物を採取した。各々の粘
着性シートを粘着面を上にしてファンネルにセットし、
無菌水を添加し、3分間保持して吸引ろ過した。
【0054】粘着性シートの粘着剤は無菌水により溶解
するので、染色された微生物のみがポリカーボネートフ
ィルタ上に捕獲、集積される。補強用の濾紙を剥離した
該フィルタをそのまま蛍光顕微鏡により観察し、染色さ
れた微生物を計数したところ、表1の結果を得た。
【0055】
【表1】
【0056】〔実施例4〕実施例3と同様にして得たポ
リオキシプロピレングリコールグリセリルエーテル添加
アクリル系重合体溶液に、4,6−ジアミノ−2−フェ
ニル−インドール水溶液および6−カルボキシフルオレ
センジアセテート水溶液をさらに添加し、最終濃度がそ
れぞれ1ppm、150ppmとなるように調整した。
【0057】この溶液を用いて、乾燥条件を40℃、1
時間としたこと以外は、実施例3と同様の操作により、
粘着層の厚さが30μmの粘着性シートを得た。
【0058】この粘着シートの剥離紙を剥がし、その粘
着面をヒトの手に3回圧着させ、微生物を採取した。こ
の粘着面を上にしてファンネルにセットし、10mMの
EDTAナトリウム塩を含む無菌の0.1Mリン酸緩衝
液(pH8.5)を添加し、3分間保持した後吸引濾過
した。
【0059】粘着シートの粘着剤は無菌緩衝液に溶解す
るので、2種の染色剤で染色された微生物のみが、ポリ
カーボネートフィルタ上に捕獲、集積される。補強用の
濾紙を剥離したフィルタをそのまま蛍光顕微鏡により観
察した。2種の染色剤は染色操作が異なり、4,6−ジ
アミノ−2−フェニル−インドール水溶液の核酸染色は
死菌も含む全菌を蛍光染色するが、6−カルボキシフル
オレセンジアセテートはエステラーゼ活性菌のみを蛍光
染色する。また、それぞれ蛍光色が異なるので容易に区
別できる。それぞれを同じサンプルで観察した結果、全
菌数;4×10 5 個/cm2 、エステラーゼ活性菌;3
×104 個/cm2 の微生物が観察された。
【0060】
【発明の効果】本発明の微生物試験用粘着性シートは、
水溶性の粘着層と微生物を透過させない透水性膜とが積
層されており、粘着層により微生物捕捉機能を有する。
【0061】本発明の微生物試験方法によれば、粘着層
に捕捉された微生物は発色性物質と反応する。一方、余
剰の粘着剤、発色性物質、水などは微生物非透過性の透
水性膜を透過し、発色された微生物のみが透水性膜上に
定着する。これを蛍光顕微鏡などで直接に微生物を計数
することができる。本発明の微生物試験方法は、微生物
培養を伴わずに、リアルタイムでのモニタリングが可能
であり、検出対象が生菌のみに限定されない。また、粘
着性シートを被験面に接触させるだけで、微生物を集積
することができるので、操作も簡便である。発色性物質
を適宜選択することにより、特定の微生物のみを検出、
計数できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着性シートの一実施態様を示す横断
面図である。
【図2】本発明の粘着性シートの他の実施態様を示す横
断面図である。
【符号の説明】
1 粘着性シート 2 粘着層 3 透水性膜 4 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉井 哲次 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 那須 正夫 大阪市都島区都島本通3丁目15番19号 (72)発明者 山口 進康 大阪市生野区舎利寺3丁目3番19号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性高分子を主成分としてなる粘着層
    と、微生物を透過させない透水性膜とが積層された微生
    物試験用粘着性シート。
  2. 【請求項2】 透水性膜が透水性支持体によって支持さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の粘着性シート。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子が水に対して易溶性であ
    り、水に溶解した状態で透水性膜を透過することを特徴
    とする請求項1又は2に記載の粘着性シート。
  4. 【請求項4】 透水性膜の、粘着層積層側の表面の平滑
    度が20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の粘着性シート。
  5. 【請求項5】 粘着層中に発色性物質を含有することを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着性シー
    ト。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性
    シートの粘着層の表面と、被験体の表面とを接触させた
    後、発色性物質を含有する水溶液と、粘着層の表面とを
    接触させる工程を有する微生物試験方法。
  7. 【請求項7】 発色性物質が蛍光染料であることを特徴
    とする請求項6に記載の方法。
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