JP2005060626A - 架橋高分子薄膜およびその形成方法 - Google Patents

架橋高分子薄膜およびその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 四面体構造を有するテトラアセチレン誘導体の単独重合体、つまり該構造を含む新規な三次元架橋高分子、およびその薄膜と製造方法を提供し、かかる高分子薄膜を用い、低誘電率と機械強度を両立した新規な低誘電率材料を提供する。
【解決手段】 式(1)で示される化合物の三次元架橋反応で得られる高分子化合物とする。
Figure 2005060626

Xは炭素数1〜10の4価有機基、またはケイ素原子であり;Yは独立して水素原子、または炭素数1〜10の1価有機基;nは独立して0または正の整数である。
【効果】機械的強度や耐熱性に優れた層間絶縁膜や液晶配向膜などの機能性薄膜が、一種類のモノマーから容易に薄膜を製造できた。
【選択図】なし

Description

本発明は、剛直な架橋構造を有する高分子薄膜に関するものである。さらに、本発明は不溶化の心配がない簡便な操作で、本発明の架橋高分子化合物、およびその薄膜を製造する方法に関するものである。
また、本発明の高分子薄膜は、エレクトロニクス分野、特に大規模集積回路(LSI)の層間絶縁膜、パッシベーション膜、液晶ディスプレーの配向膜などに用いられる。
近年、エレクトロニクスの加速度的進歩に伴い、LSIの微細化、高速化が一層求められている。しかし、単純に配線を微細化するだけでは、配線遅延の増大による電送速度低下を招き、結果的に高速化が不可能になる。そこで、処理速度を低下させることなく配線を微細化するには、層間絶縁膜の誘電率を低くすることが必須条件であり、より低誘電率を目指した新材料の提案が相次いでいる。
現在使用(開発)されている低誘電率層間絶縁膜材料は、二酸化ケイ素をフッ素や有機成分で変性したシリカ系材料と、純粋な有機高分子材料に大別できる。現在、後者の中で最も有力視されているのは、特許文献1で開示されているポリフェニレン類である。これは、ビスアセチレンとビスシクロペンタジエノン誘導体のデイールス・アルダ一(Diels-Alder)反応によって合成され、低誘電率、高強度、高耐熱性を示すが、ジエン化合物と親ジエン化合物2種類のモノマーが最低必要なため、原料製造工程も含めると合成が容易とは言い難い。
また、シリカ系、有機高分子系を問わず問題となっているのが、低誘電率化と機械強度の両立である。つまり、誘電率を下げるには空気の誘電率(1.0)を利用し、何らかの形で材料内に空孔を導入する手法が広く用いられている。しかし、材料中へランダムに空孔を分散させてしまうと、空孔率の増加に伴い確かに誘電率は低下するが、同時に材料の低密度化によって機械強度も低下してしまうという問題があった。
これを解決するため、空孔のサイズと材料の形状をナノメートルレベルで制御することにより、機械強度と低誘電率を両立させようとする試みがいくつか行われている。例えば、疑似ダイヤモンド構造を有する三次元有機高分子の構成単位間に、分子レベルのナノ空孔を規則的に形成することで、極限的な低誘電率化と高強度化が可能であるとの提案が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、テトラアミノアダマンタンを用いた正四面体ポリイミド、およびアダマンタンテトラカルボン酸を用いた正四面体ポリアゾール類が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これも二種類の架橋分子間の重合を必要とし、また、ポリフェニレン類については全く開示されていない。
正四面体構造を有する架橋高分子の合成、すなわち、アダマンタン骨格を中心部に有するテトラアセチレン誘導体を結晶状態で加熱し、三量環化反応(cyclotrimerization)を主とする架橋反応により重合体を合成できることが開示されている(例えば、非特許文献2参照)。しかし、このポリマーは粉末状態で得られたのみで、製膜の可否についての記載は全くない。また、分子中心部の四面体構造がアダマンタン骨格以外の材料系については一切開示されていない。
また、鎖状高分子と正四面体構造を有するテトラアセチレン誘導体を混合、加熱する事により、鎖状高分子と架橋高分子の混合系で構成された高分子ネットワーク、それを用いた低誘電率材料が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これも複数の材料を混合する必要があるので、製造工程が煩雑な事には変わりがない。さらに、混合する鎖状高分子が比較的誘電率の高いポリアリーレン等、または誘電率、吸水性共に高いポリイミド等であるため、架橋高分子単独の特性を発揮できているとは考え難い。
特開2000−191752公報 電子情報通信学会技術研究報告,SDM2000−194(2001) 特開2001−332543公報 レイチャートら、マクロモレキュールス(Macromolecules),27巻,1994年,7030頁 国際公開第02/06366号パンフレット ガロッピーニら、ケミカル・コミュニケーション(Chem. Commun),1999年,713頁
本発明の目的は、四面体構造を有するテトラアセチレン誘導体の単独重合体、つまり該構造を含む新規な三次元架橋高分子、およびその薄膜と製造方法を提供することである。
また、かかる高分子薄膜を用い、低誘電率と機械強度を両立した新規な低誘電率材料を提供することである。
本発明者らは、モノマーを部分的に重合させる事により不溶化を防止し、得られたオリゴマー溶液を塗布焼成して重合を完結させるという観点から鋭意研究した。その結果、テトラアセチレン誘導体を適切な温度で一定時間加熱処理したものは、不溶物の析出や溶液自体のゲル化、または原料の再結晶化がなく、さらに基板に塗布して溶媒を蒸発させても粉末の析出が起きない事を見出した。続いて、本溶液を塗布焼成する事により、正四面体構造を含む新規な架橋高分子薄膜を単一のモノマーから容易に合成できる事を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の架橋高分子薄膜は、そのモノマーとなるテトラアセチレン誘導体を、必要ならば溶媒に溶解させ溶液とし、加熱して三重結合の一部を環化付加させ、得られた溶液を基板に塗布後焼成し、固相で三次元架橋反応を完結させる。すなわち、二段階合成法を用いる事を特徴とする。
本発明の構成は以下の通りである。
(1) 式(1)で示される化合物の三次元架橋反応で得られる高分子化合物。
Figure 2005060626
(式(1)において、Xは炭素数1〜10の4価有機基、またはケイ素原子であり;Yは独立して水素原子または炭素数1〜10の1価有機基であり;nは独立して0または正の整数である。)
(2) 式(1)中のXが炭素原子である事を特徴とする、(1)記載の高分子化合物。
(3) 式(1)中のXがケイ素原子である事を特徴とする、(1)記載の高分子化合物。
(4) (1)〜(3)のいずれか1項に記載の高分子化合物からなる薄膜。
(5) (4)記載の薄膜を用いる事を特徴とする絶縁膜。
(6) (4)記載の薄膜を用いる事を特徴とする保護膜。
(7) (4)記載の薄膜を用いる事を特徴とする液晶配向膜。
(8) 式(1)で示される化合物、または式(1)で示される化合物を溶媒に溶解させた溶液を、加熱し、加熱後の化合物または溶液を基板に塗布後、焼成して得ることを特徴とする、(4)記載の薄膜形成方法。
(9) (5)記載の絶縁膜を用いる事を特徴とする電気的固体装置。
(10) (7)記載の液晶配向膜を用いる事を特徴とする液晶表示素子。
本発明の架橋高分子化合物は、従来のポリフェニレン類と同様に炭化水素で構成され、余計なヘテロ元素を含まないことから低誘電率を保持している。さらに、正四面体構造と剛直な架橋部位で構成されるため、従来のポリフェニレン類に比べて機械的強度や耐熱性に優れており、層間絶縁膜や液晶配向膜などの機能性薄膜として有用である。また、ポリフェニレン類に比べて煩雑な製造工程が不要、すなわち一種類のモノマーから容易に薄膜を製造できるため、工業的にも有利な材料である。
本発明の高分子化合物は、正四面体構造を有するテトラアセチレン誘導体の三次元架橋反応によって得られる。その代表的な反応例を以下に示す。
Figure 2005060626
これらの反応により強固な架橋網目構造が形成されるため、溶液中で重合を完結させてしまうと不溶化したポリマーが析出したり、反応液自体がゲル化したりする恐れがある。一方、全く未反応のモノマー溶液を基板に塗布しても、溶媒の蒸発に伴い結晶が析出する。その状態で固相重合させると、前述の非特許文献2に記載の通り粉末状の架橋高分子化合物は得られるが、製膜や加工が不可能となる恐れがある。従って、適切な条件下で架橋反応をある程度進行させておけば、取扱いの容易なワニス状態を経由して、薄膜等の多様な形態でポリマーを得ることが可能である。
この様にして得られたワニスは、ガラス板、銅板、アルミニウム板、またはシリコンウエハなどの基板上に塗布した後、溶媒沸点以下の温度で短時間加熱して溶媒を蒸発させる。しかる後に、基板上に残った膜状のオリゴマーを加熱焼成すると架橋反応が完結し、本発明の高分子薄膜が得られる。
本発明の架橋高分子化合物において、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体のXで示される部分は、炭素数1〜10の4価有機基、もしくはケイ素原子である。4価有機基に特別の限定条件はないが、具体的には炭素原子、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基、アダマンタンテトライル基を挙げることができる。
また、結合基の位置は任意である。例えば、エタンテトライル基の場合、1,1,2,2−エタンテトライルと1,1,1,2−エタンテトライルのどちらでもよい。ベンゼンテトライル基は、1,2,3,4−ベンゼンテトライル、1,2,3,5−4−ベンゼンテトライル、および1,2,4,5−ベンゼンテトイルのいずれでもよい。
これらの中で、本発明の架橋高分子化合物およびその薄膜に使用できる4価有機基としては、正四面体構造を取り得る炭素原子とアダマンタンテトライルが好ましく、炭素原子がより好ましい。また、ケイ素原子も好ましい構造である。これらの化合物は単独で重合させても、2種以上の化合物を併用してもよい。
本発明の架橋高分子化合物において、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体のYで示される部分は、水素原子または、炭素数1〜10の1価有機基である。式(1)の化合物には、4つのYが存在するが、それぞれ独立である。
Yに使用される1価有機基に特別の限定条件はないが、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、へプチル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基を挙げることができる。また、これらの基の炭素をケイ素で置き換えた基、例えばトリアルキルシリル基でもよい。トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。
これらの中でYとして好ましいのは、水素原子、フェニル基、トリメチルシリル基であり、さらに好ましくは水素原子、もしくはフェニル基である。これらの化合物は単独で重合させても、2種以上の化合物を併用してもよい。
式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体のnは、0または正の整数であり、好ましくは、1、2または3である。4つのnは、独立であるが、同一であることが好ましい。さらに好ましくは、全てのnが1である化合物である。
本発明の架橋高分子化合物において、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体は、通常の有機合成的手法によって容易に合成できる。具体的には、式(1)においてX=炭素原子、全てのY=水素原子、全てのn=1の場合である、テトラキス(4−エチニルフェニル)メタンの合成は、非特許文献3に準拠して行えばよい。
本発明の架橋高分子化合物において、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体を加熱してオリゴマー溶液を製造する場合、その温度は基質によって異なるが150℃以上である事が好ましい。さらに好ましくは150〜450℃であり、最も好ましくは180〜370℃である。
本発明の架橋高分子化合物において、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体を溶液状態で加熱してオリゴマー溶液を製造する場合、その加熱時間は基質によって異なるが180分以下である事が好ましい。さらに好ましくは30〜120分であり、最も好ましくは45〜90分である。
本発明の架橋高分子化合物において、前駆体であるオリゴマーを製造する際には、反応のしやすさ、扱いのしやすさ、および得られる膜の平滑さから、好ましくは溶媒を用いる。この溶媒は、式(1)で示されるテトラアセチレン誘導体をオリゴマー製造温度にて溶解可能であれば特に限定されないが、前述の好ましい反応温度よりも著しく低沸点の溶媒は適さない。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、スルホラン、γ−ブチロラクトンなどが好ましく、さらに好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドである。これらの溶媒は、単独で用いても複数混合して使用してもよい。
さらに必要により、塗布性改善などの目的で表面張力の低い他の溶媒を併用しても良い。具体的には乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノ−ル、テトラリン、イソホロン、エチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、ジエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルなど)、エチレングリコ−ルモノアルキルまたはフェニルアセテ−ト、トリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノアルキルエ−テル(プロピレングリコ−ルモノブチルエ−テルなど)、マロン酸ジアルキル(マロン酸ジエチルなど)、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどの例を挙げることができる。これらの溶媒は、先の良溶媒に対して貧溶媒的なものが多い。従って、溶解成分が析出しない程度の量を添加することが好ましい。
さらに、塗布性を改良する等の目的で用いられる界面活性剤や帯電防止の目的等で用いられる帯電防止剤を添加することも可能である。あるいは、さらに基板との密着性を向上させるために、シランカップリング剤やチタン系のカップリング剤を配合することも可能である。
好ましいシランカップリング剤として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
これらの溶媒で溶解されたオリゴマー溶液を、層間絶縁膜を形成させる基板へ塗布する方法としては、通常使用されている方法が使用可能である。例えば、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法などが使用できる。通常、オリゴマー製造温度から冷却させることもなく、塗布する。
また、これらの溶液を塗布した後の溶媒の乾燥に要する加熱処理などにおいても、通常の層間絶縁膜で使用している手法と同様な方法で実施することが可能である。例えば、オ−ブン、ホットプレ−ト、赤外炉中などが使用できる。溶液を塗布した後は、比較的低温で溶媒を蒸発させた後、200〜500℃程度の温度で、好ましくは250〜400℃で加熱処理することが好ましい。加熱温度は一定でも段階的に昇温しても良い。加熱時間は基質によって異なるが、30〜180分程度が好ましく、さらに好ましくは約60〜120分である。
本加熱処理において起こる三次元架橋反応は、前述の非特許文献2および後述する実施例によると、主に三量環化反応(cyclotrimerization)である。しかし、基質や加熱条件によって、副反応的にその他の架橋反応が起こる可能性があるが、最終的に三次元架橋体が生成すれば特に問題はない。その他の反応例を具体的に挙げると、ビラジカルカップリング、Glaserカップリング、Strausカップリング等がこれまで報告されている。
また、本加熱処理においては空気中、窒素雰囲気もしくは減圧条件下のいずれで行っても良い。なお、Yが水素原子の場合、空気中で加熱すると三重結合の一部が空気酸化されてカルボン酸誘導体を生じる事がある。しかし、それが問題とならない用途に用いる場合は空気中で加熱しても良く、酸化を抑制したい場合は窒素雰囲気か減圧下で加熱することが好ましい。空気中で加熱した場合の反応例を下記に示す。
Figure 2005060626
本発明のパッシベーション膜は、凹凸面を持った物体をコーティングすることにより、その表面を平坦にさせる膜のことである。
本発明の液晶配向膜は、液晶表示素子内部において液晶分子の一軸配向性と、界面におけるプレチルト角を発現させる機能を有する膜の事である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例で得られた化合物の物性は以下の方法で測定した。
赤外吸収スペクトル(IR):日本分光株式会社製FT/IR−7000型を用い、室温でKBr法にて測定した。
プロトンNMRスペクトル(1H−NMR):日本電子株式会社製EX−90Aを使用し、90MHzで溶媒にクロロホルム−dを用い、内部標準物質にテトラメチルシランを用いて室温で測定した。
熱分解温度:セイコー電子工業社製、TG/DTA−220型を用い、空気中で毎分10℃の昇温速度で測定し、5%重量減少を示した点を分解温度とした。
誘電率:ヒューレットパッカード社製、4263B型LCRメーターを用い、1KHzでの電気容量と別途測定した膜厚から算出した。
弾性率:島津製作所製、DUH−W201S型ダイナミック超微小硬度計を用いて測定した。
[1]テトラキス(4−エチニルフェニル)メタン(式(1)において、X=炭素原子、全てのY=水素原子、全てのn=1)の合成;
前述の非特許文献3記載に準拠し、テトラキス(4−エチニルフェニル)メタン(化合物4)を合成した。
以下、工程毎に詳細な説明を行う。
Figure 2005060626
[1]−(1) テトラフェニルメタン(化合物1)の合成;
温度計、冷却管、撹拌装置を付けた500mlの三ツ口フラスコに、トリフェニルクロロメタン28.0g(0.10mol)とアニリン25ml(0.27mol)をとり、素早く220℃へ昇温した。反応液が結晶化し始めたら直ちに加熱を停止し、激しく撹拌した。反応液を約100℃まで冷却し、希塩酸(2mol/L)120mlとメタノール100mlを順次加え、還流下で30分間激しく撹拌した。室温に戻して析出物をろ集し、メタノールと純水で洗浄した。粗結晶を減圧乾燥して、アニリンが縮合した中間体を得た。この化合物はこれ以上精製せず、直ちに次の反応に用いた。
温度計、冷却管、撹拌装置を付けた1Lの三ツ口フラスコに、粗結晶とジメチルホルムアミド(DMF)250mlをとり、懸濁液を10℃で撹拌した。ここに濃硫酸30mlを少しずつ加え、10℃以下で撹拌下亜硝酸イソペンチル20ml(0.15mol)を一度に加えた。その状態で1時間撹拌後、50%次亜リン酸溶液50mlを滴下した。窒素の発生がおさまったら、50℃で1時間撹拌した。撹拌後室温に戻し、析出物をろ集した。純水で洗浄後減圧乾燥し、DMF250mlで再結晶して化合物1の茶色針状結晶を19g得た。
[1]−(2) テトラキス(4−ブロモフェニル)メタン(化合物2)の合成;
温度計、撹拌装置、ガス排気管を付けた300ml三ツ口フラスコに、(1)で合成した化合物12.3g(0.038mol)と鉄粉2.55g、および四塩化炭素100mlをとり、臭素29g(0.18mol)を加えて室温下12時間撹拌した。反応液を大量の水に加えて析出物をろ集し、得られた固体を減圧乾燥した。粗結晶をDMFで再結晶し、鉄粉は熱時ろ過で除去して微黄色結晶の化合物2を15.8g(収率65.5%)を得た。
この化合物のNMRスペクトルは文献値と一致した。ケミカルシフトは、δ6.95、7.05、7.37,7.45(AA’BB’、16H)であった。
[1]−(3) テトラキス(4−トリメチルシリルエチニルフェニル)メタン(化合物3)の合成;
温度計、撹拌装置、冷却管、窒素導入管を付けた500ml三ツ口フラスコに、前記[1]−(2)で得られた化合物2を8.0g(12.0mmol)、臭化銅(I)0.10gをとり、乾燥トリエチルアミン140mlと乾燥ベンゼン40mlの混合溶媒に溶解した。この溶液にトリメチルシリルアセチレン10ml(70.0mmol)と、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.50gを加え、窒素雰囲気下18時間加熱還流した。反応終了後溶媒を減圧下で留去し、残査に10%塩酸を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去して、得られた黒色粗結晶をシリカゲルカラム(トルエン/n−ヘキサン)で精製した。得られた黄色結晶をトルエンで再結晶し、淡黄色結晶の化合物3を7.2g得た(収率81%)。
この化合物のNMRスペクトルは文献値と一致した。ケミカルシフトは、δ0.21(s、36H)、6.97、7.06、7.27、7.37(AA’BB’、16H)であった。
[1]−(4) テトラキス(4−エチニルフェニル)メタン(化合物4)の合成;
前記[1]−(3)の合成によって得られた、テトラキス(4−トリメチルシリルエチニルフェニル)メタン6.50g(9.0mmol)をベンゼン100mlとアセトニトリル200mlの混合溶媒に溶かし、テトラブチルアンモニウムフロリド12.0g(40.0mmol)を加えて室温下2時間撹拌した。反応液を大量の水中に加えトルエンで2回抽出した。有機層を水洗し、乾燥剤で乾燥後溶媒を留去して白色固体を得た。この固体をトルエンで再結晶して、針状の無色結晶3.2gを得た(収率85%)。この化合物のIRスペクトルを図1に示す。また、この化合物のNMRスペクトルは文献値と良く一致した。ケミカルシフトは、δ3.06(s、4H)、7.07、7.15、7.34、7.43(AA’BB’、16H)であった。
[2] 架橋高分子薄膜の製造;
冷却管を付けた30mlナスフラスコに、実施例[1]−(4)で合成した化合物4を1.0gとり、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)4.0gに溶かして窒素気流下170℃、1時間撹拌した。この溶液を室温に戻し、シクロヘキサノン1.66gを加え、0.2μmのメンブランフィルターでろ過して濃度15重量%のオリゴマー溶液を得た。この溶液をスピンナー法でガラス基板に塗布し、100℃のホットプレート上で3分間加熱した。続いて窒素雰囲気下250℃で1時間、300℃で30分間焼成し、膜厚720nmの均一な燈色薄膜が得られた。
薄膜を基板から一部削り落とし、IRスペクトルを測定したところ、三重結合の吸収(3300、2100、700cm-1付近)が消滅し、約1600cm−1に三置換ベンゼンを示す弱い吸収が確認された。このIRスペクトルを図2に示す。また、薄膜を削って得た粉末の熱分解温度は453.3℃であった。さらに、薄膜の弾性率を測定したところ9.4GPaの高い値を示した。
[3] 誘電率測定
基板を4インチシリコンウエハ(三菱住友シリコン(株)製、比抵抗0.02Ω以下、N型)に変える以外は、実施例[2]と同一操作で厚さ720nmの薄膜を形成した。この薄膜表面にマスクを介してアルミニウムを真空蒸着し、直径5mmの電極を作成した。続いて、LCRメーターで電気容量を測定したところ701.65pF(1KHz)であり、以上の結果から誘電率を算出すると2.96であった。
(比較例1)
化合物4を0.40gサンプルビンにとり、NMP1.60gに室温で溶解した。この溶液を実施例[2]と同様にシクロヘキサノンで濃度15%に希釈後シリコンウエハに塗布し、100℃のホットプレート上で3分間加熱したところ、原料が固体のまま析出し薄膜を得ることはできなかった。固体状態のまま実施例[2]と同一条件で加熱した結果、粉末状の架橋高分子が得られた。この化合物は不溶不融であり、再溶解して塗布製膜は不可能であった。
(比較例2)
冷却管付きのナスフラスコに化合物4を0.40gとり、NMP1.60gに溶かして窒素気流下加熱還流した。約4時間後、反応液から多量の不溶成分が析出したため、この反応液を塗布、再溶解、製膜する事はできなかった。
実施例1の[1]で合成した、テトラキス(4−エチニルフェニル)メタンのIRスペクトルである。 実施例1で製造した架橋高分子化合物のIRスペクトルである。

Claims (10)

  1. 式(1)で示される化合物の三次元架橋反応で得られる高分子化合物。
    Figure 2005060626
    (式(1)において、Xは炭素数1〜10の4価有機基、またはケイ素原子であり;Yは独立して水素原子、または炭素数1〜10の1価有機基;nは独立して0または正の整数である。)
  2. 式(1)中のXが炭素原子である事を特徴とする、請求項1記載の高分子化合物。
  3. 式(1)中のXがケイ素原子である事を特徴とする、請求項1記載の高分子化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物からなる薄膜。
  5. 請求項4記載の薄膜を用いる事を特徴とする絶縁膜。
  6. 請求項4記載の薄膜を用いる事を特徴とする保護膜。
  7. 請求項4記載の薄膜を用いる事を特徴とする液晶配向膜。
  8. 式(1)示される化合物、または式(1)で示される化合物を溶媒に溶解させた溶液を加熱し、加熱後の化合物または溶液を基板に塗布後、焼成して得ることを特徴とする、請求項4記載の薄膜形成方法。
  9. 請求項5記載の絶縁膜を用いる事を特徴とする電気的固体装置。
  10. 請求項7記載の液晶配向膜を用いる事を特徴とする液晶表示素子。
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