JPWO2007034716A1 - 可溶性透明ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびこれらの製造方法 - Google Patents
可溶性透明ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリベンゾオキサゾールおよびこれらの製造方法Info
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Abstract
【課題】高ガラス転移温度、高透明性、高溶剤溶解性、低複屈折、低吸水率、かつ十分な靭性を併せ持つポリベンゾオキサゾールおよびそのフィルムを提供すること。【解決手段】式(1)(式中、Rは2価の脂環族基である)で表されるモノマー単位を反復単位として含むポリベンゾオキサゾール及びこれからなる基板材料。Pは水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素原子数1〜12の直鎖状または分岐状アルケニル基、炭素原子数1〜12の直鎖状または分岐状アルコキシ基、ならびに炭素原子数6〜12の脂環族基または炭素数6〜12の芳香族基を表す。脂肪族基、芳香族基はハロゲン、窒素または酸素含有置換基を含有してもよい。またPは異なってもよい。【選択図】なし
Description
本発明は高いガラス転移温度、高い透明性、高い溶剤溶解性、低い複屈折、低い吸水率、及び十分な靭性を併せ持つ、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にフレキシブルフィルム状液晶ディスプレー用プラスチック基板の材料として有用なポリベンゾオキサゾールおよびその前駆体の製造方法に関する。
現在、液晶ディスプレー用基板にはガラス基板が用いられているが、近年のディスプレーの大画面化の動向に伴い、軽量化および生産性向上の問題が顕在化している。また携帯電話、電子手帳、携帯用パーソナルコンピュータ等のモバイル用情報・通信機器では液晶ディスプレー中のガラス基板が小さな衝撃でも破損しやすいといった問題が指摘されている。最近、重くて割れやすいガラス基板の代替材料として、より軽量で成型加工性が高く、割れにくいプラスチック基板が注目されている。
しかしプラスチック基板はガラス基板に比べて耐熱性に劣るという欠点を持つ。特にTFT型液晶パネルでは製造工程上、190℃の高温に複数回曝されるため、プラスチック基板のガラス転移温度は少なくとも190℃より高いことが要求される。しかしながら現存する代表的な透明樹脂であるポリメタクリル酸メチルやポリカーボネートではガラス転移温度がそれぞれ100℃および150℃であり、耐熱性の点で全く不十分である。
ガラス転移温度が高い高分子材料として、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズイミダゾールが挙げられる。中でもポリイミドは、その製造のための重合反応および膜の製造方法が比較的簡便であること、入手可能なモノマーが多く、物性改良に有利であることから、開発検討の対象となり、高ガラス転移温度、高透明性及び高靭性を同時に有するポリイミドが検討されている(非特許文献1)。
一方、液晶ディスプレーに使用される基板は吸水率ができるだけ低いことが望ましい。これは吸着水が基板上に形成されたITO電極に対して剥離の促進等の悪影響を及ぼす恐れがあるためである。
ポリイミドは分子内に分極率の高いイミド基を有するため、一般に吸水率が高く、液晶ディスプレー用としての観点からは一般に不利である。
ポリイミドフィルムは一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンとをジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒中で等モル反応させてポリイミド前駆体とし(前駆体重合)、その後、この溶液を基板上に流延して乾燥させ、300℃以上の高温で加熱硬化する2段階法で製造される。これは最終生成物であるポリイミドが溶媒に不溶で、熱可塑性も殆どない場合が多く、ポリイミド自体を成型加工することが困難なためである。
また、フレキシブルフィルム状液晶ディスプレー用プラスチック基板として、しばしば膜厚100〜200μmといった厚いフィルムが要求されるが、そのように厚いポリイミドフィルムを2段階法で作製することは容易ではない。
更に深刻な問題はポリイミドフィルムの着色である。これはポリイミド鎖における芳香族基を通じた分子内共役および、分子内・分子間電荷移動相互作用によるものである(非特許文献2)。この点は、ポリイミド前駆体重合の際に用いるテトラカルボン酸二無水物とジアミンのどちらか一方あるいは両方に脂肪族モノマーを使用することによって、電荷移動相互作用を妨害し、ポリイミド膜の透明性の問題を克服することが可能である。
しかしながら、脂肪族ジアミンとテトラカルボン酸二無水物からポリイミド前駆体重合を行なう際、重合反応初期に塩形成が起こり、重合終了まで長期間を要するか、場合によっては重合反応が全く進行しないという重大な問題が生じる(非特許文献3)。
一方、ポリベンゾオキサゾールはイミド基のような高分極性の構造単位を分子内に含んでおらず、低吸水性が期待される。更に分子内に脂環族構造を導入することで、膜の透明性が改善されると同時に、分子間相互作用が低下して最終生成物であるポリベンゾオキサゾールの有機溶媒に対する溶解性が高くなることが期待される。しかしながら、フレキシブルフィルム状液晶ディスプレー用プラスチック基板に適した上記膜特性および加工性を全て満足するポリベンゾオキサゾールを製造する技術は知られていないのが現状である。
骨格中への脂環族構造の導入は透明化と同時に低誘電率化にも有利であることは、ポリイミド系ではよく知られている(非特許文献4)が、ポリベンゾオキサゾール系においても脂環族構造の導入により膜の透明性と同時に低誘電率の発現が期待される。
電気絶縁膜の低誘電率化はマイクロプロセッサーの演算速度の高速化やクロック信号の立ち上がり時間の短縮化を可能にするため、情報処理・通信分野で極めて重要な課題になってきている。
また上記の可溶性ポリベンゾオキサゾールを多層基板等における電気絶縁膜として利用する場合には、金属基板上に絶縁膜を形成するためにポリベンゾオキサゾール自体の有機溶媒溶液を塗布後、比較的低温で溶媒を蒸発、乾燥させるだけでよく、金属基板/絶縁膜積層体における熱応力低減に有利である。
一般に、ポリイミドやポリベンゾオキサゾール等の絶縁材料が有機溶媒に不溶な場合、それらの前駆体の有機溶媒溶液を基板上に塗布し乾燥させた後、300〜400℃の高温で脱水環化反応させることで、最終的に基板上に耐熱性絶縁膜を形成する方法がとられるが、この際、絶縁膜の線熱膨張係数が十分に低くないと(金属基板のそれに近くないと)、熱環化反応後の室温に戻す冷却過程で大きな熱応力が発生し、基板からの絶縁膜の剥れ、割れ、積層体の反り等が発生し、デバイスの信頼性の低下を招くことになる。
ポリマー主鎖中にエーテル結合を有するポリベンゾオキサゾールも知られている(特許文献1及び2)。しかし、上記のような要求特性を全て満たすポリベンゾオキサゾールは知られていない。
特開2003−185857号
特開2004−18594号
「高分子討論会予稿集」,53巻,2004年,p.3985〜3986。
「プログレス・イン・ポリマーサイエンス(Progress in Polymer Science)」,26巻,2001年,p.259〜335。
「ハイパフォーマンス・ポリマー(High Performance Polymers)」,15巻,2003年,p.47〜64。
「マクロモレキュール(Macromolecules)」,32巻,1999年,p.4933〜4939。
本発明の課題は、高ガラス転移温度、高透明性、高溶剤溶解性、低複屈折、低吸水率、かつ十分な靭性を併せ持つ、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機ELディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にフレキシブルフィルム状液晶ディスプレー用プラスチック基板として有用なポリベンゾオキサゾール系基板材料およびそのフィルムを提供することである。
本発明者等は上記の課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン骨格と、脂環式ジカルボン酸骨格とを有するポリベンゾオキサゾールが、上記要求特性を全て満たすことを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)
式(a)で表される反復単位を含むポリベンゾオキサゾール前駆体、
(1)
式(a)で表される反復単位を含むポリベンゾオキサゾール前駆体、
(2)
式(a’)で表される反復単位を含むポリベンゾオキサゾール前駆体、
(3)
Rが炭素数4〜24のシクロアルキル残基である、上記(1)または(2)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体、
(4)
固有粘度が0.1dL/g〜5.0dL/gの範囲である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体、
(5)
式(1)で表される反復単位を含むポリベンゾオキサゾール、
(7)
Rが炭素数3〜24のシクロアルキル残基である、上記(5)または(6)に記載のポリベンゾオキサゾール、
(8)
固有粘度が0.1dL/g〜5.0dL/gの範囲である、上記(5)〜(7)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール、
(9)
ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体とジカルボン酸誘導体を溶媒中で重縮合反応させることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法、
(10)
ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体とジカルボン酸誘導体を縮合剤の存在下、重縮合反応させることを特徴とする、上記(5)〜(8)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールの製造方法、
(11)
上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱環化反応することを特徴とする、上記(5)〜(8)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールの製造方法、
(12)
上記(5)〜(8)のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールからなる基板材料、
(13)
上記(12)に記載の基板材料を構成するポリベンゾオキサゾールフィルム、
に関する。
本発明に係るポリベンゾオキサゾール系基板材料は上記要求特性を満足しているため、上記のような各種用途に好適な材料である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、上記式(a)で表される反復単位を主成分とする化合物であり、ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体またはそのテトラシリル化体と脂環式ジカルボン酸またはその誘導体とを、重縮合反応させることによって製造される。
第1の原料である上記ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体は、式(2)で表される。
なお、ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体は、その塩酸塩を使用することも可能である。
式(2)の化合物において、アミノ基と水酸基の結合位置は、スルホニル基に対しメタ位及びパラ位にそれぞれが結合していればよいが、下記式(2’)の化合物が好ましい。
式(2)の化合物の具体例としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルジフェニルスルホン等が挙げられ、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンが好ましい。
上記3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以後、ABPSと略称する)は、合成中、あるいは、保存中に、着色不純物で汚染されやすい。本発明においては、その目的からして着色不純物で汚染されていないABPSを使用することが好ましい。
以下に、着色の少ないABPSの製法につき詳述する。
粗ABPSは、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、BPS)を酢酸あるいは、硫酸に分散あるいは溶解させ、これに硝酸を滴下し、ニトロ化した3,3’−ジニトロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下、NBPS)を、2−メトキシエタノール等のアルコール類で精製し、これにa)ラネーニッケルまたは活性炭担持パラジウム(以下、Pd/C)の存在下でのヒドラジン還元またはb)白金系触媒またはニッケル系触媒存在下での水素還元により得られる。
この粗ABPSを、1)アルコール類、活性炭及びヒドラジン1水和物と混合し、2)活性炭を濾別し、3)ろ液にキレート剤、次いで水を添加し、4)生じる結晶をろ過し、5)水あるいは水を含有するアルコール類で結晶を洗浄して精製する。
具体的には、まず窒素気流下、溶剤としてアルコール類を使用し、これに攪拌下、ヒドラジン1水和物の水溶液、粗ABPS及び活性炭並びに必要によりキレート剤を加えて撹拌する(工程1))。更に必要に応じて加熱を行い、次いで、活性炭を濾別する(工程2))。ろ液にキレート剤を加え、必要なら、常圧下、あるいは、減圧下、熱時濃縮する。必要なら、冷却し、次いで、イオン交換水、あるいは、必要なら、キレート剤を溶解したイオン交換水を滴下して、結晶を析出させる(工程3))。イオン交換水を滴下する前に、ABPSが析出していてもよい。イオン交換水を滴下した後、熱時、濃縮して、結晶を析出させても良い。析出したABPSをろ過し(工程4))、イオン交換水、あるいはイオン交換水とアルコール類の混合物で、ろ過ケーキを洗浄する(工程5))。熱時、減圧乾燥あるいは温風乾燥して、乾燥ABPSを得る。
この精製方法において、粗ABPSは、反応完結した反応液中に存在してもよいし、反応液中より取り出した乾燥前のものでもよく、乾燥したものでもよい。
この精製方法において用いられるアルコール類は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリメチレングリコールモノメチルエーテル、トリメチレングリコールモノエチルエーテル トリメチレングリコールモノブチルエーテル、ブタンジオールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル等のモノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチレングリコール等のジオールを挙げることができるが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、特に、メタノールが好ましい。
アルコール類の使用量は、特に限定されないが、粗ABPSに対し、通常1〜30倍(V/W)、好ましくは2〜20倍(V/W)、特に好ましくは3〜15倍(V/W)である。30倍(V/W)を超えると、生産効率が低くなり、経済的でない。1倍(V/W)未満だと、結晶が析出しやすくなり、活性炭との分離が難しくなる。アルコール類に粗ABPSを溶解させる温度は、通常室温から沸点の範囲であり、好ましくは、室温〜70℃である。
精製方法に用いられるヒドラジン1水和物の水溶液の濃度は特に限定されないが、工業的には、60重量%程度が一般に使用される。60重量%ヒドラジン水溶液として、使用量は、粗ABPSに対し、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
精製方法で使用される活性炭は、液に分散させて使用するため、粉末が好ましい。活性炭は、着色不純物を吸着するだけでなく、酸化鉄等の金属酸化物のコロイド状態のものを吸着する。活性炭の持つミクロ細孔構造により、その性能に差が生じるが、通常工業薬品の脱色精製、酒造の脱色精製、排水に使用される活性炭が用いられる。
商品名としては、フタムラ化学の太閤活性炭SA、KS、K(A)、A、AP、RC、B5、日本エンバイロケミカル製の白鷺C、M、A、Pが挙げられるが、フタムラ化学の太閤活性炭SAが好ましい。
活性炭の使用量は、処理する粗ABPSの品質に大きく左右される。品質が悪い場合(着色があり、金属イオンも多い)、使用量も多くなるが、粗ABPSに対し、通常1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜10重量%である。
活性炭を加えて、攪拌する温度は、媒体としてのアルコール類により異なるが、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜40℃である。100℃を超えると、活性炭の吸着性が低下する。0℃未満だと、ABPSが析出しやすくなり、溶解させるための、アルコール使用量が多くなる。
不純物であるコロイド状態の酸化鉄は、活性炭、分散媒体(溶剤)、濾紙(濾布)を選択することにより、効率よく、分散媒体から除去される。
使用される濾紙(濾布)は、通常、一般的に使用されるものでよく、特に限定されないが、濾紙としては、定性用のNo.2濾紙と同程度のものが好ましい。
濾紙(濾布)を通過した金属イオンは、キレート剤により、水溶性となり、析出したABPSをろ過して得られるろ過ケーキを水洗することにより、水溶性の鉄キレートはろ過ケーキより除去され、極めて簡単な、操作により、金属イオンが少ないABPSが得られる。また、ろ過助剤を用いて、活性炭を濾別するときに、活性炭の漏れを防止してもよい。セルロース系の助剤が、金属イオンが溶出することがないので、好ましく、例えば日本製紙ケミカルの商品名 KCフロックが好ましく、特にKCフロックW−100が好ましい。このものは、水中でマイナスに荷電するので、金属イオンも除去できる。また、日本エンバイロケミカルズ製の炭素系ろ過助剤 白鷺FAも有効である。
使用できるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、および、これらの、ナトリウム塩、アミン塩が挙げられる。好ましくは、EDTA、DTPAのナトリウム塩、脂肪族アミン塩である。特にトリエタノールアミン塩が好ましい。
市販品としては、キレート株式会社製のキレストB、C、D、NTA、NTB、K、H、P、M、PAが好ましく、特に、M,PAが、鉄イオンの除去に効果的である。
キレート剤の使用量は、粗ABPSに対し、通常0.1〜100重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜10重量%である。
キレート剤は、粗ABPSを活性炭で処理している系に、加えてもよいし、活性炭を濾別後、加えてもよいが、アルコール類に溶解しないキレート剤の場合は、ABPSを活性炭で処理している系に加え、不溶のキレート剤を活性炭と一緒に濾別してもよい。
また、活性炭を濾別した濾液に、キレート剤を加えて、濾液を濃縮してもよい。また、イオン交換水に溶解させて、結晶析出させるための水と一緒に加えてもよい。
ABPSとキレート剤の接触時間は、特に限定されないが、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1〜8時間、特に好ましくは2〜5時間である。この場合の接触時間とは、キレート剤を添加後、晶析したABPSをろ過するまでの時間である。10分未満であれば、キレートが十分に、平衡状態に達しないが、24時間を越えると、生産効率が悪く、経済的でない。
キレート剤を加えて、攪拌する温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜40℃である。100℃を超えると、キレート安定度定数が低下する。0℃未満だと、ABPSが析出しやすくなり、溶解させるための、アルコール使用量が多くなる。
精製工程において、濃縮温度は、使用するアルコール類によっても異なるが、通常30〜100℃、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは50〜60℃である。濃縮時間は、特に限定されないが、通常30分〜20時間、好ましくは1〜10時間、特に好ましくは2〜6時間である。20時間を越して、濃縮すると、品質低下、生産効率の低下があり、好ましくない。30分未満だと、工業的な装置が対応できない。
濃縮量は、ABPSの結晶形、粒径に大きく影響し、その結果、ABPSのろ過速度、湿ABPS中の含水量、乾燥時間、乾燥ABPS中の水の量、純度、品質に大きく影響する。
濃縮残の量は、使用したアルコールにより異なるが、通常粗ABPSの2〜10倍(W/W)、好ましくは2.3〜6倍(W/W)、より好ましくは2.5〜5倍(W/W)、特に好ましくは3〜4倍(W/W)である。
精製工程においてABPSを析出させるイオン交換水の量は、粗ABPSに対し、通常3〜30倍(W/W)、好ましくは4〜20倍(W/W)、より好ましくは5〜15倍(W/W)、特に好ましくは6〜13倍(W/W)である。30倍(W/W)を超えると、生産効率が低下、経済的でない。3倍(W/W)未満だと、収率が低下する。
イオン交換水を滴下して、ABPSを析出させる温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜90℃、より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。100℃を超えると、品質の低下が起こり、0℃未満だと、微細な結晶が析出して、ろ過速度が遅くなる。
イオン交換水を滴下終了後は、更に、温度をあげて結晶を成長させてもよいし、同温度で、30分から、2時間攪拌してもよい。その後、通常30分〜5時間程度かけて、0〜30℃に冷却して、30分〜24時間程度同温度に保持後、ろ過する。
ろ過ケーキは、通常0〜25℃のイオン交換水で洗浄する。そのイオン交換水の量は、粗ABPSに対し、通常3〜30倍(W/W)、好ましくは5〜20倍、特に好ましくは7〜15倍(W/W)である。
ケーキの洗浄は、イオン交換水に、使用したアルコール類を混合してもよい。アルコール類の濃度は通常0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。50重量%を超えると、収率が下がる。
湿ABPSの乾燥条件は特に限定しないが、通常40℃〜50℃で70〜90%程度水を蒸発させ、その後、80℃まで昇温し、80℃で水分0.3〜0.5%程度まで乾燥する。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造において、本発明のポリベンゾオキザゾールの要求特性および重合反応性を著しく損なわない範囲で式(2)の化合物以外の他のアミノフェノール化合物を部分的に使用することができる。このようなアミノフェノール化合物としては、例えば2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5−ジアミノハイドロキノン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等があげられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。これら他のアミノフェノール化合物は、全アミノフェノール化合物中で40モル%以下の割合で使用することができる。
第2の原料である上記脂環式ジカルボン酸は、特に限定されないが、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸等のシクロアルキルジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸等が挙げられ、ポリベンゾオキサゾールの重合反応性および有機溶媒に対する溶解性の観点から、好ましくはシクロアルキルジカルボン酸、更に好ましくは炭素数4〜24のシクロ環を有するジカルボン酸、特に好ましくは1,3−シクロヘキサンジカルボン酸(式(3))および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(式(4))が用いられる。これらを単独であるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記式(4)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸には式(6)に示すようにトランス体とシス体が存在するが、本発明に係るポリベンゾオキサゾールを重合する場合、特に立体構造上の制約はなく、トランス体、シス体どちらも使用可能であり、これらの混合物であっても差し支えない。
また、本発明のポリベンゾオキサゾールの要求特性および重合反応性を著しく損なわない範囲で部分的に他のジカルボン酸を使用することができる。使用可能なジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,8−アントラセンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等があげられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
また、前記ジカルボン酸のアミド形成性誘導体として、該ジカルボン酸のジクロライド、ジブロマイド等の酸ハロゲン化物等が使用できる。
以下に本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の製法につき説明する。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体は、前記ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体(及び必要によりこれ以外の他のアミノフェノール化合物;以下両者をあわせて単にアミノフェノール成分という)またはそのテトラシリル化体と脂環式ジカルボン酸(及び必要によりこれ以外の他のジカルボン酸;以下両者をあわせて単に酸成分という)またはそのアミド形成性誘導体から重縮合反応により得られる。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体のうち、式(a)で表される化合物のうち、Qが水素原子であるポリヒドロキシアミドは、前記酸成分またはそのアミド形成性誘導体と前記アミノフェノール化合物を反応させることで製造することができる。この重合反応の方法、条件については特に制限されない。例えば、酸成分またはそのアミド形成性誘導体とアミノフェノール成分を−20〜80℃の温度で有機溶媒中にて反応させることで閉環していないかまたは部分的にしか閉環していない一般式(a)で表される前駆体のポリヒドロキシアミドを得る方法などが採用される。また、塩化リチウムや塩化カルシウムなどの無機塩類や塩基類を重合反応系に添加すると、アミノフェノール成分の分子内水素結合を抑制し、酸性分とアミノフェノールのアミノ基を選択的に反応させ、重合反応性を高めることもできる。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の重合反応に使用できる有機溶媒としては原料の両成分が溶解すれば特に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が使用可能であり、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンが用いられる。さらに、フェノール、o−クレゾール、スルホラン、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコール、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが使用可能である。また、両原料成分の溶解性を損なわない範囲であれば、その他の有機溶媒、例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒など特に限定することなく使用できる。
また重合反応に際して、酸成分のアミド形成性誘導体としてジハライドを使用する場合、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどのアミン系脱酸剤を使用することができる。
重合反応において、前記酸成分またはそのアミド形成性誘導体とアミノフェノール成分は等モルまたはその近傍組成で反応させることが好ましい。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体のうち、式(a)で表される化合物のうち、Qがトリアルキルシリル基であるポリシリル化ヒドロキシアミドは、前記酸成分またはそのアミド形成性誘導体と前記アミノフェノール化合物のテトラシリル化体を反応させることで製造することができる。
具体的にはまずアミノフェノール成分を前記重合溶媒中、シリル化試薬を用いてテトラシリル化体とした後、これと酸性分のアミド形成性誘導体、好ましくは酸クロリドを等モル重縮合反応する。
以下に特に好ましいポリシリル化ヒドロキシアミドの製法につき説明する。
まず、前記したような重合溶媒に溶解したアミノフェノール成分に対してピリジン等の塩化水素捕捉剤の存在下、トリメチルシリルクロライドを滴下して、アミノ基およびヒドロキシル基をシリル化する。これによりアミノ基は高反応性になる一方、ヒドロキシル基の求核性は消失する。次に酸成分を触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で塩化チオニルを用いて塩素化する。次いで、ピリジン等の塩化水素捕捉剤およびリチウムクロライド等の無機塩類の存在下、塩素化した酸成分に対して重合溶媒に溶解した等モル量のアミノフェノールのテトラシリル化体を添加する。リチウムクロライドやリチウムブロマイド等の無機塩類は添加しなくても大きな支障はないが、適当量添加するとポリベンゾオキサゾール前駆体の重合度が増加する傾向がある。ポリベンゾオキサゾール前駆体の高粘度溶液を適当に希釈して大量の水中に沈澱、洗浄することによりシリル化ポリヒドロキシアミドを単離することができる。また水のかわりにメタノール、メタノール水溶液、塩酸水溶液等中に沈澱させることにより容易に脱シリル化することができる。
前駆体であるポリヒドロキシアミドまたは部分的に閉環したポリヒドロキシアミドは100℃以上、好ましくは150℃以上で、必要に応じて無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸などの酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの閉環剤、さらにピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾールなどの閉環触媒を適宜添加して、閉環させることで本発明のポリベンゾオキサゾールとすることができる。ただし、加熱処理のみでベンゾオキサゾール膜を得る場合はベンゾオキサゾール前駆体を250℃〜400℃、好ましくは300℃〜400℃で熱処理することが好ましい。
前記のようにして本発明のポリベンゾオキサゾールを得ることができるが、(i)シリル化剤を使用しない場合、酸クロリド基がアミノ基のみならずヒドロキシ基とも反応するため、官能基のモルバランスがくずれ、高重合体を得ることは困難である、(ii)アミノフェノール成分や酸成分の前処理が必要である、(iii)閉環剤が必要である、(iv)閉環剤を使用しない場合、閉環の際に高温を必要とする等の作業上の問題が生じる場合がある。特に閉環の際、300℃以上の脂環構造部位が部分的に熱分解してポリベンゾオキサゾール膜が著しく着色する場合があるため、以下のように前駆体を経ずにポリベンゾオキサゾールを製造することも可能である。
以下に、前駆体を経ない本発明のポリベンゾオキサゾールの製法につき説明する。
まず、酸成分と等モル量のアミノフェノール成分を反応容器中に入れ、重合溶媒を加える。撹拌機で撹拌しながら窒素雰囲気中、100℃から10℃ずつ最終温度まで段階的に昇温(各温度で10分間保持)し、最後に200〜230℃で10分〜2時間保持する。室温まで冷却後、水中に沈殿させ、洗浄水が中性になるまで大量の水で洗浄後、更にメタノールで洗浄し、最後に100℃で真空乾燥して、ポリベンゾオキサゾールの白色粉末を得る。
重合時のモノマー濃度は通常5〜30重量%、好ましくは7〜20重量%である。モノマー濃度が5重量%未満であると、ポリベンゾオキサゾールの重合度が十分高くならない場合があり、30重量%を越えると、モノマーが十分に溶解せず、均一な溶液が得られない恐れがある。
重合溶媒及び縮合剤に特に制限はない。縮合剤兼重合溶媒としてポリ燐酸あるいは五酸化燐−メタンスルホン酸混合物が用いられることが好ましい。
上記重合反応は、少なくとも200℃まで昇温することが好ましい。200℃以下で重合反応を行うと、重合度が十分高くならない恐れがある。他方で、重合温度は上記のように徐々に昇温して行うことが好ましく、急激に例えば200℃まで一度に昇温するべきではない。さもないと、脂環族構造が一部分解し、最終的に得られるポリベンゾオキサゾールが著しく着色し、更に重合度が十分高くならない恐れがある。
ポリベンゾオキサゾール前駆体重合の際にしばしば添加される高分子溶解促進剤、即ちリチウムブロマイドやリチウムクロライドの如き金属塩類は、この一段階重合反応には一切使用する必要がない。
本発明のポリベンゾオキサゾールを有機溶媒に溶解させ、均一・透明で貯蔵安定性の高い溶液を得ることができる。この溶液をシリコン、銅、ガラス等の基板上に流延し、温風乾燥器中、50〜150℃の温度範囲で10分〜数時間乾燥させる。この膜を更に100〜300℃、好ましくは150℃〜250℃で熱処理することにより、透明で強靭なポリベンゾオキサゾールフィルムが得られる。300℃以上での熱処理ではポリベンゾオキサゾールフィルムが著しく着色する恐れがある。またポリベンゾオキサゾールフィルムの着色を抑制するために、熱処理は真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましいが、あまり高温にしないかぎり空気中で行っても重大な問題は生じない。
ポリベンゾオキサゾール溶液を得る際に用いる有機溶媒としては特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の非プロトン性溶媒および、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶媒が使用可能である。またこれらの溶媒は単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。
本発明のポリベンゾオキサゾールは脂環族構造を有するため、これを含まない全芳香族ポリベンゾオキサゾールに比べると長期熱安定性に若干劣るが、フレキシブル液晶ディスプレーや多層基板等の作製時に要求される短期耐熱性は充分高く、上記産業分野への応用には全く問題がない。
本発明の基板材料は、本発明で要求される特性を損なわない範囲で、式(1)で表される反復単位からなるポリベンゾオキサゾール以外のものを含んでいても差し支えないが、式(1)の反復単位を60mol%以上含有することが好ましい。
本発明のポリベンゾオキサゾールの線熱膨張係数(荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分)は通常80ppm/K以下、好ましくは70ppm/K以下である。
本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールの固有粘度はできるだけ高い方が膜靭性が増加する傾向があるため望ましく、0.1dL/g〜5.0dL/g、好ましくは0.4〜3.0dL/g、特に好ましくは0.5〜2.0dL/gであることが好ましい。固有粘度が0.1dL/gを下回るとポリベンゾオキサゾールフィルムの靭性が急激に低下して、フレキシブル液晶ディスプレー用基板への適用が困難になる恐れがある。また、5.0dL/gを超えるとポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールのワニスの貯蔵安定性が著しく低下する恐れがある。
本発明のポリベンゾオキサゾールのガラス転移温度はできるだけ高い方が望ましいが、TFT型フレキシブル液晶ディスプレー製造工程上の制約から、250℃以上であることが好ましい。
本発明のポリベンゾオキサゾールの破断伸びはできるだけ高い方が望ましいが、5%以上であることが好ましく、10%以上であることが特に好ましい。
本発明のポリベンゾオキサゾール系基板材料をフレキシブル液晶ディスプレー用基板に適用する場合、ポリベンゾオキサゾールフィルムが透明・無着色である必要がある。指標としてカットオフ波長が330nmより短波長であることが好ましく、更に400nmでの透過率が70%以上であることが好ましい。また、複屈折はできるだけ低い方が好ましいが、0.01以下であれば液晶ディスプレー用基板として大きな支障はない。
吸水率はできるだけ低い方が好ましいが、2.5%以下であれば液晶ディスプレー用基板として大きな支障はない。
本発明のポリベンゾオキサゾールは上記要求特性を全て満足しているため、上記用途に最適な材料である。
得られたポリベンゾオキサゾール中には必要に応じて酸化安定剤、末端封止剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤および増感剤等の添加物が混合されていても差し支えない。
以下に本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、これは例示のためであり、本発明の範囲はこれによって限定されるものではない。なお、各例における分析値は以下の方法により求めた。
<固有粘度>
0.5重量%のポリベンゾオキサゾール溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
0.5重量%のポリベンゾオキサゾール溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
<ガラス転移温度:Tg>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークから求めた。
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて動的粘弾性測定により、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失ピークから求めた。
<線熱膨張係数:CTE>
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値として線熱膨張係数を求めた。
ブルカーエイエックス社製熱機械分析装置(TMA4000)を用いて、熱機械分析により、荷重0.5g/膜厚1μm、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値として線熱膨張係数を求めた。
<5%重量減少温度:Td 5>
ブルカーエイエックス社製熱重量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、サンプルの初期重量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
ブルカーエイエックス社製熱重量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中または空気中、昇温速度10℃/分での昇温過程において、サンプルの初期重量が5%減少した時の温度を測定した。これらの値が高いほど、熱安定性が高いことを表す。
<カットオフ波長(透明性)>
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−520)を用いて、200nmから900nmの可視・紫外線透過率を測定した。透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)を透明性の指標とした。カットオフ波長が短い程、透明性が良好であることを意味する。
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−520)を用いて、200nmから900nmの可視・紫外線透過率を測定した。透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)を透明性の指標とした。カットオフ波長が短い程、透明性が良好であることを意味する。
<光透過率(透明性)>
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−520)を用いて、400nmにおける光透過率を測定した。透過率が高い程、透明性が良好であることを意味する。
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−520)を用いて、400nmにおける光透過率を測定した。透過率が高い程、透明性が良好であることを意味する。
<複屈折>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。
<誘電率>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜の平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて、次式により1MHzにおける誘電率(ε)を算出した。ε=1.1×nav 2
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ4T)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜の平均屈折率〔nav=(2nin+nout)/3〕に基づいて、次式により1MHzにおける誘電率(ε)を算出した。ε=1.1×nav 2
<弾性率、破断伸び>
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜の試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、膜が破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほど膜の靭性が高いことを意味する。
東洋ボールドウィン社製引張試験機(テンシロンUTM−2)を用いて、ポリベンゾオキサゾール膜の試験片(3mm×30mm)について引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施し、応力―歪曲線の初期の勾配から弾性率を、膜が破断した時の伸び率から破断伸び(%)を求めた。破断伸びが高いほど膜の靭性が高いことを意味する。
<吸水率>
50℃で24時間真空乾燥したポリベンゾオキサゾール膜(膜厚20〜30μm)を25℃の水に24時間浸漬した後、余分の水分を拭き取り、重量増加分から吸水率(%)を求めた。
50℃で24時間真空乾燥したポリベンゾオキサゾール膜(膜厚20〜30μm)を25℃の水に24時間浸漬した後、余分の水分を拭き取り、重量増加分から吸水率(%)を求めた。
<溶解性試験>
試験管に各種溶媒を1mL入れ、各種ポリベンゾオキサゾール膜20mgを入れ、溶解性を試験した。加熱が必要な場合、THFは60℃、その他は100℃で加熱した。室温に戻し、24時間後の溶液の状態を観察した。
試験管に各種溶媒を1mL入れ、各種ポリベンゾオキサゾール膜20mgを入れ、溶解性を試験した。加熱が必要な場合、THFは60℃、その他は100℃で加熱した。室温に戻し、24時間後の溶液の状態を観察した。
(合成例1)
温度計、攪拌羽根を備えた2000ccの4口フラスコに、窒素気流下、酢酸1000ccを加え、更に、BPS187.7g(0.75モル)を分散させ、45℃に保持した。70重量%硝酸202.5g(理論モル比:1.5)を、約5時間かけて滴下した。同温度で熟成3時間。HPLCでの分析の結果、原料(BPS)0.10面積%、モノニトロ体 3.76面積%、NBPS 89.74面積%、テトラニトロ体 2.26面積%であった。室温に冷却後、イオン交換水 1000ccを約2.5時間かけて、滴下し、その後、2℃まで冷却して、ろ過した。ろ過ケーキをイオン交換水 4000ccで洗浄した。得られた湿粗NBPS 368gを60℃で乾燥した。乾燥粗NBPS187g。収率 73.3%、HPLC モノニトロ体 4.6面積%、NBPS 94.3面積%。
温度計、攪拌羽根を備えた2000ccの4口フラスコに、窒素気流下、酢酸1000ccを加え、更に、BPS187.7g(0.75モル)を分散させ、45℃に保持した。70重量%硝酸202.5g(理論モル比:1.5)を、約5時間かけて滴下した。同温度で熟成3時間。HPLCでの分析の結果、原料(BPS)0.10面積%、モノニトロ体 3.76面積%、NBPS 89.74面積%、テトラニトロ体 2.26面積%であった。室温に冷却後、イオン交換水 1000ccを約2.5時間かけて、滴下し、その後、2℃まで冷却して、ろ過した。ろ過ケーキをイオン交換水 4000ccで洗浄した。得られた湿粗NBPS 368gを60℃で乾燥した。乾燥粗NBPS187g。収率 73.3%、HPLC モノニトロ体 4.6面積%、NBPS 94.3面積%。
(NBPSの精製)
温度計、還流冷却器、攪拌羽根を備えた2000ccの4口フラスコに、2−エトキシエタノール930ccを加え、攪拌しながら上記乾燥粗NBPS186gを加えた。90〜100℃で1時間加熱。冷却。室温にてろ過。ろ過ケーキを、メタノール500ccで洗浄。2日間風乾して、乾燥NBPS170gを得た。回収率91.6%、通算収率67.2%。HPLC モノニトロ体 1.58面積%、NBPS 98.1面積%。
温度計、還流冷却器、攪拌羽根を備えた2000ccの4口フラスコに、2−エトキシエタノール930ccを加え、攪拌しながら上記乾燥粗NBPS186gを加えた。90〜100℃で1時間加熱。冷却。室温にてろ過。ろ過ケーキを、メタノール500ccで洗浄。2日間風乾して、乾燥NBPS170gを得た。回収率91.6%、通算収率67.2%。HPLC モノニトロ体 1.58面積%、NBPS 98.1面積%。
(粗ABPSの製造)
温度計、攪拌羽根を備えた1000ccの4口フラスコに、窒素気流下、メタノール 578ccを加え、更に、上記で得られた精製NBPS96.33g(0.283モル)を分散させ、5重量%Pd/C、湿10g(ドライ換算4.32g)を加え、加熱した。65℃で、還流開始を確認後、60重量%ヒドラジン1水和物96g(1.15モル)(理論モル比1.35)を約5時間かけて滴下した。還流下、更に熟成を3時間した後、HPLCで測定したところ、NBPSはトレース、モノニトロモノアミノ体0.02面積%となり、反応は完結していた。メタノール222ccを反応液に加え、50℃に冷却。40〜50℃で1時間、攪拌後、ろ過。活性炭のケーキを、熱メタノール75ccで洗浄した。次いで、50℃、−70kPaで減圧蒸留して、メタノールを留去した。内容物が、240gになったとき、減圧を常圧に戻しところ、既に結晶が析出していた。50〜60℃で、イオン交換水700ccを2時間かけて滴下した。滴下後、約1時間かけて、3℃以下に冷却し、ろ過した。ろ過ケーキを、冷イオン交換水500ccで洗浄し、湿ABPSを得た。得られた湿ABPS150gを、40〜50℃で7時間、60〜80℃で8時間かけて、温風乾燥し、乾燥ABPS63.4gを得た。収率 80%。HPLC モノアミン体、1.15面積%、ABPS 98.5面積%。褐色粉末。
温度計、攪拌羽根を備えた1000ccの4口フラスコに、窒素気流下、メタノール 578ccを加え、更に、上記で得られた精製NBPS96.33g(0.283モル)を分散させ、5重量%Pd/C、湿10g(ドライ換算4.32g)を加え、加熱した。65℃で、還流開始を確認後、60重量%ヒドラジン1水和物96g(1.15モル)(理論モル比1.35)を約5時間かけて滴下した。還流下、更に熟成を3時間した後、HPLCで測定したところ、NBPSはトレース、モノニトロモノアミノ体0.02面積%となり、反応は完結していた。メタノール222ccを反応液に加え、50℃に冷却。40〜50℃で1時間、攪拌後、ろ過。活性炭のケーキを、熱メタノール75ccで洗浄した。次いで、50℃、−70kPaで減圧蒸留して、メタノールを留去した。内容物が、240gになったとき、減圧を常圧に戻しところ、既に結晶が析出していた。50〜60℃で、イオン交換水700ccを2時間かけて滴下した。滴下後、約1時間かけて、3℃以下に冷却し、ろ過した。ろ過ケーキを、冷イオン交換水500ccで洗浄し、湿ABPSを得た。得られた湿ABPS150gを、40〜50℃で7時間、60〜80℃で8時間かけて、温風乾燥し、乾燥ABPS63.4gを得た。収率 80%。HPLC モノアミン体、1.15面積%、ABPS 98.5面積%。褐色粉末。
(精製ABPSの製造)
温度計、攪拌羽根を備えた1000ccの4口フラスコに、窒素気流下、メタノール 1000cc、60重量%ヒドラジン1水和物 15gを加え、更に上記で得られた粗ABPS60g、フタムラ化学製太閤活性炭SA、11gを分散させ、加熱した。66℃で、還流開始を確認後、還流下、1時間、混合攪拌した後、冷却し、40〜50℃で1時間保持後、活性炭をろ過した。活性炭を熱メタノール50ccで活性炭を洗浄し洗浄液をろ液と合わせた。ろ液を、50℃、−70kPaで減圧蒸留して、メタノールを留去した。内容物が、180gになったとき、減圧を常圧に戻したところ、既に結晶が析出していた。これに50〜60℃で、イオン交換水650cc(キレート株式会社製 キレート剤 M 6g含有)を2時間かけて滴下した。滴下後、約1時間かけて、3℃以下に冷却し、ろ過した。ろ過ケーキを、冷イオン交換水500ccで洗浄した。湿ABPS 88gを、40〜50℃で7時間、60〜80℃で8時間かけて、温風乾燥し、乾燥ABPS52gを得た。収率 86.7%。HPLC モノアミン体、0.53面積%、ABPS、99.2面積%。白色粉末。
温度計、攪拌羽根を備えた1000ccの4口フラスコに、窒素気流下、メタノール 1000cc、60重量%ヒドラジン1水和物 15gを加え、更に上記で得られた粗ABPS60g、フタムラ化学製太閤活性炭SA、11gを分散させ、加熱した。66℃で、還流開始を確認後、還流下、1時間、混合攪拌した後、冷却し、40〜50℃で1時間保持後、活性炭をろ過した。活性炭を熱メタノール50ccで活性炭を洗浄し洗浄液をろ液と合わせた。ろ液を、50℃、−70kPaで減圧蒸留して、メタノールを留去した。内容物が、180gになったとき、減圧を常圧に戻したところ、既に結晶が析出していた。これに50〜60℃で、イオン交換水650cc(キレート株式会社製 キレート剤 M 6g含有)を2時間かけて滴下した。滴下後、約1時間かけて、3℃以下に冷却し、ろ過した。ろ過ケーキを、冷イオン交換水500ccで洗浄した。湿ABPS 88gを、40〜50℃で7時間、60〜80℃で8時間かけて、温風乾燥し、乾燥ABPS52gを得た。収率 86.7%。HPLC モノアミン体、0.53面積%、ABPS、99.2面積%。白色粉末。
(実施例1)
攪拌機付密閉反応容器中に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス、トランス混合物)10mmolおよび合成例1で得られたABPS10mmolを入れ、モノマー濃度が10質量%になるようにポリ燐酸を加えた。撹拌機で撹拌しながら窒素気流中、オイルバスにて100℃から10℃ずつ段階的に昇温(各温度で10分間保持)し、最後に200℃で10分時間保持した。反応終了後室温まで冷却し、水中に沈殿させ、洗浄水が中性になるまで大量の水で洗浄した。更にメタノールで洗浄し、最後に100℃で真空乾燥して、ポリベンゾオキサゾールの白色沈殿を得た。N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した、ポリベンゾオキサゾールの固有粘度は1.74dL/gであり、高重合体であった。溶解性試験の結果を表1に示す。様々な溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、m−クレゾール)に溶解性を示した。次にこのポリベンゾオキサゾールをN−メチル−2−ピロリドンに10質量%になるように溶解させ、均一・透明な溶液を得た。この溶液をガラス基板上に流延し、100℃で1時間乾燥後、メタノールに浸漬後、更に真空中250℃で1時間熱処理し、透明で可撓性のポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。膜物性はガラス転移温度294℃、カットオフ波長310nm、400nmにおける光透過率81.3%、破断伸び24%、引張弾性率2.56GPa、複屈折Δn=0.0097、線熱膨張係数65.3ppm/K、5%重量減少温度(昇温速度10℃/min)は窒素中で461℃、空気中で400℃、誘電率は2.94、吸水率2.01%であり、要求特性をほぼ満足するポリベンゾオキサゾールが得られた(表2)。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
攪拌機付密閉反応容器中に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス、トランス混合物)10mmolおよび合成例1で得られたABPS10mmolを入れ、モノマー濃度が10質量%になるようにポリ燐酸を加えた。撹拌機で撹拌しながら窒素気流中、オイルバスにて100℃から10℃ずつ段階的に昇温(各温度で10分間保持)し、最後に200℃で10分時間保持した。反応終了後室温まで冷却し、水中に沈殿させ、洗浄水が中性になるまで大量の水で洗浄した。更にメタノールで洗浄し、最後に100℃で真空乾燥して、ポリベンゾオキサゾールの白色沈殿を得た。N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で測定した、ポリベンゾオキサゾールの固有粘度は1.74dL/gであり、高重合体であった。溶解性試験の結果を表1に示す。様々な溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、m−クレゾール)に溶解性を示した。次にこのポリベンゾオキサゾールをN−メチル−2−ピロリドンに10質量%になるように溶解させ、均一・透明な溶液を得た。この溶液をガラス基板上に流延し、100℃で1時間乾燥後、メタノールに浸漬後、更に真空中250℃で1時間熱処理し、透明で可撓性のポリベンゾオキサゾールフィルムを得た。膜物性はガラス転移温度294℃、カットオフ波長310nm、400nmにおける光透過率81.3%、破断伸び24%、引張弾性率2.56GPa、複屈折Δn=0.0097、線熱膨張係数65.3ppm/K、5%重量減少温度(昇温速度10℃/min)は窒素中で461℃、空気中で400℃、誘電率は2.94、吸水率2.01%であり、要求特性をほぼ満足するポリベンゾオキサゾールが得られた(表2)。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
(実施例2)
ジカルボン酸としてトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
ジカルボン酸としてトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
(実施例3)
ジカルボン酸として1,3−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた以外は、実施例1および2に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。ガラス転移温度は実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールより約30℃低下したが、それでもなお高いガラス転移温度(265℃)を保持していた。その他の物性については実施例1および2に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。
ジカルボン酸として1,3−シクロヘキサンジカルボン酸を用いた以外は、実施例1および2に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。ガラス転移温度は実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールより約30℃低下したが、それでもなお高いガラス転移温度(265℃)を保持していた。その他の物性については実施例1および2に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。このポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。
(実施例4)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS9mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル1mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。ガラス転移温度は実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールよりわずかに低下したが、それでもなお高いガラス転移温度(287℃)を保持していた。その他の物性については実施例1および2に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS9mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル1mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。ガラス転移温度は実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールよりわずかに低下したが、それでもなお高いガラス転移温度(287℃)を保持していた。その他の物性については実施例1および2に記載のポリベンゾオキサゾールと同等の優れた物性を示した。
(実施例5)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS8mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル2mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS8mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル2mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(実施例6)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS7mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル3mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS7mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル3mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(実施例7)
攪拌機付密閉反応容器中にABPS5mmolを入れ、セプタムキャップで密閉した。シリンジにてN−メチル−2−ピロリドン22mLを加えてモノマーを溶解し、更にピリジン3mLを加えた。この溶液にトリメチルシリルクロリド3.2mL(25mmol)をシリンジでゆっくりと滴下し、滴下終了後室温で1時間攪拌してシリル化反応を行った。この溶液にトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmolをゆっくり加え、室温で24時間重合反応を行なわせて透明で粘稠なポリベンゾオキサゾール前駆体溶液を得た。これをガラス基板に流延し、60℃、2時間で乾燥後、減圧下200℃で1時間、300℃で1時間、段階的に熱処理を行い熱脱水閉環反応を完結させ、膜厚約20μmの強靱なポリベンゾオキサゾール膜を得た。閉環反応の完結は薄膜の赤外線吸収スペクトルから確認した。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。膜が若干着色した以外は実施例2に記載のポリベンゾオキサゾール膜と同等の物性を示した。このポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図4および5に示す。
攪拌機付密閉反応容器中にABPS5mmolを入れ、セプタムキャップで密閉した。シリンジにてN−メチル−2−ピロリドン22mLを加えてモノマーを溶解し、更にピリジン3mLを加えた。この溶液にトリメチルシリルクロリド3.2mL(25mmol)をシリンジでゆっくりと滴下し、滴下終了後室温で1時間攪拌してシリル化反応を行った。この溶液にトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸5mmolをゆっくり加え、室温で24時間重合反応を行なわせて透明で粘稠なポリベンゾオキサゾール前駆体溶液を得た。これをガラス基板に流延し、60℃、2時間で乾燥後、減圧下200℃で1時間、300℃で1時間、段階的に熱処理を行い熱脱水閉環反応を完結させ、膜厚約20μmの強靱なポリベンゾオキサゾール膜を得た。閉環反応の完結は薄膜の赤外線吸収スペクトルから確認した。表1に溶解性試験結果を示す。実施例1に記載のポリベンゾオキサゾールと同様に各種溶媒に対して高い溶解性を示した。表2に固有粘度および物性値を示す。膜が若干着色した以外は実施例2に記載のポリベンゾオキサゾール膜と同等の物性を示した。このポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールの薄膜の赤外線吸収スペクトルを図4および5に示す。
(実施例8)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS6mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル4mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS6mmolおよび共重合成分として3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルエーテル4mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(実施例9)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS9mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS9mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン1mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(実施例10)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS8mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン2mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS8mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン2mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(実施例11)
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS7mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
ビス(o−アミノフェノ−ル)としてABPS7mmolおよび共重合成分として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン3mmolを用いた以外は、実施例1に記載の方法と同様にポリベンゾオキサゾールを重合、フィルムを作製して物性評価を行った。表1に溶解性試験結果を、表2に固有粘度および物性値を示す。
(比較例1)
ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物は如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物は如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
(比較例2)
ジカルボン酸としてイソフタル酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物は如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
ジカルボン酸としてイソフタル酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物は如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
(比較例3)
ジカルボン酸として4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物はメタクレゾールに部分的に溶解する以外はその他の如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
ジカルボン酸として4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸を用いた以外は実施例1の方法に従って重合を行った。反応が進行し、重合溶液の粘度増加が見られたが、水中への沈殿物はメタクレゾールに部分的に溶解する以外はその他の如何なる有機溶媒にも不溶であったため、粘度測定、製膜、膜物性評価を実施できなかった。これはジカルボン酸として、脂環式ジカルボン酸を用いず、芳香族ジカルボン酸を用いたことが原因である。
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
DMAc: N,N−ジメチルアセトアミド
HMPA: ヘキサメチルホスホルアミド
THF: テトラヒドロフラン
本発明のポリベンゾオキサゾール系基板材料は、高ガラス転移温度、高透明性、低複屈折、低吸水率、かつ十分な靭性を併せ持っており、各種電子デバイスにおける電気絶縁膜および液晶ディスプレー用基板、有機ELディスプレー用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、特にフレキシブルフィルム状液晶ディスプレー用プラスチック基板として有用である。
Claims (13)
- Rが炭素数4〜24のシクロアルキル残基である、請求項1または2に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
- 固有粘度が0.1dL/g〜5.0dL/gの範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体。
- Rが炭素数4〜24のシクロアルキル残基である、請求項5または6に記載のポリベンゾオキサゾール。
- 固有粘度が0.1dL/g〜5.0dL/gの範囲である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール。
- ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体とジカルボン酸誘導体を溶媒中で重縮合反応させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。
- ジアミノジヒドロキシジフェニルスルホン誘導体とジカルボン酸誘導体を縮合剤の存在下、重縮合反応させることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体を加熱環化反応することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールの製造方法。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリベンゾオキサゾールからなる基板材料。
- 請求項12に記載の基板材料を構成するポリベンゾオキサゾールフィルム。
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